知事記者会見 令和5年10月10日

知事記者会見

記者会見での発表事項等を紹介します

令和5年10月10日 知事記者会見

令和5年10月10日 記者会見室

令和6年度 重点施策と予算編成の方針

PDF形式を開きます資料1(PDF形式 176キロバイト)
 それでは、定例会見を行いたいと思います。発表事項の一番目ですが、来年度の予算編成の方針を決めました。これでやっていくというたたき台で、ご説明をさせていただきたいと思います。最初に、現状認識を書いていますが、従来から申し上げているようなことで、それを前提に一言で言うと、これから人口が減少する中で、人口が減少しても生き生きとした県民の生活が保障できるような、活力を生み出す土台となる予算を作りたいという趣旨です。重点施策の方向性の冒頭でも書いているように、すべての県民が希望を持って生き生きと暮らす。生き生きというのは、身体的、精神的、社会的に生き生きということで、これがウエルビーイングという趣旨ですが、ウエルビーイングな和歌山県を作るための重点施策という柱を立てて、これに基づいて、新規の政策や既存の政策の拡充を行っていくということです。

一つは、共働き、こどもまんなか社会の推進です。二番目が、成長産業の創出で、特に、和歌山県としては脱炭素先進県を目指しているので、GX投資を呼び込むための施策を重点的にやりたい。三番目は、農林水産業、観光産業をはじめとする地域産業の強化を行う。四番目が、人口減少がする中でも、DXの推進などでまちづくりを行っていく。五番目は、福祉医療や教育、或いは防災も含めた、安全・安心で心豊かに暮らせる社会づくりを、ハード・ソフト面からやっていくということです。
 これに基づいて、これから、担当部局と財政課の間で細かい予算の編成作業が行われますが、今回は、政策的な経費と義務的な経費を分けます。政策的な経費も、投資的な経費とそれ以外に分けて、投資的経費以外の政策的な経費については、全庁的に15%のマイナスシーリングを付けさせていただきました。つまり、既存の予算から15%減らして、85%で予算を組んでもらう。どういうことかというと、結局、古い事業がたくさんあり、過去の経緯からやっているもので、費用対効果が認められないもの、或いは業務量が非常に煩瑣になっているようなものを中心に、査定ではなく原課の判断、各部長の判断で止めていただく。既存の予算で、効果がないもの、たまたま前からやっているというような惰性でやっている事業を止める。同時に、前から申し上げているように、県庁は業務量が大変多くなっているので、ライフワークバランスを取る、ワークライフではなくライフワークバランスを取るために業務量を減らすという観点からも予算を見直して欲しいという趣旨で、15%(のマイナスシーリングを付けます)。
 一方、重点施策については、シーリングを掛けた15%のうち5%分を総枠として、その中で、各部局の重点施策をこれからみんなで議論をして作っていく。(1)から(5)までに匹敵するものは、5%の枠の中で各部局に争奪戦をやっていただく。なお、投資的経費については、業務量適正化の観点を中心に、事業効果や緊急性を精査すると同時に、後年度の財政負担を考慮して査定をしていきます。
 財政危機警報を出していますが、前から申し上げているように、メリハリのついた予算にしたいと思いますし、賢いやりくりをしながら、できるだけ重点施策には力を入れていく。いたずらに歳出カットをするのではなく、できる限り賢いやりくりをしていくということですが、その中でも、古い事業、効果の薄い事業、業務量をいたずらに増やしている事業は、積極的に整理をしていくという趣旨です。なお、これからスタートしますが、こういうやり方は初めてなので、いろんな手戻りもあると思います。やり方はいろいろ試行錯誤しながらですが、前から申し上げているように、我々は失敗することを恐れてはいません。全く新しいチャレンジですが、職員の皆さんと相談しながら、これではちょっと拙いということであればやり方を変えながら、一度、全く新しい予算編成のやり方をしたいと思っています。つまり、既存の85%の枠の中は査定しない。財政課は、85%にすれば基本的にはすべて(原課に)お任せをする。そういうことなので、全く新しいやり方だし、重点施策の5%についても争奪戦になるので、これからどういうやり方で進めていくのがいいか。財政課と担当部局だけで作っていっていいのか。従来、知事査定は2月にやっていましたが、かなり重要なものは、場合によって、秋から私も入れていただいて、みんなでディスカッションしながら決めていくというやり方もあるかもしれません。それも試行錯誤なので、みんなで汗をかいていきたいと思っています。これが一番目です。

