知事記者会見 令和6年2月9日

知事記者会見

記者会見での発表事項等を紹介します

令和6年2月9日 知事記者会見

令和6年2月9日 記者会見室

令和6年度当初予算案

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 令和6年度当初予算の概要につきまして、説明をさせていただきます。
 1枚目のスライドからお願いします。一般会計当初予算額は6280億円で、対前年度から+142億円になっています。後で重点事項について説明しますが、中身がいろいろあり、合計で増えている理由の一つは、コスモパーク加太対策関連の基金の取崩し231億円が、去年と比べて増加額になっています。デコボコがあり、これまで膨らんでいる元々の予算、令和5年、令和4年で連続してみることができないと思いますが、特殊(要因)を除くと、前年と比べて、公債費、人件費、社会保障関連経費が着実に増加しています。
 例えば、令和5年当初と令和6年当初で、人件費は63億円、公債費が50億円増えています。去年の財政危機警報を出させていただいた時に説明したとおり、公債費は着実に増えてきている。社会保障関係経費が13億円(増えていて)、元々、そういう経費は今後も増えていく状況になっています。

(2枚目は)重点政策は5項目です。どういう政策があるか、次のスライドからご説明をしていきたいと思います。「共働き・共育て・こどもまんなか社会の推進」で、目玉が公約させていただいた学校給食費の無償化を実現するということで、後ほど詳しく説明します。「成長産業の創出」は、GXで、これも後ほど詳細を説明します。「農林水産業、観光産業をはじめとする地域産業の強化」は、林道整備も公約にしていましたし、それから観光産業の強化です。④、⑤は個別に後ほど説明したいと思います。
 (3枚目は)これら(重点施策)の詳細で小項目になりますので、割愛します。
 (4枚目は)学校給食費の無償化ですが、学校給食を実施する市町村立小中学校、県立特別支援学校に通学する児童生徒等を持つ子育て世代を対象とします。なお、4月からだと市町村等が準備できないところもあろうかと思うので、実施は令和6年10月から半年です。市町村で給食費を無償化しているところは、生徒数で15%しかありませんが、そういうところがどう対応してくださるかという準備期間として、半年の準備期間を置かせていただきました。支援の対象としては、学校給食を実施している市町村立小中学校で、例えば、学校給食が行われていない中学校は対象になりません。あくまでも、生徒全員が給食を受けているものに対しての給食費の無償化です。2分の1を県が補助させていただいて、2分の1は市町村で出していただく。なお、(補助額の)上限はもちろん設けさせていただきますが、今後、詳細は詰めていきたいと思っています。なお、特別支援学校の場合は、児童生徒等の学校給食費における保護者の負担分を県で出すという形になって、無償になります。
 次のスライド(5枚目)は、GX(グリーントランスフォーメーション)ということで特筆して、関連する予算が3億円強です。脱炭素化推進で、全体が2億6000万ぐらいですが、特に、去年から県有施設の再エネ設備はずいぶん推進していますが、今回の目玉は、市町村が行う小水力発電の導入調査です。地産地消でエネルギーを作るのが一番ロスが少ないので、小水力発電の可能性のあるようなところを調査する。これはもちろん市町村の手挙げ方式で、自分がやりたいというところを応援する形になります。
 わかやま洋上風力検討会の運営経費は、前から申し上げているように、和歌山県の御坊沖の海域は、関西で唯一の洋上風力発電の適地と言われています。実際、計画を持っている企業もある中で、関係者や有識者の方に集まっていただいて、可能性或いはやり方などについて、検討会を立ち上げたいと思っています。

