知事記者会見 令和元年5月14日
知事記者会見
記者会見での発表事項等を紹介します
令和元年5月14日 知事記者会見
令和元年5月14日 記者会見室
県内初の水素ステーションの開設記念式典が行われます
まず、その1は、県内初の水素ステーションの開設記念式典が行われます。5月18日の土曜日、11時から和歌山市太田で行います。実際にステーションが出来上がるのは7月ぐらいですが、先に開設記念式典を行ってしまおうということで、設置者である岩谷産業株式会社の牧野会長、お祝いに経済産業大臣や和歌山市長が来てくれます。そこ(資料)に概要を書いています。岩谷産業株式会社が、大変犠牲的精神で造ってくれるわけです。初めはそんなに需要がないと思うのですが、和歌山県も水素カーを公用車で買おうと思っています。それから、これはもう既に発表していますが、ねんりんピック紀の国わかやま2019の炬火、これを水素で行うということになりまして、ねんりんピック史上初めてです。これも岩谷産業株式会社に大変ご尽力いただいて、装置なんかを寄附してくださったということです。それからもう一つは、5月18日の午後1時からグランヴィア和歌山におきまして、イワタニ水素エネルギーフォーラムin和歌山ということで、水素の社会ってどんなふうになるのだろうか、というようなフォーラムをしたい、ということになっております。私も経済産業大臣と一緒にご挨拶に行きたいと思っております。200名ぐらい入れますので、ご興味のある人はどんどん来ていただいたら良いと思います。
エンザントレイズ株式会社の田辺市進出に伴う進出協定調印式を行います
その次は、エンザントレイズ株式会社の田辺市進出にともなう進出協定調印を、5月15日の午後4時から和歌山県庁の知事室で行います。このエンザントレイズ株式会社は、本社が東京の台東区にある会社ですが、ロボティックプロセスオートメーションというジャンルで活躍しているIT企業であります。この会社は、割と早期から、例えばシステム開発をするとかソフトウエアを作ることについて、首都圏の本社あたりでまとまって作るよりも、各地域で作ってそれを全体として統括していこう、という考え方のビジネスモデルを組んでいるわけです。現在は6つの地方拠点を作っているのですが、今度は和歌山県の田辺市にそれを作ってくれることになります。雇用予定はそんなに多くないのですが、どんどん発展して他の企業に影響を与えるといいな、と思っております。場所、その他については資料にございまして、トーワ荘というところです。
和歌山県「IR誘致に関する有識者会議」を設置しました
次は、IR誘致に関する有識者会議を設置することにいたしました。設置日は昨日でございまして、メンバーは(資料に)次のような名前がずらずらっと顔写真入りで出ていますが、こういう方々にお願いをすることになりました。座長は島田晴雄先生にお願いをしようということであります。何をするかというと、設置要綱にありますが、実施方針、区域整備計画、実施協定、その他、となります。ピンとこないと思いますけど、今後、IR法はどうなるかというと、例えば(国で)カジノ管理委員会なんかが夏ぐらいに出来て、そのあと基本方針というのを政府が出すことになります。その基本方針を受けて、和歌山県のようなIRを誘致したい地方公共団体が、実施方針というのを出します。我々が今出しているのは基本構想ですが、基本構想のようなものだけど、法律の基本方針に沿って体裁などを整えて出すということになります。その後、業者選定をいたしまして、その業者さんと一緒に区域整備計画を作ります。それを政府に申請して、政府の認定を受けたら、ゴーサインが出ます。落第ということになると、それで終わりということになります。ゴーサインが出ますと、業者さんと詳細な実施協定を結ぶことになります。こういう一連のプロセスについて、実施方針を作るとき、区域整備計画を作るとき、実施協定を作るときに、この有識者会議に意見を聞き、役所としてはこう思っていますと言いながら、大所高所からいろんな議論をしていただく、ということであります。日本全国に響き渡っているような方々を集めたつもりでございますし、ひょっとしたら追加でお願いをする人が出てくるかもしれない、という感じです。初会合は、そんなに慌てる話でもないので、一回ぐらい顔合わせてもいいかなと思いますが、皆さんものすごいビックネームなので、一堂に会するのはなかなか簡単ではありません。したがって、そのあたりは未定です。
入札制度の一部見直しを行います
