長期総合計画 第2章 第1節 ひとを育む

第2章 将来像に向けた取組

第1節 ひとを育む

第1項 未来を拓く子どもを育てる環境づくり

1.子どもが心豊かにたくましく育つ環境づくり

<現状・課題>

・本県の合計特殊出生率は、全国平均を上回っていますが、人口維持に必要とされる2.07には遠く及んでいません。また、出生数は減少傾向にあります。

・経済的な不安から結婚をためらったり、子育てや教育にお金がかかることを理由に子どもをもつことをあきらめるなど、経済的な理由が、出生数減少の一因となっています。

・子育てと仕事の両立を希望する家庭が増える中、産休明けや育休明けの早い時期から保育所の利用を希望する家庭が増えています。

・核家族化が進み、身近な人から子育てを学ぶ機会が減少し、地域のつながりが希薄化するなど、家庭教育を支える環境が大きく変化しています。


<めざす方向>

結婚から妊娠・出産、子育てまで県民一人一人に寄り添った相談体制や、安心して出産・子育てができる医療サービスを充実するとともに、経済的理由で子どもをもつことを断念しなければならない家庭への支援を強化することで、結婚・出産の希望が叶う社会を実現します。
また、仕事と子育てが両立できるよう、地域や企業など社会全体で子育てを支援する仕組みを充実することで、子どもが健やかに成長できる環境を実現します。
さらに、それぞれの市町村が県内一の子育て環境をめざして切磋琢磨するよう働きかけ、「子育て環境日本一わかやま」を実現します。


<実施する主な施策>

1 子育て家庭への経済的支援

ア 子どもを安心してもつことができるよう、多子世帯の保育料の無料化や乳幼児等医療費の負担軽減など、子育てへの経済的支援を充実します。

イ 進学意欲と学力が高いにもかかわらず、経済的理由により大学等への進学が困難な子どもを支援する給付型奨学金制度を充実することで、将来の地域を担う子どもの学びと成長を支えます。

2 結婚、妊娠・出産、子育てに関する相談・支援体制の強化

ア 若い世代を対象に、結婚から子育てまでのライフデザイン構築に係る包括的な情報を提供し、将来の結婚、出産への希望を育みます。
イ 結婚を希望する若者の出会いの機会を充実します。
ウ 不妊専門相談の実施や不妊治療費の助成により、不妊に悩む夫婦を支援します。
エ 妊娠期から子育て期までのワンストップ窓口としての「子育て世代包括支援センター」の整備を推進し、出産や育児に不安を抱える親へのメンタルケアの充実など、総合的な子育て支援体制を構築します。

3 仕事と子育ての両立支援と待機児童の解消

ア 延長保育や休日保育、病児保育、ファミリー・サポート・センター事業の充実など、働きながら子どもを育てる家庭のニーズに対応したサービスを県内全域で提供します。
イ 就学前の子どもへの教育・保育の提供や地域における子育て支援を行う認定こども園の整備を進めるとともに、低年齢児の保育体制の整備や事業所内保育所の設置を支援します。
ウ 放課後児童クラブの受入児童数の拡大や開所時間の拡充に取り組みます。
エ 子育て応援企業同盟(育児休業の取得促進など社員の子育てを積極的に支援する企業・団体の連合)により、企業の子育て支援や働き方改革の意欲を高めるとともに、社員のワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の実現を支援します。

4 安心して出産・子育てができる医療サービスの充実

ア 総合周産期母子医療センター・地域周産期母子医療センターと分娩医療機関の連携を強化し、安心して出産できる体制を整備します。
イ 病院勤務医と開業医の連携や医療機関間の連携を進め、各地域の小児救急医療体制の整備充実を図るとともに、県立医科大学附属病院、日本赤十字社和歌山医療センター及び紀南病院において24時間体制の小児救急医療のセーフティネットを堅持します。