循環経済への転換、サーキュラーエコノミーですが、中小企業の皆さんが脱炭素経営に向けた計画設定などをする場合に支援をする。それから、サーキュラーエコノミー型ビジネスモデル創出での2500万円は、ENEOSさんがSAFをこれから作っていただくわけですが、SAFは、まずいろんな家庭や事業から出る食用油の廃油を元に作っていく。もちろん主としては、最初は事業用食用油になるかもしれませんが、どれだけ一般家庭から回収することができるのかについて、実験的に、例えば、スーパーマーケットに協力いただいたり、モニターとして応募して回収がどれだけできるのかを、一度実証実験をしてみたいと思っています。これが目玉です。
 県有林の経営管理で、前から申し上げているように、木を切って植林すれば、カーボンクレジットが生まれます。一応、県有林において森林クレジットの認証を取りたいのですが、どんな形で取っていくのか、調査・研究していきたいと思っています。最初の一歩が来年度踏み出されるということです。
 次のスライド(6枚目)で林道整備ですが、基本的に、林道は市町村が整備する立て付けになっていて、これまで県の補助金が出ていましたが、補助率が、林道の開設で10%でした。これだとなかなか財政の厳しい市町村はできないので、補助率を一気に25%に引き上げます。国の補助金が2分の1出るので、市町村は4分の1だけ(負担)やればいいことになり、これで結構進めていきたいと思っています。林道の改良も、大型車両が通るような大型の広い既設林道の改良については、補助率を5%から15%に嵩上げすることで、ドライブをかけていきたいと思っています。
 それから、市町村に代わって広域的な幹線林道(の開設)を、これまで県がやっていなかったので、新規で県の代行事業として予算額8000万円を準備しています。市町村もこれから(林道が)どんどん増えていきますが、来年度は一気には増えないと思うので、一気に増えてくるまで、県が代行していくことも併せてやっていきたい。ともかく、50年先を見据えて林道整備をしっかりやっていきたいと思っています。そのことによって、和歌山の戦後に植林し、とても熟した(木)を早く切り出さないといけないので、林道を整備したり、去年からやっている機械化の補助金を出したりして進めていきたいと思っています。
 (7枚目は)観光産業で、「聖地リゾート!和歌山」というキャッチコピーでやっていますが、「観光力」推進や、世界遺産は登録20周年になるので、いろんなイベントも考えています。それから、「聖地リゾート!和歌山」ブランディングの中に、例えば、御朱印帳を作っていくとか、いろんな面白い企画を作っているので、個別に担当課へ取材をいただければと思います。私たちの目標としては、新型コロナ前の5年間の旅行のお客様の平均消費額が2400億円なので、できれば、来年度は200億円ぐらい増やすのを目的にしたいと思っています。特に、1日1人当たりお使いいただく旅行消費額単価4.4万円を目指したいと思っています。これが、新型コロナ前の実績が3.5万円ぐらいでしたので、何とか増やしていきたい。
 それから、海外市場誘客推進、外国人観光客受入環境整備、クルーズ客船寄港促進。熊野白浜リゾート空港利用促進は、看板の掛け替えや、いろんなイベントもしたいと思っていますし、後で説明しますが、この中には2000m滑走路を2500mに延伸するための(調査費の)予算も入っています。
 (8枚目は)地域づくりの予算ですが、振興局の機能強化ということで、振興局の地域づくり支援課題解決促進として約6600万円ですが、ほとんどが振興局が自らの判断で使える予算を増やしています。これで、振興局が予算も使えるし、今回、機能強化もいろいろしているので、振興局が自らの判断で、市町村の首長さん、或いは住民の皆さんと一緒にいろんな活動ができる予算は確保したつもりです。
 わかやま移住定住総合戦略で、1億8000万円ですが、これまでも移住定住がかなり増えてきましたが、一気に増やしていきたい。二拠点居住と言いますが、東京で仕事しているが、和歌山にもお住まいがある方が、今どんどん増えています。特に、白浜空港の周りの市町は、羽田から1時間なので、白浜町だけではなく、みなべ町だったり、いろんな周りの市町にも、2軒目の家を持っている方もたくさん増えてきているので、促進していきたいと思います。
 地域公共交通計画の推進に、約2000万円ですが、路線バスも、なかなかキャッシュレスになっていないようなところがあるので、キャッシュレス化を推進することについて、積極的に応援をする予算が入っています。
 (9枚目は)今回の能登半島地震で、今、いろいろ勉強をしている最中で、地域防災計画を見直したいと思っていますし、地域防災計画という、いわゆる危機管理的な観点だけではなく、今後、例えば、観光と防災を一緒にできるような仕組みができないか、危機管理だけではなく、県庁全体の部局横断のワーキングチームを作ってやろうと思っています。
 予算としては、一つはトイレトレーラーや防災コンテナを導入したいと思っています。今回も、能登半島地震でトイレトレーラーが大変活躍をされたので、一度導入して実験的にいろんな使い方をしてみたいと思っています。防災コンテナも、例えば、キッチンカーで暖かいものを食べるという意味で、非常に重宝されたようなので、どういうものが可能なのか、しっかりと下調べをしながら導入していきたいと思っています。これは実験的にやっていくことになります。
