知事記者会見 令和2年5月26日

知事記者会見

記者会見での発表事項等を紹介します

令和2年5月26日 知事記者会見

令和2年5月26日 記者会見室 

『和歌山県観光振興実施行動計画』=観光振興アクションプログラム2020=

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 おはようございます。今日は、和歌山県の観光アクションプログラム1点であります。お手元に資料が何種類かありますが、これがちょっと今年の苦しいところを表しております。

 新しく和歌山に来られた人もいらっしゃるので解説をしておきますと、この観光アクションプログラムとは何じゃということですが、これは一番初めに私が考えて、就任後に作りました。計画的に観光振興をやっていこうということで、初めからいろいろ考えといて、計画を立ててやるぞということで始めましたが、そのうち観光立県推進条例が出来ました。この観光立県推進条例の重要な内容が、和歌山県観光振興実施行動計画というのを1年に1回作って、県議会に報告せよということになったわけです。

 従って、観光振興アクションプログラムが、実は、観光振興実施行動計画にもなり、実績報告をしろというのもあるので、去年こういうことをやりましたということがずらっと並んでいて、データ的なものも書いているとともに、今年はこういうことをやりますということも書いていくことになったわけです。

 ところが、大体は4月1日の辺りで発表するのですが、今年はちょっと、なかなか観光振興と言ってもなあということで、しばらくお蔵入りをしておりまして、お蔵入りをしていたのが、ごついこれ(資料1-2)です。この中を見ていただきますと、実績というところをものすごく丁寧に書いていて、これだけ一生懸命やってきたということです。それと、計画というところがあって、今年の計画はこんなふうにするぞということも書いています。

 そこで、お蔵入りのまま置いといてはいけないので、今どういう事態かと言うと、観光産業が壊滅的打撃を受けてるわけですから、これを救わないといけないというのが、やっぱり我々として観光振興アクションプログラムです。その次は、コロナもいつかは下火になると思うので、下火になった度合いに応じて、段階的に観光振興のアクションを起こしていこうじゃないかと考えたわけです。従って、あっという間に世界中でコロナがなくなってしまったら、直ちにこれに(資料1-2)に戻るんですけど、そう簡単にはいかないだろうから、別冊(資料1-1)、小さく別冊と書いていますが、別冊を作りまして、この二本立てでいこうということになっています。

 別冊も、実は、時系列で三本立てになってるわけです。

 一本目は、何と言っても観光産業がとても困ってるんだから、観光産業を救済するために、こういうことをやっておりますので、皆さんにこれを利用していただきながら、事業存続をお願いしますというのが第一です。これは、他の産業も共通ですが、特に観光産業について言えば、皆さん覚えておられると思いますが、大手のホテルなんかも含めて、大変資金繰りが苦しい。お客さんがダンと来なくなってるわけですから、資金繰り融資として、大変優遇した無利子、無担保のものがありますが、それについては、限度が3000万円と決まっています。その3000万円を6000万円にいきなりして、これで繋いでください、ずっと続くようだったら、また枠を拡大しないといけないと思ってますが、とにかく、資金繰りショートで倒れるということは無いようにしていきたいというふうに思っています。その他、たくさんあるので、これを使ってやってくださいというのが第一です。

 第二は、「蘇りの地、わかやまキャンペーン 第1弾」があります。これは、そこ(資料1)に簡単に書いていますが、まずは、県民による県内施設の利用促進や県内周遊を促進するというところが、第1弾でございます。第1弾はどこに書いてあるかと言うと、薄いほう(資料1-1)の3ページに書いています。

 まず、情報発信。これは、来るべき時に備え見越してということで、別にすぐに来てと言ってるわけではなく、収まったらこんな良いとこありますからということを、今のうちにやっておかないといけないということで、ホームページ、SNS、「高野山・熊野を愛する100人の会」の情報発信を、そろそろ力を入れてやっていこうということです。

