第21回和歌山県食の安全県民会議

平成22年7月15日、「第21回和歌山県食の安全県民会議」を開催しました。

県では食の安全・安心確保のための各種施策づくりの過程で県民の意見を反映するため、消費者をはじめ、生産・製造・流通に携わる方々や学識経験者として活躍されている方々計15名からなる「和歌山県食の安全県民会議」を設置しています。

このたびの会議では、「平成21年度食品衛生監視指導計画の実施結果」、「アクションプランの実施結果」、「食の安全・安心にかかる県民アンケート調査結果」、「第3次アクションプランの策定方針」などについてご協議いただきました。

開催日時・場所

日時:平成22年7月15日木曜日午後1時30分から午後3時30分

場所:アバローム紀の国4階羽衣の間

会議の様子1会議の様子2

会議の様子3会議の様子4

議事

  1. 平成21年度食品衛生監視指導計画の実施結果について
  2. 平成21年度アクションプランの実施結果及び新規取組の追加について
  3. 食の安全・安心にかかる県民アンケート調査結果について
  4. 第3次アクションプランの策定方針について
  5. 平成22年度の主な事業計画等について

委員意見(概要)

平成21年度食品衛生監視指導計画の実施結果について

  • 委員
    営業施設等の監視指導結果について、平成21年度の対象施設の監視率は、72.1%で、目標達成できなかった理由が、食品衛生監視員の不足等となっていますが、いつも監視員の不足という理由で、毎年達成できていないと私は理解しています。不足することが予測されるのであれば、それなりの体制を事前に組んでおく必要があるのではないでしょうか。最初から不足することがわかっていながら達成できない目標を決めても、達成する気がないのではないかと思ってしまいます。
    それから、食品等の検査結果の内、残留農薬の検査で、検査項目が175から187項目となっていますが、この「から」というのがどういう意味なのか、教えていただきたい。
    また、食品等の検査結果の問題のある所について、改善はされていると思いますが、改善をした後の点検について、例えば期限を決めてやるということだと思うのですが、そのやり方、状況はどうなっているのでしょうか。
    BSE検査の結果について、最近は全国的な状況があまり報道されず、どうなっているかわからないところがあるので、他府県がどうなっているのかということと、和歌山県はこれまでやってきましたが、この後も引き続きずっとやるのか、その辺の実態はどうでしょうか。
    それから、食品衛生に関する苦情・相談受付状況について、トータルで、3,510件となっていて、苦情と相談とに区分けされているんですが、例えば、苦情があった中で相談というのも入るんじゃないかと思います。その辺の中味はどうなっているのでしょうか。最後に、消費生活センターに消費者被害のいろんな苦情、相談があるわけですが、ここで受けたものも入っているのか、或いはそれは全く違う別の内容、数なのかということもお訊きしたいと思います。

  • まず、毎年、食品衛生監視員の不足というのであれば、計画から見直せば良いのではないかというご意見については、監視員一人当たり年間一千件の監視指導を行うという計画で、全ての監視員がそろっていれば、目標達成という計画となっています。しかし、実際は産児休暇や育児休業、また、去年は新型インフルエンザという予想もできない事態がありましたので、そちらの方に時間を割かれました。このようなことがなければ、決して達成できない数字ではないと思っています。
    次に、残留農薬検査の175から187項目ということについては、液クロによって検査をしていますから、カラムの組み合わせの関係もあって、一遍に検査できる項目が違ってくるんではないかと思います。
    それと、不良食品については、改善措置を促した後、期限を切って報告をさせています。報告後に正しく履行されているかどうか、再度、監視ないしは検査を行っています。
    BSE検査について、国では、21か月齢以下については、検査の必要なしということになって、BSEの検査キットについても国庫補助の対象から除外されていますが、本県では県民の安心の確保ということで、21か月齢以下についても、全頭検査で行っています。他府県につきましても、ほぼ全頭検査で行われていると聞いています。
    また、苦情と相談の内訳ですが、委員のおっしゃるとおり、もう少し細分化しても良いのではないかと思っています。これは、来年度の計画も踏まえながら、もう少し細分化して、より消費者のニーズを把握できるように工夫をしたいと思います。それと、消費者センター等に寄せられたものについても、食品の苦情は、消費者センターから保健所にその苦情内容がほとんど転送されますので、ほぼこの数字に載ってきていると思います。
  • 委員
    残留農薬の検査については、液クロだけで測るのではなく、ガスマスか液マスで一斉に検査しますので、トータルは恐らく技術的には200、250の分析する技術はあると思います。一つには、作物ごとに不要なものがある。要するに、ある果樹を使ってますと、別の季節の野菜にしか使わない農薬は、当然出てこないであろうというようなこともあって、配慮されているんではないかと思います。あと、年々、検査の数は増えてきてまして、企業なんか300ぐらいやっているところもあるんではないかと思います。それが必要かどうかということが問題になってきて、恐らく、JA県農さんのセンターでは、その辺りずいぶん吟味されて行っておられます。

