地域づくりネットワーク和歌山県協議会研修交流会2016

開催レポート

本年度も自主的・主体的な地域づくりの推進を図るため、下記のとおり研修交流会を開催しました。

  • 日時 平成28年2月5日(金曜日)午後1時30分から午後5時
  • 場所 田辺スポーツパーク 多目的ホール

午後1時30分 開会

挨拶 和歌山県企画部地域振興局長 児玉征也

午後1時40分から午後3時10分 講演「地域づくり活動団体と行政との協働による地域創生」

講師 東京農業大学教授 木村俊昭 氏

午後3時25分から午後3時45分 情報提供

  • 図書館活用についての説明(県立図書館司書)
  • 協議会入会のご案内(協議会事務局)

午後3時45分から午後4時30分 グループワーク

午後4時30分から午後5時 質疑応答・講評

午後5時 閉会

午後5時10分から午後6時 交流会

講演「地域づくり活動団体と行政との協働による地域創生」
講師 東京農業大学教授 木村俊昭 氏

 

実践あるのみ

きむらとしあきしの写真

常に「Why so? So what?」と立ち返ることは大事です。さて、通常大学の学部を卒業しないと大学院に進学できないと思われがちですが、そんなことはありません。私のところにも、高校を卒業して、企業経営者等の社会人になり、数年後に大学院へ来る人がいます。自分が今まで実践してきたことを整理し、理論を学び、研究のうえ、もう一度現場に導入してみるわけです。これが実学・現場主義です。

行政職員の自主勉強会を都道府県ごとにしましょうと音頭をとったところ、8月27・28日に、全国の県職員が一堂に会することになりました。県ごとに世話人を募り、今、167名の方と計画を進めているところです。

企業経営者だけでも、行政だけでもまちづくりはできません。民官が一緒にやっていく必要があります。8月27・28日は、両者の交流の場を作ろうと考えています。関心のある人は、フェイスブックへメッセージを送ってください。

雪あかりの路(みち)

雪まつりの発祥は実は小樽。札幌が大々的に開催し、小樽がひっそり開催となっていました。そこで、小樽では自分たちの身の丈にあったものにしようということになり、市民それぞれが雪像等を作って、自宅、商店街、運河などで展示したところ、毎年約55万人の来訪者が来てくれるまでになりました。しかし小樽に来ていただいても2~3時間滞在したら札幌に行ってしまいます。なかなか泊まってくれない。そこで、夜の観光を強化するため、ライトアップなどで工夫をし、滞在時間を長くしています。

西興部村 事業構想は自分だけでしない

北海道には、西興部村という人口約1100人の、北海道一土地が安い村があります。エゾシカがどんどん繁殖し、畑など被害を受ける問題を抱える村です。役場の一般会計予算は年間20億円前後。貯金は約数十億円。人口の割に多いですが、なぜでしょう。その理由は、次のとおりです。

  1. 情報共有
    全て自分たちだけでしようとしない。役場、猟友会、自治会などが一昨年、昨年と何をするかを情報共有。
  2. 役割分担
    情報共有を経て、役割分担と出番創出することになる。同じことを別々にやるのではもったいない。できない部分は、パートナー(一緒にやってくれる人)とブレーン(知恵を出してくれる人)を探す。
    1と2を実践するうちに、自己分析やまち分析が不十分であることに気付くことができる。皆さんにはぜひ自己分析をして強み弱みを洗い出ししてほしいと思います。
    人は、自ら強みと弱み、やりたいことの計画を立てて、実行に移してその結果どうだったのかを知り気づくことが自己分析。地域づくりの団体でも、それをわかっていないと、組みようがないんです。行政と組むときも、何をやってほしいかが実にあいまいになる。「これは自分たちでできるので、この部分をお願いします」と言うためには、地域づくり団体も行政も分析が必要になります。
    次に、まちの分析についてです。どの地域と組むのか、どういう知恵が必要なのか、必ず整理しましょう。役割分担を決めて、弱いところは真のパートナーとブレーンを探し、協力いただくのです。
  3. 事業構想
    役割分担をしたら、ボランティアでは続かない。そこで、出番創出と事業構想が必要になります。

1から3をやらない限りは、はじめの一歩が進まないんです。これをやって実績を創っていきます。全部自分だけでやっていくのでは、とてもできませんよね。

西興部村 は1から3を検討した結果、ホテルを作ることにしたんです。エゾシカがどんどん増え、畑は荒らすし、木はかじる。自分たちではシカ問題を解決できない。

村にはシカを撃ってくれる人が多数はいないから、自分たちだけではなんとかできないんです。そこで、ホテルを建てて、例えば猟師に1泊2食8000円で泊まっていただき、シカを撃ってもらうんです。

自分たちの地域の課題を解決(シカをなんとかしたい)するために、自分たちだけではできないので、ホテルに泊まってもらって、代金を払ってもらって、「よかった。また来るよ」と楽しんでいただく。結果地元で雇用が生まれる。

このような形で事業構想しない限り、まちに貯金が貯まることはないんです。役割分担をしないと、課題が課題としてずっと積み残ってしまいます。

まちづくりでとても大切なこと

大学生の時に恩師と全国を回り、気づいたことがあります。まちづくりにとても大切なことは、次のことです。仕事とライフワークを自ら定義することにしました。

  1. 産業・歴史・文化を徹底的に掘り起こし、研きをかけ、世界に向けて発信するキラリと光るまちづくり。
  2. 未来を担う子どもたちが愛着心を持てるよう地域一体で育むひとづくり。
  3. 部分個別の最適から、まちの全体最適を目指す

部分個別最適から準最適(少しずつつなぐ)、そして全体最適へ。

理論だけでなく、実学・現場の視点を大切に

観光客に来てほしい、定住・移住してほしいと言っても、自分自身がまちの事を知らないと人に教えることができない。そこで、まちのラーメン屋さんのすべてを回り、マップに書き込みました。寿司屋のすべてを訪ね、主に八角とシャコの二貫を食べて回り、ストーリー性とこだわりを調査しました。お陰で「二貫王」のあだ名がつきました。自ら知り気づく機会として自らの店を自らが評価する寿司評価項目を作りました。

自分のまちなのに、誰も全部まわったことがない。人に説明できない。人は自ら知り、気付かなければけっして行動に移さないんです。例えば、一見さんを断る寿司屋さんは悪気はないけれど、観光客にとっては印象が悪いことになることも知る機会がないと、改善はないんです。

地産地消で終わらないこと

地産地消、地産外商、互産互商、外産外商。地域創生は順番が大事です。

おなじく、主産業から起業、そして企業誘致があるべき順番なのに、逆の順番でやる自治体があります。外から来た企業には固定資産税を減免するのに、地元の主産業をずっとやってきた企業には固定資産税を減免したことがない。これはおかしなことですね。地元の人を雇い、その人の家族を育ててきた地元企業を大事にしないとなりません。移住・定住ではなく、定住から移住です。Why so? So what?を繰り返し、地方創生、五感六育をどんどん推進しましょう。

補足 「六育」とは、「知育・木育・遊育・食育・健育・職育」のこと。

研修会の写真

グループワーク

グループワークの写真

図書館による展示

図書館による情報提供の写真

図書館による情報提供の写真2

交流会

交流会の写真

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