その次は、入札制度の一部見直しを行います。4月16日に最低制限価格及び調査基準価格の一部改定というのを発表させてもらいましたが、今回それに加えて、その中の特別重点調査の対象となるものについて、基準値を改定いたします。70%から80%にするということです。これは簡単に言うと、我々がこのぐらいの価格であろうなという価格を内々で持っておいて、入札をするわけです。入札をして、我々が想定して積算している価格の70%を下回ったら特別重点調査をして、本当にできるのかをギリギリ調べることになりますが、今回からは、80%を下回ったら調べることになります。中には、ものすごい生産性が高い企業があるかもしれないので、そういうところはちゃんとできると証明してくれたら失格ではないのですが。そんな意味合いのものです。
「一日中小企業庁 in わかやま」を開催します
それから、6月12日に「一日中小企業庁inわかやま」を行います。特に今回はITに注目をして、「聞いてみよう。IT活用とその本当の効果」という基調講演です。中小企業と言っても、ものすごく幅広いですから、今回はITに着目をした中小企業振興ということで、一日中小企業庁をやります。場所はアバロームで、6月12日の午後1時半から4時45分までです。こんな紙(資料)がついておりますので、よかったら来てください。
わかやまの逸品・お土産のPR冊子及びWEBサイト「SELECT」を作成しました
それから次は、「SELECT」という、ちょっと格好いいパンフレットを作りました。これは、プレミア和歌山が中心ですが、どうやって作られているのか、どういう思いで作られているのか、というようなことをいくつか掲載していまして、それからエリアごとにお土産を紹介している。ちょっと手軽で格好いいパンフレットということで、旅のみなさんにどんどん差し上げようと思っております。
ビーウィズ株式会社が日高川町で「企業の森」による森林保全活動の実施を決定しました
その次は、ビーウィズ株式会社。これはコールセンターの会社でして、私が就任してから、かなり力を入れて和歌山市に作ってもらった会社です。このコールセンターは、かなりレベルの高いサービスをするコールセンターです。日高川町山野字赤木の民有林を0.5ヘクタール借りて、94番目の企業の森を実施することになります。協定を結ぶのですが、5月15日の午後3時半から締結式を行います。
以上です。
時事:IRの事業者選定についてお伺いしたいのですが、法律に則った正式な選定作業はまだまだ先のことだと思いますが、大阪は先にコンセプト募集という形で、どの事業者がいいのか今年選ぶという話がありますけれども、そういう予定や考えはありますか。
知事:ありませんね。別にそんな慌てて1社に絞り込む必要はないでしょう。それよりも、法律に従って段階を踏んでやっていけばいいので、まず基本方針があり、実施方針があり、政府の中で細かい色んな議論がなされていって、それに合わせないといけない。それを踏まえて実施方針ができてから、堂々と公募をして、それでそういうの(実施方針)をずっと明らかにしておきますから、それに応じて業者さんが一所懸命準備をすればいいわけですね。業者さんは、来る者は拒まずですから、議論を深めていったり、何か懸念事項があったらお答えしていったらいいのではないかと思います。法律の手続きがあるのに、それに先立って慌てて決める必要もないと思います。
共同:同じくIRの有識者会議についてお伺いしたいのですが、(資料に)検討事項を4つあげていて、1、2、3はかなり具体的かと思うんですけども、4は、その他IR構想に関すること、ということで少し広いかなと思いまして。例えば、事業者選定に関してもその他業務に含まれていて、有識者会議に助言を求める、というようなこともあるのか、具体的にどういうことを想定しているのかお伺いしたいのと、この有識者会議に知事が期待することといいますか、改めてこの誘致に向けた意気込みをお伺いできればと思います。
知事:業者選定については、多分もうちょっと実務的な人たちを集めて、ギリギリ財務を調べる、というようなことをやってもらわないといけないと思います。したがって、業者選定は、この会議のような非常にビックネームの人達がみんな集まって、あるところで1発でポンといく、という感じにはならないのではないかと思います。要するに、この構想はこっちの方がいい、これは本当にできるか、資金手当あるか、あの企業の財務状況はどうだ、バックに変なのは付いてないか、とか、そういうのをちゃんと調べないといけない。それは我々も役所として調べますけど、専門的な人たちを集めてギリギリやる、というふうに私は考えています。その専門的な業者選定委員会が、IR有識者会議の下に付くか独立するか、ちょっと決めかねています。もちろんこんな感じで選びましたと説明をすることはあり得ると思いますけど、この会議そのもので作業をするということはあまり考えていません。
