令和元年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


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令和元年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号

議事日程 第2号

 令和元年9月17日(火曜日)

 午前10時開議

 第1 議案第134号から議案第164号まで(質疑)

 第2 一般質問

 

会議に付した事件

 第1 議案第134号から議案第164号まで(質疑)

 第2 一般質問

 

出席議員(42人)

 1番 鈴木德久

 2番 山家敏宏

 3番 中本浩精

 4番 堀 龍雄

 5番 藤山将材

 6番 岸本 健

 7番 井出益弘

 8番 宇治田栄蔵

 9番 北山慎一

 10番 中西峰雄

 11番 秋月史成

 12番 森 礼子

 13番 濱口太史

 14番 尾崎要二

 15番 冨安民浩

 16番 川畑哲哉

 17番 玉木久登

 18番 鈴木太雄

 19番 岩田弘彦

 20番 吉井和視

 21番 谷 洋一

 22番 佐藤武治

 23番 岩井弘次

 24番 中 拓哉

 25番 多田純一

 26番 新島 雄

 27番 山下直也

 28番 中西 徹

 29番 玄素彰人

 30番 谷口和樹

 31番 藤本眞利子

 32番 浦口高典

 33番 山田正彦

 34番 坂本 登

 35番 林 隆一

 36番 楠本文郎

 37番 高田由一

 38番 杉山俊雄

 39番 片桐章浩

 40番 奥村規子

 41番 尾﨑太郎

 42番 長坂隆司

欠席議員(なし)

説明のため出席した者

 知事         仁坂吉伸

 副知事        下 宏

 知事室長       細川一也

 危機管理監      森田康友

 総務部長       田村一郎

 企画部長       田嶋久嗣

 環境生活部長     田中一寿

 福祉保健部長     宮本浩之

 商工観光労働部長   稲本英介

 農林水産部長     角谷博史

 県土整備部長     髙松 諭

 会計管理者      飯島孝志

 教育長        宮﨑 泉

 公安委員会委員長   溝端莊悟

 警察本部長      檜垣重臣

 人事委員会委員長   平田健正

 代表監査委員     保田栄一

 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫

 

職務のため出席した事務局職員

 事務局長       中川敦之

 次長         中谷政紀

 議事課長       松山 博

 議事課副課長     山田修平

 議事課議事班長    岸裏真延

 議事課主任      保田良春

 議事課主事      浅田晃秀

 総務課長       井邊正人

 政策調査課長     中平 博

 

  午前10時0分開議

○議長(岸本 健君) これより本日の会議を開きます。

 この際、諸般の報告をいたします。

 過日提出のあった議案第135号、議案第137号、議案第139号から議案第144号まで、議案第146号、議案第150号から議案第153号までは、いずれも職員に関する条例議案でありますので、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を聴取しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。

 日程第1、議案第134号から議案第164号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。

 18番鈴木太雄君。

  〔鈴木太雄君、登壇〕(拍手)

○鈴木太雄君 皆さん、おはようございます。

 早速ですが、議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。

 初めに、大項目の1として、ワーケーションの推進について、2点質問を行います。

 まず、小項目1、ワーケーションの取り組みについてであります。

 近年、都市部の企業を中心に、テレワークというワークスタイルが浸透してきています。御存じの方も多いと思いますが、テレワークとは、ICTの発展により、パソコンさえあれば自宅や外出先などで仕事を行うことができるという働き方であります。

 企業におけるテレワーク制度の導入については、総務省の令和元年度情報通信白書によると、2018年度では、全国で19.1%の企業、そのうち社員数2000人以上の企業では46.6%と、各社において導入が進んでいる状況が見てとれます。

 働き方改革が政府の喫緊の課題に挙げられている中、そのテレワークを導入することで、各者おのおののライフサイクルに合わせた働き方が可能となることから、時間、場所の使い方を自分らしく見直し、充実した生き方が実現できるものと認識しております。

 そして、政府においては、翌年に迫った東京オリンピック・パラリンピックの交通混雑緩和につなげるため、本年も7月22日から9月6日をテレワーク・デイズ2019と位置づけ、企業等に対しテレワークの実施を求めるなど、積極的な推進を行っております。

 今申し上げたように、社会に浸透してきているテレワークでありますが、この派生形でワーケーションという言葉も最近よく聞くようになりました。このワーケーションとは、働くの「ワーク」と休暇の「バケーション」を組み合わせた造語であり、企業、個人が在宅や外出先でテレワークを行うのではなく、リゾートや観光地に足を伸ばし、その地域ならではの魅力に触れながらふだんの仕事を行うというワークスタイルで、ワーク・ライフ・バランスの改善や生産性の向上等を図る新しい働き方、新たなライフスタイルとして期待されているところであります。

 そういった中、ことし4月の労働基準法の改正に伴い、企業に対し社員の有給休暇の取得を義務化するなど、企業としては社員をどう休ませるかという新たな課題に直面している状況にあり、今後は、休暇で旅行しながら、パソコンを開けば急ぎの業務にも対応でき得る、そういうフレキシブルな働き方が求められています。

 先日、和歌山県庁メールマガジン「わかやま通信」で、知事がワーケーションについて述べられているのを拝見いたしました。そのメールマガジンの中で、これまでの働き方について、このままでは行き詰まりがあり、創造的な仕事ができなくなったり心身ともに疲弊してしまうため、仕事仲間と、あるいは時には家族連れで楽しく遊べるところに出かけ、出かけた先で半分は家族や仲間と遊び、半分は緑いっぱい、海や山が広がり太陽さんさんのリゾートで気分を変えて浩然の気を養いながら仕事をしてみるということもいいのではないかと、ワーケーションによるライフスタイルの変革を提案されておりました。

 改めて申し上げるまでもありませんが、我が国は少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少、育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化などの社会的課題に直面しております。この課題解決に向け、個々の事情に応じた多様な働き方が選択できる社会を実現するため、ワーケーションは非常に有効な選択肢となるのではないかと私も考えております。

 本県においても、ワーケーションを他の自治体に先駆けて提唱し、羽田から約1時間という南紀白浜空港の利便性のよさから、田辺・白浜地域へテレワークに先進的に取り組むIT企業等が進出されております。そのことからも、本県、特に紀南地方はワーケーションに適した地域であると認知され、実際、首都圏等からワーケーションに来られる企業がふえているところであります。

 そこで、まず、本県のワーケーションの取り組みについて、改めて知事の所見をお伺いいたします。

○議長(岸本 健君) ただいまの鈴木太雄君の質問に対する答弁を求めます。

 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 本県は、平成29年度から全国の自治体に先駆けてワーケーションを提唱し、東京都内でワーケーションフォーラムを開催してまいりました。それ以降も、県内外でワーケーションイベントを開催し、首都圏の企業等に働きかけたことにより、現在では多くの企業がワーケーションを採用し始めました。

 また、和歌山県や地元の自治体と連携協定を締結した企業が、顧客企業を対象としたワーケーションオフィスの貸し出しを行ったり、首都圏の企業等を対象としてワーケーションを取り入れた研修を企画するなど、ビジネスとしての広がりも出てきております。

 ワーケーションにはいろいろな形があります。以前、ワーケーションフォーラムで披露されましたJALの制度に触発されまして、県庁でも、職員が浩然の気を養いながら仕事にいそしむことができるように、公務出張に合わせて私事旅行を行うことができるワーケーション制度を既に設けております。

 昨今、長時間労働など、働き方にかかわるさまざまな問題が顕在化し、企業においても対応を検討しておりますけれども、働き方改革は、単に残業をやめよう、働く時間を削減しようという観点だけでは大いに不十分だと思います。このワーケーションを通じて働き方そのものを見直し、イノベーティブな仕事のあり方を見つけてもらうことが、働き方改革を積極的に実現するための一つの解となると考えておるわけでございます。和歌山県から、そういった可能性を全国に示していきたいと思います。

○議長(岸本 健君) 鈴木太雄君。

  〔鈴木太雄君、登壇〕

○鈴木太雄君 御答弁をいただきました。

 働き方改革という全国的な社会的課題に対して、地方から、特にこの和歌山県から率先して解決策を示していくというのは非常に意義のある取り組みだと思います。また、それによって県内でビジネスチャンスが生まれるのであれば、ワーケーションに来る企業も、受け入れる地域も、双方がウイン・ウインとなることから、ぜひとも取り組みを今後も広げていっていただきたいと、このようにお願いを申し上げたいと思います。

 次に、小項目の2、ワーケーション自治体協議会の設立及び取り組みについて質問いたします。

 本県が先駆県として取り組んできたワーケーションですが、他の自治体においても、長野県がリゾートテレワークという名称で、ワーケーションと同様の取り組みを推進されていたり、鳥取県においてもワーケーション普及のためのモニターツアー等を検討されていると聞いております。また、県単位だけでなく、市町村単位でもワーケーションの取り組みが全国で見られるようになってきました。

 そういった中、去る7月18日、県は、長野県とともに東京で「ワーケーション・スタートアップ!」というイベントを開催し、今後のワーケーション推進に関する全国的な自治体間連合、いわゆるワーケーション自治体協議会の設立に向けた取り組みを進めると宣言されておりましたが、これは具体的にどういったものなのか、また、今後このワーケーション自治体協議会ではどのような取り組みを予定されているのか、あわせて企画部長にお伺いをいたします。

○議長(岸本 健君) 企画部長田嶋久嗣君。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○企画部長(田嶋久嗣君) ワーケーションまたはワーケーションと類似の取り組みは、北海道から沖縄県まで全国的に多くの自治体で始まっていますが、それぞれの取り組みが拡散的で、ワーケーションのノウハウが共有されない現状にあります。

 このため、和歌山県は、ワーケーションと同様の取り組みを推進している長野県と7月18日に東京で「ワーケーション・スタートアップ!」イベントを行い、ワーケーションに取り組む自治体で統一的な情報発信を行うため、ワーケーション自治体協議会、通称・ワーケーション・アライアンス・ジャパンの設立に向けた宣言を行いました。

 現在、当該宣言文に基づき、全国自治体に本格的な呼びかけ等を行っているところです。年内を目途に当該協議会の立ち上げを行い、会員自治体との情報共有やワーケーションのPR等を行っていく予定です。

 ワーケーション自治体協議会の設立については、既に43自治体に賛同いただいております。今後も、より多くの自治体に参画いただけるよう、広く働きかけを実施してまいります。

○議長(岸本 健君) 鈴木太雄君。

  〔鈴木太雄君、登壇〕

○鈴木太雄君 御答弁をいただきました。

 今答弁いただいたような取り組みを通じて、県として、具体的にどのような効果を期待されているのか。この点について再質問いたします。

○議長(岸本 健君) 企画部長。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○企画部長(田嶋久嗣君) ワーケーションが全国的な盛り上がりを見せる中で、世界遺産となっている熊野古道やジオパークでのアクティビティー、地域の方々との交流など、田辺・白浜地域から地域資源を生かした魅力的なワーケーションを提案し、ワーケーションの適地和歌山をPRすることにより、その効果が県下全域に波及し、県外からより多くの方に来ていただけることを期待しております。

 また、地元の企業等がみずからの事業としてワーケーションの受け入れやアクティビティーの手配を行い、ワーケーションを守り立てていけるような取り組みを進めることで、地元でもさまざまなビジネスチャンスが生まれて、和歌山県全体が活性化していくのではないかと考えております。

 和歌山にワーケーションに来ていただいた人々の人生を豊かにするとともに、地域の方々との交わりを通じて関係人口の創出や移住・定住、企業誘致、観光振興、地方創生など、多岐にわたる波及効果が生まれてくることを期待しており、県としても引き続き積極的に働きかけを行っていきたいと考えております。

○議長(岸本 健君) 鈴木太雄君。

  〔鈴木太雄君、登壇〕

○鈴木太雄君 それでは、続いて大項目の2として、介護人材の確保について、3点質問いたします。

 まず、小項目1、若年者に対する施策についてお伺いをいたします。

 本県の人口は、1985年(昭和60年)の108万7000人をピークとして減少に転じており、今後、生産年齢人口が減少する上、若者の転出も多い状況にあることから、産業を担う労働力の確保が大きな課題となっております。

 県内の高等学校から県外の大学・短大へ進学した学生の割合は、この定例会冒頭の知事説明にあったとおり、42年ぶりに最下位を脱したものの、依然低空飛行には変わりなく、Uターン就職者の割合も低位にとどまっている状況であります。

 そういった中、今回は、人と人とのコミュニケーションが求められ、一定のマンパワーの確保が望まれる介護業界についてお伺いしていきたいと思います。

 御存じのとおり、本県では、全国に先んじて高齢化が進んでおります。平成30年1月1日現在の高齢化率は31.5%と、近畿府県では1位、全国では8位の高齢化率となっており、介護サービスの需要が高まっております。

 近年、地域の介護事業所から、景気回復に伴う労働需要の高まりや生産年齢人口が減少している影響などもあり、介護サービスを担うべき人材を確保することが非常に困難になっていると、よく話を聞きます。

 実際、平成30年度の本県有効求人倍率は、全職種では1.23倍であるのに対し、介護関連職種については2.67倍となっており、このことからも介護人材の確保が厳しい状況であることがうかがい知れます。

 さらに、今後は高齢化がより一層進み、介護や生活支援を必要とする方の増加が見込まれていることから、これらサービスの担い手確保は喫緊の課題であると同時に急務であります。

 とりわけ、そのサービスの担い手を確保する上におきましては、これからの業界を支える若年者の確保が重要であると考えますが、現在、県では、若年者に対する介護事業所への就職を促進するに当たり、どのような施策を実施しているのか、福祉保健部長にお伺いいたします。

○議長(岸本 健君) 福祉保健部長宮本浩之君。

  〔宮本浩之君、登壇〕

○福祉保健部長(宮本浩之君) 県では、若年者の介護事業所への新規就労を促進するため、現役の高校生を対象とした無料で受講できる介護職員初任者研修や、介護福祉士養成施設の学生を対象とした県内の介護事業所で一定期間就労すれば返還の必要がない修学資金の貸し付けの実施により、介護に関する資格取得を積極的に進めているところです。

 また、介護の仕事に対するイメージアップを図るため、県内の中学校及び高等学校の2年生とその保護者を対象に、啓発漫画や介護職員の体験談等を掲載したパンフレットを作成し、介護職場の魅力や県の支援施策についての説明を実施しているところです。

 さらに、そもそも職業を選択する際、賃金が重要な要素となることから、これまでも全国知事会等を通じて国への要望を続けてきており、数次にわたって講じられた処遇改善に加え、本年の10月からも、さらなる処遇改善が実施されることとなっています。

 県といたしましては、今後も、引き続き若者が介護の仕事を選択してくれる環境づくりを目指し、介護人材の確保や定着促進を図ってまいります。

○議長(岸本 健君) 鈴木太雄君。

  〔鈴木太雄君、登壇〕

○鈴木太雄君 次に、小項目2、ICTや介護ロボットの活用について質問をいたします。

 昨今、ICT、ロボット、AIなど、技術の進展は目覚ましく、さまざまな分野においてその活用のあり方が研究されております。

 介護分野においても、平成24年、厚生労働省が経済産業省とともに5分野8項目における重点開発分野を定め、介護者の負担軽減に役立つ介護ロボットの導入に向けた取り組みを本格化させました。

 当初は、移乗支援や入浴支援など、いわゆる力仕事をサポートするものが中心でありましたが、平成29年には、新たにセンサーやAIの活用を意識した介護業務の支援も重点開発分野に盛り込まれ、6分野13項目にわたる介護ロボットの開発・普及への取り組みが現在も推し進められております。

 そのような中、厚生労働省は、30年度において、介護ロボットの開発の方向性を探るため、開発企業と介護現場が協議する場を全国で設置し、介護業務上の課題の抽出や分析を行い、ニーズの明確化を図りました。

 ちなみに、ここ和歌山県の協議会では、被介護者の排せつ時における時間の拘束や、入浴時などの移乗時の腰の負担、記録業務による勤務時間の圧迫が課題として挙げられ、それらを解決するための新規ロボットのアイデアが提案されたようであります。

 こうしたアイデアが、技術革新によって現実味を帯び、人の作業をロボットやAIに置きかえたり、また、あらゆる「モノ」や「コト」がデータ化、情報化されることで、生活状況の見える化が図られ、介護の負担を減らすことが可能となってきております。

