知事記者会見 令和3年9月7日

知事記者会見

記者会見での発表事項等を紹介します

令和3年9月7日 知事記者会見

令和3年9月7日 記者会見室

県民の皆様へのお願い

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 もうすぐ議会があるので、議会とのお約束で、しばらくこういう形の記者会見は、議会が終わるまで止めることになっていますので、議会前の最後の会見です。なお、ついでに申し上げておきますと、(報道の)皆さん、聞きたいことがあったら、時間があればいつでもお答えします。いつでも空いてるわけではありませんが、広報課に言っていただいたら、どうぞ(来てください)ということです。

 今日は、新型コロナ関係で、県民の皆さんに申し上げたいのですが、特に、今まで申し上げていたことに加えて、新しく申し上げなければいけないことはないと思います。今の状況、今のルールと言ったらちょっと言い過ぎですが、今のお願いに沿って、県民の皆さんは、ご注意いただければいいし、我々行政も、これまで以上に頑張って、新型コロナの拡大防止に努めていきたいと思います。

 ただ、最近の状況を見ていますと、特に、こういうところ(資料1枚目)は目につくので、注意してください。学校・教育現場、学童保育や習い事・塾などの教育関係で、子供さんにうつることが多い。それから、病院・福祉サービスがあれだけガードしていましたが、ちょっと緩んでいるので、いくつか問題が起こりましたので、よろしくお願いします。それから、赤い字で書いていますが、特に、若い方の結構大胆な行動が結構あるので、今は、本当に注意していただいた方がいいです。感染が収まってきたら、また青春を謳歌するのもいいことだと思いますが、今、とてもうつりやすいので、気を付けてください。

 そのバックグラウンドは、そこ(資料2枚目)にお配りしていますが、こんなことになっています。まず、学校・教育現場では、和歌山県だけではなく全国的に、学校や保育所等で多くのクラスターが発生しています。県内でも、第一波の従来株の時は、10歳未満の子供にはほとんどうつらなかったので、小さい子供にうつったら、全国的ニュースになっていました。ただ、デルタ株に関しては、子供でもどんどんうつってしまうのが現在の状況なので、特にかわいい子供さんですが、10歳未満、10代の感染が増加していて、学校の感染拡大が懸念されるということです。

 第一波ではありませんが、10歳代より下の(感染した)人が、第四波の時は13.4%でしたが、第五波は22.3%になっていて、これはかなり注意をした方がいいということです。こういうことが分かっているので、和歌山県は、学校の感染防止ルールは、なぜか他県よりも厳格です。他のところは、そんなに厳格にしていませんが、学校だけは、結構、早めに手を付けて、夏休みを延長したり、県立学校は分散登校にしてオンラインを加味してやるとかをやっています。小中学校も、それぞれ注意してやってくださいとお願いしている。完全に休校するとか、小学校などは、オンライン授業なんて、テクニックとしてなかなかやりにくいところもあるので、皆さん苦慮しながらやってます。感染の状況が町によっていろいろ違うので、それぞれご判断いただいたらいいと思います。それから、完全に休みにすると、今の感染状況だと、かえって増える場合もあります。だから、その辺は、慎重にどれが一番いいかは、市町村も考えてやっていただいているはずなので、それぞれのところで、住民の方にご説明しながらやってくださいということです。

 県立学校については、県が自分で考えないといけないのでやっていますが、例えば、特別支援学校は通常どおりやっています。それは、ちゃんと理由を説明していて、もしあそこを止めてしまうと、デイサービスか何かにお預けしなければいけないわけですが、今ちょっと考えたら、そっちも聖域とは言えないわけで、むしろ、(一クラス当たり)平均8人ぐらいですから、ちゃんと先生が見ながら、密にならないように工夫してやるのが一番よろしかろうということで、従来どおりにやってます。他の40人学級のところは、20人ずつぐらいに分けて、バラバラに座ってもらって、残りの半分はオンラインで家で見てもらう、こんなことを考えていますが、いろいろやり方はあると思います。

 学校は、そうやって気を付けていますが、意外と、私的に行っている、例えば、習い事や塾、あるいは学童保育も気を付けないと、学校の実際の授業現場だけが感染の経路になってるわけではないので、皆さんに注意を促してる。それぞれ、塾などもガイドラインとかを決めているので、それを元にしてやって欲しいということで、我々も、塾の見回りと言うと言い過ぎですが、ウォッチは続けています。

