知事記者会見 令和4年4月12日

知事記者会見

記者会見での発表事項等を紹介します

令和4年4月12日 知事記者会見

令和4年4月12日 記者会見室
 

 今日は、発表事項が、年度初め特有のアイテムで三つですけど、その前に、ちょっと新型コロナのお話をしておきたいと思います。

 新型コロナについては、結構、和歌山も含めて全国でリバウンド状況が顕在化していると思います。昨日の発表はちょっと減ったのですが、特に、私にとってちょっとショックだったのは、日曜日の発表で、300を超えたのはかなり多いというふうに思いました。というのは、そのデータのほとんどは土曜日のデータですが、土曜日はクリニックなどが休んでいるので発見できないことが多い。

 もともと(感染が)分かっていて、家族を経過観察していて、それで発症したとか、陽性になりましたとかは、ちゃんと(情報が)入ってきますが、新しくこの人がコロナ(に感染した)というのは、クリニックで、「やっぱりコロナです」と(判明する)いうのが多いです。それが非常に少ないはずの日に300を超えたというのは、かなり要警戒だというふうに思います。昨日はそういう意味では減っていましたが、これがむしろ当たり前で、今日はとても心配です。つまり、昨日は月曜日で、クリニックなどが再開している時なので、そこでたくさん出てきたら嫌だなという感じはあります。

 しかし、罹らないようにすることは大事ですが、罹ってしまったらしょうがないので、責め立ててもしょうがない。そこで、何を一番して欲しいかというと、全くなかったら行動のしようがないのですが、ちょっと症状があるとか、熱っぽいとか、何か体が妙にだるいとか、喉がイガイガするとか、そういう症状がちょっとでもある人は、一番うつしやすい。そういう方は、あえて、学校とか勤務先とかに行かないで、保育なんかもちょっと遠慮して、保育士も、勤務先は遠慮して、クリニックへ行って調べてもらってくださいというのが、一番大事なことだと思います。実は、昨日も、病院で医師の方がちょっと症状があるけど勤務があるからということで出勤されて、陽性が分かって、周りの人にも随分、迷惑かけているということがあります。

 従って、分かっているはずのお医者さんなのに、それはちょっと止めてもらいたいというふうに思う。別に知識とかはいらないので、症状がある時は、とにかく、クリニックやお医者さんに行ってもらいたい。そして、診断をしてもらって、陰性だったら、良かったということで、いいではないかということです。

 それから、基本的には、やっぱり家族なんかに一番うつります。家庭の中は、これだけ感染力が強いと、ある程度しょうがないところがあります。だけど、そこから外側に出す、あるいは引っ張り込む。そういう時は、やっぱり基本的な感染対策です。マスクはあんまり外さないとか、密で大声を出したりしないとか、手洗いは、非常にこまめに遵守してやる。ちょっとでも何か触ったと思ったら、食べ物を食べる時とかはちゃんと手を洗うとかが大事なので、そういうことを遵守していただいて、過ごしてもらいたいと思います。

 今、オミクロンは、どこでうつるか分からないので、特に、飲食が原因だとか、カラオケがいけないとか、そういう特定のとこだけ(が危ない)というわけではない。従って、よっぽど、それぞれの行動について、注意してもらいたいと思います。

 ワクチンについては、和歌山県は、割とスタートダッシュがいつも良くて、1回目、2回目のスタートダッシュも割と良かったのですが、3回目も、1位ではないけど、健闘して、割合上位の方にいます。ただ、これから、それがぐっと伸びてこないと、やっぱり具合が悪い。お年寄りについては大分進んだので、最近、あんまりお年寄りがバタバタ倒れることがない原因になっていると思いますが、それでもうつる時はうつるので、うつって深刻なことにならないよう、自分は軽症で済むはずだと思っても、やっぱり(ワクチンを)打っておいてもらいたいというふうに思います。

