平成28年度地域づくりネットワーク和歌山県協議会研修交流会開催レポート

研修交流会 開催レポート

本年度も自主的・主体的な地域づくりの推進を図るため、下記のとおり研修交流会を開催しました。

  • 日時 平成29年1月31日(火曜日)午後1時半から午後5時20分
  • 場所 和歌山県勤労福祉会館プラザホープ 4階ホール

午後1時半 開会

午後1時40分から午後3時10分 講演「地域で“稼ぐ力”を構築する」

講師 地域プロデューサー 齋藤 潤一 氏

午後3時25分から午後4時50分 グループワーク・質疑応答・講評

午後4時50分から午後5時10分 地域づくり団体による事例発表

森岡田人の会 前出 勇 氏

午後5時10分から午後5時20分 協議会事務局による助成制度等の説明

午後5時20分 閉会

講演「地域で“稼ぐ力”を構築する」 講師 地域プロデューサー 齋藤 潤一 氏

講演の写真

日本一失敗経験が多いNPO法人

代表理事を務めるNPO法人まちづくりGIFTは、いろんなところで事例を紹介されている一方で、みなさんよりもたくさん失敗しています。実際怒られることが多く、謝罪担当がいるくらいです。

私たちは「地域ビジネスで世界をより良くする」ことをミッションとしています。補助金ではなくビジネスの力をしっかり入れてやっていかないといけません。

補助金0円。325万円集めてニューヨークへ

日南市の飫肥杉を売り出すために、ファーボというサイトで出資を募り、目標を上回る325万円を集め、ニューヨークの世界的なギフトショーに出展したことで、世界からの問い合わせが一気に増えました。半年ほどの間のはなしです。行政からは、補助金は出ないと言われましたが、スピード感を落としたくなかったので、いずれにせよ必要ありませんでした。最終的に日南市がお金ではなく応援という形でバックアップしてくれて、達成することができました。325万円を集めるために、1人1人に思いを伝え、地道に理解者と仲間を増やすところから始めました。

私たちはあまり補助金を使いません。補助金ありきでやるととんでもないことになります。まさに「補う」程度に使うものです。

金儲けのためのスキルが、人と地域を救う事ができる。

表参道で広告デザイン会社を経営していた時、地方企業を再建するプロジェクトがありました。地方の印刷会社ですが、非常に高いスキルがありました。当時は印刷をネットで受注することは一般的ではなく、ネット通販を始めることを提案しました。その結果、全国に技術を知られ、今では大企業を相手に仕事をしています。

大事なポイントは、技術力よりも自分の仕事に誇りを持つことではないでしょうか。

もともと私は、自分のスキルは自分がお金を儲けるためのものだと考えていましたが、地方企業の再建を行ったときに感じたのはやりがいでした。大きいか小さいかは関係なく、ありがとうと言われるかどうか。自分のスキルや経験が人・社会の役に立てるんだと思ってから、この仕事を自分のミッションとしてやることになりました。今では、人材づくりを通して地域づくりをしています。基本的には地域で人材づくりスクールを開き、その中で3千万円や1億円のビジネスを作ります。

笑顔とお金 地域には、両方必要。

今までは、「笑顔」ばかりで、「なんとかなる」「行政がなんとかしてくれる」でやってきました。でも、それではだめですよね。笑顔とお金のバランスをとるため、ちゃんとお金を稼ぎましょう。

歴史や文化を次世代につなぐには、地域経済が重要

地域づくりを始める前に、世界の地域づくりを視察しました。一番の成功例はドイツにあるフライブルクです。みんなが幸せそうな町で、ヒト・モノ・カネが流動していることが、歩いているだけでわかります。

第二次世界大戦で、フライブルクの町は教会以外全部焼け野原になりました。そのあとに家を全部作り直したんです。そのときにフライブルクの人たちは、高層マンションなどの風景を壊すものを作るのではなく、燃える前と同じような風景を取り戻したんです。「どうして前と同じようにしたんですか。せっかくだから大きいものや新しいものを建てようとなりませんでしたか」と現地の人に尋ねたら、「先代の人たちから引き継いだものを次の世代につないでいくというのは、我々の使命だ。町への誇りだ」と言われました。当時の日本では、誰も使わない建物を建てて赤字を出していた一方で、ヨーロッパではこんなに想いがあることをやっている。このことにすごく感動しました。しかも彼らは中で経済をすごく上手に回しています。どんどんお店を増やさずに、減ったら増やす。地域経済がしっかり循環しているからこそ維持ができることに気付いてから、地域経済の重要性を感じました。

経済なき「まちづくり」は、寝言である

地方創生と言いますが、結局なにが生まれたかよくわかりませんね。そうじゃなくてしっかり経済を動かしましょうよ。経済を動かしてまちを守っていきましょうよ。「いやいやお金儲けなんて」とよく聞きますが、お金なくてどうやって生活していくんですか。

補助金はリスクが高い

補助金から入るとビジネスはほぼうまくいきません。極端な例を出すと、スティーブジョブズや松下幸之助、彼らは補助金から入っていませんよね。ただ、補助金や交付金がだめと言っているわけではないんです。「補助金漬け」がだめなんです。

事例紹介

三島村の日本ジオパーク認定に取り組みました。人口300人くらいの村で、人が全然来なかったところに今では世界からどんどん来ていますし、雇用創出にもつながっています。

宮崎県の移住定住にも取り組み、移住ランキング圏外から、トップ10入りを果たしました。ポイントは仕事にフォーカスしたことです。スローライフなどとメディアでは言われますが、ちゃんと仕事があってこそ移住があることをアンケート結果から知り、移住促進のイベントを完全に「仕事」に振り切りました。

宮崎を世界一チャレンジしやすい街にする「宮崎スタートアップバレー」も実施しています。

常にチームで役割分担しながらプロジェクトを行う

地域づくりはひとりでやらない方がいいと思います。よく知っている人、毎日会う人とチームを組むよりも、実は弱い繋がりの方が上手くいくんです。これをウィークタイズ理論と言います。

1勝99敗

「誰よりも早く失敗する」ということを、いつもチームメンバーに言っています。「負けるのは当たり前だから、やってみよう」という感じでやってもらえたらと思います。皆さん失敗するのも怒られるのも嫌ですよね。でも、スタンフォード大学には失敗学の講座があります。成功のためには、早くたくさん失敗する方が良いということです。まずは自分でやってみて、ビジネスプランを構築していく。失敗するのが嫌だからなかなか行動しないという人も多いかもしれません。誰もやらないからこそチャンスがあるんです。9割の人が行動しない。つまり地方はチャンスだらけです。

グループワーク

グループワークの写真1

グループワークの写真2

グループワークの写真3

グループワークの写真4

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