第25回和歌山県食の安全県民会議

開催日時・場所

日時:平成23年11月25日金曜日午後1時30分から午後3時30分

場所:和歌山県自治会館2階304号室

会議の様子1会議の様子2

会議の様子3会議の様子4

議事

  1. 「和歌山県食の安全・安心・信頼確保のための基本方針」の確認と検証について
  2. その他

委員意見(概要)

「和歌山県食の安全・安心・信頼確保のための基本方針」の確認と検証について

議論の進め方

  • 委員
    昨年度、食の安全条例(仮称:以下、「条例」という。)の件についてはかなり議論をいただきましたが、条例化に関しましては、食の安全県民会議の中では賛否両論があり、県民会議の所掌事項である「食の安全・安心確保関連施策に関する県への提言・助言」というところまでには至りませんでした。
    誤解を承知で申し上げますと、この県民会議において、条例化の提言に向けて「賛成である反対である」ということを出さなければいけないのかなと思っています。
    極論ですが、県民会議が条例化に賛成したからといって、条例が県議会の議決につながるというわけではありません。逆に、県民会議が条例化に反対し、47都道府県のうち和歌山県だけが条例化をせずにいても、それでも和歌山県は大丈夫だという根拠にはなりません。条例化の件は、やはり議会を通してやっていただくことであり、他の部局とも共同していくことが必要であると考えます。


    そこで基本となるのが、今回の議題である「食の安全・安心・信頼確保のための基本方針(以下、「基本方針」という。)」ですが、基本方針の策定後から時代が変遷し、非常に多くの食の事故も起こっていることから、この基本方針が、私たちが想像しない事故に対応できるかどうかについても踏まえる必要があると考えます。
    また、現在、条例は47都道府県のうち28が制定し、年々増加していることからも、今後、制定する府県は相当な数になるだろうと考えられます。一般的・客観的に考えると、条例化の方向に進んでいくのが時代の趨勢でないかと個人的には思います。

    そういう状況の中、本日の会議で県が示された基本方針について、皆さまから意見を出していただき、事務局には、それらの意見を参考にしていただければと思います。
    もちろん、結論が出れば、県民会議として「提言」としてまとめさせていただきますが、条例化についての「賛成・反対」の議論はすでにしておりますので、近い将来、条例化の方向になれば何を改善すべきか、条例化しないならばどう改善すべきかというところについての具体的な内容を、それぞれの立場からご意見をいただければと思います。

基本的な考え方

基本方針の使命「消費者の生命及び健康を護る」の考え方について
  • 委員
    基本方針における「基本的な考え方」として、「消費者の生命及び健康を護る」という記述がありますが、これが基本方針の大前提となっています。この「消費者の生命及び健康を護る」ために「何をするか」という、つながりが必要であると思います。
    また、基本方針の中には「県産食品をブランドとして維持するために~」という「ブランド」に関する記述がありますが、「消費者の生命及び健康を護る」ための「和歌山ブランド」とは一体何なのかと考えると、私は「ブランド」というものは、基本方針とは別の問題ではないかと感じています。「消費者の生命及び健康を護る」と「県産食品のブランド」をつなげようとしても、その後にはっきりした続くものがありません。
    その当たりを含めて、「消費者の生命及び健康を護る」ということを大前提に議論していかなければ、全体的な整理にはならないのではないかという感じがします。

  • 基本方針に記載しているブランドとは、「安全で安心できる品物です」という意味でのブランドであり、格好やデザインではなく、商品として安全・安心のできるブランドという意味であると思います。
  • 委員
    言葉の使い方は、検討された方がいいと思います。
    結果としてのブランドであればよいと思いますが、この記述には「ブランドを維持するためには」とありますので、そこが引っかかります。
    条例化までになった場合、ブランドという単語はあまり相応しい言葉だとは思いません。誤解を招くような気がします。
「信頼」について
  • 委員
    資料「食の安全・安心に関する都道府県の取り組み状況」にある全国の条例等制定状況についてですが、条例等の名称に「信頼」という言葉を入れているのは和歌山県と栃木県だけとなっています。
    基本方針の策定した当時、この「信頼」という言葉を独立的なものとして入れるという考え方があったと思いますが、どうして「信頼」を入れたのかという点について説明いただけますでしょうか。