共同:今後、業者選定に関して、また実務的なことを話し合う人達をまた集めるということでしょうか。
知事:その時になれば。その人たちが決まってなくても、公募はできるわけです。公募をして審査をする時までに、専門家の人たちをズラッと集めとけばいいので、どんな位置付けでやるのかということについて、私もまだ決めていません。色んなやり方があると思います。イメージで言うと、例えば原子力の世界では、原子力規制委員会というのがあって、委員が5人ぐらいいます。その下に、昔で言うと原子炉などの設置を扱う委員会があって、炉の専門家グループとかいっぱいあります。そのぐらいのレベルでギリギリやらないと、業者選定なんかできるはずがないので、そんなイメージです。期待は、私とか和歌山県庁あげて一生懸命取り組んでいるわけですが、やはり我々の思いとかセンスとかが、オールジャパンで見ると、何となく偏っているとか不足しているとか、そういうことがあるかもしれません。そうすると、今後進めていく時に、ちょっと歪なものになる可能性があって、そこは自分でそんなに卑下するつもりはありませんが、やはり謙虚に立派な人たちの意見を聞きながらやった方がいいに決まっています。だから、あえてものすごい立派な人を集めました。そういう人たちの意見を聞きながらやっていきたい、と思っています。
テレビ和歌山:先週土曜日に3空港懇談会があって、神戸空港の自由化というのが盛り込まれましたが、これについての受けとめをお願いします。
知事:だいぶ議論をして決まりましたので、あそこで発表されたことについて異論はありません。それから、特に関経連の松本会長が本当にご尽力されたのです。関経連の下の人もそうかもしれないけど、会長自ら和歌山に来られて、2回も個別にお話し合いをして、そういうのを多分他所でもやって積み上げて、ちゃんとしたコンセンサスを作り上げられたのだろうと思います。そういう意味では、松本会長をとても評価をしたいと思います。私がずっと言ってきたことは、まず、神戸空港の自由化とか、伊丹空港については住民との合意がなかなか大変ですが、そういうことについては、和歌山県が口出しをする話ではないので、私は和歌山県というよりも、和歌山県が含まれる関西全体、あるいは日本全体の立場から、やったら良いこととやってはいけないことがあるでしょう、ということを申し上げてきました。それは、日本には他の国の立派な空港ほど立派な空港がない、ということです。それは、関西国際空港が一番の可能性がある。私は成田空港と羽田空港が二重構造になっている関東よりも、関西が関西国際空港にまとまっている方が、ちょっと良いのではないかと思います。例えば、関西国際空港は、関西圏を全部包含して人口なんか考えると、仁川空港と匹敵するような人口圏を持っているし、経済力で言えば明らかに同じぐらいです。それから、名所、旧跡、世界の京都、高野山、何でもあります。そういうことを考えると、空港の大きさは仁川空港の方が大きいのですが、やはりちょっとおかしいなと。どこがおかしいかということを考えると、(空港に)着いた後のネットワークが、仁川空港の方が関西国際空港より良い。そうすると、世界の航空会社が仁川空港を選択していくことになるので、関西国際空港が、近隣の外国や日本の国内を、きれいに結ぶようなネットワークを充実させておかないといけないと思います。関西国際空港ができたときは、伊丹空港が住民の人もいろいろ言っていてあまり使えないので、関西国際空港に集中させようということで、特に国内の長距離のものについては関西国際空港に持って来て、伊丹空港や神戸空港は補完ですよ、というような形になっていたのですが、大阪市内から考えると、実は伊丹空港の方がちょっと近い。そうすると、伊丹空港の方が良いという消費者が多いから、航空会社がどうしても伊丹空港へ行ってしまう。そうすると、その便に関していえばそれで良いけど、その結果、関西国際空港の機能がどんどん落ちてくるわけです。そうすると、長距離便なんかも関西国際空港を嫌がって、それだったら仁川空港とか北京空港に着いて、そこから関西に来たら良いという話になってしまう。こういうことを、歴史的に関西は私が就任してからやってきました。