 そこで福祉保健部技監がデータを出していますが「その16の追加」の1ページを見たら、ものすごく、それの証拠が出ています。私はデータが分からなかったのですが、第六波の時に、(ワクチンを)3回打っていても感染はするけど、いろいろな報告を聞いていると、おそらく、感染率が低いと思います。(3回打っていれば)感染しにくいと思うので、ぜひ打ってください。

 それから、重症化はもっと顕著に出ます。3回打っている人は、かなり重症化リスクは少ないと言ってきましたが、そのデータが出ました。これを見ると、3回接種と未接種を見ていただきますと、小さい字で上の方に書いていますが、3回接種の方々の中で、罹患した人は0.21%です。未接種の方は5.09%ですから,ものすごい違います。ですから、是非、打ってもらいたい。

 2回打っているからもういいだろうというと、だんだんやっぱり効果がなくなってきているので、未接種の人と、少しは違うけどそんなに違わない状態になりますから、やっぱり感染を防ぐには、3回接種をしておいてもらいたいというふうに思います。

 県もそうですが、市町村も熱心に進めてくれているので、まだ、(予約の)空きは、一時のように大混雑ということはないと思いますので、ぜひよろしくお願いします。

『和歌山県観光振興実施行動計画』=観光振興アクションプログラム2022=について

PDF形式を開きます資料1(PDF形式 4,207キロバイト)

 会見項目です。今日は三つありますが、まず、和歌山県観光振興実施行動計画が第一です。

 これは、こんな感じで毎年発表していて、こんなに厚いです。何で厚いかというと、その秘密は、(資料1-1の)1ページの裏に書いています。本実行計画は、和歌山県観光立県推進条例第11条に定める観光振興実行行動計画として、ウニャウニャと書いていますが、条例の前に、観光振興アクションプログラムとして、10何年やっていますが、この条例が後から追いかけてきて、それを観光立県推進条例の報告に変えようということになりました。そうすると、その中には、前年度に何をしたかについて、ちゃんと報告書を作って、発表し、議会に報告しなさいというのがあるので、それについては、割合細かく、こうやりましたといっぱい書いています。

 そういう意味では、他のアクションプログラムシリーズよりも厚くなっているということです。こんなに厚いので、薄い方の概要(資料1)で、ご説明します。今年、結構、いろいろ考えて、和歌山県の観光を盛んにするにはどうしたらいいかということで、いろんなアクションをしていこうということにしました。

 現状を方向性のところに書いていますが、「ダイヤモンドイヤー」というのが、来年から3年間始まるので、それの準備をきちんとします。それは何かというと、弘法大師御誕生1250年が令和5年、世界遺産登録20周年が令和6年、大阪・関西万博が令和7年ということで、ずっといくわけです。それから、まだ、決まっていませんが、大阪・関西万博の令和7年の次に、ワールドマスターズゲームズ大会が関西で開かれるようにしようということで、今、IMGAという、IOCみたいな組織と最終調整をしていくということです。

 本当だったら、もう去年に済んでいるし、今年、5月に延期して、もうじき(開催)ということでしたが、新型コロナがこんなふうになってしまったので、こればかりは強行するわけにはいかないというふうになったわけです。

 何でかというと、ちょっと余談になりますが、オリンピック、或いは国体、甲子園もそうかもしれませんが、やっている人たちの檜舞台です。ですから、そういう(のに参加する)方々を、検査して、隔離して、うつらないようにして、4年に1回とか、毎年1回とかで、最大限の成果を上げるように頑張ってもらう、それにみんな協力しようというやり方があり得ると思います。東京オリンピックも、北京オリンピックもそうだったし、国体なんかもそうやってやっていくだろうというふうに思います。

