令和2年度和歌山県職員採用説明会 知事メッセージ

知事メッセージ ~和歌山県職員を志望される皆さんへ~ (令和3年3月1日)

 皆さんこんにちは。今日は和歌山県の職員採用説明会を行います。コロナが流行っていますから、今日はこうやって見ると、ちょっとしか人がいないんですけれど、同時にオンライン中継をネットでやっていますので、それを皆さまに見ていただきたいということでございます。今日はそちらで見ている人も含めて、私からしゃべりたいと思います。

 今日はこんなもの(和歌山県職員募集パンフレット2021)をもらっていますよね。そこにいる、人事委員会の事務局長さんが、「どうだ、参ったか。ええパンフレットだろ。」と言っておられる訳ですが、私もいいような気もするんですけれど、皆さんにとっては「公務員なんてつまらないと思っちゃいないか?」というメッセージはあまり意味が無いだろうなと思います。ここへ来てくださっている皆さんの中で、公務員はつまらないと思っている方というのは、たぶんいないんじゃないかなと思います。わざわざコロナ禍の中で和歌山に来ていただいて、この部屋に話を聞きに来るという方々ですから、公務員もおもしろいかもしれないなと、たぶん思っておられるんじゃないかなと、私は思います。ネットのむこうで聞いくださっている方も、そういう方が多いんじゃないかなと思う訳です。では、このパンフレットは、どういう所で、実は意味があるか。このメッセージですね。それは、あんまり公務員なんて考えてもいないような人には、「公務員なんてつまらないと思っちゃいないか?」というのは、ものすごく意味があるんですが、皆さんつまらないと思ったら絶対ここに来ないから、まあ、つまると思って来てくれている人には、これだけ言っては意味が無い。したがって、このメッセージは、私はここでは発しないということにしたいと思います。

 では、どんなメッセージを、言いたいかといいますと、「就職活動って何だろうか。」という話を皆さんとともに考えていきたいと思います。その次に、そこから出てくる話なのですが、「人生で何が楽しいか。」という話をしたいなと、皆さんと一緒に考えたいなと思う訳であります。その上で、和歌山県で働くのが楽しいなあと本当に思ったら、和歌山県に来てくれたらいいと思いますし、大したことないなと思ったら、止めとけばいいということであると思います。

 まず、就職活動で何が大事か、ということを、私なりに考えますと、一番の根本は、「どうせ1回限りの人生なんだから。」というところにつながると思います。皆さんは、2回も3回も人生を送れない。私もそうである。もちろん、いろんな議論があって、第2の人生とかね、1回失敗したけど、もう1回再起をして、次の人生とか、それはあるけれども、それは私に言わせれば一つの人生だと思います。だから、生物学的に言うと、1回の人生しかない訳ですから。じゃあそのどうせ1回の人生だから、楽しいことをしよう、というふうに考えたら得なんじゃないかなあと思っています。

 どうせ1回限りの人生だから、楽しいことをしようというのと、逆の考え方は何かというとですね、「無事に日を送ろう。」ということじゃないかと思います。無事に日を送るのが楽しいんですよというのは、そういうふうに考える人もいるかもしれないけど、無事に日を送るためにはどうしたらいいかというと、随分楽しくないことをいっぱいしなければいけないんですよね。だから、そんなことをして、何か平穏無事な生活を送ったって、楽しくないんじゃないかと。楽しくないじゃないかって言って、そうですねという人だけ、県庁を受けてもらいたい。そんなふうに思っています。

 で、平穏無事に日を送ろうって思っている人っていうのは、公務員はクビにならないし、それから景気の変動も受けないから、60歳の定年まで勤め上げたら、安定した生活が保障されているのでいいんじゃないかと、こういうことを考えるのが「無事に日を送ろう。」ということであります。

 多分、こういうこと(「公務員なんてつまらないと思っちゃいないか?」)を書いた人、これはですね、諸君たちの世代の多くの人が、公務員なんてつまらない、すなわち、平穏無事に努めあげればいいんだ、安定していていいんだ、それが長所であって、あとのことは我慢して、こういうことを考えているんだろうと。公務員は実はつまらないと思いながらも、公務員を志望したりしている。または「でもしか」で入ってしまったりしていると、こういうことなんです。そういう人のために、「公務員なんてつまらないと思っちゃないか?」と言ってですね、あそこにいる事務局長さんは、激しく皆さんに迫っている訳です。しかし、私から見ると、公務員は結構面白い。しかもですね、どうせ1回限りの人生なんだから、その人生をかけるにふさわしいようなことがあるぞ。こういうことを、皆さんに申し上げたいなと思う訳です。

 まずですね、何が楽しいかということを、考えたいと思います。今日は私のところと観客席の間が遠いので、しかも、ネットの向こう側にいる人に、発言していただけないから、あててインタラクティブにやっていったら面白いんですけれど、今日は一方的にしゃべることにします。

 で、何が楽しいか。楽しいと思うことは、多種多様なんですね。自分も趣味があるし、それから仕事を一生懸命やったら楽しいこともあるし、それから家庭が楽しいし、恋人と一緒にいると、何かうきうきして楽しいし、ちょっと年を取ってきて、子供ができて、かわいいから楽しいし、といえば、たくさん楽しいことがある訳です。

 これは私が大変尊敬している年下の、同僚みたいな人なんですけど、その人が、高校生にしゃべってくださいと言って、今からもう七、八年ぐらい前かな。しゃべってもらったときに、多くの高校生が涙した講義があります。その人は和歌山県出身ですが、大蔵省に入って、国際畑をずっと経て、もう露骨に言いましょうか。本田悦朗さんです。

