○和歌山県自然環境保全条例
昭和47年7月14日
条例第38号
和歌山県自然環境保全条例を次のように定める。
和歌山県自然環境保全条例
目次
第1章 総則(第1条―第8条)
第2章 自然環境保全基本方針(第9条)
第3章 県自然環境保全地域
第1節 指定等(第10条―第12条)
第2節 保全(第13条―第18条)
第3節 雑則(第19条―第21条)
第4章 削除
第5章 雑則(第23条・第24条)
第6章 罰則(第25条―第29条)
付則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、自然環境を保全することが特に必要な区域等の生物の多様性の確保その他の自然環境の適正な保全を総合的に推進することにより、広く県民が自然環境の恵沢を享受するとともに、将来の県民にこれを継承できるようにし、もって現在及び将来の県民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。
(平9条例41・全改、平22条例15・一部改正)
(県等の責務)
第2条 県、事業者及び県民は、和歌山県環境基本条例(平成9年和歌山県条例第41号)第3条に定める環境の保全についての基本理念にのっとり、自然環境の適正な保全が図られるように、それぞれの立場において努めなければならない。
(平9条例41・全改、平12条例38・一部改正)
(他の公益との調整等)
第3条 自然環境の保全に当たっては、県土の保全その他の公益との調整に留意するとともに、この条例の実施に当たっては、住民の農林漁業等の生業の安定及び福祉の向上に配慮しなければならない。
(平2条例29・一部改正)
(地域開発施策等における配慮)
第4条 県は、地域の開発及び整備その他の自然環境に影響を及ぼすと認められる施策の策定及びその実施に当たっては、自然環境の適正な保全について配慮するものとする。
(平2条例29・平9条例41・一部改正)
(市町村との連携)
第5条 県は、自然環境の適正な保全を総合的かつ計画的に推進するため、市町村との連携を図るものとする。
(平12条例38・全改)
第6条から第8条まで 削除
(平12条例38)
第2章 自然環境保全基本方針
(自然環境保全基本方針)
第9条 知事は、自然環境保全法(昭和47年法律第85号)第51条第1項の規定に基づき設置する和歌山県環境審議会(以下「審議会」という。)の意見を聴いて自然環境の保全を図るための基本方針(以下「自然環境保全基本方針」という。)として次に掲げる事項について定めなければならない。
(1) 自然環境の保全に関する基本構想
(2) 県自然環境保全地域の指定その他その地域に係る生物の多様性の確保その他の自然環境の保全のための施策に関する基本的な事項
(3) その他自然環境の保全に関する重要事項
2 知事は、前項の規定により定められた自然環境保全基本方針の要旨を公表しなければならない。
3 知事は、その定めた自然環境保全基本方針を改定することが必要であると認めるときは、審議会の意見を聴いてこれを改定することができる。
4 第2項の規定は、自然環境保全基本方針の改定について準用する。
(昭48条例40・平15条例18・平22条例15・一部改正)
第3章 県自然環境保全地域
第1節 指定等
(指定)
第10条 知事は、次の各号のいずれかに該当する区域のうち、自然的社会的諸条件からみてその区域における自然環境を保全することが特に必要なものを県自然環境保全地域(以下「自然環境保全地域」という。)として指定することができる。
(1) 優れた天然林が相当部分を占める森林の区域(これと一体となって自然環境を形成している土地の区域を含む。)でその面積が規則で定める面積以上のもの
(2) 地形若しくは地質が特異であり、又は特異な自然の現象が生じている土地の区域及びこれと一体となって自然環境を形成している土地の区域でその面積が規則で定める面積以上のもの
(3) その区域内に生存する動植物を含む自然環境が優れた状態を維持している海岸、湖沼、湿原又は河川の区域でその面積が規則で定める面積以上のもの
(4) 植物の自生地、野生動物の生息地その他の規則で定める土地の区域でその区域における自然環境が前3号に掲げる区域における自然環境に相当する程度を維持しているもののうち、その面積が規則で定める面積以上のもの
2 知事は、自然環境保全地域を指定しようとするときは、次条第1項に規定する自然環境保全地域に関する保全計画の案を示して、あらかじめ、関係市町村長及び審議会の意見を聴かなければならない。
3 知事は、自然環境保全地域を指定しようとするときは、あらかじめ、規則で定めるところにより、その旨を公告し、その案を当該公告の日から2週間公衆の縦覧に供しなければならない。
5 知事は、前項の規定により縦覧に供された案について異議がある旨の意見書の提出があったとき、又は当該自然環境保全地域の指定に関し広く意見を聴く必要があると認めたときは、公聴会を開催するものとする。
6 知事は、自然環境保全地域を指定する場合には、その旨及び区域を公示しなければならない。