ところが、ワールドマスターズゲームズというのは、楽しく、交流をしましょうというのが目的で、世界中から人が集まって、長い付き合いで、スポーツを通じた仲良しができていて、「やーやー、また会ったね。去年負けたけど、今日は俺の方が勝つぞ」とか、お孫さんなんかを連れて遊びに行くというのが、ワールドマスターズゲームズのいいところです。従って、出る人だけ隔離してというわけにはいかないので、新型コロナが収束していないとできないということで、この際、他のスケジュールもあるので、思い切って2026年にそれをやろうということで、今、提案して、国内的にはそれでいこうということになっています。

 ちょっと、余談になりましたが、国体の辺りからゴールデンイヤーがありましたが、今度は「ダイヤモンドイヤー」というキャッチフレーズをつけました。何をするのかということですが、いつも、観光振興アクションプログラムについては、次のページを開けていただきますと、「和歌山を売り出す」、「和歌山へ招く」、「和歌山でもてなす」という、三つの柱で構成しています。それで、いろいろ思いついた工夫をその中で散りばめて計画を作ることになります。

 ただ、最近は、何といっても、「ポストコロナを見据えた観光成長戦略」をくっつけないといけないということで、これを一番初めに、くっつけました。それから、これはいつもですが、海外の問題があるので、海外の関係を最後にくっつけて、5章編成になっています。

 特に、中身で、1個、1個にNewといっぱい書いていますが、1枚目の紙で見ていただきますと、一つは、ご説明した「ダイヤモンドイヤー」に向けた取組として、三つのことを重点的にやります。

 一つは、高野山系で、弘法大師の御誕生1250年。コロナさえなくなったら、全国の方がワッとお見えになれるように、たくさんの方が一遍に来られた時に、上手く捌くことも含めて、準備をしておこうというのが第一です。

 第二は、世界遺産登録20周年。20年経って、もう一度、世界遺産の興奮を(ということで)「蘇りの地、わかやま」、世界遺産を見直してもらうということで、PRをする。併せて、交通アクセス、その他。先週発表した二次交通で、特に、紀南の方の二次交通をきちんと整えましたが、ああいうようなことも、どんどんやっていかないといけないことになります。

 それから、大阪・関西万博が迫ってきますので、受入体制、或いは周遊プラン、そういうものをどんどん作っていかないといけないということです。世界遺産とも関係しますが、今、みんな新型コロナで、ちょっと心が弱って、ぐったりなっているという人達も多い。そういう意味では、「蘇りの地、わかやま」キャンペーンを展開するぞということです。

 それから、多様な旅のスタイル。どちらかというと、昔は観光は観光、仕事は仕事、体験は体験という意識があったと思いますが、今は、それがみんな融合しています。ですから、ワーケーション、体験観光、サスティナブルエコツアー、そういう人々の心にマッチするような、新しい商品を出していくというのがあります。

インバウンドは、この瞬間では渡航制限がかかっているので全然難しいのですが、それが近く開けるだろうという見通しを勝手に持って、開けた時には、一気に来てもらうことを考えて、いろいろ準備しておこうということだと思います。

 今、中国が流行り始めて、徹底的にロックダウンしたり、検査をしたりして、抑え込もうとしていますが、欧米ぐらいになると、これと折り合ってやっていくかという感じも出てきて、日本も、これから薬ができたり、ワクチンがもうちょっと行き渡ったりすると、ひょっとしたら、欧米型になっていけるかもしれません。そうすると、新型コロナが完全に地上から無くならなくても、折り合いながら旅を楽しむことができていくかもしれない。そういう期待を持って、海外の準備もきちんとしておこうというのが、今の考え方です。

 ということが概要にも書いているし、こんなに厚いのですが、本文にも書いているので、ぜひ皆さんお読みください。

和歌山県農水産物・加工食品の販売促進戦略アクションプログラム2022について

PDF形式を開きます資料2(PDF形式 6,885キロバイト)

