知事記者会見 令和6年7月30日
知事記者会見
記者会見での発表事項等を紹介します
令和6年7月30日 知事記者会見
令和6年7月30日 記者会見室
知事の中国訪問
資料1(PDF形式 602キロバイト)
それでは、定例会見を開きます。今日は、発表事項が2件です。最初は中国訪問について報告をさせていただきたいと思います。お手元に資料があると思いますが、今回は四川省、山東省、それから北京市の清華大学を訪問しました。まずは山東省で、和歌山県が友好提携をしてから、ちょうど40周年ということで、40周年記念式典の出席が主な目的でしたが、山東省のトップの林武(りん ぶ)書記と会談ができました。40年間の青少年交流を初めとする各種の交流について、双方ともに評価をした上で、さらに深めていきたいということで合意をしました。
それから、四川省を訪問して、施小琳(し しょうりん)省長にお会いしました。四川省とは交流の期間が2022年、新型コロナの時からでまだ短く、オンラインでの提携式でしたので、和歌山県知事が現地に行って交流したのは(今回が)初めてです。(和歌山とは)二つの繋がりがあり、後でご説明しますが、パンダ繋がり、それからもう一つは2008年の四川大地震です。四川大地震は数万人規模の死者、約40万人の怪我人が出たような大きな地震で、それを契機に四川省も防災・減災教育館というものを建てて、省内の皆さんに教訓として学んでいただくというような活動をしている中で、「日中防災減災シンポジウム」を開くようになりました。そのメインの相手が和歌山県で、パンダ繋がりと防災減災繋がりということで訪問してまいりました。これからは、さらに青少年交流も含めての交流を深めていきたいということで合意をいたしました。なお、山東省と四川省ともにお互いプレゼントの交換をしました。和歌山は漆器とか和歌山県の特産品をいつもお渡ししているのですが、私から別途、大阪・関西万博のミャクミャクのぬいぐるみをそれぞれのトップの方にお渡しし、大阪・関西万博にお越しくださいという招待をして、その際に和歌山にもぜひ訪れていただきたいとお願いをしたところです。なお、資料にありますが、四川省の成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地にも訪問し、トップの尹志東(いん しとう)主任と会談ができました。その際、二つの大きな中央組織で、パンダを管轄している中央政府の国家林業草原局の幹部と中国動物園協会の会長にも同席をしていただきました。私からは永明(パンダ)パパの跡継ぎをぜひ和歌山県に来てほしいという県民の熱い希望を伝えさせていただきまして、尹志東主任からは受け止めましたということで、応答をいただきました。アドベンチャーワールドの山本社長にもご同席いただきました。和歌山の白浜で17頭パンダが生まれていて、16頭が永明パパのお子さんです。尹志東主任からは30年間の飼育技術、繁殖技術の高さは評価いただいたとはいえ、私の持った印象では和歌山県とかアドベンチャーワールドと成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地の合意で進むような話ではないのではないかという印象を受けました。おそらく、いわゆるパンダ外交という言葉があるくらいで、大変、大きな外交案件になるのではないかという印象を受けました。従いまして、これは日本政府と中国政府の間で、さらに上の段階で交渉いただくような案件ではなかろうかという印象を持ちましたので、今回の私の四川省の成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地への訪問はスタートとして、パンダパパの跡継ぎにお越しいただくためのキックオフだったというふうに考えています。今後、このキックオフをはじめ、日本政府の要路にも働きかけて、県民の皆様のお力を借りて、着実に粘り強く、跡継ぎのイクメンパンダパパをお呼びする努力をしていきたいと、そのように考えています。