知事のタイ王国訪問

PDF形式を開きます資料2(PDF形式 126キロバイト)

 二番目が、来週、タイに出張させていただきます。主なミッションは、タイの投資委員会との覚書の締結です。それから、ビジネスの問題でいうと、いくつかのタイのビジネスグループと交渉して、和歌山県に高級なホテルの誘致ができないだろうかということで、タイの投資をこちらに呼び込むことができないかについて、タイのビジネスグループと交渉に行ってきます。これが主なミッションです。

南紀白浜空港の愛称募集について

PDF形式を開きます資料3(PDF形式 1,086キロバイト)
 三番目ですが、今、南紀白浜空港が脚光を浴びていて、大変、お客様に来ていただいています。ワーケーションもあり、南紀白浜空港の利用が非常に盛んになっています。先般も、ベトナムとのチャーター便を飛ばしましたが、今後、国際線のチャーター便を増やしていきたいと思うので、世界的、国際的に魅力のある空港名にしてはどうかということで、南紀白浜空港のニックネーム、愛称を11月10日まで募集することにしました。正式な空港名はなかなか変更ができないのですが、ニックネーム、愛称は自由に決定することができます。全国でも、例えば、高知だと坂本龍馬の龍馬空港、或いは鳥取砂丘コナン空港や米子鬼太郎空港など、いろいろその地域に合わせたニックネーム、愛称があるので、南紀白浜空港についても、国際的なインバウンドの方々に訴えることができるようなニックネームがあると、ますます南紀白浜空港の活性化に寄与する、プラスになるのではないかということで、募集させていただくことになりました。ぜひ、記者の皆さんもいいアイデアがあれば教えていただきたいと思います。

 以上です。

質問と回答

読売:重点施策と予算編成の方針で、重点項目を挙げていますが、事業数がどれぐらいになるか、現段階で決まっていますか。

知事:予算の編成作業はこれからなので、これからです。

産経:シーリングを設けて、それを争奪戦にするようなやり方は初めてだというお話をされましたが、シーリングを設けること自体が初めてですか。

知事:シーリングは毎年やっていますが、これだけ大きな規模でやるのは初めてです。

産経:大きな規模でやって、5%をそういうような形で検討していくのは初めてですか。

知事:そうです。それから、85%にして査定をしないというのは初めてだと思います。

産経:現状認識として、DXの遅れや産業人材の不足を課題として挙げられていますが、特に、具体的にどういうところのDXが遅れているかなど、考えはありますか。

知事:まず、市町村が相当遅れているので、私どもは、今年度、新たにDXアドバイザーを任命し、実は、その方が市町村を二巡していただいています。ですから、まず、市町村のDXを進めるのが一番だと思っています。もちろん、中小企業を含めた民間の皆さんが、DX投資に二の足を踏むのを押すというのも私たちの役目で、市町村と中小企業へのDX推進を応援するということです。
 人材不足は、全ての業種業態で起きているので、DXを使った省力化も一つだと思いますし、或いは対等な仲間としての外国人労働力をできるだけ呼んでくるという形も、県としては、今もやっていますが、来年度、頑張っていきたいと思っています。そういうのが、重点施策に反映されるようにしたいと思っています。