 団塊の世代が後期高齢者となる2025年には介護人材が38万人も不足すると言われている中において、新たな人材を確保し、人員体制を整えることは、もとより必要不可欠でありますが、近年のさまざまな産業分野での労働力不足や今後の生産年齢人口の減少をも考えると、マンパワーによらず省力化が可能な業務については、ICT、ロボットなどを積極的に活用し、介護現場における人材の補完やその労働環境を改善することも非常に重要であると考えます。

 そこで、介護現場におけるICTや介護ロボットの活用について、県の取り組みを福祉保健部長にお伺いいたします。

○議長(岸本 健君) 福祉保健部長。

  〔宮本浩之君、登壇〕

○福祉保健部長(宮本浩之君) 介護職場においては、利用者に対するベッドから車椅子への移乗支援や排せつ支援、施設における見回り業務に伴う1日の移動距離などの身体的負担や、介護業務に関する記録の作成といった業務の負担が大きいことなどから、介護職の離職につながる理由の一つとなっています。

 県では、このような厳しい介護現場の労働環境を改善するため、今年度より、移乗介護や見守り業務などを支援するパワーアシストスーツや見守りセンサーなどの介護ロボットや、介護記録業務から情報共有や請求業務に至るまで一貫したサービスを提供するソフトウエア等を導入し、業務の負担軽減や効率化を図る介護事業者に対して導入費用の一部を補助する制度を創設したところです。

 現在、補助金の申請を受け付け中で、既に60を超える介護事業者から申請をいただいているところですが、引き続き積極的な活用を働きかけてまいります。

 また、これらの介護ロボットの展示会やセミナーを開催し、優良な導入事例の紹介や介護ロボットの実演を通じて導入効果を実感してもらうことにより、介護ロボットの普及を促進し、介護職の離職防止や新規就労につなげてまいります。

○議長(岸本 健君) 鈴木太雄君。

  〔鈴木太雄君、登壇〕

○鈴木太雄君 次に、小項目3、外国人材の受け入れについて質問いたします。

 本年4月、いわゆる出入国管理法の改正が行われ、在留資格・特定技能が創設されました。この制度は、深刻な人手不足の状況に対応するため、一定の専門性、技能を有し、即戦力となる外国人を受け入れようとするものであります。

 今後、少子高齢化の進展に伴い、介護人材の需要の増加と生産年齢人口の減少が確実視される中、担い手不足の介護業界におきましては、先ほど申し上げた介護環境の改善策としてのロボット技術活用や介護人材の確保対策でもある若年者の就職促進に加え、働く意欲のある外国人を積極的に受け入れていくことも安定した労働力を確保する上で必要だと考えますが、介護業界への外国人材の受け入れに向けた県の取り組みについて、福祉保健部長にお伺いいたします。

○議長(岸本 健君) 福祉保健部長。

  〔宮本浩之君、登壇〕

○福祉保健部長(宮本浩之君) 現在、県では、介護福祉士資格取得を目指す外国人留学生に対して、日本人の学生と同様に返還免除つきの介護福祉士修学資金の貸し付けを行っているところです。

 介護分野における外国人材の受け入れ制度は、平成29年度に技能実習制度や在留資格・介護が、また今年度からは在留資格・特定技能が創設されるなど多岐にわたってきており、国では外国人介護人材の受け入れを支援する制度の拡充が行われているところであり、県においても対応が必要と考えています。

 県としては、国制度の活用を含め、外国人介護人材の受け入れを希望する介護事業者が円滑に人材を受け入れられるとともに、利用者が安心してサービスを受けられる環境の整備を図ってまいります。

○議長(岸本 健君) 鈴木太雄君。

  〔鈴木太雄君、登壇〕

○鈴木太雄君 続いて、大項目の3として、ゴールデン・スポーツイヤーズを踏まえたスポーツ振興について、2点質問いたします。

 まず、小項目の1、これまでの成果と今後のスポーツ振興についてお伺いいたします。

 2020年開催の東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会まで既に1年を切り、開閉会式を含め、各競技観戦チケットの争奪が起きるほど、国民のスポーツ熱が高まりを見せているところです。

 本県に目を移してみると、今年度においては、アジア初開催となるラグビーワールドカップ2019が9月20日から全国12会場でいよいよ開催される中、和歌山県上富田町がその公認キャンプ地となっております。

 そういった中、ナミビア共和国代表チームが大会に向けた直前調整を行うファーストインキャンプ地として、上富田町が選ばれたことは、大変に名誉なことだと、うれしく思っているところであります。

 その後、11月9日から12日までの4日間にわたり、健康と福祉の一大イベントであるねんりんピック紀の国わかやま2019が開催され、60歳以上の方々を中心に卓球、テニスなどのスポーツ交流大会を初め、囲碁や将棋などの文化交流大会が県内各地で繰り広げられます。

 さらに、令和2年度においては、冒頭に申し上げました東京オリンピック・パラリンピックへの機運醸成の一環として、4月10日から11日までの2日間をかけて、三重県から引き継いだ聖火が県内をめぐる東京2020オリンピック聖火リレーがとり行われます。

 県内においても、聖火ランナーたちにより、平和、団結、友愛といったオリンピックの理念が体現され、来るオリンピックへの機運醸成が図られることと思います。

 また、東京オリンピック・パラリンピック開催直前の7月中旬から、秋葉山公園県民水泳場ではカナダ競泳チームが、紀三井寺陸上競技場においてはオーストラリア陸上競技チームが事前キャンプを行うこととなっており、本県においても、オリンピックに向け、スポーツへの関心がますます高まっていくものと思われます。

 そして、再来年には、世界最大の生涯スポーツのイベントであるワールドマスターズゲームズ2021関西が、アジアで初めて本県を含む関西エリアで開催されます。この大会では、公式競技35競技59種目が行われ、本県では、陸上、ダンススポーツ、セーリング、ライフル射撃、バレーボールの5競技7種目が行われることとなっております。

 このような中、和歌山県長期総合計画の将来像である「県民みんなが、故郷に愛着と誇りをもち、楽しく快適に暮らし、元気に活躍している姿」を描けるよう、また、大規模スポーツイベントが相次ぐゴールデン・スポーツイヤーズを契機として、スポーツ熱をより高めていけるよう、継続的な取り組みが必要であると考えます。

 そこで、ゴールデン・スポーツイヤーズを迎え、これまでの成果と今後のスポーツ振興について、知事にお伺いいたします。

○議長(岸本 健君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) スポーツの振興については、元気で明るく豊かで活力のある和歌山の実現に向け、これまでさまざまな取り組みを行ってまいりました。

 特に、紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会では、県民一丸となって取り組んできた結果、国体では男女総合優勝、大会では過去最高となる127個のメダルを獲得するなど、すばらしい競技成績をおさめるとともに、それまで関心のなかった県民がスポーツを見たり、ボランティアとして支える機会となり、本県のスポーツ参画人口の拡大につながったものと考えております。加えて、多くの人を本県に迎え入れるおもてなしの心も、より一層涵養されたものと考えております。

 施設面においても、国体・大会の開催を機に、市町村と連携して、将来の活用について配慮した上で計画的に整備しました。特に、国から指定されているナショナルトレーニングセンターの和歌山セーリングセンターや田辺スポーツパークは、全国のオリンピック・パラリンピックを目指すトップアスリートが効果的なトレーニング・強化活動を実施できる拠点施設として、現在も大いに活用されているところであります。

 こうした施設の充実とともに、ボランティアや競技団体といった人的資源、ノウハウなど、スポーツを支える本県の環境が海外のナショナルチームにも高い評価を得て、ラグビーワールドカップ2019に向けたナミビア共和国代表チーム、東京2020オリンピック・パラリンピックに向けたカナダ競泳チーム及びオーストラリア陸上競技チームなどの事前キャンプにつながっているものと認識しております。

 今後については、議員御指摘のとおり、間近に迫ったラグビーワールドカップ2019を皮切りとする2021年までの3年間のゴールデン・スポーツイヤーズが、その後の本県のスポーツ振興の方向性を決定づける重要な時期だと認識しております。

 これまで本県が取り組んできたスポーツ振興の遺産であるハード面・ソフト面の強みを最大限活用し、この3年間を追い風に、全国規模の大会や国内外トップチームキャンプの誘致に継続的に取り組んでまいりたいと考えております。

 また、県民のスポーツ参画への意欲を高めるために、「見る」とか「支える」に加えて、日ごろスポーツをしない人たちがスポーツを「する」ことが大切だと考えております。そこで、もう3回目になりますが、パンダRUNを田辺で毎年開いて、多くの方々に参加してもらえるようにしておりますが、こういうのをどんどんやっていきたいと思います。

 3年間の最後に行われるワールドマスターズゲームズ2021関西は、30歳以上なら誰でも出場できる国際大会でございますので、県民の方々がこの大会への出場を契機にスポーツを行い、楽しみ、元気で活力ある生活が営めるように、多くの県民の皆さんの参加を促し、より一層スポーツの振興を図ってまいりたいと考えております。

○議長(岸本 健君) 鈴木太雄君。

  〔鈴木太雄君、登壇〕

○鈴木太雄君 次に、小項目2、ジュニア育成のための取り組みについて質問いたします。

 平成27年に開催された紀の国わかやま国体では、チーム和歌山が一丸となって、男女総合優勝という輝かしい成績を残したことは記憶に新しいところです。その後の国民体育大会においても、男女総合成績20位台が維持されていることから、本県の競技力が大幅に向上していると実感しております。

 そうした中、先般、ハンガリーで行われたカヌー世界選手権の結果、本県の宮田選手が来年に迫った東京2020オリンピック男子カヤックフォア500メートルの出場枠を獲得したと、こういう報道がなされました。その報道を目の当たりにし、大変喜ばしく思っているところであります。

 やはり世界で活躍できるトップレベルの競技者を輩出することは、本県のスポーツ振興に大きく寄与し、そのことがこれからの元気な和歌山の実現にもつながるものと考えます。

 そのためには、まず、スポーツ好きの子供を1人でも多くふやし、その子供たちの発育段階に応じて、計画的、継続的に育成を図っていくことが非常に重要であると考えますが、本県においては、ジュニア選手の育成についてどのような取り組みを行っているのか、教育長にお伺いいたします。

○議長(岸本 健君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) ジュニア選手の育成につきましては、14年目を迎えるゴールデンキッズ発掘プロジェクトにおいて、身体能力にすぐれた小学3年生、4年生を選抜し、競技団体や大学等と連携して、身体能力やコミュニケーション能力などを高めるプログラムを実施しております。

 また、競技団体ごとにジュニア育成担当者を選任し、広く小中学生の競技体験会や県内の選手を集めた強化練習会などを開催しております。

 このような取り組みの中、今年度19回目を迎える市町村対抗ジュニア駅伝競走大会に出場した選手たちが、ことしの全国都道府県対抗男子駅伝競走大会において過去最高順位を更新した活躍や、先月開催されました第46回全日本中学校陸上競技選手権大会の女子4×100メートルリレーでは、桐蔭中学生が日本新記録を樹立し、見事優勝をおさめるなど、ジュニア世代の競技力の向上につながっております。

 今後とも、育成した選手たちが、少年・成年選手として競技力を一層向上し、世界の舞台で活躍できるよう、研修会の開催などによるすぐれた指導者の育成やトレーナー、栄養士等によるスポーツ医・科学サポート充実にも引き続き取り組んでまいります。

○議長(岸本 健君) 鈴木太雄君。

  〔鈴木太雄君、登壇〕

○鈴木太雄君 最後に、大項目の4として、国民文化祭、全国障害者芸術・文化祭について、2点質問いたします。

 まず、小項目1、開催の意義についてお伺いいたします。

 先ほど質問させていただいたスポーツと同様、文化・芸術活動も、県民それぞれの自己の充実・啓発や生活の向上に大きく寄与するだけでなく、それぞれの地域社会への参加と連携を育み、県民がふるさとに愛着と誇りを持つ上で大変重要なことであると思っております。

 皆さん御承知のように、本県には、ことし世界文化遺産登録15周年を迎えた「紀伊山地の霊場と参詣道」を初め、日本遺産に登録されている湯浅のしょうゆなどの豊かな食文化や、津波と復興の記憶が生きる広川の防災文化等、長きにわたり継承されてきた貴重な文化資源が多数存在しております。

 このように、世界に誇る豊かな自然や伝統ある文化に恵まれた本県において、第36回国民文化祭・わかやま2021、第21回全国障害者芸術・文化祭わかやま大会が再来年の令和3年10月から11月にかけて開催される予定となっております。

 それぞれの文化祭の歴史をひもといてみますと、国民文化祭は、当時の文化庁長官・三浦朱門により、アマチュアによる文化の祭典として提唱され、昭和61年に第1回の文化祭が東京で開催されました。以降、各都道府県の持ち回りで実施してきたことから、国民体育大会の文化版と呼ばれることもあるそうです。

 一方、全国障害者芸術・文化祭は、昭和57年から平成3年の障害者に関する世界行動計画「国連・障害者の十年」を記念し、平成13年、大阪府において第1回大会が開催されました。こちらも毎年、各都道府県の持ち回りで実施され、和歌山大会で21回目となります。

 この二つの文化祭は、元来別々に実施されていましたが、2年前、奈良県で初めて二つの文化祭を一体のものとして同時に開催されて以来、昨年の大分県、ことしの新潟県、来年の宮崎県に続いて、本県においても同時開催するとのことであります。

 大分県では、大会テーマを「おおいた大茶会」とし、野点傘のもとに人々や文化が集まるように、51日間にわたり多くの方々が参加し、文化に親しんだと聞いております。

 また、新潟大会は、まさに昨日、開会式が行われたところでありますが、私も視察する予定であり、本県開催に向け、じかに文化熱を肌で感じ取ってきたいと思っております。

 昨年10月に設立された県実行委員会に続き、本年8月には、国の実行委員会において、本県で開催する国民文化祭、全国障害者芸術・文化祭の基本構想が承認されたと聞いておりますが、本県開催の意義と、どのような文化祭を目指しているのか、企画部長にお伺いいたします。

○議長(岸本 健君) 企画部長。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○企画部長(田嶋久嗣君) 国民文化祭、全国障害者芸術・文化祭を本県で開催する意義につきましては、両文化祭を開催することで、心豊かで多様な価値観が共生する社会の形成を進め、先人から受け継いできた本県の豊かな文化をさらに発展させ、新たな時代へ継承していくことであると考えております。

 このため、基本構想の中で、「県民総参加で文化力の更なる向上を目指す」、「先人が育んできた文化を継承する」、「交流の中で相互理解と新しい文化の創造を促す」という三つの基本方針を掲げ、文化活動を通して元気な和歌山を実現する大会となることを目指しています。

 なお、大会キャッチフレーズは、本県の自然豊かな環境のもとで育まれてきた文化が全国規模の文化祭を開催することでますます光輝くことを願い、本県出身の詩人・佐藤春夫の詩の一節を使って「山青し 海青し 文化は輝く」としたところです。

 現在、市町村や文化団体等が実施する事業を募集するとともに、開閉会式を初めとする県主催事業の具体的な検討を行うなど、実施計画の策定に向け、準備を進めているところです。

○議長(岸本 健君) 鈴木太雄君。

  〔鈴木太雄君、登壇〕

○鈴木太雄君 次に、小項目の2、今後の周知や機運の醸成について質問いたします。

 先催県では、国民文化祭、全国障害者芸術・文化祭の開催を広く周知するために、印刷物の掲示や屋外広告を初め、さまざまな工夫がなされております。

 新潟県の大会ホームページ等を拝見しますと、その広報・PRの一環として、県内各地のイベントに文化祭ブースを出展する巡回キャラバンを開催したり、インスタグラマーやブロガーの方々にインフルエンサーとして文化祭や新潟県の魅力を発信してもらったりもしております。

 本県における文化祭の基本方針の一つに、「県民総参加で文化力の更なる向上を目指す」とありますように、多くの県民が主体的に文化祭に参加し、日ごろ味わえない喜びや感動を直接体験することを通じて、元気な和歌山を実現する大会となればすばらしいことだと思います。