 今、日銀がそれまでの安倍政権の前の金融政策と、もうころっと変わるような金融政策をやり始めていますよね。それで、今バズーカと言われている人は黒田さんでしょ。黒田さんにつなぐ前に、安倍さんにこういう金融政策をやった方がいいんですよと言ってですね、いろいろ吹き込んだ人が、2人います。1人は本田悦朗さんで、もう1人は、浜田宏一さんという、私が大学のときに、ちょっとだけ講義を受けましたけど、そのあとイェール大学に行って、なかなか立派に、世の中で尊敬されている経済学者なんですけれど、この2人ですね。この2人の意見を、安倍さんが主として聞いて、それで、黒田さんを総裁にして、それで金融政策で、ガンガンやってもらおうと。できればインフレにしてもらって、できれば円安になってもらって、できれば景気を良くしてもらう、そういう金融政策やってもらうと。こういうふうに考えた時の、本田さんがその元にいるんですけれど。本田さんがまだ安倍さんにアドバイスする前に、高校生諸君に言った言葉は、「自分を超えたもののために尽くすということは、楽しいぞ。」というものでした。

 彼は、国際派の国家公務員ですから、外国へあっちこっち行く訳です。それで日本の国のために、頑張る訳です。日本の国のためと言ったって、別にそのちんけな国益という意味じゃなくて、本当に日本人が尊敬されるように、あるいは世界がそれでうまくいくように一生懸命考える訳です。それが、彼にとっては、自分を超えたもののために尽くすということになったと思います。

 公務員はですね、割合、直接的にこの自分を超えたもののために尽くすという目標を作りやすい、そういう仕事なんです。だから楽しいかもしれないな、というぐらいのところですね。ではなぜかというとですね、公務員というのは、公のために尽くす訳でしょう。公っていうのは、和歌山県で言うと、もう大分少なくなりましたけど、92万人ぐらいいる県民ですよね。国家公務員だったら、日本国民です。それから、別に世界はどうでもいいという訳ではないので、世界と上手くやりながら日本国民を幸せにする。和歌山県も、日本全体、あるいは世界中と仲良くしながら、日本、和歌山県民を幸せにする。これが目標ですよね。公務員っていうのは、その目標自体を描いて、それでどうやったら幸せになるんだろうというようなことを言いやすい仕事ですね。

 例えば、企業に入ります。企業においても、会社のために頑張るんだ。これは別に、言いにくい訳じゃないですね。会社のために尽くしますというようなことを言いやすい。だけど、仮にですね、露骨なこと言うとその会社が詐欺みたいなことをやっているような会社であったり、あるいは訪問販売かなんかで、おじいさんおばあさんをだましているような会社であったりすると、会社のために尽くしているっていうのは、ちょっと言いにくいなというところなんでしょう。それから、出世してやるんだと言っても、何かやりたくないようなことまで忖度(そんたく)してやらされて、出世して何が嬉しいかとこういうような感じもあるでしょう。だけど生きていくためには、かわいい家族を養っていって、自己実現を果たしていくためには、そういう点は我慢しなきゃいけないっていうようなところが、公務員に比べると、会社はより多くあるかもしれないというのは、もう簡単に想像できますね。

 私は、ちょっと前と言ったって、40年ぐらい前に、今の経済産業省、当時の通産省で、採用担当をやっていたことがあります。まあ一種のリクルーターですね。採用最後まで1人で決める訳じゃないんですけれど、いろんな人を見比べて、この人がいいなあというようなことを、こっちも考えるし、逆に、学生さんたちのいろんな疑問とか、議論とか、いろいろふっかけてきますから、そういうのを答えたりして、それでそれに答えられなければ、通産省なんてこんなくだらないやつが採用担当やっているから、こんなところへ行ってもしょうがないといって、さようならということになる、ということにおびえながら、学生さんたちの相手をしていました。その時に、学生さん達、今どうか知りませんけど、昔、ある大学なんかに行くと、公務員クラブっていうのがあって、公務員になるための、まず基本的な学力を高める。面接が次にあるから、面接でうまく言うためのテクニックを磨くと。それをクラブでやっている。クラブでなくても予備校なんかがいっぱいあるというのが、どうも今の世の中みたいなんだけど、そんなのがあったりする。そうするとですね。大体言うことは、なんで通産省行きたいんですか、と聞いたらですね。いやいや、私は優秀ですから、企業なんかどこでも行けるんです。だけど、企業へ入って、利益のために奉仕するというのは、どうも嫌。だから、公務員、特に、名声の高い通産省に入って、公益のために尽くしたい、とかなんか、格好よく言う訳ですよ。それで、これきっと予備校で教えられたなとか、公務員クラブで、みんなでゼミナールかなんかで磨いたなと。私は、老練ですからね。そう思うものですから、意地悪な質問をする訳です。そうですか、でもねえと。通産省の、我々のクライアント、これはですね、日本の産業界ですよ。産業界って企業から成り立っていますね。企業ってそんな、あなた方が唾棄(だき)するような、利益のために尽くして、それでろくでもないことばっかりやっているという存在ですかと。そうならば、そういう唾棄すべきやつを、相手にして生活をしているっていうのが、我々通産省なんですけど、それでも来たいですか。とかなんか言うとですね、そこで、私は意地悪質問をしてるだけで、別に相手が何と言ったって構わん訳です。でもそこで言うと、もうびっくりしちゃうんですね。まさかそんなこと言われると思ってないからね。びっくりしちゃって、そこでバッターンと倒れてしまう人もいる訳ですね。で倒れてしまわれたら、これはあかんなあというふうになって、点が下がる訳ですが、何か、いやいやそんなこと言ってないとかなんか言ってわーっとこういう反発力みたいなやつを我々は見ているし、それから、こんな意地悪な質問をするやつは嫌いだというふうに、学生さんが見ているかもしれない。そういうふうにして、相思相愛になっていくというのが、採用だったんですね。

 ちょっと脱線しましたけど、公務員というのは、そういう薄っぺらい予備校とか、公務員クラブの、教えることにも、すぐに出てくるぐらい目標は設定しやすい。ということは明らかでしょうね。ということで、自分を超えたもののために尽くすということを、最も設定しやすい目的に選んで、そのために没頭するというのが、楽しいかもしれない。そういう、仕事なんじゃないかな、そんなふうに私は思います。

 そうすると、次の問題は、どうすれば楽しいか。同じ目標を設定してですね、公務員になった。なったけど、どうすれば楽しいんだ、というとですね。これはもう答えの方から先に言いますと、考えて、努力して、そして実現したら楽しい。当たり前ですね。だけど、考えてっていうところが結構これ、含蓄があります。それから、努力してっていうのは、含蓄があります。実現してなんぼじゃっていうのも、含蓄があります。これ三つとも含蓄がある言葉なんですね。