 ドローンを活用した防災体制を構築する市町村を支援したいと思っています。県では、昨年度の予算から、ドローンを使って防災に役立てることを今行っていますが、市町村にも問題意識を持っていただいて、ドローンを使っていただきたい。能登半島地震の際で分かったことは、やはり道路が寸断された時に空路で運ぶためには、ドローンは、とても目先で便利なものだと思っています。空飛ぶクルマが実証実験中で、実用化すればまた大きな武器になりますが、それまでは、空路をドローンで(対応するのは)、災害対策に資するのではないかということで、市町村にもやっていただきたいという意味で支援します。
 それから、今回、これも目玉ですが、被災者生活再建支援で、全壊の場合300万円、大規模半壊250万円、中規模半壊100万円が、国の制度としてあります。ただ、これは生活再建支援法のいろんな要件に合っていないと出ません。今回、昨年6月の台風であったように、要件が違うので、この市町では支援法が適用され、隣の市町では適用されないということが起きました。そうなると、隣の町で300万円貰えたが、目に見えない境界線でこっちはゼロという不公平感があるので、被災者生活再建支援法が発動されるようなある程度大規模な災害の場合は、対象にならない地域でも、同じ金額を、県単独予算として支援をさせていただくことにします。大規模な災害が起きた場合は、支援法が適用されない地域については県、支援法が適用されるところは国、こういうふうにやらせていただきたいと思っています。
 これ(10枚目)が、その他のトピックス的な(施策の)状況です。まず、熊野白浜リゾート空港(の滑走路を)、現在2000mから2500mに延長したいと思っています。2000mだと、中型旅客機180人乗りは、(滑走路が)短いので、離発着ができないため、満席にできず、大体140人しか乗せられない。去年の、ベトナムのベトジェットのチャーター便も、ご記憶があると思いますが、180人乗りで140人しか乗らなかった。そうすると、LCCは、140人からだと絶対にペイしないので飛んでくださらない。今回、韓国の大韓航空さんがチャーター便を飛ばしてくれましたが、これは中型機ですが、元々少しゆとりのある座席組で、146人の座席になっているので、146人乗せて飛びましたが、2500mにすると、中型機180人乗りが丸々飛べます。そういう意味では、今後、国際線のチャーター便、場合によっては定期便を誘致するためにも、熊野白浜リゾート空港の滑走路の延伸は避けて通れないものだと私は考えました。
 従いまして、来年、調査分析からスタートさせていただきます。これは、白浜を中心とした和歌山の観光もそうですし、紀南地方の経済活性化にも資すると思います。今、羽田からの3便も4便にしていただくようにいろいろお願いしていますが、より大きな飛行機が、よりたくさん白浜に飛んで来られるように(すると)、そのこと自体が、南紀の活力を増すことにもなり、和歌山県の観光或いはその他の産業についても、プラスになると考えました。ご地元からのご要望もたくさんいただいていますが、今後は、白浜町を中心とする周りの皆さんのご理解をいただかなければいけません。白浜町を始め、近隣の市町の皆さん、住民の皆さんと丁寧な話し合いをしながら進めていきたいと考えています。
 もう一つ大事なことは、外国人材の受入促進で、外国人の労働者を安い労働力ではなく、我々の仲間として受入れていきたいと、和歌山県は大きく舵を切りました。受入促進、あるいは介護人材受入環境整備、日本語学習も、なかなか企業でやっていただくのは大変なので、和歌山県として、無料で日本語学習する環境を多く整備していきたいと思っています。
 農業担い手対策です。新規の県単独事業ですが、実は、農業を新たに始めていただく場合、国の支援対策が50歳で線が引かれていて、新規でやる場合、或いは親元の農業を継ぐ場合、(支援対象の年齢は)50歳以下ですが、案外、退職してから、長い残りの人生を考えて農業をやりたい人がたくさんいます。そういう意味では、50歳から農業を始めたい方、或いは親元で後を継ぐ50歳を超えている方も、県として対象にすることにしました。それから、国の予算は、親の後を継ぐ場合に、同じ農業だと補助金が出ません。つまり、みかん農家がみかん農家を継ぐだけでは駄目で、新規の農業にチャレンジした場合に、国の予算が付くということですが、むしろ、我々は、みかんの山の後継者がいないわけで、みかん山として継いでいただくだけでも、和歌山県の農業にとっては、こんな有難いことはない。これも、同じ農業の種類であっても、農業を継承していただく方、50歳未満であろうと50歳以上であろうと、新たに県単独で応援をさせていただきます。これは農業政策の目玉になっています。