 しかしながら、県民の中には、まだまだ国民文化祭、全国障害者芸術・文化祭のことをよく内容を知らない方もおられると思います。やはり、まずは文化祭を知ってもらうことが何より大切であると考えますが、今後どのように県民への周知や機運の醸成を図っていくのか、企画部長にお伺いいたします。

○議長(岸本 健君) 企画部長。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○企画部長(田嶋久嗣君) 県民への周知や機運醸成につきましては、本年度から、ホームページの開設やPRグッズの配布、カウントダウンイベントの実施等を順次行ってまいります。

 また、文化活動している方々が主体的に地域のイベントやテレビに出演するなどして文化祭を盛り上げていく広報隊を組織していきたいと考えています。

 加えて、文化祭で観客をお迎えするための県民による折り鶴を使用したアート作品の制作や、SNS等で情報を広める広報ボランティアの募集など、県民が準備段階からさまざまな形で文化祭に参加できる取り組みを実施し、文化祭の認知度向上を図ってまいります。

○議長(岸本 健君) 鈴木太雄君。

  〔鈴木太雄君、登壇〕

○鈴木太雄君 しっかり取り組みを続けていただきたいと思います。

 平成から令和の時代になり、全国植樹祭、国民体育大会、全国豊かな海づくり大会に加え、国民文化祭も天皇皇后両陛下が出席される地方行事となり、4大行幸啓の一つとして全国的にもますます注目されようとしております。

 そういった中、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に続いて、本県では、両文化祭のみならず、全国高等学校総合文化祭やワールドマスターズゲームズ2021関西も開催されます。

 今後、さらに文化とスポーツで和歌山が盛り上がることを期待して、私の一般質問を終わらせていただきたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(岸本 健君) 以上で、鈴木太雄君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 25番多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕(拍手)

○多田純一君 おはようございます。公明党県議団の多田純一でございます。

 この4月に再び県政壇上に送っていただきました。感謝申し上げるとともに、その負託にお応えできるように努めてまいります。

 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い一般質問を行います。

 まず1問目、港湾の利用促進についてお聞きします。

 先月、8月の17日にイギリスの豪華客船、ダイヤモンド・プリンセス号が和歌山下津港西浜岸壁に初めて寄港いたしました。乗船人数は約2700名、乗務員1100名、総トン数は11万5906トン、全長290メートル、幅37.5メートル、水面上の高さが54メートル、ビルでいうと18階から20階に相当するようです。

 資料を用意させていただきました。資料の1から4は、昼間のダイヤモンド・プリンセス。5は友人が写したものですが、夜のダイヤモンド・プリンセス号。夜のクルーズ船も本当にきれいです。ごらんいただければおわかりいただけると思いますが、近づいてみて実にでかい。その大きさがよくわかりました。

 平成28年から行ってきた和歌山下津港湾の整備により、また当局の方々の御尽力もあり、和歌山県に初めてのこのビッグクラスのクルーズ船が入港することに成功いたしました。

 事前のふれ込みも大々的に行われ、例えば和歌山市広報紙「市報わかやま」8月号には、ダイヤモンド・プリンセス号の写真入りで、「大型クルーズ客船がやってくる」という特集を組み、寄港日を告知。和歌山県中小企業団体中央会は、新聞の折り込みでチラシを配布。大いに宣伝につながったと思われます。

 その効果もあり、台風の影響で1日おくれのダイヤモンド・プリンセスを一目見ようと、17日早朝から夜9時の見送りと、約1万2000人の方が西浜岸壁に集まっておられます。

 クルーズ船入港時に海上保安庁及び田中海運による放水のお出迎えから始まり、岸壁に着いてからは和歌山児童合唱団による合唱、そして船内で歓迎セレモニーなど行われ、乗客はツアーバスやシャトルバスに乗りかえて県内や市内観光に向かいました。

 市内観光では、JR和歌山東口で降車し、西口に向かう地下道を通って近鉄デパートに向かう人や、けやき大通りから和歌山城に向かう人などをたくさんお見かけいたしました。私も、近鉄デパートから和歌山城に向かい、観光客がどのような行動をされるのか、自分の目で確かめながら、夕刻にはまた西浜岸壁に向かいました。

 観光客が港に戻ってくる夕方からは、和歌山市中央卸売市場による競り体験や和歌山クイズ、そして合気道発祥の和歌山らしく、その演武や紀州よさこいなど、出港を盛り上げ、最後のおもてなしに努めておられました。暑い日でしたが、おもてなし担当の皆様には大変感謝申し上げます。

 ダイヤモンド・プリンセス号を見るのは初めてではありません。ことし5月、高知県高知新港でのダイヤモンド・プリンセスのおもてなしを視察してまいりました。和歌山下津港との違いもよくわかりました。

 今後、政府の推定では、2020年には外国人旅行者を4000万人に目標設定、そのうち、クルーズ船による旅行者を500万人としております。2025年、大阪・関西万博も決定していますので、ますます需要は高まると思われます。

 本県では、少しおくれた感はありますが、港湾整備を着実に進め、来年度には、新宮港では7万トンクラスが、和歌山下津港では17万トンクラスの大型クルーズ船寄港も実現します。そうなると、5000人の観光客が一遍に西浜岸壁におり立つ事になります。大型クルーズ船寄港で観光振興を進める上で、今回の経験を生かしていくべきです。

 8月17日、クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス和歌山下津港寄港について、その波及効果と今後の課題について、今回のクルーズ船寄港に当たり、ヘッドクオーター役を果たしてこられた県土整備部長にお伺いいたします。

○議長(岸本 健君) ただいまの多田純一君の質問に対する答弁を求めます。

 県土整備部長髙松 諭君。

  〔髙松 諭君、登壇〕

○県土整備部長(髙松 諭君) ダイヤモンド・プリンセスの寄港に伴う波及効果と今後の課題に関して御質問をいただきました。

 去る8月17日、本県といたしましては過去最大となります11万トン級クルーズ船、ダイヤモンド・プリンセスが和歌山下津港に初寄港いたしました。台風第10号の接近に伴い、寄港取りやめも懸念される中、寄港日を1日おくらせての寄港となりましたが、多くの県民の皆様に、お出迎え、お見送りに参加をしていただきました。

 受け入れ実施の主体でございます和歌山市の推計では、乗客約2700人のうち、和歌山市内で周遊された乗客の皆様は約1800人であるとのことでございました。

 市内で和歌山市が実施いたしましたアンケート調査によりますと、市内を周遊された乗客1人当たりの消費額は6500円程度であると見込まれ、周遊された乗客の皆様による消費総額は1200万円程度であると推計されますが、この消費のより一層の拡大が一つの課題であると認識してございます。

 また、台風の影響により寄港日が1日おくれたことに伴いまして、開催予定でございましたイベントが中止となったことや、手配していたタクシーが日程変更により十分な台数を確保できず、タクシー待ちの行列が発生したことなどの問題がございました。さらに、職員やボランティアの方々の配置が足りず、和歌山城やJR和歌山駅周辺で案内等に手間取り、混乱が生じる等の問題も発生いたしました。

 これらの課題の解決とクルーズ船の受け入れをより成果のあるものにするためには、和歌山市に加え、各方面からの意見を反映することが必要でございまして、そのためにも、より多くの方々にクルーズ船の乗客の皆様の受け入れに携わっていただいたほうがよいのではないかと、このように考えてるところでございます。

 今後は、より多くの乗客の皆様に市内を周遊していただき、大きな経済波及効果が得られるよう、庁内の関係部局と連携いたしますとともに、地元の各種団体等で構成する受け入れ協議会の設立を和歌山市に働きかけるなど、来年8月のダイヤモンド・プリンセスの2度目の寄港、さらには10月のMSCベリッシマの初寄港に向け、和歌山市とともに準備を進めてまいりたい、このように考えてるところでございます。

○議長(岸本 健君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 御答弁をいただきました。

 ことし5月に、ダイヤモンド・プリンセス寄港日に高知県高知新港を視察し、観光客の受け入れと高知市内での観光客の動向、そして商店街組合長にもお会いし、商店街としての受け入れなどもお聞きしてまいりました。

 今、御答弁で、約1800人の方が和歌山市内で観光されたということでございました。大いに波及効果もあったという御答弁でございました。

 国内・国外の観光客を受け入れるに当たって、免税店拡充やキャッシュレス対策についても課題がありそうです。今回の課題を解決しながら、地元商店街の活性化を図る上でもクルーズ船観光振興は大きな効果になり得るはずです。

 写真の6は、高知市内の商店街の観光客のにぎわいです。昔のぶらくり丁商店街を思い出します。お会いした高知市商店街の組合長さんは、一時離れた地元顧客が、クルーズ観光が進むことで商店街活性化につながり、顧客として戻ってきているという実感を話されておられました。説得力のあるお話をお伺いできました。

 クルーズ船寄港の期待がますます高まる中、これからは和歌山の寄港地としての魅力を向上させるとともに、クルーズ船社へのプロモーション活動が重要になると考えます。クルーズ船寄港のための県の取り組みについて、県土整備部長にお伺いいたします。

○議長(岸本 健君) 県土整備部長。

  〔髙松 諭君、登壇〕

○県土整備部長(髙松 諭君) クルーズ船の寄港に関しまして質問を頂戴いたしました。

 県では、平成28年10月から、県内港湾へのクルーズ船寄港増大に向けて、県の港湾空港局と観光局の職員で構成いたしますクルーズ誘致促進チームを結成し、クルーズ客船運航会社等へのプロモーションに取り組んでいるところでございます。

 県内の港湾への寄港実績は、過去5年間で68回となっており、昨年度は過去最高となります17回の寄港が実現したところでございます。

 今後は、先ほど申し上げましたとおり、クルーズ船寄港時に、より多くの乗客の皆様に市内周遊を楽しんでいただく仕組みづくりを行いますとともに、地元の自治体との協働による誘致や、静岡県、高知県と和歌山県が3県で連携し、プロモーションを行う3港連携の枠組みを活用した活動を行うなど、地元での受け入れ体制強化と積極的な誘致活動を両輪といたしまして、さらなるクルーズ船誘致に向けて努力してまいりたいと考えてございます。

○議長(岸本 健君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 御答弁をいただきました。

 みなと総合研究財団クルーズ総合研究所によると、船会社が寄港地に求めるものとして、まずは安全であること、知名度があること、地元に歓迎ムードがあること、経済的メリットがあること等が挙げられるようです。

 発着地としての寄港地に求められるものとしては、乗下船客にとって便利であること、交通手段が整備されていること、ターミナル機能が整備されていること、外航時にスムーズな出入国──CIQですね──手続ができることなどが挙げられております。

 途中寄港地だけならそんなインフラ整備は必要ないでしょうが、国際拠点港湾としての位置づけでしょうから、いずれ港湾計画に入れる必要があると思います。

 この和歌山下津港は、貢米輸送船の寄港地として、また貨物港などと、その役割を果たしてきていますが、和歌山北港区、西浜岸壁のある本港区は、平成9年の港湾計画の見直し以来、20年以上がたちます。

 今後、港湾計画の見直しと客船ターミナルの整備についてのお考えを県土整備部長にお伺いいたします。

○議長(岸本 健君) 県土整備部長。

  〔髙松 諭君、登壇〕

○県土整備部長(髙松 諭君) 和歌山下津港の港湾計画の見直しと客船ターミナル整備に関する御質問をいただきました。

 和歌山下津港の主な役割といたしましては、和歌山北港区には日本製鉄株式会社和歌山製鉄所が立地しており、その鉄鋼関係の原材料を取り扱う港として、また和歌山本港区は、旧和歌山港発祥の地であり、現在では、内航外航コンテナや原塩、原木、砂利・砂及びセメント等、多岐に及ぶ総合的な流通の拠点としての役割を果たしているところでございます。

 現在の港湾計画につきましては、多田議員御指摘のとおり、20年以上前の平成9年に全面改定したものでありまして、その計画に基づき整備を進めているところでございますが、昨今の社会経済情勢や船舶の大型化、大型クルーズ船の寄港など、和歌山下津港を取り巻く環境は大きく変化していると、このように認識してございます。

 このようなことから、港湾計画の見直しが必要であると考え、昨年より、港湾利用者や関係機関の皆様方にヒアリングを実施しているところで、今後は、20年から30年先の和歌山下津港のあり方となる長期構想の策定、周辺環境の調査や船舶の航行安全検討などを行いまして、その結果を踏まえ、また、議員御提案の旅客船ターミナル設置が可能となるような配置も盛り込んだ、10年から15年先を見据えました港湾計画の改定を行ってまいりたいというふうに考えております。

○議長(岸本 健君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 ただいま県土整備部長から、港湾計画と客船ターミナルについては10年から15年先を見据えた港湾計画の改訂版をつくっていきたいと、こういう御答弁いただきました。

 知事に再質問さしていただきたいと思います。

 客船ターミナルの設置については、我が党の先輩・森正樹議員が、平成17年に、観光クルーズ船誘致とあわせて質問されております。そのときの県土整備部長の御答弁では、客船ターミナル設置については「研究をしてまいります」となっております。14年前ですから、もうそろそろ研究の成果をお出しいただきたいところです。

 1年に数回しか来ていない状況では、客船ターミナルの建設も難しいかもしれませんが、併用も含めて考えていただいたり、クルーズ船寄港をふやす努力も重ねてお願いをしたいと思います。

 みなと総合研究財団クルーズ総合研究所によると、ターミナル設置は船会社からすると選択肢として非常に有効ですし、受け入れ側もしやすくなると思います。

 和歌山市中央市場建設も始まり、道の駅も併設されると伺っております。西浜岸壁とは隣接していますので、一体としての港湾計画、客船ターミナル建設をお考えになられてはどうでしょうか。

 また、大阪・関西万博やIRを視野に入れると、当然、海上交通として港湾計画を急ぐ必要があると考えます。仁坂知事のその御所見をお伺いいたします。

○議長(岸本 健君) 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) クルーズ船というのは、これからの観光の振興のために大変な有力な武器になるというふうに考えております。したがって、誘致を一生懸命、先ほど部長が答弁申し上げましたように、最近やっとるんでございますが、多少の成果は出ておりますが、物すごくたくさん来てるところに比べると、まだまだでございます。

 これも一生懸命やらないといけないんだけども、例えば港へ着いた後、どういうふうな魅力を提供できるかというのが結局誘致の成否を左右するわけでございますんで、そういう意味では、旅客ターミナルみたいなのが岸壁にあると、それは絶対に有利なわけでございます。

 ただ、御指摘のように、コストパフォーマンスの問題もあるかもしれません。そのときに残念だなあと思っておるのは、例えば和歌山下津港にクルーズ船が着いたときに、バスへ乗って近くの観光地へ行っていただくという方々は、これは和歌山がちょっと他を圧して立派なものがたくさんあるというところがあるんですが、和歌山市でゆっくり楽しむという方が多分半分以上、今回の例もそうでございましょうが、あると思います。

 そのときに、議員御指摘のような⑥の写真のところがないのが、ちょっとつらいところでございまして、これをどうするか、そういうことをあわせて考えないといけないと思います。和歌山市もいろいろ苦慮していて、これを臨時的にこんな感じの機能をつくろうというようなことも、恒久的につくろうということも、いろいろ考えてくれているようであります。

 そういうことについて、市とも協力してやっていかないといけないというのが第一でございますが、もう一つは、着いた後、ここへ誘導する、あるいはその近くで買い物などができる、そういうところをつくっておくということも大事なんでございます。

 そのためには、実はこれから建て直そうということになっている和歌山市の卸売市場、これが大変な武器になるんじゃないかと私は思っております。ちょっと遠いんですけども、しかし、そんなに遠くありませんから、歩いて行けるようなうまいルートをつくって、それでバスの発着などもここを中心として考えていったら、帰ってこられた人が市場でたっぷり楽しんで、お買い物もされて、他にないようなメニューが提供できるというようなこともできるんじゃないか、そんなことも市長さんとも話をしたりしておりまして、これからそんな計画が立っていくようでございますが、一緒に協力して、この受け入れ体制を強力にしていくようなことをしながら誘致してまいりたいと考えております。(「IRはどうなった」と呼ぶ者あり)失礼しました。

