知事記者会見 2025年6月4日
知事記者会見
記者会見での発表事項等を紹介します
2025年6月4日 記者会見室
宮﨑知事就任記者会見
今朝、初登庁いたしました。今までずっと登庁してきて、玄関から入ることはあまりないのですが、今回は玄関から県知事として登庁したということで非常に身の引き締まる思いであると同時に、たくさんの人たちに歓迎していただいて、本当に感動いたしました。同時に、責任の重さをひしひしと感じました。
選挙戦を通じて何度も言っているのですが、(和歌山県には)たくさんの課題があります。たくさんの課題があるのですが、これに1つ1つ取り組んでいくために、皆様方のご意見を聞かせていただきたい。そして、現場で共に歩いていきたいということをずっと申してまいりました。その中で、握手をするときに「頑張ってね」、「よろしくお願いしますね」と言われ、本当に重い責任をしっかりと背負っていかないといけないと感じましたので、これからも謙虚に一歩ずつ進めていきたいと思っています。
それと、いわゆる政治家になったと(思います)。境目があるような、ないような感じになるのですが、自分には43年間の県庁生活とは違うプレッシャーもあり、力も付けないといけないと思っているのが、今の現状です。
これからの政策的な問題としましては、これもずっと選挙戦で言ってきたのですが、まず「人」「こども」、そして「教育」という部分、これが1番目になると思います。「こどもまんなか」ということもずっと訴えてきました。教育委員会で教育長として取り組んだということで、こどもの個性も大事にしたいということも訴えてまいりました。そういうこども中心、こどもまんなかの県を作っていきたいと思います。給食費の無償化、こども食堂など、引き続きしっかりと対応していきたいと思っています。
2つ目は、誰もが「いきいきと働ける仕事(をつくる)」と申してきたのですが、2つの方面があると思います。まず人材不足や人手不足に本当に早急に対応していかないといけない、人がどんどん少なくなっていっているのが非常によくわかり、つらいなという(状況です)。特に、第一次産業で担い手が不足しているのを確かに感じました。年を取られた方々がたくさん頑張っておられる。そういう状況を見てきて、こどもや孫に継げる、自信を持って残せる仕事と皆さん方に思ってもらえる、そういうシステムを構築しないと、これからの第一次産業が危ないと思いましたので、しっかりと1番に取り組んでいかないといけない部分だと思いました。特に、田辺、みなべで雹被害で48億円という大損害が生じたことで、(農家が)「もうやめようかな」と思わないような政策をしっかりとしていかないといけないし、これからも夢と希望を持って、この仕事を続けられるように皆さん方に思っていただきたいと思うので、しっかりと力を入れていきたいと思います。今回、みかんの単価が高くて、みかん農家さんは非常に良かったと思っておられるのですが、それはいろんな偶然が重なった部分もあるのですが、やはり皆さん方が努力をされてきた成果だと思います。そういうことも含めて、来年もまた高い値段になればいいし、そのお手伝いが少しでもできるように頑張っていきたいと思います。
そういう第一次産業も大事なのですが、これからは地場産業も非常に大事だとかなり訴えてきました。まだ具体的には頭に浮かんでいないのですが、和歌山の地場産業の収益性を高めるような支援をしていきたいと思います。和歌山には非常に優秀な産業があります。そういう産業を見直してもらって、しっかりと次の代に残せるような、そういう会社をたくさん作っていって、和歌山県を担っていけるような企業がたくさん出てくれば良いと思っています。昔、ノーリツ鋼機があって、島精機製作所、第2、第3のそういう企業をどんどん作っていけたら良い(と思っています)。でもそれは、県が作るという問題ではなくて、企業さん方にいろんなお手伝いができればということであります。
それから岸本前知事も進めてきた成長産業について、新しい産業を生み出すという意味ではすごく有効な手段だと思っていますので、GX、ロケット、それから海洋の風力発電など、どんどん協力していきたいと思っています。
それから、(3つ目は)「いのちと暮らしをまもる」取り組みということで、やはり地震防災対策、これは1番大事なことであると思います。(被害)想定の中で、たくさんの方が犠牲になる話を聞くと、何とかしないといけない、一刻も早く取り組んでいきたいと思います。防災・減災対策の強化、それから医療・介護の提供体制、それをしっかりと守っていかないといけない。そういうことを確実に着実に進めていきたいと思います。
