知事記者会見 令和2年5月12日

知事記者会見

記者会見での発表事項等を紹介します

令和2年5月12日 知事記者会見

令和2年5月12日 記者会見室 

「第三次和歌山県産業技術基本計画」の策定について

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 それでは通常の記者会見ですが、発表事項が二つと話題事項が二つございます。

 一つは、和歌山県の産業技術基本計画を発表させていただきます。これは、「和歌山県新技術創出推進条例」を、今から10年ちょっと前くらいに作りました。基本的なところは5ヵ年計画ですが、それに基づいて実施する流れです。

 それで、産業技術戦略会議というのがありますが、和歌山県ゆかりの人、和歌山で活躍している人、オールジャパンで活躍している人、そういう人を集めて、大変レベルの高い議論をいつもやります。そこで、5年目でございますので、第三次の基本計画を作ろうということで、1年半くらい結構議論して参りました。

 今回は、基本的な視点のところで、新技術・新産業の創出を通じた経済発展。それから、和歌山県はやっぱり豊かな自然環境もあるし、世の中の流れからすると、省資源化・低炭素化の流れが押し寄せてきてるし、さらにSociety5.0への突入ということで、特にITを生かした技術開発。そういうものが、どういうふうにしてこの新技術に繋がっていくかということに、大きな重点をつけて、そういうものを利用する「デジタル技術利活用の最先端県」を目指していくと位置付けました。

 主な取組は、五つあります。これはいつもそうですが、「研究開発の推進」「創業・第二創業の促進」「人手不足問題の解消に向けた労働生産性の向上、新技術の利活用」「産学官連携による研究開発の高度化・イノベーションの推進」「人材育成」の五つです。

 この2、3ヶ月はコロナで大変で、特に大不況になっていますから、人手不足って何のこっちゃという感じがあるんですけど、ほんの少し前までは、本当に人出不足でみんな困っていたので、こういうふうになっている。コロナが終われば、日本の構造全体は変わってないので、上手く経済が元に戻れば、またこうなるはずです。そういうことで、別に直す必要もないだろうと思っています。

 それから重点分野は八つありまして、これは今回も変わっていません。そこ(資料2枚目)にあるような分野ごとに、どういうふうにしようかということを書いたのがありまして、それが、お手元にあります(資料3枚目の)概要として横長の紙に書いています。背景とか主な対策は申し上げましたが、研究開発の推進は、先駆的産業技術研究開発支援、県工業技術センターの活用、これはあまり変わっていません。それから、創業・第二創業の促進も、スタートアップ支援チームを頑張ろうというのと、民間イベントとの連携、ベンチャー企業誘致といったところは、ちょっと力を入れていこうという感じであります。それから、人手不足問題解消に向けた労働生産性向上支援。ここは、例えば、人手不足でございますから、外国人労働者を入れてということもあり、それも全く否定はしないけど、どちらかというとIoTやロボット等の設備導入を支援して、それによって社会的な環境変化を将来の発展に結びつけよう、誤魔化してないでやろうというような感じと、システムインテグレータ育成とかをやろういうことです。それから、産学官連携で、企業のコーディネート、あるいは海外の研究機関等の連携が新しく入ってきたということであります。人材育成は、きのくにICT教育、企業向けのリカレント教育講座などが新しいところかなという感じです。

重点8分野に関する取組ですが、そこ(資料4枚目)に書いているようなところで、みんなそれぞれどうでもいいと言うことでは決して無いのですが、特に太字で書いているようなところを頑張っていきましょうということであります。

 それから、進捗管理目標というのは、5年ごとに作っています。これまでの変化ということで、これはまあ成績ですが、製造品出荷額などは全国を上回るスピードでまあまあよろしかった。特にこの重点8分野はよろしかった。しかし一方で、労働生産性は、全国と比べるとまだレベル的にかなり低いというところがあります。だから、先ほど言ったような戦略で、これが高くなるようにしていかないといけないということだと思います。開業率は、スタートアップ支援などいろいろやって、ちょっとましになったということですが、あんまりパッとしない。それから、県内高校生の県外進学率が一番悪かったのが二番目になった。これも大したこと無い。これももっと良くしようということで、今後の進捗管理目標は、2024年までそういうことが書いていて、特に労働生産性の全体および中小企業を、それぞれ20%増でやっていこうじゃないかというところを、ちょっと力を入れないといけないかなと考えております。それから、8分野については、それぞれ目標を書いています。

 本文も付けていますので、よかったら読んでいただいて、産業技術政策課長へ取材に行っていただいて結構であります。

高校生の県内就職について

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 その次は、高校生の県内就職であります。これは、先ほどもちょっと触れましたが、高校生で、せっかく和歌山で立派に育ったのに、県外に行ってしまう人が結構多い。大学生も、県外の大学に行ってそのまま帰ってこないというのが多い。せっかく優秀な子供が一杯いるのに、県内に働くところは無いかというとそうでもないし、県内で働いたら損かと言うと、データ的には決してそんなことは無い。こういうことをよく頭に入れて、自分にふさわしいところを正しく選んで欲しいというのが、我々のメッセージです。

