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令和元年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているものもあるため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なることがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

令和元年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号

議事日程 第3号

 令和元年9月18日(水曜日)

 午前10時開議

 第1 議案第134号から議案第164号まで(質疑)

 第2 一般質問

会議に付した事件

 第1 議案第134号から議案第164号まで(質疑)

 第2 一般質問

出席議員(42人)

 1番 鈴木德久

 2番 山家敏宏

 3番 中本浩精

 4番 堀 龍雄

 5番 藤山将材

 6番 岸本 健

 7番 井出益弘

 8番 宇治田栄蔵

 9番 北山慎一

 10番 中西峰雄

 11番 秋月史成

 12番 森 礼子

 13番 濱口太史

 14番 尾崎要二

 15番 冨安民浩

 16番 川畑哲哉

 17番 玉木久登

 18番 鈴木太雄

 19番 岩田弘彦

 20番 吉井和視

 21番 谷 洋一

 22番 佐藤武治

 23番 岩井弘次

 24番 中 拓哉

 25番 多田純一

 26番 新島 雄

 27番 山下直也

 28番 中西 徹

 29番 玄素彰人

 30番 谷口和樹

 31番 藤本眞利子

 32番 浦口高典

 33番 山田正彦

 34番 坂本 登

 35番 林 隆一

 36番 楠本文郎

 37番 高田由一

 38番 杉山俊雄

 39番 片桐章浩

 40番 奥村規子

 41番 尾﨑太郎

 42番 長坂隆司

欠席議員(なし)

説明のため出席した者

 知事         仁坂吉伸

 副知事        下 宏

 知事室長       細川一也

 危機管理監      森田康友

 総務部長       田村一郎

 企画部長       田嶋久嗣

 環境生活部長     田中一寿

 福祉保健部長     宮本浩之

 商工観光労働部長   稲本英介

 農林水産部長     角谷博史

 県土整備部長     髙松 諭

 会計管理者      飯島孝志

 教育長        宮﨑 泉

 公安委員会委員    竹田純久

 警察本部長      檜垣重臣

 人事委員会委員長   平田健正

 代表監査委員     保田栄一

 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫

職務のため出席した事務局職員

 事務局長       中川敦之

 次長         中谷政紀

 議事課長       松山 博

 議事課副課長     山田修平

 議事課議事班長    岸裏真延

 議事課主任      保田良春

 議事課主事      浅田晃秀

 総務課長       井邊正人

 政策調査課長     中平 博

  午前10時0分開議

○議長(岸本 健君) これより本日の会議を開きます。

 日程第1、議案第134号から議案第164号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。

 11番秋月史成君

  〔秋月史成君、登壇〕(拍手)

○秋月史成君 おはようございます。

 議長の許可をいただきましたので、以下、通告に従い一般質問を行います。

 県道白浜久木線の白浜町庄川から久木間の改修につきましては、地元関係者の皆様を初め、県道白浜久木線改修促進協議会の方々の熱意ある献身的な要望を続けてきたところ、2014年度に久木側の約3キロメートル区間について事業化されました。

 2016年3月4日の定例会の私の一般質問で、県道白浜久木線の早期改良を願い、事業化している久木側に加え、庄川側からの事業化を提案したところ、仁坂知事の御英断により、2017年度に庄川側の約2キロメートルの区間の事業化が決まりました。

 2017年11月28日には、促進協議会が自由民主党本部へ党幹事長、二階俊博衆議院議員を訪ねていかれました。同会からは、地元白浜町長、白浜町建設課、促進協議会事務局の方を初め、当局の職員の方を交え、予算のお礼及び早期改良に向けた要望活動を行いました。あいにく私は他の公務がありましたので同席することがかないませんでしたが、後日、促進協議会事務局の方から内容についての報告を受けております。

 この道路が完成することにより、地域の利便性の向上はもとより、災害時の迂回路や紀勢自動車道南紀白浜インターチェンジ、日置川インターチェンジを利用した観光道路として期待が持てることから、早期改良が望まれています。

 そこで、県道白浜久木線の現在の進捗状況と取り組みについてお答えください。

○議長(岸本 健君) ただいまの秋月史成君の質問に対する答弁を求めます。

 県土整備部長髙松 諭君。

  〔髙松 諭君、登壇〕

○県土整備部長(髙松 諭君) 県道白浜久木線の進捗状況と取り組みについて御質問いただきました。

 県道白浜久木線につきましては、通行不能区間約4.7キロメートルのうち、平成26年度に事業化いたしました久木側の約2.7キロメートル区間におきまして、県道日置川大塔線と交差する久木橋付近よりのり面工事などを進め、平成30年2月には久木トンネルの掘削工事に着手し、トンネル本体工事を本年の1月に完了したところでございます。

 現在、久木トンネルに続きます橋梁区間の一部用地の取得に時間を要しておりますことから、仮設工事用道路を設置し、その先の既に用地取得が完了している区間ののり面工事などを進めることとしております。

 また、庄川側の約2.0キロメートル区間につきましては、地籍調査が完了する見通しが立ちましたことから、平成29年度に事業化をし、昨年度までに庄川側約1.0キロメートル区間の道路詳細設計を完了させ、用地測量に着手したところでございます。

 今年度は、残る道路詳細設計を早期に完了させますとともに、庄川地内の出合橋から山中橋までの現道約3.0キロメートル区間を工事用道路として活用するため、路側工事などを進めることとしてございます。

 引き続き、県議会の皆様、県選出の国会議員の皆様を初め、関係の方々の御尽力により成立いたしました防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策による予算も積極的に活用し、地元関係者の協力を得ながら用地取得や工事を推進してまいりたいというふうに考えております。

○議長(岸本 健君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 一昨日、地元の皆様と県道白浜久木線を歩いてまいりました。現在、少し筋肉痛でございます。途中まで一緒に歩いた県道白浜久木線促進協議会副会長の方は、もう80歳を優に超え、現在86歳だそうです。いつもお会いすると、「生きているうちに、一度あの道を通ってみたい」とおっしゃっております。その声を受け、私はいつも「長生きしてください。もし足が悪くなったら、私がおぶってでもあの道を通ります。道路の完成まで亡くなることは許しません」と返答いたします。何とぞ、一日も早い完成を切にお願いいたします。

 次の質問に移ります。

 2017年3月3日の定例会に引き続き、学校トイレの洋式化についての私が行った一般質問に関するその後についてお聞きいたします。

 当時の県教育長からは、「学校は、学習の場としてはもとより、子供の生活の場としても快適な環境であるべきであると考えてございます。よりよい環境を目指し、学校施設の整備に努めているところでございます。従来、学校のトイレは和式が中心でありましたが、近年、生活様式の変化から各家庭での洋式化が進んでおり、県立学校においても、障害のある生徒等に対応した多目的トイレの設置を初め、学校のニーズに応じて県立学校のトイレの洋式化に取り組んでまいりましたが、現在のところ、洋式化率は約3割程度となってございます。今後も、大規模改修などの機会を捉え、計画的にトイレの洋式化を進め、県立学校全体の洋式化率を引き上げてまいります」と力強い御答弁をいただきました。

 トイレを初め、学生生活に資する環境を充実させることは、県立学校生徒の学力向上の一端を担うと考えますが、県内の公立学校におけるトイレ整備について、現状と今後の考え方についてお聞かせください。

○議長(岸本 健君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 公立小中学校、高等学校におけるトイレの洋式化率は、昨年度末で4割弱となっております。

 国におきましては、2020年度まで国土強靱化の予算枠が設けられており、災害時の避難所となる学校のトイレ整備が可能となっています。先般、各市町村に対して積極的に予算を活用するよう働きかけ、文部科学省に追加申請したところ予算配分をいただき、現在、各市町村において整備を進めているところでございます。

 その結果、本年度末には、県内の公立学校全体でトイレの洋式化率は約6割となる見込みであり、今後とも学校トイレの整備を進めてまいります。

○議長(岸本 健君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 次の質問に移ります。

 2018年6月18日、大阪府北部を震源とする最大震度6弱の地震が近畿地方を襲いました。大阪府高槻市では、小学校のプール沿いのブロック塀が倒れ、登校途中の小学生が下敷きになり亡くなるという痛ましい事故が起こりました。

 倒壊した壁は、もともとあった高さ1.9メートルの壁の上に、目隠し目的でブロックが8段、およそ1.6メートル積み上げられた部分であったため、建築基準法施行令により定められたブロック塀の高さの制限である2.2メートルをはるかに超えていた上に、高さ1.2メートル以上のブロック塀に設置が求められている控え壁もありませんでした。さらに、2015年11月に防災アドバイザーが壁の危険性を指摘していたにもかかわらず、高槻市教育委員会の職員2名が2016年2月に目視や打音による簡易検査を行い、問題なしと判断していたことが判明いたしました。高槻市長は、後日記者会見を開き、対応の不備について謝罪しておりました。

 高槻市の事故を受け、文部科学省は、全国の小学校、中学校設置者に対して、敷地内のブロック塀についての緊急点検を実施するように緊急の要請を行うことを決定し、国土交通省住宅局建築指導課は、一般建築物におけるブロック塀のチェックポイントを作成し、特定行政庁などに対してチェックポイントに基づいて安全点検を行うことを通知いたしました。当時、私も地元の住民の皆様、児童生徒の保護者の皆様からブロック塀の対策についてさまざまな御意見、情報を頂戴いたしました。

 昨年の県議会においてもブロック塀の緊急対策の補正予算が出されました。また、各市町村においてもブロック塀の緊急検査や改修が行われてきましたが、これまでの県内の公立学校におけるブロック塀の対策についてお聞かせください。

○議長(岸本 健君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 県内公立学校におけるブロック塀の対策についてでございます。

 昨年、県内全市町村の公立小中学校及び県立学校のブロック塀について、国土交通省が定めた外観に基づく点検を緊急に実施しました。その結果、公立の小中学校では総延長約1万9000メートルのうち約4000メートルを、県立学校では総延長約1万1000メートルのうち約1700メートルをそれぞれ危険と判断し、撤去または改修工事を済ませており、国土交通省の基準での対策は完了しております。

 しかし、文部科学省の基準では、ブロック塀の一部取り外し等による内部点検が求められております。公立の小中学校では約1000メートル、県立学校では約500メートルが内部点検未完了であるため、早急に対応してまいります。また、その箇所についても、危険であることが明らかになった場合には、可及的速やかに対応してまいります。

○議長(岸本 健君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 県内学校のトイレの洋式化、ブロック塀対策ともしっかり予算を確保していただき、早期問題解決をお願いいたします。

 次の質問に移ります。

 2016年2月定例会の私の一般質問において、教職員の政治的中立について「学校における政治的中立につきましては、教育基本法第14条2項に『法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治活動をしてはならない』と規定されており、それが基本となります。これまでも、政治的中立について、各学校に対して教職員の選挙運動の禁止等に関する通知等を行ってきました。さらに、今般の公職選挙法の改正を受け、県立学校長会や教頭会において、学校における政治的中立の確保について、重ねて指導を徹底したところでございます」と当時の県教育長が答弁されました。その後、御答弁のとおり、県内公立学校内で政治的中立が保たれているか否か、お答えください。

○議長(岸本 健君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 政治的中立性が保たれているかについてでございます。

 教職員一人一人の意識を高めることや、学校として毅然とした態度をとるために、研修や通知を機会あるごとに実施しており、政治的中立の確保については成果が上がっていると認識しております。

○議長(岸本 健君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 本年4月の統一地方選挙の告示直前に、特定の政党、特定の立候補予定者となるべく者のビラが、公立学校内である職員から別の職員に手渡されたというような情報が私の耳に入りました。私は、特定の学校名、職員名を公表し、その特定の学校や職員に対し、指導や処分を求めるものではございません。和歌山県教育委員会は「事あるごとに校長会や市町村の教育委員会に対し通知や指導を行っている」とかけ声、号令は力強いのですが、それが教員一人一人まで浸透していないのが現状です。

 私の以前の質問にもございましたとおり、校内人事のあり方、職員会議のあり方でも認識の差があったとはいえ、文部科学省の通知及び県教育委員会の指導が徹底されていなかった事実が判明しております。

 私は、県教育委員会及び県内公立学校を信じてはおりません。いつも疑念の目で県教育委員会及び学校、学校の構成員である教員を見ざるを得ません。信じたくても信じられないのが現状であります。犯人を捜してくれと言うつもりは毛頭ございません。文部科学省及び県教育委員会の政治的中立についての指導が、どこで切っても金太郎あめ状態になることが必要だと思いますが、私が指摘した事例は氷山の一角でないかと疑念も感じます。

 今後の学校の政治的中立の確保について、県教育長、お答えください。

○議長(岸本 健君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 今後の学校の政治的中立の確保についてでございますが、個人や学校を特定した指導や処分を求めるものではないとの御見解ですが、問題があると考えております。たとえ明確に法令等に抵触しなくとも、政治的中立に関する信頼性が揺らぐような言動や行為は、教育目的を達成する上において、また、高い倫理観が必要とされる教職員として、細心の注意を払わなければならないと考えております。

