知事からのメッセージ 令和3年5月14日

知事からのメッセージを紹介します。

令和3年5月14日のメッセージ  

新型コロナウィルス感染症対策(その63) データに基づく知見と総力戦 

 新型コロナ、特に強敵変異株ウイルスとの戦いは休む暇もありません。コロナ対策は主として保健医療行政でと考えて、他のどこかの都道府県のように住民の自粛を呼びかけるばかりというのは、その副作用も考えて、あえて控えていた和歌山県ですが、もはやそれでは耐えきれないと、県民に一般的に不要不急の外出を控えるようお願いせざるを得なくなり、不自由を強いるに至っています。ただ、その間も県民にばかり、「ああしろ」、「こうするな」などと言っているのは、行政として申し訳ないことですから、県庁の総力を挙げて保健医療行政で奮闘しています。


 このところ、4月中旬頃に比べると少し感染者も減ってきていますが、それでも全く楽観はできません。20人を超えるような新規感染者数を数える日が多く、これはかつての和歌山県では考えられないことですし、ちょっと守りが崩れると、またさらに感染急拡大というようなことが起こりかねません。相変わらず保健医療行政が毎日頑張っています。しかし、頑張るといっても見当違いの部分に多くの労力をさくのは、ただでさえ忙しい担当部局の働きを阻害しますし、福祉保健部健康局と保健所だけが担当だから働けというのでは持ちません。

 

 まず、和歌山県では、日頃の激烈なオペレーションの傍ら、データの分析をし、そしてそれに基づく知見に沿って、必要な対策を行っています。この度、そのデータを更新しまして、県庁HPにアップしました。皆さんもどうか御参考にしてください。(https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/041200/d00203179_d/fil/kouhyou13.pdf

ここから多くの対策の急所(政府の尾身分科会長の言葉でしたね。)が浮かんで参ります。このような分析と対策については、かつてのこの項で申し上げたので(新型コロナウィルス感染症対策「その47」「その49」「その56」)、重複を避けて一例を申し上げます。


 このところ私が口を酸っぱくして県民の皆さんに申し上げていることは、今はまずコロナを疑え、ということです。これだけ流行っているのだから、体調が悪いときはコロナを疑って、まずはクリニックに行ってPCR検査を申し出て下さい。そうすれば、和歌山県ではこのようなクリニックネットワークでPCR検査陽性者を発見するシステムを整備しているので、検査をしてくれると思います。この際、症状があれば検査料は無料です。熱があったり、気分がすぐれないのにクリニックに行かないというのは困ります。ましてや、何のこれしきと仕事や学校に行ったり、友達と会ったりするのはとてもいけません。昔だったら美徳なのが、今は悪徳です。クリニックに行かず、発見が遅れると、第一に多くの人にうつします。感染者の濃厚接触者を聞き出して片端から検査をして、囲い込むというのが鉄則ですが、その対象が発見が遅れると膨大になるのです。これは県にとってとても迷惑なことなのです。こうして拡がった先に、身体の弱い人がサービスを受けている施設などがあったら、最悪の事態になります。また、発見が遅れると、本人が重症化していることがとても多いので、発見、即重症者病床の占拠ということになると、これもとても全体に悪影響を及ぼしますし、恐ろしいことは、その人の命にまで関わるということです。


 従って、私は体調の悪い時はすぐクリニックへ行って、PCR検査をと言っているわけです。この辺の事情がこのデータ分析にも如実に語られています。


 すなわち、今年の4月中の新規感染者総計 298人中、発症から受診までの期間が遅かった人が何人かいます。中には発症から11日も放置した人もいましたが、5日以上放置した人が31人です。そのうち、肺炎になり酸素吸入を必要とする以上の重症になった人はなんと21人でした。この辺のデータが、体調がすぐれなければすぐクリニックへ行ってPCR検査をという呼びかけの根拠になっています。


 また、同じくデータから見て、福祉系の施設やサービスで集団感染が起こったケースが38人もあります。こういう施設やサービスでは多くの人々が従業員として働いていますが、今の変異ウィルスは本当にうつりやすいので、その従業員や従業員の家族が感染していた場合、初めのうちは無症状だから何の懸念もなく仕事に行って、福祉施設、サービスのクラスターの引き金になることが結構ありました。それがデータとともに発表した「新型コロナウィルス感染症の集団発生等事例集」にいくつも出ています。元々和歌山県は少しでも症状があれば仕事に行かないで、特に病院や福祉サービスに従事している人は、という呼びかけをしていましたが、これだけでは防ぎきれません。そこでそういう施設に、これはちょっとおかしいと思う時はどんどん使うようにという趣旨で配付している抗原検査キットを使って、なんかおかしいという兆候がなくても、従業員や外泊から帰った人には一週間に一度くらいの頻度で検査をして下さい、というお願いをしました。


 コロナ対策は、住民の自粛呼びかけだけでは十分ではありません。保健医療行政も頑張らなければなりませんが、それも、かけ声だけでは十分ではありません。がんばれとだけ言って残業を強いるばかりでは効果が上がりません。データに基づいて急所はどこだと突き止めて、それに基づいて的確な対応を指示していかねばなりません。

 

 もう一つの要素は総力戦です。なんか先の大戦の時の標語みたいですが、重要です。県庁には多くの部局があり、コロナ対策の主力部隊はやはり福祉保健部健康局と保健所ですが、彼らにだけ働けと言って残りの部隊が助けてあげなければ、主力部隊は孤立無援の中で討ち死にです。和歌山県ではまさに総力戦です。他の部局の人々も大いに働いてくれています。保健所のバックアップは、各地の振興局がとりわけ医学的知見がいらない業務で尽力してくれています。福祉サービスを営む事業者へ口を酸っぱくして注意喚起してくれているのは、福祉保健部の福祉政策局です。また、時短をお願いしている飲食店がそれをちゃんと守ってくれているかは、和歌山市の職員とともに環境生活部の職員が目を光らせてくれています。商工観光労働部の職員は、ひょっとしたら、人が固まって密になるんじゃないかという心配のある商業施設やアミューズメント施設、それに観光地のパトロールをずっと続けてくれています。農林水産部の職員は直販所の観察をしてくれています。また、外国人コミュニティーに接触して、密にならぬよう注意をして回るのは企画部国際課の面々です。危機管理監以下の危機管理局は全体のグリップと政府との連絡を担当してくれています。また、このコロナ禍で事業者は本当に困っています。この救済をどうするかというミッションを持って、困窮の実態を調べ、一番効果的な対策を考えるのは、商工観光労働部を中心とする部局の仕事です。


 和歌山県庁は、総動員体制でコロナに立ち向かっています。

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