たくさんの問題があります。防災の関係でもそうです。それから医療の問題でも、医師不足という問題もあります。そういうことを1つ1つ皆さん方のご意見を聞きながら進めていかないと、なかなか何も生まれてこないと思いますので、地域を、いのちを、それから暮らしをまもっていきますということを申し上げたいと思います。
それから4つ目ですが、和歌山県を「住みたくなる地域、魅力のある地域にしていきたい」と思っております。
産業の部分で地場産業とも申しておりましたが、いのちと暮らしをまもるという3つ目の政策の中で、欠かせないのは建設業だと思っていまして、建設業は地場産業であると同時に、防災などの部分ですごく活躍していただいている業種であります。道が壊れれば直ぐに対応していただける、そういう大事な産業でありますので、どの地域でも建設業者がいるという状態は非常に大事でありますので、しっかりと力を入れていきたいと思います。
それから先ほど申し上げた住みたくなる和歌山、そういう感覚なのですが、やはり移住関係を進めていきたいと思いますし、観光もしっかりと力を入れていく分野であります。地域の魅力をしっかりと高めていくというのは、どの地域でも言えることでありますので、魅力ある地域を心がけて、皆さん方にご協力をお願いしたいなと(思います)。市町村の方々は非常に皆さんよく考えておられると、今回の選挙でも思いましたので、それに協力していきたいなと思っています。
以上、政策的なことは、全部言えたわけではないのですが、そういうことをしていきたい。
それから職員に向けては、先ほども部長会議をしたのですが、まず、職員から県民の方々の話を聞いてくださいと(申し上げました)。私ももちろん聞きに行きますし、タウンミーティングも全然しないというわけではなくて、これからどんな頻度でやっていくかは、まだ決めていないのですが、県民の声を聞くような機会をたくさん作っていきたいと(思っています)。でも、それは各職員、特に振興局が1番やらなければいけないことだと思っています。私が知って、後で職員が知るというよりも、どちらかというと逆の方が良いと思っています。
それから、職場の環境を良くしたい。それはソフトでもハードでもと申し上げているのですが、(県庁は)あまり綺麗な職場でもなく、たくさんの設備が揃っているわけでもなく、廊下には冷暖房が完備されているわけでもない。楽しい職場を作るために、この与えられた範囲の中で、少しは設備的にも良いものになればと考えています。とにかく職員がいきいきと楽しく仕事をできる環境を作ることが大事であり、そういう環境の中で「県庁って良いよね」「県庁に入りたいよね」とたくさんの人が(採用試験を)受けてくれる、そういう状況にしていきたいと思っています。
先ほど、県議会議員の方々もニコニコされていたのですが、とにかく県議会と県は車の両輪であるということで、本当に選挙でもいろいろな議論をされておりましたし、助けてもいただきました。本当に皆さん方は、一生懸命に県のことを考えてくれていると思っています。一緒になって手を携えて、しっかりと行政を進めていけたらと思います。
質問と回答
NHK:今の話の中で1番目に挙げたのが、こどもまんなか社会でした。そうした県政運営をしていく上で、県内での課題をどのようにお考えなのか、それをどのように解決されていくのかを伺えればと思います。
知事:こどもまんなか社会の実現(に向けて)頑張りますという話をしていたのですが、課題はたくさんあります。どれが課題というよりも、どういうことが完成形かというのを目指し(考え)ながら、これから積み上げていきたいと思っています。「今これが課題です、だからこうします」というのではない(と思います)。まだまだ課題はたくさんあり、こどもまんなかという精神的にも形的にも言われるようになるためには、まだまだ先は長いと思いますが、目指すのは目指します。
NHK:昨日の一夜明けての会見でも言及がございましたが、今まず取り組みたいもの、真っ先に手をかけたいものは、どちらになりますでしょうか。
知事:即戦力と言ってきたこともあって、今日から何が問題なのかということですよね。例えば、「雹被害を何とかしましょう」という話、国にも働きかけ、県でも予算を組めないかということも考え、市町村でどのようなことをするのかということも(踏まえながら)、これから詰めていかないといけない。今の目の前の問題を解決していくことから、まずは取り組んでいきたいと(思います)。そのためには、例えば県の財政がどうなっているのかということももう1回検証したい。目の前の問題はたくさんあるので、どれというのは少し言いにくいです。不自由しないくらいいっぱいあります。
