知事記者会見 令和5年2月1日

知事記者会見

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令和5年2月1日 知事記者会見

令和5年2月1日 記者会見室

令和5年度当初予算

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 当初予算の記者会見を始めさせていただきます。お手元に、和歌山県財政の現状と課題という資料があるので、まず、そちらから説明をしたいと思います。
 1ページ目をお開きいただければと思います。12月17日に就任させていただいて、まず、長期的な財政の推計をしてもらいました。これまでの中期的な財政見通しは5年間でしたが、おこがましいのですが、一応財政のプロとして、5年では短いと思い、10年間の推計をしてもらいました。その結果、和歌山県の財政が、大変厳しい状況にあることがわかりましたので、まず、和歌山県の財政状況から説明をさせていただきたいと思います。推計の具体的な前提は後に資料を付けていますが、技術的なことなので、ご質問があった時にお答えしたいと思いますが、一定の基準を置いて、いろんな数値は、先般、政府が出された、中期の試算の前提を全くそのまま使っています。
 いろんな条件で、歳出と歳入を10年間伸ばすと、まず、何も対策を行わない場合です。①を見ていただきますと、県の財政調整基金と県債基金があります。これは、財政が悪くなった時や県債を返すための基金ですが、現状209億円あり、これが枯渇して、2年後にはマイナスになってしまうことがわかりました。
 理由は、②ですが、現在、県債残高が、負担比率で219%、残高1兆円ですが、10年後には、比率が256%になり、県債残高も1000億円(正しくは、100億円)程度増えるので、さらに基金が約1000億円不足することになります。その結果として、③ですが、予算に組み込む歳出の公債費の負担も、約2倍になることがわかりました。
 それで、後で説明しますが、たまたま、令和3年、4年の税収が、政府の税収見積もりよりも上振れしました。その結果として、当然、我々がいただく交付税も、税収と連動するので増えて、比較的、財政にゆとりできたので、その時に出たお金を、今回、非常にラッキーですが、一番左下に書いているように、公債臨時対策基金を設置することにしました。これの具体的な使い方は、後で説明します。それから、借換債をローリングで出しますが、これの発行を抑制することにするということです。それで、まず、令和4年度の2月補正で新しい基金を作り、借換債の発行を抑制することをやらせていただいて、令和5年度は、財政見直し元年にし、公債費の償還財源確保スキームをやり、それでも足らないので、賢いやりくりをしていこうということで、令和8年度が、「新中期行財政経営プラン」の最終年度なので、それまでに、ある一定の方向性を出していきたいと考えています。
 次のページが、細かい内訳で、人件費、公債費、投資的経費です。人件費は、消費者物価指数で、政府の見積もりを使って伸ばしています。公債費は、積み上げて計算しています。投資的経費も、大規模事業は積み上げ、後は、一応、令和4年度(正しくは、令和5年度)の横ばいで置いているという仮定です。その他支出も、社会保障関係は、大規模なところはトレンドで伸ばして、それ以外の項目は横ばいで置く。中小企業関係もそうです。
 歳入も、県税については、政府の経済成長率を基本ベースに、ベースラインを合わせて、税収弾性値を1.1で計算しています。交付税は、歳出歳入の出入りで、自動的に出てきます。国庫支出金も、同様に、大規模なものはある程度を想定し、あとは横に置いています。それで言うと、209億円の基金が、令和6年度に半分になり、令和7年度にはマイナスになるという試算です。
 次のページを見ていただくと、今言ったように、現在の将来債務負担比率が219%ですが、和歌山県は、10年後に256%になります。全国平均の負担率や、類似団体(資料一番下の※4)、大体、和歌山県と財政規模が似ている、山形県から秋田県までの平均の公債比率がありますが、和歌山県は、全国平均や類似団体よりも、もともと公債比率は高いのですが、さらに高くなっていくことが予測されます。R3の実績が出ていて、公債比率は下がっていますが、これは、先ほど私が申し上げたように、政府の税収見積もりが上振れして交付税が増えたので、公債、借金を出さなくて良くなって、全体に減っています。ただ、見ていただくと、直近は、全国も類似も、公債比率は横ばいか少し下がり気味だったのが、和歌山県は、実は、すでに右肩上がりに上がっていて、下がっているのは、たまたま政府の税収が上振れしたという特殊要因だけです。
 何でこうなったのか分析すると、要するに、県が出す債務、借金は、交付税措置のあるものとないものがありますが、交付税措置のないものの借金のかさが、非常に大きかった。それが根雪のように積み重なってきて、令和5年度以降、借金の返済に追われてしまうという、隠れ借金ではないが、氷山の下に隠れていた交付税措置のない借金のたかが非常に多いということが、今回、私が就任して、10年推計をしてもらって、明らかになった。
 これ(資料)では、県の債務の残高が増えていないように見えますが、941億円赤字なので、もしこれを借金でするならば、この分だけ増えていく。借金をしないで、赤字垂れ流しで運営するという前提なので、横ばいになっている。これは、当然のことながら上がるので、公債比率も上がるという推計になっています。