 県教育委員会といたしましては、政治的中立に関して疑念や不信を抱かれることがないよう、今後も厳格な指導を徹底し、的確な研修を実施してまいります。

○議長(岸本 健君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 1人の人間として、私は宮﨑泉という人を信じております。また、県教育長として、その手腕に期待する1人でもあります。「勝てば官軍」、何と品格のない言葉なのでしょう。その教職員は、自分が支持する立候補予定者を応援したい一心で、学校内にてビラを渡したのだと思います。勝つためには手段を選ばず、そんな人が和歌山県の学校教育現場で教壇に立ち教鞭をとっていることに、私は不安を覚えます。

 宮﨑教育長、何とぞ御答弁の実行をよろしくお願いいたします。

 次の質問に移ります。

 本年5月ごろ、県教育委員会から、県内の学校に通う児童生徒の保護者や教員に向け、「差別のない社会をめざして」という題で人権学習パンフレット(保護者用)が作成され、配布されました。現在、学校に通う児童生徒がいない私には知るよしもなかったのですが、地元のある保護者から、怒りの声とともにこのパンフレットが私のもとに届けられました。

 そのパンフレットの内容は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律、いわゆるヘイトスピーチ解消法についてのものでありました。差別は、いかなる理由があろうとも決して許されることではございません。ヘイトスピーチに関する問題の重要性を認識し、和歌山県議会においても2015年、ヘイトスピーチ対策について法整備を含む強化策を求める意見書が内閣総理大臣等に提出されています。その後、2016年6月3日にヘイトスピーチ解消法が施行されました。

 私は、そのヘイトスピーチに関するパンフレットの趣旨に異論を唱えることは一切ございません。ヘイトスピーチの対象は、主に在日韓国・朝鮮人及び帰化による日本国籍取得者に向けられたものであります。そのことから、在日韓国・朝鮮人の人々が日本に移り住んだ歴史的経緯等が、議場の皆様に配付したパンフレットの2ページ「日本と韓国・朝鮮との歴史」に記載されております。

 その前文は、「在日韓国・朝鮮人の人権に関する現状や歴史的経緯等を正しく理解し、差別や偏見をなくしていくことが大切です」と書かれております。「歴史的経緯等を正しく理解し」とあります。そして、「1910年韓国併合により、日本による植民地支配のもと、土地を失うなど、本国での生活が成り立たなくなった人々は、日本や中国へ移住を余儀なくされました」と書かれております。

 1910年、このパンフレットを作成された皆様、私を含めたこの議場におられる皆様は、間違いなくこの時代に生をうけてはおりません。それでありながら、これが県教育委員会として正しいと言われる根拠がどこにあるのか、お聞かせください。

○議長(岸本 健君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 本パンフレットは、ヘイトスピーチが不当な差別的言動であることを啓発するとともに、ヘイトスピーチについての理解を深める目的で作成をしております。

 法務省が実施した調査では、ヘイトスピーチの対象が在日韓国・朝鮮人に向けられたものが大多数を占めると指摘されており、不当な差別的言動をなくしていくためには、その背景や歴史的な経過について理解や認識を深めることが重要であります。

 そういった観点から、日本と韓国・朝鮮との歴史について、文部科学省の教科書検定に合格した複数の教科書の内容を踏まえ記載したところでございます。

○議長(岸本 健君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 次の質問に移ります。

 このパンフレットは、和歌山県教育委員会の皆様が作成したものです。パンフレットの裏面には「お問い合わせ」とあり、「和歌山県教育庁生涯学習局生涯学習課人権教育推進室」とあります。恐らくたくさんの職員の皆様がかかわり作成されたものだと思われます。また、教育委員会だけではなく、人権に関連する県庁内の部局もかかわり、多数の議論がなされたであろうと思われます。

 まず、どのような県庁内の部局が作成にかかわられたのか、お答えください。

○議長(岸本 健君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 本パンフレットの作成に当たっては、庁内の関係部局はもちろんのこと、各種団体や有識者等から幅広く意見を聞くとともに、当事者の声や経験などの情報も収集しましたが、歴史的経緯の部分については、検定教科書の記載内容に基づき教育委員会が作成をいたしました。

○議長(岸本 健君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 次に、その作成に当たり、議論の中で多数の職員がかかわったわけではございますが、最終的に記載の内容となった理由及び内容を承認したプロセスについてお答えください。

○議長(岸本 健君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 先ほども答弁しましたとおり、歴史的経緯の部分については、検定教科書の記載に基づき作成し、教育委員会事務局において承認したものでございます。

○議長(岸本 健君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 たしか、私の記憶が正しければ、私が受けた学校教育の際、このパンフレットに記載されています韓国併合の歴史的教育を受けたと、かすかに記憶しております。先ほどの御答弁にもございましたように、教科書検定を受けた歴史教科書を参考文献として、この記述を行ったと伺いました。

 私も何冊か教科書検定を受けた歴史教科書を取り寄せ、韓国併合に関する記載を読ませていただきましたが、教科書によってはかなりトーンの差が生じていると感じております。私が学校で教えられた韓国併合時の歴史教育から、その後月日が流れ、諸説がたくさん飛び出しております。

 この質問を行うに当たり、私は、韓国併合時の歴史について、歴史教科書のほか、関連する文献を数冊読ませていただきました。「日本の植民地支配のもと、土地を失うなど、本国での生活が成り立たなくなった人々は、日本や中国へ移住を余儀なくされました」とありますが、県教育委員会が考える植民地支配とはどのようなものか、お聞かせください。

○議長(岸本 健君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 教科書には「他国の力によって政治の主権が奪われ、一方的に支配される」という趣旨で記載されており、そのように考えております。

○議長(岸本 健君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 たしか韓国併合は、1910年「韓国併合ニ関スル条約」に基づいて大日本帝国が大韓帝国を併合したということであったと思われます。国際法的に見ても、両国合意のもと締結された何の問題もない併合であったと私は思っております。「土地を失うなど、本国での生活が成り立たなくなった人々は、日本や中国へ移住を余儀なくされました」と記載がございますが、なぜ土地を失い、本国での生活が成り立たなくなり、日本や中国へ移住を余儀なくされたのか、また、県教育委員会記載の「余儀なくされた」人以外に、当時の極東の覇者であった日本にみずから進んで移り住んだ人々がいなかったか否か、お聞かせください。

○議長(岸本 健君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 教科書には、「土地制度の近代化を目的として日本が行った土地調査事業では、所有権が明確でないとして朝鮮の農民が多く土地を失いました。こうした人々は、小作人になったり、日本や満州へ移住しなければならなくなりました」と記載されています。

 また、それ以外にもさまざまな理由や目的により他国に移り住んだ人がいたことが考えられます。

○議長(岸本 健君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 次に、「財産の持ち帰りが禁止された」と記載がございますが、どのような財産が持ち帰りを禁止されたのか、お聞かせください。

○議長(岸本 健君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 戦後、占領政策下において、日本人も認められなかったことと同様に、国外への現金等の持ち出しに制限があったことを承知しております。

○議長(岸本 健君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 次に、このパンフレットに記載されている文章を見ますと、1910年の韓国併合から1952年のサンフランシスコ講和条約発効により「日本は朝鮮の独立を承認し、朝鮮に関するすべての権利・権原・請求権を放棄する」とあり、朝鮮は独立することになりましたが、サンフランシスコ講和条約発効後、日本にみずからの意思で不法入国し、居住している韓国・朝鮮人の人々はいなかったのでしょうか、お答えください。

○議長(岸本 健君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 法務省のホームページの「本邦における不法残留者数について」によりますと、韓国からの不法残留者数は平成30年1月1日現在で1万2876人となっております。しかしながら、詳細についてはお答えする立場にはございません。

○議長(岸本 健君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 私は、先ほども申し上げたとおり、1910年の韓国併合時には、この世に生をうけておりません。しょせん、後日、文献や他人から聞いた話でしかございません。何が正しいのか、間違えてるのか、さっぱりわかりません。

 このパンフレットを作成した県教育委員会の皆様も同じことだと思います。幾ら検定を受けた歴史教科書を参考にしたとはいえ、諸説がたくさんあり、歴史を見る角度が多様化した現在、曖昧な歴史が記載されたパンフレットを多数の保護者に向け配布することは、行政機関である教育委員会として、慎重を期する必要があると思います。限られた文字数で歴史を記載するのは大変難しいことだったと思います。いっそこの2ページの記載がなかったほうがよかったと思っております。県教育委員会の言う「正しい歴史的経緯」なんてことは、当時に生をうけていない私たちに判断ができるはずがないと思います。

 そこで、諸説が飛び交う昨今の状況の中でありますので、このパンフレットに記載されている韓国併合時の歴史について、訂正を行うか、もしくはこのパンフレットの回収を行うお考えがあるか否か、お答えください。

○議長(岸本 健君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 繰り返しになりますが、本パンフレットはヘイトスピーチの解消を意図して作成したものであります。

 歴史的認識については、さまざまな意見があることは承知しております。

 しかしながら、本パンフレットは、ヘイトスピーチが不当な差別的言動であり、許されないものであるということの啓発とヘイトスピーチ解消に向けた人権教育の推進を目的としており、現時点では訂正や回収等は考えておりません。

○議長(岸本 健君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 パンフレットの訂正、回収は物理的に困難であると私も思っております。

 私は、この質問を行うに当たり、義務教育で使われている文部科学省の検定に合格した中学の歴史教科書を8冊入手し、韓国併合の歴史認識についての記載を読ませていただきました。

 パンフレットと同様の記載もあれば、繰り返しになりますが、記載の内容にトーンの差があると感じます。中には、植民地という記載のない教科書もありました。しかも、現在、日本の国内では、韓国併合を否定的に評価する見方と、併合が朝鮮半島の近代化に寄与したと肯定的に評価する見方が混在しております。

 その中でも、和歌山県教育委員会は、文部科学省の教科書検定に合格した複数の歴史教科書の記述を踏まえて作成したパンフレットの韓国併合時の歴史認識の正当性を御答弁いただきました。すごい自信だと思います。歴史認識についてはさまざまな意見があることを承知していながら、どうして偏った記載となったのでしょうか。

 私も以前から韓国併合の歴史認識について、教科書及び書籍をたくさん読んでまいりました。私なりの歴史認識は持っております。しかし、その歴史認識が正しいなんて言い切る自信を、少なくとも私は持ち合わせてはおりません。

 このパンフレットに記載されている内容の歴史認識を、私は決して否定するものではありません。そんな面もあったことでしょう。しかし、私のもとに怒りの声をお届けいただいた県民の皆様も多数おられます。韓国併合の歴史認識については、非常にナイーブな歴史だと私は思っております。また、このパンフレットにおいては、他の項目等については、その出展元が記載されております。慎重を期するべき2ページの記載には、一切出展元や参考文献の記載もありません。

 県教育委員会の中で余り議論も行わず、教科書に書いてあるからと安易な記載であったと推測されます。人権の観点から見ても、在日韓国・朝鮮人の方への理解を深める内容として理解が得られていないから、私のもとに怒りの声が届けられたのだと思います。曖昧な歴史を書くよりもっと大切なこと、それは、いかなる理由があっても、日本に移り住んだ在日韓国・朝鮮人特別永住者に対し、差別を行わないことを教育することが大切だと思います。

 以上で、私の一般質問を終わります。最後までおつき合いいただきましてありがとうございました。(拍手)

○議長(岸本 健君) 以上で、秋月史成君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 39番片桐章浩君

  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)

○片桐章浩君 おはようございます。

 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして、一般質問を行わさしていただきます。どうかよろしくお願い申し上げます。

 まず、第1問は、ふるさとへの愛着と誇り、これを感じるための質問として、和歌山県誕生150年について取り上げたいと思います。

 「徳川家入国400年記念特別展 徳川頼宣と紀伊徳川家の名宝」が和歌山県立博物館、和歌山市立博物館で同時開催されます。県と市の両博物館初めての協力開催はすばらしいことだと思います。

 これと同様に、ふるさとの偉人の顕彰事業も進めていくべきだと考えます。明治100周年、そして和歌山県100年を迎えた昭和46年、岡公園に陸奥宗光像を建立する際、民間の責任者が当時の大橋県知事、宇治田和歌山市長の両者に相談したところ、両人とも賛成し、和歌山市が永久保存すると太鼓判を押す形でふさわしい場所として提供されたのが岡公園でした。

 当時の大橋知事は「陸奥宗光先生がふるさとに再来しました。和歌山県にとって偉大な具象彫刻として、観光紀州の新名所となり、70年代の開け行く新しい道標となり、国威の昂揚嫌が上にも栄え行くものと信じて疑いを持ちません」、お祝いの言葉を述べておられます。発起人は大橋知事を初め、当時の和歌山県を代表する政治、財界、民間の皆さん方であり、その趣旨書に陸奥宗光伯は和歌山県にとって「恩人の様」と記されています。

 明治、そして昭和の時代に志を持ち、100年後の和歌山県をどんな県にしようと思いをはせた先人たちの志が想像できます。和歌山県発展のための県土づくり、教育による人材づくりなど、和歌山県誕生150年のときに、先人の志をかみしめるためにも、記念式典を開催すべきだと思います。