5 社会全体で子育てを支援する仕組みの強化

(1) 地域が協力して子どもと家庭を支える体制づくり

ア 地域の子育て経験者や教員経験者など身近な人たちによる家庭教育支援チームを形成し、親子参加型の学習機会や交流の場を提供するとともに、家庭訪問による個別の相談対応を行うことで家庭教育を支援します。
イ 帰宅しても一人で過ごさざるを得ないなど、さまざまな事情で寂しさを抱える子どもたちが安心して集える居場所づくりや大人数で食卓を囲み温かい食事の提供を行う団体の取組を支援します。
ウ 小学校の余裕教室や公民館を活用して子どもたちの遊びや生活の場を確保し、地域住民との交流や学習活動を推進します。
エ 児童相談所、市町村、医療機関、学校、警察、保育所・幼稚園・認定こども園など関係機関が連携し、子どもへの虐待の兆候を見逃すことなく未然に防止するとともに、地域が協力して子どもと家庭を見守り支える体制を構築します。
オ 地域から学校、学校から地域への互いの要請に応えるため、「きのくにコミュニティスクール」を導入し、学校と地域をつなぐ体制を強化します。
カ 児童生徒の意欲関心を喚起するため、地域の人材を活用し、学習活動を支援します。

(2) 青少年の健全育成

ア 青少年がリーダーとなり地域の後輩を育てる「リレー式次世代健全育成システム」による青少年育成をはじめ、異世代との交流や体験学習、社会参加を通じて、豊かな人間性と社会性をもった大人への成長を支援します。
イ 急速に進展する情報化社会において、スマートフォン等の情報端末やインターネットを正しく利用できる環境を整えるとともに、有害環境の浄化活動に取り組みます。


<進捗管理目標>

指 標

基準値

(2015年度)

目標値

(2026年度)

合計特殊出生率

1.54

(2015年:暦年)

2.00

(2026年:暦年)

年度途中における保育所の待機児童数

286人

(2016年10月1日現在)

解消

男性の育児休業取得率

5%

国が定める目標値を達成

※国の第4次男女共同参画

基本計画における目標は

13%(2020年度)

子育て世代包括支援センター設置市町村数

1市

全市町村

放課後児童クラブ設置率

65%

100%


2.子どもたち一人一人が志高く未来を創り出す力を育む教育の推進

<現状・課題>

・全国学力・学習状況調査によると、本県児童生徒の平均正答率は全国平均を下回っています。

・幼児期の教育が小学校以降の生活や学習を支える基盤となることを踏まえ、全ての子どもに質の高い幼児教育を行う必要があります。
・家庭の教育力が低下し、基本的な生活習慣や家庭学習の習慣を身につけていない子どもたちが多くなっています。
・今後、ロボットやAI等の技術革新により、現在の職業が大きく変動すると予測されており、コンピュータや機械では置き換えることのできない能力を備えた人材を育成することが重要です。
・いじめや不登校が増加しています。また、本県の小学校・中学校での千人当たりの不登校児童生徒数は全国平均を上回っています。
・県内には大学が少なく、高校生の県外大学・短大への進学率は87%(2015(平成27)年度)と全国で一番高くなっています。


<めざす方向>

幼児期から高等学校までの教育を通して、確かな学力、豊かな心、健やかな体の「知・徳・体」を備えた人材を育成するため、児童生徒が主体的に学ぶ授業や補充学習の充実、道徳教育・ふるさと教育の推進、計画的な体力づくりに取り組みます。これらの取組により、学力や体力の全国調査において、全国上位をめざします。
また、児童生徒が自らの道を切り拓き、社会で自立する力を育てるキャリア教育やグローバル人材の育成に取り組むとともに、教育の情報化を推進します。
さらに、いじめや不登校への対応については、学校、県、市町村、関係機関が地域と協力し、総力をあげて、その根絶・解消に取り組みます。
加えて、新たな高等教育機関の設置・誘致を行い、県内での進学の選択肢を広げるとともに、地域の発展に資する高等教育を推進します。


<実施する主な施策>

1 確かな学力の向上

ア 全ての学校が全力をあげて、基礎学力の定着や児童生徒が主体的に学ぶ授業を実践するとともに、子どもたち一人一人の理解に応じた補充学習を強化します。
イ 教員の指導力や専門性の向上のため、教員研修を充実するとともに、県内市町村間の交流や都道府県への教員派遣を進めます。
ウ 授業での学習効果を高めるため、学校と家庭との連携を一層強化し、家庭における予習・復習など、家庭学習の習慣化を進めます。
エ 児童生徒の読書習慣を確立するため、学校図書館の蔵書・資料の充実や読書に親しむ環境づくりを進めます。

