知事記者会見 令和4年2月9日

知事記者会見

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令和4年2月9日 知事記者会見

令和4年2月9日 記者会見室 

令和4年度当初予算・新政策

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 それでは、この資料(資料1)に基づいて、説明させていただきます。(内容が)ちょっと細かすぎると思って、たくさん情報が入っているのは参考資料(資料2)になり、同じような章立てです。後で、財政課長が、予算案の中身については説明しますが、私の方から、ざっとご説明させていただきます。

 まず、令和4年度の新政策・予算の基本的な考え方ですが、新型コロナが長期化して大変です。しかし、いろいろ世界的にも環境変化が随分あり、これを上手く掴んで、和歌山県の飛躍に繋げていかないといけない。その飛躍を支える基盤づくりを着実に進めよう。これが第一です。さらに、世界の変容は、今、ものすごい勢いで行われているので、我々にとって打撃があるところもありますが、チャンスであるところもあるので、その打撃の影響を少なくするためにも、チャンスをたくさん獲得しなければいけないということで、ポストコロナ時代に挑もう。こういうことが二つ目です。

 そこで、大きな構成を二つにしました。一つは、「新しい社会で飛躍する和歌山」をアピールしよう。その中には、「変化する世界への挑戦」というのがあり、DXや或いは東京一極集中の瓦解からのチャンスを、全部、和歌山がかっぱらおうとかいうことがあります。それから、「ポストコロナ時代に挑戦する産業支援」ということで、すでに和歌山にある企業、或いはこれから和歌山に企業を起こそうと(していると)いうところを、どんどん支援して、産業活動を盛んにして、雇用を増やそうということがあります。

 大きな二番目に、そうは言っても、やっぱり、そのための基盤づくりをきちんとしておかないと、なかなか実現しない。(そのための)三つ(の柱が)あり、第一は、「コロナから暮らしと経済を守る」。コロナが、いずれ終わるでしょうが、終わった時に、何も残っていませんというわけにはいかないので、そういう意味で、コロナから暮らしと経済を守っておかないといけない。そのために、やることはたくさんあります。二番目に、「安全・安心で暮らしやすい地域づくり」をしよう。これは、子育て、福祉、安全、防災・減災とか、そういうことをきちんと手当てして、欠点を除去しておかないといけないということがあります。三番目に、人と地域をきちんと創っていかないといけないので、そのためには、教育、まちづくり、道路ネットワーク、そういうものをきちんとしておきましょうというのが、全体の構成です。

 その次に、体系図が出てきます。今、私が申し上げたようなことを、新規や、特に説明すること、今年変わっていることは後で言いますが、そうでないことも含めて、大事なことは、こういう体系で行っていますという、皆さんのご理解のために作っています。マル(の金額)を全部足しても、上の数字にはなりません。なぜかというと、その他があるからです。その他はたくさんあり、その他がどうでもいいかというと全然違って、いつの時代でも、県の政策として、人々の暮らしを良くするためにやっていかなければいけないことが、根っこにあります。その部分も含めて考えると、こんなふうになりますということが、この体系図です。従って、これで政策が終わりというわけではありません。(説明は)ここを飛ばしますが、皆さん、(個別政策で)これはどういう位置付けかと思ったら、そこを見ていただいたら分かります。

 8ページは、変化する世界への挑戦の初めの方で、やっぱり、DXだというふうに思います。DXは、世の中のすべてに及んでくる話ですが、分けると、産業と地域社会におけるDX、行政のDX、教育のDXと、この三つがあるのではないかと思います。

 産業・地域社会については、後でご説明しますように、例えば、製造業やサービス業だけではなく、農業や林業とか全部に、ICTの力を使って、広い意味で言えばDX、デジタルトランスフォーメーションを進めていこうということが、全面的にあります。

 行政がもっと難しいのですが、日本が、やっぱり一番反省をしないといけない。これは、安倍政権の時、限定(条件)なしで10万円ずつ配るという簡単な話が、なかなかできない。多分、他の国へ行くと、途上国も含めて、割合、簡単に配れるのではないか。なぜならば、みんなカードを持っていて、そのカードでパッと手続きをすると、自分の口座にストンと(お金が)落ちるというようなことが、なぜ日本でできなかったのかという問題があります。そればっかりアホかと言ってもしょうがなくて、我々も同じような話がたくさんあります。県庁の政策でもあると思うし、もっと多いのは、市町村の仕事です。手続き的なことは市町村の仕事がすごく多いから、そういうところも、デジタルトランスフォーメーションの力を借りれば、上手くいくのではないか。だけど、やれと言っていてもしょうがないし、「分かりました、では、やりましょう。何とか電子や何とかソフトウェアに頼んで、自分のところのシステム化をしてください」といってバラバラにやると、互換性も何もないし、お金もたくさん取られます。やっぱり、デジタルの良さは、いろんなところで繋がっていて、互換性があって、便利で、効率的で、合理的だというのが大事なので、それを、県庁と市町村で考えようではないかというのが、次にあります。

 教育は、どちらかというと、新型コロナで嫌々オンラインをやったというのがありますが、オンラインを活かして、もっと良いことがたくさんできるのではないかということです。

 9ページは、産業、民間のDXになり、流れからいうと、1、機運醸成・啓発、2、診断(現状把握)、3、技術習得、4、導入支援になります。それぞれ、どうやったらこの四つの要素の中で、強烈に進めることができるかを、一年間かけて、ああでもない、こうでもないと議論した結果です。それで、例えば、詳しくはご説明しませんが、先進企業の事例集などを作ってみんなに見てもらおうとか、DXセミナーをやろうとか、これは経営者に(対して)やらないといけません。そういう啓発的な活動もするし、うちはどうなんだろうという経営者が出てこられたら、ちょっと専門家に診断してもらいましょうかというようなことに助成して、アドバイスしたり、診断したりする。それから、うちの社員にはちょっとその能力がないので、自分も含めて教えてくれませんかという話が、技術習得のところで出てきます。それから、導入支援のところで、やっぱりお金がかかるので、何とかしてくれませんかというようなところとか、やっぱり専門的に支援して、良い設計をアドバイスしてくださいとか、そんなような話がいろいろあるので、これについて頑張ろうということがあります。そういうことは、参考資料の方に詳しく載っていますが、中身はどうだろうという話があったら、担当課も多いのですが、そういうところに聞いていただいたらいいです。