次のページは、先ほど言いましたように、全体の公債費は、717億円から894億円に増えて、実際の県の負担は倍になります。この、894億円と436億円の差、717億円と225億円の差は、交付税措置があるということです。だから、実際、県の負担は、この金額で倍増することになっています。
 交付税措置で算入されるので、一番大きい例は、国土強靱化です。国土強靱化は2分の1補助ですが、さらに特別に、国の補助が4分の1出るので、実際の県の負担は、25%で済んでいる。そういう意味で、交付税措置が算入される一番典型的な例は、国土強靱化事業です。また、特別な経済対策等で使う臨時財政対策債は、交付税措置が100%です。普通の公共事業は、2分の1補助の場合、国の措置が実は20%しかなく、残りは県が負担する。ということで、一般的な、公共事業債の交付税措置の薄いものの残高が、大変多くなっている。こういうことがわかったわけです。
 従いまして、少し先走りますが、今後どうするかということで、私は、財政危機警報を出します。これは、あくまでも警報で、今年、来年の予算はきちんと組めます。だけど、再来年からは組めないので、その際には、やりくりをしていくというふうに考えていて、いたずらに、歳出カットとかを言うつもりはありません。国土強靱化事業で投資的経費を賄えば、ある程度、県の借金は少なくて済むので、同じ事業をするのであれば、国土強靱化事業で道路整備をしていく。そういうふうに切り替えていきたいと思っています。まさにやりくりをして、同じ道路でも国土強靱化を取りに行く。それで、将来の県の負担が減っていくことになるので、一般的な公共事業で、県の負担が多いものを、国土強靱化に振り替えていくような知恵をどれだけ出せるかになろうかと思うので、これからは、やりくりという言葉を使いたいと思っています。

なぜそう言うかというと、私自身は財政のプロを自称していますが、実は、尊敬する政治家で、山田方谷という名前を出したことを、記者の皆さんはご記憶だと思います。山田方谷は、備中松山藩の家老で、岡山の財政再建をした有名な方ですが、彼の書物を読むと、江戸時代ですが、言葉を現代語に翻訳すると、歳出削減と増税で財政再建ができたためしはないとおっしゃっています。割と当たっていて、私は、歳出カットという言葉を使いたくない。山田方谷は、当時で言うと、武士は、文武両道に励み、藩政は、正々堂々と正面から藩民の幸福を願って本業をしっかりやる。それが殖産興業に繋がっていきますが、そういうことで財政再建を成し遂げた方なので、私も及びませんが、山田方谷を見習って、いたずらに歳出カットや増税ではなくて、やりくりをしながらやっていきたいというふうに考えています。
 次のページですが、今回、幸い、新しく基金を積むことができました。これは、税収の上振れによって交付税が増えたお金をこちらに回せて、今回、2月補正で約84億円です。R4年の公債費が678億円で、過去20年ぐらい見ても、大体700億円です。これは、刻々変わりますが、交付税でいろいろ見てもらえたこともあって、和歌山県の実力からすると、公債費は、大体、今、700億円ぐらいのラインを維持するのがいいのではないかというふうに、前提を置いています。ところが、さっき言ったように、根雪の部分があるので、公債費が着実に増えていきます。R4からは39億、その次が52億、53億、38億と、ずっと増えていく。そうなると、増えた分を何とか手当てするために、実は、臨時対策基金を、中期計画の8年まで、増加分の2分の1を上げていく。各年度、公債費が増える分の2分の1は、この基金を充てていくので、その分楽になる。しかし、それぞれ残りの2分の1があるので、これは、やりくりで何とか恒久財源をひねり出しながら、やっていくことになります。しかし、資料を見ていただくと、増加分の2分の1を基金でやって、その2分の1をひねり出しますが、増加分だけなので、根雪の部分、ピンクのところは増えます。なので、増加分しか手当しないので、深刻にやりくりしないといけない。これは、知恵を出していきたいと思っています。今、現実に具体的な案はありませんが、職員の皆さんと一緒に、或いは関係者の皆さんの協力もいると思うので、やりくりをしていきたいと思っています。
 次のページですが、まだ深掘りはできませんが、少なくとも、今回の基金を使って、増加分の2分の1を基金、増加分の2分の1をやりくりで恒久財源を出せば、一応、先送りできます。これをやれば、少なくとも、一応中期計画の中の令和9年度までは、何とか予算を組めます。増加分の2分の1の恒久財源も、決して容易い話ではないが、深掘りしなくても、ここまでは保つ。しかし、深掘りしないと、10年後は予算が組めないことになるので、これを、みんなで知恵を出しながら、賢いやりくりでやっていかなければいけないということを、ちょっと早めに、県民の皆さんにお伝えしたいという意味で、財政危機警報を出させていただくという趣旨です。

