知事記者会見 令和4年10月26日

知事記者会見

記者会見での発表事項等を紹介します

令和4年10月26日 知事記者会見

令和4年10月26日 記者会見室

和歌山県ドクターヘリ格納庫・給油施設竣工式の開催について

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 今日は発表事項が四つと話題事項が二つあります。一つは、ドクヘリの格納庫と給油施設が竣工しました。資料(の写真)にあるような、マークの入った建物がコスモパーク加太の中にできました。それで、竣工式を11月14日月曜日に行います。皆さん、ぜひ見に来てください。今どうなっているかというと、大体、ドクヘリは、仕事の無い時は、和歌山県立医大の屋上にいる。しかし、天候が悪かったりすると、屋上に置いておくと危ないので、その時は、神戸空港の格納庫に入れてもらったりしていました。それでは、ちょっと遠いし、あまり良くないので、格納庫を作って、自前の待避所を作って、整備なんかもちょっとそこでできるかもしれません。ただ、ここにいつもいるわけではなく、ものすごく忙しいので、大体は、和歌山県立医大の上にいるというのが、特に昼間は多いと思います。

北星産業(ほくせいさんぎょう)株式会社が橋本市にコメリ関西流通センターを開設します

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 その次は、北星産業株式会社と言っても何のことかと思うかもしれませんが、コメリです。コメリの物流部門の会社の名前ですが、北星産業株式会社が橋本市にコメリ関西流通センターを開設してくれることになりました。関西で、これからいろんなところへ(物を)運んでいく時に、拠点としてここを使ってくれることになります。京奈和ができてきて、奈良の所がちょっとまだですが、随分便利になってきました。近く、国道371号線も、和歌山側は完璧にできていますが、大阪側が近く完成して、広い道で繋がることになると思います。こういう、交通の結節点を評価してくれたのではないかというふうに思っています。もちろん、県のスタッフが一生懸命勧めにいったことも大きかったかもしれません。11月1日火曜日13時30分から、コメリの社長で北星産業の社長でもある捧雄一郎(ささげ ゆういちろう)さんがお見えになって、平木橋本市長もご一緒に、協定の調印式を行います。投資額は約83億円で、結構大きいです。雇用の予定は、3年間で105名、正社員が61名もおられることになります。これから建て始めて、令和7年2月から操業となります。場所は、そこ(資料2枚目の地図)にあるような感じです。

人材派遣・業務請負サービスを提供する株式会社マックスサポートが和歌山市に新オフィスを開設

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 その次は、人材派遣・業務請負サービスを提供するマックスサポートという会社が、和歌山市に新オフィスを開設してくれることになりました。和歌山市のオフィスは、日本生命が持っている日本生命和歌山八番丁ビルに入ります。10月28日に、進出協定の調印式を、マックスサポート会長の柳沢さんと私と尾花さんで、和歌山県庁で行います。それを作っていただきますと、42名の雇用ができるというふうになっていて、正社員は17名、非正社員が25名です。操業開始は、令和5年1月ですから、後3ヶ月ということで、どんどんやってもらうということになります。

県内小学校等への県産農水産物(魚・鯨肉・ジビエ・みかん)の提供を実施します

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 その次は、県内小学校等への、小学校等となっているのは、小学校と中学校と特別支援学校がありますが、そこに、魚、鯨、ジビエ、みかん、時期はそれぞれ少しずつ違いますが、提供いたします。実施校がちょっとずつ違うのは、例えば、ナイフ、フォーク、その他(の器具)を使わなければいけないとか、使っていいとか、いろいろ事情があるので少しずつ違いますが、みかんだけは全校実施になります。ちょっと待ってください。今、僕は間違ったことを言いましたか。特別支援学校は無しですか。


果樹園芸課副課長:特別支援学校の方にも、みかんは提供させていただきます。


 (資料に)書いていないが、そうだそうです。子供たちに、若い時から、いろいろ美味しいものの味を知ってもらったり、食べ方や剥き方を覚えてもらったら、随分、その後の人生も違うのではないかというふうに思っていて、和歌山県では一生懸命やっています。他に、もも、かき、うめ、それぞれの季節に提供しています。

