知事記者会見 令和3年2月9日

知事記者会見

記者会見での発表事項等を紹介します

令和3年2月9日 知事記者会見

令和3年2月9日 記者会見室 

県内の新型コロナウイルス感染動向及び県民の皆様へのお願い

PDF形式を開きます資料1(PDF形式 477キロバイト)

 今日はコロナ関係で二つですが、一つはお願いの話で、新しいお願いはなく、従来どおり、もうしばらく最低限のことだけは守ってくださいというお願いです。その前提として、じゃあ何でそうなのかご説明しますと、(資料)1枚目は、感染動向を書いています。一時、24人まで出て、これは大変だというふうに思っていましたが、ここのところ大分減ってきて、昨日は3人、その前は2人とかそんな感じになっているので、このままずっと収まっていったらいいけどというふうに今思っています。

 将来、深刻になる可能性があるのは入院者数で、149人までいきまして、これ一本調子でどんどん増えていくと、330床まで確保している病床が埋まってくる。調べてみたら、和歌山は、全国で唯一入院だけでやっている県(全国で唯一は誤りで、島根県も患者全員入院としています)です。主義主張としては、入院でいきますと言っているところが四、五県あるらしいのですが、一時にバッと増えたのでできなかったところもあるらしい。和歌山県は、ずっとそれを堅持していて、堅持できなくなる恐れもあって嫌だなというふうに思っていましたが、今、66人まで減っていますから、入院患者という意味では、少し危機を脱しつつあります。

 (資料の)2枚目を見ていただきますと、最近の傾向として、高年齢者の感染が増えていて、これはあんまりよろしくありません。というのは、重症化リスクが高い方々に感染が多くなっている。全体としては減っていますが、若い人たちがウンと減って、高齢者は減り止まりという感じになっていて、あんまりよろしくありません。原因は、高齢者施設や病院でクラスターが発生したのがやっぱり一番大きく、これが最も恐れていたところで、引き続き注意を要すると思います。

 最近の主な集団感染の状況で、イメージがないとちょっと具合が悪いだろうというので書いています。発症前の感染者が老人ホームに入所し、そこで職員と入所者が感染してしまったことがあって、これなんか本当に防ぐのが難しいのですが、これについてはもうちょっと手があると思うので、また後で申し上げます。それから、病院に新規入院した患者が入院当日に発症し、同じ病棟の患者や看護師が感染してしまいました。これも本当に防ぎようがあまりなく、これ実は外科的な傷害で入院された方で、まさかと思われたんだろうと思いますが、同時にコロナに感染していて広がってしまいました。それから、職場の事務所で指導的立場にある人が罹って、マスクなしで会話をして、いろいろ訓示されたり指導したりされたのでしょう。そしたら、職員が感染して、さらにその家族などにもうつってしまって、結構大きなクラスターになりました。そんなことがあるので、注意をしないといけないということだと思います。

 ステージの表が後ろについていますが、これちょっとミスプリがあり、一番上に「総じてステージ2の状態にある」と書いていますが、「全て」に直してください。一個一個のチェックポイントが全部ステージ2の状態になりましたというのがメッセージで、総じるのも間違っているし、総じる必要もないので、全てです。

 そういうことで、県民の皆さんへのお願いは、しばらく同じようにして欲しいということです。改めて申し上げませんが、いつも発表しています13ヶ条をぜひ守るようお願いしたい。これはあちこちに貼っていますし、紙面でも取り上げていただいたと思いますし、ホームページでもいつも見られます。そういうことでよろしくお願いしたい。

 さっきちょっと言いましたが、和歌山県は、どこよりもかどうかは比べていませんが、自分たちで考えて、入院患者の多い病院などには、入院(する)患者に熱が出て入ってきた時に、コロナ(に罹っている)人なのか違う人なのかが分かるようにしたほうがいいので、70分ぐらいで検査結果が判明するPCR検査装置を入れています。それから、一つずつもっと簡単に分かる即席PCR検査(遺伝子検査)がある。全部まとめて検査装置に入れるのではなく、一個一個、15分ぐらいで判定がパッと出る小さい装置ですが、今、そういうのをどんどんあちこちに入れようというふうにしています。大分入ったかもしれません。