それから、北京市を訪問しましたのは、中国でもトップクラスの理工系大学の清華大学と和歌山県は友好提携を結んでいるのですが、さらにその友好提携を深めるために清華大学日本研究センターと高野山大学、和歌山大学、和歌山県でいわゆる「高野山フォーラム」を行いました。基調講演を添田高野山大学学長に行っていただき、私も、和歌山大学の本山学長もご挨拶をさせていただきました。高野山大学の先生、それから清華大学の先生との相互の研究発表がありました。私がびっくりしたのは清華大学におけるいわゆる高野山の密教の研究とか、或いは南方熊楠研究の水準の高さに大変感動しまして、本当に面白い研究でした。
一方で、高野山大学の方は、実は清華大学の卒業生の徐東軍(じょ とうぐん)先生が高野山大学で博士号を取られて、高野山大学の先生をされているのですが、徐東軍先生の発表は密教に関するもので、中国の古代数学を適用された曼荼羅の研究で、日本の学者では期待できないような研究成果を挙げられておられて、清華大学との研究交流はこれから果実を生むのではないかという印象を受けました。その場で清華大学のトップの邱勇(きゅう ゆう)書記とお話をして、第2回の高野山フォーラムを来年高野山で行いたいということで、合意をしたところです。中国関係は以上です。
「一般社団法人和歌山県産業資源循環協会」が「企業の森」事業に参画します。
資料2(PDF形式 1,255キロバイト)
発表事項の二つ目ですが、「企業の森」に一般社団法人和歌山県産業資源循環協会に参加をいただくことになりました。「熊野鶯(くまのうぐいす)の森」ということで、すさみ町の民有林をお借りして「企業の森」事業に参画をしていただくことになりましたので、ご報告をさせていただきます。
和歌山県と株式会社紀陽銀行及び南海電気鉄道株式会社が包括連携協定を締結します
話題事項ですが、今日(7月30日)この後に行いますが、株式会社紀陽銀行、南海電気鉄道株式会社と包括連携協定を結ぶことになっています。これも資料をご覧いただければと思います。
以上です。
質問と回答
読売:日曜日(7月28日)に橋本市内に米軍のヘリが着陸した件について、知事の受け止めと、昨日(7月29日)近畿中部防衛局に申し入れをされていると思うのですが(7月29日資料提供済)、その中で速やかに情報提供を行ってほしいという文言もありました。それは今回の事案よりも、よりスピード感を持って情報提供してほしいという趣旨ということでよろしいでしょうか。
知事:今回、ご担当は今おっしゃったように近畿中部防衛局です。和歌山県には近畿中部防衛局を通じて情報提供がありました。そして、近畿中部防衛局の担当官もわざわざ県庁まで来ていただいてご報告をいただいたところです。なお、和歌山の自衛隊の出先機関もありますが、危機管理部では陸海空の各基地等、海で言えば阪神基地隊、それから司令部でいうと第3師団司令部、中部方面総監部もそうですが、自衛隊の要路といつも緊密に連絡を取っています。別途、和歌山県と普段連携をとっている自衛隊の皆さんからもいろんな情報をいただいていますが、やはり近畿中部防衛局を通じて、米軍からの情報を1時間でも、1分でも早くいただきたいという趣旨で、申し入れをさせていただいたところです。
NHK:今の質問に関連して、今回は米軍から近畿中部防衛局を通じて、和歌山県の方に情報が入ったのが、着陸から1時間半ほど後だったと聞いていますが、その時間、1時間半掛かっていることについて、その長さというところはどういうふうに受け止められていますか。
知事:大きな事故があったわけではありません。ご存知のとおり、別にヘリの計器が止まったわけではないのですが、緊急にエンジンの不具合ランプがつきました。不時着という言葉は使わない方がいいのかもしれませんが、不具合のランプがついた時は不時着をするという、そういうマニュアルに従って、広い河川敷に降りられたということです。(情報提供まで)1時間半という時間が短いのか、長いのかということについては、私は軍事の専門家ではありませんが、少なくとも1時間程度の誤差であれば、それはある程度許容できる誤差ではないかと、つまり指揮命令系統があって順番に伝言でくるわけですから、私は許容できる範囲ではないかと考えています。