 10ページは、先ほど大分言いましたが、県、市町村の行政DXが、難しい仕事になってくるので、このために、総務部へ組織を作って、ゴリゴリいくということです。まず第一に、「オンライン申請を可能とするようなインターフェースの構築」は、基礎です。そういうことがあって、条例も改正しないといけないし、県の電子申請に決済機能を追加してしまうとかがあります。それから、②が大変大事で、どういうことをどうやってやったらいいのかを、全県で設計をしよう。そのために、業務量がどうなっているか調査しよう。こういうことが、②で出てきます。③は、そのための環境整備です。DXを支えるような環境整備は、実は、DXそのものだけではなく、いっぱいあります。そういうものがちゃんとできているかどうかを、チェックしながら進めていく。県庁も市町村もそうだと思います。

 11ページは、移住定住です。これは、ものすごいチャンスだと思いますが、我々は、十分(チャンスを)活かせているかというと、そうでもないような気がする。他所の方が、成績がいい場合もあるような気がする。従って、このチャンスを最大限に活かさないといけない。特に、東京一極集中、或いは一極ではないけど、大阪など都心部だけで集中していろいろ仕事をするというモデルが、ちょっと無駄だったかとか、面白くないとか、生産性が悪いというふうに感じられるところが多くて、若い人たちも、そういうことだったら、東京に住んでいなくても、自分は仕事ができるというようなものが、いっぱい出てきています。関心は、かつてないほど高まっているのでチャンスです。

 それに輪をかけたのがテレワークで、意外とできてしまったというのが多く、それならば、東京、都心に、ものすごくコストがかかる施設を作って、みんなここへ来いという必要もないというふうに、みんな思い始めている。そうすると、私は一年半ぐらい前から予言していましたが、都心から大関東圏にどんどん移る。一週間に一回か二回しか来なくても良いのだったら、東京の都心のオフィスを少なくして、遠くのところに住んでいる人が、テレワークを含めながら、一週間に一回ぐらい帰るというモデルが、また進む。だけど、それは、和歌山にあんまり(影響が)及ばない。大阪の大大阪圏という点では、そういうふうになりますが、大阪も、東京に取られてスカスカになっている感じがあるので、やっぱり、東京の一極集中を狙っていかないといけない。そうすると、ちょっと遠い和歌山に、どうやって飛んできてもらうかが大事なので、どうなるかというと、四つの狙いがあります。

 (その狙いは)上に書いていて、個人移住は、最近の新型コロナの流れで大きく変わったよりもずっと前から、田舎暮らしをしてみませんかと言って、我々が進めてきたモデルです。かつて、和歌山県は、これのトップランナーでしたが、その後ちょっと油断していたら、他所に真似されたので、トップランナーではないけど着実にやっている。それは、もっと頑張ってやらないといけない。

 二つ目は、農業をやりたい、林業もやりたい、ちょっと敷居が高いけど水産業も面白い、そういうことを思っている都会っ子は、結構います。そういう方々に、和歌山で農業をしませんか(とアピールする)。和歌山は、すごく商業生産物が多いので、そういう意味では、ものすごくやりがいがある場所です。従って、そういうところでどうですかというような話をしよう。

 それから、企業誘致で、例えば、企業の(機能)全部ではなくても、サテライトオフィスなどを作ってもらって、和歌山の事務所で働くと、周りの環境も良いし、楽しいというような人たちに、たくさん来てもらう。そのためには、サテライトオフィスで企業を攻めていこう。

 さらに、一年半前はあまり予測していなかったけど、もっと進んで、「転職なき移住」です。会社が変わるわけではない、例えば、会社は川崎にあるが、川崎の社屋に一回も行かなくていい。ちゃんと、どこかにいて、その会社のために尽くしてくれたら、それに見合うような給料を払いますということが、始まっています。端的な例は富士通で、富士通とは、協定を結んで、富士通の中で、和歌山も良いというような話をPRしていただくような機会を、たくさん与えていただく。ただ、相手は個人なので、その人たちに何をアピールしたらいいか。それは、ちょっと面白い字体で書いていますが、「New Work×Life Style(ニューワークライフスタイル)」というのが、アピールの元です。こっちへ来たらお金をあげると言っても、「あっ、そう」というだけの話になる場合が多い。そうすると、どういうライフが待っているか、或いはどういうワークのあり方が待っているかを、ちゃんとアピールしないと、魅力のある地域として、和歌山を評価してくれないことになる。それを、今、パンフレットを作ったり、PRしたり、ゴリゴリやっています。

 さらに、新しいことをちょっとやろうと思っているのは、「ワンストップパーソン等による手厚い相談体制」とあります。元々、ワンストップパーソンでやろうとしていますが、これが形骸化していないか。最近、テレビなどで、あのワンストップパーソンは、ものすごく偉いとかいう英雄物語みたいなものがない。どうなっているのだと言っています。立派に働いている人がたくさんいますから、皆さんの方で、大いに取材をしてもらって、(取り上げてもらうよう)お願いをしたいと思いますが、全市町村にというのが大事なところです。これは、新規ではありませんが、最近は、例えば、和歌山市とか田辺市みたいな、田舎で言えば都会に移りたい人が結構いるので、その人達の層をガサッといただかないと、前みたいに中山間部はどうですかと言って、ワンストップパーソンで面倒を見ているだけでは駄目です。和歌山市などにも、こういうことをやってもらおうということで、すでに始まっていますが、その機能が十分かというのが一つです。

 もう一つは、相談拠点を統合しようということで、今までいっぱいありましたが、わかやま移住定住支援センターの中に、今あるいくつかの機能を全部統合して、統一的にゴリゴリ働こうということです。それから、ふるさと回帰支援センターという全国組織で、和歌山県とは大変良好な関係ですが、そこのところの機能も拡充していこうというふうに思っています。

 それから、そこへ相談に来る人にアピールしないといけない。それは、若い人たちを中心に、やっぱりSNSとかネットとかで、いろいろ悩みを持ちつつ探している人たちは、すごく多いはずで、そういうところに、情報をボンボン入れないといけない。それから、雑誌や広報誌とのタイアップも、大いにやらないといけない。いろいろ関心を持ったら、そういうところで、みんな情報収集するので、そういうところにも(情報を)入れておかないといけない。ちょっと言い過ぎですが、よくこんな話で、広告を打つというのがあります。これは中程度の対策です。皆さんの会社なんか、そんなこと言うとあまり儲かりませんが、それよりも、本当の記事にしていただいて、真実を語るのが一番よろしいわけですから、その真実をどうやって皆さんに語っていただくかが、和歌山県に課せられた任務だけど、あまり成功してないのを、もっと頑張らないといけない。

 それから、県移住ホームページの情報検索機能を、もうちょっと統合できるように追加して、あちこち面倒くさく探さないといけないのではなく、パッと分かるようにいたします。