 一つ忘れましたが、IRを誘致、一生懸命しようとしております。このときに、クルーズ船が和歌山港にたくさん来るというのは、これは大変な武器にこれまたなります。もちろん、大阪にできたら大阪に行かれる人もいると思いますし、大阪港に来て、あるいは万博に来た方々がこっちへ回ってくるということも期待していきたいと思うんですが、そのときに、クルーズ船ないしは航路によって、船でやってこられる方々がたくさん出ると、鬼に金棒になるわけでございます。

 したがって、そういうこともにらんで、整備について計画でちゃんとやっていきたいと考えております。

○議長(岸本 健君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 御答弁をいただきました。

 本当に港湾計画というのは、これからの時代にふさわしい計画をつくっていただきたいと思いますし、西浜一帯が本当ににぎわいを創出できるような、そんなことも期待をしながら今聞いておりました。

 続いての質問に移りたいと思います。

 続いて、岩橋千塚古墳群・紀伊風土記の丘について質問をいたします。

 この紀伊風土記の丘の古墳群について、この本会議で取り上げるのは、平成25年6月以来、今回で6度目になります。

 平成25年5月、紀伊風土記の丘古墳群を代表する大日山35号墳の公開見学会がありました。これをきっかけに、岩橋千塚古墳群・紀伊風土記の丘の成り立ちや発掘された埴輪に、この地でしか発見されていない重要埴輪や、研究者から大和朝廷時代第26代天皇とみなされている継体天皇、その陵墓とされている大阪府高槻市の今城塚古墳との関連。大和朝廷時代に朝廷の軍事部門の有力豪族として和歌山を治め、海上交通を利用して紀伊水道や瀬戸内、そして朝鮮半島や大陸まで活躍していたのではないかと想像をかき立てられました。

 私は、この大日山35号墳の麓に住んでおり、地元として毎日見てはいても気がつかない、いわゆる灯台もと暗し状態だったと反省をいたしました。

 最初に一般質問したときに、当時の教育長の答弁では、資料館の整備については、そのあり方を総合的に検討するというそっけない教育長答弁に終わりました。何も考えていないんではなかったのでしょうか。

 その後、岩橋千塚を守る会の方々が特別史跡岩橋千塚古墳群の拡張を求める請願と約1万5000人の署名を提出され、県議会でも採択をされております。

 時同じくして、古墳時代に生育していたクスノキが突如、紀の川からあらわれ、それを紀伊風土記の丘資料館の入り口に展示し一般公開したのが平成26年3月。これは仁坂知事の英断です。

 また、平成28年6月には、国の文化審議会が、大谷山22号墳と、下和佐と西にまたがる天王塚古墳を特別史跡に追加する答申が出ました。大日山35号墳から出土した埴輪全部で43点が重要文化財に指定されたのも、この年8月のことでした。岩橋千塚古墳群出土品では、初めての重要文化財となりました。

 平成29年3月から10年間の和歌山県長期総合計画を発表、この中に初めて特別史跡岩橋千塚古墳群・紀伊風土記の丘資料館の再編整備が盛り込まれました。

 また、この年から2年かけて航空レーザーによる地形測量を行い、指定候補地の土地調査や特別史跡追加指定の計画づくりと進んできております。そして、平成30年度から博物館構想に取り組んでいくと、昨年、平成30年2月県議会での御答弁もいただきました。

 今年度、平成31年度当初予算には、考古博物館土地購入関係費として約2億9800万円が上程され、可決・成立いたしました。考古博物館構想を取り上げたのが平成28年9月県議会。やっと建設計画に向け、大きく前進していただいたと考えております。地元住民の方々への説明も順調に進んでいるようです。

 3点、まとめて質問させていただきます。

 今後、考古民俗博物館構想をどのように進めていかれるのか。博物館建設計画の見通しやその規模などについてお聞きします。

 そして2点目に、現在の資料館は、松下幸之助氏から寄贈された歴史的建造物として文化財的価値もあることから、活用されるという方向性が示されております。新しい考古民俗博物館も隣接地にとの構想になっております。現在の資料館の活用について、お考えをお聞きしたいと思います。

 3点目に、航空レーザー測量の解析を終え、今後の整備計画と特別史跡への追加指定についてのお考え、また、岩橋千塚古墳群は和歌山平野の東側、紀の川南岸の岩橋山塊一帯に約900基の古墳が群集し、そのうち約500基の古墳が特別史跡に指定されております。今後整備を進めることで、文化・学術的な意義についてはどのようにお考えか、教育長にお尋ねしたいと思います。

○議長(岸本 健君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 岩橋千塚古墳群・紀伊風土記の丘の整備計画について、3点についてお答えをいたします。

 紀伊風土記の丘資料館の考古民俗博物館への再編については、本年6月に、和歌山県立考古民俗博物館基本構想を公表したところでございます。施設整備の方針は、歴史的建造物としての現資料館を保存・活用しながら、新館を建設することとして、加えて、体験広場、屋外展示、駐車場の整備も予定しています。

 新博物館の規模については、同種の博物館を参考に、現時点では、延べ床面積で、現資料館約2000平方メートル、新館約6000平方メートル程度を想定しています。現在、これらを整備するために必要となる土地の取得手続を進めています。さらに、今後の基本設計着手に向け、その準備も進めているところです。

 次に、現資料館につきましては、現行の外観を維持しながら、内部を改修し、活用したいと考えております。改修後の活用方法については、新館とあわせて、岩橋千塚古墳群を初め、和歌山の考古と民俗を融合的に学べる施設となるよう、今後、有識者等の御意見をいただきながら検討してまいります。

 最後に、特別史跡への追加指定の意義と今後の計画についてでございますが、岩橋千塚古墳群は、多くの古墳が密集することだけでなく、墳丘形態や石室構造の多様性が評価され、特別史跡に指定されています。

 しかしながら、約900基の古墳のうち特別史跡に指定されている古墳は約500基にとどまり、それ以外の古墳においては保護措置がとられていません。この中には、首長墓と考えられる全長50メートル以上の前方後円墳や、古墳時代終末期の直径約40メートルの円墳、1辺約40メートルの方墳が存在しています。

 このように、岩橋千塚古墳群の成り立ちや変遷、特色など、全体像を理解する上で、現在の特別史跡地内の古墳群だけでなく、未指定でも極めて重要な古墳があります。国内で2件しかない特別史跡の古墳群を将来にわたって守り伝えていくことは、我々の責務であります。

 今後、これら未指定の古墳群の調査を進め、追加指定を目指すとともに、重要な地域については土地を取得し、保存整備してまいりたいと考えてございます。

○議長(岸本 健君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 御答弁をいただきました。

 考古博物館は、国や都道府県の考古名を冠する博物館は、橿原考古学研究所附属博物館や宮崎県立西都原考古博物館など、現在6館しか存在しませんが、その中でも、考古、歴史と民俗が融合した新しい博物館として、オンリーワンとして、大いに期待をしていきたいと思っております。

 続いて、大きな3項目めに移ります。

 高齢者肺炎対策についてお伺いいたします。

 肺炎で亡くなる日本人の約98%は、65歳以上の高齢者となっております。本県においての死因別死亡数では、第1位が悪性新生物、いわゆるがんです。続いて、心疾患、心筋梗塞などが第2位となり、脳血管疾患、脳内出血、脳梗塞などを抜いて肺炎は第3位になっております。

 2015年の肺炎の年齢調整死亡率では、全国と比べても、男性は人口10万人当たり43.1で9位、女性は人口10万人当たりで17.7で13位、肺炎が原因で死亡される方が全国と比べても高いという状況になっております。

 高齢になると、発熱、せきといった肺炎の典型的な症状ではなく、元気がない、食欲がないといった様子しかあらわれないことがあります。そのため、御家族などが肺炎と気づかないうちに重症化する危険性があります。症状が急速に進み、突然、呼吸困難に陥ることもあります。

 また、御高齢の方が肺炎で入院すると、認知症の症状が起こったり、筋力が衰えたり、糖尿病や心臓の病気が悪化したりすることもあるようです。

 このように、肺炎は65歳以上の高齢者にとって、健康を大きく損なう病気であることを認識することが改めて大事なことだと考えております。

 肺炎を起こす大きな原因の一つに、肺炎球菌という菌があります。肺炎球菌は、莢膜という分厚い膜に包まれており、体の免疫からの攻撃に強く、体の中に入ると退治するのが難しいですし、肺で増殖し炎症が起こり、短時間のうちに重症化しやすい危険な細菌だとされております。

 日ごろ元気で健康的な毎日を送っている方でも、年をとると、体調の変化など、ちょっとしたことがきっかけで肺炎を起こしやすくなり、急激に症状が悪化することもあります。65歳以上の方にとって、肺炎は決して軽視できない疾患です。

 私の父親も、78歳のときに検査入院をしていたその病院で肺炎にかかり、日に日に体力が低下し、2週間余りで亡くなってしまいました。それまで元気だったので、とても信じがたい出来事となりました。

 肺炎球菌ワクチンを接種すると病気に対する免疫ができ、細菌が体内に侵入した際に発症を予防したり、症状を軽くしたりすることができるようです。

 肺炎球菌には90種類以上の型があり、日本で認可されている肺炎球菌ワクチンには23種類の型が含まれております。これで肺炎球菌による肺炎の約6割をカバーできると言われております。また、個人差はあるものの、ワクチンの予防効果は5年以上持続するとされております。

 県では、昨年、第七次保健医療計画を策定し、平成30年から平成35年までの県民の命と健康を守る方向性をお示しいただいております。

 質問の1点目として、肺炎が原因で県民の死亡率が高いというこの現状について、どのような認識をされているのか、また、その対策についてお尋ねをいたします。

 また、質問の2点目として、体力が低下してきてる高齢者にとって、肺炎になることを避けるため、国も重く受けとめ、平成26年10月から、高齢者の肺炎球菌感染症を防ぐための定期接種への取り組みが始まり、5年が経過しております。

 和歌山県の平均寿命は、男性、女性ともに全国平均からすると悪い状況です。肺炎が原因で亡くなる方もその一因となっております。この5年間で接種されていない方への周知や積極的なお知らせを市町村に促すべきと考えます。今後の対応について、福祉保健部長にお尋ねをいたします。

○議長(岸本 健君) 福祉保健部長宮本浩之君。

  〔宮本浩之君、登壇〕

○福祉保健部長(宮本浩之君) 高齢者の肺炎予防について、あわせてお答えを申し上げます。

 議員御指摘のとおり、本県における肺炎の死亡は高齢化とともに上昇し、近年減少傾向にあるものの、65歳以上の高齢者の主たる死亡の原因となっている現状は理解しております。

 肺炎球菌による肺炎は高齢者に多く、高齢者や基礎疾患を有する者は重症になりやすいことから、肺炎を予防するための対策の一つとして、高齢者の肺炎球菌感染症の予防接種が平成26年10月1日から予防接種法による定期接種となったところです。

 この予防接種は、感染症の蔓延防止を主目的として、対象者の接種努力義務や市町村の接種勧奨が規定されている麻疹などの予防接種と異なり、個人の感染予防や重症化予防を主目的に実施されるものであり、市町村の接種勧奨などが規定されていないため、個人の希望により行われるものです。

 しかしながら、本県においては、全国に先んじて高齢化が進行する中、定期予防接種の実施主体である市町村が高齢者の肺炎を予防するため、接種対象者に対して個別通知や広報誌等で制度の周知を行うとともに、必要に応じて未接種者への追加の周知を行うなど、地域の実情に応じて取り組みを進めています。さらに、低所得者には無料で接種できるように体制を整えているところです。

 県におきましては、ホームページや「出張!県政おはなし講座」で予防接種の制度についての周知を行うとともに、県民の皆さんが住所地に限らず県内どの市町村においても定期接種を受けることができるよう、予防接種広域化体制を構築し、予防接種を受けやすい環境整備を行っているところです。

 続いて、今後の対策でございますが、高齢者の肺炎球菌感染症ワクチンの接種は、国においても目標値が設定されていないことから、接種率に対する評価は困難ですが、直近の平成29年度の推計値を申し上げますと、全国41.2%に対し、本県は45.9%と、全国26位となっています。

 県としましては、今後とも、市町村とともに接種対象者が予防接種について正しく理解できるように、接種の基準、対象年齢や接種回数など、引き続き制度の周知に努め、高齢者の肺炎予防に取り組んでまいります。

○議長(岸本 健君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 最後の4点目の項目に入ります。

 まず、交通安全対策の一つ目として、花山交差点での交通安全対策についてお伺いをいたします。

 ここは、和歌山市東の玄関口として、朝夕の交通量も最も多いところです。道路も5差路と複雑な交差点となっており、直進車だけでなく、右折や左折と目まぐるしく車が行き交う上に、高速道路にも近いので渋滞箇所にもなっております。

 平成22年、そして平成27年のこの付近の道路交通センサスでは、24時間車両4万台を超えておりますし、県警察のホームページを確認いたしますと、花山交差点は交通事故多発交差点ランキングで毎年上位に位置づけされ、事故が大変多い交差点となっております。

 最初に、警察本部長にお伺いいたします。

 花山交差点での事故の状況、そして交通安全対策をどのようにお考えか、お聞かせください。

○議長(岸本 健君) 警察本部長檜垣重臣君。

  〔檜垣重臣君、登壇〕

○警察本部長(檜垣重臣君) 花山交差点につきましては、昨年1年間に、物件事故を含め33件の交通事故が発生しております。

 県警察といたしましては、街頭活動や交通状況に応じた信号機の適切な運用のほか、道路管理者に交差点改良を働きかけるなど、関係機関と連携した交通事故防止対策に取り組んでおります。

○議長(岸本 健君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 御答弁の中に交差点改良の話がありました。私も地元ですので、よく通ります。花山交差点の西側200メートルほど離れたところに花山西交差点があります。ここも事故の多いところですが、通勤時間帯には、この花山交差点と花山西交差点の間で滞留する車両があり、その交差点に無理をして進入する車があることが事故を起こす原因でもあろうかと考えられます。

 花山西交差点で東から西側に向けて走る車が新しくできました松島本渡線へ曲がる左折車線をつくる必要があると考えます。通称・宮街道は国道、県道とつながっていますが、当該の場所は国道ですので、国に強く働きかけていただきたい。花山西交差点改良について、県土整備部長にそのお考えをお聞きします。

○議長(岸本 健君) 県土整備部長。

  〔髙松 諭君、登壇〕

○県土整備部長(髙松 諭君) 花山西交差点の改良につきまして御質問をいただきました。

 国道24号花山西交差点付近から花山交差点付近については、道路管理者であります国土交通省近畿地方整備局に確認したところ、かねてから交通混雑及びそれに起因する交通事故が課題となっており、和歌山南スマートインターチェンジ開通後の調査では、渋滞長は減少したものの、依然として交通量が非常に多く、また花山西交差点では、東側からの交通量の約3分の1が左折をして南進、南へ進む車両であるということから、速度低下を招き、混雑している状況ということでございます。

 そうしたことから、国土交通省では、国道24号花山西交差点から和歌山インター南口交差点までの電線共同溝事業の中で、今年度の花山西交差点付近の電線共同溝の工事とあわせまして、道路区域内で東側からの左折専用車線を整備するなど、交差点の形状の見直しをするというふうに伺っております。

 県といたしましても、早期の整備完了を国に対してお願いしてまいります。

○議長(岸本 健君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 ただいま県土整備部長から、国交省の意向を確認していただきました。花山西交差点に東側からの左折専用レーンを整備していただけるようです。信号機設置もやっていただいて、交差点内の混雑緩和につなげていただきたいと思います。

 また、あわせて電線の地中化も計画しているということでございました。景観だけでなく、昨今、自然災害の中で、台風・地震などのとき、防災にもなります。ぜひよろしくお願いをしておきます。

 続いて、通学路の安全確保についてお伺いをいたします。

 ことし、県民、市民の皆様と会う機会が多かったこともあり、たくさんの御相談をいただきました。

 5月の川崎市でスクールバスを待っていた小学生ら20人が殺傷された事件や、大津市で車が保育園児らの列に突っ込み、16人が死傷した事故もありました。

 平成24年、亀岡市の事故を受けて、春と秋の全国交通安全運動の期間中に、通学路における集中的な交通指導取り締まりを全国一斉に行われているとお聞きしております。

 通学路の取り締まり状況と、本年における小学生が登校中に被害に遭った交通事故の発生状況について、警察本部長にお伺いをいたします。

○議長(岸本 健君) 警察本部長。

  〔檜垣重臣君、登壇〕

○警察本部長(檜垣重臣君) 令和元年春の交通安全運動期間中の5月16日に実施した通学路の全国一斉取り締まりでは、全国で、通行禁止や速度違反など1万360件を検挙しており、本県の検挙数は125件で、主な違反は通行禁止違反が39件、通行区分違反が21件でした。