 その次は、和歌山県農水産物・加工食品の販売促進戦略アクションプログラム2022です。これは、私が知事になってから、販売で戦略をきちんと立てて、同じ作るのだったら、高く売って儲けて、もっと励みにして頑張ろう、こういうふうに考えて、いろいろそのための手段を講じてきたわけです。

 今年について言うと、取組方針に書いていますが、四つあり、1と4なんて、誠にそうで、要するに、現状ではやっぱり人間があまり動けないので、やっぱりデジタルオンライン、eコマース、これが一番有効ということで、嫌というほどいろんなメニューを作って頑張りますというふうにしています。

 なお、「おいしく食べて和歌山モール」は、結構ヒットしていて、今、加入者もどんどん増えているし、お客さんもどんどん増えていて、これいいなという感じになっているので、どんどんやろう。それから、バイヤー向けとして、同じサイトで、バイヤーとサプライヤー、サプライヤーは出店してる農家の人や加工業者ですが、消費者が買いに来るだけではなくて、商売にしようという、手を挙げたいとか、代理店になりたいとか、卸しをしてとか、そういうような商談の場で、和歌山モールが使えるように今なっています。

 そういうことを、これから頑張ってやっていこうではないかというふうに思っていて、中身はいっぱい絵入りで書いていますから、いろいろ取材をしてください。

「和歌山県 森林・林業“新”総合戦略」の策定について

PDF形式を開きます資料3(PDF形式 4,203キロバイト)

 その次は、「和歌山県森林・林業“新”総合戦略」です。これも、私が就任以来、森林・林業の政策を作り直して、きちんとした林業を育てていこうというふうにしてきました。その後、いろいろ変遷があり、上にも書いていますが、(資料の)下の方を見ていただきますと、左に、ゾーニングと基本方針と出しています。これは、数年前に、我々が考えてやり始ましたが、和歌山県は、広いのですべての森林に同じようにコストをかけて林業を振興すると、中々難しい。

 従って、経済林と環境林に分けよう。環境林は、針葉樹でも環境林のものがあると、ちょっと開発や、利用がしにくいような所は、むしろ、森林の保全効果なんかを活かして、環境林として使っていこうというようなことを考えています。経済林は、儲かる林業を推進して、持続的な林業を続けるということをどんどんやっていく。経済林の中に、特に重点エリアを作って、そこには、(資料の)右にあるような、多くのものを投資していこう、こんな考え方でいます。

 今、長計の半分ぐらいまできていて、長計の後半の森林・林業の戦略はこれです。大きな目標としては、素材生産量は、新型コロナの前ぐらいでしたが、2019年にちょっと回復してきていますが、そこを基準年にしています。今、新型コロナで打撃を受けて、ちょっと下がったりしていますが、その基準年の26万m3から35万m3に上げるということです。林業産出額の金額は19億8千万円だったのを30億円にするという、ちょっと野心的な計画ですが、生産、流通、加工、利用、担い手、森林管理というようなところが、ずっと出ています。

 特に、よく分かる絵が3ページに出ていまして、真ん中に目標があります。そこで、生産体制、素材流通、林業担い手の確保・育成、加工販売で販路を広げていこう。利用促進、特に公共建築物やガードレールとか、そういう所にも増やしていく。併せて、適切な森林の管理をしながら、全体的な森林・林業、木の国を育てていこう、復活していこうと、こういうふうに考えているわけです。

 それぞれ、割合、簡単にまとめているので、これを読んでいただいて、これは面白いというところがいっぱい出て来てますから、森林・林業局に聞きに行ってください。

 以上です。

質問と回答

NHK:新型コロナについてですが、ワクチン、特に若い世代の接種が中々、全国的にも進んでないと思います。それについて、知事の御所感と、若い世代に対してのメッセージなどありましたら、よろしくお願いします。

知事:若い世代の方は、重症化しにくいということが、何となく分かってきたので、自分は(接種しなくても)いいな、罹っても(いいか)ということを、思っておられる人もいるかもしれません。それから、面倒だとか、副反応があるかもしれないので嫌だとか、あるかもしれません。