 さらに、抗原検査はもっと簡単にできて、キットだけあれば装置はいらない。そうすると、先ほどの病院はコロナを想定していない病院ですが、そういう病院やあるいは福祉施設とかにそういうのを入れておくと、新しく入所された方にそれを経てから入っていただくことになると、分からないで引っ張り込むことはない。そんなふうにこれからしていこうかというふうに思っています。まだ全部それは実施されていませんが、これから追い追いそういう装備を強化していこうというふうに思っています。

新型コロナウイルスワクチン接種の円滑な推進

PDF形式を開きます資料2(PDF形式 166キロバイト)

 その次はワクチンです。ワクチンについてはお手元の資料で、ちょっと分かりやすい資料を作りました。水色で書いているところは、和歌山県と直接関係がありません。これは、国が一部の地域を取って試験的にやってみようということで、一番上の欄の医療向け先行接種と二番目の医療従事者向け優先接種は、基本的に同じだと考えていただきたいと思いますが、国が自分でやってみて、都道府県にお願いしますということになってきます。ピンクで書いているところは、市町村の仕事になってきます。色分けはそういうことで、一番上から言いますと、今、皆さんに頭に置いていただきたいと思って資料を出していますが、一番大事なのは、赤枠で強調している、いつ頃から接種が始まりますということを、ちょっと念頭に置いていただければいいのではないかと思います。

 医療従事者の接種ですが、和歌山県には約3万人いて、3月中旬ぐらいから4月中旬ぐらいまでやります。その次の優先順位は、高齢者向けで65歳以上になります。これは大変な数で、和歌山県でも30万人いらっしゃいますが、これは4月早々ぐらいから始まりますというふうに覚えといていただきたいと思います。

 できるだけ早く終わって、全部、完成となればいいのですが、4月、5月とかかるかなというふうには思っています。5月になると、若い人でも基礎疾患のある人や高齢者施設などの従事者が次の優先順位になり、こういう方々の接種が始まるというふうにお考えいただいたらいいと思います。

 それには、たくさんの準備が要ります。それをどんなふうに準備していくのかを書いていて、例えば、医療従事者向けに接種しようと思ったら、まず、どこで接種するのかを、医療機関と県で調整しないといけない。ここでやります、じゃあ医療機関の方々で、あそこにこの人たちは行ってください、この人たちはここに行ってくださいということを、決めとかないといけない。それがまず第一です。

 それから、冷凍庫の配備をしないといけない。これがボツボツ始まっているようですが、ちゃんと各圏域の国公立病院等へ配備して、そこから冷凍解除して、接種機関にパッと送るようなシステムを、そこまでに作っておかないといけない。

 それで、3月中旬ぐらいから接種が始まる。こういうスケジュールを経て、(赤い)枠でくくっていないところは、我々役人、責任のある市町村や県庁の人たちがちゃんと分かっていて、ちゃんとやればいい。一般の県民の方々、接種を受ける方は、(赤い)枠の中のところを意識しておいてもらえばいい。こういう表の作り方をしてます。

 高齢者向けの場合も同じですが、ワクチン接種券というのを作らないといけないので、それぞれの市町村で作ってもらいます。それから、当然、医療機関と県でやったような形で、市町村と医療機関が調整して、冷凍庫の配備などをしないといけないことになります。そういうのがずっと(資料に)出ています。それから、県民向けの広報などは、今日を皮切りと言うべきかもしれませんが、これからどんどんやっていきます。

 細かいところは、国の「よーい、ドン」と言う号令を見ないと、具体的になっていかない。国が「よーい、ドン」と言うのは、何となくいろんなことを言っていますが、本当に「よーい、ドン」と言うのは、多分ファイザーのワクチンの承認が2月中旬ぐらいにできる。その時に、本当に「よーい、ドン」になるらしいです。それまでは、ちょっとフワフワしていますが、こんな形で進めていきますということ、特に赤枠でくくったとこ、「ふーん、ここでこういうふうになるのか」ということをまず覚えておいていただいて、医療機関は県からですが、市町村から一般の県民に対していろんな連絡が来るから、それに応じて上手くやってくださいということです。

