第20回和歌山県食の安全県民会議

平成22年2月2日、「第20回和歌山県食の安全県民会議を開催しました。

県では食の安全・安心確保のための各種施策づくりの過程で県民の意見を反映するため、消費者をはじめ、生産・製造・流通に携わる方々や学識経験者として活躍されている方々計15名からなる「和歌山県食の安全県民会議」を設置しています。
このたびの会議では、「平成22年度和歌山県食品衛生監視指導計画(素案)」、「アクションプランの進捗状況」、「食の安全・安心・信頼確保方策」などについてご協議頂きました。

開催日時・場所

日時:平成22年2月2日火曜日午後1時30分から午後3時30分

場所:和歌山県自治会館304会議室

会議の様子1会議の様子2

会議の様子3会議の様子4

議事

  1. 平成22年度和歌山県食品衛生監視指導計画(素案)について
  2. 平成21年度上半期のアクションプラン進捗状況について
  3. 食の安全・安心・信頼確保方策(平成21年度事業報告と平成22年度事業計画(概要))について
  4. その他

委員意見(概要)

平成22年度食品衛生監視指導計画(素案)について

  • 委員
    と畜検査の重点監視指導項目に追加対象となった病原性大腸菌の「O-26」というのは、人体にどういった影響が出るのでしょうか。
    また、「BSE検査については全頭検査を実施します。」とありますが、ある一定月齢以下に関しては科学的には根拠が無いように言われているのですが、これはやる必要があるのかという点について教えてください。

  • 1点目の「O-26」については、「O-157」と同じ腸管出血性大腸菌に含まれるもので、ベロ毒素産生といわれるものです。人体への影響はO-157と同じで、激しい腹痛、水溶性下痢、血便が特徴と思われます。幼児や老人では、溶血性の尿毒症を起こしたり、けいれん・意識障害・脳症を起こします。
    2点目のBSE検査ですが、「20ヶ月齢以下についてはプリオンが形成されていないので検査では検出できません」ということが食品安全委員会から答申され、20ヶ月齢以下の検査に対する補助金は平成20年8月1日から打ち切られ、検査の中止は各自治体の判断であるというのが国の見解です。
    和歌山県では、20ヶ月齢以下の頭数が少なく、使用している検査キットが一度に複数頭検査できることから全頭検査をしていますが、全国横並びで一斉に止めないことには商品を差別化されるおそれがあるので、一斉に止めない以上は止めることができないというのが本音のところです。
  • 委員
    ランク別監視対象業種(施設)の中に、Aランク監視業種の対象として「平成21年度に法違反による行政処分を受けた施設(年間3回)」とありますが、この行政処分の中身について教えてください。

  • 平成21年度の行政処分は、現在(平成22年2月2日現在)のところ営業停止が6件あり、内訳として5件が食中毒、もう1件は「アレルギー表示の欠落」によるものです。
  • 委員
    事故米の事件があった際に、事故米が混入した商品を食べたら死ぬかもしれないというような話が一人歩きをして、商品が全く売れにくいという状況になりました。基準値が超えた際の対応については、具体的にどのような方法でお考えなのでしょうか。

  • 事故米当時の対応としては、わかりやすい図絵を用いて、「これだけの量を毎日食べ続けた場合には健康被害のおそれがあります」ということを示し、「実際に健康被害が出る量まで食べることはまずありません」と説明するようにしました。
    基準値は食品の回収にも関係してきます。私たちの立場では、基準値を超えて流通しているものは法律違反であるとしか言えませんが、回収については、「もったいない」という考え方もありますので、全国の会議でも協議していきたいと考えております。
  • 委員
    ランク別監視対象業種ごとに必要監視数が定められておりますが、この内容は100%実施しているのでしょうか。

  • 結果として、100%まで実施したことはありません。監視指導計画を立てる際には100%実施すべき内容を計画しておりますが、実際の監視員数を考慮していないため、達成率100%は難しいものがあります。また、監視員は有資格者であり、長期休暇に入られると代替えがきかず、募集をしても採用試験も受けてもらえないという状況があり、年度ごとの監視率の変動要因は、監視員の数によるものだと考えております。
  • 委員
    「いわゆる健康食品」の検査項目として「一般細菌・大腸菌」が上げられていますが、どういう根拠なのでしょうか。

  • 本来、監視指導計画は食品衛生法・と畜場法・食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律に基づくものです。「いわゆる健康食品」の検査については、実際には監視指導計画に定める項目以上の検査をしており、食品衛生法に基づいていない事項については監視指導計画の中には入れておりません。ただ、「いわゆる健康食品」の検査において、例えば、「さるのこしかけエキス・粉末」のようなものであれば、「一般細菌数・大腸菌」を調べる必要があるだろうとの考えのもと、指導計画内の検査項目に入れております。
  • 委員
    平成20年9月に消費者庁が設置され、今回、監視指導計画の中に初めて消費者庁という言葉が出ておりますが、消費者庁に対する国民の期待というのは非常に大きいと思います。
    計画の内容には、「消費者庁及び都道府県等の連携確保」とありますが、担当する部署が以前と変わったという一面ではなく、消費者は、計画の内容が消費者庁設置によってどのように反映されるのだろうかという期待があると思いますので、消費者庁の取り扱いや役割について、内容を濃く出していただければと思います。