 まずね、公務員なりました。公務員というのは、鉄の規律みたいなところがあるので、例えば、県庁に入ると、知事の言うことは全部聞かないといけない。というようなことがあるんですが、そんなことしたらちょっと面白くない。だから、どうしたらいいんだ。知事も考えるけれども、若い職員も、どうしたらいいんだと、これおかしいじゃないかと。何でこんなことやってていいんだというようなことを考えて、批判ばっかりしてもしょうがないから、代わりの対案でこうやったらいいんじゃないですかと、だってそうでしょうがと言ってですね、いろいろ論証し合う。理論的に説明してしまう。そしたら、少なくとも和歌山県庁は、もうそれでいこうと。そうやな、ということになる可能性が高いところです。だから、逆に言うと、考えないと、和歌山県庁に入っても、ちっとも面白くない。楽しくない。だから自分で考えて頑張ろうということですよね。

 その次に努力してっていうのがあるんですけど。そんなことを考えた。考えても、ちょっと頭の固そうな上司が横にいたり、それから、目指す、要するに我々のクライアントである県民の中でも、あるグループってのは、頭が固くてもう全然わかってない。あるいは自分のことばかり考えて、違うことばかりやっている。そんな人たちを巻き込んで仕事をしていかないといけないでしょう。そうすると、相手が悪いんだっていうのはこれ評論家の仕事で、私たちは、相手が悪いんだと言って終わらない訳ですね。相手が悪いのか。そんじゃ、それをどうやって直させて、この考えた理想の実現のための戦線に加わってもらうかっていうことを考えないといけないでしょ。そうすると努力をしないといけない訳ですね。なかなか理解してもらえない人が大勢いる。だけどそういう人たちをどうやって説得するか。そういうことも努力しないといけないし、それから自分で考えた材料が浅いと、すぐ反論されちゃう。で実態はどうなっているんだ。テレビで言っているようなことが実態じゃないことが圧倒的に多い。本当の実態はこうなっているんだ。だからこれをより良くするためにはこうしたらいいんだ。テレビで言っている実態とは違うんだからと。テレビで言っている実態を材料にして、こうしたらいいんだと、そんなこと言ったって、何の効き目もないぞと言われる訳ですよ。そうすると、必死になって実態を調べたり、意見を聞きまくったり、そんなことして、足で稼いで、それから本を読んで、努力をしないといけない。でも努力をして、考えに行き着いたり、あるいは努力をしてその考えを実現する方向で持っていたりするとなかなか楽しいですよね。

 だからどうすれば楽しいかっていうのは、その2つが、結構やっていると楽しいぞというふうに思える。あるいはそんなの嫌だよと面倒くさいからということで、思っている人は、県庁をやめたほうがいい、ということであります。

 それから、実現したら楽しい。これはものすごく大きいんですね。まず批判の人っていうのは世の中にいます。この批判の人も、別に反社会的な人ではありません。でも、私たちは批判の人を大体見ているんですね。批判の人、批評をする人。論評を加える人。そういうことを見ながら、私たちは生活をしていないか。例えばテレビでコメンテーターが出てくる。何とかしたらいいのにねと。なんか言っているけど、そうだなと思うけど、じゃあどうやってやるんだよと言ったら、そんな簡単にできない。何々は考えなければ、真剣に考えなきゃいけませんよね、と当たり前のことを言ってですね、お金を貰っている人達っていうのはいっぱいいて、そういう人たちを、馬鹿にしちゃいけない。そういう人も大事な仕事だけど、だけど我々公務員は、そんなことで終わってはいけない。そうだなと思ったら、それを本当に実現して県民の幸せのために、つなげてしまわなければいけない。県民の幸せを実現してしまわなければいけない、というのが、我々の仕事なんですね。実現しちゃう訳ですから。批判しているだけだと、いいこと言ったなと思ってスッとするけど、だけど実現しない訳ですよ。いつまでたっても実現しないで、そのうち自分でやりたくなっちゃうんだろうと思います。我々は初めから自分でできるのだから、ものすごく楽しい訳です。こういうふうに考えて努力して実現したら楽しいんだけれど、これは楽しいと思う人が、和歌山県に来たらいいなあって思います。

 もうちょっと言いますと、考えないといけないと言いました。これは考えるためにはどうしたらいいか。これどんどん論理的に遡(さかのぼ)っていきますと、考える意欲がないといけません。考える意欲が、どうやったらできるかというと、目的意識が見えないとなかなか考える意欲がわかない。考えようと言ったって考える必要もないじゃん、と思っていたらあほらしくて、ちょっと正しいことだけやっておこうということになりますね。

 だから、例えば農業の人たちがすごい困っていると。それならこの困っている人を救ってあげなきゃいけない。じゃあその農業の世界で、あるいはその周辺も含めて、どういうことをすればいいんだ、ということを考えるという意欲が出てくるんですね。だから、考える。考えるためには意欲がいる。考え、意欲がいるためには、目的意識を作らないといけない。目的意識を作るためには、さっき言いましたけど、農業の例で言うと、こういうふうに困っているんだということは解ってないといけない。ですから、足で稼いで、実態をきちんと把握しておかないといけない。何か適当に本に書いてあるからそうでしょうとか、知事が昨日言っていたからそうなんじゃないですかとかですね、あるいは、テレビのコメンテーターが言っていたから、そうかなあとかですね、そんなものは、屁(へ)のつっぱりにもならない。だから、足で稼いで実態を把握して、実態から何か、こりゃいかんと思うような目的意識を感じたら、それを実現してやろうと思ったらどうしたらいいかという意欲がわいてきて考える。こういうことですよね。これが、普通のルートです。