 なお、副作用が怖いから受けないという人がいます。こういう話になると、すぐ副作用がといって、一つでも出たら、大変強調されて報道されることが多いのですが、やっぱり、全体的に損得を考えますと、これは絶対に受けといた方がいいというふうに思います。全く効かないという情報は、一切世界からも発出されていないので、確率の問題でどのぐらい効果があるか分からないけど、絶対効くとすれば、打った人が全員副作用で苦しむようなことはありませんから、確率の問題としてどっちが得かと考えたら、打った方が絶対に得だというふうに思います。従って、皆さん、ぜひ打ってもらいたいというふうに思います。

 これから、具体的にここはこういうふうにすると、追い追いどんどん発表していきます。市町村が決めることが多いのですが、それを県が常にフォローしていますから、情報を集約して県からもどんどん発表しますので、そういうことを皆さん考えていただきたいと思います。

 なお、次のページに書いていますが、12月ぐらいから、和歌山県ワクチン接種対策推進チームが事実上できていて、この際、担当がこんな感じになっていることを皆さんに明らかにしておきたいと思います。今日からではなく、すでに12月ぐらいから動いています。ワクチン接種対策チームのチーム長は福祉保健部長で、副チーム長は局長2人になりますが、総務で医務課長と書いていて、担当課長として一番中心で遂行するのは医務課長です。ただ、医務課の仕事以外にも多岐に渡るので、総務啓発グループは福祉保健総務課がやる。今これが一番大変ですが、接種体制整備は医務課がやる。市町村の支援は、予防接種などで常に付き合いのあるチームがあるので、健康推進課がやる。流通調整は、機材を持ってくるとか冷凍庫がどうしたとか、物がちゃんと整っているかを考える担当で、これは今でもそうですが、薬務課が担当することになります。こういうことでやっていますが、あんまりいろんな人に、「どうなっている」「こうなっている」と言うとややこしいので、福祉保健部長かせいぜい医務課長ぐらいにどうなっているかを聞いていただいたら、全体のことは分かります。もちろん私でも結構です。

 以上です。

質問と回答

時事:ワクチン接種の件で、基礎疾患がある方や高齢者施設等の従業者が一番下にありますが、それ以外の一般の住民の接種は、いつ頃からになりそうですか。

知事:これは、(国が)どのぐらいのタイミングで(ワクチンを)全部くれるか。人口の何倍も確保していると政府は発表していますが、それをいつくれるかは政府次第で、6月以降というのは明らかだと思いますが、6月なのか7月なのかはちょっと今言えない。分からないけど6月以降で、できるだけ早くやればいいというふうに思います。

時事:「Go To トラベル」の件で、先日、国土交通大臣が、地域限定で再開する可能性について言及されていますが、改めて知事のお考えを伺えますか。

知事:国土交通省がそういうふうにお考えになるというなら、和歌山は、最も対象になるべき県の一つです。県民限定のでしょ。実は、我々は、和歌山県で「リフレッシュプラン」というのをやりました。昨年の連休明け、初夏の頃からやって、割と好評だったので、いずれそんな時期もあってもいいかなと思っていましたが、ちょうどそれと同じようなことを、国費を入れてやってくれるというので、これは良いことだというふうに思っています。

朝日:まず、県内のコロナの感染状況について、どのように考えてらっしゃるか伺えますか。

知事:人数だけ見るとちょっと減ってきましたが、またバーンと上がる時があるかもしれない。かもしれないと言って無責任なことを言ってはいけないので、みんなで協力して(上がることが)ないようにしないといけない。どんな時があり得るかというと、福祉施設や病院とかでクラスターになったら、バーンと人数は増えます。いずれの場合、一人が出てもクラスターが出ても、全部、保健医療行政が飛んでいって、一生懸命、封じ込め、囲い込みをして、局地的に制圧していくことが一番大事で、そこは和歌山県の体制はまだ崩れてないし、ちょっと減ってきたから、少しそういう方々の体力と精神力の回復のための余裕ができたと思いますが、まだ今の段階でそれを言える程の余裕はありません。