 それから2番目が、県内周遊促進キャンペーンで、(1)から(4)まであります。(1)は、何か皆さんこれ抽象的で、何を書いているか分からないような感じがしませんか。実は6月県議会に、このプロモーションの予算を要求しようと思っています。それで認められたら、具体的にババっとやるわけです。一言で言うと、県内の方々が県内の観光地に行って泊まったり遊んだりする時に、助成金を差し上げます。そういう案を今作っていて、次の県議会で承認されたら、すぐにパッと募集してどんどんやっていくということで、県議会の最後に予算が承認される時をもって、バーッと皆さんが申し込めることになります。今のところ、ちょっとまだ県議会に出してもいないので、フワッと書いているということです。

 その次の(2)から(4)はスタンプラリーで、「わかやまの休日」、「わかやま記紀の旅」、「WAKAYAMA800モバイルスタンプラリー」はサイクリングですが、このスタンプラリーを始めました。始めは、ここ(資料)に小さく※を書いていますが、県民の参加を促進したうえで、全国的な参加も良いということになったら、間もなく良いにすると政府も言ってますから、そうなったら、全国的な参加で結構ですということでやっていこうと思っています。

 それから、京阪神で、そろそろ和歌山に来ていただいても結構ですということになったら、「京阪神プロモーション」、「西日本・東海プロモーション」をやりたいと思っています。

 第2弾は、行き来が自由になって、旅行をガンガンやっても良いというふうに世の中がなってきたら、これはまだもうちょっと先だと思いますけど、ここにずっとあるような話を一気呵成にやるぞというふうに思っていて、これが厚いほうの紙(資料1-2)にも、ちょっと重複するところがあるかもしれないということになります。

 海外も、同様に7ページにありますが、これはなかなか海外が無茶苦茶まだ流行ってますから、入国制限なんかもまだ続くのだろうと思うので、国内よりもっと後になると思いますけども、ちょっと一周遅れぐらいで宣伝を始めていって、それで良かったらということになります。これについては、「京都・大阪、首都圏からのプラスワントリップ誘客」とか、海外プロモーションとか、新規旅行商品作成とか、ごつい方(資料1-2)にも書いてあるものとダブってきますけど、そういうことをやっていこうというふうに思っています。

 とりあえず、現在はこの第1弾。多分6月1日ぐらいから可能になってくるので、これを徐々に始めていくということになります。同時に、第0弾で、とにかく皆さんに生き延びてもらわないといけないので応援しますということが、今年のアクションプログラムであります。

 以上です。

質問と回答

産経:観光アクションプログラムに関してですが、昨日、政府から段階的な往来自粛緩和のスケジュールが示されました。それにリンクするような形なのかなと思いますが、日程的なイメージの確認で、一番初めの観光に関しては県内から徐々にということで、第1弾が6月1日からのイメージ、第1弾の後半、京阪神とかが対象になってくるのが6月19日から、そんなイメージでしょうか。

知事:そんな感じです。第1弾も、6月1日から全部出来るわけではないかもしれません。政府の発表でも、観光振興をガンガンやるのは6月19日からにしてくれと書いてあるので、派手なことや目立つことは、6月19日からやったら良いと思います。今のところですよ。だけど、県外の人は受入自粛というのが書いてます。あれは、政府のガイドラインというか対処方針でも、首都圏と北海道以外は言わないということになってるので、これは他所の県もそうすると思いますけど、例えば、予約を取ってそろそろどうですかと言っても、別に構わないと思います。派手に騒ぐと言ったらおかしいですが、プロモーションでアクションを大々的にやるのは19日からで、それまでも実質的な営業活動は別に否定するものでは無いということになります。まだ決めてませんが、金曜日に決めることになると思います。

産経:第2弾で言うと、7月10日頃からでしょうか。

知事:これは、はっきり言うとまだ分かりません。もうちょっと定着しないと、そんな気分にならないんですよね、第2弾は。

産経:政府も段階的に緩和するというところに合わせて、第1弾、第2弾というふうにやっていく。

知事:そうです。例えば、首都圏とか北海道がこのまま収まってもらうというのが大前提になってるわけですが、まだちょっと何となく関西なんかに比べると不安定なところがあります。それから、政府もいつもずっと見てると思いますから、どのぐらいの流れになるか、1ヶ月先というのはちょっとよく分かんない。従って、そこはまだよく分からないので何月何日と言えないけど、流行沈静化の見通しが確認できた段階ということで、とりあえず今、温めておこうかというぐらいです。