 次のところ(右側)は、いろいろ情報提供しただけで済むような話も結構あります。例えば、後でちょっと問題点も出てきますが、和歌山県の医療は、絶対に日本に誇れると思います。最近は辛いですが、新型コロナ対応を見ても分かるし、いろいろきちんとしていて、救急は、大阪や、かつては奈良、或いは三重の人たちは、全部、最終的に和歌山で引き受けていました。今でも、大阪の南部は引き受けていますから、そういう点では誇れるけど、誇れないところは、実は、じっと見たらありますが、パッと分からないところが住宅です。そこで、住宅については、どんどんと情報を集めて、こういう住宅を貸し出しますという話を、ちゃんと分かるようにするし、そこへ入りたいけど、水回りとかは気に入らないので直したいという話があったら、助成するようなこともありえます。従って、そんなことを見ていただいたり、或いは、入りたいけどこの家大丈夫ですかという話に対して、検査をして差し上げるようなこともあります。そんなことを、地域おこし協力隊の受入拡大も含めて、やっていかないといけない。これはものすごい重点です。

 12ページは、企業誘致戦略の推進です。ここは、一生懸命やっているところで、先ほど言ったような話が、左の「New Work×Life Style」のところで、新たなオフィスを提供するとか、拠点を整備しておくというのがあります。それは、国の交付金もあるテレワーク拠点の整備や、ICTオフィスを白浜・田辺方面に、もっと集積させようということで、今、南紀白浜空港(公園内)ビジネス拠点を整備しています。その他もたくさんあって、すでに売れ始めていますが、あやの台工業団地の開発を急いでいます。

 13ページは、県内事業者の競争力強化です。ものすごい勢いでやってきましたが、新しく追加するところだけ申し上げると、事業創出、研究・商品開発、販路開拓の中で、こんなことを一生懸命やっていますと、主な政策を書いています。新規が二つあって、一つは、デザインです。これは、自然に磨かれるところもあるけど、やっぱり、デザインを持っている商品、或いは店舗も含めてデザインの持っている意味は、大変大きい。そういうところを、デザイン経営という考え方を活用して、県内企業のイノベーションを支援します。それから、脱炭素は大変大事ですが、これについては、みんなそれぞれやることが違うので、脱炭素の意識醸成と取組事例を、経営者の方々にどんどんアピールしていくことを、追加したいと思っています。

 14ページは、スタートアップ支援ですが、ここにあるだけではなく、結構いっぱいやっていますが、ちょっと新しいセットを入れようということで、起業家によるスタートアップ支援をやります。和歌山出身、或いは和歌山企業で、例えば、全国で保育園チェーンを展開している前田さんという人がいますが、その方は、まさに最近の企業の創業者です。和歌山にも、ちょっとそういう人もいますが、やっぱり大都会を中心にたくさんいて、そういう方々のネットワークがあります。そのネットワークごと、和歌山を応援してあげようというふうに言ってくれているので、起業家サミット、或いは大学での起業家教育、右の方へ行って、起業家の方々にスタートアップ支援をしてもらう。成功した起業家が、次の成功を助けるということをやっていこうと考えています。さらに、大分いけるようになったら、スタートアップ創出支援チームによるハンズオン支援や、投資・販路開拓というようなこともやるし、県庁も応援する。こんなことで、このセットを一つ動かしていこうというふうに思っています。

 15ページは、農業生産力です。和歌山県は、非常に変わった構成を持っている農業県で、一つは、果樹生産がとても高い。その次の主力は、野菜と花です。(左側で)日本一の果樹産地づくりということで、いろいろ下にあるようなメニューが、ビシッとできていますが、特に、みかんなどの老木園の改植を推進しておかないと、そろそろみかんの木の生産力などが落ちてくるかもしれないということがあるので、これを頑張ろう。それから、その下にありますが、戦略品種に植え替えていかないといけないけど、数年、時間がかかるので、それを思い切ってやらないといけないから、補助をします。それから、輸出産地、これから輸出がどんどん伸びていくと思いますが、結構、(規制が)うるさい。農薬が横から飛んできてはいけないとかがあるので、そういうことについて、ちゃんといろんな条件を整えていく時に助成をする。こういうことが、新規メニューです。 

 それから、野菜花きも拡充します。特に下にありますが、オランダの農業に範を垂れて、施設園芸の中でスマート化をするのが、一番のターゲットです。施設園芸の中でスマート化をした時に、結構、重装備になるので、外側の枠組みが保つかというような話も出てきます。その強化なども合わせてやらないといけないので、そこについては、特に、緊急を要するので、補助率を上げようというようなところがあります。これは、一方では、風などにも強くなります。

 16ページは、遊休農地のリフォーム加速です。特に、今、放棄地が出ていますが、放棄地を吸収して、元気のある人たちが、経営を拡大することはあり得ると思います。そのために、遊休農地の現状復旧を、今までは助成していましたが、さらに、園地条件の改良を実施するということで、例えば、資料にあるような方法で、改良という部分があります。そういうところを助成するから、隣で少し荒れているけど良さそうなところがあったら拡大するなど、もっと積極的にどんどんやりましょうということを言っています。

 17ページは、林業です。林業も、スマート林業システムで、左の画を見たら分かります。最近、特に注目しているのはドローンです。こういうことをやって、人手ばっかり無理矢理かけるのではなく、正確に、効率的に作業していくことをやっていきましょう。もう一つは販売ですが、やっぱり、伐ってきた木はちゃんと売れないといけません。そのために、需要家のニーズと、現実にある林業家の供給力が、ピタっとマッチしたものを伐ってくると良い値段になるはずなので、そういうことのマッチングができるようなシステムを作りましょうということです。

 18ページは、観光です。これは、ものすごい勢いで一生懸命やっているので、付け加えるようなものがそんなにあるかと言うと、あります。何かと言うと、3年間の名前です。(前に)ゴールデンイヤーというのがありました。皆さんお忘れだと思いますが、和歌山県観光ゴールデンイヤーがあって、一生懸命頑張っていましたが、今度は、新型コロナが晴れてくるのではないかという期待とともに、次は、ダイヤモンドイヤーです。来年は、弘法大師生誕1250年、再来年は、世界遺産登録20周年、それから、大阪・関西万博が、その次の年にある。これはダイヤモンドイヤーだというふうに考えて、いろいろ頑張ります。頑張るメニューは、ここにあるように、いろいろあって、あえてそれがみんな新しいわけではありませんが、次々とヒット商品を飛ばしているので、それを頑張って、皆さんの関心に沿うようにやっていきましょうということです。まだ、IMGAと話が完全についてないので書いていませんが、上手くいけば、もう一つ、今、フィギュアスケートは4回転ですが、4人目がありまして、世界ワールドマスターズゲームズが、R8にきますので、どんどん行くということです。