 それを具体的に示さないといけないので、お手元の資料に写真が出ていますが、就職ガイドを、毎年、高校生用と大学生用を作って、それぞれ大学で就職しそうな人、高校で就職予定の学年の人に渡しています。その中には、当然就職ガイドですから、和歌山の企業の求人が書いているし、併せて、和歌山で働くとどんなに得か損かということが、客観的データで書いている。こういうものを渡して、世の中の風潮に惑わされないで、ちゃんと賢く選べよというものです。

 2枚目に、こうやって努力してきた結果、高校生の県内就職率も随分上がってきましたが、直近では、ちょっと伸び悩みないしは下がりまして、それで、また頑張るぞとなっているということです。あまりにも景気が良すぎるというか、売り手市場になったので、ちょっと県外から誘いの手が強烈に来たかなという感じはあります。

新型コロナウイルス感染症に対応する医療従事者を支援する宿泊施設について

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 その次は、新型コロナウイルス感染症に対応する医療従事者を支援する宿泊施設であります。これは、資料にあるようなホテルと契約いたしました。今、新型コロナウイルスと闘ってくださっている医療従事者の方々がいます。この方々は、いろいろ分かってきたのですが、結構長い時間かけて車で移動してる人が多い。そうすると疲れるし、ゆっくり休むことが出来ない可能性もあるということなので、近くのホテルで長い時間寝ていただくことがあっても良いんじゃないかなということで、和歌山県がサービスをしようということにしました。

 今は、シティホテルなんかも全然流行っていないので、ホテルに対する有効需要の喚起にもなってるわけです。それを狙ってやったわけでは無いのですが、結果論としてはそうなっています。

 ただし、タダでいい加減にやってもらったら困るので、条件をつけて公募しました。条件が資料の下に載っておりますが、医療関係者ですから、別にコロナに限らず、1人の方が何らかのウイルスを持ってる可能性もあるし、別の細菌とかそういう可能性も無いことは無い。そうすると、みんな一緒というわけにはいかないので、雑魚寝みたいなものではなく、一人一室バストイレ付きというのが条件です。それから、利用料は(ホテルごとに)1泊6,000円以内の一律にして、県が払います。それから、医療従事者が宿泊をすると手を上げるためには、このフロアは医療従事者のフロアですと、はっきり決めてくださいと言いました。それから、連泊する場合、今日はAさんがこの部屋に泊り、次の日は同じ部屋にBさんが泊まるのは止めてください。今日はAさんが泊まったら、次の日もAさん。泊まらなくなったら、1回全部綺麗にクリアにして、もう1回新しい状態で別の人に入ってもらうのは良いけども、人ごとに決めといてください、忙しい人は分かりますから。そういうふうに条件をつけて、公募しました。

 今のところ、これでいけるかなと思ってるんですけど、もっと医療現場が大変になってきたり、あるいは需要が多いということであれば、もうちょっと増やすこともあるべしということでございます。

「おうちで和歌山」特設サイトをオープンします!

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 それから、和歌山には美味しいものたくさんあるんですけども、たくさんある和歌山に来て食べてくださいというのは、なかなか他所の県の人は難しいということがあり、PRのやり方が大変難しい。そこで、「おうちで和歌山」という特設サイトを作って、和歌山の食材でこんな美味しいものありますから、おうちで作って食べてくださいというようなことを、PRしようかというふうに思いました。

 やっぱり人気のある人に入ってもらって、作ってもらったらよかろうということで、(資料では)田中理恵さんが酸っぱい顔をしてますけど、坂本冬美さん、残間里江子さん、中島由貴さん、本谷紗己さん、溝端淳平さん、岡本玲さん、ウインズ平阪さん、池田胡桃さん、それから、かの有名な梅干し大博士、宇都宮先生、こんな方々がメッセージを寄せるというふうになっておりまして、それが動画で入ってくるということです。

 私も、左のところにメッセージが入っていますが、これは一般的なPRで、そんな感じになっております。

 以上です。

質問と回答

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朝日:新型コロナの宿泊施設の関係ですが、2週間で八つ応募があり、ホテル側としても、感染やいろいろなリスク、フロアを空ける手間もあると思いますが、こうやって集まったことに対して、知事としてどのように感じていますか。

知事:リスクと今おっしゃったけど、リスクはゼロと考えても良いと思います。医療関係者であり、別にその人が感染してるわけじゃない。他のホテルに泊まりに行っても構わないような人が、たまたま県費で泊まれるという意味ですから、そういう意味では、ホテル側も良かったんじゃないかと思います。別に、我々はホテルの救済を考えてやってるわけではなくて、やっぱり医療関係者の方にゆっくり休んでいただいて、長丁場になるかもしれませんので、疲弊しないようにしていただきたいなという気持ちでやりました。ホテルとしては歓迎じゃないですかね。大阪なんかで、ホテルへ陽性患者に入ってもらってるのとは、全然違います。