2 豊かな心と健やかな体の育成

ア 思いやりの気持ちや生命を大切にする心、規範意識を育むため、和歌山県独自の道徳教科書「心のとびら」「希望へのかけはし」を活用し、道徳教育を推進します。
イ 郷土の先人や歴史、文化などへの理解を深め、ふるさとに貢献できる人を育成するため、和歌山県版ふるさと教科書「わかやま何でも帳」を活用した教育を推進します。
ウ 「児童生徒の体力・運動能力調査」結果を本県独自に分析し、その課題の改善に向け、全ての学校で「体力アッププラン」を作成し、実践することにより、体力・運動能力を一層向上させます。
エ 「早ね・早おき・朝ごはん」運動を推進するとともに、家庭・地域と連携して携帯電話やスマートフォンの使用についての指導を充実し、子どもたちの基本的な生活習慣を確立します。
オ 「紀州っ子のこころとからだをつくる食育の手引き」の活用や県産食材を用いた給食を実施し、食の大切さを学ぶ食育を推進します。

3 いじめ・不登校への対応

ア いじめや不登校を生まない学校づくりや、未然防止、早期発見・早期対応の取組を進め、学校、県、市町村、関係機関が総力をあげて、その根絶・解消に取り組みます。
イ マニュアルの活用や教員研修の実施、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置拡充を進めます。
ウ 不登校については、適応指導教室を拡充し、学校復帰支援の取組を進めます。

4 グローバル人材の育成

ア 教員の英語指導力・英語力を向上させるための研修を充実し、指導方法の工夫・改善に取り組むことにより、語学力やコミュニケーション能力を備えたグローバル人材を育成します。
イ 高校生海外語学研修や、英語ディベート大会を実施するとともに、コミュニケーション活動を重視した授業を充実します。
ウ 異なる文化をもつ外国の人々との交流など体験的な活動を通じて、互いの文化や考え方を認め合い、互いに尊敬と信頼をもって協力し合える国際理解教育を推進します。

5 キャリア教育等の推進

ア 自らの道を切り拓き、社会で自立する力を育てるため、小学校においては職場見学、中学校においては職場体験、高等学校においては就業体験を積極的に実施するなど、発達の段階に応じたキャリア教育を推進します。
イ 情報化社会に対応できる能力を育成するため、学校におけるICT環境の整備や教員のICT活用指導力を強化し、教育の情報化を推進します。
ウ 選挙の仕組みを学ぶ機会を設けるとともに、社会の構成員の一員として自覚し行動する力を育む主権者教育を推進します。

6 教育ニーズの多様化や人口減少への対応

ア 進路希望の多様化や児童生徒数の減少に対応した学校づくりを進めます。なお、高等学校においては、学科改編や統合・再編に取り組みます。
イ 学校の指導体制や学校業務を改善し、教員が子どもと向き合う時間を確保します。

7 幼児期の教育の充実

ア 幼児教育全体の質を向上させるため、幼児教育の推進計画を策定するとともに、保育所・幼稚園・認定こども園と小学校をつなぐ教育の仕組みを構築し、幼児教育と小学校教育の円滑な接続を進めます。
イ 保育士・教職員の資質や専門性を高める研修カリキュラムを構築します。

8 特別支援教育の充実

ア インクルーシブ教育システム(障害のある子どもと障害のない子どもが共に学ぶことのできる多様で柔軟な仕組み)を充実するため、特別支援学校の地域におけるセンター的機能を強化するとともに、教員の専門性の向上に取り組みます。
イ 職場体験学習の充実や職場開拓に取り組み、地元企業との連携による就労の促進や定着を進めます。

9 高等教育機関の充実

ア 県立医科大学薬学部や東京医療保健大学和歌山看護学部(仮称)等、新たな高等教育機関の設置・誘致を行い、県内での進学の選択肢を広げます。
イ 県内の複数の高等教育機関が連携して行う地域貢献に資する共同事業や共同研究を支援します。


<進捗管理目標>

指 標

基準値

(2015年度)

目標値

(2026年度)

全国学力・学習状況調査(小学校6年生)の全国順位

国語A 45位

国語B 40位

算数A 26位

算数B 30位

(2016年度)

全ての教科で

10位以内

全国学力・学習状況調査(中学校3年生)の全国順位

国語A 41位

国語B 43位

数学A 19位

数学B 26位

(2016年度)

全ての教科で

10位以内

全国体力・運動能力、運動習慣等調査(小学校5年生)の全国順位

男 14位

女 12位

(2016年度)