NHK:パンダの関連でお伺いしたいのですが、今回、和歌山県、アドベンチャーワールドさんと相手方の間での交渉は、なかなか難しそうだということで、政府に働きかけて交渉を進めていかれるというようなお話だったかと思うのですが、政府に対して、どういうような対応を求められるか、具体的にございますか。
知事:いわゆる外交の問題になってくるでしょうから、県選出国会議員の先生方を通じて、また、私も場合によっては外務省とのパイプがありますので、外交関係の関係者にお願いをしていく、地道にお願いをしていく、そういうことだろうと考えています。
NHK:あと一点ですが、そういった雄のパンダの来和について打診された際、相手方の反応として受け止めましたというような応答があったということだったと思いますが。
知事:尹志東さんという責任者の方からは、和歌山県民の熱い思いを受け止めましたということでした。
NHK:あと反応としてそれぐらいで、他に何かおっしゃっていたりするということはありましたか。
知事:基本的にはそういうことです。従って、非常に微妙な問題だろうなという印象を受けましたし、実際そういうことだと思います。昔、ピンポン外交というのがありましたが、ピンポン外交の次はパンダ外交です。ですからこれは大変大きな外国の案件の一つだろうということは前から分かっていましたが、それが実感できたということです。
ただ、追加して言うと、本当に先方からは17頭の繁殖に成功したという意味では、実はパンダ基地ができたのがちょうど31年前で、発足とほぼ同時にアドベンチャーワールドと30年間提携をしていただいて、先方からも最初の頃は飼育員が来られて、(技術を)伝授され、相互の交流もある中で、アドベンチャーワールドの飼育員の皆さん、全体の技術の高さ、繁殖技術の高さに対して、大変高い評価はその場でもいただいております。
産経:今回、ヘリが不時着したから連絡があったと思いますが、和歌山県の上空を米軍が通過することがある場合に、事前に連絡は特に入らないのでしょうか。
知事:米軍が訓練されるという情報は、それはなかなか私ども都道府県に連絡するというような制度になっていませんので、それはございません。
日刊工業:話題事項で株式会社紀陽銀行、南海電気鉄道株式会社と包括連携協定を結ばれるということですが、県としての狙いと、何か具体的に、今年度こういったことを始めますという、何かこの協定を通して、すぐに動くようなことはありますか。
知事:具体的なものはまだ申し上げられませんが、水面下では相当いろんな動きがあります。今、確定的なことは申し上げられませんが、例えて言うと、観光振興で和歌山県がやっているのはホテル誘致のようなことです。これはいろんな意味で長年やってきていまして、例えば、那智勝浦の方で株式会社経営共創基盤が出資をしてくれましたが、そのような形でいろんな観光面でのホテルの進出、ホテルの誘致等について、これはまさに南海電気鉄道株式会社が動かれて、その時、当然融資というような話になりますから可能性として、株式会社紀陽銀行がそういうところの融資をされるというような一応イメージはございますが、具体的なことは今後ということだと思います。
朝日:米軍ヘリの着陸の件で、昨日(7月29日)は近畿中部防衛局の方に申し入れを要請したということですが、その反応はどういうものであったのかということと、今回着陸したことについて、知事としては致し方がなかったということで理解しているのかということを教えてください。
知事:まず、昨日(7月29日)段階で近畿中部防衛局を通じて、米軍に申し入れをしていますが、今の時点でお返事はまだありません。おそらく今日、明日中には近畿中部防衛局から何かしらの反応があるのではないかと考えております。
一方で、当然ヘリコプターの運用については、安全第一でありましょうから、全く人家とかけ離れたところの広い河川敷に降りられたということについて、私はやむを得なかったのではないかと考えております。