令和4年度和歌山県名匠表彰について

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 話題事項ですが、和歌山県名匠表彰で、堀池雅夫(ほりいけ まさお)さん。この方は、硯にこすって墨汁をとる墨を作っておられます。伝統的に、松のすすと膠(にかわ)を混ぜ合わせて作るのだそうですが、全国でも数少ない名匠です。和歌山県では、今のところお一人になります。

新型コロナワクチン(オリジナル株とオミクロン株の2価ワクチン)の市町村追加配分について

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 もう一つの話題事項は、この間、福祉保健部技監から皆さんに申し上げたと思いますが、ワクチンをぜひ打ちましょうと申し上げたいと思います。今、もちろん前のワクチンも残っていますが、オミクロンとオリジナル株の両方に効くようにした2価ワクチンが、結構たくさん配分されています。ここ(資料)にあるように、ファイザー社のワクチンは、オリジナル株とBA.4/5の2価で、ソレと言って申し込んでも大丈夫なほどの量が来ていますから、ぜひ皆さん、早めに接種券が来た人は、申し込んでいただきたいと思います。
 もう一つ、今年は、どうもインフルエンザが流行りそうだというのがあります。インフルエンザ(ワクチン)については、接種券が来なくても申し込めるので、どんどん申し込んで、パンパン打っておいていただくと、インフルエンザになるかもしれないが、非常に(症状が)軽く済みます。私も、最近、ずっと毎年打っていますが、インフルエンザの風邪を引いたなという感じはあるけど、割と軽く治まります。インフルエンザが悪化して、体が弱って、新型コロナが追い打ちをかけて死んでしまうことになると拙いから、ぜひ打っていただきたいと思います。国によると、一気に二つ打っても大丈夫だそうなので、2回行くのが面倒だと思う人は、新型コロナは接種券が要りますが、新型コロナ(ワクチン接種)の時に一緒に打つか、(接種券が)まだ来てない人は、インフルエンザ(ワクチン)だけ打ったらよろしいかと思います。ちなみに、私もインフルエンザ(ワクチン)を数日前に打ちました。新型コロナはまだ券が来ないので打てていないのですが、インフルエンザ(ワクチン)は、業務に支障がでたら困るので、さっさと打っておきました。
 以上です。

質問と回答

産経:新型コロナとインフルエンザのワクチンの両方の接種の呼びかけがありましたが、今後、新型コロナの第八波も懸念される中で、インフルエンザの同時流行と併せて、呼びかけの前提になる懸念されている点は、どういうところでしょうか。

知事:実は、ちょっと新型コロナがぶり返している感じがします。(感染者数が)だんだん減ってきたが、減り方が弱いと思っているうちに、ちょっと増えてきているというふうに思います。全国的に数字がそんなに出ていないので、マスコミの報道も大したことはないのですが、よく見たら、割合、真面目にフォローしている県の方が増えていて、さぼっているなというような都道府県はかなり少ない。だから、全数把握を止めてから、特にハイリスクの人だけはちゃんと届出をしなさい、登録をしなさいとなって、残りのところは、それぞれの方に任されている。そうすると、自分は若いから、市販のPCRや抗原検査をやってみて、陽性だけどまあいいかと、何もしないでそのまま居る人が、全国的に一杯いるのではないかという感じがする。従って、よく見たら、今まで結構抑え込んでいたところが増えてきているということは、やっぱり、別に風土病的な特殊性があるわけではないので、和歌山県も含めて、これはちょっと増えそうだという感じがある。現に、救急が一時、随分収まっていたが、やっぱり熱が出る人が多いので、救急が少し増えているから、第七波の盛りの時みたいに、結構、錯綜する可能性はある。その時に、和歌山県は、最終的にはちゃんと入院調整をするので、入院調整の前提として、例えば、HER-SYSを自分で入れなければいけない(のは)、面倒くさいから止めようと言わないで、ちゃんと入れて、陽性者登録センターに、実は(陽性が)出たと一言言っておいていただく。その中には、ハイリスクではないから、政府の、必ず入れなさい、登録しなさい、報告しなさいの中には入っていないけど、ちょっとこれはハイリスクだと思うような人が分かっていたら、その情報は、保健所と共有されて、最終的には福祉保健部技監に行きます。
 従って、そういう人で高熱が出た時は、優先的に病院に入れることができるので、陽性者登録センターには、ぜひ自発的に入れてもらって、所定の日数は、会社或いは学校と相談をして、自分で自己隔離をしてもらう。その代わり、ちゃんと届出があった人には、依然として食べ物とかを運んでいますから、何の心配もないし、ほんの数日ですから、うつらないようにして出ていただくのが大事なことではないかというふうに思います。何かおかしいと思ったら、すぐにお医者さんに行っていただくということだと思います。