JALやANAの経営が悪くなって、関空便を減らした。その後、(航空会社が)もっと儲けたいということで、今度は伊丹便を増やした。なんてことが起こって、関西国際空港ができたときと比べれば、変な形になっています。これを、航空会社の経営も良くなってきたから、早く戻せと私なんか思っています。そうすると、神戸空港がこれから便数を増やしていくときに、本来、関西国際空港でもっと飛んでいても良いようなもの、関西国際空港が無くしたものを拾っていったら、また関西国際空港が発展するチャンスを失わせることになります。そういうことを考えて、神戸空港の機能拡張は良いと思うけど、神戸空港ばかり考えないでやってください、ということを、割と口を酸っぱくして言ってきた。合意ではそうなっているし、議場でもそういう発言をして、それはそういうふうにしますということを、関西エアポートの山谷さんなんかも言っておられたし、そういうことを期待していこう、ということではないかと思います。私は何も和歌山がどうとか神戸がどうとか、つまらないセクショナリズムで言っているわけではありません。
産経:関西国際空港と伊丹空港と神戸空港との路線のすみ分け、みたいなことが念頭にあると思いますが、具体的にどういう役割分担をしていくべきですか。
知事:基本的に、関西には関西国際空港です。関西国際空港は、国際便で特に遠いところのお客さんのことを考えて、ニューヨークから来る人が関西にだけ用事があって、飛んでくるわけではないかもしれない。東アジアにも用事があって来る可能性がある。東アジア的な近距離国際便と、国内、例えば首都圏に用事があるけど、関空便の方が便利だからこっちに来た、というような人がいるかもしれない。我々がヨーロッパへ行くときはそう思います。そういう競争だから、関西国際空港を中心に、主要国内幹線と近距離国際便の、ちゃんとしたネットワークを作っておかないといけない。そこが毀損されないようにしてください、ということです。例えば、羽田便、成田便、札幌便、仙台便、福岡便、沖縄便は、本当は関西国際空港からみんな出るというのが良いだろうと私は思いますけど。現実に、全部伊丹空港から取り上げるのは無理だと思うけど、少なくとも混乱の中で変わってしまった形は元に戻した方が日本のためだと思います。
産経:神戸空港から飛ぶのは、ローカルに飛ぶような路線を中心に。
知事:やったらいいのではないかと思うけど。例えば、関西国際空港にそろそろお客さんが増えてきたので戻そうと思ったときに、神戸空港の方がお客さんが多いからといって、神戸空港へ行ってしまったら、また戻らなくなるでしょう。そういうのはやめてね、と思います。
テレビ和歌山:滋賀県で保育園児が事故で亡くなりましたが、今日で1週間ということで、これに対するコメントいただきたいんですが。
知事:コメントのしようがありません。誰かが悪いわけではないし、やはり運転をするときは、注意をしてやらないといけない。保育園が非難されることは全然ないですよね。事故が起こってしまって気の毒です。もう悼む気持ちしかなくて、偉そうなコメントできません。
時事:関連で、昨今、全国的に高齢者ドライバーの事故がすごく増えていますが、今、和歌山では県警が頑張って、高齢者に声かけして自主返納も少しずつ増えている状況で、例えばこれを制度化していく、義務化するとか、もしくは高齢者に自動アシスト付きの車を購入するように何かをするとか、そういうことを行政として考えていますか。
知事:具体的に考えているわけでもないし、今おっしゃったようなことは、自由の国日本ではなかなか難しいと思うのですが、問題意識は共有します。現実にできるかどうか分かりませんが。都会の人なんて、返納してもいいのではないかと思います。地下鉄網とか電車網がありますから、返納してもいける。レジャーに行くときは、電車で行って、現地で同じ事になるけどレンタカーを借りるとか公共交通機関を使って目的地まで行くとか、そういうのがいいと簡単に言うでしょ。ところが、我々は山の中や海際にたくさん住んでいるので、そういうところに公共交通機関は、そんなにありません。だから、これはちょっと大変な問題を抱えているわけです。返納するのは良いけど、返納した後の人たちの移動手段を、ちゃんと提供してあげないといけない。今のところ、例えば、バスに補助金を出して路線運営を維持してもらっているというのは多いけど、ほとんどバスに乗っていません。ないと困ると言うから維持しているのですが、誰も乗らないというようなことになって、そういうやり方だとあまり解になっていない。もうちょっといろいろ工夫して、例えば、ディマンドタクシーをどのぐらいまで認めるとか、何月何日に運行しますから町の真ん中まで歩いてきてください、それで、近くの町の大スーパーのところへ何時何分に行きますよ、とか、そういうこと考えないといけない。そういう時代に来ているような気はします。今、県庁でも、そういうことを一生懸命考えているし、市町村がより主体的に考えないといけないですね。