 eスポーツ推進に、1600万円を使います。eスポーツはゲームですが、皆さんご存知のとおり、今、eスポーツは大変社会的地位を得ていて、アメリカの大学では、バスケットボール、野球、アメリカンフットボールと同じように、eスポーツの優待生があります。eスポーツのできる人は、優先的に入学できて、授業料無料という枠があり、アメリカンフットボールや野球と同じ枠になっていて、eスポーツの体育会系です。日本でも、今後、おそらく野球やいろんなスポーツの優先入学があるように、eスポーツの大学への優先入学は、当然できてくると思います。従って、和歌山県は、率先して県立高校にeスポーツのクラブを作って、応援したいと思っています。今は、お母さんが子どもを育てるのに、「周平、お前ゲームばっかりせんと、勉強せえ」と普通言いますが、これからは変わります。「周平、勉強するより、ゲームせえ」というふうになります。これを和歌山県は率先してやっていきたいと思っています。
 フリースクール等に通う不登校児童生徒調査ですが、実は、不登校は大変大きな問題になっていますが、文部科学省は、数年前から不登校自体は問題ではないというふうに整理し、行きたくない子は学校に行かなくていいというふうに舵を切っています。無理して学校に行って、9月1日に自死する子供達を生むぐらいであれば、もう行かなくて結構だと。それはいいのですが、学校へ行かないと学びが失われます。所得の高いご家庭はいろんな手があり、家庭教師をつける、留学する、或いはまさにフリースクールへ行くなど、いろんな手段を選べますが、所得の多い少ないで、学びの場を得る機会が不公平になるようなことがあってはいけないので、まず、フリースクールに通う皆さんに対する応援をしたい。フリースクールに通う保護者にお金を払って、アンケートに答えていただくというような調査です。金額はこれから詰めますが、ある一定のお金を不登校のフリースクールに通うご家庭にお渡しして、調査に協力していただく形で経済的な支援が行えるのではないかと考えたところです。経済的支援とはなかなか言えませんが、結果的には、副次的な効果として経済的支援を行うのと同じ効果が得られるということで、まずはスタートさせていきたいと思っています。
 それから、これは大変明るいニュースで、昨年、皆さんが報道されたとおり、ワカヤマソウリュウという大変貴重な骨格が発見されましたので、骨格標本を作りまして、ワカヤマソウリュウという和歌山県独自のソウリュウの広報活動、啓蒙活動をやっていきたいと思っています。
 最後ですが、和歌山県立近代美術館、博物館があります。県立近代美術館は、黒川紀章先生の設計で、建物自体がアートになっています。美術館と博物館が地下で繋がっていて地上に出ていますが、非常に建築的に高い評価を得ている建物ですし、これは、我田引水ですが、学芸員がすごく苦労されて、とても面白い企画展示がいつも行われています。例えば、近代美術館であれば、和歌山県出身のアーティストにすごくフォーカスを当てて、何十年も作品を収集し、解説し、展覧会もやった結果、去年、総務大臣賞をいただきました。ただ、この素晴らしい近代美術館、博物館ですが、なかなか県民の皆さんにご利用いただけていない。(県)外から見に来られる方がいても、県民の方があまりご存知ない。和歌山市内の小学生は、すぐ先生に連れてってもらえますが、紀南、紀北の遠いところの皆さんは、少し費用も掛かるので、今回、御坊から南とかつらぎ町から高野町にかけて、教育委員会として援助させていただく。まず、御坊市以南の公立小学校5年生を対象に、県立近代美術館博物館に見学、学習に来ていただくための予算を計上しています。以上が重点的な施策です。
 次(11枚目)が、財政収支見通しです。何とか厳しい状況でしたが、賢いやりくりをしながら、令和6年度は、給食費の無償化、林道整備、熊野白浜リゾート空港の滑走路の延長、この3本柱を、やりくりしながらスタートさせることになりました。ただ、これも実は、令和5年度で新型コロナの時いろんな予算が余ったもの、少し交付税が後で増えたなど、運が良かった的に余ったお金があったので、それを令和6年度に回したり、例えば、借換債を減らすなど、いろんな形で賢いやりくりをした。
 やっぱり、さっき言いましたように、公債費が、令和7年度以降、50、87、114、108億円と増えていきますが、単純に元本と金利で計算できます。社会保障関連費も、着実に、15、31、49、67億円と高齢化等に伴って増えていきます。人件費も、まさに日本政府が賃上げを称揚しているので、それに合わせて上がっていく。結果として、ある一定の政府の経済見通しと同じ金利や経済成長の基本ケースを元に推計すると、令和9年度で財調・県債基金がギリギリで、令和10年度以降はマイナスになっていきます。3年後、4年後とはいえ、できるだけこれからも賢いやりくりを行っていかないと、単年度予算が組めなくなることが起きてくる。
 ただ、前から言っているように、財政再建するためには、単に歳出を減らして、増税することで成功したためしはありません。例えば、熊野白浜リゾート空港を活性化してお客さんを呼んで、和歌山県の企業に儲けていただいて、それで借金を返すみたいな、そういう攻めの財政も必要だと考えています。林業も攻めの政策、給食費の無償化は真水で、今後予算は大変ですが、和歌山県は子育て支援をやっていますということで少子化対策になる、或いは移住定住対策にもなる。財政は厳しいですが、賢いやりくりの中で、攻めの投資もしていきたいというのが、来年度予算になっています。
 以上です。