 19ページは、ロケットです。ロケットについては、着々と進んでいますが、もうちょっと早めに打ち上がると思っていたら、今年の終わりぐらいになるそうです。なぜかというと、やっぱり、新型コロナで、いろんなところが滞って、部品が来ないからロケットが組み立てられないとか、そういうことが結構あるそうです。だからといって、根本的に何かがおかしくなっているわけではないので、この流れは、それだけエネルギーが余計に溜まっていると思っても良いと思います。あとは、見学者がたくさん来てくださることが期待されますが、それを上手く捌くことが大事で、見学者が、交通渋滞なんかないような形で、上手く見ていただいた上で、ここまで来ていただいたのなら、観光地のど真ん中ですから、他のところにもお寄りくださいということで、そういうことも見ていただこうというふうに思っています。

 20ページは、IRです。これは、この間から議論されていますから、言うことはないのですが、着々淡々と進めていって、何とか国に認めていただけるようにならないかというふうに期待しています。そこができると、2027年秋に、ドーンとこんな(建物が建つ)、これは和歌浦湾に向けた未来の鳥居らしいです。何のことだと思ったら、シーザーズのマークのあるものは鳥居だそうです。なかなかよく考えているというふうに思いました。2027年に、上手くいけばできます。そうすると、他のところはそんなに簡単にできませんから、日本で初のIRになって、一遍に世の中が変わっていくというふうに思っています。

 21ページは、今、新型コロナで本当に保健医療行政も大変ですが、現在あるような体制を何とか守りながら、強化しながらやっていきたいと思っています。

 22ページは、ちょっと新しくなります。地域医療提供体制を、左にあるような形できちんと守ってきましたが、一番弱いところは、産婦人科がほころび始めました。県立医大に、産婦人科の講座があって、県民枠の人達も地域枠の人達もいて、そういうところから、産婦人科医として勤務する人が出てきて、地域拠点病院などに続々と行ってくれれば、内科みたいなところと同じように上手くいっているはずですが、なかなか、産婦人科はあっても、婦人科が多くて産科がないという、ちょっと専攻が偏っています。産科における、事故が起こった時の訴訟が厳しかったとか、なかなか辛いことがたくさんあって、産科の人気がないというのがあります。そこで、段々と、今、頑張ってやってくださっている地域拠点病院の産科機能が、衰えてきているわけです。これはいけないということで、右の方に三つぐらいあります。

 一つは、上の黒丸で、もうすぐ上手くいくのでないかというふうに思っていますが、県外の大学と連携して、公立病院に産婦人科医師を派遣してもらうような段取りを、今、一生懸命やっていて、そのためのお金も用意しています。もう一つは、県立医大に、特に、特別の寄附講座を開設して、産科をやってくれそうな人を呼んでくる。そこでちょっと多く養成をするというのが二つ目です。三つ目は、県立医大の特別枠で、県民枠と地域枠がありますが、おそらく県民枠に、産科とプラスアルファーで、その時々に不足している科の方を、特別に採用することをやっていこうというふうに思っています。露骨に言うと、産科の特別入学枠を設定します。もうすぐ試験があり、もう始まっていますから、この4月からは無理です。来年の5月からの入学者に対して適用するように、ちゃんと用意をしておくということです。医大の入学を5月と言いましたが、5月のはずがなく、4月です。

 こうなると、一番最後のところが一番時間がかかりますが、これで、毎年数人ずつ、産科のお医者さんが県内で働いてくれることになります。例によって、大体10年間ぐらいの義務期間を設定することになると思います。その後は、例えば、開業するのは自由ですが、できれば病院に定着していただいて、中核的な産科の医師を、その形で再生産していくというふうになるといいと思っています。もし、お辞めになったとしても、年間、数人ずつ医師が新しく入ってきますから、医師不足で産科機能が停止という、現在起こっているような話はなくなるだろう。ただ、それまでに8年かかりますから、現在の体制の中で、何とか産科も増やしていかないといけないということです。

 23ページは、中小企業などで、本当に困っている人がたくさんいます。その方に対する支援を頑張りましょうということで、ここに書いているのは、左の方は融資で、右の方は補助金です。これは、国の支援も受けながら、例えば、お金が無くなってしまって急遽倒れることは、できるだけないように、県が支えていきたいということで、用意をしています。

 24ページは、コロナ禍での雇用対策です。これは、和歌山版リクルートブックを作ったり、和歌山で働きましょうといって、高校生については、和歌山県でいろいろな企業の面接をしていただいたり、和歌山で働いたら得だというような情報提供をしたり、マッチング機会を多くしたり、いろんなことをしてきましたが、新型コロナでやりにくいことがあります。それから、何もその時だけではなくても、しょっちゅうやりたいというのもあるので、「Web就活オリエンテーション」、「高校生向け就職ポータルサイト」、「Web合同企業説明会」などなど、全面的にWebを使って、高校生が情報に接することができるようにしようというのが、左の形です。

 それから、就活サイクルプロジェクトは、第二就活です。つまり、新卒の場合だけ、割合、みんな就活をやって決まったというのが、これまでの日本の姿で、途中で職を変わると結構難しいところがあります。だけど、今、終身雇用ばっかりの世界でもなくなってきているし、和歌山みたいなところは、例えば、若い時は、やっぱりちょっと冒険心もあるし、頑張って大都会の会社に行ってしまう方もいらっしゃると思います。そういう方が、次の就活をできるようにしましょうということで、和歌山県は、おそらく全国で唯一だと思いますが、この第二就活サイクルを意識的に作り上げていて、それがメインですが、そのメニューの一つとして、大人のインターンシップ、ちょっとインターンで試してみますというようなことも、サービスで行うということです。

 25ページは、子育てです。特に、子育ての関係で問題になっているのは、保育所の機能の拡充をしておかないといけない。和歌山県は、基本的に、待機児童が無い県に分類されると思いますが、完全に無いわけではないし、悠々という感じでもない。やっぱり、保育士の確保は一番大事なので、保育士の業務負担を軽減するために、多様な働き方を選択できる。或いは、つまらないことに労力を割かなくてもよろしいというようなことを、いろいろやりたい。それから、どうやったら上手く労働環境を整えられるかについてのアドバイスもしていこうというのが、今回の政策です。

 26ページは、子育て世代の経済負担を軽減している、或いは、あまり恵まれない家の子供に、奨学金を差し上げている。だけど、恵まれないという条件が、親の家計で、共働きをしてぎりぎりこのぐらいというと、結構(お金が)あるように見えるが、子供が多くて、ものすごく貧乏ですというような話もある。だから、子供さんが多くなるように一生懸命やっているのに、子供が多いのをパニッシュするような制度を作ってはいけないので、子供が多い場合は、所得制限を上げようということを、一般的にやります。