 病院・福祉サービスは、ワクチンの前は、ここが一番リスクが大きい、特に、命のリスクが大きいということだったので、ものすごく注意をしてもらいました。特に、福祉施設などは、本当に一生懸命やっていただいて、ゼロとは言えないけど、あまり(感染者が)出なかった。特に、施設型の福祉施設ではほとんど出なかった。デイサービスとかで、ちょっと目こぼれがあったところがありますが、非常によくやってくださったと思います。

 ところが、ワクチンができて、かなり多くの高齢者が接種した。それから、今の第五波を見ると、高齢者の感染が少ないということがあるので、ちょっと甘くなってるかなというところがあります。福祉施設の方から見ると、病院を退院して来られた人は、絶対大丈夫だろうといって、今までの福祉施設のルールだと、新しくお入りなる人とかサービスを受ける場合は、必ずPCRか抗原検査をきちんとやってから入ってもらう、これを徹底していましたが、最近、ちょっと起こったケースで言うと、病院から来られたから、向こうがちゃんとしてるから、この人は大丈夫だろうと考え(検査をしなかった)たら、病院の中で院内感染が起こってたということがあります。従って、それは注意をしてください。病院だからといって、もう大丈夫だと言わないで、改めて、サービスをする時には、必ず利用者に検査をしてくださいと申し上げたほうがいいと思うし、施設の職員あるいはデイサービスをする職員なんかは、(具体的な例が)実は起こってしまったので、後で言いますが、ぜひ、注意をして欲しいということです。

 特に、福祉サービスや病院サービスは、結構、密になります。サービスをする人がうつっていると、かなりの確率でうつるし、お年寄りで本当に体の弱い人は、医師の判断で、これはワクチンを打たないほうがいいとしておられる人が、中には混じっています。そういう人にうつると、結構、重症化するリスクが高いので、従来のように注意してくださいということです。

 それから、今、若い人がものすごく多いのですが、田辺の大クラスターなんかは、一回、(感染が)ワーッといくと、子供、孫、ひ孫、玄孫と(繋がりでうつっていくように)ズルズルと(人から人にうつって)きて、今でも、また一人出ましたとかがあり、完全に収まっていない。だから、早めにパサッと収めるようにしないといけない。そのためには、自分たちは元気だから大丈夫だろうといって、大グループで、結構、羽目を外してやっていると、その中の一人でもうつっていると全部うつってしまうことになるので、若い人は、飲食をしてはいけないとか言っているわけではないのですが、静かに小人数で楽しんでください。今は、あまり、夜中までやるかといって調子に乗らないで、少し抑え目に楽しんでくださいということです。

 それから、大学生のクラスターなども出ているので、クラブ活動とかも注意してほしいし、大学生とかでアルバイトに行っている人がいますが、このアルバイトは、割合、大阪が多い。それで、大阪の職場で(感染者が)出て、しばらくすると自分も発症してしまったというのが多いので、大阪に行ってはいけないとは言えませんが、(行き帰りも)よっぽど注意して、アルバイト先でもよっぽど注意して、うつらないようにしてほしいということです。

 紙(資料1枚目)をお配りしていますが、皆さんへのメッセージとして、特に、今は注意してほしい。(もともとの)全体(のお願い)が注意ですが、学校・教育現場、学童保育や習い事・塾なども注意してほしい。病院・福祉サービスは、第五波でワクチンを打っているからと言って油断しないで、第四波ぐらいの時までのようにやってほしい。若い人は、感染の一番のきっかけになるのはこういう方が多いので、ぜひ注意してほしい。元気だからといって、感染しないわけではないし、重症化しないわけではないので、ぜひ注意してくださいということです。

 その補足としてお配りしていますが、こういうの(資料4枚目)があります。さっきの裏付けみたいなことを言いますと、児童福祉施設の職員が、発症して熱が出た。新型コロナがない時代は、解熱剤を飲んで仕事に行きます。実際に、そうした(解熱剤を飲んだ)ら熱が下がったので、大丈夫かなと思って、3日間、仕事に行った。本人は、新型コロナはあるけどそんなに悪化はしてない。だけど、濃厚接触者の連絡を受けたので検査をしたら、なんと陽性だった。そうすると、3日間勤務していますから、一番下にありますが、勤務先の児童福祉施設の複数の子供にうつっていたということがあって、これは、またその(子供たちの)家庭も調べなければいけないし、大変なことになる。ですから、「あれ、体調が悪い、新型コロナかな」は、今は「あり」で、調べに行ったら、すぐにお医者さんが調べてくれることになっています。無理をするのは美徳ではないということで、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 横は、同じようなケースで、介護事業所の職員が、微熱と咽頭痛があり、発症後、次の日にはクリニックへ行っていますが、その前に一日勤務している。そしたら、勤務先の高齢者施設で、複数の入所者に感染が出てしまった。この1日を行っていなければ、その福祉施設に入ってないわけですから、ぜひ、「あれっ」と思ったら、すぐにお医者さんへ行って、「今日はちょっと調子が悪いので休みます」は、今、美徳であるということを、ぜひご理解くださいということです。