NHK:県の財政についても話がありましたが、岸本前知事も財政に大変危機感を持っておられたと思いますが、その上で、例えばマイナスシーリングなどにも踏み込んだ年もありました。宮﨑知事は県の財政について、どのように向き合っていく考えでしょうか。
知事:もう少し勉強です。まだ皆さん方の前で言えるような話はないと思います。
NHK:和歌山の課題として、PR力のようなことを挙げられたこともあったと思います。新知事として、どのように和歌山の存在感、PRに力を入れていかれるか、改めて教えてください。
知事:発信力という意味では、前の岸本知事のようなわけには、今はいかないと思っていますし、これからもなかなか難しいとは思いますが、これはみんなが発信しないといけない。知事の発信ももちろん大事ですが、知事が発信しなければいけない部分、それからその他の人たちみんなが発信していかないといけない部分が絶対あると思うので、おそらく、いくらすごい知事だったとしても、1人でやっても限界があると思います。だから、皆がその気になって、「和歌山が最高だ」と思っていただいて、外へ宣伝していくことが一番理想なのかなと思います。
産経:選挙期間中も話をしっかりと聞いて現場へ足を運びたいと、ずっと訴えてこられ続けたのですが、まず話を聞くという部分で、前知事はおにぎりミーティングなど、職員の声を吸い上げる中で、職場の環境を変化させてきたと思うのですが、そのような職員との対話をどのような形で続けていくのかが1点、もう1点は現場主義ということなのですが、まず現状で、どこの現場を訪れたいと考えていますか。その2点をお願いします。
知事:職員との対話はもちろん続けていくのですが、今のところ、おにぎりミーティングはあまり考えていない。例えば、部長、課長あたりからおにぎりミーティングをしてもらう、そういうことの方が良いのかなと思います。ただ、私は何もしないというわけではなくて、それぞれの範囲内で(対話を行う)。今回はどこどこ(の部署)とおにぎりミーティングする、主事の人とおにぎりミーティングをする、副主査の人とおにぎりミーティングをする、そんな形でやっていたと思うのですが、その方法はあまり考えていないです。ただ、職員の話はしっかりと聞いていきたい、その方法はこれから考えたいと思います。
それから、現場へ行くことは、実は5月13日にみなべ町の晩稲に行って、雹被害の現場を見てきたのですが、まさに選挙自体が現場だと思いました。雹被害が発生していない梅農家だったのですが、その現場でも選果作業をしている方の作業場へ行って、時間もなかったのですが、少し見せていただいたり、そういうことをしてきたのですが、そういうきめ細かな現場(訪問)が大事だと思っているので、今回は梅の雹被害がまずあるのでしょうが、例えばそういう被害を受けたとか、こういう新事業を始めたとか、そういうことがあれば必ず足を運んでいきたいと思うし、そういうことがなくてもできるだけ外へ行って、見ていきたいと思います。それは、それぞれの職員にもお願いしたいと思っていまして、それが皆さん方のご意見を吸い上げる1つの1番手厚い方法だと思うので、しっかりと取り組んでいきたいと思います。
産経:具体的に今、行きたいところはありますか。
知事:具体的には、特にないです。特にないというか、毎日のように現場があると思います。とにかく昔から現場の仕事が好きだったので、やはり現場へ行くと、実際に考えていたときと違う状態が必ずあります。その状態を見るということが非常に大事だと思いますので、それは職員にもお願いしたいと思っていまして、是非、目の前のものを見て欲しい。問題になっているものを見て欲しいとお願いしようと思っています。
産経:県の財政状況についても先ほど話がありましたが、今の和歌山県がどういう状況にあると認識されていますでしょうか。
知事:財政危機警報と岸本前知事が申しており、財政的に危機だと思っています。取捨選択しながら、これからの政策を考えていかないといけない、たくさんのお金を使える状態でないことはわかっておりますので、優先順位をつけて考えていかないといけないことも理解しているつもりです。
産経:取捨選択とおっしゃいましたが、シーリングをかけて全体的にという形ではなく、選択と集中を図っていく方向になるわけですか。
知事:それは、まだわかりません。
