知事記者会見 令和6年6月5日
知事記者会見
記者会見での発表事項等を紹介します
令和6年6月5日 知事記者会見
令和6年6月5日 記者会見室
植田油脂株式会社と家庭用使用済み天ぷら油回収実証事業に係る連携協定を締結 - 6月11日に締結式を行います -
資料1(PDF形式 591キロバイト)
それでは、会見を始めさせていただきます。まずは、発表事項が一つ、関連する話題事項一つを報告します。担当は成長産業推進課ですが、ENEOSの方でSAF(持続可能な航空燃料)の精製ということで今準備を進めていただいています。予定どおりの日程でSAFの事業が進められることになりますが、原料としての廃油は基本的には産業用廃油を中心として調達されます。今回、家庭の使用済み(天ぷら)油についても、回収して原料にあてられないかということで、その可能性について、県として実証実験をしたいということです。そのために、発表事項の資料にありますとおり、植田油脂株式会社と連携協定を結ばせていただいて、後ほど、説明しますが、和歌山市、海南市、有田市で行う実証事業のお手伝いをしていただくということです。資料に(回収拠点一覧が)付いていますが、スーパーマーケット等のご協力でお店に回収拠点を置いて、家庭用の使用済み天ぷら油を専用ボトルで回収して、それを植田油脂株式会社が収集し、かつそのボトルを洗浄して元に戻します。この仕組みを持っている事業者が県内にいないものですから、先行的に実績のある植田油脂株式会社と提携して、お手伝いをいただくということになりました。
家庭用使用済み天ぷら油の回収等にご協力いただけるモニターの方を募集します
関連して、次の資料の話題事項で、6月3日に既にお配りしていますが、家庭用の使用済み天ぷら油の回収のモニターを募集させていただきたいと思っています。6月21日以降に(回収拠点で)専用ボトルを受け取っていただけます。回収は7月1日からスタートということです。ぜひ、和歌山市、海南市、有田市にお住まいの皆さんは、モニターに奮ってご参加をいただいて循環型社会を作っていくことについて、ご協力をいただきたいと思います(※3市に居住していなくてもモニターにご登録いただけます。)。令和5年10月に「わかやま資源自律経済ビジョン」を発表していますが、それに基づいた事業です。また、令和6年度の予算化もしたところですので、ぜひ、皆様方にも報道等で応援をいただければと思います。回収拠点の一覧も資料に載っていますが、スーパーマーケットでオークワ、スーパーセンターオークワ、メッサオークワ、それから紙の杜という主として紙の資源回収を県内各地でしていただいている会社の和歌山市、海南市、有田市の回収拠点、松源、サンキョー、和歌山市役所、和歌山県庁県民ロビー等でも用意をさせていただいております。海南市役所、有田市役所でも同様でございますので、どうかご協力をよろしくお願いしたいと思います。
外国人材雇用に関する支援事業を開始しました!