男女とも

10位以内

全国体力・運動能力、運動習慣等調査(中学校2年生)の全国順位

男 21位

女 20位

(2016年度)

男女とも

10位以内

和歌山県作成教科書を活用した道徳教育・ふるさと教育実施率

100%

100%を維持

いじめ解消率

97.8%

100%

小学校・中学校での千人当たりの不登校児童生徒数

13.7人

8.0人


第2項 みんなが活躍できる社会づくり

1.誰もが働きやすく、多様な人生を楽しめる社会づくり

<現状・課題>

女性は家庭といった性別役割分担意識をもった人が、まだ約3割います。


<めざす方向>

県民誰もが知識や経験を生かし、生きがいをもって、それぞれが社会参加できる機会の拡充や活動支援を進め、「多様な人生を楽しむ社会」を実現します。
また、年齢を重ねてもそれぞれの人々が希望に応じて社会参加ができる「80歳現役社会」を実現します。
同時に、若者にはそれぞれの価値観や希望に応じた就職が叶うよう支援を充実します。
さらに、働く意欲のある全ての女性や高齢者、障害のある人が、それぞれのライフスタイルに応じた働き方を実現できるよう、就職支援に関する仕組みを構築することにより、「誰もが活躍できる社会」を実現します。


<実施する主な施策>

1 80歳現役社会の実現

ア 高齢者が仕事や社会貢献活動、生涯学習に積極的に参加する仕組みを構築するとともに、地域住民や他世代と交流できる機会を充実します。
イ 県内企業の働き方改革を促進し、時間や場所に制約されず一人一人のライフスタイルに応じた働きやすい雇用環境の整備を進めます。
ウ 和歌山版の再就職支援システムにより、企業の採用意欲を高めるとともに、就職希望者と企業のマッチングを行い、高齢者の再就職を支援します。
エ 知識や経験、技術を有する高齢者と地域団体・学校とのマッチングを行うことにより、ソーシャルビジネス(地域や社会の課題解決に向けてビジネスの手法を用いて取り組む事業)や地域貢献活動を支援します。
オ 市町村、大学、生涯学習関連団体と連携し、体系化した学習情報の提供と学習活動の奨励を行う「きのくに県民カレッジ」を充実するなど、学びたい人がいつでも学べる機会を提供します。
カ 誰もが気軽に運動・スポーツに親しむことができる場として、地域において住民主導で活動する「総合型地域スポーツクラブ」の活動を支援します。
キ 県民一人一人の文化芸術活動への参加を促進するとともに、優れた文化芸術に直接触れ合う機会を充実します。
ク 生涯にわたり健康を維持するため、全県的に楽しく健康増進を図る仕組みを構築し、地域コミュニティに密着した健康づくりを推進します。

2 若者が活躍できる環境づくり

ア 小学校・中学校・高等学校の教育活動を通して、和歌山で働く魅力や県内企業の情報を絶え間なく発信するとともに、企業見学や学校での企業説明会など高等学校と企業が連携した取組を強化することで、高校生の県内就職を促進します。
イ 中小企業の競争力強化等により生まれた利益が、賃金引上げや正社員の雇用拡大など、雇用環境の改善につながるよう、国と連携して企業への働きかけを強化します。
ウ ニートやひきこもり状態の若者の自立を支援するため、本人や家族に対する相談活動を行うとともに、ひきこもり状態の若者が安心して集える居場所づくりや就労訓練の機会を充実します。

3 女性、高齢者、障害のある人の多様な働き方の実現

ア 県内企業の働き方改革を促進し、時間や場所に制約されず一人一人のライフスタイルに応じた働きやすい雇用環境の整備を進めます。【再掲】
イ 和歌山版の再就職支援システムにより、企業の採用意欲を高めるとともに、就職希望者と企業のマッチングを行い、女性や高齢者の再就職を応援します。
ウ 女性活躍企業同盟(女性の採用・登用や継続就業に率先して取り組む企業・団体の連合)を組織化し、これによって企業・団体の自主的な取組を促し、また、その構成員間の交流を通じてその取組の向上を図り、働きたい女性が安心して働くことができる環境を整備します。
エ 政策・方針決定過程への女性の参画を促進するとともに、女性リーダーの育成を支援することで、あらゆる分野で女性が能力を発揮できる環境を整備します。
オ 事業主への理解促進による障害者雇用の場の拡大や、障害のある人の適性に応じた職業訓練を実施します。