 本年7月末現在、小学生が登校中に被害に遭った交通事故は4件で、うち3件が道路を横断中に車両と衝突したものであります。

○議長(岸本 健君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 平成24年、全国で登下校中の児童生徒が死傷する事故が相次いで発生したことから、各小学校の通学路において、関係機関と連携して緊急合同点検を実施し、必要な対策内容について協議、そして通学路交通安全プログラムを作成することになりました。

 本県でも、全ての市町村で通学路交通安全プログラムができておりますが、それはどのように活用されているのでしょうか。また、合同点検に県教委としてどのような役割を果たされているのか。通学路の安全については、大人の責任です。県教育委員会の責務について教育長にお尋ねをいたします。

○議長(岸本 健君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 通学路の安全確保につきましては、平成24年に県内一斉に緊急合同点検が実施され、それに基づいた対策は完了したと国に報告しています。

 その後、各市町村は、通学路の安全対策を講ずるための通学路交通安全プログラムを策定し、毎年、合同点検や推進会議などを行っています。その中では、さらなる対策が必要であると選定された箇所が確認されていますが、県教育委員会として掌握できていないところもございました。

 県教育委員会といたしましては、今後、警察や道路管理者などと連携を図るとともに、通学路交通安全プログラムや合同点検について、市町村教育委員会との情報共有と必要な指導助言に努め、県内全体の通学路の安全性の向上に努めてまいりたいと考えております。

○議長(岸本 健君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 今、御答弁をいただきましたけども、平成24年を基調として、本当に、国でいいますと文科省、それから国交省、それから警察庁が毎年のように点検をし、また、それをどう改めるかということをやっていただいておりますけども、この平成24年のときが一つの基点でしょうけども、このときに私はこの本会議場で、岡崎の小学校の付近のことを写真入りで御説明をさせていただきました。ひな壇にいらっしゃる中で覚えていただいてるのは、もう仁坂知事とか下副知事ぐらいしか、大分メンバーが変わりましたんで、覚えていただいてる方も少ないかと思いますけども、この箇所ももう対策が完了ということになってるそうなんですね。いまだにそれは危険性は変わってない状況でございます。点検結果やその対策、情報共有などに課題があることを指摘しておきます。

 今後は、もう一度、教育委員会、警察本部、県土整備部が情報共有を図り、県の立場としての安全対策を進めていっていただくように切にお願いを申し上げたいと思います。

 続いて、スクールゾーンの推進について質問を進めます。

 スクールゾーンとは、まさにすぐ近くに学校や幼稚園等があるので、自動車やバイクのドライバーは慎重に運転してくださいと注意を促すもので、子供たちを悲惨な交通事故から守ることができ、子供の安全を守る大変有効な手段であると考えられます。

 スクールゾーンの推進について、教育長のお考えをお聞きいたします。

○議長(岸本 健君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) スクールゾーンは、児童生徒の通学路の安全確保にとって大事な手段であります。有効に機能して子供たちの安全が確保されるためには、学校関係者、地域住民、警察及び道路管理者の連携協力が必要です。

 このような観点から、市町村教育委員会に対し、助言や情報提供を行ってまいります。

○議長(岸本 健君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 ぜひ進めていっていただきたいと思います。

 最後の質問に入ります。

 平成28年に、和歌山市神前の県道交差点で、横断歩道を渡っていた登校中の小学生2人が軽自動車にはねられる事故がありました。そこは、県道をまたぐ通学路になっており、横断歩道やカーブミラーも設置されておりましたが、運転者の不注意で事故につながったようです。関係者からの御相談もいただき、この議場でも取り上げさせていただきました。

 その後、資料の2ページにございますような、写真のようなカラー舗装にしていただきました。

 和歌山県は、信号機のない横断歩道で一時停止しないドライバーが多く、ワースト3位という発表です。警察の取り締まりも必要ですが、通学路で信号機のない横断歩道を注意喚起するためにも、県道をカラー舗装などにして注意喚起すべきと考えますが、道路管理者である県土整備部長、そのお考えについてお尋ねをいたします。

○議長(岸本 健君) 県土整備部長。

  〔髙松 諭君、登壇〕

○県土整備部長(髙松 諭君) 道路のカラー舗装などの注意喚起の取り組みに関して御質問いただきました。

 車道部のカラー舗装は、これまで、事故の危険性が高い交差点や急カーブの手前において、車両相互の事故防止や通行車両の速度抑制を目的に実施してきたところでございます。

 歩行者に対する交通安全対策につきましては、本年5月に滋賀県大津市で発生いたしました園児の死亡事故や、本県における信号機のない横断歩道での車の一時停止率が全国ワースト3位との調査結果を踏まえ、現在、警察と連携し、対策を検討しているところでございます。

 その中で、多田議員御提案の注意喚起のための横断歩道手前でのカラー舗装につきましては、道路管理者ができる有効な対策の一つであると、このように考えております。

 通学路や未就学児を中心に子供が日常的に集団で移動する経路、こういった道路の安全確保を図ることは極めて重要であると認識しておりますので、引き続き、教育委員会や警察等関係機関とも連携しながら、カラー舗装のほか、防護柵や道路標識の設置、路面標示等、歩行者に対する交通安全対策について、市町村の道路管理者への働きかけも含め、積極的に取り組んでまいりたい、このように考えておるところでございます。

○議長(岸本 健君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 御答弁、大変にありがとうございました。これで、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(岸本 健君) 以上で、多田純一君の質問が終了いたしました。

 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。

 この際、暫時休憩いたします。

  午前11時37分休憩

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  午後1時0分再開

○議長(岸本 健君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 37番高田由一君。

  〔高田由一君、登壇〕(拍手)

○高田由一君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問をさせていただきます。

 質問に入ります前に、このたびの台風15号により、千葉県内を中心に甚大な被害が出ております。そして、いまだに収束が見えていません。心からお見舞いを申し上げるものです。

 ちょうど私のこのたびの質問は、この被害に遭われた皆さんへの支援をどうやっていくかという、その点で質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 最初に、被災者生活再建支援制度について伺います。

 この制度は、阪神・淡路大震災をきっかけに生まれましたが、当初は住宅の被害については私有財産への公費の投入に抵抗があり、当時、村山富市さんが総理大臣でしたが、「自然災害により個人が被害を受けた場合には、自助努力による回復が原則である」と発言されておりました。

 その後、大きな運動の中でこの制度が1998年に成立し、自然災害により住民が生活基盤に著しい被害を受けた場合、都道府県が拠出をした基金を活用して、その生活の再建を支援することになりました。その後、2004年、そして2007年に大幅な法改正があり、現行制度に至っています。

 当初は最大100万円で、対象とする経費も家財道具や引っ越し代だけでしたが、2004年の改正で住宅の解体撤去費用などにも適用されるようになりました。07年の改正では、全壊、大規模半壊など被害の程度により使途を定めず、定額を渡し切る方式になりました。これにより、全壊したものを新たに建設する場合は、最大300万円が支給されるようになりました。また、当初はあった収入要件も撤廃されてきました。

 この間、大規模な災害が多発してきました。2011年には東日本大震災と紀伊半島大水害、2015年には関東・東北豪雨、2016年の熊本地震、2018年の北海道胆振東部地震、西日本豪雨などです。

 和歌山県内においても、紀伊半島大水害のときにはこの制度により被災者の生活再建への支援が行われ、多くの県民が助けられました。また、県も、国の支援金に当時としては最高レベルの上乗せ補助をして対応をしていただきました。この決断は素早く、私は知事の英断だったと考えます。

 ただ、時間の経過の中で、国の制度にも不十分さがあることも浮かび上がってきました。まず、制度の対象となるのは、基本的に10世帯以上の住宅全壊被害が発生した市町村、あるいは100世帯以上の住宅全壊被害が発生した都道府県となっていて、極めて大規模な災害でないと適用にならないことです。

 このような要件があるため、例えば2011年の紀伊半島大水害では、和歌山県内では県内全域でこの制度が適用されましたが、三重県では熊野市、紀宝町が適用となったものの、全壊した住家のあった津市や大台町が適用外となりました。

 このように、同一の災害にもかかわらず、災害規模の要件のため適用されない場合があります。同じ程度の被害を受けても、住んでいる県、市町村によって適用されない場合があり、不公平だとの声が出るのも当然です。

 また、住宅被害については、基本的に大規模半壊以上の判定がないと支援金を受けられず、紀伊半島大水害の場合でいうと、半壊以上の被害を受けた住家数全体の3分の1から4分の1以下しかこの支給対象とならなかったのではと言われています。

 こうした問題点があることは、この間、全国知事会でも議論になっております。一部地域が適用対象となるような自然災害が発生した場合には、全ての被災区域を支援の対象とするということや、住宅の半壊についても支援対象とすることなどが検討され、昨年11月に知事会の提言としてまとめられております。

 このような中で、和歌山県では、県単独の被災者支援制度としては、現在、災害見舞金制度があります。私は、この県単の制度を充実させることを求める立場から、以下質問をいたしたいと思います。

 まず、和歌山県の災害見舞金制度について伺います。

 現行の災害見舞金制度はいつからできて、どのような被害に対して幾らの見舞金が出るでしょうか。また、今後見舞金を充実させるお考えはあるでしょうか。福祉保健部長の御答弁をお願いしたいと思います。

○議長(岸本 健君) ただいまの高田由一君の質問に対する答弁を求めます。

 福祉保健部長宮本浩之君。

  〔宮本浩之君、登壇〕

○福祉保健部長(宮本浩之君) 災害見舞金制度は、昭和42年に創設し、その後4回の見直しを経て、現行の見舞金の額については、被害の程度に応じて、住家の被害に対して全壊が1万円、半壊と床上浸水が5000円、人的被害に対して、死亡と行方不明者が5万円、重傷が5000円となっております。

 こうした中、災害で被災された方への支援については、平成10年に大規模な災害を受けた地域の復興を速やかに進める観点から、都道府県が拠出し合って造成した基金と国庫補助金を財源にして、全壊の場合は最大300万円、大規模半壊の場合は最大250万円を支給するなど、生活基盤に著しい被害を受けた個人に対して支援する被災者生活再建支援制度が設けられたところです。

 本県の災害見舞金制度は、被災された方を慰労、激励するため、被害の程度も半壊、床上浸水以上を対象とするなど、対象を幅広くしており、今後も引き続き、現行の制度の中で実施してまいります。

○議長(岸本 健君) 高田由一君。

  〔高田由一君、登壇〕

○高田由一君 答弁をいただきました。

 今の県の見舞金制度というのは、現行のようになったのが平成元年、つまり1989年というふうに伺っております。先ほども申し上げましたとおり、1995年には阪神・淡路の震災、その後の被災者生活再建支援法の制定など、被災者への支援は、この間大きく充実をされてきたと思います。

 しかし、この間、県の見舞金ということでは充実がなかったのではないでしょうか。例えば、床上浸水の見舞金5000円という御答弁でした。これについては、実は市町村もかなり頑張っていただいています。私の地元の白浜町では、県が床上浸水5000円に対して、白浜町の床上浸水は2万円、田辺市でも同じく2万円、参考に、和歌山市では3万円、海南市でも3万円となっています。その他の市町村も、見舞金を県の制度よりもより多く支援をしていただいています。

 なぜ県が5000円なんでしょうか。現行の制度として実施していくという部長の御答弁でしたが、制度のたてつけとしてはいいのかもしれませんが、県としてもやはりこの金額の面でも充実をさせていただけないでしょうか。これは、再質問とさせていただきます。

○議長(岸本 健君) 福祉保健部長。

  〔宮本浩之君、登壇〕

○福祉保健部長(宮本浩之君) 先ほども申し上げましたとおり、災害復旧についての制度というのは被災者再建支援制度を持っておりまして、これは市町村とともに被災者の方を激励するための制度でありますから、現行の制度で対応していくことと考えております。

○議長(岸本 健君) 高田由一君。

  〔高田由一君、登壇〕

○高田由一君 今、被災者生活再建支援制度とあわせてという御答弁もありましたが、私はこの見舞金自身をぜひ充実させていただきたいということを、まず強く要望させていただきたいと思います。

 その上で、2問目、県独自の被災者生活再建支援制度が必要ではというところに入ります。

 和歌山県でも、住宅の半壊や一部損壊、床上浸水も対象とした県独自の被災者生活再建支援制度をつくるようにしてはいかがでしょうか。

 配付資料を御説明申し上げます。

 これは、島根県の現行の被災者生活再建支援制度、県単独の分ですが、なぜ島根県かというと、大変制度のたてつけがわかりやすいので、参考にコピーをさせていただきました。

 上からの2-(2)のところにも対象となる災害の程度が書かれておりますように、法に定める規模に達しない程度の小規模災害で、被害戸数1戸から対応するような制度になっております。

 下の表では、この制度の対象として、全壊、大規模半壊はもちろん、半壊や一部損壊でも補修の費用として、半壊で100万円、一部損壊で40万円という支援をする、こういうことが記入をされております。

 この島根県の制度ですが、実は昨年の島根県西部地震を受けて、それまであった制度を充実させたと伺いました。島根県西部地震では、大方の被害が実は一部損壊ということで、1500棟近くの被害が出ました。それに応えるように、資料でごらんのように、小規模災害でも半壊100万円、一部損壊で40万という支援をするという内容です。つい最近ですが、長野県でもこの県単独の制度をつくりました。国の支援法が適用されない災害でも、住宅半壊に50万円が出るようになりました。

 内閣府の資料が出ておりますが、都道府県で、災害規模や要件にかかわらず、住宅の半壊や一部損壊、床上浸水などに支援金を出している府県がかなりふえてきています。

 ぜひ和歌山県でも、そうした県単独の制度をつくっていただきたいと思いますが、部長の答弁をお願いします。

○議長(岸本 健君) 福祉保健部長。

  〔宮本浩之君、登壇〕

○福祉保健部長(宮本浩之君) 本来、個人の財産である住宅の被害の復旧については個人の責任で行うことが基本ですが、自然災害により広範囲で大きな被害を受けた場合などには、地域が本来持つ再生しようとする力が失われないよう公的支援を行い、短期間で復興をなし遂げる必要があると考えます。

 こうした被災住宅の復旧支援に当たっては、被害が広域にわたると、単独の自治体で対応するには負担が大きくなり過ぎることから、平成10年に都道府県が相互扶助の観点から拠出して造成した基金と国庫補助金を財源として、一定の条件のもと、生活基盤に著しい被害を受けた個人に対して支援する被災者生活再建支援制度が設けられたことは、先ほど申し上げたとおりです。

 しかしながら、平成23年の紀伊半島大水害では、想像をはるかに超える住家被害が発生し、被災者生活再建支援制度による支援のみでは、生活の拠点である住宅の再建が困難な世帯も多数に上ると考えられたことから、最大150万円の県単独の上乗せ補助制度を創設し、被災者の住宅再建を支援したところです。

 今後も、それぞれの災害の状況を踏まえ、県単独の上乗せ補助や制度の適用対象区域の拡大など、必要に応じて柔軟に対応してまいります。

 加えて、昨今、全国各地で発生している災害を見ると、現行の制度では対象とならない半壊の住宅が極めて多数に上る災害や、従来の概念を覆すような広域にわたる災害が発生していることから、被災者生活再建支援制度がより地域の復興に寄与するよう、対象となる被害の程度や地域の拡大について、引き続き全国知事会を通じて国に対して要望してまいります。

○議長(岸本 健君) 高田由一君。

  〔高田由一君、登壇〕

○高田由一君 答弁をいただきました。

 例えば、これもまた別の県であれですが、福井県のように制度の枠組みだけつくっておいて、半壊で200万円、床上浸水で50万円の支援を市町村と協力して行うことにして、実際に災害が起こったときに適用するかどうかは、その必要に応じてそのときに検討するという、そんな柔軟な制度をつくっている県もあるようです。

