第14回和歌山県食の安全県民会議

平成20年2月21日に「第14回和歌山県食の安全県民会議」を開催しました。

県では食の安全・安心確保のための各種施策づくりの過程で県民の意見を反映するため、消費者をはじめ、生産、製造、流通に携わる方々や学識経験者として活躍されている方々計15名からなる「和歌山県食の安全県民会議」を設置しています。

このたびの会議では、「第2次アクションプラン(案)」や「平成20年度和歌山県食品衛生監視指導計画(素案)」などについてご協議頂きました。

開催日時・場所

日時:平成20年2月21日木曜日1時30分から3時30分

場所:和歌山県自治会館304会議室

会議の様子

議事

  1. 第2次アクションプラン(案)について
  2. 平成20年度和歌山県食品衛生監視指導計画(素案)について
  3. アクションプランの進捗状況(平成19年度上半期)について
  4. 食の安全・安心・信頼確保方策(平成19年度事業報告と平成20年度計画)について

委員意見(概要)

第2次アクションプラン(案)について

  • 委員長
    前回の県民会議で意見のあった「第2次アクションプランの中に、食育、ノロウイルス食中毒の急増について、どう反映していくか」ということについて、説明してください。

  • 平成18年は、ノロウイルスによる食中毒が19件と多発しました。平成19年は、5件に減少しています。多発原因は、下痢便、おう吐物の処理方法に間違いがあったことが、まず第1の原因だと推測されます。そのため、保健所で食中毒予防講習会を多く開催したところ、19年はノロウイルスが減ったと思います。19年は、カンピロバクター食中毒が一番多くなっています。
  • 委員長
    食育についてですが、県でまとめられた食育推進計画は、豊富な情報量とわかりやすい解説で高く評価をしています。
    食の安全というのは、食育の中ではその一部ですが、地域や子供だけでなく、すべての関係者でやっていくということが大事で、食の安全局が関わっていく必要があると思います。アクションプラン(案)の取り組み事項で、新しく、普及啓発を行いますと書かれています。
    まず、食育に詳しい委員から、食育推進計画について説明頂いたら、よくご理解できると思うのですが。
  • 委員
    和歌山県と他府県と比べるといろいろな特徴がありまして、計画を作るにあたり、食育の観点では、学校給食の実施率が低いといったことや、若者の県外流出率が高いといったことがあり、何歳ぐらいまでに食育を学びとってもらうかを検討し、目標を設定しました。また、郷土の食べ物や食文化など、いろいろなものに関して、伝承が非常に希薄になっているとのことで、それをどのように食育の中に取り組むか、ライフステージ別に細かく目標値を挙げて策定しました。
    食育は、安全・安心に絡んでおり、ボランティアの数を増やすことも努力していますが、現在、食についてすごく揺れ動いているため、安全・安心といった基本的なところから崩れてきているという意見もたくさん出ました。
  • 委員長
    食の安全局は、食育に関してはどのような考えで計画をされていますか。

  • 食育推進計画については、教育、食の安全、健康づくり、それから地産地消といった農・畜・水産物の供給といった部門に別れているものを農林水産部がまとめ、目標値を設定し推進しています。食育は、範囲が広いため、教育現場や地元団体の取り組みの効果が大きいかと思っています。
  • 委員長
    食育基本法の理念と、食品衛生法の理念は、ずいぶん違うと考えていますが、啓発活動などは、ある程度重複してくる部分があるではないかと思います。
    農林水産部の方と協議して頂いて、共同してシンポジウムの開催や教育活動ができるのであれば、進めて頂いたらよいのではと思います。
  • 委員
    食育推進計画と食の安全アクションプランについて重複している部分があったり、違った部分があります。その辺がどう調整されているのかお聞きします。

  • 食育と食の安全に係る関連についてですが、食育は、食育基本法にありますように、食生活の能力を身につけるということに重点が置かれていると思います。それに対して、食の安全アクションプランは、食品そのものの安全、安心、信頼の確保に注目してまとめています。食育推進計画は、第1次アクションプラン策定後に策定されたものであり、食育は範囲が広く、食品の安全に関するものが多く含まれますので、整合性をとり、この度のアクションプランに追加をおこないました。特に、啓発活動で農林水産部の取り組みとの重複が多いので、十分タイアップしてやっていきたいと考えております。
  • 委員
    今回のアクションプラン(案)については、現状と課題が非常に明確で、目標の設定も多岐にわたっています。これまでのアクションプランの推進を踏まえた内容にもなっていますし、より充実したものになっていると感じました。
    現在、食の安全の問題がいろいろ出ていることから、消費者庁の設置や検査など、国の今後の対応によって内容もかなり変わってくるのではないかと思っております。
    それから、食の安全条例のことなんですが、現在、20を超える府県で策定されています。県では検討するとしていますが、早く条例化することによって、県民が安心するのではないかと考えます。それには、県独自の指導基準を作って、県独自のプランに基づいた指導をやれるようになるといいのではないかと考えております。
    また、中国産冷凍ギョウザ問題に関して言えば、加工食品については、検査というシステムは今のところなく、国の方で検討されているよう聞いています。県の取り組みとしても、加工食品の農薬検査を今回入れる必要があると思います。

