○和歌山県がん対策推進条例

平成24年12月28日

条例第93号

和歌山県がん対策推進条例をここに公布する。

和歌山県がん対策推進条例

目次

前文

第1章 総則(第1条―第11条)

第2章 がん対策に関する基本的施策(第12条―第19条)

第3章 がん対策の推進(第20条―第31条)

第4章 雑則(第32条・第33条)

附則

和歌山県においては、がんが県民の疾病による死亡の最大原因であり、県民の生命及び健康にとって重大な脅威になっている。がん対策は、緊急かつ重要な課題である。そこで、がん患者及びその家族が置かれている状況を深く認識し、療養生活に伴う様々な不安を軽減することにより、がん患者を含む全ての県民がいきいきと生活することができる地域社会を実現させること、そして、県民自ら、がんに関する理解と関心を深め、互いに支え合い、力を合わせることにより、みんなで一体となってがん対策の推進を行うことを決意し、私たちは、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、がん対策基本法(平成18年法律第98号。以下「法」という。)の趣旨にのっとり、がん対策推進について、基本理念を定め、県の責務並びに市町村、県議会、県民、保健医療関係者、教育関係者及び事業者の役割を明らかにするとともに、がん対策推進に関し必要な事項を定めることにより、実効性のあるがん対策を総合的かつ効果的に推進することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 保健医療関係者 がんの予防、がんの発見、がんの治療、緩和ケア等に従事する者をいう。

(2) 事業者 労働基準法(昭和22年法律第49号)第10条に規定する使用者をいう。

(3) セカンドオピニオン 診断又は治療に関し担当医師以外の医師の意見を聴くことをいう。

(4) 緩和ケア がん患者の身体症状の緩和並びにがん患者及びその家族の心理的、社会的、又は精神的な問題を解決するための支援をいう。

(5) 医療保険者 高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号)第7条第2項に規定する保険者及び同法第48条に規定する後期高齢者医療広域連合をいう。

(6) がん診療連携拠点病院 都道府県がん診療連携拠点病院及び地域がん診療連携拠点病院をいう。

(7) ピアサポート活動 がん患者及びその家族に寄り添い、自らのがん体験を通して相談者の不安若しくは悩みを軽減し、又は解消するために行う支援活動をいう。

(8) グリーフケア活動 大切な人を亡くし、大きな悲嘆に暮れている人に対するカウンセリング等の支援活動をいう。

(9) がん登録 がんの患や転帰その他の状況を把握し、分析するため、がんに係る情報を登録する制度をいう。

(10) 難治性がん 早期発見及び治療が困難ながんをいう。

(平29条例24・一部改正)

(七一体の取組)

第3条 がん対策は、関係する者が一致協力しなければ、成果を上げることができないという困難な課題であることに鑑み、行政機関、県議会、県民、保健医療関係者、教育関係者、事業者及び報道関係者の七つの主体が一体となって、緊密な連携のもとにがん対策に取り組む。

(県の責務)

第4条 県は、前条に規定する連携のもと、本県の特性に応じたがん対策を策定し、第12条から第31条までに規定する施策を実施する責務を有する。

(市町村の役割)

第5条 市町村は、がん対策を推進するため、法第4条に規定する施策について、県との効果的な連携を図りながら、実施するよう努める。

(県議会の役割)

第6条 県議会は、議会活動を通して、がん対策についての基本的な政策決定及び政策提言を行うとともに、法第12条第1項の規定により策定される和歌山県がん対策推進計画(以下「和歌山県がん対策推進計画」という。)が適切に実施され、がん患者をはじめとする県民の声が施策に反映されるよう、知事等執行機関の事務について監視及び評価を行う。

(平29条例24・一部改正)

(県民の役割)

第7条 県民は、喫煙、飲酒、食生活、運動その他の生活習慣が健康に及ぼす影響等がんに関する正しい知識を学び、がんの予防に必要な注意を払うとともに、積極的にがん検診を受けるよう努める。

2 県民は、県及び市町村が実施するがん対策に関する施策に協力するよう努める。

(保健医療関係者の役割)

第8条 保健医療関係者は、県及び市町村が実施するがん対策に関する施策に協力するよう努める。

2 医師は、良質な医療を提供するため、がんの診断結果をがん患者及びその家族に告知するときには、複数の治療方法、セカンドオピニオン、緩和ケア等に関する情報の説明を行い、がん患者及びその家族の理解が得られるよう努める。

(教育関係者の役割)

第9条 教育関係者は、保護者と連携して、児童及び生徒が、喫煙、飲酒、食生活、運動その他の生活習慣が健康に及ぼす影響等がんに関する正しい知識を習得できるよう、適切な指導を行う。

