第2章第2項 第6期障害福祉計画・第2期障害児福祉計画の成果目標及び主な取組

 (1)施設入所者の地域生活への移行                   

 施設入所者の暮らしについては、地域生活への移行を最優先するのではなく、それぞれの状態に応じ、希望する生活を送ることができるよう、本人の意思決定を尊重した支援を実施します。

成果目標

項目 令和元年度 令和5年度
令和元年度末時点の施設入所者(1,239人)のうち、
地域生活への移行者数
35人

主な取組

① 障害のある人の地域移行・地域定着の支援

  • 施設に入所している障害のある人のうち希望する人を対象に、地域における生活体験や地域での生活に関する情報提供を行うなど、入所者が地域へ戻って生活する意欲を高めるための取組を行うとともに、保護者にも不安を和らげるため説明を実施するよう福祉施設等に働きかけます。
  • 障害のある人が福祉施設を退所して地域で生活するにあたり、「共同生活援助(グループホーム)」の整備を促進するとともに、様々な障害特性や障害程度の人に対応できるよう、職員の資質向上のための研修を行います。
  • 重度化・高齢化した障害のある人の地域での生活を支援するため、24時間支援体制を確保し、相談や家事等の日常生活の援助等を行う「日中サービス支援型指定共同生活援助」の整備を促進します。
  • 地域で生活することを希望する障害のある人を支援するため、地域における生活体制を整える「地域移行支援」、移行後の地域での生活を継続していくため、常時の連絡体制を確保して緊急時に必要な支援を行う「地域定着支援」、定期的に利用者の居宅を巡回訪問する「自立生活援助」の充実に取り組み、活用を呼びかけます。
  • 移行後の地域での生活を支援するため、「居宅介護」や「生活介護」等の障害福祉サービスを充実するように努めます。

② 地域生活支援拠点等が有する機能の充実

  • 地域生活支援拠点等の機能の充実のため、令和5年度末までに各障害保健福祉圏域において運用状況の検証と検討が年1回以上行われるよう、相談支援体制整備事業アドバイザーを派遣し、助言等を行います。

 ※地域生活支援拠点等については、各障害保健福祉圏域において整備に向けた検討が進められ、令和2年度末までに体制が整う予定です。

≪地域生活支援拠点等≫

 障害のある人の重度化・高齢化や「親亡き後」に備えるとともに、障害のある人等の入所施設や病院からの地域移行を進めるため、次の5つの機能を地域の実情に応じた創意工夫により整備し、障害のある人等の生活を地域全体で支えるサービス提供体制です。

  1. 相談 
  2. 緊急時の受け入れ・対応 
  3. 体験の機会・場 
  4. 専門的人材の確保・養成 
  5. 地域の体制づくり

 (2)精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築      

    
 精神科病院に入院している精神障害のある人については、障害の程度を考慮し、地域生活に関心をもってもらえるよう働きかけを行った上で、退院希望のある人に対し、積極的に退院支援を進めます。また、精神障害のある人が地域の一員として、安心して自分らしい暮らしができるよう、医療、福祉、介護等の連携を進めます。

成果目標

項目 令和元年度 令和5年度
精神病床からの退院後1年以内の地域における平均生活日数 316日
精神科病床における65歳以上の1年以上の長期入院患者数 640人 533人
精神科病床における65歳未満の1年以上の長期入院患者数 418人 398人
精神科病院に入院した患者数の入院後3か月時点の退院率 60.5% 69.0%
精神科病院に入院した患者数の入院後6か月時点の退院率 84.2% 86.0%
精神科病院に入院した患者数の入院後1年時点の退院率 88.7% 92.0%

主な取組

  • 地域で生活することを希望する障害のある人を支援する地域包括ケアシステムの構築を推進するため、保健、医療、福祉関係者による協議の場の効果的な運営を図ります。
  • 精神科病院や訪問看護ステーションを運営する法人、保健所等が連携し、地域で生活する未受診者及び受療中断者等に対して、24時間体制でアウトリーチ(訪問支援)を行う体制を整備します。
  • 精神科病院に入院している障害のある人を対象に、地域における生活体験や地域での生活に関する情報提供を行うなど、障害のある人が地域へ戻って生活する意欲を高めるための取組を行うとともに、家族にも不安を和らげるため説明を実施するよう精神科病院に働きかけます。
  • 精神科病院に入院中から相談支援事業所、保健所、ピアサポーター等に相談できる体制を充実させ、障害のある人の早期退院を目指します。
  • 地域で生活することを希望する障害のある人を支援するため、地域における生活体制を整える「地域移行支援」、移行後の地域での生活を継続していくため、常時の連絡体制を確保して緊急時に必要な支援を行う「地域定着支援」、定期的に利用者の居宅を巡回訪問する「自立生活援助」の充実に取り組み、活用を呼びかけます。【再掲】
  • 障害のある人が精神科病院を退院して地域で生活するにあたり、「共同生活援助(グループホーム)」の整備を促進するとともに、様々な障害特性や障害程度の人に対応できるよう、職員の資質向上のための研修を行います。
  • 移行後の地域での生活を支援するため、「居宅介護」や「生活介護」等の障害福祉サービスを充実するように努めます。【再掲】  