  • 監視指導計画の策定において、食の安全・安心を考えた際にはJAS法や景品表示法の関係も盛り込むことができないかという点があります。
    現在、食品・生活衛生課における消費者庁の連携としては、健康被害が起こった際には、まずは厚生労働省と連携しますが、情報は消費者庁にも伝えることとなっています。また、食品表示の件で問題が起こった際や、行政処分後に公表した場合にも情報を提供しています。
    消費者庁との連携をさらに強くするならば、監視指導計画にJAS法の関係も入れるべきだと思いますが、そのことが健康被害に係わるかといえば、反対する意見もあるのではないかと思います。

平成21年度上半期のアクションプラン進捗状況について

  • 委員
    今回の報告は、目標数値を掲げたが「できなかった」ということを言いたいのか、あるいは目標数値を掲げたが「これだけやりました」というのを言いたいのかどちらなのでしょうか。何のための目標化なのか、果たして意味があるのかなというように思います。

  • アクションプランには目標数値で管理していないものもあり、できるだけ数値で管理する方が誰が見てもわかりやすいという点があると思います。今回の報告において、年度の目標数値を上半期の時点で達成しているものは、当然一定の努力もあってのことと思いますが、達成していないものは達成に向けて努力をしていくことになります。
    平成21年度全体の結果は、平成22年度最初の県民会議でご報告させていただきたいと考えております。

食の安全・安心・信頼確保方策(平成21年度事業報告と平成22年度事業計画(概要)について

  • 委員
    平成21年度事業の「食の安全・安心に係る県民アンケート」ですが、食の安全サポーターの方がアンケート用紙の配布・回収しておられるので、回収率は良いのでしょうか。

  • 回収率は集計中のため確定しておりませんが、かなり良いと思います(会議後の集計結果:回収率99.5%)。
  • 委員
    HACCP導入促進事業ですが、食品衛生管理認定制度の中に「HACCP導入衛生管理施設」と「衛生管理推進施設」がありますが、「衛生管理推進施設」というものの中身がわかりません。
    例えば、宣言をすれば推進施設になれるのか、あるいは一定の基準があり、その基準を満たしていれば認証をするものなのか、その点を教えてください。

  • 「衛生管理推進施設」とは、営業者が最低限しなければならない一般的衛生管理(SSOP)が達成できている施設のことです。また、「衛生管理推進施設」の認定を受けてから「HACCP導入衛生管理施設」にステップアップができるというものです。