参考(資料)は、後でご覧ください。
 これを前提に、新年度の予算の説明をさせていただければと思います。令和5年度当初予算の概要という紙があります。

1ページ目ですが、新型コロナ対策は絶対にやらないといけないので、294億円をしっかりと確保しています。そして、新型コロナの関係の経済対策も含めて、しっかりと県民の命と暮らしを守るために、かつ、先ほど言ったように、令和3年、4年の税収が上振れした分のゆとりが目先にあるので、今回は、過去最大規模の当初予算を組ませていただきました。先ほど言ったように、山田方谷のひそみにならって、やれることはきちんと正道を歩む、将来に向けてやりくりをするということで、財政見直し元年は、基金を作るのが一番の目玉です。まず、少しゆとりのある時に、将来に向けて対策基金を作るということで、今回、財政調整基金と県債管理基金の取り崩しはしていません。
 一般財源は、去年と比べると大体横ばいです。これは、大きな経済の変動がないということですが、歳出を見ていただくと、人件費が少し減っているのは、退職者が増えた(正しくは減った)ので、退職金が減ります。公債費は、先ほど言ったように増えています。投資的経費は、当初なので横ばいにしています。これは、先ほど言ったように、補正で国土強靱化が来た場合、国土強靱化で投資をしていくということで備えていきたいと思っています。これが賢いやりくりだと思っています。その他支出は、当然ですが、高齢化によって社会保障関係が増えます。中小企業の融資制度は、ご存知のとおり、和歌山県が金融機関にお金を出して、そのお金を元手に、低利の融資をしていただいて、中小零細企業を守るという制度なので、これは、新型コロナ対策の関係もあって増やさせていただいています。

結果として、財調県債基金の年度末残高は、今のところは、プランどおり令和5年度209億円を維持できることになっていますが、何もしなければマイナスになっていくというのを、参考に書いています。
 次のページは、今回の新規事業の目玉ですが、これはお題目なので、詳細は、個別で次のページを見ていただきます。資料で言うと、3ページ目になります。
 今回の予算は、12月までに事務方の作業が終わっていて、私も、財政のプロとして、これをひっくり返すのは忍びないので、基本的に、予算は、事務方が積み上げたものをベースに、私としてどうしてもやりたいことだけお願いし、新規や拡充をしています。