 このとき、和歌山県に貢献された方々の石碑が建てられ、郷里の文化、歴史が刻まれている岡公園を希望ある未来につなぐ場所として、最も陸奥宗光伯の像の立地にふさわしい場所として建立されていると思います。そして、その意味は、未来ある子供たちに陸奥先生のようなすばらしい方になってもらいたい、銅像となった先生には、遊び、楽しんでいる子供たちを見守っていただきたいという当時の陸奥伯を尊敬する和歌山県の皆さんの気持ちのあらわれが、この建立の実現につながったと思います。

 なぜ明治100年、和歌山県政100年に合わせてこの像が建てられたのかというと、それは、坂本龍馬、西郷隆盛たち幕末の志士たちが希望を持って描いた新国家を陸奥宗光伯が実現させたことを指標として、和歌山県政100年の記念、そして未来ある和歌山県を築いていこうと思い、和歌山県と県都である和歌山市が力を合わせて頑張ろうという意識を確かめ合う場所にしたかったからだと思います。

 令和3年に迎える県政150年の年には、新たな100年先の和歌山県の指針を打ち立てる意気込みで、和歌山県を発展させていく記念祝賀会を行うことが、50年前の過去から現在、そして未来へと歴史をつなぐ儀式、作法になると思います。

 しかし、当時、県都のシンボルという意味合いも込められていた岡公園も、そして銅像も、50年が経過した今は、その価値観が喪失されているように思います。

 和歌山県は、明治4年11月22日に誕生、それから150年を迎えようとしていますから、節目の年に向けた取り組みの検討も必要だと思います。令和3年まであと2年、お祝いの式典を企画してほしいと思います。和歌山県誕生年の直前になって慌てるのではなく、今から考えて行動する、実行することが必要ではないかと考えています。

 そこで、和歌山県誕生150年記念式典の開催についてお尋ねをさしていただきます。

 当時、県と和歌山市が合同で式典を行い、その後、近年ではこの場所に長屋門を移築、外務省から桜の接ぎ木をいただき植樹するなどしている場所であります。

 このときの経緯を陸奥宗光伯銅像建立趣旨書からその一部を引用いたします。「明治4年7月14日、廃藩置県が強行され、日本は統一国家となった士族による武力政治も終止符が打たれ、国会が開設された。この廃藩置県は陸奥の先駆の功で発したものでありました。欧米諸国と堂々と交渉が進められ、近代日本の曙が開け、陸奥宗光は伊藤内閣の外務大臣となり、日本外交史上の一大難局を乗り越えた才腕は当時カミソリ大臣と異名を轟かしたのでした」とあり、明治100年、和歌山県100年などをお祝いしております。

 前回は和歌山県で黒潮国体が開催された年、このときが和歌山県誕生100年をお祝いしているわけなんですが、令和3年、国民文化祭開催の年に和歌山県誕生150年という節目を迎えるので、同じようにお祝いすることを考えていってはいかがでしょうか。和歌山県誕生150年の式典開催について、知事の答弁をお願いいたします。

○議長(岸本 健君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。

 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 議員御質問のとおり、昭和46年には岡公園において、陸奥宗光の銅像の除幕式典が行われました。その際の大橋知事の御挨拶から想像するに、参加者の皆さんは郷土の偉人・陸奥宗光の銅像を前に、歴史を振り返り、未来の和歌山の繁栄に思いをはせたのではないかと思います。

 明治4年に和歌山県が誕生して以来、本県には陸奥宗光を初め多くの先人が築いてきた歴史や文化があり、敬意を持って感謝し、次代に引き継いでいくことが大切であると思います。

 2年後の令和3年には、和歌山県誕生150年を迎えます。折しもビッグイベントの国民文化祭、全国障害者芸術・文化祭、全国高等学校総合文化祭が開催されます。あわせて、ワールドマスターズゲームズもあります。

 そうした中で、県民が本県の歴史や文化を振り返り、これまで以上にふるさと和歌山を愛し、誇りを持って未来に向かって歩みを進めるきっかけとなるような記念行事の実施について、検討を進めてまいりたいと思います。

 本日は、片桐議員の御質問でますます熱意が触発されましたので、頑張ってやりたいと思います。

○議長(岸本 健君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 知事の答弁をいただきましたけども、令和3年、150年のときに国民文化祭を初めイベントがめじろ押し、恐らく知事はわかっていてこの年に名乗りを上げたというふうに聞いてもおりますが、ぜひ一緒に盛り上げていただきたいというふうに思います。

 それでは第2問、外交史料と近代日本のあゆみ展についてですが、これもふるさとへの愛着、誇りを持つための観点から質問をさしていただきたいと思います。

 先般、この概要が発表されました。この明治外交の重要な史料を展示する会が和歌山県で開催されることを素直に喜びたいと思います。和歌山県で明治外交史料の本物を展示しようという企画がついに実現するので、一人でも多くの県民の方に鑑賞されることを期待しています。特に未来を担う県内の中学生、高校生には鑑賞してもらいたいこと、そのために、より成果を深めるために、フロアレクチャーの実施も、さきの6月議会で答弁いただいたように、実現することになりました。

 内容は、フロアレクチャー1として、冨塚一彦外務省外交史料館外交公文書編纂官を講師として実施するもの、フロアレクチャー2として、県立文書館、県立近代美術館職員さんが実施するものがあります。

 そこで、中高生の皆さんには、このフロアレクチャーの実施日に鑑賞してもらうことをぜひお願いしたいと思います。フロアレクチャーの開催日は土曜、日曜日なので、来てもらえるための取り組みが必要だと思いますが、県内の中学生、高校生の鑑賞について、教育長の答弁をお願いします。

○議長(岸本 健君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 陸奥宗光外務大臣の功績に触れることができる外交史料展を見学することや、史料等について専門家から直接フロアレクチャーを受けることは、ふるさとの偉人、先人を通じて近現代の歴史を学ぶ貴重な機会であります。

 このような観点からも、中学生、高校生に対して積極的に参加するように勧めてまいります。

○議長(岸本 健君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 私も、外交史料館に行ってフロアレクチャーを事前に受けてきたんですけど、1時間程度、非常にわかりやすくて、一つの外交史料から深く突っ込んでいける、しかも平易な言葉でわかりやすくしていただけますんで、土曜、日曜ではありますけども、1回当たり、どうでしょう、20人、30人ぐらいの規模だと思います。ぜひこの機会をうまく利用していただきたいと思います。

 続きまして、この機会を生かしたさらなる取り組みについてであります。

 この鑑賞を絶好の機会と捉えて、来年度の修学旅行先として、今回鑑賞していただいた中学生に外務省を訪ねてもらう、いわゆる修学旅行ですが、これを提案したいと思います。本物の外交史料を鑑賞した後に外務省を訪ね、外務省の職員さんから説明を受けることは大きな刺激になり、将来我が国を担う人材を和歌山県から育成することにつながると思うからです。特に和歌山県に関しては、当県の中学生が修学旅行に行った際は、和歌山県出身の外務省の職員さん、時間があれば対応してくれる、このようになっておりますので、ぜひ連携していただけたらと思います。

 当県からことし外務省を訪問した中学生からの感想です。「職員さんの話を聞いている中で、国と国との関係には人と人の関係が深く大きくかかわっているんだなあと感じた」だとか「知らないところで、日本や世界の平和のために頑張ってくれている人がいるんだなあと思った。ふだん余り表に出ない人の働きの大きさに驚いた」、こういった感想があります。修学旅行の成果が得られる感想だと思います。

 そして、この展覧会から来年度につながる取り組みについてお聞かせいただきたいと思います。これも教育長の答弁をお願いいたします。

○議長(岸本 健君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 修学旅行としての外務省訪問についてですが、中学生が外務省の陸奥宗光の銅像を見たり、設置のいわれを聞いたりすることは、郷土に誇りを持つ上で貴重な学習の場となります。

 修学旅行における外務省訪問も含め、今後もさまざまな機会、活動を通じて、先人の功績に学ぶ機会を設けてまいります。

○議長(岸本 健君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 毎年、修学旅行で外務省を訪れてくれてるわけなんですけども、ことしの前半の実績は、諸般の事情があったかというふうには聞いてはございますが、少し少ないのかなあという気はしております。ただ、新しくかつらぎ町の中学校も行っていただいたりと、広がりは徐々に見せてると思いますので、ぜひ各市町村の教育委員会等々に呼びかけていただきまして、実現を図っていただきたいと思います。

 それでは3点目、子供たちへのメッセージについてであります。

 外交史料館からは、先ほど言いました冨塚一彦さんがフロアレクチャーに来てくれますし、シンポジウムには外交史料館館長も来ていただくことになりました。実施内容、講師ともすばらしいと思いますから、よくこの企画を実現してくれたと思います。外務省の当県に向けてのお力添えに感謝する次第です。

 この史料展は、巡回、持ち回りではなくて、強い意志を持って外務省外交史料館と県の職員さんが折衝してくれたことから実現できたと思っておりますし、強い意志、働きかけがなければ実現できていなかった企画だというふうに思っています。

 明治の外交史を中高生に学ぶ機会となるよう教育長に答弁をいただきましたが、次代を担う子供たちがこの史料展から学んでほしいことを、知事の言葉で伝えてほしいと思います。私も子供たちを案内するとき、知事の言葉を伝えたいと思います。よろしくお願いします。

○議長(岸本 健君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 自身の故郷である和歌山には誇るべきことがたくさんあるということを知れば、ふるさとへの愛着や誇りとともに、そのふるさとに育った自己に対して肯定的な気持ちを持つことにつながり、子供たちがたくましく育っていく第一歩となると私は思います。そのために郷土教育をきちんとしなきゃいけない。

 数十年前に私も学校で教育を受けたわけですが、全く何も教えてくれなかったという、そんな教育は二度と繰り返してはいかんということでございまして、そのために郷土教育をちゃんとやってくださいと。「わかやま何でも帳」という中学生ぐらいならちゃんと理解できる教科書をつくって、それで郷土教育を進めてきた次第でございます。

 今回開催する外交史料展は、まさにその郷土の大先輩である陸奥宗光が活躍した、日本外交史の中でもとても重要な時期の史料に触れられる機会なので、よく勉強してほしいというふうに思います。

 陸奥宗光は、明治政府が抱える多分最大の課題であった治外法権の撤廃や関税自主権の確立を実現し、外務大臣として日清戦争を我が国の利益を守るために成功裏に遂行し、その後起きた三国干渉については、彼我の戦力や国力を考えて「これは今やれない」ということで受け入れた。そういう非常に論理的にもすばらしい外交をやっている人だと思います。

 数々の難局に立ち向かった陸奥の外交での活躍を知ってもらって、それらの業績をたたえ、外務省内に唯一銅像が建立されていることの意味を受けとめて、そのような人物が自身と同じ和歌山出身であるということを実際の史料の中で子供たちに体感してほしいと思っております。

 そのほかにも、これは外交史料展でございますんで、日米修好通商条約など、陸奥が直接かかわっていない史料もたくさん展示されておりますので、日本がどのように国際舞台に乗り出していたのか、どんな外交を展開していたのか、史料を通じて先人たちの歩みに思いをはせながら、今の世界情勢にも目を向けて、未来を切り開く礎にしてほしいと考えております。

○議長(岸本 健君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 外交史料館へ私も何度か行ったんですけども、行ったとき、冨塚さんに「きのう和歌山県の職員さん、来てくれましたよ」とか、熱心に「これとこれを貸してほしい」とか言っていたことも聞いておりますし、館長さんとも話をしたら、館長さんも、和歌山の史料展というのは展示数も、過去そんなにたくさんやられてないんですけど、ほかの府県と比べると規模も大きい、そして、期間も通常よりもこの期間、これだけの長さを貸し出してくれることはあり得ない規模だということで、「ぜひ和歌山県の開催に期待している」という言葉を託していただきました。

 この折衝は県の職員さんがとても頑張ってくれていたということに感謝したいと思いますし、民間の陸奥宗光伯を尊敬する皆さんが、外務省、外交史料館に働きかけてくれたことも土台になっていたということも、あわせて紹介をしておきたいと思います。多くの職員さん、皆様方の熱心な取り組みがあってこそ実現したことをうれしく、皆さん方の企画力、実行力を誇りに思っているところであります。

 それでは第3問目、南紀白浜空港についてでありますが、ことし8月、建設委員会、そして会派の視察、2度南紀白浜空港を訪ねさしていただきましたので、そのときの岡田社長の話の報告、そして質問ということにさしていただきたいと思います。

 南紀白浜空港によりますと、白浜町を訪れる観光客は年間340万人、南紀白浜空港の利用客は年間16万人となっております。これはどれくらいの規模かといいますと、関西空港の利用者の2日分のお客さん、これが1年間の白浜空港の利用者であります。この県営の地方空港を民間事業者が本年度から運営を引き受けてくれているという状況になっております。

 また、同空港によりますと、白浜町の年間所得は約243万円、全国1741市町村の中で1535位になっていると聞いております。観光地のイメージと比較して、所得が低いようには感じております。

 その理由として、観光客の多くは日帰りであること、夏場の海水浴客に集中していることから、お金を使ってもらえる仕組みが余りできていないんではないだろうかということであります。観光客に滞在してもらうことでよりお金を使ってもらうこと、これが大きな課題で、拠点空港としてこの課題に挑戦しようとしてくれていることを心強く感じた次第です。