産経:分かりました。あと、今、国の10万円の給付金が出回りつつある状況で、観光には来て欲しい一方、まだちょっと自粛、段階的にやってる状況があります。早くPRしないと、消費の取り合いみたいなところで負ける部分もある一方、ガンガンやると、まだ感染リスクがあるという難しい段階だと思いますが、そのあたり、どのようにPRしていきますか。

知事:まさにそういう感じです。だから、あんまり焦らないということでしょう。着々と準備はしておくということです。

産経:別件になりますが、コロナ対策で夏の海水浴場ですが、大阪府がすでに府内の海水浴場を閉めるということを打ち出されていて、大阪府が閉まると、大阪の人がより和歌山に来る可能性が出てきます。和歌山県内の海開きは、どのようにするかまだ決まってない部分がありますが、方針としてはどのようにお考えでしょうか。

知事:一般的に、県外からの往来を自粛してもらわなければいけないのか、県外の往来も自粛しなくてもよろしいというふうになるのかによります。だから、県外からお客さんが来てくださることは、コロナさえ無ければ良いことです。コロナの時に、くせがちょっとついた感じがあって、県外の人がとにかく嫌いという感じがありますが、それはやむを得ず病気のためにやってるわけで、あんまりそこは神経質になってはいけない。県外の人が来るのは悪いことでは無いんです。だけど、病気のリスクがとても高くて、これはちょっと受け入れを止めていただかないと危ないなと思うような状況かどうかによります。今のところ、流れとしてはぶり返してもいないので、県外からお客さんが近い将来、来ることは、そんなに否定すべき材料は無いんじゃないかと思います。

産経:リスクが低ければ、もちろんどんどん来て欲しいと。

知事:ただ、7月のことなんか分からないから、7月からどんどんやりなさいとか言える段階ではないと言って、先ほどの質問とも共通で、そこは感染状況とかリスクとかを見ながら、総合的に考えるしかないです。

NHK:休業要請についてです。まだ一部で今月末まで休業要請が続くと思いますが、解除の見通しと、学校の再開も予定どおり6月1日なのか、合わせてお願いします。

知事:金曜日に発表することを、NHKにだけ先に発表しろというふうに言われた感じがするので、はっきりとはお答えしないようにいたしますが、政府の発表はもうあったので、これは金曜日にまた新しくあるわけじゃないでしょうから、それを見ながらということです。それから、近隣県の動向なんかを、いつも和歌山は自分たちだけで考えるわけにいかないということを考えた時に、近隣県の動向なんかも考えたら、自ずと解は明らかなんじゃないですか。

NHK:29日に改めて会議を開いて決める。

知事:そうです。それは確認的なことだと思いますが。

NHK:県外から出張や転勤で来る方は、2週間、ダイヤル登録をしてると思いますが、それも今のところ今月末で終わるような感じですか。

知事:具体的には言いませんが、今の二つのことを考えたら、今の世の中の全国的な秩序はどうなってるんだということを考え、そして、近隣のところとの関係も考えたら、これも自ずと答えが出てくるんじゃないですか。というので、ろくなことを言わないですいません。金曜日にやるもんですから。

時事:まず、昨日、首相が発表されました緊急事態宣言の全面解除について、受け止めをお願いします。

知事:まず、こういう事態になってるので、全面解除は、そんなに不思議なことではなく、当然のことのような気がする。これが第一です。

 第二に、感想を言いますと、日本は大成功したというふうに思います。これを、海外のことなんかをしょっちゅう報じている方々も、全く評価しないということはどういうことだというふうに思います。つまり、海外との関係で、特に途上国と比べたらなかなか難しいけど、欧米と比べたら圧倒的に成功したんです。これは、日本が奇跡みたいに成功してるんじゃないのというふうに思うので、高く評価されてしかるべきだし、自分たちも自信を持ったら良いと思います。