林道整備は、私の悲願ですが、今、森林組合とも話し合いを始めていますが、本当のニーズがどこにあるのかを調査してやっていかないといけないし、もともと林道整備は、市町村が主体で、それを県が応援するという建て付けなので、令和5年度は準備期間にしたいと思っています。林道の予算が増えるのは、R6の予算からとお考えください。ただ、やっぱり材木は大事なので、紀州材の生産力高度化支援を新規に作りました。これは、木材関係の企業を応援するために、エネルギー効率の良い機械に買い換えるとか、新たに投資する場合の補助金で、2億円です。
 農業の担い手育成は、まさに、農家については、後を継ぐ方が少ないので、新規に就農していただくための相談フェア、コーディネーターのための予算で、約倍増の予算にしています。
 沿岸漁業の再生を目指した漁場整備ですが、かなり、気候の温暖化等で、獲れる魚の種類も変わっているし、獲れなくなっているところもあります。藻場といって、海中の草が生えている(場所だ)と、魚がたくさん寄ってくる。藻場が枯れているところがあるので、その調査等を新たにしていきたいと思っています。タチウオも、今、相当漁獲量が減っているので、何で減っているのかを調査して、資源の回復を目指していきたいと思っています。
 これが、私の公約していた第一次産業の分野です。
 観光業については、従来からの流れですが、大阪・関西万博が2年後なので、和歌山の展示も入れて、準備に入っています。今、担当部局と話し合いをしていて、どんな関わり方をしていくのか、どんな展示をしていくのか。私からは、県民総参加というキャッチフレーズをお願いしています。和歌山県民が、必ず1人1回万博に参加するぐらいの勢いで何かプランができないだろうか、提案して考えてもらっています。
 クルーズ客船は、新型コロナが収まったら、これまでのように、クルーズ客船に来ていただきたい。和歌山下津港、日高港、新宮港ですが、寄港費補助を設けました。日高で50万円、新宮で100万円、寄港していただくと補助金を出すのが目玉です。

サービス産業誘致促進ですが、一次(産業)も大事ですが、二次(産業)も三次(産業)も大事ということで、サービス産業誘致のために、アドバイザーの予算を計上しています。
 それから、今回の目玉で、子育て支援です。給食費の無料化については、任期4年の間にやりたいと思っていますが、かなりのお金が要ります。恒久財源が要るので、これこそ、厳しい中でのさらにやりくりをするということで、1年は勉強したいと思っていますが、従来の延長線上での子育ての支援は、出産子育て応援給付金が、新たに入ります。これは、妊娠を届けた時に5万円、出産したら5万円を出すという国の制度で、国と一緒にやっていきたい。合わせて10万円の補助が出るという、新しい仕組みです。それから、初めて妊婦になられるとご心配なので、相談体制の充実も真剣に考えています。

子供食堂の支援も私の目玉政策ですが、今、本当に物価が上がっているので、まず、食材の補助をさせていただきたいと思って、増やしています。それから、1小学校区に一つが将来の夢ですが、それに向けて、コーディネーターの予算も計上しています。
 脱炭素社会で言うと、県有施設の脱炭素化です。これも新規ですが、当然、県有施設の屋根や敷地も含めて、太陽光発電ができないかを考えているのと、公用自動車も、EV化があまり進んでいない。私は、水素自動車「MIRAI」に乗っていますが、水素自動車も1台増やすし、新規に入れ替える公用車は、すべてEVにします。脱炭素経営モデルは、脱炭素経営といっても、中小零細はなかなか大変なので、専門家を活用するために補助をするという新規を立てました。
 4ですが、南紀白浜空港の活性化です。本当に、岡田社長のところで頑張っていただいていますが、県も協力しながらやっています。まずは、ベトナムとのチャーター便を飛ばしたいということで、予算を組みました。一つは、チャーター便を、とりあえず1往復2便を目標に、着陸料を補助したいというのが一つ。それから、目玉のイベントとして、日本とベトナムの高校生の相互訪問をしたいと思っていて、それの応援費用も入っています。
 まちのにぎわい空間創出プロジェクトも新規ですが、まちづくりフォーラムというイベントをしたり、アドバイザーを活用するための予算です。
 5番目ですが、盛土の規制対策。これは、今、すごく話題になっていて、ついこの間も盛土がずれて大変な被害があったので、県としても、現状の盛土の調査をして、データベース化する。ともかく安全調査をしたいということで、新規に予算を組みました。
 ドローンの二つについては、知事査定の冒頭で紹介したもので、その時に説明したとおりなので詳細を省きますが、災害時に、山間部等(の施設)をドローンで点検する。それから、防災・減災対策についても、ドローンを活用してどんなことができるのか実験して、ガイドラインを作っていく予算です。