 同空港によりますと、和歌山県全体の観光客を見ても約85%が日帰りになっているようです。そこで、観光、ビジネスで人を呼び込むことは、地域間競争の中、人に来てもらえる仕組みをつくる必要があります。

 白浜町では、既に全国でも注目を浴びておりますワーケーションオフィスを設置しておりまして、首都圏から企業を呼び込んでおりますし、空港の利用促進にもつなげているところであります。ただ、今後利用客をふやすには制約があり、それらを解決していく必要があろうかと思います。

 まず、もう御存じのように、制約条件の一つ目は、滑走路が2000メートルということになります。大型機の発着ができないことから、外国からの便も誘致することが困難、外国からのお客さんに来てもらうためには、航空会社は採算性を言いますから、少ない搭乗では運航は難しくなります。最大で160人の搭乗者にとどまることから、どうしても国際便の発着というのは現状では難しいよと、こういうことでありました。

 ですから、方法としては、大規模な人数を一度に呼び込むことよりも、少しずつ少しずつ、和歌山県のPRであるとか白浜空港の利便性というのを訴えてお客さんをふやしていくこと、そのためには白浜町だけではなく、和歌山県全体の観光、ビジネス客を増加させることが必要だということであります。

 この南紀白浜空港を拠点として広域で考えると、串本町の民間ロケット射場の観光、それから和歌山県が誘致しようとしている統合型リゾート、ここと交通手段等々での連携を図ることが県全体に波及効果を与えることになります。

 例えば、串本町の民間ロケット射場に観光客が来られる際に、旧南紀白浜空港を駐車スペースとして活用し、空港、JRを接続するなどすれば、拠点として利用することもできます。

 また、和歌山市に統合型リゾートが誘致できれば、関西空港と南紀白浜空港をヘリで結ぶこと、あるいは海外から直接プライベートジェット機を受け入れることなどにより、拠点空港となり得ます。南紀白浜空港は南紀だけの拠点ではなく、和歌山県全体の観光振興やビジネスの拠点ともなり得るので、今後ともさらに和歌山県、市町村との連携を図り、利用方法を考えてほしいと思います。

 そこで1点目、空港型地方創生についてであります。

 南紀白浜空港は、全国の地方空港のあり方を提言するため、空港型地方創生のモデルケースになることを目指しているとお伺いしました。県の地方空港として、白浜町だけではなく熊野古道や民間ロケット射場、統合型リゾートと連携するなど、これからの和歌山県の観光の重要な拠点施設として位置づけられていくと思います。

 空港型地方創生の拠点としての南紀白浜空港の役割について、県土整備部長からお答えをお願いいたします。

○議長(岸本 健君) 県土整備部長髙松 諭君。

  〔髙松 諭君、登壇〕

○県土整備部長(髙松 諭君) 空港型地方創生の拠点としての南紀白浜空港の役割について御質問をいただきました。

 南紀白浜空港は、昭和43年の開港以来、本県唯一の空の玄関口といたしまして、首都圏から多くの観光客やビジネス客に御利用いただいており、昨年度の利用者数は16万1570人と過去最高を記録したところでございます。本年度も、利用者数は好調に推移しております。

 また、本年4月から空港を運営しております株式会社南紀白浜エアポートでは、空港を核として紀南地域全体に全国から人を呼び込む空港型地方創生を掲げ、空港と大阪、京都、東京や紀南地域を結ぶバス路線を新設するなど、空港周辺だけではなく紀南地域全体の地域活性化に取り組んでいるところでございます。

 南紀白浜空港は、紀南地域の地域活性化の拠点でございまして、さらには、現在誘致を進めております統合型リゾートを含む和歌山県全体の観光振興の拠点の一つとして、県内全域の活性化に重要な役割を果たすものと考えてございます。

 県といたしましても、株式会社南紀白浜エアポートや県内自治体、企業等と協働いたしまして、国際便も含めた定期便の充実に加え、チャーター便やビジネスジェットの誘致など、南紀白浜空港を生かした交流人口の増加による地方創生に取り組んでまいりたい、このように考えてございます。

○議長(岸本 健君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 答弁をいただきましたので、2問目に行きたいと思います。機材大型化への対応についてであります。

 ことし10月27日から大型機材の定期就航が決定しています。飛行機の座席数が増加し、今まで以上に白浜にお越しいただける方がふえることにもなります。このことは、首都圏からの企業進出がさらに進展することが期待できますし、羽田から白浜へのビジネス需要の安定化に資することになり、喜ばしいことだと思います。機材の大型化、この交渉の難しさというのは途中経過を聞いて承知していますから、この決定に至るまでの関係者の御努力に敬意を表するばかりです。

 この事業者の持つスピード感、県の信頼性が交わって、南紀白浜空港は空港型地方創生を実現するための力を蓄えようとしているところだと思います。

 反面、機材が大型化になれば、白浜から羽田行きの需要をつくるという必要性が生じたということにもなります。今後、南紀白浜空港は和歌山県にお客様を迎える拠点空港になるべき存在ですから、県としても事業者とともに白浜から羽田行きの需要を生み出す取り組みを強化すべきだと思います。

 今回決定した機材大型化の効果を最大限に生かすための取り組みについて、県土整備部長の答弁をお願いいたします。

○議長(岸本 健君) 県土整備部長。

  〔髙松 諭君、登壇〕

○県土整備部長(髙松 諭君) 機材の大型化に関する対応についての御質問をいただきました。

 先ほども申し上げましたとおり、昨年度に引き続き、本年度につきましても利用者数は好調でございまして、昨年度を上回るペースで推移してきており、羽田行きの最終便を中心に座席の確保が困難な状況が頻発いたしました。

 このような状況を受けまして、日本航空株式会社に対し、機材の大型化、増便の要望を行ってまいりましたところ、本年10月27日日曜日より、6便中4便について大型機材ボーイング737─800型機の定期就航が決定いたしました。

 機材の大型化に伴い座席数も増加することから、首都圏からの誘客や県内での積極的な空港利用に向けたPRなど、さらなる利用促進を図っていく必要があるものと考えており、県の関係部局により構成される南紀白浜空港利用促進プロジェクトチームを新たに設置しまして、利用促進に向けて取り組んでいるところでございます。

 特に和歌山から首都圏への需要をふやしていくことは非常に重要であるというふうに考えておりまして、紀南地域の自治体や企業の方々に南紀白浜空港を今以上に利用していただく必要があるというふうに考えております。

 このため、南紀白浜空港を積極的に利用、応援していただくことを目的とした南紀白浜空港サポーターズクラブ、これは仮称ではございますけれども、この設立に向けた準備を進めており、さらには、機材の大型化を記念したキャンペーンを初めとする各種施策の実施も予定しているところでございます。

 今後も、南紀白浜空港をさらに多くの方々に御利用いただけるよう、株式会社南紀白浜エアポート及び県内自治体、企業等と協力して、航空ネットワークの拡充や空港の利便性向上に向けたさまざまな取り組みを行ってまいりたいというふうに考えております。

○議長(岸本 健君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 それでは、この項目三つ目になります。災害に強い空港を目指すことについて取り上げたいと思います。

 空港型地方創生のモデルケースを考えるならば、日本全国、いつ震災など災害が発生するかもわからないということも考えておくことが大事なことだと思います。

 率先的に災害時に即時対応できる空港としての防災設備体制の完備、そして、特に災害時においても水資源の供給が断たれることのないシステムを構築しておく、つまり広域防災拠点の機能を持たせた命を守る優しい南紀白浜空港であってほしいと思います。

 癒やし、よみがえりの地にある空港ですから、神の道、熊野古道に相通ずる、癒やされる空港のイメージも必要だと思います。

 広域防災拠点となり得る災害に強い空港を目指すことについて、この点も県土整備部長の答弁をお願いいたします。

○議長(岸本 健君) 県土整備部長。

  〔髙松 諭君、登壇〕

○県土整備部長(髙松 諭君) 災害に強い空港を目指すことについて御質問をいただきました。

 南紀白浜空港は、本県で災害が発生した際、航空機による救助活動や傷病者の搬送の拠点となる広域防災拠点として位置づけられております。そのため、災害発生時には、広域搬送拠点臨時医療施設、いわゆるSCUが設置され、さらには航空機の駐機、給油等の拠点となるため、速やかにその機能を果たせるように備えておく必要があるというふうに認識しております。

 このため、ハード面では、空港施設の耐震対策といたしまして、滑走路の下にあります地下道トンネルの耐震工事を平成29年度より実施しており、令和2年度の完成を目指しているところでございます。このほかにも、地下排水トンネルや進入灯の橋梁の耐震対策などを順次実施する予定としております。

 ソフト面では、本年4月より南紀白浜空港を運営しております株式会社南紀白浜エアポートにおきまして、地域の産業、経済への影響を及ぼさないよう大規模災害発生後の事業継続計画、いわゆるBCPでございますけれども、これを策定し、被災後3時間での回転翼機の就航、1週間後の定期便の就航を可能とするなどの方針を盛り込んだ行動指針を定め、それに沿った形での訓練を行い、災害に強い空港を目指すべく取り組みを行っているところでございます。

 今後とも、株式会社南紀白浜エアポートを初め、さまざまな関係機関と連携を図りながら、災害に強い空港を目指してまいりたいというふうに考えております。

○議長(岸本 健君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 それでは、一般質問4項目めになります。メガソーラーの計画について質問をさしていただきたいと思います。

 9月に入ってから、地元にメガソーラーの計画がされているという、このメガソーラー事業者は旭メガソーラー和歌山西庄発電株式会社が建設を計画しているところの地元の皆様方ですが、不安の声を聞かしていただきました。主な意見として、次のようなものがあります。

 事業者に説明を求めても回答が来ないし、回答が来てもこちらの問いに的確に答えてくれていない、事業者の現地事務所がなく担当者に会うことができない、県外事業者なので本社に電話をしても「担当者がいないので対応できない」と答えられるばかりで、「それなら折り返しの電話をしてください」と依頼しても「それはできない」と言うばかりで、地元の対応を全くしてくれない、こういう事業者は信用できない、こういう御意見。

 調整池を当初の6カ所から7カ所に変更している。安全対策だと思いますが、変更の理由もわからないし、地元の不安に対応しての変更であれば、そもそも当初計画がずさんだということを露呈しているものではないだろうか。

 もともと大雨のときは山からの水の流れが激しいので、こんな場所にメガソーラーが建設されると住めない地域になっています。住宅地は下の部分になりますから、大雨対策など説明で明確にされていないこともあり、地元の不安は消えません。ここにメガソーラーができたら、雨の日は自宅には戻れません。それほど危険だと思っています。雨の日に一度現地を見に来てください。状況がわかると思いますので、状況を把握した上で条例を適用する云々していただけたらと思います。

 地元の皆さんからの主な不安の意見であります。

 そして、この中には知事の県政報告会に参加した人もいらっしゃいまして、知事が「地元の方々が1人でも不安に感じているのであれば、事業者に説明を求めるし、計画を進めることはしない」、このコメントをもらったことが安心材料になっていると話してくれました。

 行政手続としては、条例にのっとって審査を進めますが、地元の不安がある限り慎重に審査することや事業者の見解を求めること、そして、事業者の地元への対応の姿勢、問いに対する回答状況から、事業者の信頼性も十分勘案して審査を進めてほしいと思います。

 そこで、地元の皆さんの不安をどう反映させるのかという観点からであります。旭メガソーラー和歌山西庄発電株式会社が計画している地元の皆さんの意見を今伝えましたが、そのほかにも建設予定地の地元自治会の中には、反対署名や自治会の反対決議など、意思表示をしているところがあります。

 事業者から本申請が提出されると粛々と審査が進められることになりますが、地元の皆さんの不安が消えていない状況がある中、審査会の結果いかんにかかわらず、地元の皆さんが提出した反対署名や自治会での反対決議は、地元の意思として考慮し、最終判断してくれるものと思っています。

 これら事業計画に対する意見書が多数提出されてると思います。事業計画に対する不安、事業者への不信感からくる地元の皆さんの意思表示、これら意見書に込められた皆さんの思いをどう審査に反映させるお考えでしょうか。

 また、地元と捉えるべき複数の地元自治会が反対決議しているようです。自治会の反対決議は地元の意思表示のあらわれですから、審査会において考慮すべき要素だというふうに思います。環境生活部長の答弁をお願いいたします。

○議長(岸本 健君) 環境生活部長田中一寿君。

  〔田中一寿君、登壇〕

○環境生活部長(田中一寿君) 関係自治会や住民から出された意見については、和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例の規定に基づき、事業予定者に意見に対する見解を求めた上で、環境保全及び防災面の見地から、専門家から成る和歌山県太陽光発電事業調査審議会に意見を求め、それらを踏まえて認定の可否を判断することとしております。

 反対署名や反対決議につきましては、反対のもとになっている事業計画への不安や事業者に対する不信感として、住民等の意見に反映されるものと考えており、そうした意見を審議会において慎重に審議することとしております。