 それに対してですね、逆のケースを言います。幾つかありますが、1つは指示待ち人間。公務員って指示待ち人間が一番いいんだろうと、皆さん思っていないか。公務員はつまらないとは思わないけど、しかしやっぱり指示待ち人間で指示を聞いてやらなきゃいけないなあというふうに、思っていないか。それは間違いです。間違いだけじゃなくて、楽しくない。仮に和歌山県庁が指示待ち人間のエートスに満ち満ちていたとしたら、それは全く正しくないんだけれど、指示待ち人間は和歌山県ではあんまり尊重されません。少なくとも私が知事をやっている限りは。従って、指示待ち人間は楽しくないし、別にそんな指示待ち人間でずっといろと、誰にも言われることはありません。

 その次に、大勢が正しいというのが、正しい実態ではない。大勢の人が正しいというのが正しい実態とは限らない。これはよくマスコミとかテレビとか見ているとよく分かります。例えば、今一番正しくないと、私がコロナ対策で思うのは、人出が増えると大変だから、人出を抑えなきゃいけない。これが最大のコロナ対策だ。尾身会長とか、西浦教授が盛んに言っている。8割の人出を止めたら、感染はなくなる。それは止めなきゃいけない。これは半分、本当は正しいんです。他の条件が一定ならば正しい。当たり前で、感染するためには人と接触するのが、手段になるから、それは正しいんですけれど。だけど、政策の中心に据えるという意味では、正しくない。だけど、テレビや専門家もみんな言いまくっている。和歌山県は、人と人との接触を止めろとかですね、不要不急の外出を一般的に止めろとかですね、それから、飲食店は夜の営業をするなとか、1回も言ったことはありません。ちなみに言うと鳥取県もありません。意地でも言わないぞと2人とも言っている。

 それでは、何をしているか。保健医療行政で、県民の安全を必死になって守っている。自分たちで。その代わり、その保健医療行政に携わっている人達なんていうのは、感染者のお世話をしたり、行動履歴を聞いて、次に感染している可能性のある人がないかどうか、怪しい人のところへと検査に行ったり、また陽性者が出たら、あなた誰に接触した可能性がありますかとバーッと調べて、もう次から次から調べて、囲い込んで、そして感染者を抑え込もうとして、ものすごい苦労している訳です。だけど、そんなことを、テレビとか、新聞なんかで、あんまり注視していないでしょう。なぜかというと、感染症の大家みたいな人が、行動を制約したら減るから、としか言わないから。それから、小池東京都知事みたいな人気のある人が、いやあ、なんかなかなか減らないんですよ。人出が落ちないものですからね。とかなんか言っていたら、そのとおりにやっぱりそれが正しいかのように報道している人たちがいるから。だから、大勢の人が言うことが、必ずしも実態ではない。正しい実態ではない。だからほんまかいなと言って、あれ、それならなんで関西はしゅーっと落ちたけど、東京や首都圏はちょっと落ちたけど、あんまり落ちないんですか。和歌山は何にも制限してないのに、なんで感染者0とか1になるんですか。和歌山なんてほとんど人が住んでないからですかとかですね。それは失礼な、とこうね。

 だから、論理とそれから1人1人自分の足で稼いだ実態把握でもって、世の中で言われている大勢と言えども、正しくない場合もあるということを、いつも解っていないと今のように考えることができない。そうすると楽しくないということになりますね。

 それから、同じような意味なんですけれど、既成概念。もうこれ常識なんじゃないですかって言ってるような話が、必ずしも正しくないかもしれない。それも、一応はその既成概念も理解した上で、もう1回本当かなあと。かつて本当だったとしても、今の実態に合っているかなあというようなことを常に考えて、自分に問いかけるような、そういう頭が必要ですね。

 それから次に努力しないといけないって言いましたね。で、どう努力するか。というのが大事ですね。でね、よくね、遮二無二寄せる、というのがあります。お相撲さんのぶつかり稽古みたいな。目標があると、ガンといく。また上手くいかなかったらガン、ガンといっているうちに、こちらの人的被害、戦争で言うと、続々と戦死者が出るんですが、和歌山県で言うと戦死者は出ませんけど。だけどみんな疲弊してしまって、他のことができなくなるでしょ。ガンガンガンでやっていてもしょうがない訳ですよ。だから、これちょっとやり方おかしいんじゃないかというふうに、ここで考えないといけないですね。どうやるかっていうのも、考えないといけない。

 それから、最も効果のあるやり方で、やらないといけない。ということですよね。ものすごい勢いでガーンと行ったら、突破できるかもしれないけど、そこまでやるのかという議論があるし、和歌山県がぐちゃぐちゃになってしまうかもしれない。ということになると、そんなことはできないから、効果のあるやり方を考えないといけない。

 コストパフォーマンスとか、あるいは、効果のある方法は何かということを考えなきゃいけない。それを考えるのはすごく難しいんですよ。天才的な人はよく頭にひらめくんですけど、人間ってそんなにあんまりひらめかないんですね。で、そういう時はどうしたらいいかというと、失敗の原因を調べに行ったらいい。あるいは成功の原因を調べに行ったらいい。成功事例が世の中にあって、失敗事例がいっぱいあると。それじゃあ失敗と成功と両方調べといて、これ失敗したのはこういう意味だな、ここだな。成功したのは何かと。ああここをうまいことやったから成功したんやと。そうやって、真似してもいいから、とにかく調べに言ったらいいということですよね。

 それから苦しいときってあるんですよね。努力しないといけない、努力しろ、努力しろと言ってもですね、もう本当にへとへとになっても努力しろと言われたら、うつ病になってしまう可能性があります。それは、あんまり賢い方法じゃなくて、特に管理職として、やれやれ、頑張れ頑張れ、ってそればっかり言っているのでは駄目です。一番、皆さん、有名な話で、駄目な話というのは、203高地を発見する前の乃木希典だと私は思っています。いくらでも攻めた訳です。どんどん戦死するから、その戦死した人の英霊に申し訳ないってもっと攻める訳です。でまたやられる訳ですね。で、ああいう愚かな人がトップに立っていたら、永久に、戦死者の山を築くだけ。でどうしたとしたかっていうと、児玉源太郎が、全体の総本部から参謀総長が飛んできて、ちょっとお前どけといって、それで、大きな大砲を持ってきて、これ手段ですね。それで、一番手薄だと思う203高地にドーンとぶつけて、それで、そこを占拠して、そしたら前が見えたからしめたと言って、ドーンとそこから大砲を打ち込んだら、前の艦隊がみんな沈んでしまったということですよね。だから遮二無二攻めてもしょうがない。だから苦しいときは、やっぱり何か、どうしたらいいんだろうっていうことを考えなきゃいけないし、また、いつか終わると思おうと。今のケースで言うと乃木希典はそのうちクビになると。だから、もうちょっとまともな司令官が来るだろうということで、いつかこの駄目な司令官はいなくなる。県庁とかでもいるでしょうけど、みんな異動するからね。だから、合わない上司がいても、その人が無茶苦茶でもそのうちいなくなる。だから、その時のために、ちょっと、しばらく爪を磨いておこうというようなことも出来ますね。だから、怒り狂ってやっていてもしょうがないということもあります。