 それから(資料3枚目で)、症状があったら早期受診と言っているのに、ものすごく頑張った人がいます。50代の男性ですが、発症後、ずっと発熱と咳が持続しているのに、お医者さんに行かなかった。そしたら、とうとう息苦しさのあまり、救急車を呼んで病院に連れて行ってもらった。そしたら、もう1人では歩けず、酸素がかなり吸収できていない、肺炎像もあるということで、これはいかんと言って、すぐに酸素投与やステロイド治療とかを始めたけど、まだ少し悪化して、ICUへ入ることになり、ひょっとしたら人工挿管が必要になってくるかもしれない。治ればいいんですけど、当然、8日間もずっと我慢していたので、その間いろんな人と接触しています。接触してる人を調べに行ったら、陽性者が結構出てるということで、こういうのも、とても悪いことだというふうに思ってください。すぐにお医者さんに行って、うつっていたら、和歌山では、軽症の状態で病院に入れます。そうすると、多分こんなことになっていないと思います。そこを止める薬なども結構今はあるので、すぐに発見されるように、勤務は止めて、クリニックへ行って、PCRとか抗原検査とかをやってもらってくださいということです。

 ワクチンを打っている人も、確率は少ないけど罹りますし、人にもうつしますから、ワクチンを打っている打っていないに関わらず、ちょっとおかしいと思ったら、すぐにクリニックへ行って欲しいというのが、皆さんに対する切なる願いです。

 それから、ワクチンしか決め手がないというふうに私は言っています。ワクチンについては、お手元の資料(資料5枚目)のとおり、9月5日までに、国から(きた数を)和歌山県で配分して、市町村に68.9%分が届いています。12歳より下の人はまだ打ってはいけないことになっていて、12歳以上は打ってよろしいとなっているから、平均すると、すでに70%ぐらいの方用のワクチンは届いています。もう一回配分があり、10月10日までに届く分が、すでに分かっています。前半の方は騒ぎになった方で、和歌山県はなんと30箱しかくれない、山口県は10箱しかくれないという、政府が無茶苦茶なことをしたのが、この中に入ります。だけど、政府はちょっと反省したのか、追加で25箱くれて、初めからくれよという感じですが、それと、後半も30箱というのがまだ生きている。だから、55箱と30箱が元になっています。そうすると、68.9から75.7まで上がりますが、75.7というのはかなりの数字です。この他に、医療関係者が、はっきりしないけど7%ぐらい足されると思います。それから、職域接種をしている人が、そんなに多くないけどちょっと足されます。従って、10月10日時点で言えば、配分量は結構あるような気がします。ただ、これも、すぐに予約ができるかというと、どこかで一本余っていたからといって、(余りが)全部あっという間に消化できるものではない。だから、お医者さんにおいてもらっているとか、いろいろ市町村ごとにみんな違いますが、そんなに簡単に75.7プラス医療関係者7%ぐらいが、あっという間に捌けるわけではない。だから、場合よっては、予約も結構手間取るかもしれません。ただ、(状況を)見ていただくと、できないわけではないから、早めに申し込まれた方が絶対によろしい。それぞれの接種会場で、順番に先着順とかでやっていきますから、早く申し込んでおかないと、その分だけ後ろへ倒れます。

 医療従事者は4%ぐらいなので、7%と言いましたが4%に変えてください。職域接種を合わせたら7%です。だから、医療従事者と職域接種を併せると7%ぐらいで、これを足せばいいことになります。

 それから、ファイザーで言うと2回やらないといけないし、3週間は空けないといけない。そこから、2回目接種の2、3週間後に、大して免疫ができない人も(中には)いますが、初めて効果が十分になるので、今から、それと(接種しに)いっても結構時間がかかる。従って、早くやっておかないと知りませんよということを申し上げたいと思います。一発ですぐに予約できないかもしれませんが、いろいろ手を尽くせば、総量はこれだけですから、どこかには(接種してもらえるところが)あるので、努力をすれば何とかなっていくと思います。早く努力を始めた方がいいということです。