○議長(岸本 健君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 部長の答弁、わかりやすくいただきまして、6月議会では知事ともいろいろ言うたんですけど、例えば活断層であるとか大雨対策とか技術的なものは、地元はなかなか素人で専門家に太刀打ちできない。この意見書という形で県に委ねてるということで、それを反映さしていただき、不安を解消していただける、このような適用をしていただいてるというプロセスについては安心材料だというふうに思いますし、地元の方々が今行動していることが、しっかり県政の中に反映していただけるんだろうなあというふうに思った次第であります。

 そこで、審査過程のより丁寧な公開についてに移らしていただきます。

 県条例に基づいて、現在のところ、和歌山平井太陽光発電事業計画に関しては、事業者の見解、それから第1回目の審議会の議事録が公表されています。

 この県条例は、知事が言ったように、住民の意見は大事で、自分で実証できなくとも、住民の漠然とした不安が正しければ、それは認められないということになるというのが今回の制度ですから、意見書として提出された不安を具体的な質問に置きかえて審議会から事業者に問いかけてもらっている、意見書を提出していた方々にとって安心材料になっていると思います。

 ただ、審議会の議事録を読むだけでは、審議会での臨場感、空気といったものがわかりませんし、地元の方々からは「審議会の疑問に対する事業者からの回答がわからないので、どんな状況にあるのかもわからない」という声も聞くことがあります。

 現在、公表されているのは審議会で継続審議となっていますが、事業者からの回答を知らせるなど、より丁寧に経過を公表してほしいと思いますが、この点に関しても環境生活部長の答弁をお願いいたします。

○議長(岸本 健君) 環境生活部長。

  〔田中一寿君、登壇〕

○環境生活部長(田中一寿君) 和歌山平井太陽光発電事業計画に係る和歌山県太陽光発電事業調査審議会につきましては、第1回目を本年8月20日に、第2回目を29日に開催したところです。

 住民等の意見に対する事業予定者の見解及びそれらを審議した第1回審議会の意見の概要については、県ホームページで公開しております。

 第1回審議会の意見に対する事業予定者の見解につきましては、それを審議した第2回審議会の意見とあわせて公表することとしており、現在、審議会における発言内容等について委員に確認しているところであり、できるだけ早く公開いたします。

○議長(岸本 健君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 それでは、その3項目め、直川のメガソーラー計画についても触れさしていただきたいと思います。

 和歌山市直川で計画されているメガソーラーは、事業者であるTKMデベロップメント株式会社が環境アセスを進めていましたが、ことし8月9日、事業計画を断念したことを県に知らせてきました。

 これでメガソーラー計画が中断したのかと思っていたところ、広島県の事業者が事業を行うようにも聞いています。その事業者は規模を縮小して同地でメガソーラーを進めると聞いておりますが、実際はどのような状況になっているのでしょうか。環境生活部長にお尋ねいたします。

○議長(岸本 健君) 環境生活部長。

  〔田中一寿君、登壇〕

○環境生活部長(田中一寿君) 和歌山市直川で計画されていたメガソーラー計画については、事業主体であるTKMデベロップメント株式会社から本年8月9日付で和歌山県環境影響評価条例に基づく対象事業廃止通知書が県に提出されたところです。

 議員御質問のとおり、別の事業者が同じ土地で規模を縮小して事業を計画しているという情報は耳にしておりますが、事業者から事前の協議等はなく、詳細は把握しておりません。

○議長(岸本 健君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 それでは4項目め、事業者の姿勢についてであります。

 現在、和泉山脈でメガソーラーを計画している事業者に共通していることがあります。それは、地元自治会、地元の皆さんへの事業計画、安全性の説明が不十分、不親切だということです。説明会で地元の皆さんの疑問に答えていない、質問が出ているにもかかわらず、説明会を途中で打ち切るなどの事業者の姿勢は、地元の皆さんの不信感を招いています。

 調達価格を維持するための期限が押し迫った時期に早急に計画を進めようとしている余り、地元が不安に感じ説明を求めているにもかかわらず、説明会を開催したから事業を進めようとする事業者の姿勢はいかがなものかと思います。

 コンプライアンス遵守を掲げる企業はもちろんのこと、電力事業は社会的責任を伴う事業なので、地元同意を得ることが必要だと考え、話し合いを続けるのが事業者の姿勢だと思います。事業者の姿勢に地元の皆さんが不信感を持っていることから反対している、反対署名を集めたり研修会、勉強会を行ったりしているのです。

 この際、事業者の説明が不十分であることや、質問に対する回答が返ってこないなどの地元からの意見がありますから、これらの意見は審査の中で十分に協議をすべきだと思います。この点についても環境生活部長の答弁をお願いいたします。

○議長(岸本 健君) 環境生活部長。

  〔田中一寿君、登壇〕

○環境生活部長(田中一寿君) 太陽光発電事業の実施に当たり、事業者が地域住民に説明を行わないまま造成や設置工事を行い、住民とのトラブルが生じる事例があったことから、県太陽光条例第5条では、「説明会の開催その他の住民の意見を反映させるために必要な措置を講じる」ことを義務づけています。

 議員御指摘のように、説明会で事業計画について十分説明しない、あるいは地元の皆さんの疑問に真摯に答えていないなどの姿勢があるとすれば、地元の皆さんが事業者に不信感を抱くことは当然であり、事業者の事業遂行能力に疑問を持たざるを得ません。

 当然のことながら、そのような事業者の姿勢は結果として自治会や地域住民から出される意見に反映され、その意見に対して県から事業者に見解を求めることになります。さらに、事業者から県に提出された見解の内容が、住民意見に対し真摯に向き合ったものでなかったり、明確に根拠を示すものでない場合には、より厳しく慎重に審査することにしております。

○議長(岸本 健君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 部長からの答弁、ありがとうございます。本当に力強く思ってございますし、6月には知事から考え方、そして、実務的な今回の条例の適用の仕方について、地元とどう向き合うのかということについて、今部長からお答えいただきました。県のスタンスがかいま見える、読み取れるようだというふうに思っておりますので、ぜひお願いしたいと思います。

 最後に要望であります。

 地元から大勢の皆さんから計画に対する不安の声が今も届けられておりますし、署名に一軒一軒回ってる方々も今もいらっしゃいます。安全性への不安、事業者への不信感から、到底地元の皆さんの不安を払拭することは、このままではないだろうなあというふうに思いますから、審査会の結論に加えて、地元不安が解消されないでいる事実を、御存じだと思いますが、知事、当局の皆さんに理解をしていただき、審査結果を踏まえて判断する際に考慮していただくことを要望いたしまして、一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(岸本 健君) 以上で、片桐章浩君の質問が終了いたしました。

 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。

 この際、暫時休憩いたします。

  午前11時34分休憩

  午後1時0分再開

○副議長(森 礼子君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 19番岩田弘彦君

  〔岩田弘彦君、登壇〕(拍手)

○岩田弘彦君 皆さん、こんにちは。

 本日、昼一番で質問させていただきます。議長のお許しをいただきましたので、今回は大項目四つ、そして報告事項一つ、その方向で一問一答方式にて行わさしていただきます。

 まず、東京一極集中の是正についてであります。

 成熟した人口減少社会を迎え、首都圏に人、物、資金、情報、サービス、機能、娯楽が過度に集中することにより、首都圏以外は経済的に衰える地域が増加しております。いわゆる東京一極集中の弊害であります。

 特に平成以降は、企業の東京への本社機能集約の結果として、就職先は東京というケースが増加しております。国内において第2の規模の大都市圏であり、昭和のころにはほとんどが地元の企業に就職していた京阪神圏の大学卒業生でさえ、就職は首都圏というケースが2000年以降は増加しております。

 人口転入超過数の統計を見ると、関東地方の外側から首都圏への人口転入数が多い地域は、関西地方、東北地方などであります。これは、関西経済の低迷と東京一極集中とが反比例している証拠だと思います。

 また、東京は住宅事情が悪く、通勤を含めた勤務時間が長く、保育所不足など出産・育児に対する環境が極めて脆弱で、地方から出てきた人には家族の支援も当てにできず、産むことをためらう人が少なくありません。出生率の低さがあらわしていると思います。

 東京一極集中とは、地方を消滅させるだけでなく、集まった若者の出生率を下げ、日本全体の人口を減少させることでもあると思います。本県にも大きく影響していると思います。

 また、日本全体の人口における東京一極集中の度合いが、世界的に見ても顕著であります。国連では、一国内の経済や政治機能を過度に一都市に集中させることは、都市に住む人々、特に貧困層の基本的な生活水準を維持し、都市と地方の経済、社会、環境をよりよくする得策ではないとしています。しかし、地方消滅の危機が叫ばれながらも、若者の東京への集中については歓迎する見方が少なからずあります。

 人口増加・高度成長期に、若者を寄せ集めて成長してきており、日本経済の将来を考えれば、東京への一極集中は否定するわけにはいかないといった意見がなくならないからだと思います。

 大都市への人口集中が経済成長をもたらしたという説を説く人もいますが、世界各国の例を比較しても、主要都市の一極集中は経済的に有利でもないし、その証拠もありません。逆に、アメリカやドイツのように、大都市集中が顕著とは言えない国のほうが、中央集権型のフランスやイギリスよりも経済的に好調であると言えるんではないでしょうか。

 問題は、今後もこうした旧態依然の延長線上の成長モデルが成り立つのですかということだと思います。残念ながら、成熟した人口減少社会はそれを許さないと私は思います。

 ここで、世界に目を向けてみますと、首都一極集中による弊害を防ぐようになっている国がかなりあります。その形には、政治経済分離型、機能分散型などがあるようであります。アメリカ合衆国の中心地を見ると、政治がワシントンDC、経済がニューヨーク市となっております。さらに、ニューヨーク州の州政府はニューヨーク市ではありません。

 また、日本と同じ程度の国土面積であるドイツは、連邦政府の全ての首都機能をベルリンに集約するのではなく、連邦政府の各省庁について母体の配置をベルリンとボンに振り分け、その上で各省庁の内部部局を、それぞれの性格によってベルリンに置くものとボンに置くものに分けるという方法が採用されています。

 中国の首都は北京市、最大の経済都市は上海市で、省単位で総生産が最も多いのは広東省であります。これが代表的な事例であります。

 そこで、東京一極集中を前提とする取り組みや、旧態依然の延長線上の取り組みではなくて、政治経済分離型、機能分散型などのように国家戦略的な取り組みが必要と考えますが、知事の御所見をお伺いします。

○副議長(森 礼子君) ただいまの岩田弘彦君の質問に対する答弁を求めます。

 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 東京一極集中の是正には二つの観点がありまして、一つは多極分散を進めること、すなわち東京対地方の問題であります。もう一つは東京対関西ということであります。

 まず、前者についてでありますが、今までの日本は、地方の活力を東京に注ぎ込むことによって発展してきたと思います。しかし、過度な集中によって地方の活力が失われ、地方が東京に活力も注ぎ込めないぐらい疲弊してしまったら、日本全体としても困るし、もちろん地方にとっても大問題でございます。

 さらに、過密な東京にこれ以上人と資源を集中させたら、効率も悪くなるし、混雑や少子化といったその他不都合もいっぱい出てまいりまして、これ以上集中を高めても、そんなによいことは出てこない、むしろ自然災害等のリスクに対する脆弱性を高めるほか、生活コスト増大による居住環境悪化と出生率低下を招くなどの弊害も出てくるので、多極分散型の構造にしていかないといけないということだと思います。

 もう一つは、東京と関西あるいは大阪という観点からすると、昔と比べて圧倒的に関西の負け、東京の勝ちになってしまっており、これを機能代替性を有する双極構造に変えていくということが必要だと思います。例えば、東京で災害が起こったら関西、関西で起こったら東京というような構造になっていたほうがはるかにいいわけであります。

 次に、東京一極集中の原因は二つあると思っております。その一つ目は、人々の心の持ち方の問題であります。例えば、全ての企業が東京でなければ仕事が効率的にできないというふうに思うことは問題があるのではないかと思います。議員御指摘のように、世界的に見てこれは特異な構造であって、日本の経営者の未熟と能力・識見の不足を物語っているのではないかと思います。

 実際、地方でも十分に仕事ができると思う企業が出てきており、我々はその流れに対してうまく手を挙げて、IT企業の人たちに白浜に来てもらうことや地方への移住を促進したり、企業誘致などあらゆる施策をセットで進めていかなければならないと考えております。

 また、関西について言いますと、東京に本社機能を移転させる企業が随分たくさんありました。しかし、今や関空があり、通信が発達している状況においては、関西企業の誇りを持って、関西から世界を狙うような企業をもっと出して、これを褒めたたえなきゃいかんというふうに思うわけであります。例えば、京都のハイテク企業群とか和歌山の島精機などは、こちらのほうがはるかに世界的に見てグローバルスタンダードにかなっているというふうに考えます。

 二つ目の問題は、国は東京一極集中の是正を掲げながら、むしろ一極集中を支えてきた面もあるのではないかと私などは思っております。例えば、インフラ投資を考えると、東京と大阪との関係は圧倒的に違うわけであります。これは、新幹線のでき上がり、計画はほとんどイーブンなんですけど、でき上がりを見ると物すごくよくわかるわけであります。公費を使って投資をする先を見ても、いまだに東京しか念頭にないような中央政府じゃいかんということではないかと思います。