医療・福祉は、地域医療支援センターを運営していますが、地域医療(支援)ドクターの登録制度を創設します。それから、若いお医者様が多いので、メンター制度という先輩がアドバイスするような制度も、新たに追加して拡充していきます。
 児童家庭支援センターは、本当に皆さん、相談するところがなくお困りの方も多い。現在、紀北では、(和歌山市の)つつじが丘に、「きずな」という児童家庭支援センターがありますが、県下に一つなので、今回、私が選挙公約にした紀南に力を入れるという意味もあり、西牟婁管内に、一つ、児童家庭支援センターを追加する。場所は、今、大体の目途がついていますが、西牟婁管内へ新規に児童家庭支援センターを作って、紀南に力を入れるという私の政策を示したいと思っています。

介護人材確保対策ですが、ご承知のとおり、若い方が介護人材としてなかなか来てくださらないので、特に、介護職員の初任者研修を補助していくことを県で応援したい。
 組織改正は5つありますが、基本的には途中から来たので、組織の大きな改革はR6ということです。ただ、これだけはやりたかったのは、振興局の活性化が私の目玉なので、振興局を活性化するために、地域振興監という部長級、部だと思っていただければいいのですが、新たな部を作ります。ここには、今の(企画部の)地域振興局がそのまま事務方として入りますが、私の思いは、今、7つある振興局を、ともかく活性化するために、新たに地域振興監になる方には、エース級の人になってもらって、振興局を活性化するためのアイデアを出して実行し、県内を飛び回ってやってもらいます。これが私の今回の組織改正の目玉です。
 あとは目玉でないとは言いませんが、いろんな行政の状況も変わってきています。DXも、これから本格的に県内で取り組まなければいけないので、2と3は連動しますが、総務部に、行政企画局として課を再編成し、その際に、情報政策課も改組して、デジタル社会推進課を設置します。できる限り、新しいDXや行政需要に応じた組織改正をして、新しい状況に備えるということで、万博に備えて、万博推進課を設置して2年後に備えるし、第35回のみどり愛護の大会には皇族がおいでになる(と思う)ので、植樹祭等の時もそうですが、都市政策課に担当班を作ります。
 以上です。

質問と回答

毎日:新規事業について確認です。12月までであらかたできていたので、それほどいじらなかったとおっしゃったのですが、知事が、どうしても入れた新規の部分や拡充した部分は、この表だと、どれとどれに当たりますか。

知事:基本的には、それぞれ議論されたものをベースに、私の方で拡充などをお願いしています。提出があったものを、私が拡充をお願いしました。

毎日:知事が来たことで、全く新規で作り上げたものは、この中にはありますか。

知事:私が提案してやったものはありません(誤りで、正しくは、提案してやったものもあります)。知事査定で認めたということです。

毎日:もともとあった案を、知事が見て。

知事:少し広げてもらいました。

毎日:財政の話で、今まで、交付税措置の無い借金が多かったものが、かさとなって重なってきたというふうなお話でした。どうしてそういうふうになったのか、そういうふうな運用をしていたのか、何か推察するところはありますか。

知事:推察というか、投資的経費を増やすことは悪いことではない。それは、県民の暮らしを守るために、それぞれの部署が一生懸命されてきたのですが、一つ一つの部署が一生懸命仕事するのを、全体としてバランスを取って見ることにおいて、少し欠けていたところがあるのではないかと思いました。

毎日:今後、やりくりをするということで、一例で、公共事業を国土強靱化に変えていくというお話でした。技術的なことになるかもしれませんが、現時点で、やりくりとして、他にどういったようなことができると考えていますか。

知事:まず、これまでは、予算を作る時に、新規政策というのを、各課が検討することをやってきたようですが、R6の新規政策は、事業の見直しをしてもらおうと思っています。新規政策は、私が持っていて、私の公約をやっていただければいい。各担当課には、過去、惰性でやってきたとまでは言いませんが、古い事業がいっぱいある。実は、予算査定というのは、国も県もそうですが、新たに要求されたものを中心に査定するので、これまでやってきた事業は、スッと通ってしまう。そうすると、本当に、惰性でやってきたり、特に、私が今指示している、PDCAを回さずに費用対効果が良いのかどうか検証されないまま来ているので、まず、費用対効果を検証したり、ニーズが本当にあるかどうかも含めて、既存事業の見直しを新規政策としてやってもらおうと思っています。
 そして、事業の見直しをたくさんした課には、インセンティブをつけて、事業が減れば予算が減るので、その予算の減った金額の半分はやりくりで使って、半分はその他やりたい仕事、まさにやりくりで、実はこれをやりたかったというものに回す。インセンティブがないと進まないので、そういう形で、まず事業の見直しをやっていくことで、やりくりをしていきたいと思っています。

