○和歌山県住宅宿泊事業法施行条例

平成30年3月14日

条例第9号

和歌山県住宅宿泊事業法施行条例をここに公布する。

和歌山県住宅宿泊事業法施行条例

目次

第1章 総則(第1条)

第2章 住宅宿泊事業

第1節 届出等(第2条・第3条)

第2節 業務(第4条―第12条)

第3節 監督(第13条)

第3章 住宅宿泊管理業(第14条―第19条)

第4章 雑則(第20条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、住宅宿泊事業法(平成29年法律第65号。以下「法」という。)、住宅宿泊事業法施行規則(平成29年厚生労働省・国土交通省令第2号。以下「厚・国規則」という。)、厚生労働省関係住宅宿泊事業法施行規則(平成29年厚生労働省令第117号。以下「厚労省規則」という。)及び国土交通省関係住宅宿泊事業法施行規則(平成29年国土交通省令第65号。以下「国交省規則」という。)を適切かつ円滑に実施するため、本県における届出住宅に係る住宅宿泊事業及び住宅宿泊管理業を実施するに当たり遵守すべき事項を定めることにより、行政の透明性を高め、法的安定性を確保するとともに、住宅宿泊事業の適正な運営を確保し、県民の生活環境への悪影響を防止しつつ、本県の実情に応じて、国内外からの観光旅客の宿泊に対する需要に的確に対応することを目的とする。

第2章 住宅宿泊事業

第1節 届出等

(法第3条第2項の届出書に添付すべき書類)

第2条 法第3条第2項の届出書には、同条第3項に規定する書類のほか、次に掲げる書類を添付しなければならない。

(1) 次条第1項の書類

(2) 次条第8項の書面

(3) 次条第11項の規定により説明し、意見を求めたことを証する書類

(住宅宿泊事業を適正に運営することを証する書類)

第3条 法第3条第1項の届出をしようとする者(以下「届出者」という。)は、規則で定めるところにより、届出に係る住宅ごとに、住宅宿泊事業を適正に運営することを証する書類を作成しなければならない。

2 前項の書類には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

(1) 宿泊者の衛生の確保のために講ずる措置

(2) 宿泊者の安全の確保のために講ずる措置

(3) 外国人観光旅客である宿泊者の快適性及び利便性の確保のために講ずる措置

(4) 宿泊者名簿の適切な備付け等のために講ずる措置

(5) 周辺地域の生活環境への悪影響の防止のために講ずる措置

(6) 苦情等への適切かつ迅速な対応のために講ずる措置

(7) その他規則で定める事項

3 第1項の書類は、次の各号のいずれにも適合するものでなければならない。

(1) 住宅宿泊事業が円滑かつ確実に実施されると見込まれるものであること。

(2) 住宅宿泊事業の内容が法、法に基づく命令、この条例及びこの条例に基づく命令その他関係法令に違反するものでないこと。

4 届出者は、2以上の区分所有者(建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号)第2条第2項に規定する区分所有者をいう。)が存する建物で人の居住の用に供する専有部分(同条第3項に規定する専有部分をいう。)のあるもの(以下「特定区分所有建物」という。)に存する住宅について第1項の書類を作成しようとするときは、あらかじめ、当該特定区分所有建物の管理組合(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成12年法律第149号)第2条第3号に規定する管理組合をいう。以下同じ。)の規約に、当該特定区分所有建物において住宅宿泊事業を営むことを禁止しないことが記載されていることを確認しなければならない。

5 届出者は、前項の管理組合の規約に住宅宿泊事業を営むことについての定めがない場合は、当該管理組合に対し、当該届出に係る住宅において住宅宿泊事業を営むことを禁止する意思がないことを、規則で定める様式に従い、書面により確認しなければならない。

6 届出者は、当該届出に係る住宅の賃借人である場合において、第1項の書類を作成しようとするときは、あらかじめ、当該届出に係る住宅の賃貸人が当該届出に係る住宅を住宅宿泊事業の用に供することを目的とした賃借物の転貸を承諾したことを、書面により確認しなければならない。

7 届出者は、当該届出に係る住宅の転借人である場合において、第1項の書類を作成しようとするときは、あらかじめ、当該届出に係る住宅の賃貸人及び転貸人が当該届出に係る住宅を住宅宿泊事業の用に供することを目的とした転借物の転貸を承諾したことを、書面により確認しなければならない。