朝日:第三波は、県内については越えたと見ていますか。

知事:これ(資料1の1枚目)ではないですか。第三波の最後はどこまで行くか分かりませんが。

朝日:もう峠は越えた。

知事:いやいや、波にはまだあるのではないですか。波を越えたとは言えない。ちょっと見たら、明らかに最悪ではないけどという留保つきの状況です。

朝日:隣接する大阪が、緊急事態宣言の解除を要請するかどうか、今日検討するという話が出ています。隣県の知事としてどのようにお考えですか。

知事:大阪も、本当に健闘して、一生懸命やっておられると思います。兵庫や京都もそうですし、もちろん奈良や滋賀もそうです。全国みんなそうですが、特に関西は、敵が強力なのに対して、大健闘しているところではないかと思います。例えば、大阪を見ると、人口が多いところですが、入院調整機関をちゃんと置いていますし、どこの病院にどうするかなんて全県使って頑張ろうとしています。これをしてないところが結構あるから、言っています。それから、大阪府知事も、兵庫県知事も、京都府知事も、毎日、いろいろ府県民に語りかけて一生懸命やっているし、府県民もある程度協力しているからこそ、あんなふうに数字がちょっと良くなってきたのではないかと思います。ただ、語りかけるのはいいけど、語りかける時に、自分のことを言わないで語りかけるのは、私はあんまり評価しない。(関西は)自分のこともちゃんと言っている。病院の体制を「こうする」「ああする」という、自分たちの行政でできることも含めて、県民に語りかけているのは、なかなか立派だと思います。あんなにたくさん(感染者が)出たら気力がどうしても落ちてきますが、ぜひ、この勢いでもう少し頑張ってもらいたいと思います。

 緊急事態宣言についてはテクニカルな問題なので、関西広域連合でも、3府県に任せて、3府県で相談して決めたことは、我々全体として、それは白紙委任みたいにしましょうというふうにしているので、一番最善のことを3府県で相談してくれるのではないかと思います。ただ、報道なんかでも明らかなように、懸念材料としては、病床がまだ深刻な状態が続いているので、そこをどういうふうに判断してやっていくかは、いろいろ技術的に考えて、良いことをやってもらえばいいと期待しています。

産経:振り返りになりますが、県内で初めての感染が済生会有田病院で見つかって、もう少しで1年になります。それからずっとコロナの対応が続いて、いろんな知見も蓄積されてきましたが、改めて、今思い返して、当時得られた教訓はどうお考えですか。

知事:いくつかありますが、全体として一番大事なことが何かは言いにくいけど、我々行政として一番大事なことは何かと言うと、保健医療行政をきちんとするということです。それを、タイミングを失しているような指令が国から来たとしても、論理的におかしいと思ったら、正しいと思うことを勇気を持ってやるということです。それは、和歌山県は、少なくともちゃんとやってきた。それから、保健医療行政は本当に健闘して、県民を守ってきたのではないかというふうに思います。それを、半ば放棄してるのではないかと思うようなところも若干出てきているので、そこのところは、本当に、今後の問題として心配です。

 それから、分からなかったから私もそのまま盲従したので、人のせいにはできませんが、一回目に緊急事態宣言が出て、学校の休校なんかを全部やったのは、今から考えたら、手段としては最適ではなかったかもしれない。だけど、バッと抑えればすべて解決とみんな思っていて、私も思っていたから、一生懸命協力してやろうというふうに思ったけど、世界的な蔓延状況とかこの病気の性質とかを考えたら、シャットアウトを目指して全て投げうってやってしまうのは、ちょっと難しい、あるいは間違いかもしれない。政府はそれを分かっているので、今ものすごく苦しんでるのではないかと思います。

産経:当時、病院関係全員のPCR検査とか、外国人の立ち寄り先の聞き回りなんかもやって、今考えるとちょっと異例の事だったと思いますが。

知事:やり過ぎをあえてやったんですけど。

産経:その当時、コロナの感染力とかも分からない中で手探りの部分があったと思いますが、その当時の判断としては、ベストもしくはベターだった。

知事:あの時は、その一、ものすごく怖いかもしれないと思っていた。私は、はっきり言うとそこまで思ってなかったけど、皆さんがそう思っていたことは事実です。県民の皆さんがものすごく怖がっていたことは事実で、マスコミもそうだった。従って、これはもうどう振っても安全ということを証明してしまわないと誰も信用しないので、済生会有田病院は、出入業者も含めて全員検査と言いましたが、あの時はそれで良かったのではないかと思います。ただ、ずっとその後繰り返し言っていたように、これはエクストラ(余分)で、常にこれができるとは思いませんと言いましたが、あれが偉いと言われて、数をたくさんやるのが偉いという風潮の一助になったかなという、皮肉な考えはあります。