  • 確か、「信頼」という言葉を全国で一番最初に使ったのは、この和歌山県の基本方針だったと思います。
    「信頼」の点については、安全・安心を持続してこそ「信頼」が確保されるということや、この「信頼」が和歌山県の基本方針における売りの一つであるということについて、県民会議でご議論いただいたと思います。
  • 委員
    商売人は、「信頼」という言葉を大事にしています。また、継続するためには「信頼」がなければ継続できません。自分の店だけが「信頼」されるということではなく、自分の店も一般消費者の方を「信頼」しないと継続することはできません。
    また、業者やメーカーでは、義務ではなく自分を護るために、一生懸命にトレーサビリティなどに取り組んでいるところもあります。
    メーカー・流通業者・一般消費者の間での「信頼」は、とても大事だと思います。ただ、モラルや信頼などの部分でおかしな事がなければ、特に、法で規制する必要はないと思います。
  • 委員
    生産者・流通業者・消費者の間の「信頼」が大切であり、基本方針にも「県の役割」「生産者・事業者の役割」「消費者の役割」と3つの項目があります。
    それぞれの関係者が、基本方針の「消費者の生命及び健康を護る」という点について、護るために何ができるのかというところに結びつけていくことになると思います。
    ただ、文言だけが走っても仕方がないので、内容を伴った施策をしていかなければならないと思います。

関係者の役割

県の役割
食の安全行政について
  • 委員
    食の安全については、縦割り行政の弊害を改めるため、新たな体制で対応してきたとお聞きしました。このことは非常に重要なことであり、おそらく県行政の中でも、これだけ横の連携を取りながらできているのは食の安全行政だけではないかと思います。
    これまでの縦割り行政を改めるため、横のつながりを強化することは、実際に大変難しい部分もあったと思います。
    今回、食の安全行政において縦割り行政を改めて取り組んできたという点については、行政としてきちんと総括し、県民に明らかにした方がいいと思います。
危機管理について
  • 委員
    万が一、和歌山県内で生産・製造された食品で事故が起こったという場合には、基本的に和歌山県がいち早く対応して和歌山の企業を守って欲しいと思います。そういった意味での危機管理ということで、例えば国にお伺いをたてて行う施策を、県があらかじめ「こういうかたちで守ります」という対策をもっておいていただきたいと思います。
  • 委員
    危機管理に関しては、例えば、食品に事故が起こった際の自主回収という手続があると思いますが、県の基本方針や監視指導計画の内容には具体的に記載されていません。
    他府県では、自主回収の報告についてを条例で定めているところが結構ありますが、和歌山県において自主回収が必要となる事故が起こった場合、県は一体どのようにして対応するのでしょうか。

  • 自主回収については、要綱において対応できるように整備をしております。仮に自主回収をすることになれば、要綱に基づいた対応・処理を行っているという実状です。
    条例を制定している府県については、自主回収の項目を条例に盛り込んでいるところが多くありますが、和歌山県では、別立てとして指導できるようなかたちにしております。
  • 委員
    去年の会議資料において、京都府の条例に関する部分に、
    「府は、食の安心・安全確保に重大な影響を及ぼす自体を事前に防止し、または、当該事態が生じた場合に、迅速かつ適切に対処するため、関係機関との連携の強化等必要な体制の整備を図る。」とあります。
    この内容は、事故が起こった場合のケアだと思います。この考え方は、未然に事故が起こらないようという点、また、起こった場合にどう対処するのかという点が全部内容に入っていますので、参考になると思います。
食に対する情報交換について
  • 委員
    和歌山県には食品に関する認証制度があり、非常に大きな柱で和歌山県の特徴であると思いますが、現在、利用が少ないという点については、もっと強い働きかけが必要ではないかと思います。
    また、「(1)県の役割」の記述において、全ての主語が「県」となっていますが、知事がトップとして責任をもってやるという意味合いから、この主語の部分を「知事」にすることはできないのでしょうか。他府県の条例では「知事」を主語にしたものがいくつかあり、この点ははっきりと明文化した方がよいと思います。
輸入食品に関する取組について
  • 委員
    基本方針には輸入食品の問題があまり記載されておりませんが、現在は策定当時の状況から変わっていることから、輸入食品に対する危機感は強いと思います。
    他府県の条例などでは、輸入食品を取り扱う事務所に対する設置の届出制度などが新しく定められたところもありますので、そういった制度も加えてやっていくべきではないかと思います。
食育について
  • 委員
    子どもに対する食の安全性に関する教育は、幼稚園児の時から実施するということも必要であろうかと思います。おそらく他府県はやっていないことです。
    また、伝統的食文化といった、和歌山の独特のある食文化を守るというようなことも、何かしら施策の中に入れていただきたいと思います。
  • 委員
    すでに県には食育推進会議が別に設置されており、和歌山県の「食育推進計画」も策定されています。基本方針の中にも食育に関する内容がありますが、その部分はきちんと住み分けした方がよいのではないかと思います。
    現在は、基本方針の策定当時とは異なる状況になっている点や、新たに食育推進計画が策定されている現状をどう考えているのかをお聞きしたいです。

