令和2年6月3日 新型コロナウイルス感染症 知事記者会見 説明概要

令和2年6月3日 新型コロナウイルス感染症 知事記者会見 説明概要

 新型コロナウイルス感染症で、本日、まだ残っておられた3人の入院患者が、全員2回陰性になりました。すでに退院された方もいるし、時間的にこれから退院される方もいますが、いずれにしろ、本日をもって入院患者がゼロになり、良かったと思います。

 ただ、これで、世界中でコロナ感染がゼロになった訳ではなく、多分、また感染者が出るのではないかと思いますが、出たらきちっと対応して、無事退院していただけるように、対策をずっと続けていきたいと考えています。
 

(感染者が出てから今日までの振り返りと受け止め)

 とにかく感染者を増やさないようにするため、感染症法を基に、保健所、福祉保健部のヘッドクォーター、各病院の機能を最大限活用し、感染症対策をしてきました。

 一言で言うと、ちゃんと検査して陽性者を選り分けて隔離し、濃厚接触者を検査して確認し、その他の濃厚と言えない人も前広に検査し、検査が出来なかった人は、調査に行って異常が無いかどうかをいつも確認する。この体制をずっと続けてきて、まあまあ上手くいって良かったと思います。

 今日の日を迎えられたのは、関係の皆様が一丸となって対応した結果で、皆様方にも御礼申し上げたいと思います。この感染症では、未知のいろんな経験があり、感染された患者さんからも多くの教訓を得ました。

 例えば、濃厚接触者を検査した結果、無症状でも陽性が出ることが分かりました。それから、感染の初期は咽頭や鼻咽頭を数回やりましたが、結果的に便で陽性と診断しました。当時は、法的に有意な検体と認められていませんでしたが、後々、法律に明記される形になった。そういった諸々の患者さんから得られたことはたくさんあり、これらは、次の対策に生かしていきたいと思います。

 大変だと感じた時は、一つは、済生会有田病院です。この時は、経験も無かったし、どんなことになるか想像もつかないので、この時が一番大変といえば大変でした。もう一つは、デイケアです。デイケアと紀北分院がちょっと連関している感じで、近隣にも影響している可能性があった。デイケアでは、残念ながらお1人亡くなられましたが、お年寄りの面倒を見ているので、これはまずいと思いました。三つ目にあえて言うと、4月になってから、どんどんと患者さんが出続けて、止まらなくなってきた時でした。
 

(4月8日から5月8日の1ヶ月間、陽性患者が増加したことの要因)

 要因をビシッと言い切るのは難しいと思いますが、感染がオールジャパンで結構盛んになってきたと考えるしかありません。

4月になってから、陽性患者がどんどん増えてきた。どこからうつったのか全部は分からないけど、かなり多かったのは県外との関係で、県外は和歌山よりも流行っていたので、かなり影響を受けたに違いないと思います。それから、4月の初めに公立学校のクラスター、4月の後半にデイサービス関係もあり、その影響もあります。
 

(5月上旬以降、感染者が減少したことの要因)

 確実に緊急事態宣言のおかげです。初めは、特定の地域で、その地域との移動制限があり、全体に及んでからは、県外との関係は全部止めて、休業要請もやりましたが、県民の方々を含め日本国民が、ものすごく熱心に協力してくれました。

和歌山県は、医療保健行政はまあまあ頑張っていますが、それとの足し算である県民及び国民の協力をこの時期に仰がなければ、医療保健行政の力だけでは、もっとひどいことになった可能性があります。県民の方々にある意味では助けてもらって、今日に繋がっていると思います。
 

(和歌山県における第2波の危険性)

 第2波は、必ずあると考えています。今まで和歌山が経験した程度ぐらいは、人との交流がある以上、覚悟せざるを得ないと思います。免疫を持っていないことも事実です。

 ただ、何をもって、第2「波」かです。感染者が出ることが、「波」だとすれば、無責任な発言ですが、それは絶対にあるでしょうし、みんな思ってます。

 私がちょっと恐怖を感じた、一本調子で増えてくるような「波」は、医療保健行政で一生懸命止めようと思います。それが無理なら、県民の皆さんに協力していただかないと、対応不能になってくる可能性もありますが、ものすごい爆発みたいなものは、起こさせないようにしよう思っています。
 

(厚労省の退院の見直しに係る県の対応基準)

 これまでの患者さんは、24時間の間隔を空けてPCR検査を2回実施し、連続で陰性だったら退院です。これからの患者さんは、感染症法の解釈が変わったと厚労省から通知があって、発症から14日間経過し、症状が軽快してから72時間が経った場合、退院時のPCR検査をしなくて良いとなっており、和歌山県のようにするのが難しくなってる感じがします。