 三番目に、なぜそうなったかということを考えたら、欧米と日本との間に根本的な違いが1個ある。みんな、起こった現象の逆の方ばっかり言ってて、逆の方と言うか、その反対になるはずの自粛の強度については、よく報じられている。日本に比べれば、ヨーロッパあるいはアメリカの州でやってる自粛は、無茶苦茶きついわけです。だって、外出したら罰金を取られる。そんなこと、日本ではあり得ない。だけど、にもかかわらず、日本の方が成績が良かった。なぜかと言うと、これは明らかに保健行政がちゃんとしていて、しかも(感染症対策の)法律があって、そっちの方の法律はちゃんとしていて、欧米は無いのですが、それで、隔離をしてるということです。感染者を隔離しないと、感染症は幾らでも無限に拡がる。これについて、今回の政府の決定もそうだし、ずーっと前からの政府の決定も、全く自覚していないと思う。保健所の機能が大事だということを自覚しないで、ずっと片翼だけで勝負しようとしているというふうに思います。だけど、それがちゃんとあったから、片翼の方である、国民がみんな協力をした、それは罰金を取られるほどじゃなくて、時々ルールを破って好きなことをやった人もいるけど、それでもちゃんと全体としてはみんな協力して、そっちの方の協力で全体的には抑え込んでしまう。これは日本の奇跡だと思うんだけど、奇跡の原因はこっちの方ももちろんえらいけど、保健行政がきちんとしてるから、ちょっと負荷が下がってくると、また正常に機能し始めるというメカニズムがあるということに、政府が自分で誰も気がついてない。ということを強く思います。

時事:保健行政が、法律も含めてきちんとしてるというのは、保健所の整備とかですか。

知事:保健所の整備をしろと書いてあるし、保健所の機能強化と書いてあるけど、保健所の機能の機能って何だということは、どこにも書いて無い。保健所の機能は、PCR検査では無い。検査によって判別したことで、隔離するということです。対処方針で言葉を探しても無いです。だから、自分で分かってないんじゃないかな。で、なんか驚くべきことですが、欧米にこの感染症法は無いんです。多分、人権との関係で、あんまり好みじゃなかったのではないかという気がしますが。しかし、これが無かったら、それこそ最後の病院のところで勝負しないとしょうがない。要するに、予防が出来ませんということなんだけど、あれだけ多くの専門家がたくさんいて、なんでこんな簡単なことが分からないんだろうと思います。

時事:前からの法整備と、日本の保健行政の仕組みがある中で、そこに日本人の気質というか、よく言われているきれい好きなどが重なった。

知事:そうです。それしか解は無いです。論理的に考えたらそれしかないと思います。それで、よく、握手をしないからだとか、マスクが好きだからとか言うんだけど、(外国にも)マスクが好きな人はいっぱいいるし、ようよう最近握手しないじゃないですか。なのに、ウワーっとうつってる。クオモ州知事なんて毎日キャーキャー言ってるのに、全然効き目が無いじゃないですか。それは何でかというのを、やっぱり考えないといけないと思います。

 例えば、映像を見てますと、日本だと、隔離をしてるところはなかなか映しにくいから映さないけど、保健所の人たちが一生懸命働いてるところがテレビに出ます。忙しくて大変なんだ、と出ます。ヨーロッパやアメリカは、そんなもの無いんです。だから、流行り出したらウワーッと拡がって、拡がることを抑えるのは、ロックダウンしかない。それで、病院の最後のところだけ守ろうとする。これが彼らの制度です。多分、あの制度がおかしいんじゃないかな。その制度のことしか勉強してない人が日本の国の専門家にいるから、分からない。現場で働いたことがあんまりない。現場で働いたらすぐに分かります。

時事:知事のお考えだと、欧米と日本を分けたのは、保健所による隔離がきちんと出来てたかどうかということですか。

知事:そう。それで、地方圏は爆発しない。これは人口が少ないのはもちろんありますが、一生懸命頑張って、ある一定のところでのせめぎ合い、感染が増えてくることとのせめぎ合いだから、一生懸命みなさん頑張った。和歌山県もそうですし、もっと頑張ったのは、徳島とか鳥取とかは本当はもっと頑張ったんだと思います。そういうことを頑張ったところと、制度的に厚労省の言うことを聞いて、割と一般的な感染を逃がしてしまったところで、差がついたと思います。