関西テレビ:先ほどの質問と重なる部分がありますが、IRの件ですが、今回誘致の動きが加速していると思いますが、その中で経済効果とか県のPRについて期待したいことを改めてお聞きしたいのですが。
知事:デロイトトーマツに頼んで、標準的にはこのぐらいの経済効果がありますとか、このぐらいの広さだったらこのぐらいの投資になります、というようなことを調べています。投資額でいうと、だいたい2800億円ぐらいかなというような試算が出て、運営面の経済効果でいうと、毎年3000億円ぐらいレベルアップしますと、3兆5000億円が和歌山県の県内総生産額だから、1割弱に相当するということです。毎年じゃないけど2万人ぐらい雇用が増えます、という試算も出ています。いくらデロイトトーマツでも、ちょっとええ加減ではないの、という議論があるかもしれませんが、例えば、これは業者選定と関係ないけど、去年の8月締切で意向調査をしましたが、その時に、どのぐらいのことをやりたいかというのを、いろいろ書いてもらいました。そしたら、投資額が3000億円ぐらいとみんな試算を出してきたので、別に2800億円がおかしくなかった。そうすると経済効果は計算の問題ですから、だいたいデロイトトーマツが言っていることは、実際にやってみなさいと言ったら出来るのかなあと思います。
関西テレビ:知事として期待したい気持ちを伺ってもいいですか。
知事:和歌山県の歴史を見ても、どこの国でもどこの地域でもみんなそうですが、現在、生活をしている人たち、仕事をしている人たち、企業を経営している人たち、そこへ勤めている人たちは、今の状態が未来永劫、同じような状況で続くとすぐ思います。だけど、国際環境や需要構造は変わってくるから、今の状態がずっと維持できるという保証はないわけです。だから、同じ企業が、例えば、新しい分野に手を出して成長していくのも良いけど、革新をしていかないと、社会というのは相対的に衰退して寂しくなっていくわけです。だから、和歌山県は、常に将来のことを考えて、チャンスがあったらキャッチアップして、新しい芽を育てていくということをやっていかないと、かつてそうであったように、将来しぼんでいくと思います。そういう意味では、IRとかITとかロケットとかそれからいろいろな産業の技術革新とか、そういう流れの中で、IRは規模が大きい。3000億円ぐらいの投資なんて、今もうワンショットでは、ほとんどないわけです。日本経済の中で、過去において全くなかったわけではないけど、ほとんどないわけです。これはやはり千載一遇のチャンスだと思います。だから、できるだけチャレンジして、それで上手くいったら頑張ったらいいし、上手くいかなかったら残念でした、ということかもしれない。とにかくチャレンジをしなければいけない、ということだと思います。
朝日:IRのことでお伺いしますが、バリエール社が和歌山事務所を開設されるということで、今日の午後にも開設のセレモニーがありますが、開設に当たって今バリエールさんの関心の高さが現れているということでしょうか。
知事:そうだと思います。一貫してバリエール社は和歌山でやりたいと、ずっと来ていましたね。今もそんな気持ちだと思います。他にもありますけど。
朝日:バリエール社に期待するところはありますか。
知事:特定のところに期待するという立場にないので。我々は、公平に公正に選ばなければいけない立場ですから、来る者は拒まずだけど、特定の人にあなただけ特別、とそんなつもりは全くありません。頑張ってくださいということです。
朝日:他に数社というのは、和歌山事務所を開設したいと言っている。
知事:違います。別に事務所が全てではないと思うので、よく来たり、意向調査でやると言ったりしているところが結構あります。
朝日:情報公開請求した資料の閲覧で、手数料を平成25年から取られているということですが、全国でも珍しくて香川県と和歌山県だけが取っていて、香川県が2018年の9月に止めたということで、今は和歌山県だけという状況になっていますが、知事はこのことについてどう考えていらっしゃいますか。