産経:そういう前提がある中で、新型コロナとインフルエンザの呼びかけがありましたが、同時流行した時の医療体制の懸念点はどうですか。

知事:インフルエンザも、高熱が出たり脱水症状が出て、命が危なくなったりすることはあります。それが、たくさんバッと出てきた時に、その中の何%かの人は新型コロナもうつっているとなると、どうやって入院させようかという入院調整がさらに困難になってくる。ですから、インフルエンザもあまりうつらないようにすることが大事だし、新型コロナもあまりうつらないようにするという両方が大事なので、ぜひ、そのためにはワクチンを打っておいてもらうのが、一番よろしい。
 今、行動制限については、和歌山県はあまり行動制限をしない方がいいのではないかとずっと言ってきましたが、国は、ようやく舵を切って、行動制限は止める方向で前に進んでいます。それに反対はしないが、同時に、拡大しないように、発症したら対応する、うつらないように抑制するというのは、保健医療行政でしかあり得ないのに、それをさぼろうというふうに考えている人がいるから、困ってしまう。和歌山県は、政府の言うことは聞くけど、それで不都合が出ないように、一応制度は作っている。それを励行していただければ、命にできるだけ影響が及ばないようにはできると思います。後は、決め手はワクチンしかないと思います。

NHK:マスク着用についての質問です。政府が、屋外では原則不要というルールを出されてから5ヶ月ほど経過していますが、和歌山市内とかで話を聞くと、どういった時に外したらいいか分からないとか、マスクをつけることにどうしたらいいのか反応に困っている方もたくさんいるという声も聞こえました。インフルエンザとの同時流行の懸念もある中で、マスク着用についてどう受け止めていますか。

知事:まず、マスクは、つけた方が安心だから、別に不都合がなかったらやっておいたらいいのではないかと思います。ただ、必ずしなさいとかは、政府が言ったようなルールに従って、屋外の場合は、人が密になる時はやっておいた方がいい。それ以外の時は、風もバーッと通っているわけだから、やらなくていいですと言っているのだから、散歩の時などはやらなくていいことにしようとかは、あり得るのではないですか。それぞれのご判断で、いちいち箸の上げ下ろしまで、NHK様にご質問があるようなかたちで、NHKが解説するのは無理でしょう。そういうことだと思います。

NHK:岸田総理は、外遊や視察でマスクを外されたり、官房長官も、もっとPRが必要みたいな話もありましたが、県として何か。

知事:何をPRするの。(マスクを)外せ、外せといいうPR。

NHK:マスク着用の指針について。

知事:それは、今、NHK様がおっしゃったような、どこで外したらいいのかという声を皆さんが拾ってくるから、どうですかと言ったら、それはPRしたほうがいいと、条件反射的にそういう答えが出るのではないか。だけど、じゃあどうやって解説したらいいかは、すごく難しい。それは十分されているのではないかと思いますが。

毎日:発表内容とは違いますが、同性パートナーシップ制度についてお聞きしたいと思います。先日、県内で唯一宣言されている橋本市で、第1号の認定式があったところです。和歌山県は、以前、不便解消ということで、夫婦対象の制度を同性カップルでも使えるように運用改正をしたところですが、パートナーシップ制度自体の宣言はしていないと思います。以前、記者会見で何度か聞かれていると思いますが、任期中に、最終的にパートナーシップ制度を導入しなかった理由を、改めて教えていただけますか。