 だけど、やっぱりノーリスクかというとそんなことはないし、後遺症が残る人なんて、ないことはない。何よりも、やっぱり、罹るということは、人にうつすということなので、うつした先が命が危ないようになったら、あまり良くない。一対一でうつしたら、それはものすごく寝覚めが悪いわけですが、この場合は一対一はあり得ない。社会的にうつっていくわけですから、そこのところも、自覚を持って、ぜひやってもらいたい。どのぐらいワクチンを打ったら予防効果があるのかは、さっきデータでお示ししましたが、右(未接種者の罹患率)と左(3回接種者の罹患率)を、%で(比べたら)何倍というすごい差です。それから、重症化は、もう1個前に、数字が載っていますが、これもすごいです。従って、そんなことに目をつぶっていたら、若い人達の沽券に関わるのではないかと私は思います。

NHK:感染状況についてですが、リバウンドについて懸念されていたかと思います。今後の感染の再拡大についての懸念や、注意事項等がありましたら、お願いします。

知事:これは、和歌山県だけでは、全て完結しない。日本全国で、頑張らないといけない。どこが頑張らないといけないかというと、国民生活も守っていかないといけないから、国民の皆さんを閉じ込めるというのは、ちょっともうあまり効果がないし、そこまで言わないことにしようという感じがあって、それはいいです。だけど、保健医療行政は、国民のためにある行政です。一生懸命やって、もう手に負えないぐらい忙しかったら、それは責められないけど、やらなくてもいいというわけではなく、そこは、どの県についても、立ち向かって、きちんとやってもらいたいと思います。和歌山県はそれをずっとやってます。ただ、近隣の県、あるいは遠くの人口密集地から沢山の交渉が和歌山県にあります。そういう時に、そういうところが、(保健医療行政が)かなり手抜きになっていたら、感染がどんどん、そっちで大きくなります。そうするとやっぱり影響受ける。特に、影響受けやすい大都市近隣県なのです。そういう意味では、どの県も頑張って、保健医療行政は、士気を高くやろうではないですかというふうに、私は思います。

NHK:先週も質問がありましたが、今週、いよいよIRに向けた臨時議会が開会します。それについて、改めて、議案を提出される意気込みをお願いします。

知事:意気込みというよりも、県議会の先生方にお願いですが、是非、和歌山の将来のために、ご賛成いただきたいと、切にお願いをしたいと思っています。

朝日新聞:昨日、JR西日本が路線ごとの収支を発表し、和歌山に関しても、新宮白浜間が、赤字が多いという指摘がありました。改めて、これに対する受け止めと、この辺は観光に対して非常に影響が大きいと思いますが、その辺の対策みたいなものでJRに対する申し出等はありますか。

知事:特に、和歌山の赤字額が多いという話があります。それは、半分は観光路線です。その観光路線のところが、ものすごく打撃を受けているので、赤字額がガバッと増えているというのは、事実として明らかです。だけど、それはずっとそうかというと、これから、和歌山の特に紀南の観光は、脚光を浴びつつあって、世界でもそうだし、日本でもそういうことで、ものすごい人気が高まりつつある時に、新型コロナでバンとやられたわけです。特に、遠くからお見えになっている方は、JRに依存しているところが多いので、従って、(赤字額が)巨額だからどうのこうのとか、数字だけで議論しないでもらいたいというのが一つです。

 二つ目は、巨額なのは、実は、路線が長いというのがあります。もっと短いところはいっぱいあるので、赤字率で考えたら、そんなに大したことではない。そういう意味では、やっぱり割合でも考えないといけませんというのが、その次です。