 27ページは、地域で子供をちゃんと守り育てて、困難を抱える子供たちへの支援をしようということで、子供食堂や、或いは就学支援、貧乏な家の子供が、それがゆえに成績があまり良くないのはかわいそうなので、例えば、いろんなところに集めて、大学生などに、個別の補習みたいな、学習指導みたいなものをやってもらおうという話や、或いは養育費の確保支援で、一例を上げると、離婚された方がいて、子供をお母さんが育てている。ところが、お父さんが養育費を払わないというようなケースが結構あり、ものすごく辛いわけです。それは、よろしくありませんから、ちゃんと払ってもらえるようにいたしましょうというのが、一番下の話です。

 28ページは、高齢者福祉です。(和歌山県は)要介護認定率が全国一高い。これは、和歌山県の優しさを物語っているとも言えるし、やっぱり介護のお世話になるのは、お金をくれるわけではないので、あんまり幸せでないところもあります。だから、二つあって、一つは、介護のお世話にならなくて済むように矯正していこうという、「短期集中予防サービス」をやります。二つ目は、認知症の問題で、これも大変深刻になってきますが、認知症も、鍛え方によっては進行を遅らせることができるということなので、これを早期に発見し、予防していこうということです。

 29ページは、聴覚障害児がいます。これは、赤ちゃんは、聞こえないということを言えない。そうすると、例えば、親が話しかけても反応しないとか、そういうことになってしまって、子供の時のいろいろな能力の向上に、ものすごい支障になります。従って、そういうことをちゃんと分かって支援するというようなことを、きっちりやっておこうということです。

 30ページは、児童相談所の体制強化です。これは、和歌山県も、お粗末な犯罪を犯してしまったところがあって、反省しなければいけないのですが、その反省に立って、子供の立場に立って、子供の意見や子供の意思とかを、代弁してくれるような制度を作ろう。アドボケイトといい、代弁者とか、提唱者とか言いますが、そういう専門用語でこういう横文字を使うそうです。アドボケイトに、弁護士などがなってもらって、子供にいろいろヒアリングして、「この子供は、こういう点で人に言えない悩みをすごく抱えて、酷い目にあっている」というようなことを、ちゃんと分かってあげるような制度を作ろうというのが、そこのところです。その他、児相の建て替えとか、いろんなものをどんどん充実していくというのが、あちこちに書いています。

 31ページは、水管橋が落下しました。あれで、そこだけや水道だけではなく、すべてのインフラについて、全面的にチェックした。それが二つあって、一つは、落ちないかどうかというようなハードウェアの強靱性と、代替性があるかどうかについて、チェックをしました。これは、県だけではなく、市町村、民間のインフラ事業者、国、そういう方にも入ってもらってチェックをして、結論が出始めています。その出始めた結論については、やっぱり事実は事実ですから、弱いところは直さないといけないし、代替性がないところをどうするかは、宿題として考えないといけない。

 ただ、すぐに代替性を付けろというと、例えば、水道料金に跳ね返る可能性があるので、そんなに簡単に、すぐやらなければいけないわけではない。だから、そこは問題をきちんと踏まえつつ、それぞれの市町村、或いは県や国で、考えてもらわないといけない仕切りになります。ただ、時間がかかっている時に、いつ何が起こるか分からない。根本的には、そういうことがきちんとできていればいいが、とりあえず、最も困るところは何かと考えたら、新規ですが、水道応急給水車両が緊急整備されていないと困る。例えば、病院(で水)が急遽止まったら問題です。福祉施設(で水)が急遽止まったら、トイレも流せない。病院は、例えば、腎臓が悪い人に対して、透析したりしています。そういうものは、水がなかったら、途端に大変なことになります。大体は、給水塔が一番上にあって、そこから流れてきますが、そこの水がなくなったら困ります。従って、そこにガーッと水を上げられるような、強力な加圧式の給水車、これはいくつかありますが、それを、必要な量だけ整備しておかないといけない。それは、市町村が行いますが、それに対して助成しますというのが、新しいところです。残りは、それぞれ、別にゆっくり(する)というわけではないけど、いろいろ悩みながら考えていただくことではないかということです。

 32ページは、津波による犠牲者ゼロを、我々は目標にしていて、一番大事なのは、避難困難地域を無くしていく。段々と無くなってきつつあり、例えば、3連動で4町22地区だったのが、16地区ですでに解消していて、あと6地区です。巨大地震も12市町61地区でしたが、10地区すでに解消していて、あと51地区になっている。だけど、我々の目標は、2024年までにすべての避難困難地域を解消したいというふうに思っているので、これをちょっと加速化してもらおうということで、いろいろ働きかけをしたり、県でやることをやったりしていこうということです。

 33ページは、河川或いは土砂災害です。前提として、国土強靱化のための5ヵ年加速計画で、別枠で15兆円を国が用意してくれているので、これを積極的に(予算を)取りに行って、宿題はどんどん直す。どんどん直していますが、まだいっぱいあるので、頑張ります。

 34ページは、その際に、DXを使いましょうということです。今どうしているかというと、人力で表示を変えに行ったり、看板をひっくり返したりしていますが、それ自体がすごく危ない。それから、そこにひょっとしたら行けないかもしれないので、簡単にできない。そんなこともあるので、道路分野、河川分野、それぞれ資料のような形で、どんどん、自動化、遠隔化、センサーを入れて自動的に情報が取れるようにしようとか、そんなことを続々とやっていきます。

 35ページは、教育分野で、学力の低下が、またちょっと心配になってきているので、さてどうしようかといろいろ考ましたが、国の学力調査に加えて、県が学力調査をやっています。その時に、ちょっと大変なのは、独自の問題を作って、それぞれ先生が指導していく。問題を作るのがちょっと大変だし、指導していく時に、教師によって指導力に差が出てきていることもある。従って、この辺は、民間の事業者に、なかなかノウハウがあるので、テストを委託すると、受験者ごとのいろんな処方せんを、自動的にビッグデータから書いてくれるので、そのビッグデータを元にして、個人の指導をそれぞれの学校でやってもらおうというふうに変えていきます。

 小さく書いているのは、指導力向上に係る研修で、中学校教員の研修を、もう一回やり直します。前に、小中学校の先生方に対して、全員研修をやり、大分改善されましたが、そこからまたちょっと日が経っているので、一遍にはできないから、令和4年は国語、数学、英語で、毎年、それぞれの教科の方々に来ていただいて、中学校教員、全員研修をやっていきたいと思います。

 36ページは、宇宙教育の推進で、これは、このあいだ私が記者会見で、こんなふうになりますと説明したものです。これからやっていきますので、重複しますから、説明はこのあいだ申し上げた通りです。

 37ページは、私は、勉強についていけなくなった子供たちを、きちんと救うことが、一番大事だというふうな意見を持っていて、これは全く変わりません。ただ、すごくできる、頑張るぞと言っている子供にも、刺激を与えようというふうに思いまして、スタンフォード大学と組み、高校生が、遠隔講座を受けられるようにする。スタンフォード大学で勉強しているような形になり、場合によっては、ある意味で、修了書をもらえるようになるというようなことをやっていく。場所は、自宅でもできるので、選抜試験で選ばれた子供たちが、一・二年生30名ずつ、我こそはと思う人は、受けられることにしようということです。