8 届出者は、第1項の書類に第2項第2号に掲げる事項を記載しようとするときは、あらかじめ、当該届出に係る住宅の所在地を管轄する消防長(消防本部を置かない市町村にあっては、市町村長)又は消防署長に対し、当該届出に係る住宅が消防法その他の関係法令に適合していることを、書面により確認を求めなければならない。

9 届出者は、第1項の書類に第2項第5号に掲げる事項を記載しようとするときは、あらかじめ、当該届出に係る住宅及び当該届出に係る住宅の周辺の住宅に係る火災保険並びに第三者に対する賠償責任保険の契約を締結するよう努めなければならない。

10 届出者は、特定区分所有建物以外の建物に存する届出に係る住宅について第1項の書類に第2項第5号に掲げる事項を記載しようとする場合であって、次の各号に掲げる場合に応じて当該各号に定める住宅(以下「近隣住宅」という。)が存するときは、知事が特に必要がないと認める場合を除き、あらかじめ、当該近隣住宅の住民その他規則で定める者に対し、当該届出に係る住宅の第1項の書類の内容を説明し、当該近隣住宅に居住する世帯の世帯主(国勢調査令(昭和55年政令第98号)第2条第6項に規定する世帯主をいう。)又は世帯の代表者(同条第7項に規定する世帯の代表者をいう。)その他規則で定める者ごとに、当該書類に記載しようとする第2項第5号に掲げる事項について反対する意思がないことを確認しなければならない。

(1) 当該届出に係る住宅が集合建物(同一建物に独立して住宅の用に供せられる部分が2以上ある建物をいう。以下同じ。)に存する場合 当該届出に係る住宅と同一の階に存する住宅、当該届出に係る住宅の天井に接する上階の住宅及び当該届出に係る住宅の床面に接する下階の住宅

(2) 当該届出に係る住宅が集合建物以外の建物に存する場合 当該届出に係る住宅が存する敷地に隣接する敷地(当該届出に係る住宅の敷地が一車線の道路に接している場合にあっては、当該道路を挟んで向かい合う敷地及びそれに隣接する敷地(当該道路に接しているものに限る。)を含む。)に存する住宅

11 届出者は、第1項の書類を作成しようとするときは、あらかじめ、次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める者に対し、規則で定めるところにより、当該書類の内容を説明し、意見を求めなければならない。

(1) 届出に係る住宅が存する建物が特定区分所有建物である場合 当該届出に係る住宅が所在する場所の全部又は一部をその区域に含む自治会その他の地縁による団体(地方自治法(昭和22年法律第67号)第260条の2第1項に規定する地縁による団体をいう。以下「自治会等」という。)及び当該特定区分所有建物の管理組合

(2) 届出に係る住宅が存する建物が特定区分所有建物以外の建物であって、かつ、集合建物である場合 当該届出に係る住宅が所在する場所の全部又は一部をその区域に含む自治会等及び当該集合建物に居住する住民

(3) 届出に係る住宅が存する建物が特定区分所有建物以外の建物であって、かつ、集合建物以外の建物である場合 当該届出に係る住宅が所在する場所の全部又は一部をその区域に含む自治会等

12 届出者は、第1項の書類を作成したときは、遅滞なく、規則で定めるところにより、その旨を公表しなければならない。

13 前3項の規定は、届出者が第1項の書類の内容の変更(規則で定める軽微な変更を除く。)を行う場合について準用する。

第2節 業務

(第3条第1項の書類の内容に従った運営)

第4条 住宅宿泊事業者は、第3条第1項の書類の内容に従って住宅宿泊事業を営まなければならない。

2 住宅宿泊事業者は、住宅宿泊事業を適正に運営するために必要があると認めるときは、第3条第1項の書類の内容を変更することができる。

3 第3条第11項及び第12項の規定は、住宅宿泊事業者が同条第1項の書類の内容の変更(規則で定める軽微な変更を除く。)を行う場合について準用する。

4 第3条第10項の規定は、住宅宿泊事業者が同条第1項の書類に記載した事項のうち同条第2項第5号の記載の内容の変更を行おうとする場合について準用する。

5 住宅宿泊事業者は、第3条第1項の書類の内容を変更したときは、速やかに、規則で定めるところにより、第3項において準用する同条第11項の規定により説明し、意見を求めたことを証する書類を添えて、その変更後の同条第1項の書類を知事に届け出なければならない。

(宿泊者の衛生の確保)