資料3(PDF形式 711キロバイト)
もう一つの話題事項ですが、従来、和歌山県庁としては外国人材を我々の働く仲間として、きちんと人権を尊重しながら受け入れていきたいということで、積極的に外国人材の受け入れを進めてきています。令和6年度予算でも、しっかりとした政策をいくつか用意していますが、その中の一つとして「WAKAYAMA外国人材雇用サポートデスク」を無料で利用できる支援事業が立ち上がりましたのでご報告をさせていただきます。詳細は(資料に)書いているとおりです。さらに、それに付随して、外国人材の皆さんはお互い友人同士、いろんな情報交換をSNS等を通じてしていますので、親和性があるのではないかということで、県として県内の各企業と外国人材の方とのマッチングサイトを作らせていただきました。これも利用無料ですので、このようなサポートデスクや外国人材とのマッチングサイトを準備させていただいて支援を進めていきたいと思っています。これも初めてやることですので、最初からうまくいくかどうか試行錯誤しながら、トライアンドエラーでやっていきたいと思っています。
以上です。
質問と回答
日刊工業:天ぷら油の回収に関して、今回、第1弾ということでモニター募集されるということですが、今後どういったスケジュール感で進めていくかという大体のスケジュールがあれば教えていただけますか。
知事:いわゆる資源循環型の社会を作っていくという意味では、SAF関係で言えば、全てのご家庭の廃油を回収して、それを県内一円でやれば、かなりの量になるわけですが、そういうことが可能なのかどうかという実験ですので、とにかく一度これをやってみて、その結果を検証して、次のステップにどのように行くのかどうかということだと思っています。まずこれをやってみて、その後はこれからというふうに考えています。
産経:今の関連で、ENEOSの方でSAFが進んでいるということですが、今回、実験で回収した天ぷら油でSAFを実際に作ってみるというところまでは進むのでしょうか。
知事:ENEOSの方でそもそも(SAFの精製)プラントができていませんので、それはまだです。どれだけ(実証事業で家庭用使用済み天ぷら油を)回収ができるのか(の検証です)。回収したものは、当然、別用途で使っていただくのですが、ENEOSとの関連までは少し時間が掛かると思います。
読売:発表項目外ですが、政府が近く人口動態統計を公表する予定です。出生状況などは結構厳しいものが予想されるのですが、改めて和歌山県の現状と対応について教えてください。
知事:これは毎回申し上げていますが、直近の人口動態を見ましても、和歌山県の人口減少は全国平均に比べてもスピードが速いというふうに認識をしています。これについては前から申し上げていますように、外国人材をどれだけ受け入れることができるのか、それから移住定住も地域振興部を中心にかなり進めてきていただいていますし、いい成果も上がっていて、さらにこれを進めていきます。それから、給食費無償化のような子育て世帯への支援というようなこともできる限りのことはしていきたいと思っています。毎年1万人近い人口減少というのは当面続きますので、このこと自体をどうすることもできません。そういう大きなトレンドの中で今回の総合計画もそうですが、予想される人口減少のもとで、どれだけ私達が市町村と一緒になって、行政サービスを提供して、県民の皆様に安心、安全でウェルビーイングな暮らしを維持していただけるのか、そちらの方にフォーカスしていきたいと思っています。人口が減少することは、これは国全体の話ですし、やむを得ないということで対応を考えていくということです。
NHK:発表項目外になってしまうのですが、八郎山トンネル(施工不良問題)のことでお伺いさせてください。5月31日に県として委員会とともに調査報告書をまとめられたと思うのですが、新しい事実はほとんど盛り込まれていないというふうには聞いています。こうしたずさんな工事が行われていたということについての受け止めというのを改めて教えてください。
知事:5月31日の技術検討委員会で最終的な報告書を取りまとめいただきました。委員の皆様方には大変タイトな日程でご協力をいただきましたので、この場を借りて改めて心から感謝申し上げたいと思います。その上で(報告書は)これまで発表したことの集大成みたいなものです。本当にこんなずさんなことが起きたのかというのは、今一度驚かされるということであります。報告書にありますように、直近で言えばトヨタ自動車を初めとする世界に冠たる自動車会社のああいう不正の問題もありますが、それに匹敵するような倫理観の欠如ということが、これはもう日本の大企業から中堅企業、或いは中小企業まで、どこもそうなのかということについて、もちろん建設業界の中で、うちはそんなことはないというところが99%だと思いますが、今回の会社については猛省を促すわけです。業界の中でも、リーディングカンパニー(主導的な会社)に対してのご批判があるやに聞いていますから、全部が全部というわけではないですが、「ブルータスお前もか」というトヨタ自動車の会長の言葉ではないですが、ひょっとして、それは会社の問題、或いはその方の問題なのかもしれないが、我々が戦後いろんな経験を経て、2024年の日本の社会全体に大きなひずみを感じざるを得ないわけです。もう一度、襟を正して、他山の石として、和歌山県庁も大きな組織ですから、我々も含めてもう一度その倫理観というものについて、見つめ直していきたいなというふうに感じています。