 昨年は8月23日の台風20号、続いて9月3日の台風21号、さらに9月30日の台風24号と連続する被害が私どもの地方ではありました。地域によっては2回連続でやられているところがあります。こうした災害が本当に多発している状況から見て、私は県制度がどうしても必要だと考えております。

 8年前の紀伊半島の水害と昨年の台風による水害で、どちらも床上浸水をしたという白浜町内の地域も実際にございます。8年前には、激甚災害ということで全国からの義援金も多く寄せられました。そして、その中で、床上浸水ですと義援金から13万円、それから半壊ですと25万円が当時義援金から配分をされました。大変ありがたかったという声を聞いております。

 でも一方で、昨年の台風被害では、同じ床上浸水でも県と市町村の──先ほども討論しましたが、この見舞金だけというところもございます。

 私は、特に自分の住んでいる西牟婁郡を思い起こすとき、過疎化や高齢化が進み、集落によっては一旦被災すると修繕の費用も出せない、年金しか主な収入がない高齢者世帯が多い現実があります。私は、ぜひこの県制度というのを考えていただきたいと思いますが、ぜひ部長、もう一度前向きな御答弁をいただけないでしょうか、お願いします。

○議長(岸本 健君) 福祉保健部長。

  〔宮本浩之君、登壇〕

○福祉保健部長(宮本浩之君) 確かに議員の言われるとおり、制度を先につくっておくという考え方も一つにはあるかと思います。

 しかしながら、現行の災害の形態を見ますと、その制度そのものを覆すような形態がもう過去多数起こってます。ですから、そのケースによりまして被害の状況に対応して、その場で対応して考えていくというのが本県の求められる対応だと考えます。

○議長(岸本 健君) 高田由一君。

  〔高田由一君、登壇〕

○高田由一君 その災害に応じて制度を考えていただく、これは本当にそのとおりだというふうに思います。ただ、紀伊半島の水害のときにもやはり半壊や一部損壊というのには、これは義援金の対象にはなりましたけども、この制度の対象にならないということで、今回私がお話ししたような昨今の台風で極めて小さな規模で被害が起きますと、大変矛盾が出てくると私は思います。

 部長も言われましたが、全国知事会でも検討中ということもございますし、私は知事にこの際、この県単の制度について、ぜひ拡充をしていただきたいと思いますが、知事のお考えについて、知事に対して再質問をさせていただきたいと思います。

○議長(岸本 健君) 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 部長から御答弁申し上げましたように、災害というのはいろんな形をとってまいりますので、やっぱり状況を見て必要な手を果敢に打っていくということが大事なんじゃないかな。初めからああいう表をつくるというのは、ちょっと違うん違うかなあという気がするんですが、引き続きよく考え続けていきたいと思います。

○議長(岸本 健君) 高田由一君。

  〔高田由一君、登壇〕

○高田由一君 答弁をいただきました。

 私は、やはり今、制度の対象になってない半壊、床上浸水、一部損壊などにきめ細かく対応していただける県制度を要望したいと思います。

 特にこの問題では、ここに内閣府の発表した資料もございますが、再建支援法の適用条件に満たない規模の災害について、県や市町が支援を講ずるときには裏打ちの財政措置も半分特別交付税でしますというようなことも書かれております。ぜひ前向きに御検討いただくよう要望して、この項目の質問を終わります。

 次に、河川整備について伺います。

 まず、第1番目は、周参見川水系の河川整備計画策定をということです。

 私は、2011年紀伊半島大水害直後の9月県議会でしたが、河川整備計画の策定がおくれている問題を取り上げ、当時の県土整備部長から「河川整備計画の早期策定に努めてまいります」との御答弁をいただきました。当時は、県が管理責任を持つ1級水系のうち2圏域、2級水系のうち6水系で河川整備計画が策定されているのみでありました。

 その後の取り組みで昨年度末には、1級水系で、全県で五つの圏域のうち4圏域で、また2級水系では、全県85水系のうち15水系まで前進をしてきたと伺っています。ここまで来て、河川の流域面積というこの点で見れば、かなりの部分をカバーしているということが言えると思いますが、整備計画自身のペースはせいぜい1年に1河川、これでは85水系全ての策定が終わるのはいつになることかと思っています。

 そこで伺います。今後の河川整備計画策定の推進についてどのようなお考えなのか、県土整備部長の答弁をお願いします。

 同時に、中でも周参見川については、今のところ全く手がついていないと思いますが、策定が残っている2級水系の中でも、私は防災上重要な位置を占めていると考えております。周参見川水系の河川整備計画の策定に向け、早急に動き出す必要があると考えます。県土整備部長の答弁をお願いしたいと思います。

○議長(岸本 健君) 県土整備部長髙松 諭君。

  〔髙松 諭君、登壇〕

○県土整備部長(髙松 諭君) 県管理河川の河川整備計画の策定並びに周参見川の河川整備計画の状況に関してお尋ねをいただきました。

 河川整備計画は、長期的な整備の基本的な方向性や考え方を示しました河川整備基本方針に基づきまして、向こう20年から30年の具体的な整備内容について策定するものとしております。

 この河川整備計画につきましては、現在までに19の計画を策定しております。これは、県管理河川の流域面積全体の約8割程度に当たります。残る河川の河川整備計画につきましても着実に進めていく所存でございます。

 高田議員から御指摘のございました周参見川につきましては、すさみ町の中心部を流れる河川でありますことから、昨年度から河川整備基本方針の策定に向けた基礎調査に取り組んでいるところでございます。

○議長(岸本 健君) 高田由一君。

  〔高田由一君、登壇〕

○高田由一君 答弁をいただきました。

 周参見川の整備計画については、基礎調査に取り組んでいただいてるというところです。ぜひ早急に整備計画が策定できるよう要望させていただきます。

 次に、二つ目の項目、富田川について伺います。

 富田川については、国の交付金も活用して河床掘削や流下を阻害する樹木の伐採等取り組んでいただいております。かなり河川が流れやすくなったというのが地元の方の感想です。引き続き、よろしくお願いをいたします。

 特に今回取り上げるのは、国道42号の通行にも関係する白浜町内の築堤、堤防をつくる、これを予定している区間についてです。

 ここ国道42号は、県の緊急輸送道路でもあり、同時にことし4月には国のほうから重要物流道路に指定されたと伺いました。これは、平常時、災害時を問わない安定的な輸送を確保するため、国土交通大臣が物流上重要な道路輸送網を指定するもので、機能強化や重点支援を実施するとされています。

 ところが、この国道42号の白浜町内の区間は、全くこの富田川と並行して走っておりまして、洪水時には堤防のかわりになっている42号線を乗り越えて水があふれ、富田川流域の中でも住宅が比較的多い地域にもかかわらず、たびたび浸水被害が出ている状況です。

 重要物流という点でも、住宅被害が多発をしているという点でも、早急に築堤が必要ではないかと思いますが、県土整備部長のお考えをお示しいただければと思います。

○議長(岸本 健君) 県土整備部長。

  〔髙松 諭君、登壇〕

○県土整備部長(髙松 諭君) 富田川の河川の整備に関する御質問をいただきました。

 河川工事は、上流から行うと下流の未改修区間との間に狭窄部が発生いたしまして、そこから越水などの被害が生じるおそれがあることから、下流から上流に向かって整備を行っていくということが基本とされてございます。

 また、富田川におきましては、治水効果が背後地に限定される築堤と比べ、河道掘削は工事区間のみならず、その上流あるいは支川に対しても水位が低下するという効果が発揮されますことから、まずは河道掘削を先行する必要があると、このように考えております。このため、富田川では下流から河道掘削を進めているところでございます。

 この富田川の河川整備につきましては、県議会の皆様、県選出の国会議員の皆様を初め、関係の方々の御尽力により成立いたしました防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策の予算を最大限活用するなどしまして、引き続き河川の事業の進捗に努めてまいりたいというふうに考えております。

○議長(岸本 健君) 高田由一君。

  〔高田由一君、登壇〕

○高田由一君 答弁をいただきました。

 河道掘削を先行させて実施をしていくというお話でした。私は、河道掘削、本当に効果があると感じております。それを否定するつもりはもう全くございません。しかし一方で、堤防があと少しでも高さのあるものがあれば水が入ってきてなかったのにという床上浸水などを繰り返している、そういう地元の声を、私はそれも大切に考えたいと思います。

 今後、私は、やはり国道42号ということで横を走っているわけですから、これは国交省のほうともぜひ連携をして、県としても取り組んでいただきたいという、このことを要望させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 3点目の洪水浸水想定区域図公表の見通しです。

 私は、2013年の12月議会で、洪水ハザードマップの見直しについて質問させていただきました。これまでの洪水ハザードマップは、河川整備の基本方針で目標とする規模の洪水が起こったときに、これだけ川から水があふれますというものです。しかし、それでは想定外の洪水から逃げられなくなるということをそのときには問題提起させていただきました。そのときの県の答弁は、「紀伊半島大水害を受けて、計画規模を超える洪水に対する浸水想定区域の洪水レベルの考え方やその活用の方策などについて検討を行っているところです」というものでした。

 その後、2015年に水防法が改正をされました。想定される最大規模降雨による洪水浸水想定区域図を作成、公表することになりました。これは、市町村が洪水ハザードマップをつくるもとになるものであり、公表が急がれています。

 県土整備部では、本年2月現在、和歌山県が管理する洪水予報河川、水位周知河川の20河川のうち7河川で洪水浸水想定区域図を公表済みでありますが、残る13河川についても引き続き作成を進め、順次公表してまいりますと言われていますが、今後の公表予定はどのようになっているでしょうか。答弁をお願いしたいと思います。

○議長(岸本 健君) 県土整備部長。

  〔髙松 諭君、登壇〕

○県土整備部長(髙松 諭君) 洪水浸水想定区域図の公表につきましてお尋ねをいただきました。

 想定最大規模降雨によります洪水浸水想定区域図につきましては、和歌山県が管理いたします洪水予報河川と水位周知河川を合わせた20の河川のうち、有田川などの7河川について本年2月の知事記者会見におきまして公表を行ったところでございます。

 残る13河川につきましては、その記者会見時に「来年度、できれば全部完成させて発表したい」と知事から申し上げたとおりでございまして、今年度内の公表を目指して、現在、作業を進めておるという状況でございます。

○議長(岸本 健君) 高田由一君。

  〔高田由一君、登壇〕

○高田由一君 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、4点目の質問に入ります。県営ダムについての項目です。

 昨年8月23日に襲来をした台風20号では、古座川町でも5軒の床上浸水被害が出ました。また、七川ダムでは、異常洪水時防災操作といってダムに流入した分をそのまま放流をする、この操作に入る寸前のところで回避したといいます。

 この七川ダムの問題も、私は2011年の9月県議会の質問で取り上げてまいりました。七川ダムは、昭和31年に完成したもので、設計や洪水についての考え方自体が今では古過ぎるものになっているのではないかということを指摘しました。例えば8年前の紀伊半島大水害時の12号台風の洪水でも、ダムへの最大の流入量は計画を下回っているんです。ですが、放流量は何と計画の4倍も放っています。これは、雨が長時間継続して降ったため起きたことです。

 ところが、昨年の台風20号のときのように、七川ダムが最も洪水を制御しやすい、得意のはずの、ざっと雨が降ってすっとやんでいくと、こういう降雨のパターンでも、先ほどのようにただし書き操作の寸前になったわけです。このときダム近くの西川というアメダスでは、午後4時ころから雨足が強まり始め、その後、夜の10時で80ミリ近く降り、夜中の12時ごろ、ダムに流入する量が最大になったといいます。確かによく降りましたが、よく降ったといっても8時間前後の強雨の継続で、それであっぷあっぷの状態になってしまったという状況です。

 これは大変だということで、知事もその後の災害対策本部の会合で「運用についてじっくり検証してみる必要がある。あんな短期間ですごい雨が降り、ダムがあっという間に危なくなったのはショックだ。改善する余地はないか考えていきたい」と話されたと報道にあります。

 古座川では、計画規模の洪水が起きた場合、その7割以上の洪水の水を七川ダムで受けとめて、下流には3割程度しか流さない、こういういわばダムに頼り切った治水計画となっているという大きな弱点があると私は考えています。県が想定する雨がそのとおりに降ってくれれば、このダムは治水機能を発揮するのでしょうが、自然相手にそのような想定は通用しないと思います。まさに、絵に描いた餅になっているのではないでしょうか。

 そこでお尋ねします。

 ダムの運用検証を行われたようですが、その結果、改善の余地はあるということになったのでしょうか。

 また、私は、ダム自体の改良が必要ではないかと考えますが、二川ダムや椿山ダムなど、ほかの県営ダムも含めて、ダムを改良するためのダム再生事業という国の補助事業があります。その実施ができないか検討を始められてはどうでしょうか。県土整備部長の答弁をお願いします。

○議長(岸本 健君) 県土整備部長。

  〔髙松 諭君、登壇〕

○県土整備部長(髙松 諭君) 七川ダムの運用、それからダムの再生事業に関するお尋ねを頂戴いたしました。

 七川ダムでは、平成24年6月から事前放流の運用を行っていますが、物理的に低下可能な水位を目標水位としておりますので、これ以上容量を確保する余地はございません。

 また、七川ダムの水位が低下した状態においての放流につきましては、ダムの下のほうにございますコンジットゲートというところから行っておりますけれども、この放流量の大小というのは水圧の大小によって決まるという状況でございます。そのため、ダムへの流入量が多くなると、流入量と同量以上の放流を行うことができなくなりまして、下げた水位の維持ができず、水位が上昇するということがございます。

 これらのことから、事前放流により確保できる理論上の最大容量全てを有効に活用することは不可能でございまして、その意味での改善の余地はないというふうに考えております。

 また、御指摘のございましたダムの再生事業についてでございますけれども、一般的に数十億円から数百億円の多額の整備費用が必要でございまして、県管理ダム下流域における浸水被害の軽減から得られる便益等を考えますと、実施することは大変困難ではないかというふうに考えております。

 一方で、下流の河川の整備が完了しておらず、ダムからの放流量に制約があるという場合におきましては、下流の河川の河道掘削や堤防の整備により流下能力を向上させれば、ダムの放流量を増加することが可能になるという状況でございます。放流量の増加につきましては、出水時のダムの容量を温存させることにつながりまして、その結果、洪水調節機能の向上を図るということができるというふうになります。古座川につきましてはこの場合に該当しますので、現在進めております河川整備計画に基づいて、ダム下流の河川整備の進捗を図ってまいりたいというふうに考えております。

○議長(岸本 健君) 高田由一君。

  〔高田由一君、登壇〕

○高田由一君 答弁をいただきました。

 ダム下流の河川整備をしっかりして、ダムからようさん水が出されても、それが安全に流せるようにするという御趣旨だったと思います。そのこと自体は非常に大事だというふうに思います。ただ、それにしてもダムの機能が、部長の答弁にあるように、十分、じゃあ河川整備に見合って放流ができるのかどうかというのは、一つの今後の論点になってくると思います。

 私は、今、河川整備計画が古座川で策定されつつあると伺っておりますが、ぜひ、将来的にはダムの堤体あるいは放流のシステムの改良自体が必要になってくると考えておりますので、その点も含めて今後御検討いただきますようお願いしたいというふうに思います。これは要望です。

 では、最後の項目です。核関連施設についての質問です。

 安倍内閣が2018年7月に閣議決定をしたエネルギー基本計画は、原発を重要なベースロード電源と位置づけ、2030年度に電力の20から22%を原発で賄うことなどを明記しました。

 現在、関西電力管内の四つの原発を含め、九つの原発が再稼働をされています。それでも発電量に占める原発の割合は約3%です。これを政府の言うように20%に上げようとすれば、廃炉が決定されたものを除き、既存の原発だけでは足りません。建設が進んでいる島根3号機や大間原発、さらに、今後本格的な建設が予定をされている東通原発も含めて、新増設をしなければこの政府目標には到達することができません。原発依存社会への逆戻りになるのではないでしょうか。