7 自然環境保全地域の指定は、前項の規定による公示によってその効力を生ずる。
(平2条例29・平22条例15・一部改正)
(保全計画の決定)
第11条 自然環境保全地域に関する保全計画(自然環境保全地域における自然環境の保全のための規制又は事業に関する計画をいう。以下同じ。)は、知事が決定する。
2 自然環境保全地域に関する保全計画には、次の各号に掲げる事項を定めるものとする。
(1) 保全すべき自然環境の特質その他当該地域における自然環境の保全に関する基本的な事項
(2) 当該地域における自然環境の特質に即して、特に保全を図るべき土地の区域(以下「特別地区」という。)の指定に関する事項
(3) 当該地域における自然環境の保全のための規制に関する事項
(4) 当該地域における自然環境の保全のための事業に関する事項
(平2条例29・平22条例15・一部改正)
(保全事業の執行)
第12条 自然環境保全地域に関する保全事業(自然環境保全地域に関する保全計画に基づいて執行する事業であって、当該地域における自然環境の保全のための施設で規則で定めるものに関するものをいう。以下同じ。)は、県が執行する。
(平11条例43・一部改正)
第2節 保全
(特別地区)
第13条 知事は、自然環境保全地域に関する保全計画に基づいて、その区域内に、特別地区を指定することができる。
(平2条例29・一部改正)
(特別地区内の行為の規制)
第14条 特別地区内においては、次の各号に掲げる行為は、知事の許可を受けなければ、してはならない。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行う行為、第1号から第5号まで及び第10号に掲げる行為で森林法(昭和26年法律第249号)第25条第1項若しくは第2項若しくは第25条の2第1項若しくは第2項の規定により指定された保安林の区域若しくは同法第41条の規定により指定された保安施設地区(第16条第1項において「保安林等の区域」という。)内において同法第34条第2項(同法第44条において準用する場合を含む。)の許可を受けた者が行う当該許可に係るもの、第6号に掲げる行為について知事が指定する方法及びその限度内で行うもの又は第7号に掲げる行為で森林の整備及び保全を図るために行うものは、この限りでない。
(1) 建築物その他の工作物を新築し、改築し、又は増築すること。
(2) 宅地を造成し、土地を開墾し、その他土地の形質を変更すること。
(3) 鉱物を掘採し、又は土石を採取すること。
(4) 水面を埋め立て、又は干拓すること。
(5) 河川、湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼさせること。
(6) 木竹を伐採すること。
(7) 知事が指定する区域内において木竹を損傷すること。
(8) 知事が指定する区域内において当該区域が本来の生育地でない植物で、当該区域における自然環境の保全に影響を及ぼすおそれがあるものとして知事が指定するものを植栽し、又は当該植物の種子をまくこと。
(9) 知事が指定する区域内において当該区域が本来の生息地でない動物で、当該区域における自然環境の保全に影響を及ぼすおそれがあるものとして知事が指定するものを放つこと(当該指定する動物が家畜である場合における当該家畜である動物の放牧を含む。)。
(10) 知事が指定する湖沼又は湿原及びこれらの周辺1キロメートルの区域内において、当該湖沼若しくは湿原又はこれらに流水が流入する水域若しくは水路に汚水又は廃水を排水設備を設けて排出すること。
(11) 道路、広場、田、畑、牧場及び宅地以外の地域のうち知事が指定する区域内において車馬若しくは動力船を使用し、又は航空機を着陸させること。
(12) 前各号に掲げるもののほか、特別地区における自然環境の保全に影響を及ぼすおそれがある行為で規則で定めるもの
3 特別地区内において非常災害のために必要な応急措置として第1項各号に掲げる行為をした者は、その行為をした日から起算して14日以内に、知事にその旨を届け出なければならない。
4 国又は地方公共団体の機関が行う行為については、第1項の許可を受けることを要しない。この場合において、当該国又は地方公共団体の機関は、その行為をしようとするときは、あらかじめ、知事に協議しなければならない。
5 第1項の許可には、当該自然環境保全地域における自然環境の保全のために必要な限度において、条件を付することができる。
(1) 自然環境保全地域に関する保全事業の執行として行う行為
(2) 法令に基づいて国又は地方公共団体が行う行為のうち、自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので規則で定めるもの
(3) 通常の管理行為又は軽易な行為のうち、自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので規則で定めるもの
(平2条例29・平22条例15・一部改正)