2 教育関係者は、がんの予防及び早期発見の知識等について、がんに関する正しい理解を深めるための教育を行う。

3 教育関係者は、県及び市町村が実施するがん対策に関する施策に協力するよう努める。

(事業者の役割)

第10条 事業者は、医療保険者と連携して、従業員ががんを予防し、又は早期に発見することができるように、がん検診の実施及び受診の奨励を行うよう努める。

2 事業者は、従業員又はその家族ががん患者となった場合においては、当該従業員が働きながら治療を受け、療養し、看護し、又は介護することができる環境の整備に努める。

3 事業者は、その管理する施設において、従業員及び利用者の受動喫煙の防止に努める。

4 事業者は、県及び市町村が実施するがん対策に関する施策に協力するよう努める。

(報道への協力)

第11条 県、市町村、県議会、県民、保健医療関係者、教育関係者及び事業者は、報道関係者がその社会的使命及び役割を果たすことができるよう、情報提供等の協力に努める。

第2章 がん対策に関する基本的施策

(がん予防の推進)

第12条 県は、がん予防を推進するため、次の各号に掲げる施策を実施する。

(1) 喫煙、飲酒、食生活、運動その他の生活習慣が健康に及ぼす影響等がんに関する正しい知識の普及啓発

(2) がん予防に携わる保健医療関係者の資質を向上させる研修

(3) 市町村及び事業者に対するがん対策に関する専門的な助言

(4) 受動喫煙を防止するための対策

(5) がんに関する正しい理解及び関心を深めるための教育

(6) 前各号に掲げるもののほか、がん予防を推進するために必要な施策

(がんの早期発見の推進)

第13条 県は、がんの早期発見を推進するため、次の各号に掲げる施策を実施する。

(1) がん検診の内容及び体制の充実

(2) がん検診に係る精密検査体制の確立

(3) がん検診の受診率向上を図る広報啓発

(4) 医療従事者を対象とするがん検診の精度向上を図る研修機会の確保

(5) 市町村と協力した県民のがん検診の受診率向上を図る取組

(6) 市町村及びがん検診に関係する機関に対するがん検診の事業評価についての技術的な助言

(7) 前各号に掲げるもののほか、がんの早期発見を推進するために必要な施策

(がん医療の充実)

第14条 県は、がん患者が居住地域にかかわらず、等しく、がんの状態に応じた適切かつ質の高い医療を受けることができるようにするため、次の各号に掲げる施策を実施する。

(1) がん診療連携拠点病院の整備

(2) がん診療連携拠点病院に準ずる病院の整備

(3) 前2号に掲げる病院とその他の医療機関との役割分担及び連携強化

(4) 手術、放射線療法、化学療法、緩和ケア、リハビリテーション等のがん医療に携わる専門的な知識及び技能を有する医師その他の医療従事者の育成及び確保

(5) がん診療連携拠点病院に腫瘍内科を配置するための環境の整備

(6) 時代に即応した高度で先進的ながん医療を実施する施設の整備

(7) 前各号に掲げるもののほか、がん医療を充実させるために必要な施策

(がん患者及びその家族に対する支援)

第15条 県は、がん患者及びその家族の療養生活の質を維持向上させるとともに、精神的な不安、社会生活上の不安その他のがんに伴う負担を軽減させるため、次の各号に掲げる施策を実施する。

(1) がん患者及びその家族を対象とする、セカンドオピニオンを含めた相談支援体制の充実強化

(2) がん患者及びその家族等により構成される民間団体が行う活動に対する支援

(3) がん患者及びその家族の就労に関し必要な支援

(4) がん経験者等により構成される民間団体が行うピアサポート活動に対する支援

(5) がん患者の遺族を対象とするグリーフケア活動に対する支援

(6) 前各号に掲げるもののほか、がん患者及びその家族を支援するために必要な施策

(緩和ケアの充実)

第16条 県は、がん告知の段階から行う緩和ケアの充実を図るため、次の各号に掲げる施策を実施する。

(1) 緩和ケア病棟、緩和ケアチーム及び緩和ケア外来の整備の促進

(2) 緩和ケアに関する専門的な知識及び技能を有する医療従事者の育成

(3) がん患者の状況に応じた緩和ケアの推進

(4) 在宅で緩和ケアを受けることができる体制整備の支援

(5) 緩和ケアに関する関係機関及び関係団体との連携の強化

(6) 前各号に掲げるもののほか、緩和ケアを充実させるために必要な施策

(在宅医療の推進)

第17条 県は、がん患者の意向により住み慣れた地域でがん医療を受けることができるよう、在宅医療及び介護の提供体制を整備するため、必要な施策を実施するとともに、居宅等での医療従事者と介護従事者の連携体制及び協力体制の整備を支援する取組を行う。

(がん登録の推進)