(3)福祉施設から一般就労への移行等                  

 障害のある人が、地域で自立した生活を継続して営むことができるよう、就労系サービス事業所に対し、一般就労への移行を促進するためのノウハウの共有を図る取組や工賃向上を目指した取組を行います。

成果目標

項目 令和元年度 令和5年度
福祉施設からの一般就労移行者数 99人 126人
   
 
  
 
 
 
うち就労移行支援事業に係る移行者数 40人 52人
うち就労継続支援A型に係る移行者数 24人 31人
うち就労継続支援B型に係る移行者数 31人 39人
うち就労定着支援事業の利用者の割合 36.4% 70.0%
就労定着率8割以上の就労定着支援事業所の割合 91.4% 100%
福祉施設から障害者就業・生活支援センターへの誘導者数 80人 100人

主な取組

① 一般就労支援策の充実

  • 障害のある人が個人の能力を高め、一般就労するために必要な技能訓練や職場における社会人としてのマナーの習得を行う「就労移行支援」事業所のサービス向 上のため、事業所職員を対象に効果的な支援方法について研修を行い、機能強化を図ります。また、「就労移行支援」の積極的な活用を特別支援学校や計画相談支援事業所に呼びかけます。
  • 障害のある人の一般就労移行と就労定着を図るため、各圏域に労働局と共同で設置した「障害者就業・生活支援センター」において、雇用、保健、福祉、教育等 の関係機関や、就労系サービス事業所との連携を強化します。
  • 就労後の定着を図るため、訪問や電話による本人の勤務先との連絡調整や就労したことで新たに生じる生活面の課題に助言を行う「就労定着支援」の充実を図ります。
  • 障害のある人の一般就労を促進するため、特別支援学校や就労系の福祉サービス事業所を対象とした研修会を開催し、教員や施設職員等の一般就労に対する取組を支援します。
  • 企業等でのインターンシップ事業を通じ、障害のある人の就労を支援するとともに、企業等における障害及び障害のある人に対する理解を促進します。

 ② 福祉就労支援策の充実

  • 障害のある人の就業機会の拡大・工賃向上を図るとともに、障害のある人と地域との交流や障害についての理解を広めていくために、農福連携を推進します。
  • 就労系の福祉サービス事業所を利用する障害のある人の生活の安定を図るため、事業所が製作する自主製品の定期的な販売会の開催による流通販路の拡大や製品の付加価値を高める取組を支援し、工賃の向上を図ります。
  • 県における物品の購入や役務の提供について優先発注を行い、就労系の福祉サービス事業所の受注の拡大を図り、障害のある人の工賃向上を目指します。また、    市町村にも優先発注を働きかけます。

(4)障害児支援の提供体制の整備等                   

 障害のある子供に対する支援については、保健、医療、福祉、保育、教育等の関係機関と連携を図った上で、障害のある子供及びその家族に対し、乳幼児期から一貫した療育支援の体制を確立するための取組を行います。

成果目標

項目 令和元年度 令和5年度
「児童発達支援センター」を各障害保健福祉圏域に1か所以上設置 7圏域 8圏域
主に重症心身障害児を支援する「児童発達支援事業所」及び「放課
後等デイサービス事業所」を各障害保健福祉圏域に1か所以上設置
6圏域 8圏域
医療的ケア児コーディネーターを県及び各障害保健福祉圏域に設置 1圏域 県+8圏域

主な取組

  •  子ども・女性・障害者相談センター等の専門機関で、障害のある子供に関する相談に対応し、専門的な助言、指導を行います。
  • 乳幼児健康診査等の結果、心身の発達・発育に遅れや問題が発見された乳幼児とその保護者を対象に、医師等による療育相談指導を実施します。また、市町村や関係機関と緊密に連携し、切れ目なく円滑に早い段階で療育支援につなげます。
  • 障害のある未就学の子供に対して、日常生活における基本的な動作の指導や集団 生活への適応訓練等を行う「児童発達支援センター」について、未設置の障害保健福祉圏域への設置を働きかけます。
  • 県内全ての市町村で、障害のある子供が集団生活に適応できるように保育所、学校等に指導を行う「保育所等訪問支援」サービスを利用できるように、「児童発達支援センター」を中核とした地域の療育支援体制を確立します。
  • 重度の肢体不自由と重度の知的障害とが重複した重症心身障害児を支援する「児童発達支援事業所」及び「放課後等デイサービス事業所」について、各圏域に1か所以上設置し、重症心身障害児が身近な地域で必要な支援を受けることができる体制づくりを推進します。