 この二つは、ちょっとテクニカルな話です。基本的には、もっと大事なことがあると思います。

 それは、JRの経営が苦しいというのは、分かります。しかし、JRを作った時に、国鉄という一つの形態を幾つかに割って、どういうふうにして経営していくかと言ったら、路線ごとに儲かるものもあり、儲からないものもある。そういうのを地域的に割り当て、例えば、西日本でいうと、新幹線を西日本に差し上げますと。これから北陸新幹線なんかもできていくと思いますが、そういう儲かるところも、JR西日本に入っています。それで、儲かるところと儲からないところを全部まとめて、辻褄を合わせていきなさいというのが基本の考え方なので、儲かるところはそのままにして、儲からないところを切り捨てていくといったら、それはちょっと過去の経緯から言うと、おかしいのではないのということは言えると思います。

 そこは、分割時や、その何年後かにも、たびたび国会なんかでも同じような議論をされていて、国交大臣とか、総理も、そこは全体の問題なので、安易に赤字路線を切り捨てていくというようなことをしてはいけませんというふうに言われているので、そういうことは忘れないでほしい。もし、やるというのだったら、新幹線も半分ぐらい置いていきなさいというふうに思います。

 もう一つは、国としての交通路の作り方です。やっぱり、JRは、元国鉄で、今、分割されて地域会社になってるといっても、国全体としての、基本的な交通の役割分担は、非常に大きいものがあります。本当に小さいローカル路線、支線みたいなところまで、言うわけにはいかないと思いますが、国全体として日本列島を眺めた時に、鉄道網がきちんと行き渡ってるかどうかは、我々が作ってきた資産であり、大事だからそういう資産を作ってきた。一つの会社の、その部分の経営が悪いからといって、そこは要りません、ここは要りません、そんなことを勝手にやっていいものではない。別に、JR西日本の社長が言ってるわけではないのですが、そういうこともちゃんと考えて、これから解を見つけていかないといけないということだと思います。

朝日新聞:近く、JRへ、対策を申し入れるとか、そういった具体的な申し入れは。

知事:すでに、申し入れてます。

朝日新聞:実際に向こうに行かれては。

知事:オンラインでしたが、申し込んでいます。

毎日新聞:昨日の会見の中で、JR西日本は、ゼロベースで最適な交通体系を地域と話し合いたいと言っていますが、示しているのは、不採算のローカル線部分のみで、それに対して、いろいろな知事さんから、地方の切り捨てだというような声も聞かれたところです。発表に対して、仁坂知事はどのような意図を感じられましたか。

知事:やっぱり、経営が苦しいから、少しでも、経営を良くしたいというお気持ちがあり、みんなそれは持ってます。我々も、それについて、あなたの大事な会社ですから、あなたの経営なんかどうでもいい、そんなことを言う人は一人もいないと思います。しかし、だからといって、儲かるところは置いておいて、儲からないとこは切り捨てていく。それはさっき言ったみたいにルール違反だから、儲かるところも(地域に)置いていきなさいというべきです。切り捨てられたところの財源として、新幹線を私たちが管理しましょう。そのぐらいの感じになる理屈だったのではないかというふうに思います。

 もう一つは、経営を良くするために、やっぱり協力しなければいけない。和歌山県は、私が提案して、サイクルトレインを走らせてもらってます。あれで客が随分増えていて、赤字を全部カバーすることはできないけど、これからどんどん増えていくでしょう。同じようなことは、一緒にもっといろいろ考えないといけない。

 それから、地域の方も、できるだけJRを使って、いろんなことをするように、協力していかないといけない。そんなことも全体でいろいろ議論していくということではないですか。

毎日新聞:もう一点、知事選についてお聞きします。これまで、記者会見の中で、議会の質問に答える形でというふうにお答えいただいたかと思いますが、今月、臨時会で、知事肝いりのIR計画の議決が審議されると思います。この議決の可否と、知事の出馬の進退は、何らかの影響を与えるのかどうか。

知事:それは分かりません。だけど、こういう場で、毎日新聞に言ったりはいたしません。

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