<進捗管理目標>

指 標

基準値

(2015年度)

目標値

(2026年度)

成人の週1回のスポーツ実施率

46%

(2011年度)

70%

高校生の県内就職率

76%

90%

就業意思のある女性(15~64歳)の有業率

81%

(2012年度)

100%

(2027年度)

就業意思のある高齢者(65~79歳)の有業率

81%

(2012年度)

100%

(2027年度)

事業所における指導的立場(係長相当職以上)に占める女性の割合

18%

30%

障害者法定雇用率達成企業の割合

62%

100%


2.共に支え合う地域社会づくり

<現状・課題>

・都市部を中心とした住民同士のつながりの希薄化や過疎地域の高齢化等、住民生活や社会活動の基盤となる地域コミュニティの活力低下が大きな問題となっています。
・本県における在留外国人や来県する外国人観光客が増加する中で、良好なコミュニケーションを図るため、他国の文化や生活習慣、価値観などを正しく理解することが求められています。


<めざす方向>

さまざまな課題に対応する地域社会の担い手を確保するとともに、地域住民が役割をもち、支え合い自分らしく活躍できる地域コミュニティを構築することで、お互いに助け合いながら楽しく暮らすことのできる「地域共生社会」を実現します。
また、在留外国人や外国人観光客が増加する社会の中で、県民が世界と常につながっていることを意識し、自国及び地域の文化に誇りをもちながら他国の文化を認め合うことのできる「多文化共生社会」を実現します。


<実施する主な施策>

1 地域共生社会の実現
(1) 地域社会における担い手の育成・確保

ア 地域での見守り活動を県内全域に普及させるため、民生委員・児童委員や地域見守り協力員、一般家庭に出入りする機会のある民間事業者が連携・協力する地域見守りネットワークの輪を広げます。
イ 児童相談所、市町村、医療機関、学校、警察、保育所・幼稚園・認定こども園など関係機関が連携し、子どもへの虐待の兆候を見逃すことなく未然に防止するとともに、地域が協力して子どもと家庭を見守り支える体制を構築します。【再掲】
ウ 多様化する県民ニーズに応えるNPOやボランティア団体の結成・活動を支援するため、県NPOサポートセンターの相談機能を強化します。
エ さまざまな局面で地域のリーダーとして活躍できる人材を、教育機関や関係団体と協働して育成します。

(2) 県民の地域活動への参加促進

ア ボランティアの活動内容や募集状況に関する情報の提供体制を強化することで、誰もが地域活動に参加しやすい環境を整備します。
イ 知識や経験、技術を有する高齢者と地域団体・学校とのマッチングを行うことにより、ソーシャルビジネス(地域や社会の課題解決に向けてビジネスの手法を用いて取り組む事業)や地域貢献活動を支援します。【再掲】
ウ 災害時の助け合いや避難誘導、避難所運営の円滑化を図るため、自主防災組織への参加を促進します。
エ 「花いっぱい運動」など、同じ目標の下に誰もが主体的に参加できる県民活動を推進します。
オ 社会貢献活動に対する寄附文化の醸成に向けた取組を推進します。

2 多文化共生社会の実現

ア 友好提携地域をはじめ、異なる文化をもつ外国の人々との交流機会を増やし、互いの文化や考え方を尊重し合う意識の醸成に取り組みます。
イ 友好提携地域や、JICA(独立行政法人国際協力機構)、JICE(一般財団法人日本国際協力センター)などの関係機関と連携協力した実践的な活動を実施するとともに、活動を通じて得た経験等を生かし、地域での国際理解を促進します。
ウ 県国際交流センターを拠点に民間団体や教育機関と連携し、外国人への生活に関する情報提供や相談への対応、日本語教育・文化教育の充実に取り組みます。


3.健康で心豊かにすごせる社会づくり

<現状・課題>

・生涯にわたり健康を維持していくためには、楽しく健康づくりを続けることや、スポーツに親しむことも必要です。
・紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会により高まった県民のスポーツに対する関心を低下させぬよう、さまざまな取組が必要です。
・心豊かで充実した人生を送るためには、それぞれのライフスタイルに応じて、生涯にわたり学習することや、文化芸術に親しむことも必要です。