毎日:事業の評価は、今まで、少しまだ甘い部分があったというふうに。

知事:それは、毎回申し上げているとおり、PDCAサイクルがあまり回っていなかったと思うので、これをしっかり回すことで、事業の見直しができるだろうと思っています。

産経:先ほどの質問に関連して。つまり、見直しをして欲しい事業自体は、今年度、新規ではなく既存のものは、すでに乗っかっている。

知事:さっきも言ったように、12月に赴任したので、事業の見直しは、この2月議会に出す予算の中身を、私が思いつきでいじるのは、ものすごい職員の負担になります。だから、そんなことは、私はしたくない。私のカラーを出すのは、基本的に令和6年度です。ただ、皆さんと議論をし、知事査定をする中で、私がやって欲しいものは認めたということです。

産経:その中で、実際の見直しをどうしていくのかという部分として、2月に議案が通り、4月から実行ベースになった時に、現場で、例えば、予算が付いて事業をやり始めるが、そこで削減するものを削減していくとか、そういう形になりますか。

知事:まず、今後ですが、予算執行の際に、技術的に節約をかけるやり方がある。例えば、すべての予算に10%の節約をかけるというやり方が、よく行われます。それをするかどうかは、今後、財政課長と相談しなければいけませんが、私が言っているのは、令和5年度予算は、基本的に、私どもがベストだと思って出しています。なぜならば、私はPDCAサイクルを回していないので、中身はわかりません。ですから、これは、我々はベストだと思っています。従って、このベストの予算を議会に提案して、通していただいたら、これは執行します。
 だけど、R6年の新たな予算を組む時に、私の希望は、職員の皆さんに、すべての過去の事業で、PDCAサイクルを回してチェックしてください。そして、不必要な予算や事業があれば、R6年から見直しましょうということです。これも、前から言っているように、予算のプロとしては、予算に飛躍なしです。仮に、事業が、これは良くないという事でも、いっぺんに0にするということではない。つまり、その予算を当てにしている人もあれば、それで動いている世の中があるので、例えば、私には任期が4年あるので、その4年の間に、徐々に減らしたり徐々に増やしたり、或いは、本当に人気が無くて、皆さんがもういいと言っている時は無くなるかもしれませんが、それも含めて、県の担当課それぞれが、きちんと評価して欲しいということです。

だから、令和5年度予算は、私はパーフェクトだと思っています。

産経:それを踏まえて、令和5年度予算をネーミングするとしたら、何とか予算とかありますか。

知事:書いてあったと思いますが、財政見直し元年予算です。なぜかというと、予算規模は最大でしっかりしていますが、基金を作って、その基金で財政を上手く回していくための予算という意味で、見直し元年予算です。
 基金を作った意義とかは、後で、プロである財政課長が、ちゃんと詳しく説明するので、聞いてください。

紀伊民報:既存事業の見直しはR6年度からというお話でしたが、今回の予算で見直されたものはありますか。

知事:さっきから言っているように、私が赴任したのは12月17日なので、そこから見直しの作業を命じたら、職員がまた残業しなければいけないので、そういうことはしません。すべて新しい事業の作業は、R6年に向けてやる。財政課は大変ですから、これ以上、財政課の皆さんに残業して欲しくない。

紀伊民報:すべて予定どおりということですか。

知事:予定どおりではなく、査定はしました。

紀伊民報:査定した上で、予定していたものから削ったものは、今回はない。

知事:増やしたものはありますが、削ったものはありません。なぜならば、PDCAサイクルが無いから、その事業が良いかどうかのエビデンスがない。そこは、大らかな気持ちで飲み込むということです。