知事:他の県についてとやかく言うつもりはないのですが、国もそういう考え方ですよね。実は、元々取ってなかったわけです。何で取ることにしたかというと、情報公開は見せてくださいという当然の権利ですが、倉庫いっぱいの書類を全部私の言うように再整理して出してください、こういう人がたくさんいました。それをされたら、県庁の職員がその人のためにものすごくかかりきりになって大変です。県庁の職員だって、県民の共有財産みたいなものです。したがって、ちょっと抑止力を付けないといけないということで、取ることにしました。今もその考え方は変わりません。ただし、有料であるなら何が欲しいかピンポイントで出してもらって、負担も少なくて意図を十分達成してもらったら良い。その達成を助ける存在として、情報公開のアドバイザーを常勤させています。その人に、自分はこういうことについて情報が欲しいと言って、相談のうえ絞り込んで、そんなにお金がたくさんかからないようにして出してもらったら良い。そんな制度にしています。他のところはどうなっているか知りません。ちょっと耐えがたいような現実があったので抑止力をつけました。
朝日:たくさん来られる方がいらっしゃって、ということですが、そういう人がちょっといる中で、他の県民がその人の存在のために情報を見るときに負担を被るということについてはどう考えてらっしゃるのですか。
知事:今、申し上げたように、たくさんお金を出さないと情報公開できません、といったら他の人が困ります。したがって、私はこんなのが欲しいと、一般の県民の人はそういうふうに物を考えますよね。何の何月何日の何をくださいとビシッといけません。前は、全部くださいと言っていましたが、自分はこんなのを欲しい、だったら、それはこういうことですよねと選んで、これでどうですかと合意の上で請求してもらう。そしたら、そんなにお金はかからない。単価は安いですからね。どこにあるか分からないから、倉庫いっぱい歴代何十年分全部よこせというわけです。それも権利は権利だけど、それをやられたら、ちょっと止めてくださいよと言ってもなかなか難しい。そういうことです。
読売:IRの関係で、今日一社が自分たちの計画を発表したいという話がありますが、これまではどことは出てなかったんですが、実際名乗りを上げるところが出てきたというのについてはどう思われますか。
知事:良いことだと思います。どんどん名乗りを上げてもらったら良いので、それは我々全然止めないし、やれと言うつもりもない。我々はここでIRを造りたいと思うので、皆さんぜひ和歌山県に関心を持ってください、という一般論をずっとお伝えしているということです。
読売:前も伺った処分の関係ですが、相撲部の職員が3月初めに捕まってから、その後、謹慎状態になっていて、司法の処分を見てからということでしたが、有田振興局の人は司法の前に処分を下されているわけで、そこの差というのはどうなんでしょう。
知事:有田振興局は公文書偽造。これは、同じじゃないかという点で異論があるかもしれないけど、公文書偽造って県庁の内部の問題で、その罪を他所で問われようと問われまいと影響は全くなく、とにかく駄目だとその時は思ったということです。今度も、もちろん酔っ払い運転をしたらいけません。お酒が残った状態で運転をして、しかもぶつけたりしているわけで、駄目なことは駄目なんだけど、どのぐらい司法が駄目というか、ということはやっぱり参考にしようという気持ちがあります。ですから、謹慎させているということです。
読売:人事の方に確認すると、この場合は給料も満額出しているということで、今2カ月半ぐらい出ているので、今はそういう制度だと思いますが、例えばその間は止めるとか、最終的にもし懲戒免職だったら回収するとか、何かないでしょうか。
知事:ないかな。読売新聞が言われている気持ちは分からんでもないです。今は思いつきません。だけど、きっと、誰かが検討してくれるかもしれないので、またそういうことができたら申し上げます。
読売:10連休もあって、司法が延びている感じはありますが、例えば、逮捕されて身柄があって、起訴されたら休職になると思いますが、今回は任意なので、延びたら延びた間、ずっとこれをするのかというのも、またちょっといろいろ考えるところがあるのかなと。
知事:あるかもしれません。
読売:まだ確定ではありませんが、ふるさと納税で高野町も対象外になりそうだという話が出ていて、この前は制度内でやっていることだから、みたいなことをおっしゃってたと思いますが、今回の判断はいかがでしょうか。