(野生動植物保護地区)
第15条 知事は、特別地区内における特定の野生動植物の保護のために特に必要があると認めるときは、自然環境保全地域に関する保全計画に基づいて、その区域内に、当該保護すべき野生動植物の種類ごとに、野生動植物保護地区を指定することができる。
3 何人も、野生動植物保護地区内においては、当該野生動植物保護地区に係る野生動植物(動物の卵を含む。)を捕獲し、若しくは殺傷し、又は採取し、若しくは損傷してはならない。ただし、次の各号に掲げる場合は、この限りでない。
(2) 非常災害のために必要な応急措置を行うためにする場合
(3) 自然環境保全地域に関する保全事業を執行するためにする場合
(4) 法令に基づいて国又は地方公共団体が行う行為のうち、自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので規則で定めるものを行うためにする場合
(5) 通常の管理行為又は軽易な行為のうち、自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので規則で定めるものを行うためにする場合
(6) 前各号に掲げるもののほか、知事が特に必要があると認めて許可した場合
(平2条例29・平22条例15・一部改正)
(1) その規模が規則で定める基準を超える建築物その他の工作物を新築し、改築し、又は増築すること(改築又は増築後において、その規模が規則で定める基準を超えるものとなる場合における改築又は増築を含む。)。
(2) 宅地を造成し、土地を開墾し、その他土地(海底を含む。)の形質を変更すること。
(3) 鉱物を掘採し、又は土石を採取すること。
(4) 水面を埋め立て、又は干拓すること。
(5) 特別地区内の河川、湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼさせること。
2 知事は、前項の規定による届出があった場合において、自然環境保全地域における自然環境の保全のために必要があると認めるときは、その届出をした者に対して、その届出のあった日から起算して30日以内に限り、当該自然環境の保全のために必要な限度において、その届出に係る行為を禁止し、若しくは制限し、又は必要な措置をとるべき旨を命ずることができる。
4 第1項の規定による届出をした者は、その届出をした日から起算して30日を経過した後でなければ、当該届出に係る行為に着手してはならない。
5 知事は、当該自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないと認めるときは、前項の期間を短縮することができる。
(1) 非常災害のために必要な応急措置として行う行為
(2) 自然環境保全地域に関する保全事業の執行として行う行為
(3) 法令に基づいて国又は地方公共団体が行う行為のうち、自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので規則で定めるもの
(4) 通常の管理行為又は軽易な行為のうち、自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので規則で定めるもの
(5) 自然環境保全地域が指定され、又はその区域が拡張された際着手している行為
(昭48条例40・平2条例29・平22条例15・一部改正)
2 知事は、規則で定めるところにより、その職員のうちから自然保護取締員を命じ、前項に規定する権限の一部を行わせることができる。
3 前項の職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
(平2条例29・平22条例15・一部改正)
2 前項の職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
(平2条例29・一部改正)
第3節 雑則
(実地調査)
第19条 知事は、自然環境保全地域の指定若しくはその区域の拡張、自然環境保全地域に関する保全計画の決定若しくは変更又は自然環境保全地域に関する保全事業の執行に関し実地調査のため必要があるときは、その職員に他人の土地に立ち入り、標識を設置させ、測量させ、又は実地調査の障害となる木竹若しくはかき、さく等を伐採させ、若しくは除去させることができる。
3 第1項の職員は、日出前及び日没後においては、宅地又はかき、さく等で囲まれた土地に立ち入ってはならない。
4 第1項の職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
5 土地の所有者若しくは占有者又は木竹若しくはかき、さく等の所有者は、正当な理由がない限り、第1項の規定による立入りその他の行為を拒み、又は妨げてはならない。
(平2条例29・一部改正)
(損失の補償)
第20条 県は、第14条第1項若しくは第15条第3項第6号の許可を得ることができないため、第14条第5項(第15条第4項において準用する場合を含む。)の規定により許可に条件を付されたため、又は第16条第2項の規定による処分を受けたため、損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償する。