毎日:以前、事業評価の復活を言われていたと思います。これは、5%分のところに事業評価をかけていくことを、今回からやるということですか。

知事:そうです。重点施策で数値目標を作って、来年度実施して、その結果を評価していくというような形になろうかと思います。

毎日:このやり方で予算編成をすることは、ある意味、ある程度予算を削減していくことになると思います。近年、予算規模が大きくなったのは、新型コロナの関係と思わぬ災害が毎年のように起きて、結局、年間の経費がかなり掛かってしまうことになっていたと思いますが、今後、そのバランスは考えていきますか。

知事:災害や新型コロナは、予算とすると異常値で、それは正常値に戻るので、そこのバランスを考える必要はないと思います。ただ、公共事業等については、前から申し上げているように、この数年、和歌山県の実力以上に公共事業をした結果、将来の借金の返済が膨大なものになってしまっているということがあるので、そういう長いスパンで見たバランスは考えていきたいと思っています。
 15%のシーリングを掛けるのは、あくまでも投資的経費以外の政策経費で、実は金額的にそんなに大きなものではありません。(県負担額で)3000億円を超える県庁のトータル予算からすると、政策経費は非常に小さいのですが、そこはしっかりと見直していこうという趣旨です。ですから、投資的経費やその他の経費は別だし、義務的経費は別です。それから、当然、新しい経済環境などについてはいろんな要請があるので、でき上がった段階の予算の大きさは、現状では何とも申し上げられない。ひょっとしたら、大きくなるかもしれないし小さくなるかもしれない。予算は生き物なので、来年の2月ぐらいの段階で、全体を見渡して、どのような政策をするかにも関わってきますが、前から申し上げているように、いたずらに歳出を小さくするという考えはありません。
 賢いやりくりをしながら、本当に必要な予算をつけていく中で、前にも言いましたように、和歌山県庁は業務量が多すぎる。それは、今まで事業をスクラップアンドビルドしてこず、ビルドアンドビルドをしてきたから業務量が増えている。そのためには、特に政策的経費は、職員の皆さんが手間暇かけてやる事業が多いので、これは必ずスクラップアンドビルドしていく。古い事業は、効果がなければ勇気を持って止める。今回、それを財政課がやるのではなく、担当部長が腹をくくるかわりに査定はしない。業務量を減らして、職員の皆さんがライフワークバランスを取れて、仕方がない方は別として17時45分で帰れるよう、できるだけ残業を減らせるようにと、そういう思いを込めた予算査定方針です。

共同通信:予算編成についてです。今回、通常の経費をシーリングして15%減らしますが、数字を15%とした理由を教えていただきたいのと、併せて、今後、残りの85%に関しては、各部局の裁量が大きくなると思いますが、改めてその狙いを教えてください。

知事:15%というのは、私の予算屋としての勘で、正しいかどうかわかりません。私が長年予算をやってきた感触でいうと、政策経費の15%ぐらいは見直して欲しい。既存の古くからやっているものを見直してもらうのに、一つの数字だろうと思っています。
 裁量は、部長はやっぱりすごく偉い人なので、部長が責任を持って行政をしていく中で、部長に裁量を与えることで組織が活性化するということがあります。ただ、部で考えているやり方が、本当に大事なものまで(止めてしまう)。例えば、部としてはいいけど、知事から見た時にそれは大事でしょうとか、或いは、隣の局から見たら、その予算を取られてしまうとこちらの課に影響がある(ことがある)。実は、結構、補助金などは縦割りがあるので、どうしても国の省庁の予算がある課とは別の課が、予算を取られるとその課の仕事ができなくなることがある。例えば、移住定住をやっている課からすると、移住定住に関係する予算が、他部局に結構あります。それを、他部局からするとあまり重要ではないので止めると言われると、移住定住をやっているところでは、それを切られたらバランスが悪い。そういうのは、最終的に、私のところで調整をするということだろうと思います。
 縦割りの弊害はありますが、できるだけ細かく横の情報も取りながら、財政課も情報を持っているだろうし、或いは企画部の中でも情報を持っている、或いは知事室でも政策審議課で情報をできるだけ拾って、横連携も取りながらやっていきたいと思います。
 何にしても、初めてやることなので失敗するかもしれません。その時は、またやり方を考えるということだと思っています。