共同通信:私も白浜とかに行く中で、インバウンドの外国人の方が増えてきているなというふうに思います。そろそろ8月で夏休み期間になりますが、改めて新型コロナが終わって、その中でインバウンドの現状について、知事の認識と、これまで外資系ホテルの誘致であったり、今後やっぱり人手が少し足りなくなる中で、富裕層に焦点を当てたビジネスモデルを構築していきたいということをこれまでも言われていますが、改めてその狙いとか、どのようなことを進めていきたいかということについて教えてください。
知事:まず、インバウンドはご存知のとおり、新型コロナ前の8割以上に戻ってきています。特に、この夏は高野山、熊野古道を中心として、相当戻ってきています。これは大変ありがたいことで、特に、今年は紀伊山地の霊場と参詣道の世界遺産登録20周年ということでいろんなイベントもやっていますが、やっぱりインバウンドの外国の方が精神的なものを求めて、高野山とか熊野に来ておられるというのは、現場の方もそうですが、我々県の担当者も肌で感じているということです。これは和歌山県の特別な長所だと思います。日本中には風光明媚で景色の綺麗なところはどこにでもあるわけですが、それに精神性があり、物語があるというところが和歌山県の強みです。これが外国の方に評価されていると考えています。それをさらに進めていきたいと思っています。
それから、南海電気鉄道株式会社と株式会社紀陽銀行との連携協定の中で申し上げましたが、ホテルの誘致は水面下で担当の皆さんが本当に頑張っていただいて、各方面でやっています。それは決定するまでは報告できませんが、その中でいろんなタイプがあっていいと思います。特に、熊野古道に来られる方というのはバックパッカーで歩いて民泊というような、そういうお客様もいらっしゃいます。安く泊まれる場所があってもいいだろうし、或いはラグジュアリーな、豪華なホテルで、いわゆる富裕層の皆さんが来られて、たくさん和歌山県にお金を落としてくださるようなお客様が来られるためのホテルを誘致するというのもこれから重要になってくると思います。その(中で)一つは人手不足ということもあるのですが、客室単価を上げることによって、少ない従業員で利益を上げていくというビジネスモデルも既に和歌山県のホテルで採っておられるところもあります。いろんな形のビジネスができるような環境を整えていくということが大事だと思っています。その中で、和歌山にはまだ富裕層向けのホテルが少ないということなので、県としてはそこに力を入れているというふうにご理解をいただければと思います。
観光交流課長:先ほど、知事が述べられた足元の外国人の延べ宿泊者数ですが、月末に観光庁の宿泊旅行統計調査が発表されて、2ヶ月遅れで最新の数字が出ます。4月分が最新の数字になっています。4月分の数字で言うと新型コロナ前のマイナス5.5%で、ほぼ95%まで回復していて、新型コロナ禍前と同水準まで単月ベースでは戻っているということをご認識いただければと思います。
知事:失礼しました8割ではなくて、95%ということでした。
和歌山新報:中国訪問の件ですが、現地の要職の方と特に青少年交流の推進について強調してお話をされていたように資料でも拝見して感じるのですが、中国の大学での記念の講義等もあり、現地の青少年に対して抱いた印象であるとか、或いは何か今後の交流の新しいアイディアとか、もし何かお考えがありましたら教えてください。
知事:特に、山東省とは40年のお付き合いですので、大学の交流なんかも大変盛んで、例えば山東師範大学の学生さんたちは大体30人、40人の規模で毎年和歌山に来てくださいます。最近も来ていただいています。逆に、和歌山からも山東省に若者が何十人という規模で行かせていただいて、交流ができていると思います。これは続けていきたいと思っていますし、さっき言いました清華大学とも、学生の交流をしていきたいと思います。清華大学の場合は、究者の交流も目標にしようということになりました。実は私、山東大学で20年前に客員教授で授業をしていたのですが、今回も山東大学の学生さんに授業させていただいて、(学生は)非常に優秀でした。山東省の人口規模が1億人で、1億人の規模と90万人の和歌山県が対等で提携していただいているのは有難いことで、地方政府同士ということで非常に対等の付き合いをさせていただいています。今回も大変鋭い質問を(学生から)浴びせられまして驚きました。