時事:観光アクションプログラムに関連してです。長期的な話で、和歌山と言えば、内需の大幅な拡大が見込めない中、県外のお客さん、特に近年は海外のお客さんをどう呼び込むかということにすごく力を入れてきました。今回、コロナのような事態が起きて結構言われてるのは、やっぱり海外のお客さんの一極化が良くない。例えば、中国のお客さんは、和歌山にとってとても大事ですが、そこだけではいけないんじゃないかとか、ちょっとインバウンドを考え直さないといけないという意見がありますが、そこについて長期的な視点で知事はどう考えますか。

知事:時事通信さんが言われたのは、長期的な視点は正しいが、短期的な視点は全然正しくない。これが答えです。

 長期的な視点というのは、世界中からお客さんに来てもらうようにしておかないと、例えば、政治リスクとかもありますから、いっぺんに日本が嫌いになって来なくなったら、観光産業が倒れてしまう。そういうことは困りますというような意味での、長期的な分散化は図っておかないといけない。これは正しいです。で、和歌山県はそういう意味では、割と優等生に近いんです。もちろん、中国、香港、台湾、それから、大分遅れて韓国が多いんですけど、その次に、欧米の諸国がずらっと並んでますから、割合、欧米の方々に評価されている観光地というふうにも言える。相対的には割合マシな方ですが、それをもっともっと増やしていかないといけないので頑張るぞというのは、もともとのアクションプログラムです。

 短期的に言うと、実は、欧米、それから世界中にいろいろこれからもっと伸ばしていかないといけない国々がたくさんありますが、全部コロナにやられてますから、短期的にはあんまり意味のない議論です。

時事:段階を踏んで、最終的にはまたインバウンドのお客さんにたくさん来ていただきたいところは、以前と変わらない状態を目指すということですか。

知事:もちろん、そうです。それから、長期的な視点ですから、多くの国々にどんどんファンを増やしていって、和歌山って良いらしいよといって、どんどん来ていただくということを、これからも一生懸命やっていかないといけないということです。

朝日:先ほどお話が出てたことに戻りますが、新型コロナの対策で、国内で比較的感染者数が抑えられて、和歌山もその中でも、かなり数が少ない方に抑えられたと思いますが、先ほど知事がおっしゃっていた福祉の体制

知事:保健です。

朝日:保健の体制。他のところだと、これまで、保健所の数を減らしたり、福祉行政と保健行政を一緒にやらざるを得ないようなところもありますが、和歌山県はそこをしっかり分けたという話を、別のところでお伺いしました。今までの和歌山県の福祉保健行政の蓄積も、今回の県内の感染者数の低減に貢献したと考えてよろしいですか。知事はどのように考えていますか。

知事:それはそうだと思います。私は、10年前も知事をやってたけど、行革華やかなりし頃に知事をやってたわけじゃないので、保健所の定員をことさらたくさん切ったとか、機能を小さくしたとか、どっかと統合しろと言ったとか、そんなことは一切ありません。だから、伝統的な長い歴史の中で培われた、和歌山県の保健所の誇りと実力。これがなかなか維持されてたと思います。

 もっと言えば、保健所が1個1個独立してるとあかんのです。保健所統合システムが出来てないといけない。それは、和歌山県で言えば、福祉保健部、特に技監を頂点とするようなヘッドクォーターがちゃんと機能したので、一つの保健所だけでは上手くいかないこと、例えば、ここで患者が出ても、こっちに働きに行ってる可能性がある。そうすると、ここで濃厚接触が出る可能性があるんで、あそこを調べに行けと言って、すぐ指令を出さないといけない。そういうようなことを、全部統合システムで出来たというのは、大変良いことだと思います。

 その機能のもとに、和歌山県は何とか63人で抑えられたんだけど、63人も出たので、やっぱりそんなに和歌山県は偉いぞとか言うつもりはない。だけど、ふと地方圏を見ると、どっかで爆発させてしまったところを除けば、みんな本当にそれは一生懸命やったと思います。

 で、人のことを言って悪いんですけど、さっき言われたように、若干、行革を今から考えるとやり過ぎたところと、それから、実は統合システムを作れなかったところ、これが無茶苦茶になってるんじゃないかと思います。