第5条 住宅宿泊事業者は、法第5条及び厚労省規則第2号の規定に基づき届出住宅の定期的な清掃及び換気を行うに当たっては、宿泊者の衛生の確保を図るため、次に掲げる措置を講じなければならない。

(1) 当該届出住宅の設備を定期的に清掃し、かつ、換気すること。

(2) 当該届出住宅に浴槽が設けられている場合は、当該浴槽を、宿泊者が当該届出住宅に宿泊する間、毎日(循環ろ過器によって浴槽水を浄化することができる機能を有する浴槽にあっては、1週間に1回以上)、完全に換水し、かつ、清掃すること。

(3) 当該届出住宅の備品を定期的に清掃すること。

(4) 当該届出住宅の寝具は、常に清潔にし、敷布、包布、枕おおいその他の規則で定めるものは、清潔なものを宿泊者1人ごとに取り替えること。

(5) 知事が指定する衛生管理に関する講習を規則の定めるところにより受講すること。

(宿泊者の安全の確保)

第6条 住宅宿泊事業者は、法第6条に規定する宿泊者の安全の確保を図るために必要な措置を適切に行うため、宿泊者に対し、当該宿泊者が届出住宅に宿泊する期間の初日に、国交省規則第1条第2号に規定する避難経路を説明しなければならない。

2 住宅宿泊事業者は、外国人観光旅客である宿泊者に対しては、外国語を用いて前項の規定による説明をしなければならない。

(外国人観光旅客である宿泊者の快適性及び利便性の確保を図るための措置)

第7条 法第7条及び国交省規則第2条の規定による案内及び情報の提供は、届出住宅の客室(宿泊者が宿泊するものに限る。)その他の外国人観光旅客である宿泊者が見やすい場所として規則で定める場所に、書面の備付けその他の知事が定める方法により行わなければならない。

(宿泊者名簿の作成時の本人確認)

第8条 住宅宿泊事業者は、宿泊者に係る法第8条第1項の宿泊者名簿を作成するに際しては、対面により運転免許証の提示を受ける方法その他の規則で定める方法により、当該宿泊者について、氏名及び住所(外国人観光旅客である宿泊者については、旅券番号)の確認(次項において「本人確認」という。)を行わなければならない。

2 住宅宿泊事業者は、宿泊者が届出住宅に宿泊する間、1週間に1回以上、当該宿泊者の本人確認を行わなければならない。

(周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項の説明等)

第9条 住宅宿泊事業者は、宿泊者に対し、法第9条第1項及び厚・国規則第8条第2項第1号の規定に基づき騒音の防止のために配慮すべき事項について説明するときは、次の各号に掲げる事項を説明しなければならない。

(1) 近隣住宅の住民に迷惑を及ぼす大声又は音を発しないこと。

(2) 深夜(午後11時から午前6時までの時間をいう。)に、届出住宅から音が屋外に漏れないよう窓を閉鎖する(これに準ずる行為として知事が認める行為を含む。)こと。

(3) 届出住宅の屋上その他規則で定める場所においてパーティー(複数人で飲食を共にする会合をいう。)を開かないこと。

2 住宅宿泊事業者は、宿泊者に対し、法第9条第1項及び厚・国規則第8条第2項第2号の規定に基づきごみの処理に関し配慮すべき事項について説明するときは、当該宿泊者が届出住宅に宿泊する間に排出する廃棄物について、当該住宅宿泊事業者が指定した処理方法(当該届出住宅の所在地を管轄する市町村が定める廃棄物の分別方法に従うものに限る。)を説明しなければならない。

3 住宅宿泊事業者は、宿泊者に対し、法第9条第1項及び厚・国規則第8条第2項第3号の規定に基づき火災の防止のために配慮すべき事項について説明するときは、当該宿泊者にガスの元栓を利用させる場合にあっては、その開閉方法、消火器の使用方法及び火災が発生した際の通報先を説明しなければならない。

4 住宅宿泊事業者は、宿泊者に対し、法第9条第1項の規定に基づく説明をしたにもかかわらず、当該宿泊者が届出住宅に宿泊する間、当該宿泊者の行為が周辺地域の生活環境に対し悪影響を及ぼすおそれがあると認められる場合には、速やかに、当該行為の改善を求めなければならない。

(苦情等への対応)

第10条 住宅宿泊事業者は、規則で定めるところにより、法第10条の規定により対応した苦情及び問合せに関し、規則で定める事項を記載した記録を作成し、保存しなければならない。

(標識の掲示)