知事:してもしなくても一緒だと思うからです。本人は嬉しいかもしれないが、制度的に、結婚という制度と同値になっているかというと、全然なっていない。だから、私たちは応援していますと宣言するのだったら、実質のところでちゃんと応援するような制度を作った方がいいのではないか。ええ格好は嫌いだということです。

毎日:まずは、法的に、国が整備するべきだという。

知事:すべきかどうかはちゃんと議論したらいい。国民的にも、民法を改正して同値にすべきだというところにまでいっているかというと、そうでもない。宣言された人が嬉しいと思うかもしれないが、そこで終わりなので、それだったら、じっと考えると困っている事がいろいろあるから、それを全部潰してあげた方が生活しやすいのではないか。決して、非難するようなことでもないし、かといって称揚することでもないし、できるだけ普通に生活ができるように条件を整えておくのが、行政の仕事だと思います。

毎日:実際、ここ何年かで宣言されている自治体が全国的にも増えていて、ある団体の調査では、人口を積み上げたら人口カバー率で50%を超えているぐらいになっている。主には、東京とか大阪が多いようですが、実際に取材をして聞いた中で、和歌山だと、そういう整備が他の近隣府県に比べて遅れているので、なかなか住みづらいから首都圏に行ってしまうという声もあります。仁坂さんが知事をやっている和歌山で、住みにくいと思っている人が現実にいることを、どう思いますか。

知事:住みにくい。ではお聞きしますが、宣言した県で、制度を同等にしているところは幾つありますか。例えば、県営住宅に同性婚の人が入れるというようなことにしている所は、幾つありますか。

毎日:それは、私は細かく調べていないので、分かりません。

知事:それを調べて、指摘するのが毎日新聞の仕事ではないかと僕は思いますが。

毎日:でも、実際に精神的に。

知事:精神的にあなたに寄り添っていますといって、実は何の寄り添いもしてないような人達を放置するのが行政かと私は言っているわけです。我々は、行政の仕事はちゃんとやっているから、それを理解するようにしていただくのがマスコミの仕事ではないか。それを、宣言してないよね、住みにくいよね、と言ってけしかけるのは、毎日新聞の仕事ではないと思いますが。

毎日:けしかけているというか、実際にそういう声を聞きます。実際に、やっぱりそういう宣言をしている所は、今の知事のお話からすると、パフォーマンス的であるというふうな感じがありますか。

知事:パフォーマンスかどうか分かりません。だけど、宣言だけして、残りの制度でいろいろ調べて、どこかで困っていることがあったら、それはちゃんとイーブンにしてあげないと気の毒ではないかというふうに思っているところが、どれだけありますかと聞いているわけです。それをちゃんとやっているのが和歌山県で、言うだけ番長がほとんどではないかというふうに僕は想像しています。言うだけ番長は決して評価されるべきものではないというふうに、心から思っています。

毎日:実際、他の宣言しているところは、言うだけ番長のところが多いということですか。そのあたりは調べたりしているのですか。

知事:毎日新聞がお調べになったらいいのではないですかと言っている。和歌山県は、元は違っていた。例えば、県営住宅に入れなかった。もっと言うと、事実婚も入れなかったところもあります。そういうのは、結婚という届出だけではなくて、元々あるのは継続的な関係と愛情です。そっちを評価するのは和歌山県であると私は信じています。
 毎日新聞はそんなことを言わないからいけないのではないか。言うだけ番長がはびこる世界をどんどん作っているのではないかという意見を持っています。

朝日:スペースポート紀伊の打上げ延期が決まりましたが、今回の打上げ延期の及ぼす影響、今後の見通しをお願いします。

知事:あまり、影響も見通しも、言うべきものはないのではないか。万全を期して打上げてもらったらいいわけで、部品が来ないとか、新型コロナ以来、今、あちこちで困っています。そういうのを無理して、例えば、これは必ずしも予定していた部品ではないがこれで間に合わせよう、というようなことはあまり止めたほうがいいので、十分な準備をして打上げてもらったらいい。別に、いつまでに打上げなかったら何かが困るわけではなく、一大事ではないので、そんなに言うことはありません。