 それから味方をどう増やすかということが大事です。1人で立ち向かってもなかなか相手の方が強力である可能性がある。そしたら自分が言っていることで説得して、どんどん味方を作っていけばいい。これいろいろやり方ありますよね。理解してもらう。あるいは根回しっていうね。こういうことをやるんですが、これはこういう意味ですからねと言って、いろいろ協力者のとこいって先に言っておくと。あるいは、そんなことやったらこうなりますよって言ってですね、説得をするとか、いろいろあります。そういうことをいろいろ考えて、味方を増やしていくということも大事です。

 それから、どうやってやるか、努力をしないといけないんだけれど、その時にやっぱり、法律とか、制度とか、環境とか、そういうことを無視しちゃいけませんね。やっぱり、我々公務員ですから、目的が良ければ、何やってもいいという訳じゃない。公務員に許された、法律上の権限、それから道義上の権限、そういうものをちゃんと踏まえてやらないといけない。例えば、西郷隆盛。西郷隆盛って、多分ものすごく魅力的な人だと思うんですけど、あの人は、僕は絶対に許せないことがある。何かというと、徳川慶喜という人を戦争に駆り立てるために、江戸の市中で、強盗を働いて、それで、武器を持たない商家へ押し込んで、その辺の人を皆殺しにしたり放火したり、そんなことをしたんですよ。明治維新という大義は必要だったかもしれないけど、だけど手段も大事だと私は思っています。何でもやっちまえばいいというんで戦争に訴えていいっていうものじゃないでしょう。というふうに思って、志が良ければ、何でもいいんだと言ったのはですね、やはり昭和になってから、甘いも酸いも噛分けた元老がいなくなってからですね。軍部が独走して、それで天誅だといって、じいさんの総理大臣なんかを叩き切っても、志がいいからいいんだ、というふうに言い始めた原因を作っているんじゃないかと私は思っています。

 どんどん時間がなくなりましたが、今度は、どういう組織とか職場が楽しいか、ということについて簡単にご説明します。

 これはね、目標のスケール。自分がこういうことしたいって言うでしょ。それから、組織の中の役割。それが自分にとって好ましいレベルか規模か。ということが意外と楽しさの関数だと思うのです。例えば、トヨタという会社がある。ものすごくでかい。もっとでかいのは、世の中にありますけど、そういう会社の中で、じゃああなたは何するのって言ったら、豊田章男さんのようなことはできない訳ですね。そうすると、この分野のこういうことで和歌山カローラの販売をもっと増やしなさいなんていうのがミッションになったりする訳で。大トヨタの中でもちろんそういうことの積み重ねで大トヨタができてるんですけど。

 またですね、例えば、公務員の中でも、小さい市町村とかいうのがある。市町村のために一生懸命活躍するっていうのはものすごく良いことです。住民の幸せのため、中小企業もそうですね。自分のカバーしている領域がその中で非常に大きい。それはいいんだけど、それでものすごく幸せになったとしても、このぐらいという、その人口規模とかね。それから、中小企業の売り上げが伸びてうれしいなあと思っても、このぐらいとか。そういう点での、何か残念感っていうのはあるかもしれない。その時に、例えば国家公務員と県庁と比べりゃ国家公務員の方が、スケールがでかい訳です。日本を救ってやれば、県だって救われる訳ですね。和歌山県を上手く救っても、国全体としては救われない訳です。

 だけど、じゃあ国家公務員の中で何をするか。というと、各省でみんな分かれていて、私が行っていた通産省で言えば、経済問題しか扱わない。他のところで若干文句言うことはあるけども、そういうことです。

 福祉の仕事とか、あるいは例えば土木建設の仕事とか、公共事業を、どうやってインフラを作り上げるかとか、そういうのはよその省庁の仕事なんですね。しかもその組織の中で、私は上級職で入ったけれども、だから偉そうに天下を担っているような顔していたけど、そうじゃないような、例えば、今で言うと一般職とか、そういうもので入ってる人だって随分たくさんいて、そういう人達からすれば、そんな天下国家なんていうのは語らしてもくれないということが結構ある訳ですね。

 だけど、和歌山県庁は、和歌山県の領域において、全部の領域をカバーしている訳ですよ。和歌山県の範囲の中では、全部カバーしていて、配属された先で、それぞれの領域について、かなり大きな仕事を与えられる。やりたいことも、いろいろ人によって違うだろうから、産業政策をやりたいとか、福祉政策をやりたいとか好みがいっぱいあってね。それが、みんなそれぞれやりたいと言ったら、ある程度希望は聞いてくれる。

 自分の人生の理想を追求することもできるし、ほどほど領域が広くて、ほどほど手段も大きくて、その中で、割とたくさんやらしてくれる。スケールと、それから組織の中の役割とがちょうどよい、という人は来たらいいと思います。結構ちょうどいいんじゃないかと思っていますよ。

 それから、どんなことをすると楽しくないか。ということをちょっと申し上げておきますと、目標がなくなったら楽しくない。だから、目標が喪失されにくいところ選んでおいたら、諸君たちも一生楽しく暮らせる。

 和歌山県の行政っていうのは、時の流れとともに、少しずつ変わっていく訳ですね。つまり、生活も変わっていくし技術も変わっていくし、環境も変わっていく訳だから、少しずつ変わりながら、いつもこの人たちを幸せにしていくには、今どうしたらいいかっていうことを考えなきゃいけない訳だから、目標は喪失されようがないんじゃないか。こんなふうに思うんです。