  • 昨年来続いている偽装表示の問題、この度の中国産冷凍ギョウザ問題、いずれも今、国の方で対策が検討されていることから、国の考え方を注視しつつ対応していく必要があります。ギョウザ事件については、検査強化、情報の一元化、リスクコミュニケーションなどの対策が出てくると考えております。
    食の安全に関する条例化は検討していますが、範囲が全庁的となるため、各部局の理解を求めて、引き続き検討して参りたいと考えております。
  • 委員長
    確かに、条例化してアピールすることは、県民へのイメージが高くなりますけれど、具体化するのに、一体何をどこまで条例化するといった具体案を示すことが必要であり、また、あまり基準値を設けるのは、どうかと思います。この会議で、具体例が出てきたとしたらまとめ、事務局の方へお預けするということも考慮していかなければならないかと思います。
  • 委員
    今、食事に携わる人は、先般からの冷凍食品問題で、怖くて冷凍食品を食べられない。また、ずいぶん昔に作られた冷凍食品が流通されていて、自分達のところに届いてきているんだなということが解ってきている。
    パニックを起こしている一般の人たちが、何かSOSを出したときに、対応できる体制づくりが必要だと思います。
  • 委員長
    県民の方が、危害だと思っている。しかし、危害まで至っていない、その中間のプロセスのところの対応だと思うのですが。いかがでしょうか。

  • 今回の中国産冷凍ギョウザの例でお話しますと、すぐに相談窓口を生活衛生課と保健所に設置し、相談を受ける体制をとりました。
    安心の部分につきましては、できるだけの情報を、毎日、資料提供させて頂きました。今回の件は、原因がはっきりしないということがあって、非常に対応に苦慮しました。
    こういう事例を踏まえて、国の方でも、消費者保護の観点で省庁をまとめるべきとか、いろいろ議論がなされているところです。国の検討を踏まえ、対応を進めたいと考えております。ただ、食の安全については、担当する食の安全局でフォローする体制、常に県民の方からの相談に応じられる体制をとっていきたいと考えております。
    保健所で相談業務をやっております。専門的な知識を持っておりますので、いろいろ対応できます。これらのことは、計画に記載されてはいないのですが、以前から行っています。
  • 委員
    その取り組みを県民に周知するために、パンフレットを作ったり、例えば、相談対応電話の情報提供などはしているのでしょうか。

  • 中国産冷凍ギョウザに関しましては、プレス発表しまして、相談窓口の設置と電話番号を掲載して、対応をしております。
    このような事件が起こったときは、その都度必要な対応をとるのですが、やはり、普段からの啓発が大事だと思っております。そのために、パンフレットを作成し、リスクコミュニケーション、タウンミーティング、シンポジウムやおはなし講座というものを開催しております。
    また、食品表示の関係法令は、複数の課室で担当しておりますので、昨年の6月から、相談窓口を一本化し、保健所や本庁で相談を受けております。
  • 委員長
    食の安全で、危害が起こったときの対応は、プランの中では安心の部分に危機管理の強化ということで挙げられておりますが、相談窓口の設置も強調していったらと思います。
  • 委員
    今回のギョウザ事件を通じて消費者の不安を回避するための対応は、もちろん、行政がやることもあるでしょうが、それぞれ流通段階でも必要なことはやるべきだと考えます。販売者において原産地表示の義務づけされていない商品についてもホームページに原産国表示、原産地表示を掲載するよう進めているところです。販売者のホームページに掲載してくれたということで、安心される方は、少なからずおり、効果があると思います。