紀伊民報:地域振興監を設けて、振興局の活性化のアイデアを作ってもらうということですが、どういうふうに振興局を活性化したいのかを教えてもらえますか。

知事:それは、今度新たに赴任されるエース級の振興監に委ねたいと思いますが、半年間の選挙戦を通じて、生の声を聞いてきた私の感覚から言うと、やはり、振興局に権限と予算を与えたほうがいいのではないかと思っています。それも飛躍なしで、徐々にですが。昔は、振興局長に予算があったり、振興局に権限があって、振興局が窓口になって、市町村長さんたちと一緒に、本庁にいろんな要請をするというようなことだった。そうすると、振興局に情報が入ります。今、お見受けしていると、直接、市町村長が本庁に来られたり、振興局との連携が、昔に比べると薄いような気がします。なので、そこは、振興局に権限をできるだけおろして、振興局レベルで、市町村長とタッグが組めるような形を作っていきたいと思います。
 将来的には、振興局長の人事も、今のように、高いポストがいいのか、或いは若手を抜擢し登竜門にするのがいいのか。金融機関では、支店長をやって、優秀な人が上に上がっていく。まさに振興局長は、支店長よりは偉いかもしれないが、県庁で言えば支店長なので、支店長に権限をたくさん与えて、地元で活躍していただくというふうにするにはどうすればいいか。私は、次の地域振興監に委ねたいと思っているので、次の地域振興監になる方は、大変な重い宿題を背負われます。

朝日:未来創造プラットフォーム(仮称)は、知事のイメージみたいなところを教えてもらってもよろしいですか。

知事:公約で言いましたが、国内外で活躍されているインフルエンサーの方々に、親会というか、アドバイザリーボードを作っていただいく。それが仮称の名前ですが、年に1回集まっていただいて、あとは個別に、大所高所からアドバイスをいただく。10人ぐらいのイメージで、4月22日に、田辺でトーク&コンサートをやりますが、コシノジュンコさんや澤和樹先生とかに入ってもらおうかと思っていて、あとは、経済界や学会など、バランスよく入っていただこうと思っています。これから、お願いをしたいと思っていますというのが一つです。
 その下に、ワーキングチームを作る。例えば、観光なら観光で、若手の方がチームリーダーで、その方1人でもいいし、数人のチームを作ってもらってやる。親会は大御所なのでアドバイスをもらうだけですが、観光、地域振興、文化芸術は、ワーキングチームを作って、実際には若手の方々に動いてもらって、県庁の職員と一緒にチームを作って動いてもらったりする。これは、和歌山出身で、国際的に活躍されている方、或いは、和歌山を基盤として全国的に活躍されている若い方にお願いしようと思っていて、できれば、新年度が始まる前に、概略を発表したいと思っています。

紀伊民報:仁坂知事が、昨年の秋に、県営射撃場を造りたいというお話をされていると思いますが、これは、この予算に入っていますか。

知事:入っていません。そういう意味では、知事査定で認めなかったということです。それは、まさに仁坂知事がおっしゃったとおり、三つの条件が揃えば前向きに考えたいということでしたが、三つの条件が揃っていなかったので、その趣旨に従って、今回の予算には入っていない。

紀伊民報:それは、来年度以降の予算で検討する形になりますか。

知事:三つの条件が整うかどうかに掛かってくるだろうと思っています。

NHK:今回、財政危機警報を発出されていますが、まず、認識として、財政が危機的な状況だということを、職員の方々に持ってもらおうという狙いで出されていますか。

知事:先ほど申し上げましたように、たまたま、R3、R4の特殊事情で、少しだけゆとりがある中で、R5の予算は組める。その際に、やはり、今、大変な状況で、新型コロナ対策も必要だし、新型コロナで困っている方もいるので、少しゆとりがあるから、まず、歴史上最大の予算を組んだので、安心ください。
 一方で、少しゆとりある部分のお金を使って、基金を積ませていただいて、財政危機に対応する。こういう予算を組んでいますが、財政危機の状況は、10年単位で推計した時に、R7から大変なことになるという危機感を、全県民の皆さんと共有したいという趣旨で、財政危機警報です。警報なので、緊急事態宣言みたいな、外出規制という話ではないのですが、ちょっと問題意識を共有していただいて、私が言うやりくりの予算に、今後ご協力をいただきたいということです。

NHK:先ほど、ネーミングするとしたら、財政見直し元年というお話がありましたが、賢いやりくりというものをしっかり見据えながら、新型コロナでしたり、必要なところには、ちゃんと予算を出していくということですか。

知事:はい。そういうことです。

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