質問と回答

産経:財政危機警報を令和5年度の就任直後に打ち出し、賢いやりくりとおっしゃっていましたが、今回、一番色が出せた部分と、財政危機を脱するのにある程度の手応えがあったのか、予算を実質的に編成してみて、ご感想をいただければと思います。

知事:今回、いろいろ細かく説明しましたが、3本柱と申し上げた、給食費の無償化、林道整備を中心とする農林水産業の重点化、熊野白浜リゾート空港の滑走路の延伸は、さっき言いました意味で、積極的な攻めの財政で、活性化することで税収を増やしていくことにしたいと思っています。

 一方で、今年度、比較的、まだ(基金)残高が財政危機警報の時よりも少し積めたのは、別に財政がいいからではなくて、令和4年度から、5年度への繰り越したお金があったので、たまたま組めた。それから、一部は、補正と当初予算で、新型コロナ対策の国からいただいた交付金も上手にやりくりした。これは、私にはとてもそんな技はないので、財政課にお礼を言わないといけないのですが、財政課が上手に余ったお金を組み替えて、令和6年度は何とか予算を組めました。ただ、さっき言いましたように、足元の公債費と社会保障関係経費と人件費が増えていくトレンドは伸びていくばかりで、とても財政が良くなる思いは持っていません。ですから、毎年度、毎年度、賢いやりくりをしながら、しかし、攻めの姿勢は忘れずにやっていきたいと思います。そういう意味では、財政は、引き続き緊張感を持ってやらないといけないと思っています。

共同通信:小中学校の給食費の無償化ですが、全国的に見ても東京都など限られたところしかやっていないものだと思います。これまで、県予算は限られていると知事もおっしゃっている中で、改めて、優先度が高いと感じたなど、給食費の無償化に踏み切った理由を教えてください。

知事:まず、子育て世代の方々を応援するには、やっぱり全員を対象にしたユニバーサルな支援がいいし、ある意味、現物支給です。私は、実は現金支給よりも現物支給の方が政策として効率がいいと思っていて、現物支給の学校給食は、子育て世帯を応援するのに一番いい方法だと思っています。これは、国がやるべき施策であり、従って、知事会や関西広域連合では、私の提案で国に要求することが決まり、国に対する要請行動をやっていますが、少なくとも、来年度、政府はスタートしません。ようやく、今年度、全国の給食調査に入っていて、令和6年度は間に合いません。しかし、政府を待っていられない。おっしゃるとおり、これからも厳しい財政で、ずっと続けられるかどうか必ずしも断言できないぐらい財政は厳しく、政府に対する要請行動は引き続き行っていきますが、1日も早く子育て支援をしたいという意味で、思い切ってスタートさせることになりました。

読売:全体の話で、部局マネジメント枠でマイナス15%のシーリングをし、5%を自由にして重点施策推進枠を設けたと思いますが、それについて効果、手応えはいかがですか。