<めざす方向>

県民の活力の源である健康を維持していくため、生涯にわたる健康づくりや、誰もがそれぞれの体力や年齢、技能、興味、目的に応じて、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツに親しむことができる環境づくりを推進するとともに、紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会のレガシーを生かして、競技力の向上と競技人口の拡充を図ります。
また、県民が生涯にわたり心豊かにすごせるよう、大学、市町村、関係団体と連携し、県民の生涯にわたる学習活動の機会を増やすとともに、文化芸術を鑑賞、参加、創造することができる環境をさらに充実します。


<実施する主な施策>

1 生涯にわたる健康づくりの推進

ア 生涯にわたり健康を維持するため、全県的に楽しく健康増進を図る仕組みを構築し、地域コミュニティに密着した健康づくりを推進します。【再掲】
イ 2019(平成31)年に全国健康福祉祭(ねんりんピック)を開催し、県民の健康の維持・増進、生きがいの高揚を図り、世代や地域を超えた交流の輪を広げます。

2 スポーツに親しむことができる環境づくりの推進

ア 幼少期から、子どもの運動への興味・関心を高めるとともに、生涯にわたって運動に親しむ資質や能力を育み、豊かなスポーツライフを実現する基礎づくりを行います。
イ 誰もが気軽に運動・スポーツに親しむことができる場として、地域において住民主導で活動する「総合型地域スポーツクラブ」の活動を支援します。【再掲】
ウ 2019(平成31)年開催の全国健康福祉祭(ねんりんピック)や、2021(平成33)年開催の関西ワールドマスターズゲームズ2021を契機とし、さらなるスポーツの振興を図るとともに、県民のスポーツに対する気運を醸成します。
エ 紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会で整備したスポーツ施設を活用した全国大会・国際大会を開催するなど、県内外の人々との交流を促進し、スポーツによる地域おこしを各地で推進します。
オ 国内外のナショナルスポーツチーム等のキャンプ誘致を実施することにより、県民のスポーツに対する意識や関心を一層高めます。

3 競技力の向上

ア 「ジュニア期からの一貫指導体制の構築」、「優れた指導者の養成・活用」、「スポーツ医・科学サポートの充実」を重点とした取組を推進することにより、スポーツの好循環を創出し、競技水準の維持向上を図ります。

イ 県内の優れた素質を有する子どもを早期に見出し、関係団体と連携・協力を図りながら、発達の段階に応じた育成プログラムを実施することにより、将来オリンピックなどの国際舞台で活躍し、県民に夢や感動を与えることができる競技者を育成します。

4 生涯学習の機会の充実

ア 市町村、大学、生涯学習関連団体と連携し、体系化した学習情報の提供と学習活動の奨励を行う「きのくに県民カレッジ」を充実するなど、学びたい人がいつでも学べる機会を提供します。【再掲】
イ 県民の読書ニーズに応え、読書文化の振興を図るため、県立図書館の蔵書を充実するとともに、市町村や学校等への団体貸出など利便性の向上を図ります。
ウ 県民が文化、芸術、歴史、自然に触れ親しみ、学ぶ機会を提供するため、県立博物館や県立近代美術館などの社会教育施設において、県民にとって魅力的で質の高いテーマの展覧会を開催するとともに、館外学習や体験学習を積極的に実施します。

5 文化芸術に親しむことができる環境の充実

ア 県民一人一人の文化芸術活動への参加を促進するとともに、優れた文化芸術に直接触れ合う機会を充実します。【再掲】
イ 子どものころから文化芸術に親しめる環境を充実するため、文化芸術活動の発表の場の提供や文化芸術を通じた交流などを進めるとともに、文化芸術を鑑賞・体験する機会を拡充します。
ウ 貴重な音楽書・楽譜のコレクションである「南葵(なんき)音楽文庫」の展示や閲覧に取り組むなど、文化芸術に親しむ機会を充実します。
エ 2021(平成33)年度に第36回国民文化祭、第21回全国障害者芸術・文化祭、第45回全国高等学校総合文化祭を県民総参加で開催し、県民の文化芸術活動への参加の気運を高め、文化芸術の裾野を広げるとともに、和歌山の文化芸術を全国へ発信することにより、和歌山の文化力の向上を図ります。


<進捗管理目標>

指 標

基準値

(2015年度)

目標値

(2026年度)

健康寿命

男性 71.4歳

女性 74.3歳

(2013年度)