共同通信:冒頭、政治家になったことを少し実感したという話があったと思うのですが、改めてどういう実感なのか(教えてください)。これまでずっと県庁の職員として長く務められてきたと思うのですが、政治家になったことを感じたということは、具体的にどういうことなのかということと、知事というのは選挙で選ばれた政治家であって、県のトップとしてどのようなことをより意識して進めていきたいか、決断することなども求められると思うのですが、その辺のことを教えてください。
知事:選挙をしたということ、その判断に至るまでもすごく葛藤がありました。自分の中の葛藤なので、それは皆さん方と全然関係のないところだと思うのですが、まず決断をして、そして違う世界に足を踏み入れないといけない、そのときにいろんなことが周りからもあり、自分の中でもありました。だから、そこでの決断は、人生66年生きてきたのですが、こんなことはなかったと、それが政治家になるという部分の境目になっていたと思います。ただ、与えられた責任は、教育長時代とは全然違います。選ばれた人間であるという自負、県民の皆さん方に選んでいただいたというのが本当に大きな違いだと思います。
共同通信:決断を求められたりする部分もあると思うのですが、その辺はいろいろな人の意見を聞きながら、最後に自分が決断して進めていくという形をとっていきたいという考えでしょうか。
知事:どんな世界でも、部長時代でも、もちろん決断は必要なのですが、最終、知事がいるというのもありますから、後ろを見たら誰もいない状況になったことは、すごく身の引き締まる思いであります。
共同通信:先ほどの職員が働きやすい環境という話と少し関連するのですが、岸本前知事も県民を笑顔にするためには職員も笑顔で働きやすくならないといけないということで働き方改革を進められてきました。まだ、正式に決まっていたわけではないと思うのですが、例えば年末には職員の人をフレキシブル制にして週休3日制を実現したいということもおっしゃっておりました。職員の働き方改革をどのように進めていきたいか、例えば週休3日制であったり、その辺のことも岸本前知事を引き継いで進めていきたいとお考えなのか教えてください。
知事:具体的にこうするというよりも、(担当課で)ずっと研究していただいています。総務部や福祉保健部や共生社会推進部でいろんな研究をしていただいている。その成果を、どれだけのことができるかというのも含めて、レクチャーを受けたいと思っていまして、そこからまた良い発表ができればと思います。
共同通信:方向性自体は、岸本前知事と(同じでしょうか)。
知事:私自身が楽しく仕事をしてきたつもりだったので、職員が本当に楽しく仕事ができるというのが大事ではないかと思っています。
読売:取り組みたいこととして、こどものこと、産業のこと、防災のこと、いろいろおっしゃっておられて、具体的にはこれから検討されていくとのことですが、4年間ある中で、宮﨑知事として成し遂げたいと思っておられることはどのようなことでしょうか。
知事:岸本前知事も2年4ヶ月で、道半ばであったと思っています。それを引き継いだ形で私もこれから取り組んでいくのですが、もしかしたら引き継がないことも出てくるかもしれない。自分の中で4年間でやり切りたいことは、まずは仕事(雇用)です。仕事をしっかりと作っていけたらと(思います)。4年間でできるかというと、なかなか難しいのですが、やはり働く場所というのが1番大事だと思っていて、和歌山へ帰って来て、みんなが楽しく幸せに暮らせる、そういう受け皿を作れたらと思っています。それは産業の振興であったり、第一次産業を後を継ぎたいと思えるような、システムにできることが1番大事だと思うので、それを4年間でできるかというのは別にして、ずっと目指していきたいと思います。
紀伊民報:副知事人事については、今どうお考えでしょうか。
知事:白紙です。
紀伊民報:どういった方を選びたいなど(考えはありますでしょうか)。
知事:それを悩んでいるということです。
日刊工業:和歌山県には課題がたくさんあるという話だったと思います。それで和歌山大学や、企業の方などと連携してこのような課題に取り組んでいく「わかやま地域連携推進プラットフォーム」が4月に立ち上がったと思いますが、このような産官学連携の取り組みを、今後どのように和歌山の課題解決のために進めていきますか。
知事:プラットフォームも結局、立ち上げの会(設立記念シンポジウム)が延びてしまった。実質、そういうこと(課題)を議論できる会にしたいと思います。形だけではなくて、実質の議論ができれば、すごく良い示唆も与えてもらえるだろうし、良い方向に進むと思うのですが、形だけにならないような組織にしないといけない、そういう実質を兼ね備えたプラットフォームができれば良いと思っています。