第18条 県は、総合的かつ効果的ながん対策の実現に向けて、がん登録の推進を図るため、次の各号に掲げる施策を実施する。

(1) 人口動態に関する統計情報を活用したがん登録を推進するための施策

(2) 医療機関のがん登録への参加及び連携の強化

(3) 県民に対するがん登録の啓発及び広報の強化

(4) 前3号に掲げるもののほか、がん登録を推進するために必要な施策

2 前項に規定する施策を実施するに当たっては、登録された情報がその利用目的の達成に必要な範囲を超えて用いられることがないようにするため、がん患者に係る個人情報の保護を適切に講じる。

(がん医療に関する情報の提供)

第19条 県は、県民に対し、がん医療に関する情報の提供に努める。

2 県は、がん診療連携拠点病院等の医療機関が県民に対して行うがん医療に関する情報の提供及び相談を充実させるために必要な施策を実施する。

第3章 がん対策の推進

(難治性がん対策の推進)

第20条 県は、肺がん、すい臓がん、肝臓がんなど、難治性がんに係る対策を推進するため、必要な施策を実施する。

(小児がん対策の推進)

第21条 県は、小児がん対策を推進するため、小児がんの実態把握の強化、小児がん診療に関わる医療関係機関の連携及び協力の促進など、必要な施策を実施する。

(女性に特有のがん対策の推進)

第22条 県は、女性に特有のがん対策を推進するため、がんにかかりやすい年齢を考慮したがん予防に関する正しい知識の普及啓発、検診の受診率を向上させる施策など、必要な施策を実施する。

(胃がん及び大腸がん対策の推進)

第23条 県は、胃がん及び大腸がんの対策を推進するため、食生活の好と発病との関係の研究、予防啓発の充実、検診の受診率を向上させる施策、早期発見及び早期治療に役立つ施策など、必要な施策を実施する。

(肝炎肝がん対策の推進)

第24条 県は、肝炎肝がん対策を推進するため、肝炎ウイルス検診の実施、検診の受診率を向上させる施策、肝炎ウイルス陽性者に対する相談支援及び診療体制の充実など、必要な施策を実施する。

(骨髄移植等の推進)

第25条 県は、白血病等の血液がんに対し有効な治療法である骨髄移植、末しょう血幹細胞移植及びさい帯血移植を推進するため、骨髄バンク事業等の普及啓発など、必要な施策を実施する。

(後遺症対策の推進)

第26条 県は、がん治療に係る後遺症により、日常生活に支障を来している患者の療養生活の質の維持向上を図るため、必要な施策を実施する。

(研究の推進)

第27条 県は、がんの患及びがんによる死亡を減少させるため、がんの発病原因の解明、効果的ながんの予防、診断及び治療に関する方法の開発その他の研究について情報を収集するとともに、その情報を広く公開し、その研究の推進に必要な施策を実施する。

(県民運動の推進)

第28条 県は、がんに関する理解及び関心を深めるため、がん対策を啓発する日を設けるなど、広報活動その他の必要な施策を実施する。

2 県は、県民の主体的な運動を支援するとともに、がん対策に係る県民運動の推進に積極的に取り組む。

3 県は、がん患者又はがん患者であった人が、その事実を理由として、いかなる不利益な取扱いも受けることのない社会の実現に向けて、啓発活動その他の必要な施策を実施する。

(和歌山県がん対策推進委員会)

第29条 県は、がんの予防及び対策を検討し、がんによる死亡率の減少を目指すことにより、県民の健康の保持及び増進を図るため、和歌山県がん対策推進委員会を置く。

2 和歌山県がん対策推進委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、知事が定める。

(和歌山県がん対策推進計画)

第30条 知事は、和歌山県がん対策推進計画を策定するとき又は変更するときには、この条例の規定を反映させた内容にするとともに、和歌山県がん対策推進委員会その他関係機関、がん患者及びその家族をはじめとする県民並びに県議会の意見を聴く。

(年次報告)

第31条 知事は、和歌山県がん対策推進計画に基づく施策について、毎年、実施状況をとりまとめ、速やかに県議会に報告するとともに、適切な手段を用いて県民に公表する。

第4章 雑則

(財政上の措置)

第32条 県は、がん対策に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずる。

(委任)

第33条 この条例の施行に関し必要な事項は、知事が定める。

附 則

1 この条例は、公布の日から施行する。

2 知事は、この条例の施行の日から起算して3年を経過するごとに、社会経済情勢の変化等に鑑み、この条例の施行状況等について検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずる。

附 則(平成29年3月23日条例第24号)

この条例は、公布の日から施行する。

和歌山県がん対策推進条例

平成24年12月28日 条例第93号

(平成29年3月23日施行)

体系情報
第6編 健/第3章 保健予防/第7節 がん対策
沿革情報
平成24年12月28日 条例第93号
平成29年3月23日 条例第24号