 東京に対しては、相変わらずさまざまな国家的な投資を続けており、公共投資のあり方なども含めて変えていく必要があるのではないでしょうか。

 いずれにしても我々は、これからの和歌山のために誇りを持って、IRとか宇宙産業とかITとか、インパクトのある新たな産業を興し発展させることで、本県経済の成長に大きく寄与するとともに、関西圏の経済機能を高めるためにも一生懸命やっていかないといかんと考えております。

○副議長(森 礼子君) 岩田弘彦君。

  〔岩田弘彦君、登壇〕

○岩田弘彦君 知事、的確な答弁ありがとうございます。多分、私、関西広域の議会にも皆さんに選んでいただいて出させていただいてるんですが、周りの和歌山県に対する印象が、国の重要なとこに幹事長2人いてるし、国に向かってやっぱり地方の思いを一番和歌山県が伝えてくれるん違うかなって何か雰囲気を感じるんです。それは知事の実績もあって、知事の能力もあって感じることでございますので、どうか東京一極集中を是正していただいて、地方が活性化するように御期待申し上げておりますんで、よろしくお願いします。

 続いて、2番に行かせていただきます。

 地方創生の推進についてであります。

 我が国の地方創生については、2014年にまち・ひと・しごと創生本部を立ち上げて推進してきております。地方創生に向けての取り組みを進めてはいますが、特に地方への──さっきおっしゃってましたが──企業の本社機能移転などは狙いどおりの結果につながっていない、そのように思います。これは、首都圏と地方の格差が予想以上に大きいからだと考えます。首都圏と地方とでは、スタートラインに既に大きな格差があり、市場原理を考えれば当然首都圏へ行くという形になっていると思います。

 しかし、地方に頑張れるチャンスをつくるように修正するのも政治だと、私は思います。例えば、地方への本社機能移転を加速化させるドラスチックな地方拠点化税制をつくるぐらいの、今以上に地方にチャンスやインセンティブのある政策が必要と思います。

 また、本県では現在、統合型リゾート(IR)に与えられた条件のもと、圧倒的に大都市が有利な状況にある中でも、地域の魅力を最大限に生かし、創意工夫をもって民間投資を呼び込む、正々堂々と取り組んでおります。当然、日本が国際競争に勝ち抜く経済波及効果が重要でありますが、しかし、選定されるのは1カ所ではないはずです。もっと地方創生の視点も考えていただきたいものであります。

 そこで、今年度は第1期まち・ひと・しごと創生総合戦略の最終年度になります。大きな節目と思いますので、知事が平成30年度政府提案の中で、「真の地方創生を実現するために国が考えるべきこと」に示されている、地方にお金が回るように全体の税収構造を変える、また、地方を発展できる条件整備として地方に必要なインフラを供給する、また、高齢化、過疎化が進み、住民1人当たりの行政コストが高くなる地域に対する配慮が必要である、また、国が行う投資は地方へなどのすばらしい観点も含め、国の第1期まち・ひと・しごと創生総合戦略に対する総括と、和歌山県として今後どういったことが必要か、知事にお伺いします。

○副議長(森 礼子君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 真の地方創生を実現するためには、東京にさまざまな国家的な公共投資を続けている問題など、根本的に日本の構造を変えないといけないというところもあると思います。

 そういう意味で、地方創生と言ってる割にはそういうことに気がつかないで、地方にはお金を用意したので、一生懸命自分で考えて、みずから努力、工夫をしないといけないよという発言しかできない国政関係者がちょっといまいちだなあという感じもあるわけであります。

 ただ、国が地方創生のかけ声のもと、まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定して地方を助けようとしてくれているという点はもちろんプラスの評価ができると思います。その結果、例えば政府関係機関の地方移転において、本県では統計局の移転を提案した結果、国の統計データ利活用センターが和歌山市内に設置され、これを生かしてデータ利活用の推進に取り組むことができるようになってるわけであります。

 また、何でも使える地方創生関係交付金をかつていただきましたので、これを使って県全域で思い切って県費でWi-Fiを整備してインバウンドに対応いたしましたり、工業技術センター等への先端設備を一気に導入して産業振興を進めるなど、本県が活性化する条件整備の後押しとして使わしてもらったというふうに考えております。

 また、余りにもおくれていた高速道路の整備をどんどん進めてくれたのも、こういう地方創生の旗印があるからこそというふうにも言えるかと思います。せっかくでき上がりまであと数年というところにあった高速道路についての予算を全部取り上げられてしまって、また、せっかく技術革新で産業興しをというところにありました国の地方技術開発予算を全部なくされてしまったころのことを思うと、雲泥の差でございます。

 県としては、地方が発展できる条件整備として、さらに紀伊半島一周高速道路を早く完成させるとともに、さらに進んで四国新幹線を含む紀淡海峡ルートの実現など、地方に必要なインフラを供給するよう、国に対して強く働きかけを行うとともに、地方創生の推進に向けて国の動向、どういうことをいろいろ手を差し伸べてくれるかということを常に把握して、その施策を有効に我々のために活用していくということが大事だというふうに思っております。

○副議長(森 礼子君) 岩田弘彦君。

  〔岩田弘彦君、登壇〕

○岩田弘彦君 毎年毎年、国への提案・要望とかも積極的にしていただいてると思うんですが、やっぱり知事の長年の経験と知事の提言能力、そして将来に向けての仕掛けというのを私ずっと一緒に、知事の時代に県会議員もさしていただいて、すごくすばらしいところがあると思いますので、どうか国に、地方創生の目線を忘れないように常に提言していただきまして、それが結果、和歌山の発展につながるということで御期待申し上げますので、どうかよろしくお願いいたします。

 続いて3番、第5世代移動通信システム(5G)についてであります。

 第5世代移動通信システム(5G)は、ソサエティ5.0時代に必須となる通信インフラであります。5Gは、現在の移動通信システムよりも100倍速い通信サービスを提供する超高速、そして通信ネットワークのタイムラグを極めて小さく抑える超低遅延、同時に接続できる端末を飛躍的にふやす多数同時接続などを特徴としております。パソコンや携帯電話、スマートフォンなどモバイル端末までで閉じていた情報ネットワークを、家庭内の家電やスマートメーター、自動車にまで広げ、さまざまな情報を統合し、あるいは人工知能などを用いることで、交通管理や医療格差の解消、効率のよいエネルギー管理など大きく期待されております。

 また、そうしたシステムを実現するための法整備や新たな政策、テクノロジー活用を模索する動きなども始まっているとお聞きしております。全国一円の情報通信網が整備されるとか、あるいは地域のニーズ等に応じた多様な主体が柔軟に利用可能となるローカル5G制度の整備なども掲げられていると聞いております。

 本県がいち早く5Gを整備できれば、先行者メリットが本県の発展に大きく貢献すると考えます。その実現に向け、どのように取り組まれるのか、知事にお伺いします。

○副議長(森 礼子君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) ドコモ等の全国キャリアが整備する全国展開の5Gについては、今後の社会の新たな情報通信基盤になるものと考えております。

 しかし、かつて高速道路がそうであったように、東京から先に整備が進められると、東京と地方の経済格差がますます開いてしまうという可能性を危惧しております。

 このような中、5Gに関する総務省の実証試験は地方でも行われております。とりわけ本県では、遠隔医療の分野において、5Gの特徴である超高速、大容量、超低遅延の有効性の検証にいち早く取り組んでおり、平成29年度からNTTドコモと共同で実証実験を行っているところでございます。

 総務省は、このようにこの点によく心を砕いてくださっておって、特に石田前大臣が大臣就任前からこのことを主張しておられて、5Gの地方から開始というのをこのような形で、試験でございますが実行していただいたということは高く評価すべきだというふうに考えております。

 今後、キャリア、すなわち通信業者によって商業ベースで5Gの整備が進められることになるわけでありますが、今のところ聞き及んでいるところによれば、2年以内に全国で普及させないと免許をあげないぞというふうに総務省は言っておられるようです。

 しかし、それも先に東京からやってもええのかという気配が消えておりませんで、東京は最後にくらいの政策でやってもらいたいなあというふうに思う次第でございます。少なくとも、最低限、東京と地方で同時に利用が開始されるというふうにお願いしたいなあというふうに思っております。

 もう一つの、今度はローカルの5Gでございます。これは全国キャリア以外の方が国から免許を取得して、自分の建物または土地の中で5Gをみずから整備できる、そういう仕組みであります。

 現在、国において年内の法制度化に向けた検討が進められており、詳細が決まっておりませんけれども、国に対して導入に前向きな企業を支援する制度の創設を働きかけるとともに、やる気のある県内企業が有効に活用できるよう、それらの周知を図ってまいらなきゃいけないと考えております。

 実は、日本は情報化の初期の段階でITを使って生産性を格段に上げたという、そのときは優等生であったわけであります。日本もヨーロッパも職人のすご腕の進んだところであります。日本はミニコンを使って、このすご腕を標準化して、どこでも誰でも最高水準に使えるようにして生産性を上げたというところがあります。

 一方、ヨーロッパはマイスターとITがお互いに反目しておって、ここに日本とヨーロッパのITの使い方、あるいはそれに対する、それの影響としての生産性の差、経済力の発展の差が生じたんじゃないかというふうに、私も実はあのとき担当しておったんですが、ずっと思っておりました。

 その後、日本もちょっといまいちというか、それほど優等生ではなくなっておりますが、もう一度、それを5GとかAIとかIoTとか、そういうものを使って再現するチャンスが今ここに来ておるというふうに私は思っております。

 県としては、これらの取り組みを通じて、5Gの県内整備を促進してまいりたいと考えております。

○副議長(森 礼子君) 岩田弘彦君。

  〔岩田弘彦君、登壇〕

○岩田弘彦君 この5Gにつきましては、知事おっしゃってたとおり、石田衆議院議員が常におっしゃってて、私やっぱり、ここでも東京一極集中が気になったのは、何でもそうですけど、東京とか大都会から整備していくと、これどっちかいうと都会と田舎の差を埋めるのにすごく活躍する仕組みやと思いますので、逆に思いっきり、県会議員やからもう和歌山県から一番にしてと言いたいところですが、そんなわがままも言えませんので、知事が今おっしゃっていただいた、最低限でも東京と地方が差のないように、最低限でも同時、少なくとも地方のほうが有利になるようになってもらえたら、ちょっとは地方へのインセンティブになるかなという気がしますので、その辺はよろしくお願いいたします。

 次に、大項目4番、大阪・関西万博を起爆剤とする和歌山県の活性化についてに入ります。

 2025年5月3日から11月3日の6カ月間、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに大阪・関西万博が開催されます。さらに、大阪・関西万博が開催される2025年までには、この秋のラグビーワールドカップ、来年の東京オリンピック・パラリンピック、2021年のワールドマスターズゲームズ2021関西と、国際的なイベントが続くことから、大阪・関西万博が開催されるころには、世界中の人々が日本に、特に関西に大きく注目することになると思います。

 また、本万博は新しい価値観や社会・経済システムを創造する未来社会の実験場と位置づけられております。この万博を契機に、新たな試みにチャレンジする企業あるいは人々が関西に次々と集うということになりますと、一つには、さまざまな企業のビジネスチャンスが拡大することが見込まれますし、国内外から投資の拡大あるいは新たなイノベーションの創造にもつながると思います。

 そういう意味で、関西経済への非常に大きなインパクトが見込めるということだと思います。

 1970年に開催されました前回の大阪万博とは、全くと言っていいほど時代背景が異なるので、比較するのは難しいと思いますが、特に私も小学生でしたので。しかし、思うことがありまして、関西国際空港、高速道路ネットワーク、府県間道路網、世界遺産、ジオパーク、ロケット発射場、産業振興企業立地戦略など、ここ数年の本県の取り組みは、以前の大阪万博のころよりも本県にチャンスを生かす力は増大していると私は思います。この万博のインパクトを一過性のものとせず、持続的な和歌山県の活性化につなげることが非常に重要であると考えます。

 本年5月、大阪・関西万博具体化検討会ワーキングメンバーの意見交換会では、各府県市から、関西に集積するライフサイエンス分野やバイオメディカル分野の最先端技術に加え、AI、ロボット、自動運転、環境に優しい技術等々もコンテンツとして取り上げられるべきとの意見が述べられたとお聞きしております。

 万博を起爆剤に、県内産業振興・観光振興とともに、これらの新技術が先進的産業として和歌山県に根づき、世界をリードする企業が拠点化することで、さらに新しい産業、サービスが生み出される、こういった好循環が和歌山県の持続的な成長を支えると思います。

 また、関西広域連合パビリオンやそれぞれの地域にサテライト会場をつくり、万博とつなぐなどの議論がされているともお聞きしております。

 そこで、本県は、万博を起爆剤として、今後どのように取り組もうとしているのか、知事にお伺いします。

○副議長(森 礼子君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 2025年大阪・関西万博は、世界的な課題解決に向け、先端技術等の世界の英知を集め、未来社会を共創することを目指しており、日本全体にプラスの効果を及ぼし、それは和歌山にも及ぶと考えます。

 その効果を最大限本県に取り込むことが、本県の活性化にとって重要でございます。このため、まず第一に約2800万人と予想されている来場者に、いかに和歌山県に訪れてもらうかという仕掛けづくりや、新たなイノベーション等により産業の育成を図る取り組みが肝要となります。