 このたびの参議院選挙では、市民連合と野党5党が合意をした13項目の共通政策の中で、憲法第9条改定に反対することなどと同時に、地元合意などのないままの原発再稼働を認めず、再生可能エネルギーを中心とした新しいエネルギー政策の確立と地域社会再生により原発ゼロ実現を目指すという、この項目が盛り込まれましたが、これが野党の共通政策になったのは、やはりどの世論調査を見ても原発再稼働に反対をする声や原発ゼロを求めている声が多数だからであります。

 また、関西電力管内で動いている四つの原発では、今公表されている資料でもほぼ9割方、使用済み核燃料を貯蔵するプールが満杯になってきております。その使用済み核燃料を貯蔵しておく施設もいまだ建設の見通しがなく、さらに、使用済み核燃料の再処理の後できる高レベル放射性廃棄物の処分に至っては、何のめども立っていません。自分がみずから出すごみの処分方法もちゃんと決まっていないのに、さらに再稼働を進めるというのでしょうか。

 こうした状況と国民の声に応えるなら、私はこれ以上の再稼働は許されるべきではないと考えます。こうした基本的立場を表明した上で、今回は使用済み核燃料の中間貯蔵施設にかかわって質問をいたします。

 私の住む白浜町では、住民団体を中心に、この使用済み核燃料の貯蔵施設が白浜町の旧日置川地域にある関西電力の土地などに持ってこられるんじゃないかと心配の声があります。それは2017年の11月、大飯原発3、4号炉の再稼働に当時の福井県知事が同意をした際、知事と面会した関電・岩根社長が、福井県外において2018年に具体的な計画地点を示すと明言したからであります。その後、昨年末に関電が2018年中の計画地点を提示することは断念ということで、いまだに白浜町内では心配の声が上がっている状態です。

 知事は、ことしの2月の県議会で、谷口議員の質問に対し、和歌山県の地理的条件や巨大地震の心配などもあり、「最終処分場はもとより、中間貯蔵地としても最もふさわしくないところであることは理論的に明らかで、本県においてこういう調査を受け入れる考えはございません」と明確に答弁をされています。

 実は、かつて京都府でも同じ議論がされておりました。京都府の山田前知事は、2015年6月の府議会で次のように答弁しています。「舞鶴市長が市議会において中間貯蔵施設の建設は認められない旨を表明しましたし、宮津市では議員提案の『ふるさと宮津を守り育てる条例』が全会一致で可決されまして、事実上反対の姿勢を明確に宣言された」、「京都府も両市の姿勢を踏まえ、同一歩調をとってまいりたい」、このように山田前知事は答弁をされたわけです。

 その後、新聞報道などによりますと、2015年の12月、山田前知事が関西電力の八木社長と会談をして「候補地になる考えはない」と表明をされ、これに対して八木社長は「地元同意なく進めることはない。舞鶴市や宮津市では考えていない」と明言をされたそうです。関西電力の社長が、反対の姿勢が明確な市町村にはつくらないという約束をした意味は、私は大きいと思います。

 そこで、知事に伺いたいと思います。

 これまで記者会見や県議会などで知事の立場を表明されてきたわけですが、関西電力のほうと会って「和歌山県では受け入れません」と直接伝えることも必要かと考えますが、いかがでしょうか。

 その上で、この間の知事の発言を拝見しますと、原発にしても高レベル放射性廃棄物や使用済み核燃料の中間貯蔵施設にしても、和歌山県はその設置場所としてふさわしくないということを言われておりますので、この際、北海道で制定をされましたが、北海道における特定放射性廃棄物に関する条例のように、県として核関連の施設を受け入れない、このことを条例化して県内外に発信するということにされてはどうでしょうか。このことについて、知事の御答弁をお願いします。

○議長(岸本 健君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 高レベル放射性廃棄物の最終処分地については、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律において、国は、その調査、選定に際し、「所在地を管轄する都道府県知事及び市町村長の意見を聴き、これを十分に尊重してしなければならない」と規定されており、地元自治体が反対の場合には次の段階に進まないことになっております。

 中間貯蔵施設の設置についても、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(原子炉等規制法)において、貯蔵設備を設置して事業を行おうとする場合は、原子力規制委員会の許可を受ける必要があり、安全性を確保するための厳格な措置が義務づけられております。

 最終処分地であれ中間貯蔵施設であれ、和歌山の地理的状況や、あるいは理論的にも、和歌山へこれを持ってくることは合理性を欠きますので、受け入れるつもりはありません。この考え方は、答弁には書いておりますが、先ほどおっしゃっていただきましたので、谷口和樹議員に対して申し上げたとおりであります。

 県としてこのような立場をとっていることは、既にもちろん関西電力に伝えております。このことについては、平成28年1月19日の記者会見で「関西電力から中間貯蔵施設の打診をされているのか」という質問に対して、「『打診をすることも許さん、打診なんかするなよ』、『そんなことあり得ないでしょ』と既に関西電力に言ってあります」とお答えしております。

 また、条例は法律と一緒で、基本的には義務を課したり権利を制限したりするために制定するものでございますが、最終処分地や中間貯蔵施設の建設を受け入れないという意思を表明することは、この性質になじむものとは思えません。

○議長(岸本 健君) 高田由一君。

  〔高田由一君、登壇〕

○高田由一君 答弁をいただきました。

 既に知事のほうから関西電力に明確に御意思を伝えられてるというお話でした。実はその記者会見のテキストは、私も以前読ませていただいたんです。平成28年1月19日の会見なんですが、このテキストだけですと、知事が「『打診なんかするなよ』と言ってありますが」というふうに書いてるんですけども、関西電力に伝えたというふうには、なかなか僕はよう読み取らなかったんです。それで、今のような質問をさせていただきました。

 ただ、もう一点、じゃあ知事に伺いたいのは、私のこの質問項目にもありますように、事業者と対話をされてはどうかという項目立てになっております。関電に知事がこのように「打診なんかするなよ」というふうに言ったときに、向こうさんのほうはどういう反応をされたんでしょうか。答弁をお願いします。

○議長(岸本 健君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 本件について、対話などするつもりは全くありません。したがって、「打診なんかはしてはいけないよ」と言いましたら、「打診するぞ」と言ったわけじゃないので、わかったんじゃないかと思っております。

○議長(岸本 健君) 高田由一君。

  〔高田由一君、登壇〕

○高田由一君 今の知事の御答弁で、そのときのやりとりがわかったような気がします。

 ただ、私、この間から地元白浜町の議会の動きなども見ますと、地元の白浜町の町長も、この核の中間貯蔵施設の建設を受け入れないという条例化について、もう早急に検討するということを議会答弁でもされたそうです。

 私は、この条例化というのは、特に内外にその意思を表明するということと、やはり知事の提案で、そして議会もそれに賛同するということになったら、これはかなりなインパクトがあるというふうに考えておりますので、ぜひそれも検討していただけますよう、最後に要望させていただきまして、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)

○議長(岸本 健君) 以上で、高田由一君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 28番中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕(拍手)

○中西 徹君 議席番号28番、中西徹でございます。議長の許可を得ましたので、県議会議員当選後、初めての一般質問をさせていただきます。何分初めての質問でございます。ふなれな部分につきましては容赦をいただきたいと思います。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 まず、1点目でありますが、AI・RPA等先端技術の活用による業務の効率化についてお伺いします。

 皆様も御存じのとおり、近年は情報技術がより高度化し、情報化の社会が一層進展していくことが強く予測されます。実際、現代はIoTやビッグデータ、AI等の技術革新がもたらす第4次産業革命と言われる時代を迎えており、Society5.0の到来が予測されています。Society5.0とは、第5期科学技術基本計画で登場した考え方で、「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(society)」と定義され、超スマート社会と言われています。

 これまでの情報社会では、あふれる情報の中から自分たちに必要な情報を見つけ、分析、判断する作業が必要でした。しかし、これからの社会は、通信技術の発達と膨大なデータを蓄積して処理する技術の発展によって、全ての人と物がつながり、さまざまな知識と情報が共有され、新たに価値が生み出される時代となるとされています。

 先日、一般財団法人地方自治研究機構等が主催するセミナーに参加しました。三つのテーマについてのセミナーでしたが、その中の一つのテーマは「AI・RPAで変わる自治体業務」です。私たちの暮らしの中にも身近にAIが存在しています。iPhoneでいえばSiriなどです。金融分野においては、顧客対応やコンサルティングにAIを活用し、人件費削減になっています。

 全国の自治体におけるAI・RPAの導入では、議事録・会見録自動化、庁内問い合わせ対応チャットロボット、種々のRPA(とりわけ、人事関係、税務関係、医療関係など)、道路補修効率化AI、保育所入園割り当て、紙文書の機械処理(AI-OCR)、税金・国保電話催促業務、法制執務(条例、規則の作成)など、次々と導入されています。全国で1業務でもAIを導入している都道府県は現在約40%17団体、指定都市では約60%12団体、その他の市区町村では約4%76団体、RPAを1業務でも導入している団体は、都道府県では約30%14団体、指定都市では約45%9団体、その他の市区町村では約3%59団体となっています。

 埼玉県のRPA導入の業務例の一部ですが、所要時間の変化で見ると、勤勉手当の除算期間計算業務では934時間かかっていたのが72時間となり、通勤手当に係る自宅位置地図検索業務では434時間かかっていたのが114時間となり、通勤手当確認業務では1500時間かかっていたのが733時間になるなど、業務の効率化となっています。

 AI・RPAの有効性としては、1、24時間働けること(疲れない、年間8760時間、人は2000時間程度)、2、正確であること、3、ディープラーニング、AIでは常に学習し進化することなどが挙げられています。

 また、既にことしから公道における自動運転の実験も始まり、来年にも本格導入が予定されているなど、時代の流れはこのようにどんどん進んでいます。

 和歌山県においても、AI・RPA導入については、平成30年から実証実験も含めスタートされていると聞きました。AI・RPAが普及すれば、自治体職員は政策立案や対人折衝等に専念することが可能になります。このような行政の効率化やさらなる行政サービスの充実のためにも、計画を持ち、どんどん進めていくべきだと考えていますが、県庁内におけるAI・RPA導入促進についての取り組み、また今後についてどう進めていくのか、総務部長にお聞きします。

○議長(岸本 健君) ただいまの中西徹君の質問に対する答弁を求めます。

 総務部長田村一郎君。

  〔田村一郎君、登壇〕

○総務部長(田村一郎君) 県庁におけるAI・RPAを用いた業務の効率化に向けた取り組みについてでございますが、パソコン上で人が操作するかわりに自動で動くRPAにつきましては、平成30年1月から6月にかけて3課の7業務で実証実験を行ったところ、延べ307時間の作業時間が37時間となり、270時間の削減が見込める結果となりました。

 そこで、今年度は4課の21業務に本格導入することとし、現在、RPAに自動処理を行わせるために必要となるプログラム作成作業を進めているところでございます。

 次に、人工知能であるAIの業務への活用についてでございますが、まず、音声を自動で文字化する議事録作成支援システムにつきまして、昨年10月に審議会や協議会での実証実験を行い、効果が見込めましたので、ことし7月に導入し、現在、知事記者会見の記録作成など全庁で利用しております。

 さらに、手書き申請書等を光学的に読み取って自動でデータ化するシステム、いわゆるAI-OCRについては、来年度導入に向けて準備を進めているところでございます。

 今後もAIやRPAの対象業務を拡大し、積極的に活用することで、職員の作業時間の削減による業務の効率化を図り、削減による時間を企画立案や対人業務に充てるなどの業務改革を進め、県民サービスの向上につなげてまいります。

○議長(岸本 健君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 御答弁いただきましてありがとうございます。

 実証実験の成果も出ており、今年度から本格導入することとし、作業を進めるということですので、今後、より一層の業務の効率化を期待します。

 次に、小項目2、民間企業への支援についてお伺いします。

 昨今、働き方改革が叫ばれ、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少や働くスタイルの多様化などの課題に企業は対応していく必要があり、そのためには、生産性向上や従業員満足度向上を実現する環境づくりが求められるといった時代の変革期に来ていると言えます。

 県として、民間企業における人手不足の課題に対し、IoTやAI等の先端技術を生かした業務の効率化を進める必要があると考えますが、民間企業に対しどのような支援を進めているのか、商工観光労働部長にお聞きします。

○議長(岸本 健君) 商工観光労働部長稲本英介君。

  〔稲本英介君、登壇〕

○商工観光労働部長(稲本英介君) 少子高齢化に伴う人口減少の中で、多くの企業は人手不足の課題に直面しています。

 このような課題を乗り越えて生産性を向上させていくためには、AI・IoT等のデジタルツールの利活用が鍵を握るものと考えており、当県では、AI・IoT等の導入により生産性の向上を目指す県内企業を支援するさまざまな施策を講じています。

 具体的には、課題の見える化や解決策の提案などについてアドバイスするため、IT企業やIoTコンサルタントなどで構成される専門家支援チームを編成し、県内企業に派遣しています。

 さらに、その専門家派遣を受け、生産性の向上に取り組む中小企業に対しては、設備資金1億円、運営資金8000万円を限度に融資制度も設けております。

 また、今年度から、AI・IoT等の先端技術を導入する際の費用の3分の2を上限50万円まで補助する先端技術導入支援補助金を創設し、支援を行っているところです。

 これらに加えて、和歌山県工業技術センターでは、産業用ロボットやIoT関連の先端機器を整備した自動化促進ラボを運用しており、企業がこれらの機器を実際に使用してみて、生産工程への導入を事前に検討できる環境を提供しています。さらに、企業の人材育成を支援するため、先端技術に関する講習会を開催することで、企業のAI・IoT等の導入を促進しています。

 これらの施策を推進することにより、品質の向上、製造工程の期間短縮、人材不足・育成への対応といった企業の取り組みを総合的に支援し、県内産業の生産性向上を図ってまいりたいと考えています。

○議長(岸本 健君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 日本経済新聞社が実施した2019年度の研究開発活動に関する調査で、主要企業の4割超がIoTやAIなどの新技術の取り組みのため、過去最高の研究開発投資を計画していると掲載されていました。

 県では以前、和歌山県IoT・AI・ロボットを活用した成長ものづくり分野の連携支援計画を立てられ、企業からのアンケート調査などをもとに、和歌山IoT等導入促進プロジェクト事業が、昨年度ですか、予算化されています。答弁でいただきました専門家の派遣や融資制度、また補助制度など、総合的な支援体制が構築できているということですので、しっかりと企業側にも推進していただきたいと思います。

 次に、大項目2、統合型リゾート(IR)についてでございます。

 統合型リゾート(IR)についてお伺いします。

 和歌山県が誘致を進めるカジノを含む統合型リゾート(IR)の実現に向け、8月26日に和歌山市内で開催されたシンポジウムに参加をさせていただきました。国際観光産業振興議連事務局長を務める萩生田光一衆議院議員の基調講演のほか、和歌山でのIR参入に関心のある3事業者によるコンセプト案が披露され、パネルディスカッションでは、専門家から和歌山らしいリゾート型IRを整備することで、同じ関西圏で有力視される大阪のIRと共存共栄できるといった意見などがありました。IRは民設民営事業であり、投資をしてくれる事業者がいないと成立をしないことを考えると、3事業者があったことは大きなことだと考えます。

 和歌山県IR基本構想では、経済波及効果については年約3000億円で、雇用創出効果約2万人とされています。また、納付金については、カジノ行為粗収益の15%、予測ではありますが約210億円が納付され、使途として観光振興、地域経済の振興、社会福祉の増進及び文化芸術の振興に関する施策等の経費に充てると説明されています。

 納付金に関しては、地方交付税における基準財政収入額の算入対象にすることは想定されていないようですので、今後の自治体財政運営を考えたとき、扶助費や起債の増加が予想される中で、入場料も含まれる収入増は大きな財源確保にもつながると考えます。

 そのような中、最近になり横浜市が誘致を正式に発表しました。3カ所に入る誘致競争が激しくなったと考える中で、横浜市の立候補を受けての和歌山県の考え、また、誘致競争が激しくなる中で、改めて誘致を目指す知事の意気込みはいかがか、お聞きします。

○議長(岸本 健君) 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 私は、多くの自治体が立候補しても、候補地である和歌山の和歌山マリーナシティが、全域まず造成済みでありますし、インフラが整っているわけでございますし、関空という日本を代表する国際空港に近接してるわけでございますし、また、関西圏の主要な観光地へのアクセスがいいし、人口密集地にも近いし、マリンレジャー、マリンスポーツの聖地であることなどなどから、ここは非常に優位性があると考えております。