朝日:スペースワンに対して、県としての注文というかお願いはいかがですか。

知事:全くありません。今、ずっと、技術的にきちんとやってくださいとか、営業活動も頑張りましょうとか言っています。それに尽きるのではないか。それから、できるだけ県内でたくさんの人は雇ってください。今、いろんな関連業種も含めて、大体60人ぐらいになるのではないかと我々にレポートされていますが、そんなものでは面白くないです。そのためにはどうしたらいいかというと、世界的に見たら、もっとたくさん射場がいるのではないか。例えば、(Amazon.comの)ベゾフさんだけでも、万の単位で打ち上げると言っているような世界です。ですから、和歌山県は、他にもいろいろな適地があると思うので、その適地に次の投資も考えてもらったらいいのではないか。それで、たくさん設備ができてきたら、これまた共通のサービサーとしてのいろんなものがあるから、特定はできないけど、それも現地に移した方がいいというような経済合理性が出てきます。ですから、私も、もっとたくさん考えていただけませんかという話は、折に触れてやっています。それが、裾野産業をさらに充実させる元になるということだと思います。
 それから、我々がやらなければいけない一番大事なことは、ちょっと心配はしていますが、交通渋滞を招かないことです。そのために、JRと協力したり駐車場をうまく整備したりして、一応形はできているけど、それに魂を入れていく作業は、まだまだ続くということだと思います。

日刊工業:24日に、ENEOS和歌山製油所閉鎖後の活用策について、トップ報告会があったと思います。知事として、どのようにその内容を受け止めていらっしゃるのか、県がどのような支援ができるのか。そのあたりを教えていただけますか。

知事:まず、発表されていないことを喋るわけにはいきません。やっぱり、投資はENEOSが非常に慎重に考えて、こういうふうにすると発表するものなので、それを、ある程度聞いているからといって、私が喋るわけにはいきません。会議の後、記者会見されて発表されたこと以外に、私は、今、申し上げることはありません。

ただ、ちょっと気分を言いますと、はじめ、石油のクラッキングがなくなるというところで、石油精製を止めますと言われて、本当はちょっと心配だったけど、本当にびっくりして、急遽(会社に)乗り込んで協議会のところまで勝ち取ってきたわけです。その時は、先が全く見えていませんから心配ばっかりでしたが、ちょっとこれは何か上手くいくかもしれない、そういう微かな希望がちょっと見えてきたので、気分的には非常に良いという感じです。ただ、中身はペラペラ喋るわけにいかない。

日刊工業:雇用の受け皿としては十分というような見通しですか。

知事:それは、中身を喋れないのに、そんなものを喋れるわけがない。ENEOSに聞いてください。ただ、私が、先がちょっと希望を持てると言ったのは、あくまでも、やっぱり雇用の観点からが一番大事なので、そういう意味では、雇用と関係なく持てると言ったわけではない。だから、雇用の観点からも、先が期待できる可能性もあるなというので、ちょっと気分が良いということです。

朝日:マイナンバーカードの件ですが、健康保険証との一体化という政府方針も示されています。今、和歌山の交付率の現状は、どんな状況でしょうか。
知事:交付率の現状は発表されていますから、それを調べていただいたらいいわけで、私は、今、数字はありませんが、下の方に近い。この間も、総務副大臣とのテレビ会議がありました。交付率が悪い、成績が悪いところに、電話して頑張れと言っておられるそうです。私の方からは、頑張りますというふうに言いましたが、どうやって頑張ったらいいかについては、私は、河野デジタル相が言っているのと、考え方は一致しています。すなわち、便利であるというふうな制度を作らないと、持っても持たなくても同じだけど、お金だけくれますというのは邪道だと河野デジタル相は言っておられます。私もそう思います。だから、どうやって、これを持っていたら便利になるかというような制度をどんどん作っていったら、持っていることによって、次の行政のDXや社会のDXがどんどん進んで、みんな便利になっていきます。そういう方向でやっていったらいいと思います。