 まず、訪れてもらうというところでございますが、開催前に関しましては、万博には外国人を含む多くの観光客が訪れることから、これを絶好の機会と捉え、本県への誘客に積極的に取り組んでまいります。具体的には、国内外の旅行会社に対して、世界遺産「高野山・熊野古道」や自然、温泉、文化、食など和歌山県の豊富な観光資源をPRし、県内宿泊を含む周遊ツアーの商品化を働きかけていこうと考えております。万博にいらっしゃったら、その後は和歌山へと、あるいは逆でも結構でございますが、そういうことであります。

 次に、開催期間中には関しては、来場された方に対しては会場内のパビリオンで、本県の圧倒的な自然、歴史、文化と最先端技術を組み合わせたバーチャルリアリティー等を活用した本県の魅力を発信して、実際に本県を訪れてみたくなるような仕掛けを設けていきたいと考えております。あわせて、会場内でプレミア和歌山を初め県の特産品などを大いにPRしていきたいと考えております。すなわち、来てしまわれた人にも、やっぱり思いついて和歌山に来てくださいと、こういうことであります。

 また、来場者が限られた時間内で快適に旅行を満喫してもらうというためには、すなわち、万博に来られた人が和歌山に来られるということになったときでも、快適にやってもらわないといけませんから、万博会場を起点とする広域的な観光周遊ルートの整備が必要となってまいります。

 このような中、本県への誘客をより一層図るために、紀伊半島一周高速道路等を万博までに完成していただくように国に働きかけているところでございまして、これは関西広域連合でも、現在、事業化がもう既に決定されてるものについては、関西の中のプロジェクトは万博までに完成させてもらうようにみんなで運動しようよというようなことを、今働きかけているところでございます。

 さらに、万博では先端技術等の世界の英知が結集し、新たなアイデアが次々と発信されると思います。そのため、県職員はもとより、次代を担う若者、企業家、そういう方に多くの県民が万博会場に行って、それらの英知に触れて学んでもらって、その学んでもらったことを礎に未来社会を創造するような、そういう産業とか社会のあり方とか、そういうことをあすの和歌山づくりに生かしてもらえるように取り組んでいきたい、そんなふうに考えております。

○副議長(森 礼子君) 岩田弘彦君。

  〔岩田弘彦君、登壇〕

○岩田弘彦君 2025年ですので、まだ大分先のようで、でも議論は始まっておりますので。ただ、私もこれ質問を考えるに当たっていろいろ思ったんですが、本当に今まで何年も何年もかかって和歌山県が積み上げてきた、関空であるとか高速道路ネットワークであるとか、それは前回のときには全くなかった、世界遺産もなかった、ロケットもなかった、そんな中で来てますので、これ50数年に1回のチャンスと言われてますんで、そのチャンスを和歌山県に取り込む力というのは、僕は自分たち思ってる以上に和歌山県には備わってきているん違うかなというのがすごくありますので、ちょっとでも、一つでも思い切ったこと、また今後も考えていってくださると思いますが、その辺、仕掛けていったら僕はええもんになるん違うかなと。それだけ和歌山に能力できてたん違うかなと、僕も今3期目やらしてもうてますが、市会議員から上がっていったらそない感じましたので、どんどん、どんどんいろんな方法で、これは万博には悪いんですけど、僕、県会議員ですんで、和歌山県がようなったらええんで、そっち向いて力強く引っ張ってくれますようにお願いを申し上げまして、次の報告にいかしていただきます。

 次、第5番、これは報告でございます。これは関西広域連合のほうでちょっと取り上げさせていただいたんで、皆さんに選んで送ってもらいましたので、議場で報告さしていただいたほうがいいかなということで報告さしていただきます。

 6月当議会で串本のロケット発射場の関連のことが地元の県議会議員さんから取り上げられまして、どちらも熱のこもった議論が交わされて、その中でロケットといえば和歌山・串本とまず言ってもらうことが大事というのと、宇宙関連産業のビジネスチャンスは和歌山やでというのを、まず最初に皆さんにPRし、認知してもらうというのが非常に大事かなと思いましたので、関西広域連合議会の執行側は仁坂知事が副連合長ですので、執行側の人は知ってると思うんですが、12府県市のほうから、和歌山県からやったら4人の議員さんが出てるんで、議員さんの口コミ、波及力というのは結構あるんです。逆に言うと、口コミ、波及力がなかったら当選できませんので。その39人の12府県市の皆さんに、まずロケットといえば和歌山やで、串本やでというのをわかってもらう、認知してもらうこと、もう1点はさっきも言わしてもうたけど、宇宙関連産業のビジネスチャンスは和歌山にあるんやでということで、答弁されるのが大阪でしたので、大阪は前に中小企業が人工衛星つくって──「まいど1号」でしたかね──飛ばしたということもありましたんで、そこが答弁すると意識が残るであろうということで質問させていただきました。

 一応、答弁のほう、読ませていただきます。

 「国内の宇宙産業につきましては、従来、官需主導で展開されてまいりましたけれども、宇宙活動法などの法整備が行われて以降、ベンチャー企業ですとか新たなプレーヤーが参入いたしまして、ロケットの打ち上げ、あるいは商業衛星の運用などにおきまして、民間企業が主体となった多様なビジネス展開によりまして、さらなる市場創出が期待される成長分野の一つとなっております。今回、御紹介ございました和歌山県によります国内初の民間企業によるロケット射場の誘致というインフラ整備を契機に、関西の地に宇宙業界にチャレンジする企業などが集うことになりましたら、関西にとって新たなイノベーションの創出、あるいはビジネス拡大のチャンスになり得ると考えております。このため、関西広域連合といたしましては、地元の取り組みなどとも十分連携しながら、企業への情報発信でございますとか、ビジネスチャンス、ビジネスマッチングなど、機を捉えて取り組んでまいりたい」という、一応答弁をいただいてきております。

 ですので、私としましたら、まずはこれ知事もおっしゃってましたが、ロケットといえば和歌山・串本やと、宇宙関連産業のビジネスチャンスは和歌山やと、これをまず浸透さすということを、今後も私も口コミで広げていきたいと思いますので、どうかこの議会の中におられる皆さんも、それを大きく口に出していただくと、結果として和歌山県の発展につながるんではないかなと、微力ではございますが、そういう取り組みをさしていただいてまいりましたので、ここに報告さしていただきます。

 以上をもちまして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○副議長(森 礼子君) 以上で、岩田弘彦君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 35番林 隆一君

  〔林 隆一君、登壇〕(拍手)

○林 隆一君 皆様、こんにちは。日本維新の会の林隆一でございます。よろしくお願いいたします。

 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い一般質問をさせていただきます。

 まず初めに、県職員の勤務時間中の喫煙についてでございます。

 本年7月1日に改正健康増進法の一部が施行され、望まない受動喫煙の防止を図るため、学校や病院、行政機関、工場、飲食店など多数の人が利用する施設等について、その類型、場所ごとに、一定の場所を除き喫煙を禁止するとともに、施設の管理権限者及び管理者が構ずべき措置等について定められました。

 これにより、県庁など行政機関は第1種施設に分類され、特定屋外喫煙場所以外の敷地内での喫煙は禁止となりました。言いかえれば、敷地内であっても、この特定屋外喫煙場所ではたばこを吸うことは可能ですが、特定屋外喫煙場所を設置するためには、受動喫煙防止のために必要な措置として定められた厳しい要件を満たす必要がございます。

 その要件の一つとして、特定屋外喫煙場所を設置する場所には、施設を利用する人が通常立ち入らない場所、つまり喫煙のために立ち入る場合以外には通常利用することのない場所としなければならないとされております。

 具体的には、県庁ではこれまで本館、北別館、東別館、南別館に設置されていた喫煙場所は、特定屋外喫煙場所の設置要件を満たさないため、そこでは喫煙はできなくなりました。7月1日以降は、設置要件を満たす場所として本館と東別館の屋上に新たに特定屋外喫煙場所を設置し、そこ以外の県庁敷地内での喫煙は禁止となったところでございます。

 なお、県庁敷地内でも2種施設に分類された施設は、今後対応が検討されていることとなっております。

 さて、今回私が問いたいのは、勤務時間中に執務室を離れて特定屋外喫煙場所、以後簡単に喫煙場所と言いますが、喫煙場所までたばこを吸いに行くことについての見解でございます。

 ニュースでも話題になりましたが、大阪府の吉村知事は、勤務時間中に職員が喫煙した場合、職務専念義務違反による地方公務員法上の懲戒処分を含めて厳しく対応すると、全職員に通達を出したとのことでございます。

 大阪府の対応は、大阪府庁舎内では、勤務時間中の喫煙及び敷地内での喫煙が禁止されているにもかかわらず、それに反した職員には厳しく対応するということのようですので、それは当然のことだろうと私は思います。

 また、和歌山市役所では、勤務時間中の喫煙を禁止しているわけではないですが、一般職員が喫煙できる喫煙場所が庁内にはなく、勤務時間中に喫煙のために庁外へ出ることは職務専念義務違反であるとして、市庁舎内では実質的に勤務時間中の喫煙はできないような形になったと聞いております。和歌山市役所では、敷地内では喫煙できる場所がないのですから、実質的に喫煙が禁止されていると考えることはできると思います。

 しかし、県庁では、勤務時間中の喫煙は禁止されていませんし、敷地内禁煙ではあるものの、喫煙できる喫煙場所が設けられております。私は、勤務時間中に喫煙場所にたばこを吸いに行くことを禁じるべきだとか、喫煙場所を廃止し敷地内を全面禁煙にすべきだとか言いたいのではございません。

 私は、この勤務時間中の喫煙について、一定の時間、執務室を離れ、喫煙場所へたばこを吸いに行くことについて、休憩のあり方を含め、きちんとした議論をすべきではないかと考えております。仕事をしながらコーヒーやジュースを飲んで休息をすることもあるでしょうし、軽い体操やストレッチをしてリフレッシュすることは普通にやることだと思います。そうした休憩と喫煙による離席は何がどう違うのでしょうか。

 県では、勤務時間中の喫煙で何らかの処分をした事例はないと聞いておりますが、勤務時間中にたばこを吸いに行くことについて、万一処分されるようなことがあるのであれば、職員からすれば、本人の自覚や上司の裁量にその規範を求めるのではなく、明白な基準を示してほしいというのではないでしょうか。

 私は、受動喫煙はしっかりと防止する必要があると考えておりますが、一方で、法律で喫煙自体が禁じられていない以上、喫煙者にも喫煙の権利があると考えてますが、無制限に認められた権利ではないと考えております。また、たばこを吸わない職員からすれば、一日のうちに何回も席を離れてたばこを吸いに行く人に対して、不満や不公平感を感じることがあるのではないでしょうか。その上に、その人が残業でもすれば、たばこを吸いに席を離れているため残業し、残業手当をもらっているのではないかと考えたとしても無理はないと思います。

 喫煙者が喫煙のために業務を離れることについては、所属長の権限と裁量によって管理していると言われるかもしれませんが、そうであれば、その判断基準はどこにあるのでしょうか。

 改正健康増進法にのっとって、敷地内禁煙にし、特定屋外喫煙場所を設け、禁煙対策も行いますということでよしとするのではなく、喫煙による休憩について、喫煙者、非喫煙者の双方の立場を踏まえ、もう少しきっちりと議論すべきではないかと私は考えております。

 そこで、総務部長にお伺いいたします。

 職員のうち、喫煙者数や喫煙回数等、喫煙の実態について把握されているのでしょうか、お答えください。

○副議長(森 礼子君) ただいまの林隆一君の質問に対する答弁を求めます。

 総務部長田村一郎君。

  〔田村一郎君、登壇〕

○総務部長(田村一郎君) ことし7月1日に健康増進法の一部を改正する法律の一部が施行され、行政機関等の敷地内は特定屋外喫煙場所を除き禁煙となったことを受け、職員の喫煙実態を把握するため、8月に調査を実施いたしました。

 本庁に勤務する職員1616人を対象に実施した調査の結果、喫煙者数は236人で割合は14.6%でした。そのうち勤務時間中に喫煙することがある職員は176人で、割合は10.9%でした。

 勤務時間中に県庁敷地内の特定屋外喫煙場所を利用して喫煙する回数は、1日当たり平均3.2回でございました。

○副議長(森 礼子君) 林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 職員さんの喫煙実態については、よくわかりました。現状では、受動喫煙防止のため、執務室内で喫煙することはできず、喫煙場所まで出向き喫煙しなければなりません。つまり、喫煙のために執務室を離れることにより、必然的にその時間中は勤務していない状況になると思います。

 このことについては、さきにも述べましたように、机に座っていれば仕事をしていることになるのかという議論はあるかと思いますが、少なくとも席を離れている間は、例えばその職員宛ての電話がかかってきたり、来客があったりした場合は、直接対応できない場合が生じる状況であると思います。

 そうした場合には、もちろんほかの職員がかわりに対応すると思いますし、喫煙者も何時間もたばこを吸っているわけではないと思います。また、トイレに行ったり自販機で飲み物を買いに行ったり、ほかの課に打ち合わせに行ったり、出張に行ったりする場合も、席を離れるということだけを見れば変わりがないと思います。

