林地開発許可制度

林地開発許可制度とは

森林は、雨水を貯え洪水や渇水を防止する機能や、根で土を支え下草で表土を覆い土砂災害を防止する機能を持っています。また、それ以外にも、森林はさまざまな働きを持っています。

そのような働きを持つ森林が開発によって無秩序に失われないように、ルールを定めた上で開発の許認可が行われています。この制度を「林地開発許可制度」と呼びます。

林地開発許可制度は森林法によって定められています。

林地開発許可制度の対象

林地開発許可制度は森林法によって定められています。

林地開発許可制度の対象となる森林は、保安林または海岸保全区域以外の民有林で地域森林計画の対象となる森林です。

保安林とは、保安林制度によって指定されている森林のことです。
保安林制度についてはこちら

海岸保全区域とは、海岸法に基づき、津波、高潮などの被害から海岸を防護し、国土を保全するため指定された区域を指します。

民有林とは、国が所有する「国有林」以外で、個人、法人、都道府県、市町村が所有する森林を指します。

地域森林計画とは、都道府県知事が民有林を対象に森林資源の管理や森林の保全について定めた計画のことです。
地域森林計画についてはこちら

対象となる開発行為

許可制の対象となる開発行為は、土石又は樹根の採掘、開墾その他の土地の形質を変更する行為であって、次に掲げる行為の区分に応じ、それぞれ次の規模を超えるものです。

  • 専ら道路の新設又は改築を目的とする行為

 当該行為に係る土地の面積1ヘクタールで、かつ、道路(路肩部分及び屈曲部又は待避所として必要な拡幅部分を除く。)の幅員3メートル

  • 太陽光発電設備の設置を目的とする行為

 当該行為に係る土地の面積0.5ヘクタール (令和4年度に改正)

  • 前に掲げる行為以外の行為

 当該行為に係る土地の面積1ヘクタール
 

1ヘクタール(太陽光発電設備を設置する場合は0.5ヘクタール)を超えない森林の開発についてはこちら

※令和5年4月1日より、森林を開発して太陽光発電設備を設置する場合、その面積が0.5ヘクタールを超えるものは、林地開発許可制度の対象となります。(詳しくはこちら

開発行為の一体性について

開発行為の規模は、開発行為の許可制の対象となる森林における土地の形質を変更する行為で、実施主体、実施時期又は実施箇所の相異にかかわらず一体性を有するものの規模をいい、総合的に判断する。

なお、開発行為の一体性に係る総合的な判断については、次に掲げる場合を目安に、それぞれの一体性の個々の状況に応じて判断するものとする。

(1) 実施主体の一体性

個々の箇所の行為者の名称などの外形が異なる場合であっても、開発行為を行う会社間の資本や雇用等の経営状況のつながり、開発後の運営主体や施設等の管理者、同一森林所有者等による計画性等から同一の事業者が関わる開発行為と捉えられる場合

(2) 実施時期の一体性

時期の重複又は連続があるなど個々の開発行為の時期(発電設備の場合は、個々の設備の整備時期や送電網への接続時期)からみて一連と捉えられる計画性がある場合

(3) 実施箇所の一体性

個々の事業で必要な工事用道路や排水施設等の設備が共用されている場合(共用を前提として整備することを計画している場合を含む。)や局所的な集 水区域内で排水系統を同じくする場合

監督処分

不正な手段で開発を行った場合は、都道府県知事によって開発の中止や土地の復旧が命じられます。無許可の開発、開発許可内容の違反、虚偽等不正な方法での許可取得が対象となります。

都道府県知事の命令に従わなかった場合は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金を処せられることがあります。

林地開発許可の申請

提出する書類

林地開発を行う場合は、都道府県知事の許可が必要です。

林地開発許可申請書に図面、計画書等開発に係る関係書類を添付して提出して下さい。

なお、林地開発許可の申請に先立ち、予定している開発行為に関する森林法以外の法令等について事前に把握できる事前協議制度を設けています。事前協議申出書を提出してください。

許可の基準

(1)森林の持つはたらきについて

開発によって森林の持つ働きが損なわれないことが許可の基準で、次の4つの基準を設けています。申請にあたっては、周辺環境が急変しないよう、適切に森林を残したり、必要に応じて防災施設を設置するなど、十分な配慮が必要です。

  • 災害の防止
    開発によって、周辺地域に土砂の流出等の災害を発生させる恐れがないこと。
  • 水害の防止
    開発によって、計画地の下流地域に水害を発生させる恐れがないこと。
  • 水の確保
    開発によって、周辺地域の水の確保に著しい支障をきたす恐れがないこと。
  • 環境の保全
    開発によって、周辺地域の環境を著しく悪化させる恐れがないこと。
(2)森林の残し方について

開発によって周辺の環境が悪化しないよう、一定の森林を残すことが義務付けられています。残すべき森林(残置森林)の面積と配置について基準が定められています。

  • 森林の面積
    開発目的などに応じて、開発面積に対して残置森林、造成森林の面積に一定の割合が定められています。
  • 森林の配置
    森林はある程度のまとまりがなくては、その働きを発揮できません。したがって開発の目的、規模などに応じて残置森林、造成森林の配置や幅に基準が定められています。

審査と決定の通知

申請があれば対象の森林について、現況や開発による周辺への影響などを調査します。その調査結果と照らし合わせながら申請内容を審査します。

審査の結果、問題がなければ許可の通知を書面により申請者に通知することになっています。

開発行為着手

許可がおり、開発に着手するときは速やかに林地開発行為着手届を提出するとともに、林地開発行為許可標識を設置してください。

開発に先行して、防災施設の設置が完了したときは、その都度速やかに、主要防災施設工事完了届を提出してください。

開発行為の変更

開発途中で、県で定める重要な変更をしようとするときは林地開発許可行為変更申請書を、県で定める重要な変更に該当しない変更をしようとするときは林地開発行為変更届を提出してください。

県で定める重要な変更とは

  • 開発する森林の面積が1ヘクタール以上増減する場合。(開発する森林の面積が5ヘクタール以下のときは20%を越える増減)
  • 残置森林等の面積が20%越えて減少する、または著しく配置を変更する場合。
  • 重要な工作物を新設、廃止する、または配置や構造を著しく変更する場合。
  • 開発目的を変更する場合。

などが挙げられます。詳しくは管轄する振興局林務課に相談願います。

開発行為の中止

開発行為を中止または廃止したいときは、林地開発行為中止(廃止)届を提出してください。中止した開発を再開したいときは、林地開発行為再開届を提出してください。

開発行為の完了

全ての開発行為が完了すれば、速やかに林地開発行為完了届を提出してください。また、部分的に開発行為が完了し、部分完了の確認を受けたいときも、速やかに林地開発行為部分完了届を提出してください。許可どおりに開発が完了したかどうか、完了確認を行います。

書類の提出先

林地開発許可申請の各種書類は、開発を行おうとする場所を管轄する振興局林務課まで提出してください。

お問い合わせ

林地開発許可制度や、林地開発許可の申請については、まず各振興局林務課までお問い合わせください。申請の手続き、各種書類について詳細なご説明をいたします。
国有林野の活用についてはこちらをご確認下さい。
https://www.rinya.maff.go.jp/j/kokuyu_rinya/gaiyo/kasituke/kokuyuurinyanokatsuyou.html(外部リンク)

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