 38ページは、みんな頑張っているのは、やっぱり褒め称えないといけないので、児童生徒の主体的な取組や、地域の実情に応じた学校の取組は、それぞれが考えてそれぞれ頑張りますが、それを、ちゃんと褒め称える、或いは、褒め称える前提として支援をしよう。こういうことをやりたいので、支援してください、これはすごく良いですというようなことで、なるほどというのは、頑張れというふうにやろうということです。

 39ページは、ユネスコの世界ジオパークに、ここ2、3年が勝負だから、頑張ってなるぞということで、大いに力を入れることにしました。南紀熊野ジオパーク探偵団は、新規と書いていますが、去年から始まっています。海のジオサイト構想というのは、南紀熊野ジオパークは、まさに海から起こってきたジオサイトです。海洋の活動によってでき上がってきた大地で、それが、海の中とどう繋がっているのかについても、ちゃんと研究し、展示して、分かるようにするのが大事です。

 40ページは、ちょっとややこしいのですが、実は、自然を守る或いは環境を守るというと、いろんな制度がたくさんありますが、そのたくさんある制度は、それぞれ守ってくれている担当部局がよく知っていて、そこを守ってくれているのは当たり前です。ところが、他所の部局からすると、いちいち全部頭に入れておけというと、なかなかそう簡単ではない。

 ちょっと(前に)起こった話ですが、ここは、自然環境保護上、生物の保全上大事なところだといって保護しているはずのところへ、パッと陸橋を渡して、そこの環境を壊したというような話があります。これはいけないと思いますが、何かしなければいけないとしても、一番打撃の少ないようなやり方でやるか、或いは別のところでやるかを、考えていかないといけない。従って、どうするかというと、まず、自然環境室に、それの元締めを作って、例えば、県土整備部河川課がいろんな仕事をしようとすると、自然環境室にこれでいいですかと照会に行きます。そうすると、自然環境室は、いろんなものがあるかないかを探して、何もないとすれば(仕事をして)良いという話にするのが、一つの流れです。もう一つは、そのために、ゾーンの情報を地図に落とし込んで、ここでやりたいのなら、こういうもの(法規制など)がかかっていることが、パッと分かるようなシステムを作っておこうというのが、二つ目の種です。この二つの手段で、うっかりやってしまうことは、ないようにしようということです。

 41ページは、和歌山の三つの博物館の文化遺産を、データベース化いたします。もちろん、実物を見るためには、展示の機会で見ないといけませんが、いつも、この中に何があるかについては、データベースを閲覧することによって、分かることになります。それから、紀伊風土記の丘では、特に、石室がありますが、これをバーチャルリアリティ化して、こんな感じで入っているのか、こんな感じだったのかというようなことが、分かるようにしておく。それを、県内外に、いつでも発信できるようにしておくということで、今後3年間かけてやります。

 42ページは、県立紀伊風土記の丘と県立自然博物館は、和歌山県直轄直営の四つの博物館のうちの二つです。残りの二つは、近代美術館と県立博物館で、黒川紀章さんが作ったものすごく立派な博物館が、元和歌山大学附属小学校跡地にありますが、残りのところは、ちょっといろいろな問題があります。従って、これはやっぱり文化の県和歌山としては、きちんと整備しておかないとまずいというふうに思っていて、和歌山県の長計にも、ちゃんと書いています。その長計の書いていることを実現しようとすると、今、財政が辛かったので少し足踏みしていましたが、そろそろ発進させないと長計の実現ができないので、次のようなスケジューリングで、令和10年度に開館できるようにしていきたいと思います。

 43ページは、景観まちづくりについて、本格的にやろうと思っています。これは、和歌山県は、昔から割と栄えたところですが、今、ちょっと発展が止まって、人口も減りつつあるので、空き家が多い。空き家の中には、廃墟になっていてどうしようもないところもあるけど、どうしようもなくない、立派な空き家もあるから、それは使った方がいいというのが、和歌山県の思っている、他県よりも強い宿命です。従って、廃墟みたいなものがあったら、周りに外部不経済を与えていろいろ大変だから、景観支障防止条例、通説、廃墟片付け条例を作った。これは、全国で最初にできたこの手の条例で、民法の大原則に大穴を空けました。

 これをやりましたが、ちょっとデュープロセスを厳密にし過ぎて、なかなか進まないと言っているうちに、数年後、国が空家法を作ってくれました。今度は、責任が市町村にいきましたが、市町村が空家法を運用して、景観を守っていかなければいけない責務を負っています。そういうことを、大いに進めていこうではないかということを、考えてやろうとしています。そのために、闇雲にやってもしょうがないので、まず、どこの地域を、重点的に廃墟とかを片付けて整備していきたいかが、市町村ごとにあると思うので、それを、県の振興局と一緒になって、議論をして、重点区域を定めて、その重点区域に定められたところについては、県も力を入れて応援していこうというような考え方です。空家法のシステムはありますが、市町村の問題ですと言って放ったらかすのではなく、県も入って、それを助けていきます。そんなことで、これから本格的にやっていきたいというふうに思っています。

 44ページは、道路ネットワークの整備です。言わなくていいぐらいの感じなので省略しますが、まだ宿題が幾つかあるので、これをきっちり直していこうということです。それから、災害に備えた道路網の強靱化も大事です。

 45ページは、予算のフレームです。令和4年度の当初予算は、昨年に比べるとちょっと少ないのですが、これは、どちらかというと、ニーズを考えて、金融用に充てるお金を少し少なくした。前の方に出てきましたが、支援をするたびに、県が一度銀行にお金を出して、そのお金で有利な金融をやっていただいて、そのお金を、年度末に余った分を返していただいて、次の時にはまた出すということで、いつもニーズに応じて、実際は出しています。昨年は、新型コロナでものすごく大変だろうということで、それをウンと大きくしていましたが、そこまで需要はないということで、そこを少し少なくするということが、大きなところかというふうに思います。それで、いろいろ大変なやり繰りをして、収支不足額を一応ゼロにして、財調基金や県債管理基金の年度末見込みを、(昨年度と)同じぐらいにしておきました。