 また、複数のIR事業者もそう考えてるからこそ、本県に投資の意向を示してるものだと理解しております。

 したがって、3カ所の中の一つに選ばれるという見通しのもと、自信を持ってIR誘致に取り組んでるところでございます。

 県としては、自信が過信になったらいけませんので、国に認定されるように、地域振興に大きく貢献し、国の観光立国政策に資するすぐれた区域整備計画を作成して、他の誘致自治体と正々堂々と競争してまいる所存でございます。

○議長(岸本 健君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 知事の意気込み、わかりました。私もいろんな方とお話しする中で、賛成の方もいれば反対の方もいらっしゃいます。全てわかっているわけではないのですが、私なりにこのカジノ法案、統合型リゾート(IR)整備推進法案を簡単にまとめてみれば、IR(統合型リゾート)をつくって観光客を呼び込み、地域経済を活性化させ財政難を改善させようということと、カジノ施設が含まれているから、心配されるギャンブル依存症や治安悪化などの心配事に対しても適切に管理運営しようということじゃないかというふうに考えます。

 カジノ法案と呼ばれているので、私にも反対の方はカジノばっかりのことを言われるんですが、カジノばかり目立ってしまうように感じますが、カジノの営業区域の床面積もIRの建物床面積の3%未満ということで、あくまでも目的は、この第1条に書いているように、「この法律は、特定複合観光施設区域の整備の推進が、観光及び地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資するものである」ということです。

 これからの自治体は、人口も減り、税収も下がり、公債費もふえていくと考えられる中で、将来の世代のためにもみずからが稼ぐという──収入をふやすという努力ですね──ことも考えていかなければならない時代になってきてると思います。将来を考えたとき、これだけ大きなチャンスはないと思いますし、全国で認定が3カ所と厳しい条件だと感じますが、チャンスがある限り挑戦しないと衰退する一方だと考えます。しっかりと知事を含め皆さん、頑張っていただきたいと思います。

 次に、ギャンブル依存症についてお伺いします。

 和歌山県の発展に寄与すると信じて、知事以下の担当の方々の頑張りにも敬意を表するのですが、私の耳にも依然反対の声が聞こえてきます。

 一つは、ギャンブル依存症の問題です。今まで何度かこの問題についても先輩議員さんも質問されていますが、IR施設内に設置をされるカジノ施設を起因として新たにギャンブル依存症の方を発生させることはゆゆしき事態になると考えております。

 この依存症への対策について、どのようなお考えか、企画部長にお聞きします。

○議長(岸本 健君) 企画部長田嶋久嗣君。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○企画部長(田嶋久嗣君) ギャンブル依存症対策につきましては、IR整備法において、マイナンバーカードを利用した入場回数制限や入場料の設定、本人・家族申告による入場制限措置、クレジットカードの使用禁止、現金引き出し機の設置禁止など、重層的で多段階的な厳しい規制が設けられております。

 それに加えまして、予防教育の実施や依存症対策専門員を配置するほか、本県独自のIRカード導入による破産リスクを排除する仕組みを事業者に求めることにより、カジノ施設を起因とするギャンブル依存症については防ぐことができると認識しております。

○議長(岸本 健君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 重層的な厳しい規制が設けられるので、カジノ施設を起因とするギャンブル依存症について防ぐことができると認識しているということですので、よろしくお願いします。

 小項目3、マリーナシティへのアクセスに関係する交通渋滞についてお伺いします。

 これはもう一つ大きく耳にすることなんですが、賛成という方々の中にも、IRの営業が始まれば、交通渋滞に対し危惧される声もあります。ことし5月の10連休の際には、大渋滞で入り込み客はもちろん近隣の海南市民の方々も大変お困りでありました。

 8月20日に開催された海南市での和歌山県行政報告会において知事が話されたように、海南市は玄関口という認識でありますので、マリーナシティへのアクセスについて、交通渋滞対策をどのように考えておられるのか、企画部長にお伺いします。

○議長(岸本 健君) 企画部長。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○企画部長(田嶋久嗣君) 渋滞対策等につきましては、議員御指摘のとおり、県でもその影響について懸念しているところです。

 県では、IRへの来場者を年間400万人と仮定した場合の周辺交通への影響や今春供用を開始した和歌山南スマートインターチェンジの供用前後の交通量を調査するなど、その対策について調査を進めているところです。

 現状では、通常のIR営業であれば、周辺の交差点改良等でも対応可能だと考えておりますが、IRでは大規模なイベント等が開催されるため、その対策は別途必要であると認識しております。

 県としては、今後予定している事業者公募の中で、MICE施設の規模やイベント時の運営方法、IR全体の入り込み客数、その交通手段、駐車場台数や必要となる新たな交通手段など、具体的な施設規模やアクセス方法等の提出を求め、提案内容を精査していく予定です。

 また、事業者選定後には、提案内容を踏まえ、事業者とともに周辺の交通ネットワークを見ながら、IR区域内へのスムーズなアクセスを初め、海南市や和歌山市南部の交通渋滞の緩和や交通安全対策についても検討してまいります。

○議長(岸本 健君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 事業者の提案内容によって交通渋滞対策においても変わってくるということだと思うのですが、海南市側からマリーナシティに来る場合、最後は一つの橋を通ってくる方法しかありません。現状においても、先ほども言わせていただいたとおり、連休が入れば渋滞などします。そのために、道路拡幅も含め、場合によっては橋をもう一つかけるなどの対策も必要になってくるのではないかというふうに思っておりますので、検討のほうよろしくお願いいたします。

 次に、信号機の存廃についてお伺いします。

 長年の海南市民の念願でありました国道370号阪井バイパスの供用が6月22日に始まりました。御尽力いただいた知事初め先輩議員や関係者の皆様方に心より感謝申し上げます。

 供用開始式に私も出席をさせていただき、走らしていただきました。本当に立派なバイパスであり、残る紀美野町区間も一日も早く竣工させ、高野山へスムーズに参拝したいものであります。

 一方、バイパス開通に伴って、近隣の国道の信号機について、交通量が大幅に減少する等の判断により撤去が決定されています。一例が亀池北交差点信号機であります。阪井バイパス供用と同時に、バイパスと近いということで、その信号機は袋がけとなっています。狭い道路から国道を渡って登校する通学路になっており、特に朝の通勤通学時には児童生徒の横断が困難であり、事故の懸念は解消されたとは私は思っていません。午前中、多田議員も質問でおっしゃっていましたが、通学路の安全についての責任は大人です。今も児童生徒の登校指導や地元の方々は再開してほしいと望んでいます。

 平成31年3月14日に警察庁交通局長から、「信号機の設置の合理化等の更なる推進について」の通達が示され、設置後の道路交通環境等の変化等によって現場の交通実態に適合しない場合の信号機の見直しがうたわれているところであります。また、他県において、歩行者用信号の利用機会の減少や信号機の老朽化等を踏まえ、信号機の撤去を行った事例が見受けられます。

 そこで、本県では、県民の安全を第一に確保する観点から、一般的に信号機の存廃についての方針をどのように考えているのか、和歌山県警察本部長にお尋ねします。

○議長(岸本 健君) 警察本部長檜垣重臣君。

  〔檜垣重臣君、登壇〕

○警察本部長(檜垣重臣君) 現在、県下には、信号機を設置した交差点が1864カ所あり、住民等からの信号機の設置要望箇所も340カ所以上に上ります。

 警察では、通行車両や横断者等の安全確保と交通の円滑の観点から、予算上の制約がある中、その必要性、緊急性等を十分に勘案した上で、信号機の新設、撤去等を行っております。

 ただ、全国的には、更新基準を超過した信号機の割合が年々増加し、平成29年度末では約22%に達しており、耐用年数を超えた信号機が故障するリスクを抱えております。

 本県におきましても、更新基準を超過した信号機が一定割合存在しており、故障のリスクを少しでも下げるため、バイパスなどの道路の新設や改良等により、交通流・量等に変化が生じ、設置の必要性が低下した信号機については、代替の安全対策を講じた上で、撤去または移設を行うなど、適正な維持管理に努めているところであります。

○議長(岸本 健君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 小項目2、信号機廃止における県民への対応についてお伺いします。

 平成27年12月28日、警察庁交通局長から、「信号機設置の指針」の制定についての通達では、留意事項において「信号機の設置又は撤去の検討に当たっては、地域住民及び道路利用者の意見に十分配意する」こととなっています。

 また、警視庁や他県の警察から示されている信号機設置の指針を確認してみますと、信号機を廃止する前には地元の小中学校や町会等への説明を行い、理解が得られてから実施していますと書かれています。

 本県においては、県民の理解を得られるために一般的にどのような対応を行っているのか、警察本部長にお伺いします。

○議長(岸本 健君) 警察本部長。

  〔檜垣重臣君、登壇〕

○警察本部長(檜垣重臣君) 信号機の廃止や撤去に関しては、地元住民等に十分説明の上、その意見に十分配意して実施することとしております。

 通常、道路の新設や改良等に伴う信号機の設置や撤去・移設については、事業主体である道路管理者から説明していただき、要望があった場合に警察も地元説明会等に出席して、理解が得られるよう説明を尽くしているところであります。

 今後も、道路管理者と緊密に連携しながら、県民の意見に十分配意した上で、信号機の適正な維持管理に努めてまいります。

○議長(岸本 健君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 答弁ありがとうございます。

 信号機の新設や撤去をする場合は、警察庁から出ている信号機の設置指針どおり、通常は警察において地元説明を行うということ、ただし、道路の新設や改良等に伴う信号機の設置や撤去・移設の場合は、事業主体である道路管理者が地元に説明を行うこととし、警察においては、道路管理者から要望のあった際には、一緒に説明会に入り、理解が得られるように説明をするということの答弁だったと思います。

 質問で申し上げた事例について補足すると、信号機の撤去が昨年の11月に公安委員会で決定されましたが、それ以前の段階で撤去についての地元説明が行われたという話は聞いておりません。その後、ことしの3月に信号機の撤去のことを聞いた保護者の声が高まり、連合自治会会長と小中学校の校長、小中学校育友会会長名により、海南市に対し既存信号機の存続を求める要望書が提出され、さらに、海南市から海南警察署署長宛てに信号機の存続に対する要望書が提出されました。

 信号機が袋がけになってから、保護者や先生方が毎日かわりがわり交差点に朝立ち、子供たちの安全を見守っています。私も朝から現場に行かしていただきましたが、確かに交通量は減っていますが、大型車が通らなくなり、逆に車が走りやすくなり、スピードも、素人感覚ですが、出ているように思います。

 今回の件について、子供を持つ親として、再度、児童や生徒が安心して通学できるように、信号機の存続をもう一度考えていただくよう、これはもう要望します。

 また、今後こういうことが起こらないように、道路管理者と警察、場合によっては教育委員会が十分に連携を行い、対応していただきたいと思います。

 次に、項目4、自転車の安全利用の促進について質問させていただきます。

 自転車の安全利用の促進についてですが、交通事故全体に対する自転車が関連する事故が占める割合は、和歌山県警察本部の統計による本県の状況は、平成30年では13.3%と過去5年間において増加傾向にあります。また、全国平均では約20%を占める状況にあると聞いています。

 また、国土交通省自転車活用推進本部の資料では、自転車事故の年齢層を見てみると、16歳から19歳が最も事故件数が多く、19歳以下の事故件数は全体の38%を占めており、未成年者の事故件数が多い傾向となっています。

 責任割合においては、信号機のない交差点で発生した場合、基本は自転車対歩行者では85対15、自転車対自転車は50対50、自転車対自動車は20対80となり、歩道上での自転車と歩行者の事故の場合、自転車側が基本100%の責任負担となります。

 そうした中で、2008年6月の東京地裁判決で、通行違反をした高校生が24歳の男性会社員と衝突し、会社員に後遺症障害が残ったことから9266万円の損害賠償を命じられたケースや、2013年7月の神戸地裁判決では、自転車に乗っていた11歳の小学生が歩行中の60代女性と衝突し、意識が戻らない状態となり、監督責任を問われた母親に対し、9521万円の損害賠償の支払いを命じられたケースなどがあり、たとえ未成年でも責任を逃れることなく、高額の損害賠償金を支払わなければならないケースがあります。

 そのような状況の中で、全国の自治体において自転車損害賠償保険の加入について条例で定める動きがあり、例えば近畿地方では、兵庫県、滋賀県、大阪府、京都府の4府県が保険加入の義務化を規定する条例を定めており、東京都では保険加入に関する条例について、現行の努力義務から加入義務へ、本年9月都議会定例会に改正案を提出すると聞いています。

 和歌山県においても、平成31年3月に和歌山県自転車の安全利用の促進に関する条例を制定し、自転車損害補償保険等への加入努力義務化について、この10月1日から施行することとされています。

 本県では、ことし7月、8月に和歌山県交通センターで運転免許証更新者を対象に家族も含めた自転車保険加入状況のアンケート調査を実施し、その結果、加入率は約50%であったと聞いております。

 条例により自転車保険加入が義務化されている都道府県においては、前出の高額賠償事故が発生していることも一因として、年々加入率が上がっています。

 本県条例では、国、市町村、事業者及び交通安全に関する活動を行う団体と連携し、自転車損害賠償保険の加入推進等、自転車の安全利用を促進するための施策を総合的に実施するとなっていますが、具体的にどのような取り組みを展開していくのか、環境生活部長にお伺いします。

○議長(岸本 健君) 環境生活部長田中一寿君。

  〔田中一寿君、登壇〕

○環境生活部長(田中一寿君) 自転車事故の発生件数は、平成26年の509件から平成30年の303件と年々減少していますが、議員御指摘のとおり、交通事故全体に占める割合は増加傾向にあります。

 また、未成年者が関連する自転車事故件数の割合も全国と同様に約4割を占めていますが、未成年者の事故は、交差点等での自転車側の安全不確認や一時停止の怠りなどが主な原因です。

 言うまでもなく自転車は、道路交通法上、車両と位置づけられ、事故防止のために法令を遵守し、安全運転に努めなければならないことから、被害者の救済とあわせて、県民の皆さんに自転車の安全利用を徹底してもらうために条例を制定し、本年4月1日から施行したところです。

 事故防止を図るため、県では関係機関や交通安全ボランティア団体、事業者等と連携して、和歌山交通公園や学校での自転車安全教室、街頭での安全指導や啓発など、教育啓発に取り組んでいますが、引き続き、できるだけ多くの皆さんに御参加いただけるように内容等を工夫してまいります。

 また、今回の条例の大きなポイントである被害者救済のための自転車損害賠償保険の加入につきましては、利用者や保護者、事業者等には保険への加入が、自転車の小売業者には自転車購入者に対する保険への加入勧奨が本年10月1日からそれぞれ努力義務となります。

 先日も、JRの職員と一緒になって紀三井寺駅で高校生に啓発を行いましたが、自転車を利用する方全員が保険に加入するよう、チラシやポスター、テレビ、ラジオ等を使った広報、学校を通じた啓発を行うとともに、自転車小売業者に対しては、業界組合を通じて保険への加入を勧奨するよう要請したところです。

 今後も、関係機関や団体、事業者等と一緒になって、自転車の安全利用の促進に向けた取り組みを進めてまいります。

○議長(岸本 健君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 全国的に見て、自転車損害補償保険等への加入を義務化している都道府県と努力義務化している都道府県では、どちらも罰則等はないのですが、義務化をしている都道府県のほうが、国土交通省自転車活用推進本部から出ている資料を見れば加入率は高くなっています。

 未成年者の事故件数が多く、高額な損害賠償を命じられたケースもふえてきているようですので、和歌山県もこの10月1日から自転車損害補償保険への加入努力義務化を施行するということですので、しっかりと啓発活動を行っていただき、保険への加入をふやしていただきたいと思います。これについては、また改めて施行後の状況は聞かせていただきます。

 以上で、私の一般質問を終わります。(拍手)

○議長(岸本 健君) 以上で、中西徹君の質問が終了いたしました。

 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。

 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。

 本日は、これをもって散会いたします。

  午後2時37分散会

 

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