○旅館業法施行条例

昭和45年10月6日

条例第60号

旅館業法施行条例をここに公布する。

旅館業法施行条例

(趣旨)

第1条 この条例は、旅館業法(昭和23年法律第138号。以下「法」という。)の施行に関し、必要な事項を定めるものとする。

(平15条例21・追加)

(定義)

第1条の2 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 原湯 浴槽の湯を再利用せずに浴槽に直接注入される温水をいう。

(2) 原水 原湯の原料に用いる水及び浴槽の水の温度を調整する目的で、浴槽の水を再利用せずに浴槽に直接注入される水をいう。

(3) 上がり用湯 洗い場及びシャワーに備え付けられた湯栓から供給される温水をいう。

(4) 上がり用水 洗い場及びシャワーに備え付けられた水栓から供給される水をいう。

(5) 浴槽水 浴槽内の湯水をいう。

(6) 貯湯槽 原湯及び原水を貯留する槽をいう。

(7) ろ過器 浴槽水を再利用するため、浴槽水中の微細な粒子等を除去する装置をいう。

(8) 集毛器 浴槽水を再利用するため、浴槽水に混入した毛髪その他の比較的大きな異物を捕集する網状の装置をいう。

(9) 調節箱 洗い場及びシャワーに備え付けられた湯栓に送る湯の温度を調節するための槽をいう。

(10) 循環配管 湯水を浴槽とろ過器等との間で循環させるための配管をいう。

(11) 循環式浴槽 原湯及び原水の使用量を少なくする目的で、浴槽水をろ過器等を通して循環させる構造の浴槽をいう。

(12) 気泡発生装置等 気泡発生装置、ジェット噴射装置等微小な水粒を発生させる設備をいう。

(13) 回収槽 浴槽からあふれ出た浴槽水を回収し、貯留する槽をいう。

(令3条例15・追加)

(清純な施設環境の保持)

第2条 法第3条第3項第3号(法第3条の2第2項、第3条の3第2項及び第3条の4第3項において準用する場合を含む。)に規定する条例で定める施設は、次のとおりとする。

(1) 国又は地方公共団体が設置する図書館、博物館、公民館、青少年教育施設及びスポーツ施設

(2) 前号に掲げる施設以外の施設で知事が指定するもの

2 法第3条第4項(法第3条の2第2項、第3条の3第2項及び第3条の4第3項において準用する場合を含む。)の規定により知事が意見を求める者は、次に掲げる施設の区分に従い、それぞれ当該各号に定める者とする。

(1) 国が設置する施設 当該施設の長

(2) 地方公共団体が設置する施設 当該施設を管理する地方公共団体の長又は教育委員会

(3) 前各号以外の施設 当該施設の所在する市町村の長

(昭61条例8・一部改正、平15条例21・旧第1条繰下・一部改正、令5条例34・一部改正)

(衛生措置の基準)

第3条 法第4条第2項に規定する条例で定める衛生に必要な措置の基準は、次のとおりとする。

(1) 営業施設は、常に清潔にすること。

(2) 営業施設には防虫、防の設備をし、防虫、防の措置を講ずること。

(3) 便所は、客用と自家用とに区分し、防臭設備をし、かつ、流水式手洗を備えること。

(4) 寝具及び丹前等は常に清潔にし、浴衣、敷布、包布及び枕おおいは清潔なものを客1人ごとに取り替えること。

2 前項第3号の規定にかかわらず、農山漁村滞在型余暇活動のための基盤整備の促進に関する法律(平成6年法律第46号)第2条第5項に規定する農林漁業体験民宿業を営む施設であって客室の延床面積が33平方メートル未満のものの便所は、客用と自家用とに区分しないことができる。

3 第1項に規定するもののほか、入浴設備の衛生に必要な措置の基準は、次のとおりとする。

(1) 浴槽水は、常に満水状態に保つとともに、十分にろ過した湯水又は原湯を供給することにより浴槽からあふれ出させ、清浄に保つこと。

(2) 水道法(昭和32年法律第177号)第3条第9項に規定する給水装置により供給される水(次号において「水道水」という。)以外の水を使用した原湯、原水、上がり用湯及び上がり用水並びに浴槽水は、規則で定める基準に適合するよう水質を管理すること。

(3) 水道水以外の水を使用した原湯、原水、上がり用湯及び上がり用水は、1年に1回以上水質検査を行い、その結果を証する書類を検査の日から3年間保管すること。

(4) 浴槽は、毎日(循環式浴槽にあっては、1週間に1回以上)、完全に換水し、清掃すること。

(5) 浴槽水は、塩素系薬剤を使用して消毒し、浴槽水中の残留塩素濃度を毎日測定して、規則で定める残留塩素濃度となるようにするとともに、当該測定結果を記載した書類を検査の日から3年間保管すること。ただし、原湯又は原水の性質その他の条件によりこれにより難い場合には、他の適切な措置を講ずること。

(6) 浴槽水(客ごとに完全換水し清掃するものを除く。)は、1年に1回以上、連日使用している浴槽水は1年に2回以上、水質検査を行い、その結果を証する書類を検査の日から3年間保管すること。