 それから、過労などで、自分の生活の楽しみが全く無くなるような感じになったら、これ全く楽しくなりません。それは、和歌山県も、決して暇なところではありませんけど、そんなに、自分の生活が全部犠牲になるというようなことは、今無いんじゃないかなと思います。ただ、忙しい時があって、今、例えばコロナ対策を行う、抑え込みをやってる人たちって、今よくテレビに出てくる野尻孝子技監というトップがいるんですが、その人なんか、もう1年以上休み取ってない、フルにはね。家にいるときだって指令を出していますから。で、そういう意味ではそうなんだけど、別に体を壊すほど、睡眠ができないという訳じゃない。私自身の生活を振り返りますと、通産省は無茶苦茶なところですから。したがって月に200時間ぐらい残業したこともありますし、まあ滅茶苦茶でした。だけど、目標はあったし、これをやったらこうなって、絶対いいぞという意欲と気力がものすごくあって、それでしかもね、いつか終わるんですよ。もう忙しい時は1年も続かない。法案を一生懸命作って、人を説得して作り上げて、そして国会に出して通ったら、万歳と言ってですね、何か終わったっていう感じになる訳です。そういうのは次々にあったから、割合楽しく過ごせたんですけどね。しかしそれほどのめちゃくちゃな状況には無いんで、皆さん先輩なんかによく聞かれたらいいんじゃないかというふうに思います。

 それから歯車になったら面白くないぞ、と思います。で、公務員って歯車じゃないのっていうふうに思っている人がいるかもしれないけど、それは全くの間違いで、歯車にならないでちょうだいねと、私は言いたい。だけど持ち場、持ち場がある。その責任は果たしてもらわないといけないから、そのさっき言ったみたいに自分でどうしたらいいかなといって考えて、ちゃんと努力をして、それでものを実現するところまで持っていくように努力してもらいたい。歯車で、言われたことだけやってればいいんだ、とそんなことを言うやつがいたら、そっちの言った方を私は首にしたいというふうに思いますね。だから、そういう意味では、大丈夫なところだと思います。

 それからパワハラやセクハラがあってはいけません。そんなことは絶対にしないようにしようという組織の規律は、私も含めて考えてるつもりです。

 それから、忖度(そんたく)はいけません。ゴマすりもいけません。人間は忖度したくなるんです。私のところにも、そういうところがたくさんあります。そういうのを、トップは、これ忖度チックやなあと思ったら、あえて否定しないといけません。それは何の意味があるのかね、と言ってですね。公益でちゃんと説明できたらやったらいいと思うけど、私の好みで考えてるな、と思ったら、ちょっとチェックを入れないといけない、ということですね。

 で、かつて、こういうことがありました。私は、すべての投書を全部見ています。県庁に来た投書は皆見ています。返事を出さないじゃないかといって、文句を言ってくる人がいるんだけど、返事を出すとは約束はしていません。でも全部見ています。ちょっとおかしいなと思うものも含めて見ています。

 だけど、例えばどこどこに、道に穴が空いているから何とか直してくれというような話も聞きます。これどうするのと言って、担当課に返します。担当課で、これはすぐやりますとかいうのと、これは他のところが優先だからほっときますというのと、いろいろあってもいい訳です。それは公平の観点からやっているんで、知事が見て、宸襟(しんきん)を悩ましてるからといって先にやっちゃ絶対にいけない。それは忖度ですね。

 だけど、和歌山県の文化は、若干そういうところありました。今から10年以上前はね。で、そういうふうに、どうしたのって言って聞いたら、いや、あれは知事にご迷惑かけないように、ちゃんと直しときました、と言うからすごく怒ってですね。それでそんなことをやっちゃいけないんだと、県庁としての論理的な優先順位があるだろうと。それは知事に言われたから嫌だなと思う。思うから、ちゃんと言われないようにしときましたなんて、これは忖度以外何ものでもない。こういう非論理的なことをやるやつは、ペケと言ってですね、私が言わないといけない。他の人が言ったら聞かないですね。

 だからトップであるものは、そういう忖度ができないようにむしろ一生懸命努力しないと、普通忖度っていうのは起こります。なので、忖度を好まないトップというのが組織として必要で、少なくとも私はそういうふうにやっていかないと和歌山県良くならないと思っています。忖度してくれると気持ちがいいんだけど。忖度をしてくれねえな、とかなんか嫌みを言いながらですね、忖度しない人を、良しとしてる訳ですね。したがって大丈夫です。ゴマすりも同じですね。

 で、組織のエートス。これはリーダーが決めることなので、ガンガン議論して、それで忖度じゃなくて、論理的に問題点を消していこうじゃないか、これが和歌山県の姿なんで、これを良しとする人は来てもらったらいいし、良くないと思う人は来てくれなくてよろしいということであります。

 それから、結論でありますが、今、私はいろんなこと言いました。いろんなこと言いましたけど、皆さん、まず疑わないといけません。これは、知事がきれいごとだけ言っているんじゃないか。次に本当は知事がそう思っているかもしれないけど、下の人達って、言うことをふんふんと聞いているだけで、実はパワハラ全盛、ゴマすり全盛、忖度全盛の組織なんだぞ、というのが真実かもしれないですよね。そうするとどうしたらいいか。調べればいい。足で調べればいい。だから、皆さん県庁の中に入っていって、そして、どうなっているのと、私たちは、入ったらどんな目に合わされるの。というようなことを、実務をやっている先輩方に聞いたらいい。和歌山県は、リクルーターを何人か指名して、学生さんのいうことを聞いてやれ、というふうにしてあります。それは職種別にみんな作っていますから、そういう人のところに行って聞いてくればいい。それに、遠慮なくいろんなことを言って、ゴリゴリ詰めればいい。言っておきますけど、その人たちは、採用権者でありませんからね。したがって、そのリクルーターなんてのは、何を聞いても別に構いません。したがって、どんどん聞きに行ったらいい。そして聞いているうちに、良い組織だなあと、入りたいなあと思ったら、志望を固めればいい。そして、県庁の方から採用する、と言われたら、入ったらいい。つまり相思相愛のプロセスをやったらいい。