平成21年度アクションプランの実施結果及び新規取組の追加について

  • 委員
    アクションプランの実施結果の説明で、未達成の取組を解説いただきましたが、これは、いずれも数値目標を掲げたものに対して、数値が下回ったという結果で未達成という理解でよろしいですか。
    また、数値目標のないものに関しては、達成、未達成はどのように判断したのか、ご説明をお願いします。

  • 数値目標があるものについては、ご理解いただいているとおりです。また、数値目標がないものについては、プランの中で決まっている取組の内容について、それぞれ取り組んでいる各課室で自己評価をするという形になっています。
  • 委員
    未達成の中で、特に重点的に改善をするというプライオリティなどがありましたら解説いただければと思います。

  • 事務局だけでは決められるものではないという部分がございますが、監視指導計画の監視率は県民の方の注目も高いと思いますので、今後も引き続き重点的に取り組んでまいります。
  • 委員
    平成20年度は達成となっていた取組の一部が未達成に移行したとありますが、どういう意味ですか。また、それぞれの年度のパーセンテージには入っていないのですか。

  • 平成20年度は達成だった項目のうち、21年度は達成しなかった項目があるということです。また、それぞれの年度でのパーセンテージには反映しています。

食の安全・安心にかかる県民アンケート調査結果について

  • 委員
    78.4%の県民が食品の安全に対する何らかの不安をもっているということで、平成15、18、21年の3回に亘る変化では、不安を感じている人の割合がちょっとずつ減ってきています。これは、どういう背景によるもので、どう解釈すればよいかお聞かせいただきたいと思います。

  • 行政の解釈とすれば、リスクコミュニケーションが進んだと解釈したいのですが、BSEや偽装表示が世の中を騒がせていたときなどアンケートを採る時期的なタイミングも影響しているのではないかと思います。
  • 委員
    BSEや偽装表示などとの因果関係を求めるのは難しいですが、もしその辺の解析をされていましたら紹介いただければと思いますが、いかがですか。