  • 県の医療的ケア児等の協議の場において、圏域の医療的ケア児等コーディネーターの役割を検討するとともに、各圏域における医療的ケア児等の協議の場において、配置に向けた検討を進められるよう、相談支援体制整備事業アドバイザーを派遣し、助言等を行います。
  • 医師、看護師、支援員等の専門家チームを各障害保健福祉圏域(和歌山市圏域を除く。)ごとに、家庭、施設、学校等に派遣し、地域で生活する障害のある子供 と介護者に対して、身近なところでリハビリテーションを提供します。
  • 保護者が仕事等の理由で昼間家庭にいない児童に、遊びと生活の場を提供する放 課後児童クラブ(学童保育)において、障害のある子供の利用を促進するため、専門的知識を有する職員の配置を支援します。
  • 新生児聴覚検査や乳幼児健康診査等により発見された、身体障害者手帳の対象とはならない軽度・中等度難聴児に対して、早期に補聴器を着用することを支援します。
  • 聴覚障害の早期発見・早期療育が図られるよう、新生児聴覚検査から療育までを切れ目なく支援するための中核機能を整備し、関係機関の連携を強化するとともに、難聴児やその家族に対して適切な情報発信や支援を行います。

 (5)相談支援体制の充実・強化及び障害福祉サービス等の質の向上等    

  • 地域の相談支援体制の充実・強化のため、相談支援専門員を養成するとともに、市町村や障害福祉サービス事業所等により構成される「地域自立支援協議会」をはじめ、市町村が実施する障害児者相談支援事業に障害福祉サービス等の専門的知識を有するアドバイザーを派遣し、助言等を行います。
  • 発達障害者支援センターポラリスにおいて、発達障害児者への総合的な支援を進めるとともに、市町村や支援機関等への研修・助言等を通じて、身近な地域で必要な支援を受けることができる体制の充実・強化を図ります。
  • 発達障害のある子供を育てた経験を持つ親が、その経験を活かして相談・支援を実施する「ペアレント・メンター」を養成します。

  • 医療、保健、福祉、教育、労働等の関係団体等を構成員とする発達障害者支援地域協議会において、地域における発達障害の課題と対策について検討を行います。

  • 高次脳機能障害支援拠点(県子ども・女性・障害者相談センター)において、高次脳機能障害のある人に対する相談支援、研修事業及び普及啓発を行い、高次脳機能障害のある人やその家族に対する支援体制の確立を図ります。
  • 指定障害福祉サービス事業者及び指定障害児通所支援事業者等に対する指導監査の結果について、毎年、市町村と共有する機会を設けることにより、障害福祉サービスの質の向上を図ります。
  • 障害のある人の人権の理解を深め、より人権尊重の観点に立った障害福祉サービスを提供するため、事業所の管理者・人権擁護推進員に対する研修を実施します。
  • 障害福祉サービス事業所の従事者を対象に、強度行動障害がある人や視覚障害のある人に対する対応についての専門的な研修を行い、障害福祉サービスの質の向上を図ります。
  • 障害のある人が安心して適正な障害福祉サービスを利用できるよう、事業所に対して第三者評価事業の実施を働きかけます。

(6)障害のある人の社会参加を支える取組                

  • 2021(令和3)年度に本県で開催する第21回全国障害者芸術・文化祭の開催を契機に、障害のある人が芸術や文化活動へ参加でき、その活動を発表する機会や芸術文化を鑑賞する機会をさらに充実します。
  • 障害のある人が地域で充実した生活を送ることができるよう、健康づくりをすすめるととともに、障害者スポーツ大会や障害者スポーツ教室の開催により、スポーツに取り組む機会を提供します。
  • 障害のある人が安心してスポーツ施設を利用できるよう、子ども・女性・障害者相談センターにおいて、プールを改築するとともに、体育館の環境改善に取り組みます。
  • 点字図書館の利用対象者を、視覚障害のある人だけでなく、読字に困難がある発達障害のある人、寝たきりや上肢に障害がある等の理由により、書籍を持つことやページをめくることが難しい身体障害のある人にも対象を広げ、読書環境の推進に取り組みます。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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