 これは就職活動っていうのは何かというと、相手探しの旅なんですよ。相手探しの旅なんだけど、実は自分探しの旅なんですね。自分は本当は何を求めているんだろうかと、自分がどんな人生を、1回限りの人生をやりたいんだろう。そういうこともやっているうちに、実はだんだんわかってくるんですね。初めの頭で考えていた志望がこういうものでと思っていても、これ全然違うなと。全然違うけど、やっぱり自分が間違っていたんだ。こっちがいいんだと思ったら、そっちに行けばいいんですね。そういうことを、皆さん、自分探しの旅へ、相手探しの旅をやっていただいて、リクルーターなんかとゴリゴリ議論をしてですね、やったらいいんじゃないか。そして、相思相愛になったら、人事委員会もいいなっていうふうに思ったら、採用してもらったらいいんじゃないかな、というふうに思います。

 最後にですね、若いとき、子供の頃は、我々の前途というのは、無限に広がっていました。よく文学者は、金の時代といいますね。で銀の時代になって銅の時代になり、鉄の時代になり、次は何の時代なのかわからんけど、そんなふうになっていく訳ですが、それはだんだんと可能性が狭まってくるんですね。一番狭まるのはどこかというと私はこの就職の時だと思います。もちろん転職したり、いろいろなことは、これからもいくらでもあると思いますけど。それから結婚とか、そういうこともあると思うんだけど、就職というのは、無限の可能性がある。その中から、我々が選択して、一つを選ぶ。それは大変立派な営みを、皆さんが今やっているんだというふうに、思う訳であります。

 そういうことで、何となく縛られるのは寂しいなあと、これで決めていくのは嫌やなあというふうに思うんですけど、我慢して、就職活動をやっていると、自分が固まり、そして幸い相思相愛のところに就職できたら、この人生結構楽しいぞということですよね。ということで、皆さん頑張って欲しいと思います。

 それでは簡単にですね、試験の話とか後で詳しく出ると思いますけど、言っておきます。まず試験があります。学科試験と、それから面接試験があります。学科試験をやったところで、ある程度人数が絞られます。そして、面接試験を受けていただくんですが、本当はみんなに面接試験受けてもらったらいいんだけど、面接試験って時間がかかるんで、あんまり多いとちょっと無理なので、学科試験で合格した人に面接試験を受けてもらっています。だけど、学科試験でいい点取った人が、県庁の中で、ものすごく活躍できるかといったらそうでもないかもしれない。それはさっきの自分探し、相手探し。旅の究極の行き着く先が、面接なんですよね。面接でいろいろ自分の考えを素直に言い、それでこれはいけると思ったら、選んでもらえばいいし、合わないなあと思ったら、それでもいいやと思えばいいと。そういうことなんで、実は私になってから、面接の配点をうんと大きくしています。それで、学科試験の合格者もちょっと多めにして、その中で面接をしてもらうようにしています。だから学科試験も頑張ってもらったらいいけれども、面接も大いに頑張ってもらったらいいと思います。

 それから、いくつかですね。特別枠とか、職務経験者を対象としたU・Iターン型採用とか、就職氷河期世代採用とか、いろいろ面白いことも考えてやっていますので、そういうところも参考にしてもらったらいいんですが、今日は従来からやっている、I種(大学卒業程度)・資格免許職職員採用についてのお話をいたしました。

 それでそのあとですね。職種の紹介もちょっとしておきたいと思います。

 県庁で一番多いのは、一般行政職という、いわゆる事務系と言ってもいいかもしれませんね。こういう人が全職員のうち半分ぐらいいて、これは何でも屋です。私も通産省の役人でしたけど、事務職でありました。その事務系は、従来は、1次試験の専門試験は、1種類しかやっていなかったんですね。そうするとね。一般行政職を受験する人って、法学部の人もいるし、経済学部の人もいるし、社会学部の人もいるし、理科系の人もいる訳です。そういう人達にとっては、全員、全てを勉強しないといけない。ここにね、何か予備校がはびこる素地ができるんですね。

 例えば私だと経済学部でしたから、経済学の勉強を、そんなにごりごりやった訳じゃないんだけど、一生懸命やっていたら、法律の問題も出るらしいでと。それで国際関係も出るらしいねとかなんか言うとですね。ちょっと困ったなということになる訳ですね。僕は模擬試験も1回も受けないで受けてひどい目に遭ったんですけど。そうすると、予備校でも行って、何か一応こんなこと全部勉強しておこうかといって、ノウハウを手に入れなきゃいけないことになると。そんなのあほらしいじゃないかと。だから、経済学で受けたい人は、経済を勉強して受けたらいいし、法律で受けたい人は法律で受けたらいいし、その他、文学部系、社会学系の学科で受けたい人は受けたらいいし、理科系で受けたい人は受けたらいい。ということで、どんなもので受けてもいいぞということで選択できるようにしました。

 そういうことになっていますので、皆さん、そのテクニックを身に付けるよりは、今の学校で勉強していることを一生懸命追求してもらったら、それが人間の幅に本当はなると、私は思っています。

 それから、一般行政職はそういうことなんですが、先ほど言いました、特別枠というのが、5人ぐらいですかね、あります。これは何かというとですね、皆さんは多分そうではないと思いますが、公務員試験の勉強なんか一切できない、という人がいる訳です。例えば、外国に行ってごりごり勉強してきて帰ってきたばかりの人なんていうのは、公務員試験の勉強なんかできるはずがない。あるいは、運動部などで、全日本選手権で、上位なんですよと。だから、ものすごく練習しなきゃいけないんですよ。だから公務員試験の勉強なんかできないよと。それは浪人してからやるよ、そういう人もいるかもしれない。それなら、公務員試験の代わりに、別のことに打ち込むことによって、人間として得られたものがこんなにあります、というのを切々とした作文に書いて提出しなさい。そしたら、その作文の点を、高評価して、普通は10分の10であるところの学科試験の点をちょっと低めに、3割ぐらいかな、にしてあげてもいいですよと、こういうのは特別枠っていうことですね。皆さんには関係ないかもしれないけど、そういうのもあります。面接試験については全て同等です。僕は運動しているから、面接はどうでもいいでしょうと、それは、将来の公務員として役に立たないからね、そういう人は。だからそれは困ります。