読売:話がちょっと戻ってしまいますが、日本国内で緊急事態宣言の対象地域が全て解除される状態になりました。知事が先ほどおっしゃったように、大成功した部分は、感染の抑え込みに成功したという理解でよろしいでしょうか。

知事:えっ、何。

読売:感染の抑え込み。

知事:その前の言葉がちょっと聞こえなかったんですが。

読売:知事が先ほど、日本は大成功したと思うとおっしゃってたのは、感染の抑え込みに成功したという理解でよろしいですか。

知事:そうです。とりあえず今は。

読売:6月19日に、県外の往来を慎重に進めていこうというような政府の方針も出されていますが、今日のアクションプログラムにもあったように、県の観光のこれからの見通しは、知事はどのようにお考えでしょうか。

知事:それはやっぱりなかなか簡単にはいきません。コロナの感染者が出てきて、キューッと抑え込んだんですけど、それは国民の皆さんが劇的なことをやってるわけです。そんなことを、例えば、今度は観光振興のために期待が出来るかと言うと、全然、出来ない。それから、やっぱり遊びに行こうかなと思う人も、いろんな意味でなかなかそんな気分になれない人も多いでしょう。まだうつるかもしれないという人もいるし、ちょっと懐がさみしくなってるという人がいるでしょう。だから、なかなかそう簡単に、一気にV字型で回復が出来るとは思いません。だけど、良いところをどんどんPRして、時間をかけて、また元のレベルに、あるいはそのレベルを超えるようなレベルにしていくことを目指して、みんなで頑張らないといけないということでしょう。

読売:先ほど発表の中にもありましたが、まずは県内の周遊を進めていくという形で助成の話も出ましたが、まず県の目指すところと言えば、まずは県民にとりあえず消費を促していこうということで、第1弾としていくのでしょうか。

知事:第1弾は。だけど、和歌山県の人口は100万も無い。92万ちょっとぐらいしか無いわけですから、その方々が、和歌山県の観光産業を支えられるかと言ったら、無理です。ですから、やっぱり他所から来ていただいた方々の力を、機動力にして生きていかないとしょうがないので、そのためには、コロナがぶり返さないことを願って、みんな何となくいけるよねという感じで、だんだんだんだん来ていただくことを目指していかないといけないと思います。

 もう一つ言えば、コロナが危ないと言った時、危ないというか爆発するかもしれないから、危ないからみんなで気をつけてと言った時に、厳しいことを言いました。その厳しいことは、いつもそうだと思わない方が良いです。それから、リスクがゼロでなきゃ許さんということは、もう止めたほうが良いです。私は、大阪府知事は結構勇気があると思ってるのは、そういうことを、今よりもっと危ないとみんなが思ってる時に言い始めました。そういう意味では、なかなかご立派だと思うんですけど、大阪府知事ほどでなくても、みんな心のどこそこで、やっぱり安全は大事だなと思いながらも、あんまり極端にリスクゼロでなければ承知しないと言うのは、ちょっと控えようかという感じはあります。

読売:宣言解除になったとしても、まだリスクはある。

知事:あります。世界中こんなに大変ですから。世界中を見たら、いつ入ってくるか分かりません。首都圏も、ちょっとまだ何か大丈夫かなという感じする。それから、京阪神だってどこかに潜ってるのが、また小さくポツポツポツと出てくるかもしれません。今でも毎日ゼロじゃないです。そういうことで、一つ出たらうわっ大変だ、もうみんな死んじゃうというふうに思わないで、何となく、リーズナブルにいこうというふうに思います。大人の対応というかね。

読売:もう1点。学校の話が先ほども出ましたが、金曜日に感染症の対策本部会議を開いて、方針を決めていくということですか。

知事:そうです。基本的には、6月1日からと決めています。6月1日に決める時に、教育については、ただオープンしますということだけではなくて、やっぱり皆さん心配でしょうから、こういうふうに気をつけながらオープンしますということを教育委員会と議論してるので、それを皆さんに発表して、見てもらったら良いと思います。