  • 細かい中味については、まだそこまでは行っていないという状況です。
  • 委員
    アンケートに答えられた方々の属性はあまり以前と変わりないんですか。

  • 基本的に地域と年齢につきましては、特定の地域、年齢の方に偏らないように、調査をさせていただいています。基本的に今までの調査も同じやり方です。
  • 委員
    時代背景を調査結果のコメントに入れておけば、アンケート結果を見る上で参考になると思います。
  • 委員
    不安が減っている所以について、アンケートのコメントを見て思ったのですが、例えば、食品表示に対する不安について、「表示を信じて購入するしかない消費者の気持ちを生産者によくわかってもらい、偽装表示等がないようにしてもらいたい(女性 40代)。」という意見がある訳ですが、こういう意見を書くということは、表示が生産者の段階からされているということを消費者の方が知り始めているということですから、不安が減ってきていると思います。
    次に、消費者育成に関する意見について、「虫食いの野菜は虫が安心して食べるので、人間が食べても安全だという考えで消費者が食品を購入すれば、生産者も必要以上に農薬を使わないのではないか。かしこい消費者にならなければ」という意見がありますが、消費者もやっぱり勉強する意識があると思うのです。正直言って、30代、40代までは生産現場を知らない世代ですが、この意見は40代の方の意見です。
    その次、行政施策への要望等について、「行政が差額をバックアップすべきだと思います」という例の米の関係と、地産地消の関係の意見ですが、未だにこういう意見も逆にあって、他力本願的な感覚も残っています。だから、七十何パーセントの人が不安なんだろうと私は思います。
    あと、「生産者の名前があると安心できる。生鮮食品が古いスーパーは、その他の食品の安全性も不安になってしまう。」という意見があり、消費者の自己防衛、しっかりと動き始めているんだと思います。
    そういう意味で、知りうる情報の中では不安は減ってきているが、実際それが正しいのかどうかということで、まだまだ不安であると私は理解しています。
    生産の現場では、原材料、薬剤、農薬について、ものすごく膨大な量の記録が求められ、かなり生産する側も意識的に変わってきていますので、買う側も不安が徐々に解消してるのではないかと思います。
  • 委員
    ハサップについて知っていますか、というアンケートの問いで、「まったく知らない」という答えが半数になってますよね。先ほど、知識的なものは、よく知られてきているというふうに聞いたような気がしたんですが、このアンケートを見る限りでは、まだまだこういった基礎知識が知られてないのかなと思います。
    それで、こういうアンケートを採った時に、よく知っている、とか良い方のことについては別に心配ないと思うんですが、知らないとか、もっと不安であるとかいうデータが出た時に、その後どのようにされているのかお教えいただけますか。

  • 端的に言えば、施策に反映させていくということになります。私どもの立場から言えば、県庁の中でこの数値を見せて、監視指導をもっとやってくれという県民の意見があるという説明に使わせてもらうこともあるし、今回のハサップのことに関しては、県が推奨している認証制度について、事業者の方に説明する時、また、一般の方に講習会をする時にもそういう説明をさせてもらっており、アンケートを採ってそのまま終わりということではありません。
  • 委員
    アンケートの時期について、平成21年は12月ですが、今までも同じ時期でしょうか。

  • 毎回概ね同じ時期です。
  • 委員
    基礎知識と不安を感じているという、この関係がちょっと微妙だと思います。
    先ほど言われたように、記述式の部分もあるので、そこからある程度推測しなければいけない。例えば、基礎知識が増えたので、不安を感じなくなったかというと、逆に余計不安を感じる人もいると思いますし、なかなか単なるパーセンテージだけからは解析できないと思います。記述の部分をどういうふうに反映していくかということがひとつあります。もうひとつはアンケートを統計的に解析して恐らく傾向が出てくるのは年代別だと思います。その中で、どの年代がどういう不安を感じていて、どういう知識が不足しているというのが出てくれば、どの年代をターゲットに啓発などの施策をしていくかということが絞れると思います。
  • 委員
    アンケートの結果については、皆さんがこうやって資料を眺めるだけでもいろんな解釈とかコメントが出てきます。
    計量的に数値で見える部分と、見えない部分というのがいろいろとあると思いますので、行政としては、いろんな場面での説明資料、例えば、予算獲得のためにこの資料を背景にしながら施策を推し進めていくことが大事だと思います。もちろん、時代背景ということもありますが、できれば、全国的な消費動向と和歌山県の地域性、県民性とも比較して、例えばまったく同じ項目で総務省が調査しているかと言うと、そうではないですが、輸入食品に対する今の動きなどは、実際、リーマンショック以降、ちょっと低くなっていて、スーパーなんかも地元産食品を増やしていきたいというふうな傾向に逆転してきたりしてますので、そんなものとも比較しながら、県民はどういうふうな状況で、何を求めているのかということをできれば知っておくということが必要ではないかと思います。
    もう一つ、食の安全・安心のタウンミーティングがいくつかの手法で行われてるのですが、例えばどういう手法であれば、数字では表れてこないような県民の食に対するいろんな意識がくみ取れるというようなことを、見極めをしていきながらタウンミーティングの手法なども検討されていくということが必要なのではないかと思います。