産経:国の方針も考えながらやるべきことをやるというお話もされていて、最近のメルマガでも、特措法の関係で、宣言と措置の権限が分かれているからというようなお話もありますが。

知事:あれは、私はちょっとやっぱりおかしいと思います。特措法の法律をじっと上から見ると、宣言は国で、措置は県です。それは、法律的なことを言うと法定受託事務ですが、一応、書き方を見たら、国の言った通りに県は執行しろと書いているわけではなくて、県はしなさいと書いています。しなさいだけど、対処方針に従ってやってくださいと書いている。対処方針で、全部この通りやれと言って自分の部下のように決めるのだったら、あんな書き方はしないと思います。都道府県知事は、厚生省令で定めるところに従って措置をやれとか、そんなふうに書くはずです。だから、ちょっとやり過ぎではないかというふうに思います。

産経:つまり、地域の保健医療行政を担う知事なり県なりが、地域の実状に則って必要な措置を柔軟に考えてやるべきというお考えですか。

知事:そういうふうに思うし、それの副作用として、感染が拡大してくると、すぐに、宣言をしてくれ、そしたら措置ができるからというふうに、知事自身が思い込んでいる。国が言った通りしなければいけないというふうに思い込んでいるところが、すごく目立っていると思います。緊急事態措置は、知事の権限だからやったらいいのではないか、どうやろうといいのではないかと思うけど、あれ(特措法)に縛られているから、ちょっとやると違法かなというのも一つあるし、県の方も、国にどうしたらいいか早く基準を決めてくださいとか、指示してくださいとか、ちょっと情けないことになっている感じがあります。ですから、やっぱり効率的な行政を考えたら、私の解釈ですが、立法の元々の精神は、多分、それぞれ役割分担をしてきちんとやりましょうということなので、ちょっと変だなというふうに思っています。

産経:情けないことになっていると言われましたが、国にお伺いを立てていくのではなく、知事が判断して、必要なことはやるべきだというお考えですか。

知事:そういうのが当たり前です。よく、いろんなところで、国に基準を示すように求めたいというのがありますが、私の言行録を見ていただきますと、多分一回も言ったことはないのではないかと思います。「そんなに言わなくてもいいのに、もう止めようよ」と思っていますが、なかなかそういうことを求めたがる人たちは、多いです。

 ただし、国は無視しようなんて一言も言っていません。例えば、医学的な知見が集積されているところは国です。だから、国が有効な情報発信をすることは極めて大事なことで、和歌山県も随分助かっています。そういう意味で、国の機能を全く否定しているわけでは全くありません。念のため。

毎日:一年間の対策の振り返りとして、知事自身、大切なことは、保健医療行政をきちんとすることとおっしゃっていたと思いますが、全国で見ると、一番基本的なことかもしれないのに、それができているところとできていないところがあったと思います。結局、それは保健所の数だったりマンパワーが原因なのか、それともまた別の問題があったのか、それについてはどのように思われますか。

知事:いろいろあると思います。まず、感染者数が多くなってくると、本当に一生懸命やっても、追いつかないことがあるのではないですか。それをあんまり責め立てては気の毒で、感染者数がやっぱり大事です。感染者数を増やさないようにするためには、保健医療行政が、感染者数が少ない時に、一番有効な方法で必死になって囲い込みをしなければいけないけど、そこが突破された時にものすごく増えてしまって、そうなったら頑張れと言ってもなかなか難しくなってくる。そういう時は、今回もそうですが、一般の都道県民、国民の行動をちょっと抑制していただいて、感染者を減らしていくしかないと思います。今のところは、そうやってちょっと(減って)きたから、いいことだと思います。

 その次に、じゃもうそれでいいと言ってパッと止めてしまって、保健医療行政のことを何も考えないようにすると、実はリバウンドします。だから、数が減ってきたから、今度はちゃんとできるはずだからきちんとやろうというのが、大きなメッセージであるはずだと思います。

 全国を見ると、和歌山県以上にもっとシャットアウトしておられるところがたくさんあります。今日の新聞なんか見てると、ゼロのところが増えてきました。そういうところになるためには、県民の行動の制約だけでできるはずがないので、保健医療行政の方々が、数が少なくなったところでパッと囲い込みに入って上手くやっているから、シャットアウトできていくというふうになると思います。それを、感染者数があまりにも多くてなかなかできなかった大都会も、ぜひやって欲しいと思います。