読売:多くの都市が6月1日から再開に向けての動きが進んでる中、和歌山県も6月1日から再開という方向性は。

知事:方向性はもともと出してて、休業が当たり前ではない。休業は5月31日までと決めてるから、何もしなければ6月1日から始まるのは当たり前です。だけど、29日にみんなでよく議論して、心配の種みたいなものは、こうやって気をつけますから皆さん信頼して安心していきましょう、かつ、気を付けながらというふうに、県民に申し上げることは出来るんじゃないかと思います。

読売:通常授業が再開できるかどうかが、議論になってくるのでしょうか。それとも、6月1日から通常授業は開始するけれども、感染症対策をこういうふうに取っていくというような形でしょうか。

知事:通常授業とか、そういう細かいことを、今言ってるわけではありません。ですから、今の質問に対してはお答え出来ませんということですが、休業という一つの言葉は、5月31日までと決めてるんで、これはほっとくと6月1日からオープンになります。そのやり方をどういうふうにしてやるか、細かいことというか、注意事項その他、あるいは、こんなことがあったらまた休業しましょうとかについて、議論して決めて発表しようと思っています。

毎日:発表項目とは別で、先日、医労連が、県が医療従事者の負担軽減のためにホテルを利用してもらおうということで、宿泊費を手当されてるかと思いますが、現在は、勤務日に限って利用が出来る制度になっているかと思います。

知事:そうですか。ちょっと細かいことは、今理解してません。

毎日:医療従事者からは、勤務日以外も病院で勤務した後などに、ご家族と接触したりするのがちょっと心配だということで、もう少し長期間の利用が出来ないかという声が上がっていましたが、そのあたり制度の変更とかはどのようにお考えでしょうか。

知事:理解していなかったので、直ちに考えてパッと分かるような話ではないので、どうすると言ってよく相談しておきます。

毎日:知事のお考えとして、今は勤務日しか利用が出来ないことになってることについて、どのように。

知事:なかなか、言われてはいと言って分かるほど、大事というか大きな話ではないので、分かりません。

毎日:大きな話かどうかはあれかもしれませんが、やっぱりご自宅に小さなお子さんがいたり、高齢者がいる方にとっては、なかなか一緒に暮らすということも、心配の一つではないかと思ったりしますが。

知事:私もそんな気はします。ただ、制度というのは、そういう一つの心配とか一つのメリットを、全部突き詰めてやってしまうと、無茶苦茶になります。どうと言って、せんどやって、あちこちから考えながら、公平とか、相場とか、相場っておかしいのですが他の人に対する相場、手段と目的の合目的性とか、そんなことを考えてやるんです。そういう意味で、言っておられることは、ふんふんと思うけど、あっそうと言ってピューといくと、私はすぐクビになって、某新聞の嘱託か何かになってしまう。そういうことです。考えます。

時事:観光のアクションプログラムを開いて見てみますと、日本書紀が編さんされて1300年を迎えるということにちなんで、「わかやま記紀の旅」と題し、古事記、日本書紀ゆかりのスポットを巡るものを企画するということですが、やっぱり和歌山のユニークな部分として、神話との繋がりというのを、知事はどのようにお考えですか。

知事:それは、ものすごくあります。特に、奈良県とか、宮崎県とか、島根県とか、三重県と組んで、神話でアピールしましょうなんていうのは、ずっとイニシアチブをとってきたわけです。和歌山県というのはたくさんありますが、一つは神武東征があります。それから、南海道ってどこのことかと言うと、紀の川筋です。紀の川筋は、実は、大和に朝廷があったら、海への出口なんです。今は大阪や神戸へ行くけど、元はあんなとこ葦原ですから。紀の川は水運がちゃんとしてるところで、大和の国から言えば、そういうことです。だからこの辺に、岩橋千塚古墳とか、日前宮とか、そういう名所、旧跡、古墳がいっぱいあります。これがまた一つの価値ある、我々の遺産です。それと神武東征、これは海際をずーっと行く。なかなか面白いんです。そういうことをしゃべりだすと、どんどん長くなって1時間ぐらいしゃべりそうですが、アピールして、そういうのを好きな人が多いから、やっていこうと思ってたら、コロナ騒ぎでちょっとカクっときたということで、また、落ち着いてきたらどんどん行きます。

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