 その次のページは、接種率で年代別に統計をとっています。特に、若い人たちの接種率が、あまり高くありません。9月4日時点でも、一回目だけで10代は30%ぐらいです。今、急速に上がってきていますが、まだこんなものなので、早めに予約された方がいいのではないかというふうに私は思っています。こういう年代の人は、これから、例えば、受験がある、あるいはひょっとしたら秋の大会があるなど、晴れの舞台があるかもしれない。それが、努力をしたのに、智弁和歌山と戦うことになって棄権した宮崎商業みたいになったら、本当にかわいそうです。10代の人は、親御さんのお考えが中心になっていくと思いますが、ぜひ、そういうことも考えて、懸命にやって欲しいというふうに思います。

「令和3年 和歌山県知事表彰」について

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 次は、令和3年の和歌山県知事表彰で、9月29日に予定していましたが、今から一月以内だと、新型コロナの関係で、まだちょっと注意しないといけない感じがあり、晴れの舞台があんまり楽しくないことになります。(ただ、)来ていただく人にも日程がありますから、12月20日に予約をしておいてやりたいというふうに、今から申し上げたいと思います。

「紀伊半島大水害復興10年の軌跡」の発刊について

PDF形式を開きます資料3(PDF形式 792キロバイト)

 それから、話題提供ですが、「紀伊半島大水害復興10年の軌跡」を発刊させてもらいました。中身を見ると、我々は、やっぱり過去の悲劇を懐かしんでいるだけではいけないということです。ちゃんと命を救ったら、復旧して、復興して、地域を蘇えらせないといけない。それから、同じようなことが二度と起こらないように、次はもっと上手くやることが、我々に課せられた課題です。そういうことも加味して、この10年、どんな無茶苦茶なことになったか、特にどれだけみんなが頑張ったか、今、その頑張りの結果を踏まえて、どんなふうに用意をしているかということを、たくさん載せています。例えば、ダムの事前放流なんて全国に先駆けてやりましたし、風水害の時の電力復旧とか通信復旧なんかは、逆に、我々の土木部隊が、電力あるいは通信会社に協力をして、早く復旧させよう、というものも最近始めました。それから、ICTを加味して、ものすごい装置がいっぱいできています。そんなことができていますが、今度は、それを使いこなして、実際にパッとできないといけない。できていたけど、「どこにあったかな」とか、「どうしたらよかったっけ」とか、とっさの時に、そんなボーッとしてたら駄目です。従って、常にそれが使えるよう、何代にもわたって、自らを引き締めていかないといけない。それが我々行政の仕事だと思います。そういう意味で、これを作りました。

 表紙は伏菟野のさくらです。伏菟野は、ここ(写真左側)の山が上から崩れて(しまいましたが)、実は、よく起こるような、杉の樹林が表層崩壊したのではなく、ここは雑木林で、傾斜も結構緩やかです。「こんなところが」と思うようなところが、深層崩壊を起こして、かなり向こうの方にある下の民家を流してしまって、犠牲者が確か5人だったと思いますが、本当に若い人も含めて、悲劇が起こったんです。その悲劇が起こったところは、崩れてこないようにちゃんと止めて、階段を作って、ちょっと上がおかしくなっても次に止まるというような感じにしていますが、そこに、地元の人が桜をいっぱいお植えになりました。大分成長してきて、こんなふうに一面の桜畑になりつつある。桜だけが復興ではないけど、復興のシンボルとして、表紙にしたということです。

 それから、9月5日に、県主催の合同慰霊祭を勝浦でやろうというふうに思っていましたが、新型コロナがこんな状況なので、少し先送りにしました。日程はまだ決めていませんが、新型コロナが収まったら、また、ご遺族の方々のご都合なんかもお聞きして、もう一回やりたいと思います。ただ、延期だから何もしないというのは、前の日に亡くなられた方が多いんですが、この日は大事な日で、県として慰霊をしようと思ってた日ですから、慰霊碑のあるところを全部回ってきました。その写真が、次のページに載っています。献花もいたしましたが、併せて、皆さんの犠牲が繰り返されないように頑張ってますという意味で、これをお供えしてきました。