 現在は、感染症法の権限に基づき、我々が患者さんに入院を命じていますが、患者で無くなった人に、いつまでも病院にいてくださいと言えない。この「患者で無くなった」というのは、感染症法上の解釈で厚労省が決める。従って、陽性が消えない人を、患者として入院を命令できなくなってきつつあり、これからは、あんまり長く病院に置けないので、さてどうしようかと悩んでいる感じです。
 

 厚労省は、発症日から7日~10日を経過すれば、病理学的にあまりうつらないということですが、絶対うつらないとは言わない。そうすると、人々の心配の気持ちに火をつけてしまうし、場合によって、差別とかいじめを助長してしまったら、とても良くない。済生会有田病院の時も、やり過ぎだと自分でも言ってますが、人々の安心感を獲得し病院を再生させるために全員の検査をしたら、みんな信用してくれた。そういうセンスは大事です。厚労省は、もっと世の中の秩序に対して責任を持つべきだと思います。

 ただ、私も絶対に間違ってると言いにくい。なぜなら、病理学的な知見は、厚労省の方が高いであろうからです。

 しかし、少なくとも二つのことは言える。一つは、病理学的にどのぐらい蓋然性が高いのか、国民に分かるようにしつこく説明してもらいたい。それが出来ないなら、ちょっと解釈を緩めて、県で患者さんとして預かっても良いとしてもらいたい。県の裁量が無いと、感染症法の権限も無いので、下手したら監禁みたいになる。そういうわけにいかないので、退院してもらわざるを得ないけど、一般的に、退院された方を皆さんが受け入れてくれるかどうかです。厚労省がきちんと説明して絶対大丈夫と言わないと、受け入れてくれない。そうすると、無用の差別や摩擦が発生します。そういうことを全部厚労省は考えて、きちっとやって欲しいと思います。
 

 今後は、陰性を確認するために、行政が費用を負担し、少なくとも1回はPCR検査をしようと思っています。その後は、命令としての入院は出来ませんが、基礎疾患や身体の弱い人がいたとしたら、本人の合意の上で、感染症用の病床として用意していたところで、様子を見ていただきます。

 入院させる権限はありません。感染症法上の位置付けが変わり、措置入院ではないから、国費で全部面倒を見れないので、自己負担も若干出てくるかもしれません。自己負担が発生した場合にどうするかは、まだ決めていないので、実情に応じて考えます。

 場所は、単に、感染力が有るのか無いのかだけの話なので、ホテルでも良いし、絶対に外出しないなら自宅でも良いのかもしれません。だけど、一番ケアが出来るところは病院で、和歌山県は容量があるから、とりあえず病院でお願いしようと思います。ホテルは、量的に必要になったとき以外は、使いません。
 

(厚労省の自宅待機の解除基準に対する県の考え方)

 前は、退院する際に2回検査するのが原則で、忙しすぎて出来なかったら、2週間経過後に検査なしで退院扱いで、自宅療養の場合は解除と言ってた。それはおかしいと当時から思っていました。なぜなら、2週間経っても陽性者の場合、誰も監視していないと、他所へ行く可能性があり、うつる可能性は高いと思います。自宅療養自体が好ましいことでは無いし、2週間経ったら良いことにするのも、またどうかと思います。

 今度は、それが原則になっている。それなら、病理学的に絶対大丈夫だと、もっときちんと国民に分かるように説明をしないと、私も不安だし、国民の皆さんはもっと不安で、安心してくださいとなかなか言いにくい。日本の厚労省はあまりそういうことを考えてくれないと思っています。
 

(トップとしての情報発信)

 知事として言いたくないこと、あるいは和歌山県として楽しく言えない話を、部下に任せるのはちょっとまずい。嫌なことは、自分で言わないといけない。

それに、私自身が100点満点だったとは言えないが、感染の予防、あるいは防止のために必要な情報は、どんどん言った方が良い。一方で、プライバシーの問題から言えないこと、好奇心を満たすだけの情報は絶対に言っていけないなど、咄嗟に判断しなきゃいけないことがあるし、その問題について検討します、従来通りの例によりますと言ってたら、感染を防げない可能性もある。そういうことがあるので、最後は私が責任を取れば良いので、出させてもらいました。

 出さしてもらったのは良いけど、毎日やることになり、初めは忙しかったからちょっと大変でしたが、1回言ってしまった限り、その意義が無くなっていないのに引っ込むわけにはいかないので、ずっと続けました。今後もそうしたいと思います。

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