その他:食の安全安心推進条例(仮称)の制定について


  • 昨年度の県民会議で、食の安全安心に関する条例についてのご意見をいただき、検討した結果、『「安心」の担保をどうするのか』という課題があります。「安心」という人の心に係わる問題には、「安全」であることが必要であり、また、「安全」であることを周知したうえに「信頼」してもらわないと「安心」を担保することはできないものだと思います。
    条例の制定については、当課や農林水産部局において様々な考え方があり、平成22年度内に制定しますとは言えませんが、クリアしなければならないところははっきりしている状況です。ただ、「安全」だけの内容であるならば条例化は必要がなく、「安心」を担保して「信頼」を勝ち得るためには条例が必要ではないかと考えている段階です。
  • 委員
    食の安全・安心に関する条例化の件は、5~6年前に県民会議から提言をして、なかなか県からご返事がいただけませんでしたが、ようやく緒に就きかけたという感触であり、県民会議としてもぜひ推進していただきたいと思います。
  • 委員
    条例化の検討については、県の「食の安全・安心・信頼確保のための基本方針」ができた時から提言し、当時は全国で5~6つぐらいしか条例化していなかったと思います。ところが現在は25の都道府県が条例化をしているということで、当然県民から和歌山県はどうなのか、なぜ条例化しないのかというような意見も強いのではないかと思います。
    県民にとって「食の安全・安心」というのは非常に重要なテーマであり、そのことが行政的にしっかりと確保されているという状況をつくる意味でも条例化は必要であり、また、これだけの行政施策をやりながら条例化していないというのは、少し納得できないという一面もあります。実際に和歌山の場合、施策の内容は他府県と比べても進んでいるし、優れていますし、和歌山にあった形で条例化をしていただきたいというように思います。
    先ほどありました「安心の担保はどうするのか」ということについては、大いに議論した方がいいと思います。基本は和歌山に合った形でどのように作っていくかということですから、そういう議論を通じて解消できればというように思っています。
  • 委員
    条例の話は初めて聞きましたが、行政が安心を担保するというのは、個人的な県民の立場からすればそこまでしないでほしいと思います。「安心」とは、個人個人の心の問題であり、そのことを条例で定めることが可能なのでしょうか。県民をもう少し自由にさせてほしいと思います。
    危険・危害を排除する「安全」は必要ですが、県民の「安心」まで行政が担うというところまで日本はおかしくなっているのでしょうか。生きている喜びである「安心」というものは自分でつくるものではないでしょうか。
    「安心」を行政にお願いするための条例化というのは、どちらかといえば自由を奪われるというような気がします。趣旨を間違えているのかもしれませんが、非常に納得はできません。行政に「安心」を確保していただく条例をつくるというのは、条例の中で個人の自由を規制してしまうことにならないでしょうか。
  • 委員
    県の条例とは、地方自治体が制定する規制法規ということになります。内容をどこまでとするのか、条例として罰則までもっていくのかなどの課題・疑問点があります。
  • 委員
    消費者の立場としては、「本当に安全なものを食べさせてもらっているのかな」ということをよく聞きますので、県としての目標が条例できちんと定めてあれば一つの基準になると思います。
    話は少し変わるかもしれませんが、聴覚障害者の方たちが本当に知ることができるのは文字で書かれているものです。同じ聴覚障害でも、ろうの方であれば手話で会話をしたりしておりますが、いわゆる難聴者の方で手話のできない方やわからない方などは知る方法がありません。
    県民会議の内容は、ホームページに掲載されるとお聞きしましたが、私たちがそういった方達のためにどれほど代弁してあげられるのかなというように思います。
    もっと県民全体をみたら、障害者の方たちはたくさんおられると思いますので、そういう方達のためにも、和歌山ではこのような条例をつくって、安全・安心を担保してもらうということは必要ではないかと思います。
  • 委員
    「食」は安全で安心なものだということは、本当は当たり前のことです。製造者とは、商品がきちんとできるための「科学」と、「哲学」というものが必要だと思います。「科学」が発達して色々なものができるようになりましたが、「損なのか得なのか」ではなく、「善か悪か」というところの、「ものの考え方という哲学」が製造者に欠落しているように思います。例えば、産地偽装というのは、不可抗力ではなく、「してしまった」というものであり、結局、モラルの問題から安心・信頼が成り立っていかないのだと思います。
    製造者が賞味期限を「冷凍で3ヶ月です」という表示をしていると、「冷凍」と書いているにもかかわらず、消費者の方から「解凍して3ヶ月ということでなければおかしい」という話がありました。製造者からすると、賞味期限が冷凍で3ヶ月ということは解凍すればそうではないということは常識としてわかるのではないかと思うのですが、『「解凍後は2日です」という表示がない』と揚げ足を取られ、反対に消費者のモラルはどうなのかと思うことがありました。
    モラルが欠落しているもの同士が、お互いが歩み寄って守ろうというところに、本当は必要でないようなものが必要になってしまった世の中なのではないかと思います。「条例化が必要だと思います」ということではなく、「条例が無いとできない」というようになってしまっている部分があり、食べるものが安心で安全でなければおかしなことなのですが、時代はこういうようになったんだなと思いました。
  • 委員
    食の「安全」の部分に関しては、すでに法で担保されているはずと思います。そのために監視指導計画なども作っていただいているのだと思います。「安心」の部分を条例で定めると、県民それぞれに責任が生じるので、「安心」をしていなければいけないというような世の中はおかしくないのでしょうか。「安心」することは必要なので、そのために人は日々努力をするのだと思います。そのことを条例で定めるというのはどうなんだろうかと思います。
    「食」には、健康被害が出る場合がありますので「安全」は必要ですが、「食」は健康のために摂ります。食べることによって健康になりますが、その中で危害があったら病気を起こすので、「安全」である必要はあります。だからといって、自分が摂る食事の「安心」を行政に確保してくださいと付託しなければならない世の中なのかという部分があります。
    本来、人が人として生きる以上、自分の健康は本来は自分で守らないといけないと思います。その中で、そうはできない方々もおられるので、そのための知識の普及は必要です。しかし、今回の話は人間のモラルの部分であって、条例に定めることが必要なのかというところが私にはわかりません。私の意見としては、「安心」まで条例をつくらなければいけないのかいう疑問がありますので、条例を作るのならば「安心」を外して作ってほしいと思います。
  • 委員
    条例化に関しては環境生活部がイニシアチブをとらないと県が動かないのかということなのでしょうか。また、関係部局との関連の見通しには、多くのステップがあると思いますが、当然、最終的には県議会の認証を得なければならないので、そういった技術的な可能性についてまとめていただきたいと思います。
    また、条例は他25都道府県で制定されているということですが、他府県の事例を県民会議にも提示いただければ、それぞれ各委員の方にご意見をいただけるのではないかと思います。
    条例の件につきましては、できれば県民会議の議題に入れていただいて、事務局の方で資料等が準備できた時点で、提言や意見をさせていただければと思います。
    過去に、私ども委員会から条例化のご意見が出て、そして県で話を進めていただいたという経緯がありますので、意見交換を経て進めていければと思います。

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