知事:まず、この前も申し上げましたが、ふるさと納税で返戻品を競うのはいかがと思います。和歌山県も、いろんな議論があり、ある程度は返礼品を出すことにしましたが、始めの数年間は全く出していなかった。後でお礼を少し送りましたけど、そのぐらいでして、基本的に、生まれ育った地域に奉仕をするとか、そうでなくても特定の非常に立派なことをやっているところに協賛して寄附をするというのが、一番ふさわしいことだと思います。そういう意味では、返礼品競争って安売り物販サイトみたいになっていて、いかがかと思います。総務省もそう思ったのでしょう。しかし、そういう安売り物販サイト的に運用することが可能な制度を作ってしまったのも、日本国政府ですから、それを最大限利用したときに、例えば、邪悪なる意図があったらそれは非難されるべきだと思うけど、できるだけ財政を良くするためならば、邪悪だと思えない。そういう意味で、やっぱりだめと言うのなら、制度を変えないといけない。これが原則だと思います。今回、制度を変えるわけですけど、従来は制度を変えないで、やれるけどやめなさいと言って、指導していたわけです。だけど、できるのだからやるぞと言って、言うことを聞かなかった人たちは、今回、今後だめですよと言われたわけです。そこはちょっと難しくて、今後はもうできないようにしたら済むのではないかという議論もあるし、過去のことまで言わないで、と思う方も多いでしょう。一方、上手く利用して、ものすごくたくさん一人だけ寄附を独り占めしてやり逃げか、と考える方もいるかもしれません。したがって、今回の判断が、どんなもんでどうなっているのか分からないけど、この両方の考え方があるなというぐらいで、結論はありません。石田大臣はすごい苦慮されたと思いますけど。結論はコメントなしです。
毎日:IRの関係に戻りますが、有識者会議の先生方、立派な方々をあえて選ばれたということですが、立派な先生というのは他にもたくさんいらっしゃる中で、この8人の方々を選ばれたということに対して、特にどういった点を重視されたのか改めて伺いたいのですが。
知事:まず、日本を代表するような知性がなければいけない。だけど、知性ってみんな違うでしょ。つまり、専門分野があって、初めて知性が発揮されるわけですから、専門分野ごとに散らばる形で選びました。代表を誰にするかというのは、仁坂知事や和歌山県庁の見識ですから、ちょっと違うのではないかという議論はあるかもしれませんが、我々は、これがベストだと思ってお願いに行きました。
毎日:選ぶに当たっての条件みたいなものはあったのでしょうか。例えば、カジノに詳しい人は当然入ってなきゃいけないとか、関西に拠点を置いている人は何人はいるとか。
知事:ですから、複数の人です。複数の人だから、今言われたいくつかの観点を全部代表して知性があるわけではない。例えば、佐伯さんなんかは、ずっとカジノを追っかけて何十年もやっているような人です。関西経済なんて考えたら、森さんは関西経済連合会の会長もされたし、そういうことでいろいろ考えておられます。だから、分野分野でそれぞれ強みがあって、その強みのある人を、各種取りそろえる。各種って言ったら怒られますが、そういうことです。
毎日:もう1点。このタイミングで、これまで何度もご説明をいただいていると思いますが、改めてIRの誘致に他にも取り組んでいる都道府県がある中で、和歌山県の強みという部分をいま一度お聞かせいただければと思います。
知事:私がそう思うというより、ずっとここ数年間、業者さんが和歌山でやりたいと言って来られるから、なぜやりたいのか私はあえて全部聞きました。そうすると、大体4つぐらいです。何といっても、関西国際空港がありますねと。これは外国人をガバッと連れてこないと商売にならないので、外国人をガバッと連れて来るには、小さい空港が近くにあってもだめです。関西国際空港は日本を代表する3つの空港のうちの1つです。それがものすごく近いところにありますから、そういう意味で良いということになります。それから二つ目は、もう出来上がっていて広い、というのがあります。今、空地で考えているところだけで、23ヘクタールあります。シンガポールの巨大なマリーナベイサンズと同じぐらいのものが建ちます。ということで、広さは十分ですよと。それから、コンクリートで張られていますから地盤も安定しているし、すぐ建物を建てられるインフラもちゃんとできているということで便利ですね、ということになるわけです。景色もいいし。三つ目は、どんなIRを造るかということにもよりますが、都市型のIRは多分他のところがもっと良い。