○和歌山県新技術創出推進条例

平成21年10月6日

条例第77号

和歌山県新技術創出推進条例をここに公布する。

和歌山県新技術創出推進条例

技術は、人類の歴史と共に生まれ、人の営みにつれて絶えることなく進化を続けている。

新たな技術の創出は、それを用いる人々の利便性を向上させるのみならず、時として社会全体を変革する大きな原動力となり、人々の生活をより豊かで実り多いものにするための大いなる推進力となる。

私たちが暮らす和歌山県は、古くから進取の精神にあふれ、様々な分野において新しい技術を創意工夫により産み出し、我が国社会の発展と国民生活の向上をけん引してきた。和歌山県には、これら先人の努力のたまものである技術が蓄積され、創意工夫を尊ぶ気風が脈々と受け継がれている。私たちは、これを更に進展させるとともに、次代へと正しく引き継いでいかなければならない。

そのためには、新技術の創出に携わる者すべてが共通の目標を持ち、大局的な視点に立って、適切な役割分担による協働を推進するとともに、県民が新技術の創出に対する理解と関心を高め、地域全体で新技術の創出を推進していく体制を構築しなければならない。

このような認識の下に、産学官の密接な連携を基盤として卓越した新技術の創出を推進することにより、先端的な新たな産業の振興と既存産業の高付加価値化を図り、活力あふれる和歌山県経済を実現するとともに、県民生活を更に向上させることを目指し、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、新技術の創出の推進に関し、基本理念を定め、県の責務並びに事業者、大学等、支援団体及び県民の役割を明らかにするとともに、県の施策の基本となる事項を定めることにより、新技術の創出の推進に関する施策を総合的かつ計画的に実施して新技術の創出を推進し、新技術を活用した新たな産業の振興及び既存産業の高付加価値化(以下「新産業の振興等」という。)を通じて本県経済の活性化に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において「新技術」とは、個人又は団体が発明、考案又は開発を行う事業活動に有用な新たな技術をいう。

2 この条例において「事業者」とは、個人事業者、農林水産業従事者、中小企業者、特定非営利活動法人その他の県内において事業活動を行うものをいう。

3 この条例において「大学等」とは、大学、高等専門学校その他試験研究機関(県又は事業者が設置するものを除く。)をいう。

4 この条例において「支援団体」とは、県内における新技術の創出を支援する法人その他の団体をいう。

5 この条例において「産学官」とは、事業者、大学等、支援団体、国、県及び市町村をいう。

(基本理念)

第3条 新技術の創出の推進は、新産業の振興等を図る観点から、次に掲げる事項を基本として行われなければならない。

(1) 新技術の創出のための基盤の強化、人材の育成、研究資金の確保等により、新技術の創出を促進する良好な環境を整備すること。

(2) 事業者及び大学等における創造性のある研究開発を支援すること。

(3) 産学官及び金融機関等の適切な役割分担に基づく協働により取り組むこと。

(4) 本県が有する地域資源その他地域の潜在力を活用すること。

(5) 県民の理解及び協力の下、活力を持って持続的に行うこと。

(県の責務)

第4条 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、産学官の緊密な連携の下、新技術の創出の推進に関する施策を総合的かつ計画的に実施しなければならない。

2 県は、市町村が新技術の創出の推進に関する施策を策定し、又は実施しようとする場合は、市町村が果たす役割の重要性にかんがみ、助言その他の必要な支援を行うものとする。

(事業者の役割)

第5条 事業者は、基本理念にのっとり、研究開発、新技術の導入、研究成果の実用化、新製品の創出等を通じて事業活動の高度化及び地域経済への寄与に努めるものとする。

(大学等の役割)

第6条 大学等は、基本理念にのっとり、科学技術に関する研究開発を推進することにより新技術を創出し、及びこれに必要な人材を育成するとともに、その成果の社会への還元を通じて地域貢献及び地域における知の拠点としての機能の充実に努めるものとする。

(支援団体の役割)

第7条 支援団体は、基本理念にのっとり、事業者及び大学等の研究開発の支援並びに県民の新技術の創出に対する理解の促進を通じて本県における新技術の創出を推進するよう努めるものとする。

(県民の役割)

第8条 県民は、基本理念に対する理解を深め、新技術の創出が本県経済の活性化及び県民生活の向上に資することを認識し、県が実施する新技術の創出の推進に関する施策等に積極的に協力するよう努めるものとする。

(新技術創出推進基本計画)

第9条 知事は、新産業の振興等による本県経済の活性化を図ることを目的として、新技術の創出の推進に関する施策の総合的かつ効果的な実施を図るため、新技術の創出の推進に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を定めるものとする。

2 基本計画は、新技術の創出の推進に関し、必要な事項を定めるものとする。

3 知事は、基本計画を定めるに当たっては、県民の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。

4 知事は、基本計画を定めたときは、議会に報告するとともに、これを公表しなければならない。

5 前2項の規定は、基本計画の変更について準用する。

(新技術の創出)

第10条 県は、新産業の振興等を図る観点から、新技術の創出のため、次に掲げる施策その他の必要な施策を講ずるものとする。

(1) 新技術の創出のための基盤の強化に寄与する科学技術の振興を図る施策

(2) 新技術の創出を支援する中核となる機関その他の機関を整備し、その機能の充実を図ることにより、新技術の創出に関する研究開発を促進する施策

(3) 新技術を創出しようとする事業者に対し、情報の提供、技術支援、資金の円滑な供給その他の方法により研究開発を促進する施策

(人材の育成)

第11条 県は、新技術の創出を担う人材の育成を図るため、次に掲げる施策その他の必要な施策を講ずるものとする。

(1) 新技術の創出を担う研究者、技術者及び技能者(以下「研究者等」という。)の確保及び育成を通じて研究者等が保有する科学技術及び技能の継承を図る施策

(2) 研究者等の意欲的かつ創造的な活動を支援し、研究者等を地域全体で育成していく気運の醸成を図る施策

(研究資金の確保)

第12条 県は、産学官の協働により行われる新技術の創出に関する研究開発に関し、国の競争的研究資金等を獲得するために必要な施策を積極的に講ずるとともに、当該資金等を活用した研究開発の成果が本県経済の活性化のために適切に活用されるよう必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(意見の反映)

第13条 県は、新技術の創出の推進に関する施策の適正な立案及び実施に資するため、関係者の意見を当該施策に反映させるために必要な措置を講ずるものとする。

(知的財産の創造等)

第14条 県は、本県経済の活力を維持し、その強化を促進するため、知的財産に係る関係機関と連携し、新技術に係る知的財産の創造、活用及び権利の保護に必要な措置を講ずるものとする。

(優れた研究者等の顕彰)

第15条 県は、新技術の創出に寄与する優れた研究者等を顕彰し、新技術の向上及び普及を支援する措置を講ずるものとする。

この条例は、公布の日から施行する。

和歌山県新技術創出推進条例

平成21年10月6日 条例第77号

(平成21年10月6日施行)