2 前項の規定による補償を受けようとする者は、知事にこれを請求しなければならない。
3 知事は、前項の規定による請求を受けたときは、補償すべき金額を決定し、当該請求者にこれを通知しなければならない。
4 県は、自然環境保全地域の指定若しくはその区域の拡張、自然環境保全地域に関する保全計画の決定若しくは変更又は県が行う自然環境保全地域に関する保全事業の執行に関し、第19条第1項の規定による当該職員の行為によって損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償する。
(平2条例29・平22条例15・一部改正)
(土地の買取り等の措置)
第21条 県は、自然環境の保全を図るため特に必要があると認められる土地については、その買取り等適切な措置を講ずるよう配慮するものとする。
第4章 削除
(平15条例18)
第22条 削除
(平15条例18)
第5章 雑則
(自然保護監視員)
第23条 自然環境の保全及び動植物の保護の状況等を監視させるため、自然保護監視員(以下「監視員」という。)を置く。
2 監視員は、知事が任命する。
3 監視員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
4 前各項に定めるもののほか、監視員に関し必要な事項は、規則で定める。
(平2条例29・一部改正)
第6章 罰則
(罰則)
第25条 第17条第1項の規定による命令に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
(平2条例29・平22条例15・一部改正)
第26条 次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(平2条例29・平22条例15・一部改正)
第27条 第16条第2項の規定による処分に違反した者は、50万円以下の罰金に処する。
(平2条例29・平22条例15・一部改正)
第28条 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
(1) 第16条第1項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
(2) 第16条第4項の規定に違反した者
(3) 第18条第1項の規定による立入検査又は立入調査を拒み、妨げ、又は忌避した者
(昭48条例40・平2条例29・平22条例15・一部改正)
(平2条例29・一部改正)
付則
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から起算して1年をこえない範囲内において規則で定める日から施行する。
(昭和48年4月規則第17号で、同48年4月12日から施行)
(和歌山県立自然公園条例の一部改正)
2 和歌山県立自然公園条例(昭和34年和歌山県条例第2号)の一部を次のように改正する。
第4条を次のように改める。
第4条 削除
第5条第1項中「審議会」を「和歌山県自然環境保全審議会(以下「審議会」という。)」に改める。
(和歌山県自然保護審議会の設置に関する条例の廃止)
3 和歌山県自然保護審議会の設置に関する条例(昭和47年和歌山県条例第25号)は、廃止する。
付則(昭和48年10月13日条例第40号)抄
(施行期日)
1 この条例は、昭和48年11月1日から施行する。
4 この条例の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附則(平成2年12月25日条例第29号)
この条例は、公布の日から施行する。
附則(平成4年3月30日条例第13号)
(施行期日)
1 この条例は、平成4年4月1日から施行する。
(和歌山県温泉審議会条例の廃止)
2 和歌山県温泉審議会条例(昭和25年和歌山県条例第12号)は、廃止する。
(施行日以後最初に任命される委員の任期)
3 この条例の施行の日以後最初に任命される委員(補欠の委員を除く。)の任期は、改正後の第22条第2項本文の規定にかかわらず、平成5年4月30日までとする。
附則(平成9年10月9日条例第41号)抄
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
附則(平成11年12月24日条例第43号)
この条例は、平成12年4月1日から施行する。
附則(平成12年3月27日条例第38号)
この条例は、平成12年4月1日から施行する。
附則(平成15年3月14日条例第18号)抄
(施行期日)
1 この条例は、平成15年5月1日から施行する。
附則(平成22年3月25日条例第15号)
(施行期日)
1 この条例は、平成22年7月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。