 ただ、財政は、これからどうなるかというと、実は、結構大変です。最近、和歌山県は、県債を出せる能力はまだまだあったので、それに頼っている部分もあるし、国が有利な形で返済を助成してくれるのも結構あるし、国土強靱化で国の部分が大きくなったいろんなプロジェクトを、どんどんやっていかないと損だということがあるので、それをやってきましたが、やっぱり後年度負担もあります。それから、先ほど言いましたように、そんなに多くありませんが、例えば、施設を建てていかないといけないこともあります。それから、行革で、私の就任後ですが、結果的には9%の人員をカットして、人数を少なくしてやり繰りをしてきたところがあり、そこで何とかバランス(を取れるように)しましたが、その時の行革のやり方で、後年度負担が高くなっているような時代にまたきています。そんなこともあるので、同じぐらいの残高にして、使い残しがあると、これに足したりもできるので楽でしょうと言われると、実は違って、結構大変なので、どうするかというと、令和4年度からの新中期行財政経営プランを策定して、全貌を県民の皆さんに明るみに出しながら、こんなふうにして注意してやっていきますということを、近く、県議会(の特別委員会)にお出しすることになると思います。

 46ページは、補助金の一斉見直しも行いました。特に、これはもういらないのではないかというようなことを、財政課が厳しく指摘して、大議論の結果、いくつか無くしたものもあるし、ごく小規模の補助金をどうするかと考えたら、実は、小規模の需要なので小規模の補助金なのですが、実際に、それを執行しようと思ったら、マンパワーはものすごく大変です。そういうことを統合したり、整理したり、いろんなことをやることによって、ただでさえ忙しい県庁の職員の忙しさを、軽減することをやらなければいけないこともあり、こういうことの見直しをしました。金額は、そんなものすごい数ではない。簡単に、昔、民主党政権が10兆円出せるとか言っていましたが、あんなものでは絶対にありませんが、ものすごく大激論をして、これだけ捻り出しています。そういうことをご報告したいと思います。

 47ページは、先ほど言いました、新中期行財政経営プランの素案を説明申し上げます。まず、人員体制については、前みたいに9%カットとかを無しにできないか。今、行政ニーズも高まっているし、それはできないので、現行の職員数を基本にし、効率的な体制づくりをして、やり繰りしていくということです。財産管理は、公共施設をどんどん建て直していかなければいけないのが出てきますが、できるだけ上手く長寿命化をしながら、頑張っていく。公共建築物については、単年度100億円を超えないように、財政負担を考えようということで、初めから、ちょっと自分でタガをはめておきます。もう一つの財政運営は、財調基金は、今、209億円ぐらいあると言いましたが、前の行財政改革推進プランの時も、これは必ずしもそこまでなくてもいい。でも、本当に何が起こるか分からないから、150億円ぐらいにしようというのが、前のプランでした。今回は、ちょっと動機の方が違いますが、結論は一緒で、結構苦しいかもしれないから、少し減らさざるを得ないかもしれないけど、150億円ぐらいは残るようにしておかないと、その先がさらに危ないということなので(残す)というぐらいの考え方です。下にあるような形で、みんなで頑張ろうということです。

 48ページは、組織改正です。これも、いろいろ大議論をして考えました。簡単に言いますと、ユネスコの世界ジオパーク認定に向けた体制を強化します。(今は)自然環境室に、ジオパーク推進班がありますが、ジオパーク室を作って、ここに入れて、ちょっと増員して頑張るということです。それから、和歌山県立南紀熊野ジオパークセンターも強化します。

 それから、県庁デジタルトランスフォーメーションを推進するための体制強化で、総務部総務課に、DX推進室とDX推進班を設置して、DXに向いたような強力な布陣をひいて、全県を引っ張っていくということをやります。

 それから、移住定住が、えらい大変です。従来のメニューだけだと、その成果は大したことがないので、地域政策課の地域支援班を企画振興班に再編することによって、この地域に何が必要かを、自分で考えよう、探そう、市町村と議論しよう、そういうヘッドクォーターを作って、その画作りもやっていかないといけないということです。もう一つは、移住定住推進課の移住交流推進班を、移住戦略推進班に再編し、今、何をしたら移住が進むかについて、いつも目を光らせておく。これまでの移住推進班のメニューがありますが、そのメニューだけに頼っていたら、なかなか上手くいかないので、戦略を持って臨むということで、人員も含めて少し強化していきます。

 それから、振興局の地域連携力向上ですが、振興局は、私が就任するちょっと前に、将来、振興局を無くすことを前提に、第一弾として、それまで、振興局にあった市町村係、市町村の予算とか助成とかを一元的にスルーする機関を、全部止めて、各課、特に市町村課に移して、本庁で一括してそれをコントロールすることにしました。その結果、振興局の能力がちょっと落ちたということは、つとに指摘されていました。私は、それは、やり方の問題で、全国知事会でよく言われる空飛ぶ補助金みたいなもので、あれはけしからんと言うけど、空飛ぶ補助金があるのは当たり前だと思っています。空飛ぶ補助金を、どうやって上手く取れるように助けてあげるかは、情報収集力と中央省庁に対する発言力の二つを上手く作っていれば、別に、形式的には、県をスルーしてもよろしいというふうに言っている、およそ、47人いるうちの多分1人だと思います。ただ、振興局も同じことが言えて、局長以下、みんな情報収集と情報伝達に走りまくれとなっていますが、商工業と農業については、大分それが戻ってきた感じがしますが、やっぱり、市町村と地域の方々の一般的な付き合い、地域というのは、町全体の中で、この地域、この地域、この集落ですが、それが不足している。だから、この地域に何をしたら、例えば、この地域の人口も増えて元気になるかについての情報収集力が、大分不足している。市町村が考えていることが、隣にいるのに分かっていないというようなことが、いろいろあります。

 従って、地域振興部に地域課を作り、市町村の窓口と、地域へ出かけていって、市町村を経由しなくても、直接、人々がこういうことに悩んでいるというようなことについて、情報収集ができるような制度を作ります。

 それから、新型コロナワクチン接種支援に係る体制強化で、健康推進課にワクチン接種支援班がありますが、新型コロナ対応で大変で、今、事実上、医務課が中心になってやっていますから、接種支援班全体を、カポッと医務課に移します。

 それから、教育委員会事務局の進行管理体制の強化です。教育委員会もたくさん良い仕事をやっていますが、どうも、学校現場で何が起こっているかについて、せっかく政策立案をして予算をつけて、やりますと言っていたことが、実際はやれていないことがいっぱいある。それで、進捗管理とか、その進捗管理上問題だったらてこ入れをするとか、そういうことを考えるチームが、どうもないというふうに思いまして、教育庁総務課に政策管理班を設置することにしました。それぞれの原課、義務教育課や県立学校教育課とかには、一生懸命やってもらいますが、「それ、ちゃんとできていないでしょ」というような話は、いつもチェックを入れることは必要だということです。