平成20年度和歌山県食品衛生監視指導計画(素案)について

  • 委員長
    食品衛生監視指導計画は毎年更新していますが、先ほど質問のあった加工食品の残留農薬についてはどのような対応を考えていますか。

  • 現在、加工食品については残留農薬の規格基準はありません。例えば、ギョウザには、ニラ、白菜などいろいろな食材が入っています。加工食品を検査し残留農薬が検出された場合、現在では、規格基準の設定された個々の野菜などについて、これくらい農薬残留があるのであろうと推定するしかないわけです。基準がない加工食品に対して、規格基準違反と言い難いものです。
    また、基準設定は、国の食品安全委員会の評価が必要になってこようかと思っています。それから、もう一つ、中国製冷凍サバへの殺虫剤混入など、予期せぬ物が入っていることに対応することは、難しいがやらなければならないことだと認識しております。
  • 委員長
    このことについては、厚生労働省から、検査等の指示がありましたら、早い対応をお願いします。
  • 委員
    本当にタイムリーな計画で、起こった事象をきっちり取り入れてまとめられた計画だと思います。
    それから、食品検査の検体数ですが、増えてはいるのですが、これではまだ少ないのではないかと思います。体制や機器の問題もあるのでしょうが、これを何とかクリアして、こうした時期ですので増やして頂きたいと思います。

  • 検査する今の施設でのコンタミネーションの問題があり、すぐ増やすことは難しいのが現状です。その解決策として、外部委託検査の方策を検討しているところです。
  • 委員
    今後のBSEの全頭検査について、他府県の状況はどうなっていますか。

  • 引き続いて全頭検査を実施する府県が増えています。まだリスクコミュニケーションが不足で、理解が得られていないと考えている自治体が増えているように思っております。肉牛の20ヶ月令以下は、検査しなくて良いのだと、コンセンサスが得られていけば、当然、和歌山県もシフト替えすることはあると思います。
  • 委員
    BSE検査の対象頭数が減っているのはなぜですか。

  • 毎年、950頭前後の検査を実施しています。今年は少し減っていますが、肥育頭数の減少によるものと推測します。
  • 委員長
    食品検査実績の表に違反事例として1事例ずつ載っていますが、平成15年は違反事例が1つもなかったということでしょうか。

  • 平成15年は、違反はありませんでした。
  • 委員
    食育の推進事業が増えてくると、いろんな方が、食育という立場から、調理や料理教室を始められている様に思います。このアクションプランにも、料理教室をやります、食育ボランティアを養成しますと書いています。
    多種多様な方がされることによって、食品の取り扱いが不備であれば、食中毒の発生ということも考えられ、リスクがあると思うのです。
    県が作成した「家庭で食中毒を出さないためのパンフレット」をよく見ますけれど、食育の中で、料理教室に関連した事業実施にあたり、パンフレット等の配布は行っているのでしょうか。

  • 保健所の講習会では、パンフレットを使っています。
  • 委員
    保健所単位で行っている事業ではなく、個人単位による料理教室も多く行われています。その方々とのネットワークがなく、食中毒予防の情報が網羅されていない心配がありますので、食育を推進していく中で、総合的な情報が必要になってくると思っています。

  • そういう情報を頂いたら、保健所やこちらの方も出かけていって、食中毒予防について説明します。
    また、3月に食育推進会議があり、私どもも出席しますので、その話をさせて頂きます。

アクションプランの進捗状況(平成18年度上半期)について及び食の安全・安心・信頼確保方策(平成19年度)事業報告と平成20年度事業計画)について

  • 委員
    それぞれの事業計画に予算額が載っておりますが、食品安全企画課の事業予算としては減っているのでしょうか。

  • 平成19年度までは、生鮮食品安全管理システム構築事業、食品の安全確保プロジェクト、HACCP導入推進事業の3本であり、平成20年度は、HACCP導入推進事業と食品の安全確保プロジェクト事業、新規の食品表示推進者育成事業の3本の事業を計画しております。全体の予算は、それほど変わっておりません。
  • 委員長
    食品表示推進者育成事業の食品表示推進者とは何でしょうか。
    資格や認定ですか。

  • 食品表示は、多くの法律が関係しており、非常に複雑なものとなっております。今まで、それぞれの法律担当課が個別に研修していたのですが、それを一括して講習し、正しい知識を身につけて頂いた方に、事業所内で食品表示推進者として活躍して頂きたいという事業です。認定や資格を与える事業ではありません。
  • 委員長
    受講者を公表していく。PRしていくということでしょうか。
    どれくらいの方を見込んでいるのでしょうか。

  • 制度のPRや受講者名等の公表を予定しています。
    初年度は、10回で、1200名程度来て頂きたいと思っております。

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