男性 75歳

女性 78歳

(2025年度)

成人の週1回のスポーツ実施率【再掲】

46%

(2011年度)

70%

国民体育大会総合順位

20位

(2016年度)

20位台

文化施設入館者数(年間)

(県民文化会館、県立近代美術館、県立博物館、県立紀伊風土記の丘、県立自然博物館)

680,613人

780,000人


4.人権尊重社会の実現

<現状・課題>

・依然として、女性や子ども、高齢者、障害のある人に対する人権侵害や同和問題など、さまざまな人権問題が発生しています。
・いじめや女性への暴力、子どもへの虐待といった問題が顕著になるとともに、職場でのハラスメント(いじめ、嫌がらせ)やインターネット上の人権侵害、性的少数者に対する偏見などが問題となっています。
・2013(平成25)年度に実施した人権に関する県民意識調査では、「人権が十分に守られていると思う人」の割合が48%にとどまっています。


<めざす方向>

人権とは、全ての人が生まれながらにもっている、人として幸せに生きていくために必要な、誰からも侵されることのない権利です。
全ての人の人権が尊重される豊かな社会の実現をめざし、さまざまな分野における人権施策を国及び市町村と連携し、企業、団体等との協働により総合的に推進します。


<実施する主な施策>

1 人権教育・啓発の推進

ア 国、市町村、企業、団体等と連携・協働しながら、家庭、学校、地域、職場などあらゆる機会を通じた教育・啓発活動に取り組みます。
イ 人権に関する学習・実践に必要な人材の育成や調査・研究の推進に取り組みます。

2 相談・支援・救済の推進

ア 県の相談機関が、人権に関するさまざまな相談に対し、迅速かつ適切に対応できるよう、相談員の資質向上に努めるとともに、関係機関との連携強化に取り組みます。
イ 国・市町村の機関、弁護士会、NPO等との連携・協働により支援体制を強化し、人権侵害を受けた被害者の救済を図ります。

3 分野別施策の推進

ア 女性、子ども、高齢者、障害のある人、同和問題、外国人などの人権課題について、分野別にその解決のための施策を行います。

女性の人権

企業等における女性の採用・登用や継続就業の促進、政策・方針決定過程への女性の参画の推進、女性への暴力防止のための啓発、性暴力被害者に対する相談・医療支援など、男女共同参画の実現に取り組みます。

子どもの人権

子どもへの虐待の早期発見・早期対応や、いじめの未然防止に向けた人権教育の充実など、子どもが主体性をもって健やかに成長していける環境づくりに取り組みます。

高齢者の人権

高齢者への虐待の早期発見・早期対応や、ボランティアによる見守り、支え合いの活動の推進など、高齢者が安心して住み慣れた地域で暮らせる環境づくりに取り組みます。

障害のある人の人権

障害のある人への虐待の早期発見・早期対応や、就労支援、障害福祉サービスなどの充実を図り、障害のある人が地域で自立した生活を送ることができる環境づくりに取り組みます。

同和問題

同和問題に対する正しい理解と認識を深めるための教育啓発活動を一層推進するとともに、相談・支援体制を充実するなど、さまざまな課題の解決に向け取り組みます。

外国人の人権

外国人の人権尊重のための教育・啓発活動や相談・支援体制の充実、多言語化対応の推進、災害時の迅速な情報提供など、外国人が安心して暮らせる環境づくりに取り組みます。

感染症(ハンセン病、HIV等)・難病患者等の人権

感染症・難病等に関する正しい知識の普及啓発や、適正な医療の確保、患者や家族への相談・支援体制の充実に取り組みます。

犯罪被害者とその家族・遺族の人権

犯罪被害者等への相談・支援体制の充実を図るとともに、犯罪被害者等への支援の必要性などについての啓発活動に取り組みます。

情報と人権

個人情報の適正な取扱いについて啓発するとともに、インターネットの利用に際して必要なルール・マナーや、インターネット上にあふれる大量で多様な情報を正しく理解し、活用する力を身につけるための教育・啓発を推進します。

さまざまな人権

性的少数者、刑事手続きに関わりをもった人など、さまざまな人権に関する問題に対しては、人権意識の高揚を図るなど、差別や偏見をなくしていくための施策の推進に取り組みます。

また、今後新たに生じる人権課題についても、それぞれの課題の状況に応じた取組を行います。

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