毎日:大都会は、なかなかまだそこまでいかないというふうに思いますが。

知事:関西広域連合でいろいろ経験の交換なんかもしていますが、少なくとも関西は、その原則を崩してはいません。一生懸命やろうとしている。だから、人口も違うけど、最近、関東圏と関西圏のちょっとレベルが違う。そればっかりではないかもしれないけど、やっぱりそっち(保健医療行政)も頑張ってるからではないかというふうな仮説が成り立ちます。中身を見ていくと、関西広域連合では、各県で何をやっているのか詳細に比較ができるようなものを作って、みんなで情報交換をしています。そういうのを見ると、関西はちゃんとやっておられると思います。だけど、例えば、神奈川県は、濃厚接触者を家族とCOCOAに限ってよろしいという指令を出してるし、東京都もあまり報道されなかったけど、このあいだテレビを見てたら、やっぱり同じような感じで、保健所の人が、「今まで一生懸命調べに行ってたけど、調べなくてもいいと言われた」と、ちょっと当惑ぎみに若い女性の立派な保健師さんが言ってました。だから、もうできないのを無理にやれというのは無理だけど、できるならやったほうがいいのではないかと思うけど、ということです。

毎日:先ほどの発言の中で、簡易検査キットを福祉施設とか医療機関にさらに追加していくというお話でしたが、これは、例えば、新たに入院する方や新たに福祉施設に入る方は、全員やってもらうという理解になりますか。

知事:いろいろ考え方があると思います。まず、一番上から言うと、環衛研とか市の環境衛生研究所で持っている検査の分析装置があるし、和歌山県で言うと、その次にほぼ同じぐらいの機能だと思いますが、簡易とは言わないけど、70分ぐらいでできる即席の時間短縮型PCR検査装置があって、これは主要病院に入っています。この辺まではとても高いし、もう一つは、これを扱う人が難しい。臨床検査技師で、しかも慣れている人でないとなかなかできない。今までPCR検査装置なんか触ったことがない人が多かったのですが、ちょっと時間が経って、70分装置を入れてるところの病院ではもう大分できるようになって、何人もその方々を養成してくださっている。

 その次に、そんな要員もいないところでどうするかというと、もっと簡単な、一回限りのPCR検査(遺伝子検査)、一つ限りのPCR検査(遺伝子検査)をできるようにしておこうというのが次の作戦ですが、これもやっぱりPCR検査(遺伝子検査)ですから、ちょっと取り扱いが結構難しい。

 その次は抗原検査で、これはそんなに難しくなくてキットだけで装置はいらない。それを、できるだけいろんなところへちゃんと配っておこうと。そうすると、先ほど言ったみたいな、気が付かずに(施設等に)入れてしまったケースが少なくなる。そういう時に、新しい入所者が一番リスクが高いと思いますが、そこで働いてる人も知らないでうつっていた場合がある。症状がずっとあったのに無理して行っていたのはちょっと論外で、それはちょっと気を付けてくださいということを言わないといけない。全く症状もなくて、濃厚接触者だと夢にも思わなくて行ってたら、自分がそうだったと後で分かるようなケースは、抗原検査ができると有効ですが、どのぐらいの頻度でやるかという問題があって、毎日できないでしょうから、一ヶ月に一回やったから安心ですとか、半年に1回やったから安心ですとか、そんなことではないでしょう。だから、どういうふうな設計をしていったらいいかは、すごく難しい問題です。

毎日:新しく入ってくる人で無症状の人から引き込まないためには、とりあえず新規の人は入ってくる段階でやってもらうという理解ですか。

知事:それは入口の関門のところの話で、そこはあんまり議論の余地なく、装置さえあればできるというふうに思いますけど。

毎日:それは、昨日発表があった当初予算に含まれていますか。

知事:明示的にこういうことをやりますという類の話は、全然入っていません。だけど、一般的なバスケットクローズ(包括的な枠組み)の中で、できるようになると思います。足りなかったら、補正予算をお願いすることになります。