 49ページは、職員採用試験をちょっと見直します。今、公務員試験で、ウエイトは段々と下げていますが、筆記試験は、専門試験と教養試験の二つを出しています。専門試験は、学校で勉強するからいいとして、教養試験が、予備校へ行かないと良い成績を取れないような試験ですという指摘がされています。これは、人事院の外郭団体が作った試験を、我々はその会員になっているので貰ってきますが、どうもそういうところがあると言われています。そうすると、公務員試験を受けるのに、予備校に行かなくてもいいというような人、本人に自信があって、公務員もいいけど、そのために、学校をさぼって予備校へ行くのは、アホらしい。民間だったら、別にそんなことしなくてもいいというような人達は、受験しない可能性があります。従って、これをコロッと変えて、民間企業で、民間でも採用されているような、基礎能力試験に変更し、教養試験を見直すというのが一つあります。

 もう一つは、受験対象者の拡大ということで、特別枠を作っています。この特別枠については、何が一番ポイントかというと、公務員試験を受けようと思ったら、一年遅らせて受けてもいいけど、アホらしいというような人たちがいっぱいいます。例えば、ものすごく厳しいハードな運動に取り組んで、結構、大学の時に良い成績を修めたけど、いろんなことを犠牲にして、公務員試験の勉強のために予備校へ行くようなことはできなかった。じゃあ、その一年、学校を卒業或いは休学して、次の年は運動を止めて、一年間勉強するとなったら別に問題ないけど、そんなことしなくても、運動に打ち込んで、いろいろな辛さも味わって、根性(が必要な経験)も味わって、問題意識もできてというようなことを、訴えたらいいということで、この特別枠を作っています。その特別枠について、そういうことが、より分かりやすくなるように、或いはそれをちゃんと判定できるように、特筆すべき実績をアピールして、やってもらったらいいというふうに、明確化と言ってもいいかもしれませんが、そういう制度の改正をします。

 ちょっと長くなりました。以上です。

質問と回答

産経:まず、個別のことからお伺いしますが、DXの分野を、行政と企業と教育と進めていくということで、県庁が関わる全分野で進めていく形になりますが、これの必要性について、改めてどのようにお考えでしょうか。

知事:両方に共通しますが、産業の方について言うと、やっぱり競争力の強化です。業種別に別のことがあるかもしれませんが、共通で効くところは、やっぱりDXの推進です。それを、どうやって取り入れて、良いものを効率的にサービスするようにできていくかは、経営全体に関わる話なので、競争力の強化のために、DXをどんどん取り入れていきましょう。気がついていないところもあるし、診断してもらったら、ああそうかと思うかもしれないし、やりたいけど助成してほしいというような話もあるし、それを総合的に全部いきますというのが一つです。

 行政の方は、県民、市民、国民の利便性の向上が一番大事なことで、もうちょっと言うと、行政の効率化にも繋がります。つまり、税金の無駄遣いが少なくなるということです。

産経:全体的な話で、今回の立て付けです。新型コロナに対応して、それをチャンスにして県を発展させていくということですが、コロナ禍で社会が変わる中、和歌山県のこれまでの古い産業構造を転換しないといけないということも言われていたかと思いますが、どういう姿に成長させていきたいか。

知事:そんな簡単にはいかない。それは、ジワジワとしていかないといけないので、ありとあらゆることというのが、答えていないようで答えです。例えば、農業も、スマート農業とかで、効率的で儲かる農業にしていかないと、みんな暮らしていけない。だけど、農業はいらないか、農業は生産性が低くて馬鹿馬鹿しいから、みんな辞めるかと言ったら、そんなことはなくて、今、実は一番伸びていて、そういう余地がたくさんある。では、既存の製造業はどうかというと、脱皮していかないと、同じものをずっと作り続けていける保証はない。これはエネオスで実証されました。だから、どうやって地域の雇用のために脱皮していただくかは、エネオスも必要だけど、その他のところも全部必要です。

 私の子供の頃から今まで、大きい主要企業があんまり変わっていなくて、他所は全然変わっていて、変わったところは伸びています。だから、チャンスがあったら、それを引っ張ってこないといけない。引っ張ってくるのは何でもいいのですが、そのチャンスが、今、製造業の大きいものは、ちょっとあるけど少なくなっている。そうすると、IRやロケットやITとか、そういう新しい要素も含めて引っ張ってこないといけない。じゃあ、ITとかIRとかだけでよくて、製造業はいらないかといったら、そんなことはない。それも頼らないといけないから、30人、50人の雇用を作ってくださるような企業は、一生懸命働きかけをして、和歌山に引っ張ってこないといけない。すべて動員です。

毎日:一言で、キャッチフレーズみたいなこと、簡単に言うと、どういう予算だという認識をお持ちでしょうか。

知事:いつも、毎日新聞に聞かれますが、あまり一言で言えない。それは、ちょっと私の下手なところであるかもしれません。あえて言うと、二つあって、新しい世界で飛躍する和歌山、そのものずばりと、そのための基盤づくり。これを両方やるということです。そんなもの、記事になるかというふうに思いながら聞いているでしょ。

毎日:そんなことはないです。やっぱりキャッチフレーズは見出しにも繋がるので。

知事:新しい社会というのは、やっぱりコロナ後です。コロナで変わった世界、それから、その前から本当は変わっていましたが、コロナが明けた時に開けてくるであろう世界です。

毎日:あまり意に沿わない質問かもしれませんが、あえて、新規事業の中で、知事が推す事業を二つぐらい挙げていただくと、何になりますか。

知事:これも難しいのです。根っこのところで大事な話ではないですが、新規のところで、大事なところで言うと、二つ上げろと言われたので、DXと移住定住総合戦略かな。だけど、みんな思いが違うかもしれません。ここに書いていることは、すべてみんな思いがこもっています。

毎日:その理由を、簡単に伺いたい。やはり、県の将来を作っていくことに繋がる部分が大きいと思ったりもしますが、いかがでしょうか。

知事:DXは、さっき言ったみたいに、大体、競争力とか効率化というのは、全面的に推し進めている共通項です。だから、それについて、やっぱりみんなでやっていかないと、今、一斉競争が始まっているような時代なので、そういう意味では、大事だと思います。

 移住定住は、世の中が流動化しています。そういう意味では、流動化しているものをかっぱらってこないと話にならないので、かっぱらってくるためには、移住定住も大事です。もう一つ言えば、例えば、IRみたいなものも、世の中が流動化して、産業構造が変わっていく一つの表れです。ITやIRとか、そういうようなものを、新しくラインナップに加えていくことも、流動化に対応する一つの対応です。三つ目になりましたが、二つ目と三つ目は、似たようなものです。

 なかなか難しいことを聞かれます。本当は、そういう点で立派な人がいて、喋るのが上手な人は、中身はあんまり考えないけど、それだけ考える。私は、中身を考えるタイプなので、一言で言うと、という能力がちょっと弱いんです。申し訳ない。

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