  • 基本方針の策定検討時、まだ国の省庁においても「食育」はどこが担当するのかという状況であり、県においても、「食育」という言葉はすでに使われていたものの、実際に食育の担当部署はどこなのかという議論がある中、基本方針の策定が先行したという経緯がありました。
    また、どちらかといえば、「食育」の方が「食の安全」よりも広義な意味を持ち出しましたので、基本方針の見直しをするとなった場合は、当基本方針を安全・安心だけに特化するべきなのかという点も含めた整理をしなければならないと思います。
  • 委員
    「食育」は、農林水産部が担当していると思いますが、農林水産部と環境生活部(食品安全担当部)との連携はされているのでしょうか。
    例えば、「食育」の取組について、今年度・来年度はこういう取組をしますというようなことは事前に分かるのでしょうか。

  • 当課も食育推進会議には委員という立場で参加しておりますので、食育に関する取組内容は、会議で提案された場合には事前に把握するところになります。
生産者・事業者の役割
  • 生産者・事業者の役割について、『1自主的なリスク管理の向上を図ります』『2消費者に安全・安心を積極的に届ける取り組みを行います』『3環境に配慮した食品の供給活動を行います』の3項目に関しては、何ら異論はありません。
    ただ、消費者の立場とすれば、このような内容を基本方針に書かなければならないほど、事業者・生産者のレベルが少し低いのだろうかと逆に不安に陥ります。
    例えば、『2消費者に安全・安心を積極的に届ける取り組みを行います。』の項目ですが、食品の生産者は、生産した製品を消費者に食べてもらうことで売上げを上げ、自らが食べていくために取り組んでいるのに、この内容をわざわざ基本方針に書かなければならないほどのレベルなのかと不安に陥ります。
    ですから、この部分については少し表記の方法を変えた方がよいのではないかと思います。このことは、基本方針を見直すにしても条例化するにしても、少し注意した方がいいのかなという気がします。

  • 常識の範囲となる内容については省いてはどうかというご意見だと思いますが、ただ、消費者の役割としては、「食品の安全性の確保に関する施策に対しての意見を表明することによって、食品の安全性の確保に積極的な役割を果たすものとする」という点もありますので、生産者・事業者の取組としては常識的な内容であっても、消費者に対する再確認という意味合いも含め、基本方針には掲載しているという実状もあります。
消費者の役割
  • 委員
    消費者の役割について、『1「食」について考える習慣を身につけます』の項目に、
    「消費者は、食に関する正しい知識を習得し、安全な食品を見極める力を身につけ、生産者や事業者、行政と共に食の安全・安心を確保するために行動する必要があります。」
    と書かれています。
    この部分は、人から言われたり、方向を示されて取り組むものではなく、自分の身を守るための自助の中でやるべきことです。基本方針の改定、若しくは条例化となった場合、この内容が入りますと、県民にとっては義務を課されることになり、権利を制限されることになりますので、この部分は非常に危険な文言だと思います。
    また、『2生産者や事業者との交流を深めます』の項目では
    「生産者や事業者との交流活動に積極的に参加することも大切です」とあり、「~大切です。」となっていますので、義務を課されたわけでなく、権利を制限されたわけではないので問題はありませんが、この部分については、事業者・生産者との交流を深めるだけではなく、「消費者の役割」として、「消費者自らが食品を作ってみる行為」という内容を入れるべきではないかと思います。そうすれば、当然、『1「食」について考える習慣を身につけます』の項目における「考える習慣」というものが身につくと思います。
    また、そのような取組を進めた方が、「信頼」が確保につながるのではないでしょうか。もちろん、自分で食品を作るわけですから「安心」できるでしょうし、食品を生産・加工・製造する方々の普段の苦労している部分が分かると思います。ですから、「事業者・生産者との交流」よりも、「自らが食品を生産・製造する行為」を行うことが、一番手っ取り早いのかなという気がします。
    ただ、このことを「消費者の『役割』」とまでは言いたくないのですが、消費者が自ら自由に食品を作るという取組について、もっと奨励してはどうだろうかというように思います。
  • 委員
    「自分で作ってみたら分かる」というのはもっともなことですが、消費者の「役割」として当てはめるには無理がありますので、むしろ県がそのような場を設けることにより、生産者・事業者のコミュニケーションや交流につながるのではないかと思います。
  • 委員
    「消費者の役割」ですが、基本方針の策定当時における消費者の権利とは「消費者保護(基本)法」に基づくものでしたが、現在は「消費者基本法」に改正され、消費者の権利がきちんと法律に謳われているという違いがあります。
    従来、消費者は保護される対象であったのが、現在は、権利をもって主張することができる消費者に変わっており、そこには従来よりも主体性があり、考えて行動する消費者という位置づけ・性格があると思います。
    このあたりをどのように位置づけるかという点について、議論した方がよいのではないかと思います。

その他

特になし

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