毎日:近く購入して実施していく。

知事:今ちょっとどういうふうにしてやったらいいのか検討しているので、まだ、何病院に何個入れますと、発表できる段階ではありません。

朝日:ワクチンについてですが、知事が先ほどおっしゃっていたように、全体的に見たら打った方が絶対良いという話があり、感染しないとか、重症化しないとか、いろいろなメリットがあると思いますが、改めて、社会で打つ人が増えることによって、どんなメリットが期待できるのか、県民に向けて説明していただけますか。

知事:全く効かないという情報はありませんから、効くという前提で考えたら、ワクチンをたくさんの人が接種して、あんまり罹らない、あんまり悪化しない状態になったら、風邪とあまり変わらなくなります。それでも、きっと0%はないでしょう。だけど、インフルエンザワクチンも効かない場合がありますから、少なくとも、重症化しない、あんまり罹らないということで、ワクチンを打っておいた方が良いのは、みんな知っています。従って、そういう世界を滞りなく早く創れば、例えば、今までこういうお楽しみを控えていたけどできるようになるとか、旅行にまた行ってもいいとか、そういうのが戻ってきます。インフルエンザでも悪化するように、最悪、重症の人が出てくる可能性はありますが、その人をちゃんと治療すればいいというような世界になってきます。今は、どんどんうつってしまうから、それができなくなるような世界を前提にして我々は戦っていますが、ワクチンが一般的にずっと打たれるようになったら、これは効くという前提で言っていますが、やっぱりそれは生活が戻ってくるということではないですか。だから、初めに打つのは嫌だとか、何とか新聞に危ないと書いてあったとか、それはそうかもしれないけど、どっちのリスクが大きいか考えたら、打った方が良いに決まっているのではないかというふうに思いますけど。

朝日:今も少し出ていたと思いますが、リスクのことです。ごく稀に、アナフィラキシーや官能的なものが出るという報告もあり、県としてその辺りの不安の解消は、どのように考えていますか。

知事:それは、どこで打つかというのがあります。例えば、クリニックみたいなところでも打っていただけるようになると思います。そこには、アナフィラキシーになった時に、打つべき治療薬があります。それがちゃんとありますかということで、(あったら)ワクチンを打ってくださいとすべきだし、集団接種でどこかへ来ていただいてやる時は、そこへ備え付けておく。インフルエンザワクチンの時も、しばらくは打たれたらそこに座ってなさいと言われて、15分ぐらいはそこから出られない状態ですが、とりあえずそういう感じの扱いをすると思います。その時に、そこの会場にちゃんと置いておいて、本当にそういう方が出たら直ちに治療するというふうな体制をちゃんと作って、やればいいと思います。

読売:ワクチンのスケジュール表を見ると、冷凍庫の配備は2月頭から始まっているように読めますが、これは事実、和歌山県内にも到着し始めていますか。

知事:具体的に、現在、何個来て何とかというのは、私は今の状態で把握していません。後で聞いていただきたいと思います。

読売:発表の中で、県は全国で唯一、入院だけでやっている県という発言がありましたが、これは宿泊療養とか自宅待機とかを使わずに、全員入院しているのが唯一という意味ですか。

知事:そうです(全国で唯一は誤りで、島根県も患者全員入院としています)。例えば、兵庫県もそれが一番いいと兵庫県知事は今でも考えていて、そうやって(患者全員入院を)やってきましたが、増えすぎたのでもう無理になった。だから、全部入院させることはできないので、入院調整という形の自宅待機をされている場合があると思います。そういう意味で、全部、入院させられているわけではない。例えば、ある県は、絶対にそうすると知事が宣言されていますが、たまたま、1回大クラスターが発生したりすると急にはできないから、そういう時はちょっと待ってという話があるかもしれない。和歌山県はそれがなかったので、何とか、「あそこ」「ここ」と言って、入院調整を県がやっていますから、県の入院調整に従って、皆さん入院していただいています。若干いろいろ抵抗される方もいらっしゃって、しばらく何日間か揉めているケースがありますが、当局側が待っていてと言うのはありません。「嫌だ」と言って、「早く入ってもらえ」とか言って騒いでいるケースはあります。

 ほんの例外です。全部入院と考えてるところが何県かあって、それを達成できているのは和歌山県だけで、それ以外のところも、例外的にちょっとそれができなかった日が1日とか2日あるとか、そういうのを厚労省に聞いたらそんなことを言っておられた(正しくは、厚生労働省発表資料を元に和歌山県で調査)ということです。

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