第3次アクションプランの策定方針について

  • 委員
    以前の会議で、評価を巡って、自己評価しないで、第三者がきっちり評価すべきじゃないかという意見について、いろいろ検討はしますという形になってるんですが、県民にこのアクションプランをどう理解してもらって、参加してもらうかということを考えますと、やはりそういうものが必要なのではないかという気がします。
    それからもう一つは、活用の問題です。このアクションプランを具体的に、どういう体制で、どういうふうに県民に知らせるのかわからないのです。膨大ですから、それをひとまとめにどっと知らせるというのは、いろんな意見があると思いますが、どういうふうになっているのかなと思います。
    もう一つは、アクションプランは県のそれぞれの部署ごとの課題、役割があって、その課題をそれぞれ進めているという感じがしますが、誰がこれをトータルとして進めているのかが見えにくいと思います。もちろん、推進本部があって、やっています、ということなんですが、実際にどうなのかという気がします。
    あと、次の第3次プランを考えた場合、例えば、国体などの行事に向けて、今から準備を進めなければいけないと思います。先々のそういう行事も想定したうえで、そこに向けた準備や取り組み上も、アクションプランに入るのではないかという気がします。
    それから、先ほどの説明にもあったように、プランの進め方の中で、第1次プランのときは、事業者や消費者に分担していました。そういう分担については良いのではないかと思います。
  • 委員
    ただ今のご意見について、食の安全推進会議にも、今後のブラッシュアップのためにもご意見としてお伝えください。
    第三者評価は、確かに以前かなり議論がありました。なかなか体制的にはちょっと難しいのかなという気が私はしています。内部でつくられ、目標値が設定されていますが、それが正しいのかということまで遡って疑う必要はなくて、ちゃんとした体系でこういうプランニングで行ってますと、また、推進体制をもってますということを私たちに明示していただいてますので、それでよいのではないかと思います。
    というのは例えば大学の評価に関しては、第三者評価していたのが、各大学それぞれが専門的なことが違うので、第三者がわからない、というような意見も出てきて、自己評価しなさい、というような戻りも出てきている。考え方によると思いますし、また、この委員会はそういう意見を述べていただく場でございますので、また議論の対象にしていただきたいと思います。
    また、第3次プランでは行動目標を新たに設け、第三者が見てよりわかりやすいようにしていくのだと思いますが、数値目標がうまく行かなかったので行動目標に代えると、格下げになるイメージがありますので、その辺り考慮してプランニングしてください。

平成22年度の主な事業計画等について

  • 委員
    先ほどのアクションプランとも関わるんですが、自治体から言えば、消費者、つまり県民は、まだまだ普及とか啓発をする対象という段階なのかなという気がします。
    リスクコミニュケーションを図っていくためのタウンミーティングとか、或いは県民参加型の、ということもよくおっしゃるんですが、先ほどの3次プランの策定方針の中にあった協働関係の主体を明らかにするというところに消費者が入っているんですが、これはどんなイメージを持っておられるのでしょうか。
    行政と事業者と消費者と三つを並べて協働の主体と言ったときに、消費者を協働の主体とするイメージというのは、多分、県民参加で、県が行う事業に県民が加わるということが協働であるのかなという気がしているのですが、平成22年度の計画を具体的にいろいろと聞いている中でも、あまり表れていないような気がしましたので教えていただきたいと思います。

  • 例えば、いわゆる健康食品の安全対策の中で、参加型意見交換会を新規事業として実施しますが、これは従来型の一方方向の講習会ではなく、参加してもらって、あなたはどう思う、私はこう思う、というような意見交換会をしましょう、リスコミをやりましょうというもので、それには消費者にも入っていただいて一緒に協働でやるということなので、主体としては行政と消費者という形になろうかと思います。タウンミーティングも同様です。
  • 委員
    前回、食の安全・安心に関する条例化について報告があって、これについて議論しました。
    議事録を読みかえしましたが、中味的にはものすごい議論をしており、条例化するということにはならないとしても、あれを踏まえて、事務局で議論していただけたらと思います。
    私は条例化した方が良いと思っていますが、そういう議論というのもきっちり位置付けていただけたらなと思います。
  • 委員
    平成22年度の事業計画等の県民会議のスケジュールで、次回の項目に挙げられております。
    実は、今回協議事項が多くて、時間が取れなかったものですから、次回の会議の時に議題として取り上げていただくことになっております。是非、活発なご意見を言っていただきたいと思います。

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