○和歌山県犯罪被害者等支援条例

平成31年3月13日

条例第15号

和歌山県犯罪被害者等支援条例をここに公布する。

和歌山県犯罪被害者等支援条例

目次

第1章 総則(第1条―第9条)

第2章 犯罪被害者等の支援に関する基本的施策(第10条―第22条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、犯罪被害者等の支援に関し、基本理念を定め、並びに県、県民、事業者及び犯罪被害者等支援団体の責務を明らかにするとともに、犯罪被害者等の支援のための施策の基本となる事項を定めることにより、犯罪被害者等の支援のための施策を総合的かつ計画的に推進し、もって犯罪被害者等の権利利益の保護が図られる社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 犯罪等 犯罪及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為をいう。

(2) 犯罪被害者等 犯罪等により害を被った者及びその家族又は遺族で、県内に住所を有する者をいう。

(3) 二次的被害 犯罪等による直接的な被害を受けた後に、風評、誹謗ひぼう中傷、報道機関等による過度な取材等により、犯罪被害者等が受ける精神的な苦痛、身体の不調、プライバシーの侵害等の被害をいう。

(4) 犯罪被害者等の支援 犯罪被害者等が、その受けた被害等を回復し、又は軽減し、再び平穏な生活を営むことができるようにするための取組をいう。

(5) 犯罪被害者等支援団体 犯罪被害者等の支援を行うことを目的とする民間の団体をいう。

(基本理念)

第3条 全て犯罪被害者等は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有する。

2 犯罪被害者等の支援は、被害(二次的被害を含む。)の状況及び原因、犯罪被害者等が置かれている状況その他の事情に応じて適切に行われなければならない。

3 犯罪被害者等の支援は、犯罪被害者等が、被害を受けたときから再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間、必要な支援が途切れることなく受けることができるよう、行われなければならない。

4 犯罪被害者等の支援は、国、県、市町村、犯罪被害者等支援団体その他の関係する者が相互に連携を図りながら協力して行われなければらない。

(県の責務)

第4条 県は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、犯罪被害者等の支援のための施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

(県民の責務)

第5条 県民は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等の名誉又は生活の平穏を害することのないよう十分配慮するとともに、犯罪被害者等が置かれている状況及び犯罪被害者等の支援の必要性についての理解を深めるほか、県が実施する犯罪被害者等の支援のための施策に協力するよう努めなければならない。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、犯罪被害者等の名誉又は生活の平穏を害することのないよう十分配慮するとともに、犯罪被害者等が置かれている状況及び犯罪被害者等の支援の必要性についての理解を深めるほか、県が実施する犯罪被害者等の支援のための施策に協力するよう努めなければならない。

(犯罪被害者等支援団体の責務)

第7条 犯罪被害者等支援団体は、基本理念にのっとり、県が実施する犯罪被害者等の支援のための施策に協力するとともに、犯罪被害者等の支援に関する情報の収集、整理、分析及び提供並びに人材の養成及び資質の向上を図るよう努めなければならない。

(犯罪被害者等支援基本計画)

第8条 知事は、犯罪被害者等の支援のための施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、犯罪被害者等の支援のための基本的な計画(以下この条において「犯罪被害者等支援基本計画」という。)を定める。

2 犯罪被害者等支援基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 犯罪被害者等の支援のための基本方針

(2) 犯罪被害者等の支援のための具体的な施策

(3) 前2号に掲げるもののほか、犯罪被害者等の支援のための施策を推進するために必要な事項

3 知事は、犯罪被害者等支援基本計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。

(財政上の措置等)

第9条 県は、この条例の目的を達成するため、必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めるものとする。

第2章 犯罪被害者等の支援に関する基本的施策

(相談及び情報の提供等)

第10条 県は、犯罪被害者等が日常生活又は社会生活を円滑に営むことができるようにするため、犯罪被害者等が直面している各般の問題について相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行い、弁護士の助言を受ける機会を確保し、犯罪被害者等の援助に精通している者を紹介する等必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(損害賠償の請求についての援助等)

第11条 県は、犯罪等による被害に係る損害賠償の請求の適切かつ円滑な実現を図るため、犯罪被害者等の行う損害賠償の請求についての援助、弁護士の助言を受ける機会の確保等必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(生活資金の貸付け等)

第12条 県は、犯罪被害者等が受けた被害(二次的被害を含む。)により日常生活に支障を来すことがないよう、経済的負担の軽減を図るため、犯罪被害者等に対する生活資金の貸付け等必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(保健医療サービス及び福祉サービスの提供)

第13条 県は、犯罪被害者等が心理的外傷その他犯罪等又は二次的被害により心身に受けた影響から回復できるようにするため、その心身の状況等に応じた適切な保健医療サービス及び福祉サービスが提供される体制の確保等必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(安全の確保)

第14条 県は、犯罪被害者等が更なる犯罪等により被害(二次的被害を含む。)を受けることを防止し、安心して日常生活を営むことができるようにするため、一時保護、施設への入所による保護、防犯に係る指導、犯罪被害者等に係る個人情報の適切な取扱いの確保等必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(居住の安定)

第15条 県は、犯罪等又は二次的被害により従前の住居に居住することが困難となった犯罪被害者等の居住の安定を図るため、県営住宅(和歌山県営住宅条例(平成9年和歌山県条例第42号)第2条第1号に規定する県営住宅をいう。)への入居における特別の配慮等必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(雇用の安定)

第16条 県は、犯罪被害者等の雇用の安定を図るため、犯罪被害者等が置かれている状況及び犯罪被害者等の支援の必要性について事業主の理解を深める等必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(刑事に関する手続への参加の機会を拡充するための情報の提供等)

第17条 県は、犯罪被害者等がその被害に係る刑事に関する手続に適切に関与することができるようにするため、刑事に関する手続に関する情報の提供等必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(保護、捜査、公判等の過程における配慮等)

第18条 県は、犯罪被害者等の保護、その被害(二次的被害を含む。)に係る刑事事件の捜査又は公判等の過程において、名誉又は生活の平穏その他犯罪被害者等の人権に十分な配慮がなされ、犯罪被害者等の負担が軽減されるよう、犯罪被害者等の心身の状況、その置かれている環境等に関する理解を深めるための訓練及び啓発、専門的知識又は技能を有する職員の配置、必要な施設の整備等必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(県民の理解の増進)

第19条 県は、広報活動等を通じて、犯罪被害者等が置かれている状況、犯罪被害者等の名誉又は生活の平穏への配慮の重要性等について県民の理解を深めるよう必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(調査研究の推進等)

第20条 県は、犯罪被害者等に対し専門的知識に基づく適切な支援を行うことができるようにするため、心理的外傷その他犯罪被害者等が犯罪等又は二次的被害により心身に受ける影響及び犯罪被害者等の心身の健康を回復させるための方法等に関する調査研究の推進並びに県の内外の情報の収集、整理及び活用、犯罪被害者等の支援に係る人材の養成及び資質の向上等必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(犯罪被害者等支援団体に対する援助)

第21条 県は、犯罪被害者等に対して行われる各般の支援において犯罪被害者等支援団体が果たす役割の重要性に鑑み、その活動の促進を図るため、情報の提供、人材の育成支援等必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(意見の反映及び透明性の確保)

第22条 県は、犯罪被害者等の支援のための施策の適正な策定及び実施に資するため、犯罪被害者等の意見を施策に反映し、当該施策の策定の過程の透明性を確保する等必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

この条例は、平成31年4月1日から施行する。

和歌山県犯罪被害者等支援条例

平成31年3月13日 条例第15号

(平成31年4月1日施行)