 以上です。

質問と回答

朝日:ワクチン接種の件ですが、数字を見る限り、やっぱり若者の(接種率)が、だんだん少なくなっています。少ない理由は、知事から見ると、例えば、打たなくても大丈夫だとか、親御さんが言ってもちょっとまだ怖いなという、若者の意識的なものなのか、環境的に、接種できるのが高齢者が優先されてるからなのか、どのようなところですか。

知事:両方です。町によっては、いっぺんに予約が殺到しても困るので、一般接種については、年齢の上の人から順番にやったところもあります。そういう意味では、年齢の下の人が少ないのは、ある程度は分かりますが、それだけかというと、やっぱり意識の問題として、第四波までを見ていると、あまり若い人は重症化しないらしいということがあり、一方では、副反応が怖いとか、今、フェイク情報などと言われてますが、ワクチンを打ったら不妊になると言われてるから、やっぱりなんか気持ち悪いなとか、そういうような話がいろいろあって、打たなくても自分が死にはしないだろう、それなら止めとこうとかが、結構あったのではないでしょうか。だけど、今見たら、それはやばかったと、みんな思っておられるらしく、ある学校の関係者に聞いたら、その学校は、大学で職員接種をしていたが、大学生は、やってくださいとあまり手を挙げなかった。ところが、ワクチンも返して終わったら、今頃、打っておけば良かった、もう無いのかという話がワンワンきているという話があります。別に、職域だけで終わるわけではないので、あっちこっちで普通の市町村接種なんかもやってるから、そういうところへ申し込んでもらうしかないのですが、やっぱりちょっと考えが足りません。

 それから、マスコミの問題も、私はあると思います。別に、間違ったことではないのですが、私は打ちたくないという人の意見を、結構たくさん取り上げるわけです。打ちたいと言う人も結構いるし、打たないとやばいぞと言ってる人も多いけど、例えば、こんなことを言われていますという、今で言うとフェイク情報みたいな話を、それが正しいとはマスコミは言わないけど、そういうことを言われていますとか、そんな報道をいっぱいするわけです。そうすると、みんなびびってしまう。あるいは、同調圧力があるから、一人打ちたくないという人が、堂々とテレビに出てきたりすると、自分も止めようかという話になる。一方、東京都がこの間やった、若者に対する予約無しの接種なんかをすると、ウワッと押し寄せるわけです。そういうのを見ると、私も打たないとやばいかというふうに思う。今のマスコミの論調も、どんどん打った方が大丈夫ですという方向に、ちょっと舵を切ってくださってるような気がしますが、こういうような心理の部分で、問題があったのではないかという感じはします。

 もう一つは、データを示さないといけません。よくテレビで、今頃と言ったらおかしいのですが、尾身さんとか内田篤人さんが出てきて、ワクチン打ちましょうと言っておられて、人気のある人望のある人だから、そうかなとは思いますが、あんまり心に触れませんよね。それよりも、こんなデータですというのをちゃんと示してあげると、オーッとみんな思います。和歌山県はそういうふうにしていますが、政府はあんまりしません。データがないのかもしれませんが、それはやっぱりあまり効かないと思います。宣伝というか、テレビのコマーシャルを見てるぐらいの気持ちになってしまうのではないですか。やっぱ実証的にやっていった方が、心に響きます。和歌山県は、そのように心がけています。

朝日:もし調査していればですが、予約率みたいなものはあったりしますか。

知事:それは、ものすごく難しくて、把握は不可能ではないですか。というのは、VRSだけでも把握がすごく難しいのに、予約したから報告しろと言ったら、大変な混乱が起こると思うので、ちょっと無理ではないですか。だから、数字の上では、全く予約ができないわけではないけど、全員が押しかけたら今すぐできないというのは、データを見たら、誰でも考えられますから分かります。そうすると、今は、今から申し込んでおいた方が安全だと思うぐらいのレベルです。和歌山県が先頭を切って走っていた頃は、ワクチンさえもらえれば、9月にでも終わるぐらいの勢いで走っていたので、予約も今よりは簡単だったと思います。だけど、今ちょっと難しくなっていますが、できないではないかと言われてるほど大変ではない。

 だから、今から努力しておいて、ちょっとまだ(接種の)見通しが立たない流行っている接種クリニックがあっても、隣のところは、「分かった、1週間後に」ということがあり得ると思いますから、ぜひそうやって探してください。市町村に紹介してもらったり、県でも結構です。

産経:ワクチンに関連しての話ですが、今、少しずつ全国的に接種が進んでいて、それを活かして、民間企業、特にホテルや飲食店で、ワクチン接種者への割引みたいなものをやり始めている企業が、少しずつ出てきています。政府も、ワクチンパスポートを作ろうというような傾向もありますが、その方向性について、知事はどのように評価されていますか。