(7) 貯湯槽を設置している場合にあっては、次に掲げる措置を講ずること。

 貯湯槽の原湯の温度を、通常の使用状態において摂氏60度以上に保つとともに、最大使用時においても摂氏55度以上に保つこと。ただし、これにより難い場合には、レジオネラ属菌が繁殖しないように貯湯槽内の湯水の消毒を行うこと。

 定期的に貯湯槽の生物膜の状況を監視し、生物膜の除去を行うための清掃及び消毒を行うこと。

 設備の破損等の確認及び温度計の性能の確認を行うこと。

(8) 循環式浴槽を設置している場合には、次に掲げる措置を講ずること。

 ろ過器は、1週間に1回以上、十分に逆洗浄して汚れを排出するとともに、ろ過器及び循環配管については、1年に1回程度は生物膜の状況を点検し、生物膜がある場合は適切な方法で生物膜を除去し、及び消毒すること。

 配管の状況を正確に把握し、不要な配管を除去すること。

 浴槽水を塩素系薬剤によって消毒する場合は、当該薬剤は、浴槽水がろ過器内に入る直前に投入すること。

 浴槽水がある時は、ろ過器及び消毒装置を常に作動させること。

 集毛器は、毎日清掃及び消毒を行うこと。

(9) 水位計に通じる配管は1週間に1回以上、適切な消毒方法で生物膜を除去すること。

(10) シャワーは1週間に1回以上、内部の水が置き換わるよう通水するとともに、シャワーヘッド及びホースは6か月に1回以上点検し、内部の汚れを1年に1回以上洗浄し、及び消毒すること。

(11) 調節箱を設置している場合は、生物膜の状況を監視し、定期的に清掃及び消毒を行うこと。

(12) 浴槽に気泡発生装置等を設置している場合は、定期的に清掃及び消毒を行うこと。

(13) 消毒装置を設置している場合は、維持管理を適切に行うこと。

(14) 浴槽からあふれ出た浴槽水を回収する配管及び回収槽の内部の清掃及び消毒を定期的に行うこと。

(15) 第3号及び第6号に規定する水質検査の結果、規則で定める事項が水質基準に適合しなかった場合は、その旨を知事に報告すること。

(16) 営業者は、自主管理を行うため、自主管理手引書及び点検表を作成すること。

(17) 新たに営業を開始する場合又は営業を休止した後に再開する場合にあっては、浴場内を十分に消毒した後に営業を開始又は再開すること。

(昭61条例8・一部改正、平15条例21・旧第2条繰下、平16条例19・平20条例12・令3条例15・一部改正)

(定員)

第4条 営業者は、当該営業に係る施設について、次に掲げる床面積を基準として客室ごとの定員を定めなければならない。

(1) 旅館・ホテル営業の施設の客室にあっては、1人につき3.3平方メートル(寝台を置く客室にあっては、1人につき4.5平方メートル)以上

(2) 簡易宿所営業の施設の客室にあっては、1人につき2.4平方メートル以上

(3) 下宿営業の施設の客室にあっては、1人につき4.9平方メートル以上

2 営業者は、前項の基準により定員を定めたときは、それぞれの客室の見やすい場所に当該客室の定員を掲示しなければならない。

(平15条例21・追加、平30条例18・一部改正)

(宿泊の拒否)

第5条 法第5条第1項第4号に規定する条例で定める宿泊を拒むことのできる事由は、次のとおりとする。

(1) 宿泊しようとする者が他の宿泊者に迷惑を及ぼすおそれがあると認められるとき。

(2) 宿泊しようとする者が明らかに支払能力がないと認められるとき。

(3) 宿泊しようとする者がその挙動に不審があると認められるとき。

(4) 宿泊しようとする者が宿泊者名簿への記入を拒んだとき。

(平15条例21・旧第3条繰下、令5条例34・一部改正)

(旅館・ホテル営業の施設の構造設備の基準)

第6条 旅館業法施行令(昭和32年政令第152号)第1条第1項第8号の条例で定める構造設備の基準は、次のとおりとする。

(1) 客室と他の客室及び廊下等との境が、壁、ふすま、板戸又はこれらに類するもので区画されていること。

(2) 収容定員数以上の数量の寝具を備えていること。

2 前項に規定するもののほか、入浴設備に係る構造設備の基準は次のとおりとする。

(1) 貯湯槽は完全に排水することができる構造とすること。

(2) 循環式浴槽を設置している場合は、次に掲げる措置を講ずること。

 ろ過器は、1時間当たりのろ過能力が当該ろ過器に係る浴槽の容量以上であり、逆洗浄等の適切な方法でろ過器内のごみ及び汚泥を排出することができる構造であるとともに、ろ過器の前に集毛器を設けること。

 浴槽における原湯又は原水の注入口は、循環配管に接続せず、浴槽水面上部から浴槽に落とし込む構造であること。

 循環してろ過された湯水は浴槽の底部に近い部分から補給される構造であること。

 浴槽水の消毒に用いる塩素系薬剤の注入口又は投入口は、浴槽水がろ過器内に入る直前に設置されていること。

(3) 打たせ湯及びシャワーは、循環している浴槽水を用いる構造でないこと。

(4) 気泡発生装置等を設置する場合には、連日使用している浴槽水を用いる構造ではなく、点検、清掃及び排水を容易に行うことができ、空気取入口から土ぼこりや浴槽水等が入らないような構造であること。