 それから、他に事務系でいうと、警察事務職があって、令和2年度の募集人数でいうと、警察事務職は4人。

 技術系でいうと、総合土木職ってのがあります。これは道路を作ったり、河川を整備したり、土地改良事業などをやる、そういう人たちなんですけど、それが令和2年度の募集人数は13人でした。

 それから、建築職っていうのがあって、建物を建てたり、それの施工管理をするんですけど、それから都市計画とかね、そういうこともやりますね。そういう人たちの令和2年度の募集人数が3人でした。

 それから、電気職、機械職っていうのがあって、県庁にはですね、関連の県立医科大学とかそういうところも入れると結構建物があって、その中に機械とか、電気とか入っている訳ですね。それをうまくアレンジするように、監督してもらう。これが、令和2年度の募集人数でいうと、電気職2人、機械職1人でした。

 それから、農業が和歌山県なかなか盛んなので、農学職っていうのがあります。これは農業者の育成、助成もあるし、それから、試験研究もあります。さらに普及もありますね。こういった分野を一通り満遍なく経験してもらった後、イメージ40歳ぐらいの時に、研究でいく、あるいは行政でいく、というのを自分で希望して分かれてもらおうかなというふうに思っています。農学職の令和2年度の募集人数は8人でした。

 それから林学職も同じようなスタイルなんですが、令和2年度の募集人数は6人でありました。

 それから水産職、これも同じような考え方ですが、令和2年度の募集人数は2人でありました。

 それから、情報職っていうのがあります。これは基本的にはですね、県庁もコンピューターシステムを持っていますね。このコンピューターシステムの管理監督をしてくれる人ということであったし、今もそうなんですが、和歌山県は特にですね、この人たちのシステムの技術っていうのを、ありとあらゆるところに生かしているんです。例えば防災でも、防災のシステムを作っていかないといけない。それから、例えば福祉でも、福祉のシステムを作っておいた方が、みんなが楽に福祉サービスを受けられる、なんてありますよね。あっちこっちにそういうニーズがあって、今デジタル化の時代ですからね。そのデジタル化のアプリケーション部門をちゃんと立派に作り上げていくべき人として、実はあっちこっちで活躍しているんです。それもですね、コンピューターの知識というのは、ちょっと陳腐化してくる可能性があるんですね。学校へ行っていないと。で、その時はですね、ある程度の年代になったら、一般行政職に変わってもいいぞ、というふうにしてあります。情報職でずっとやってもいいし、一般行政職に後で変わってもいいと、いうことであります。令和2年度の募集人数が知事部局で2人。警察本部で1人。

 それから化学職、これは令和2年度の募集人数が知事部局で2人。警察本部で1人。特に公害の規制とかですね、そういうことをやってもらうということであります。今、PCR検査ってやっていますね。あれなんかも、こういう人がいないと絶対できないんですね。

 それから、獣医師。これは動物愛護とか、家畜伝染病の発生予防とかするだけじゃなくて、食品衛生の監視、それからさっき言いましたコロナ対策みたいなやつも、この人たちが主力でやっぱり活躍してくれています。これが令和2年度の募集人数4人です。

4人というのは令和2年度の募集人数です。今年(令和3年度)はまだ発表していませんからね。

 それから薬剤師の方、これが令和2年度の募集人数1人。これは薬務課っていうのがあるのと、それから先ほど言いましたように、食品衛生とか環境衛生とか、そういうところにも薬品の知識が要りますからね、活躍してくれる訳です。

 それから保健師、まさに今、この対策で和歌山県は偉いと言われているけど、何が偉いかというと、保健師の方々が、各地で頑張ってくれているから偉いので、知事が偉いわけでは決してありません。で、この保健師は令和2年度の募集人数が3人です。何も、コロナばっかりじゃなくて、例えば福祉の関係とかですね、健康相談とか、そういうところでも活躍をしてくれています。

 それから社会福祉士。最近は児童虐待とか、そういうのが結構ありますよね。そういうところで活躍している人です。これが今、急速に足りなくなったので、定員を一気に増やしているんです。令和2年度の募集人数は7人でした。今年はそんなに多いかどうかはわかりません。

 それから、心理職員。これも同じです。今この辺が、社会ニーズが急に高まってきたので、令和2年度の募集人数は10人でした。今年はどうなのかわかりませんが、そんなに一度にどんとなくなる訳ではありません。

 それから、栄養士。これは、令和2年度の募集はなかったんですけど、今年はどうするかは、これから考えます。

 そういうようなことで、それぞれ、例えば受けるときの試験科目が違うんですね。だから土木職で言えば、土木技術のいろんな試験問題が出るから、それは勉強しといてもらわないといけないんだけど、公務員としての心構えっていうのは、大体一緒です。

 一番大事なことを言い忘れましたけど、今垣根を私の代になってからどんどん低くしています。従来は一般行政職が中心にあって、それで、特別な仕事として、技術系職種・資格免許職の人がいるという状態だったんですが、例えば、横割り的にいろんなところに絡むような、財政課とか、それから企画総務課とか、知事室の政策審議課とかね。

 そういうところに、どんどん技術系・資格免許職の人にも入ってもらって、全体で回していくというようなことを今始めています。ですから、一般行政職で入ったら、退屈しないけど、他のところは何か歯車でこき使われて面白くないかなと、そんなことを考える必要は全くなくて、持っている専門的知識は生かしてもらったらいいんだけど、それぞれの要望に応じて、いろんな仕事の経験も、向いている人、やりたい人はやってもらったらいい。そんなふうに思っている次第であります。

 以上、私の説明は終わります。40分のところ、60分はしゃべってしまいまして、大変申し訳ありませんでしたが、何かそんなこと言っていたなあということを、どっかで思い出して、それで、めでたく採用されたら、来年の4月1日にお会いいたしましょう。以上でございます。ありがとうございました。

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