NHK:県の今後の方針の部分もお伺いしたいのですが、既に、再発防止策と入札制度の改正等を進められていると思うのですが、そのあたりどのように取り組まれていくかという点と、あともう一点、損害賠償等を請求するご予定があるのか、2点についてお伺いさせてください。
知事:再発防止については少し前になりますが、県で発表させていただいたことがベースになると思います。
それから、入札制度全体については、2040年に向けた総合計画の中で、これまで行ってきた入札制度の改革の検証も併せてしていきたいと思っています。その一環として、本当に今のやり方がいいのかどうかということについては、もう一度考えていきたいと思っています。と言いますのは、例えば、建設会社も建築中心のところから、土木中心のところと、いろんな業態がございます。建築と土木で少し違うわけです。例えば、建築であればガラスから始まって、鉄、いろんな資材、或いは業者、何百という業種、業者を束ねてプロセスエンジニアリング(建築工程の設計)をするというのが一つの仕事です。ゼネコンとはそういうことです。その下にいろんな下請業者がおられるのですが、例えば、災害が起きた時に、本当にその場で瓦礫をどかせていただく場合は、そういう自分のところで機械も持たず、従業員を雇っていないような建設会社さんは、申し訳ないが、災害の時にはお役に立っていただけないわけであります。むしろ、実際に重機を持って、また重機を運ぶ大きなトレーラーを持って、従業員を雇ってくださって現場で工事を施工されている業者さんしか災害が起きた時に我々を助けてくださることはできないわけです。そうだとすると単にペーパーカンパニーとは言えませんが、プロセスエンジニアリングだけの会社と(比べて)、実際に、設備を持つと償却費が掛かるものですから、経営上大変です。大きな設備を持って償却する会社と、そういうのを持たずに償却費のない会社をどう考えるのか、どうバランスとるのか。実際災害の時に助けてくださるところに、入札の際にもっと優遇をしていってもいいのではないかという意見もあります。その辺をこれから総合的に見直していきたいですし、いわゆる災害の時の協定を結んでいる会社さんは、総合評価で加点されるのですが、重機も持っていない会社が加点されます。本当にそれでいいのでしょうか。いやいやリースしますからと(言われても)、災害の時にリースなんかできませんよというような議論もこれから出てくると思うのです。総合的に入札制度は見直していきたいというふうに思っています。それから、どうしても公共事業になりますと実績が評価されるわけですが、そうすると新規参入がなかなか難しいということになります。国はチャレンジ制度というのを導入されましたが、これもまた行き過ぎますと、本当に小さな規模で徐々にやっていくならいいですが、大きな仕事をチャレンジということで、経験のない企業に元請をさせると、いろんな問題点が起きるということもありますので、そう簡単な話ではないと思います。総合的に、これから見直しをしていきたいと思っています。
NHK:今回の問題に絡んで損害賠償等についていかがでしょうか。
知事:損害賠償については、現在どのような形で請求ができるのか、弁護士さん、国交省さんとも綿密に相談しながら進めていると聞いています。損害賠償はする方向で今準備を緻密にしているというところですので、結果報告を聞いていませんが、きちんと詰めた上で皆様にも報告できるタイミングが出てくるのかなと思っています。
朝日:天ぷら油の件で、油の回収の実証実験が始まろうとしているのですが、今後への期待を改めて一言いただけますか。
知事:モニターの皆さんの数も必要ですので、できるだけ多くの方がモニターに参加していただきたい。また、その活動が県民の皆さんの資源循環型の社会に対応する理解の増進にも繋がると思います。まずは、関心を持っていただき、今まで何気なく棄てていた天ぷら油が航空機燃料になります。そういう社会を目指していますということを、ぜひとも1人でも多くの方に知っていただいて、事業に参加をしていただきたい、そのように思っています。