(5) 内湯と露天風呂との間は、配管等を通じて、露天風呂の湯が内湯に混じることのない構造であること。

(6) 浴槽からあふれ出た浴槽水及び回収槽内の水を浴用に供する構造になっていないこと。ただし、これにより難い場合には、浴槽からあふれ出た浴槽水を回収する配管は直接循環配管に接続せず、回収槽は、地下埋設を避け、内部の清掃を容易に行える位置又は構造になっているとともに、回収槽内の水を消毒することができる設備が設けられていること。

(7) 水位計は、配管内を洗浄し、及び消毒することができる構造又は配管等を要しないセンサー方式であること。

(8) 配管内の浴槽水を完全に排水することができる構造とすること。

(9) 調節箱を設置する場合は清掃を容易に行える構造とし、薬剤注入口を設けるなど消毒が行えるようにすること。

(平15条例21・追加、平30条例18・旧第7条繰上・一部改正、令3条例15・一部改正)

(簡易宿所営業の施設の構造設備の基準)

第7条 前条第2項の規定は、旅館業法施行令第1条第2項第7号の条例で定める構造設備の基準について準用する。

(令3条例15・追加)

(下宿営業の施設の構造設備の基準)

第8条 旅館業法施行令第1条第3項第5号の条例で定める構造設備の基準は、次のとおりとする。

(1) 客室の総床面積は、20平方メートル以上であること。

(2) 1客室の床面積は、4.9平方メートル以上であること。

(3) 客室と他の客室及び廊下等との境が壁で区画されていること。

(4) 自由に出入りすることができる玄関及び廊下を有すること。

2 第6条第2項の規定は、下宿営業の施設の構造設備の基準について準用する。

(平15条例21・追加、平28条例56・旧第9条繰上、平30条例18・旧第8条繰上・一部改正、令3条例15・旧第7条繰下・一部改正)

(基準の緩和)

第9条 知事は、法第3条第1項の簡易宿所営業の許可の申請に係る宿泊者の数が10人未満である場合には、公衆衛生上支障がないと認められる範囲内において、第3条及び第4条に規定する基準の一部を適用せず、又はこれらに規定する基準を緩和することができる。

2 知事は、旅館業の施設の入浴設備について、次に掲げる基準によることが困難であり、かつ、当該入浴設備を利用する宿泊者数その他特別な事情により公衆衛生上支障がないと認める場合においては、その基準を緩和することができる。

(1) 第3条第3項に定める基準

(2) 第6条第2項に定める基準

(平28条例56・追加、平30条例18・旧第9条繰上、令3条例15・旧第8条繰下・一部改正)

1 この条例は、公布の日から施行する。

2 旅館業営業施設の衛生措置の基準等に関する条例(昭和24年和歌山県条例第2号)は、廃止する。

(昭和61年3月29日条例第8号)

この条例は、昭和61年6月24日から施行する。

(平成15年3月14日条例第21号)

この条例は、平成15年4月1日から施行する。

(平成16年3月24日条例第19号)

この条例は、平成16年10月1日から施行する。

(平成20年3月24日条例第12号)

この条例は、平成20年4月1日から施行する。

(平成28年6月28日条例第56号)

この条例は、公布の日から施行する。

(平成30年3月23日条例第18号)

(施行期日)

1 この条例は、平成30年6月15日から施行する。ただし、次項の規定は、公布の日から施行する。

(施行前の準備)

2 この条例の施行の日前において、旅館業法の一部を改正する法律(平成29年法律第84号)附則第5条第1項の規定による許可の申請に対する審査については、この条例による改正後の旅館業法施行条例に定める基準の例により、行うことができる。

(令和3年3月24日条例第15号)

この条例は、令和3年6月1日から施行する。ただし、第6条に1項を加える改正規定、第8条に1項を加える改正規定(同条第2項第2号に係る部分に限る。)、同条を第9条とする改正規定、第7条に1項を加える改正規定及び同条を第8条とし、第6条の次に1条を加える改正規定は、令和4年4月1日から施行する。

(令和5年10月5日条例第34号)

この条例は、生活衛生関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るための旅館業法等の一部を改正する法律(令和5年法律第52号)の施行の日又はこの条例の公布の日のいずれか遅い日から施行する。

(施行の日=令和5年12月13日)

旅館業法施行条例

昭和45年10月6日 条例第60号

(令和5年12月13日施行)

体系情報
第4編 環境生活/第6章 環境衛生/第3節 旅館・公衆浴場及び興行場
沿革情報
昭和45年10月6日 条例第60号
昭和61年3月29日 条例第8号
平成15年3月14日 条例第21号
平成16年3月24日 条例第19号
平成20年3月24日 条例第12号
平成28年6月28日 条例第56号
平成30年3月23日 条例第18号
令和3年3月24日 条例第15号
令和5年10月5日 条例第34号