知事:社会保障関係費用、人件費、公債費など、まさに増えているのが義務的な経費ですし、投資的経費も、去年6月台風等による災害対策があったので、昨年度より少し増えています。ともかく、投資的経費を減らしたくない中で、前から申し上げているとおり、できる限り交付税措置の高い公共事業などに振り替えながら賢いやりくりをしたり、あるいは借換債を発行せずに投資的経費(の負担)を全体として抑えていく中で、100億円近い規模の政策的経費を15%カットしました。これは、今までにやったことのない大変な荒療治で、私自身は、それぞれの事業を15%カットするつもりはなくて、事業そのものを止めてしまうことでの15%の達成をお願いしましたが、必ずしもそうではない部分もあり、担当の皆さんからは、相当文句を言われました。「大変です、15%カットなんてできません」みたいな話もして、その中から5%を重点枠にしましたが、これは、今年度しか使えません。毎年15%は切れないので、一回限りの大仕事でしたが、結果として、従来、あまり効果はないとか、何十年も前からやっているだけなど、ある意味、惰性でやってきたような事業は、かなり整理、淘汰されました。
 そういう意味で、県庁の事業そのものを揺さぶり、リシャッフルする効果はあったのではないか。5%の重点枠としては、さっき説明した中は、ほとんど含んでいて、そういう意味では、新しい事業にチャレンジできたらいいと思っています。ただ、令和7年度予算は、別のやり方を考えないといけないので、それはまた若い職員の皆さんに考えてもらおうと思っています。

読売:給食費の無償化の話で、先ほども少しお話がありましたが、なかなか予算のやりくりが難しいところで実施をされる中で、これは、恒久的な措置という考えなのか、恒久化するには国予算が必要というお考えなのか。

知事:まずは国予算が出るのがベストで、その(要請)活動をしていきます。国予算が出なければ、一旦始めているので、なかなか簡単には止めるわけにはいかないと思います。財源は、今後、いろんな賢いやりくりをしながら捻出していくことで続けたいと思っていますが、何処かで国政策に置き換えていただきたいと思っています。

読売:防災の観点で、トイレトレーラーと防災コンテナの導入です。先ほど実験的にというお言葉もありましたが、どれくらいの数をどういう場所に置くのかは。

知事:まず、どういう使い方があるのか、1台ずつ導入して、実験をしてみたいと思っています。普段も、例えば、県が屋外でやるようなイベントでトイレトレーラーを使って、使い勝手も検証できますし、子供食堂を本格的にやっているので、キッチントレーラーであれば、子供食堂をやっていただく方々に、子供食堂でキッチンカーを使っていただくなど、ある程度、どういった機能があるのか、電気がない時どうするのか、水をどうするかなども含めたシミュレーションは、やってみたいと思っています。

 怠け者なのですぐに帰ろうとしてしまいましたが、組織体制の説明をします。資料につけていると思いますが、詳細は、担当者から聞いていただければと思います。

こどもまんなか社会の実現ということで、共生社会推進部を作りますし、子ども・女性・障害者相談センターを再編します。余談ですが、組織の名前で・が付いているのは、ろくなものではありません。中曽根総理官邸で秘書をしていた時に、後藤田官房長官から、「岸本くん、役所で・の入っている課があるだろう、あるいは・の入っている事業があるだろう。あれは、全部まやかしだ。統合できないから、点で繋いでいるだけで、そんなものは良くない」と教わりました。それで、これは良くないだろう。「子ども」と「女性」と「障害者」を一緒にして、なんやねんこれはと思いましたので、再編をさせていただきました。
 地域振興の強化と言っているので、今、地域振興監という役職名になっていますが、地域振興部を作り、振興局の体制強化をさらに図っていきたいと思います。
 危機管理も、今、危機管理監という役職名ですが、危機管理部にします。
 従って、3つの部を創設します。
 今、教育委員会がスポーツ課を所管していますが、知事部局に移したいと思っています。地域振興もそうだし、eスポーツも、さっき、「勉強するよりゲームせえ」と言いましたが、教育委員会に置くよりは、eスポーツは知事局でやった方がいいかなというのもあります。
 脱炭素政策課を設置し、成長産業推進課はGXの主な担当になります。
 安心安全のために、介護サービス指導課を設置しますし、今、一番大事なことなので、こころの健康推進課を設置します。障害者サポートセンターの設置は、私が、障害児者政策に大変重点を置いているので、担当に知恵を絞っていただきました。
 農林水産業の振興に向けて、研究推進課、鳥獣害対策課、林道整備は今まで班もなかったので、林道整備班を新たに設置し、責任の所在を明確にして、頑張っていただきたいと思っています。

来年、大阪・関西万博なので、万博推進課を私の直属にします。万博推進課を、知事室に置くことにして、直轄でやりたいと思います。また、全国育樹祭推進室を設けたいと思っています。詳細は、後ほど担当者から聞いてください。
 以上です。

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