知事:これは、民間の方々からすれば、自らの企業活動、あるいはもっと露骨に言うと企業防衛とかを考えたら、そんなことになっていくのは当たり前だと思います。それから、海外渡航がこれから大分解禁されていくと思いますが、それぞれの国からすると、感染リスクの高い人に入ってもらったら困るからといって、今までみたいに二週間じっとしてくださいというのはなかなか難しい。観光なんか、そんなことをやってたら全然駄目です。だから、ワクチンパスポートを持っている人だけどうぞお越しくださいというようなことが、日本がするかどうか分かりませんが、世界中で起こると思います。同じようなことは、民間企業でも起こると思うし、それぞれのお考えでいろんなことをやり始める。それは、それぞれの企業防衛とか合理的な行動として、予想されます。例えば、朝まで、(営業が)禁止されてない県で、深夜までいていただくのは、ワクチンを打っている人だけにさせてくださいというのは、店の防衛上しょうがない。そんなことが起こっていくのではないですか。

産経:県としても、例えば、県有施設での入場料割引だとか、または、そういうことに取り組む企業さんへの補助、助成みたいなものを、どうお考えでしょうか。

知事:この辺は、ものすごく難しくて、それぞれがそれぞれの自分の権利、あるいは自分の利益を守るためにやる行為と、公権力がそこに介入するというのは、ちょっと一ランク違うと思います。従って、そこをやるとしても、かなり後でしょう。例えば、ワクチンを打っていないと、どこどこには入れてやらんぞというような(ことを)、公権力がやるのは、ちょっと時期尚早だと思います。だけど、少なくとも民間の方がおやりになるのを止めろと言われても、それは止められないです。

産経:企業防衛というようなお話をされましたが、つまり、お店側として、店の中の従業員にうつったり、クラスターが起きたり、そういうのを防ぐためという意味ですか。

知事:そういうことです。もし、一回起こったら、濃厚接触者で二週間は自宅待機してもらわないといけない。陰性の人だってそういうことになるので、陽性の人が出たらアウトだし、我々は発表しないけど、分かってしまいます。そうすると、ものすごい企業イメージがダウンするし、ひょっとしたら存続も危ぶまれることになるから、やっぱり、企業としてはあるいはお店としては、自分の店では絶対に起こらないようにしたいわけです。そのテクニックとして、そういうことをおやりになるのは、別にしょうがないのではないですか。

産経:少し話が変わりますが、新型コロナ全体の話で、昨日、一昨日と少し減っている感染状況をどう見るのかというのと、今、一般的にやってる県民への不要不急の外出自粛をどう考えているかというところをお願いします。

知事:まず、まだそんなに喜ぶのは早いというふうに思います。前も、30人台に一回なったことがありますが、70人台とかに戻りました。大阪も、昨日は減ったように見えましたが、少し前はものすごくあったし、関係がすごく強いから、今でも、新規で、普通に通勤していて、あるいは普通に作業に行ってうつってくる人が、結構たくさんいます。だから、感染の密度は随分違うので、周りの密度から考えると、和歌山だけ無防備にしてしまうと、すごくうつるかも(しれない)ということです。

 一時に比べると、ベッド数も増やしたし、全員入院が、今日明日にも危ないというところは脱していますが、バーッと(感染者が)増えてくるとまだ危ないので、油断はできない。だから、まだ今日の時点では同じモードで、県民の皆さんには申し訳ないが、不要不急の外出はできるだけ控えてください、これしかないと思います。

 もちろん、そういうことを言っていれば済むというふうには全く思っていないので、前もそうだったように、これがグッと減ってきたら、もうちょっと県民生活を楽しんでもらえるような形にして、お店なんかも、もっと人が行くようにしたいというふうに思っています。それまでは、ちょっと我慢していただいて、その代わり、とてもひどい目に遭っているお店は、4月から6月と同じように7月から9月も、ちゃんと救済しようというふうに、今、県議会に予算を上程していく予定です。

産経:来週、定例がないという前提でお伺いしたいのですが、関西を含めて緊急事態宣言の期限が12日までと一応なっています。延長の議論もありますが、この辺りについてはどのように見られていますか。