紀伊民報:南紀白浜空港の愛称募集です。国際線を増やしていく中での募集だと思いますが、空港の活性化について検討している事業や構想はありますか。

知事:他府県の状況を勉強すると、やっぱり、空港のある市町が、非常に予算や人も使って空港を活性化する事業をされています。もともと、南紀白浜空港は、和歌山県が管理運営をしてきたのを民営化し、その効果で非常に活性化していますが、さらに、もう少し市町のご協力、或いは、これまでもやってきたつもりですが県庁も含めて、さらに、もう少し南紀白浜空港活性化のための広報費用などを、市町も含めて一緒に盛り上げていけないか検討していきたいと思っています。

紀伊民報:滑走路の延長の話を聞いたこともありますが、そういうことも検討されていますか。

知事:今、2000メーターの滑走路で、この前もベトナムへのチャーター便を飛ばしましたが、180人乗りの飛行機が、満杯ではなかなか飛べないという問題があります。180人乗りの飛行機を完璧に飛ばすためには、少なくとも500メートルの延伸が必要だと聞いています。今後、そういうことも含めて、いろいろ予算編成過程の中で勉強はしていきたいと思っています。

紀伊民報:事業化に向けて、担当課に指示をしたり、来年度の予算計上を検討されているなど、そういう段階ですか。

知事:予算編成はこれから始まるところだし、常にすべての問題について担当課は勉強しているので、特に今からということではありません。来年度の予算編成については、内容は今のところ白紙というふうにお考えいただければと思います。

日刊工業:重点施策の、成長産業の創出についてです。GXについて書かれていますが、GX投資を呼び込むための部局横断プロジェクトは、具体的にどういうものですか。

知事:今後、来年度の予算編成に向けて検討していきたいと思っています。内容はこれからです。

日刊工業:今のところ、単純に一局だけではできないから、全庁横断的にやるというだけのイメージですか。

知事:この前、循環型経済の報告書を出させていただきました。あれをお読みいただくと、結構、全ての担当部局が関係してくるので、まさに、この前発表した循環型のイメージで、各部局が知恵を出し合うというような形になろうかと思いますが、予算が絡む話なので、予算編成の過程でチームができていくというふうに考えています。

日刊工業:カーボンクレジットの創出と産業を組み合わせることで脱炭素先進県を目指すと書かれていますが、カーボンクレジットと産業ということは、カーボンクレジットを創出して県内の産業で使ってもらう、いわゆる域内での相殺、カーボンオフセットを目指しているということですか。

知事:必ずしもそうとは言えないです。カーボンクレジットは、大阪府の方に買っていただいてもいいわけで、マーケットであり、J-クレジットなので、そこにこだわりはないです。

時事通信:予算編成方針について、15%のシーリングを実施した上で5%相当額を上限とした重点施策推進枠の争奪戦をするという話でしたが、これは、各部局の経費の5%を、その部局内の人たちで争奪戦をするということですか。

知事:各部局が、今言った(1)から(5)に該当する施策を要求します。これが、多分たくさん出てくるでしょうから、当然、要求額が5%枠を上回る。それを、どういうやり方でするかはこれからみんなで考えますが、みんなで議論しながら査定をしていくという意味で、取り合いをするわけです。優先順位がついていくのが争奪戦で、つまり、従来だと各部局、国もそうですが、どうしても前年踏襲でやっていくので、省庁の予算の比率はそんなに変わらない。それを打ち破るために、5%は、説得力のある政策を出した部局の比率が高くなる。蓋を開けてみると、結果として、ある部局の比率が上がり、ある部局の比率が下がるということもあり得る。そういう意味で、これはやってみないとどういう絵になるかは分かりません。取り合いというとイメージが悪いのですが、競争していただく。部局間の競争で、終わった後は比率が変わってくる。そうやって、新しい経済環境や社会環境に県の予算が適用していくような作り方ができないだろうかという、新しいチャレンジです。

関連ファイル

このページの先頭へ