じゃあ和歌山県はどうするかというと、行政のDXを、これから政府がやりなさいと言っていることに加えて、市町村と県でどうやって進めるか。共通して進めた方がコストも安いだろうし、知恵もあるし、互換性もできます。そういう意味では、それをやろうというふうになって、総務部長が、一生懸命いろんな人を説得したり、合意形成に努めています。その中で、マイナンバーカードをできるだけ活用して制度設計していくことをやっていけば、これから行政のDXが進む時に、いちいち別のカードを持っていってシュッとやらなくてもいい。マイナンバーカードでピュッといったら、全部がタタッといって、残りの証明などもその中に入っているというふうになれば、すごい便利になる。そういう方向で、マイナンバーカードの普及も図っていくのが、私は一番いいやり方だと思っています。
 そのように総務副大臣にも申し上げたら、まあそうねというようなことを言っておられました。元々、総務副大臣は、もっとお金でもあげてやったらどうだというようなご意見もちょっとあったと思います。それは別に否定はしませんが、それよりも便利にしていくことの方が大事ではないですかというふうに言って、我々もそれで頑張りますと言っておきました。

朝日:交付率の目標とかは。現状では低いということですが。

知事:目標は100%でしょう。

朝日:時期的にいつまでにとかはあるのでしょうか。

知事:それはありません。

朝日:円安が進んでいますが、県民生活への影響は、何か把握していますか。

知事:和歌山県は、割合、他県に比べても得意分野で、割ときめ細かくヒアリングなどをして経済動向の調査をしています。最新の時点は入っていませんが、やっぱり、当たり前ですが(物価が)高くなっているから、消費動向にちょっと影響が出ている。だから、物流が動く量は少し減っている可能性があって、これは景気の足を大いに引っ張ります。
 一方、企業の採算も同じで、これは、むしろ個々の企業がどうのこうのというよりも、理論的な話ですが、輸入原材料などが高くなるし、一般的に資材の価格が上がっているので、同じ仕事をするときに、原材料として投入するコストが高くなります。そうすると、同じ価格で売ることしかできなかったら、ものすごく利益が圧迫されたり、赤字になります。そうすると給料もはずめないし、経営も危なくなってくるというのが、今、我々が全体として持っている危機です。
 それに対して、和歌山の企業の提供する価格が上がれば、つまり価格転嫁がうまくできれば、ただの為替です。為替を調整することができていないのが一番の問題で、円高のときも円安のときも、大体、まともな経済学者は皆そう言いますが、処方せんの方があまりないから、騒ぎだけが報じられるわけです。そうすると、どうしたらいいかというと、一番の近道は、日本経済全体で価格転嫁を進めるようにしよう。例えば、輸出なんかが有利になるわけですから、輸出をどんどん進めよう。或いは海外から人が来やすいわけですから、どんどん来てお金を使ってもらうというように、適応していかないといけない。インバウンドはいらっしゃい、お金を使ってというのは、別に誰かやらなくても、今(海外からの)ゲートがかなり空いたので、これからそうなっていくと思います。

輸出の方は、生産手段の方で、国内の生産力をガクッと絞ってしまったので、少し急には適用できないかもしれない。しかし、それは、できる限りみんなで一生懸命やればいい。
 最後に、国内の価格転嫁は、輸出採算を持っている企業は、実はガバガバ儲かります。それで、ガバガバ儲かっているところが、みんな困っているのだから、ガバガバ吐き出してくれと。輸入原材料で部品を作って納めている人に、同じ価格でしか買ってあげないと言っていたら、もつはずがない。だから、企業の永続性を考えたら、自分のとこへ溜まっているお金の何割かは出して、価格転嫁を認めてあげる方向へ、総経済界がみんな舵を取らないと、適応できません。だから、価格転嫁こそが、今、一番大事なことだと思います。

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