第11条 住宅宿泊事業者は、届出住宅に宿泊者が宿泊しているときは、その届出住宅ごとに、公衆の見やすい場所であって規則で定める場所に、規則で定めるところにより、宿泊者が滞在している旨を表示する標識を掲示しなければならない。

(知事への定期報告)

第12条 法第14条の規定に基づく知事への報告は、厚・国規則第12条に定めるもののほか、規則で定めるところにより、第10条の記録(第17条の規定による報告がある場合には、当該報告に係るものを含む。)について行わなければならない。

第3節 監督

(指導監督)

第13条 知事は、住宅宿泊事業がこの条例の規定に従って適正に運営されることを確保するために必要があると認めるときは、当該住宅宿泊事業を営む住宅宿泊事業者に対し、法第15条の規定に基づく命令又は法第17条の規定に基づく報告徴収若しくは立入検査を行うことができる。

2 住宅宿泊事業者がこの条例の規定に違反したときは、知事は、当該住宅宿泊事業者に対し、法第16条第1項の規定に基づき、その業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。

第3章 住宅宿泊管理業

(第3条第1項の書類の内容に従った運営)

第14条 住宅宿泊管理業者は、法第11条第1項の規定により住宅宿泊管理業務の委託がされた届出住宅に係る第3条第1項の書類の内容に従って当該住宅宿泊管理業務を営まなければならない。

(住宅宿泊管理業者の業務)

第15条 第5条から第9条まで及び第11条の規定は、住宅宿泊管理業務の委託がされた届出住宅において住宅宿泊管理業を営む住宅宿泊管理業者について準用する。

(苦情等への対応)

第16条 住宅宿泊管理業者は、法第36条において準用する法第10条に規定する業務を適切かつ迅速に処理するため、届出住宅がある建物が集合建物である場合は、宿泊者が当該届出住宅に宿泊する間、当該集合建物内に駐在しなければならない。

2 住宅宿泊管理業者は、法第36条において準用する法第10条に規定する業務を適切かつ迅速に処理するため、届出住宅がある建物が集合建物以外の建物である場合は、宿泊者が当該届出住宅に宿泊する間、当該届出住宅から通常徒歩おおむね10分で到達できる距離の範囲内に駐在しなければならない。

3 住宅宿泊管理業者は、規則で定めるところにより、法第36条において準用する法第10条の規定により対応した苦情及び問合せに関し、規則で定める事項を記載した記録を作成し、保存しなければならない。

(住宅宿泊事業者への定期報告)

第17条 法第40条の規定に基づく住宅宿泊事業者への報告は、国交省規則第21条に定めるもののほか、規則で定めるところにより、前条第3項の記録について行わなければならない。

(住宅宿泊管理業務の再委託)

第18条 住宅宿泊管理業者が住宅宿泊管理業務を再委託する場合においては、当該再委託された業務の範囲内において、当該再委託を受けた者を住宅宿泊管理業者とみなして、第14条から前条までの規定を適用する。この場合において、当該再委託された業務の範囲内において、住宅宿泊管理業者については、これらの規定は、適用しない。

(指導監督)

第19条 知事は、住宅宿泊管理業者が行う住宅宿泊管理業務又はその再委託を受けた者が行う住宅宿泊管理業務がこの条例の規定に従って適正に運営されることを確保するために必要があると認めるときは、当該住宅宿泊管理業を営む住宅宿泊管理業者に対し、法第41条第2項の規定に基づく命令又は法第45条第2項の規定に基づく報告徴収若しくは立入検査を行うことができる。

2 住宅宿泊管理業者又は住宅宿泊管理業務の再委託を受けた者がこの条例の規定に違反したときは、知事は、国土交通大臣に対し、法第42条第2項の規定に基づく要請をすることができる。

第4章 雑則

(委任)

第20条 この条例に定めるもののほか、法及びこの条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成30年6月15日から施行する。ただし、次項の規定は、平成30年3月15日から施行する。

(準備行為)

2 法附則第2条第1項の規定に基づく準備行為として、法第3条第2項及び第3項の規定の例による届出をしようとする際に必要となる届出書に添付すべき書類の作成については、この条例の施行前においても、第2条及び第3条の規定の例により、これを行うことができる。

和歌山県住宅宿泊事業法施行条例

平成30年3月14日 条例第9号

(平成30年6月15日施行)

体系情報
第4編 環境生活/第6章 環境衛生/第3節 旅館・公衆浴場及び興行場
沿革情報
平成30年3月14日 条例第9号