知事からのメッセージ 令和3年3月4日

知事からのメッセージを紹介します。

令和3年3月4日のメッセージ 

新型コロナウイルス感染症対策(その56) 
-データで見るコロナ対策の急所(その3)最近のはうつりやすい、しぶとい -

 和歌山県は保健医療行政で頑張って、県民の命と暮らしを守ろうと全力を挙げていますが、きちんと基本に立ち返って保健医療行政を遂行しているので、分かることがたくさんあります。政府もたくさんのデータが集まっていると思いますので、時々とても良い情報を発信してくれますが、少しスピードが遅く、手が回りきらないところがありますので、和歌山県が「データで見るコロナ対策の急所」というデータに基づく情報を時々発表しています。すでに昨年12月28日(その47)1月7日(その48)の2回それを掲載しました。我々は研究機関ではないので、その客観的データに基づいて、具体的なアクションを行うのが主たる活動です。また、こういうデータに基づいてアクションの修正を必要に応じて行うのが仕事です。それが科学的かつ良心的行政だと信じています。
 

 さて、最近思いますのは、どうも第三波になってから、コロナがうつりやすくなっているということとPCR検査で陰性でも、後々陽性になったり、発症したりする例が結構あるということであります。しぶとくなっているなあという印象です。またPCR検査の方法でも知見が得られました。
 

 第1のうつりやすいという点は、感染者が見つかったら、和歌山県は行動履歴を徹底的に調べて、濃厚接触者やそれほどでなくてもひょっとしたら感染している可能性がある人にPCR検査を速やかに行うのですが、第一波の時は、これは危ないと思った同一フロアのオフィスの同僚が誰ひとり感染していなかったり、家族にもうつっていなかったりといった例が結構ありました。

 ところが、ここに来ての第三波だと家族や職場や学校の仲間にうつっていたという例が多発しています。どうもうつりやすくなっているのではないかと思う所以です。そこで、第一波、第二波、第三波で、当初感染判明者が何人にうつしたと思われるかというデータをとってみました。そうすると第一波は当初判明者27名に対し、関連判明者37名、関連感染率1.37。第二波はそれぞれ88名に対し、127名、1.44。第三波は341名に対し、548名、1.61ということになりました。統計によると以上ですが、私の実感ではもっと差があるように思えます。

 イギリスや南アフリカ、ブラジルなどで変異株と呼ばれるものが発見され、従来のものよりうつりやすいと言われていますが、これらは日本でも散発的に発見されていますが、和歌山では出ていません。でもうつりやすいなあという印象なのです。これは感染を和歌山以上に抑え込んでいる県の知事さんと共有している感覚であります。

 こういう感じは、保健医療行政が破綻して感染をちゃんと抑えていない県では分かりません。ちゃんと感染を追って、PCR検査を広く、しかも早期にしているからこそ分かることなのであります。
 

 第2のしぶとくなったというのは、より悩みの種です。

 一旦PCR検査で陰性と判定された濃厚接触者が所定の経過観察中に、後で陽性になったり、発症したりする例がけっこう多く見られるのです。PCRが陰性で、やれやれ終わりかと思ったら、どうも熱が出てきて変だ、もう一回調べても陰性だ、でもなんだかあやしいということできちんと経過観察期間のフォローをしていたところ、極端な例で、なんと4回目に陽性になったということがあり、その患者さんは既に肺炎を発症していました。和歌山県では無症状者も含めて陽性者は全員入院ですし、経過観察もきちんと励行しているので、こういうことが全部分かるのです。データで見ると調査結果は資料1の通りですが、第三波は、後々までしぶとく発症する人がいるということがわかります。結論は、第三波になってから随分コロナはしぶとくなっている。じわじわと後からも発症するということです。

資料1

先ほど、和歌山県では、隔離と経過観察をきちんとしているからこのようなことが分かると言いましたが、逆にそれをしていない県では、このしぶといコロナを見逃して世に放っているということになります。これではいつまで経っても感染は収まりません。

 本当に国民生活を回復させるほど感染を抑え込みたいと思うのなら、保健医療行政を強化して、このうつりやすい、しぶといコロナと全力で闘わなければなりません。それを忘れて、県民の行動だけに注文をつけていては、効果を十分に上げられません。住民の行動は、行政のトップが色々働きかけても、100%それを動かすことはまあ不可能です。でも行政のことなら、より完全に動かすことは出来ます。少なくとも行政のことは行政のトップの100%責任です。
 

 第3に最近のデータで分かる知見のうち、PCR検査の方法に関することを報告します。PCR検査は当初鼻咽頭の粘膜を綿棒などでこすり取って試料を採っていましたが、これは技術的に手練れの医療関係者でないと中々できないという欠点がありました。そこで唾液から試料を採るという方法が考案されましたが、これは大体精度が鼻咽頭と同じくらいということで今は結構採用されています。今回行った調査は、鼻咽頭ではなく、鼻腔で調べたらどうだということです。鼻腔というのは、ただの鼻の穴でありまして、鼻汁などがたまって鼻をかむように、鼻の中の鼻粘液を試料として採取する方法です。結果の詳細は資料2、3、4の通りですが、鼻腔を使うPCRも結構使えるということで、特にこの場合、熟練の検査者がいなくても検査試料が検査対象者が自分で採取できるというメリットがあります。特に感染が拡大して、保健所や病院が手一杯で丁寧に試料を採っている時間がないというような時に使える方法だと思います。調査結果の詳細は資料234の通りです。

資料2

資料3

資料4

関連ファイル

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