例えば、大阪の方が良いとみんな思います。だけど、レジャー型を考えたら、大阪よりも和歌山の方がレジャーに向いていると思います。レジャーって何があるかというと、名所旧跡を訪ねるのも、和歌山市からなのでもの凄く便利です。高野山や京都府、奈良県にも簡単に行けます。熊野古道にも行けるし便利ですが、それに加えて、海洋レジャーというのは、ものすごくお金持ちにはトレンディです。ヨットに乗ったり、島めぐりをしたり、潜ったり釣りをしたり、そういうことができる環境で、ナショナルトレーニングセンターがあります。ナショナルトレーニングセンターといえばオリンピック選手の強化基地で、だてにオリンピックマークがついているわけではありません。それが隣にあるわけですから、相乗効果というのは当然使えるわけです。多分四番目に、関西の一員だと。大阪から1時間ちょっとで来られるし、京都や神戸もそれに1時間足せば来られるわけです。そうすると、京阪神と考えたら、日本で二番目に大きい人口があって、例えば、IRのカジノだけではなく、イベントをやったりするでしょ。イベントをやるときに、飛行機に乗って遠くからといったら来ないですよね。だから、どどどどっと来るようなところに造っておけば楽です。そういう意味では、大きな人口圏の中にいるというのも大変な強みです。そんなことを私は今勝手に言っていますけど、業者さんとの議論の中で、むしろ教えてもらうような感じが強かったというのが正直なところです。だから、詐欺師風の宣伝をしているわけではありません。むしろ、お客さんの方がそう言ってくださっているのを統計として出したようなものです。
読売テレビ:昼からIRの会見あると思いますが、その中でブランド大使にジャン・レノさんが就任されるということで、どういう働きに期待されますか。
知事:知りません。それは、バリエールの問題であって、和歌山県は「おお、有名な人が来るね」と。映画の向こうでしか見たことないような人が来るのか、とか「ほー」とか「さすがフランス」とか思いましたが、それぐらいです。
時事:クールビズについてお伺いしたいのですが、例年5月~10月でやっていたと思いますが、何か知事のひと声で短縮したと伺いまして、今ぱっと見ると、ネクタイをしている職員もいればしていない職員もいますが、どういうお考えでしょうか。
知事:まず、無理矢理5月~10月にしている感じで、5月の始めとか10月の後半は寒いので、やり過ぎと思います。それだけですが、全体として、クールビズと言って県庁で統一的にやるのは6月~9月にしようと。だけど、例えば、あの辺にちょっと不良少年みたいに見える職員がいるけど、ネクタイをしていないだけの話で、彼は彼のスタイルで仕事をしているわけです。別に不良だと思わず格好いいと思うわけで、それで良いのでは。ネクタイを必ずする必要はないし、クールビズと言って無理矢理寒い思いをする必要もない。そのぐらいの感じです。もう一つは、お客さん。これは大事で、知事室長がなかなかアナウンスをしてくれないのでちょっと混乱していますが、お客さんはみなさんそれぞれの流儀があるから、県庁にはご自由な服装で来ていただいて結構です、遠慮なくやってくださいと、どんどん言わないといけません。それから、礼儀の問題で言いますと、オーバードレッシングはあまり礼儀に反しません。アンダードレッシングは礼儀に反します。つまり、今日はビジネススーツ・ダークスーツでと主催者が言ったときにジーパンで行ったら、それは主催者をちょっとばかにしている感じがある。したがって、例えば、私なんかネクタイしています。クールビズではないので、この格好でやりたいからやっていますが、自由にお越しください、涼しい格好で結構ですよ、何でもいいですよ、と言っておかないと、クールビズで来ると礼儀に反するかなと、お客さんが思う可能性がある。だから、ちゃんと言っておかないといけない、ということです。
時事:暑い・寒い以外に、特別、知事としてやっぱりネクタイをちゃんとした方がいいとか、ネクタイがなくてだらしがないとかはありますか。
知事:ありませんけど、クールビズとはネクタイを取ることと覚えたり、という非常に愚かな風習が県庁及び日本国中あるのは、ちこちゃんに叱られるのではないかと思います。今日はクールビズですから、そのネクタイ取ってくださいと言われることがあって、それは違うだろう、勝手にやっているのだから良いのでは。オーバードレッシングだからと思うけど、取れとか儀式のときに言われることがあって、今のような皮肉をちょっと言ったりしているわけです。全体主義的な雰囲気って嫌いですね。