 そんな中で、喫煙というのはトイレのような生理現象でもなく、打ち合わせ等の業務でもなく、個人の嗜好である部分が大きいものであると思いますので、私は喫煙のために席を離れることを無制限に認めるべきではないと考えております。

 一方で、喫煙者にとっては喫煙できないことがストレスになり、かえって業務効率が落ちるという人がいるかもしれません。

 そこで、総務部長にお尋ねいたします。

 現状のように県庁内で喫煙するためには、執務室を離れ、喫煙場所まで行く必要がある中で、職員の喫煙についてある程度制限を設けるなど、具体的な対応についてお考えがあるのか、お聞かせください。

○副議長(森 礼子君) 総務部長。

  〔田村一郎君、登壇〕

○総務部長(田村一郎君) 議員御指摘のように、県職員は地方公務員法第35条により職務に専念する義務が課されており、「職員は、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用いなければならない。」とされております。勤務時間及び注意力の全てをその職務、職責遂行に用いるとは、物理的に職場や職務に拘束するという意味ではなく、常識的にその者の能力を最大限に発揮させるということを意味すると解されているところでございます。

 本県では、勤務時間中の喫煙については、コーヒーなどの飲み物などを飲んだり、軽い体操やストレッチをして緊張をほぐすなどの行為と同様に、心身のリフレッシュを図るために必要なものとして、喫煙終了後すぐに執務室に戻るなど、職員としてのモラルを遵守し、何かあればすぐに対応できる状態である限り容認してきたところでございます。

 また、ワーケーションなど心身をリフレッシュさせてより創造的な仕事を進めようという本県の考え方からしましても、喫煙者が県職員の中に一定数いるという現実を踏まえますと、一律に勤務時間内の喫煙を禁止するという流れとは一線を画してきたところでございます。

 その上で、先ほど報告させていただきました実態調査の結果からは、直ちに制限を設けなければならないほど、職務の遂行に格別の支障が生じているとは考えてございません。

 しかしながら、県職員は全体の奉仕者として、勤務時間及び職務上の注意力の全てをその職務遂行のために用いなければならないことを自覚して、勤務時間中にみだりに職場を離脱するなど、県民の信頼を損なうことのないよう、勤務時間中の喫煙についても節度を持って行うよう注意喚起を行ってまいります。

○副議長(森 礼子君) 林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 それでは、再質問をさせていただきます。

 部長の答弁の中で、地方公務員法の職務に専念する義務の解釈について、勤務時間及び注意力の全てをその職務遂行に用いるとは、常識的にその者の能力を最大限に発揮させることを意味すると解されましたが、もう少しかみ砕いて、勤務時間中の喫煙に当てはめれば、どのような意味になるのでしょうか。

 また、現状では職務の遂行に格別の支障が生じているとは考えていないとの御答弁でしたが、調査によると喫煙の平均回数は3.2回とのことであり、喫煙場所まで行ってたばこを吸って執務室へ帰ってくるまで、少なく見積もっても1回当たり10分ぐらいは要するとすれば、1日のうち約30分は職場を離れてるということになります。何をもって格別の支障は生じていないと判断されるのでしょうか、総務部長、お答えください。

○副議長(森 礼子君) 総務部長。

  〔田村一郎君、登壇〕

○総務部長(田村一郎君) 再質問ございました。その者の能力を最大限に発揮させるとは、常識的に見て職員が有する体力、知力の全てをその職責遂行のために用いなければならないという意味であり、誠実に全力を挙げて職務に従事している限り、喫煙を理由に職場を離れることを一切認めないというものではないと考えております。

 次に、格別の支障が生じていないと判断している理由でございますが、最近ではほとんどの職員が携帯電話を所持しており、職場から連絡を受ければ、すぐ自席に戻ることは可能と考えてございますので、このことからも職務の遂行に格別な支障が生じているとは考えておりません。

 しかしながら、議員御指摘も踏まえ、職員は職務に専念する義務があることを自覚し、勤務中の喫煙については節度を持って行うよう注意喚起してまいります。

○副議長(森 礼子君) 林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 勤務時間中の喫煙については、節度を持って行うよう注意していくということですので、ぜひともそうしていただきたいと思います。

 しかしながら、節度を持ってというのは聞き心地のよい言葉でございますが、言いかえれば本人、喫煙者みずからの自制心や常識にその判断を委ねるということになるのではないかと思います。

 喫煙の回数や時間を具体的に制限するのは難しいということは、ある程度理解できますが、その判断を喫煙者本人に任せるというのはいかがなものかと思います。例えば、1時間に1回、10分であれば節度を持っていると考える人もいれば、お昼の休憩時間は別として執務時間中に喫煙は節度を欠くと考える人もいるでしょう。勤務時間中の喫煙は節度を持って行うこととするのであれば、その節度を上司や所属長がしっかりと管理する仕組みが必要なのではないでしょうか。総務部長にお尋ねいたします。

○副議長(森 礼子君) 総務部長。

  〔田村一郎君、登壇〕

○総務部長(田村一郎君) 喫煙のための離席を容認してると申しましても、無制限にそれを認めてるものではなく、職員は上司や同僚に離席する理由を告げた上で、喫煙終了後はすぐに職場に戻ることが当然のことであり、上司も職員がみだりに職場を離れることがないよう、管理監督する責任があると認識しております。

 繰り返しになりますが、職員は職務専念義務があり、高い倫理観を持って職務の遂行に集中するよう、あらゆる機会を通じて自覚を促してまいりたいと考えております。

○副議長(森 礼子君) 林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 総務部長には具体的にどうするかという御答弁はいただけませんでしたが、喫煙終了後はすぐに職場に戻るのが当然であり、上司は職員がみだりに職場を離れることがないよう管理監督する責任があると認識しているということであれば、その判断には主観的な要素が多分にあります。

 そうであれば、例えば喫煙場所で喫煙者の所属や回数等をチェックして喫煙状況を確認するなど、客観的な方法で徹底した管理をするよう強く求めます。

 そこで、知事に質問させていただきます。

 弁護士資格を持つ吉村大阪府知事は、勤務時間中に職員が喫煙した場合、地方公務員法上の懲戒処分、職務専念義務違反とすることを決め、全職員に通知したというのは周知のとおりですが、和歌山県知事として、職員が勤務時間中に職場を離れ、喫煙した場合について、和歌山県知事としての御見解をお聞かせください。

○副議長(森 礼子君) 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 吉村知事は弁護士さんだそうでございますが、法律にすごい詳しい田村総務部長の見解とはちょっと違うようでございます。

 和歌山県の職員は、職務の性質上、やっぱり中身で勝負してると、こういう人たちだというふうに思うんであります。そのためには、アイデアを一生懸命湧かせないといけないし、そして人ともきちっとつき合わないといけないし、席に座ってるだけが能ではないということではないかと思いますし、目に余るような、たばこをのみに行くためにうろうろしてるというような状態だと、その人の周りから見られる目とか、あるいは将来の信頼感とか、そういうものがなくなるのは自明でございますよね。ですから、そこは職員の自覚に期待してもいいんじゃないかなというふうに思う次第でございます。

○副議長(森 礼子君) 林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 知事から御答弁をいただきました。ありがとうございます。

 それでは、知事に再度質問をさせていただきます。

 職員が勤務時間中に、例えば延べ1時間程度職場を離れ、喫煙をしに行った場合、全く問題はないとお考えですか。お聞かせください。

○副議長(森 礼子君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 先ほど田村部長がるる答弁を申し上げましたように、常識的に「職務専念」に当たるかどうか、それはその場その場でみんながわかる話じゃないかなというふうに思う次第でございまして、1時間というのが一概に決められれば、こんな簡単なことはないということではないかと、そんなふうに思っております。

○副議長(森 礼子君) 林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 御答弁いただきました。私は、一定のルールを設けるか、いっそのこと和歌山市役所同様に庁内禁煙すべきと考えますが、知事のお考えをお聞かせください。

○副議長(森 礼子君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 和歌山市のお考えは和歌山市のお考えで、どういうふうにあったのかさっぱりわかりませんが、しかし、和歌山県の実態と、そして職員の士気とかそういうことを考えますと、田村部長が言ってることが正論ではないか、そういうふうに私は思う次第でございます。

○副議長(森 礼子君) 林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 御答弁いただきました。どうもありがとうございます。

 時代は変わってきていまして、今こそ知事の決断の時期に来ていると考えています。なかなか主観的なこと、時間が短いとか長いとかいろいろあると思いますが、機を見てまたこのような質問をさせていただきたいと思っております。

 それでは、続きまして私立高等学校の無償化について質問をさせていただきます。私立学校の無償化についてお尋ねします。

 大阪府では、橋下徹氏が大阪府知事時代に行財政改革を行い、大阪府の私立高等学校の無償化を実現しました。具体的には、高等学校等就学支援金とあわせて、私立高等学校等授業料支援補助金を交付し、所得額等により制限はあるものの、私立高等学校の授業料を実質無償化、もしくは保護者負担が10万円まででおさまるように支援しております。

 この補助金の創設を契機に、それまで近くの私立高校に行きたいが、家庭の経済状況など、わざわざ通学時間をかけて遠くの公立学校へ通っていた子供や、部活動での成果が顕著な私立学校でその指導を仰ぎたいと思っておりましても、その私立学校への進学を諦めていた子供たちが、私立学校を進路として選択できるようになりました。

 このことは、子供たちからはもちろん、その保護者からも、大阪府民でよかったと喜ばれ、全国でも注目されているところでございます。

 私は、和歌山県でも、家庭の経済状況にかかわらず、行きたい高等学校へ行けるような充実した支援施策を行うべきと考えております。

 そこで、企画部長にお尋ねいたします。

 和歌山県で現在実施している授業料支援制度はどのようなものか、国の現行制度の仕組みとあわせてお答え願います。

○副議長(森 礼子君) 企画部長田嶋久嗣君。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○企画部長(田嶋久嗣君) 国の就学支援金制度は、教育費の経済的負担の軽減を図ることにより教育の機会均等に寄与することを目的としており、年収の目安で約910万円未満の世帯などといった要件を満たした生徒であれば、授業料に充てる支援金が支給されるものです。

 全日制の公立高等学校に通う生徒に対しては、一律、年間11万8800円が支給されますが、私立学校に通う生徒に対してはさらに世帯の年収に応じて加算され、目安として350万円から590万円未満では1.5倍の17万8200円、250万円から350万円未満では2倍の23万7600円、250万円未満のいわゆる非課税世帯では2.5倍の29万7000円の支援金が支給されます。

 この国の制度にあわせて、県では独自の授業料減額補助金制度を設けています。これは、県内の私立学校に通学している生徒に対して、保護者等が県内在住で年収目安が350万円未満であれば、国の就学支援金の0.5倍分を県独自で上乗せし、国との支援を合わせて最大35万6400円まで授業料の補助を行うものです。

○副議長(森 礼子君) 林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 和歌山県で現在実施している授業料支援制度はどのようなものか、国の現行制度の仕組みはよくわかりました。和歌山県でも、無償化まではいかずとも、国の現行制度に上乗せして補助を行っているということですが、今般、令和2年度文部科学省概算要求では、私立高等学校の授業料実質無償化といった項目が掲載されており、年収590万円未満の世帯の生徒を対象に、高等学校等就学支援金の支給上限額を私立高校の平均授業料39万9000円を勘案した水準まで引き上げると記載があります。

 私は、この国の制度改正に伴い、和歌山県の上乗せ制度を何らかの形で見直す必要が生じると思われますが、いかがでしょうか。

 また、国の39万9000円の平均授業料と比べ、和歌山県の私立学校の平均授業料はどのような金額でしょうか。企画部長、お答えください。

○副議長(森 礼子君) 企画部長。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○企画部長(田嶋久嗣君) 議員御指摘のとおり、来年度から国の就学支援金の支給限度額が引き上げられるに伴い、県の上乗せ制度を見直す必要があります。

 しかしながら、現時点では具体的な支給額が決定されておりませんので、今後、国の動向を注視しながら、県制度の改正に向け検討を進めてまいります。

 なお、和歌山県の私立高等学校の平均授業料は約43万円で、国の平均額と比較しますと約3万1000円の差がございます。

○副議長(森 礼子君) 林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 和歌山県の私立高等学校の平均授業料は、全国平均より約3万1000円も高いという状況であります。現時点では、国の制度改正により支給上限額がどの程度引き上げられるのか、不確定な部分があるようですが、国においては私立高等学校授業料の実質無償化を推進しようと取り組まれているということは確かでございます。

 意欲のある全ての和歌山県の子供たちが、家庭の経済状況にかかわらず安心して希望する高等学校等での教育を受けられる社会の実現を目指すために、国の制度改正にあわせ県の授業料減額補助金制度をさらに充実していただき、高等学校への進学に当たって、私立高等学校も含め、子供たちの選択肢をふやしていただきますよう強く要望いたします。

 以上で、質問を終了させていただきます。御清聴いただき、ありがとうございました。(拍手)

○副議長(森 礼子君) 以上で、林隆一君の質問が終了いたしました。

 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。

 あすも定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。

 本日は、これをもって散会いたします。

  午後2時11分散会

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