知事:今日時点で判断するとどうなるかとなるので、9月12日までだったら、政府は5日ぐらい前に判断されると思うので、そろそろ政府が判断すると思います。今の時点で判断すると、やっぱり緊急事態宣言は取れないのではないか、特に、京阪神は取れないのではないかと思います。昨日の和歌山ぐらい(の人数)になってきたら、地方圏みたいなところで、随分そうなってきているところは、少しステータスを下げるとか、あるいはもう止めてしまうとかの可能性はありますが、まだ何百人も出ているところは無理でしょう。

産経:少なくとも、その延長に併せて、和歌山県も、今の要請を続けざるを得ないというのが実感でしょうか。

知事:緊急事態宣言が出されてるか出されてないかは、あまり考慮の中心ではなくて、現実のデータとして感染状況はどうか、それから、影響がまだまだものすごいかの方が、はるかに大事な判断要素です。それを考えると、和歌山県は、その影響がなくなるようなところまでは、用心していかないといけないというのが、答えだろうと思います。

 同じように、実態から、緊急事態宣言やまん延防止とかが、政府によって決定される。だから、元は実態があって、そこから政府はそっちを決定するし、我々は自分のところの防衛レベルを決定する。だから、この形が先にあって、我々、それに従ってというのは、あまり私は考慮していません。

読売:第五波では、10代の感染割合が増えているというお話でしたが、従来株とデルタ株で感染力も違いますし、接種も、12歳以上は3割ぐらいの接種率ということもあるでしょうし、アルバイト仲間によるカラオケなんてのを見ると、気の緩みもあるのかないのか、そのあたり、若者に今ちょっと広がりつつある要因は、どのようにお考えですか。

知事:前半と最後のものとは、随分違います。子供に、気の緩みと言ったらかわいそうです。子供と子供ではほとんど感染しなかったのが、子供も随分感染するので、そこはちゃんと手を打ったほうがいいというのが子供との関係で、もう一つは、ワクチンを早く打っておいた方が、感染リスクは下がるし、重症化した子供さんはあまりないのですが、それももっと下がるだろうからいいですというのが、一つのメッセージです。

 それから、若い方が集団で騒いでいるのは、まだあります。それが、気の緩みって、多分そういう人は、初めから気を引き締めしたことがないのではないかと僕は思いますが、やっぱり、これまで以上に気を引き締めて、ちょっと危ないというふうに思ってもらったほうがいいのではないか。緩む余地がないぐらい初めから緩みっ放しの人が結構いると思うので、それはむしろ引き締めてほしいと、その人たちには思います。

 一般的には、本当によく自粛を守ってくださっている人もいるし、お店も苦しんでいるわけで、その人たちにこれ以上引き締めろと言うつもりはありません。

読売:64歳以下のワクチンの接種率で言えば、和歌山県は、山口県と一二を争うような高い数字を出していますが、この辺り、要因が様々で一つ二つではないことは承知していますが、どのようなことが要因でしょうか。

知事:これは、一言で言うとスタートダッシュだけです。スタートダッシュでそのまま逃げ切ろうと思ったら、途中から配分がなくなったので、走っていたら、急に後ろからゴムをつけられて、ギューッと後ろに引き戻されたのが、和歌山県の姿です。なぜ早かったかというと、他県で接種(をする)者がいないから接種できないと変なことを言ってた時に、おかしいよねと言って、一生懸命(関係者を)説得をして接種体制を作って、さあ行くぞと言ってバッと走ったのが、和歌山県の現在の結果です。高齢者に関しては、初めは一番を走っていて、他のところも走り出したので、今は中位ぐらいになっていると思います。ということは、必ずしも、和歌山県の高齢者が、ワクチンを絶対に打っておかないと危ないと思っている人ばっかりとは限らない。あるいは、体が弱い人で打てない人がいるから、これはもうほとんど飽和していると考えてもいいと思います。

 ただ、それより下の若い人達は、まだ全然飽和してないので、とにかく早く終わってしまわないと、感染の収束は、なかなか難しいというふうに思います。

毎日:新型コロナ対応の病床のことで伺います。昨日、600床に増やされましたが、今後、感染がさらに増えた場合の病床についての考え方を教えていただきたいのと、予算の面で、新型コロナ関連の費用の中でやり繰りされていくのか、あるいは病床に見合ったものを追加補正(する)など、お考えの部分があれば教えてください。

知事:必要に応じて考えなければいけないのですが、無尽蔵に増やせるわけではありません。というのは、和歌山県はここまで増やしたけど、必死でやり繰りをして増やしていただいたわけです。病院も協力してくれましたが、病床だけが問題ではなく、それにスタッフを付けなければいけないので、大変な苦労をしてやっていただいています。逆に言うと、他の病気を見ていただくべき人たちが、手薄になってるということですから、そんな簡単ではないので、もう限界に近いと思います。だけど、もうこれで終わりかと言ったら、それは状況により分からない。それから、もっと減ってきたら、また解除して、普通の病気を見ていただくように戻していかないといけないということもあります。

 当然、新型コロナ病床になったら、空室補償とかもやります。その予算を案配しないといけないのですが、すぐに払わなければいけないわけではないので、今回の補正は、多分、追加を出さないのではないかと思いますが、テクニックとしてはあり得ます。ただ、辻褄をどこかで合わさないといけないので、必要な額は算定して、予算が足りなかったら県議会にもらいにいくことは、次の議会、次の次の議会、ひょっとしたらこの議会でもあるかもしれん。今のところ、私は、追加でもっとお金をもらいますというのは聞いていません。

毎日:ホテルの宿泊療養が1日から始まりましたが、基本的な使い方としては、同じように出口として使うという形ですか。

知事:そうです。一番初めから言っているように、まず、出口として使うけど、プラスアルファで、重症化リスクがほとんど考えられないような、子供さんにたくさんのクラスターが出た場合、例えば、何々中学校でたくさんの子供さんが出たとなると、(病床が)パンパンの時は、入院調整がほんとに難しくなります。そういう方は、初めからホテルに入っていただいて、ウォッチするということはあり得ます。

 だけど、入院ができるならば、入院していただいた方が、より手厚い看護が受けられるので、それはそれに越したことはない。病院も、最後までそれが許されれば、退院の日まで居ていただいたらいいけど、入院調整が難しくなってくると、これ以上悪化しない人については、まだ退院には達しなくても、先にホテルへ出ていただいて、病床を空けていただくということを想定しています。こういう順番があり、ホテルは予備だとお考えいただいたらいいと思います。ここのところは、他県とは全く考え方が違います。

朝日:紀伊半島大水害の件ですが、実際に5日に行かれてみて、10年前と今現在の復興が出きているところを、どんなふうに感じられましたか。

知事:今の姿は、一部を除くと元気になっている姿です。いろんなところで復興がなされて、新型コロナでまたちょっとひどい目に遭っていますが、観光客も随分戻ってきて、従来よりも、収入が多くなりましたというようなところも結構あります。そういう意味では、それをずっと見ていますが、そこ(被災した場所)の真ん中に慰霊碑があるところもありますが、考えてみたら、全県で合わせて行方不明者を入れて61人が亡くなり、その人たちは帰ってこない。そういう意味では、我々は行政の責任者として、あなたがたを犠牲にしてしまったのは申し訳ないというふうにいつも思わないといけないし、謝ってばっかりではいけないから、次はもっと賢く立ち回って、犠牲者も少なく、復旧ももっと早く、復興ももっと早くということを、常に意識しておかないといけないというのが、思いです。

朝日:印象に残った光景や会話はありましたか。

知事:密になったらまずいので、あまり人を呼ばなかった。だけど、伏菟野だけは、結構多くの人が見えていて、あの大悲劇の中で生きている人、苦労した戦友みたいな人が、何人も出迎えてくれて、久しぶりにいろいろお話をできました。それから、那智勝浦町の慰霊碑のところには、遺族会の会長さんがお見えになっていて、その方は、甥子さんとお父さんを亡くされた。そんなような話とか、別の方の一家がほとんど亡くなりましたとか、そんなようなことを、あまり意味はないことかもしれませんが、ちょっと感傷的にお話をしました。鮮明に覚えてますが。

朝日:県内の図書館にも配られるということですが、県民の人にはどう手に取ってもらいたいですか。

知事:まず、こんなことがあったということを、印象的な写真も全部載せていますし、記述でも、びっくりするようなことが起こったんで、それはやっぱりみんなに知ってもらいたいと思います。だけど、大変でしたというのでは駄目なので、それにどう立ち向かったかも、全部書いています。それから、立ち向かったのがほぼ一段落した後も、さらにそれを強化するために、こんなこともやっていますとか、あるいは、あの時とっさに思いついたものを常備軍化して、こういう装備を整えていますとか、ハードウェアもここまで来ていますとか、そんなようなことも書いています。「ああそうか、今こんなことまでできるようになっているんだ」というようなことも含めて、県民の多くの皆さんあるいは国民の皆さんに、知ってもらったらいいなというふうに思います。

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