毎日:同じく医療従事者を支援する宿泊施設の件で、実際に受け入れはされていますか。

知事:私の理解だと、もう入ってると思います。5月1日から始めています。

毎日:今、何名ぐらいの方が入っていますか。

知事:分かってる限り、10名弱が入っています。観光振興課長のところへ行ったら、最新の情報が手に入ると思います。

毎日:もう1点。高校生の県内就職で、今年は応募前企業サマーガイダンスに変えて、Web会議システムを活用した企業説明会ということですが、イメージとして、オンラインを使って人事担当者と高校生が質疑応答を出来る機会を設けるというのは、どういうことでしょうか。

知事:いつもは、応募前企業サマーガイダンスということで、就職希望の高校生を集めて、私とかいろんな人が一番初めにちょっと演説をし、オリエンテーションをして、その後、大体ビッグホエールとビッグウエーブでやるんですが、ビッグホエールに企業のブースがあります。まだ高校生ですから、大体9月ぐらいから就職シーズンになりますが、6月にやって、夏休み中にじっくり考える時に、どんな企業があるのかを、見たり聞いたり話したりしたらよかろうということで、ブースに行っていろいろ話を聞きに行ったりする。それがいつものスタイルですが、今そんなことをやるとちょっとまずいので、その代わりにウェブで、自分がそこへ登場して質問したり、少なくともスカイプとか無くても情報が取れます。そういうような形でやっていこうかなというふうに思っています。

毎日:高校生が質疑応答を出来る機会と、県内企業の企業説明動画のアップは別の物ですか。

知事:そうです。この紙(就職ガイド)の中に入ってる企業のウェブ版が、県のホームページにもありますということと、双方向で議論するというのは、ちょっと仕掛けをしないといけない。例えば、学校に協力してもらうとかして、ちょっと企業と話を出来るようにしたら良いなということです。

毎日:これは、今回、コロナだからこのような対応をされるのか、それとも今後も同じような対応をしていくのでしょうか。

知事:これは基本的にコロナだからですが、良かったという話になったら、ひょっとしたら来年も続けるかもしれません。だけど、少なくとも今は集まって対面してというのは出来ません。従って、コロナだからこういうことを考えたということです。

産経:話が戻りますが、宿泊施設についてです。医療従事者の疲労軽減が目的ということで、具体的に、医療現場では、コロナの対応によりどんな負担が増えているのでしょうか。これまでと勤務体制が一緒だったらサービスする意味も無いと思うので、どういう負担が増えているのかを教えていただけますか。

知事:実は、コロナというのは厄介な病気で、うつりやすいので人手がたくさん要ります。ですから、(他の病気などで)1人の患者が入ってるのと違って、随分たくさんの人手をそこにかけます。そうすると、人間を無尽蔵に新しく採用が出来るわけじゃないので、今まで仕事をしてた量よりも、コロナの担当に持ってこられた人も忙しいし、人を抜かれた方の人も忙しい。ですから、その病院はすごい忙しくなっています。そういう意味で、お疲れになってしまっては気の毒だから、例えば、いろいろ調べると、和歌山県の半分ぐらいを移動してるような人が結構いるんです。そういう人は、家に帰っていただいて良いけど、今日は疲れたという時は、こういうとこでたくさん寝ていただいたら良いんじゃないかということです。

産経:具体的には、勤務の3交代が2交代になってたり、通常の勤務時間の超過労働が増えてたり、そういう実態はありますか。

知事:はっきりとは分かりません。そんな材料を、私が今ここで持ってるわけでは無い。だけど一般論で言えば、明らかに、セットで動いてる病院をコロナのために空けろと言ったら、コロナにすごい人がかかるので、こっちから何人か寄せてきて投入しないといけない。しかも、夜は放っておいて良いというものでも無いので、結構忙しい。だから、忙しくなるということを前提にして考えたということで、何時間超過労働だからとか、そういうデータを持ってるわけでありません。

NHK:発表項目と違いますが、休業要請についてお伺いします。大阪は、15日に、独自の基準に基づいて一部緩和も検討としています。和歌山は、大阪の動向を見て、休業要請を継続するかどうかという考えは変わっていませんか。

知事:そうです。まず、14日に国が何か決める。一生懸命、情報を取ろうとしていて、ずっと続いてると思います。それから、大阪府知事の話だと、15日に今度は大阪が、それを前提にして一遍考えると言ってます。それを前提にし、かつ大阪が作った独自の出口基準でクリアしてるかどうか。多分クリアするんでしょう。クリアして、じゃあ何を外して何を継続するかは、全部オールオアナッシングでは無いような言い方をしてます。だから、そういうことを見て、我々も考えなきゃいけないということでしょう。

NHK:県で独自に何か基準を設けるというのは、基本的に無いのですか。

知事:この前も聞かれましたが、多分、基準を設けるといったら、ほとんどゼロ基準みたいになるんじゃないですか。(大阪などとは)もう全く違う世界に生きてるから、ああいう医療とかの基準で言えば。ですから、あんまり意味は無いと思います。例えば、大阪とかその他の県の基準を見たら、和歌山県は1回も入口に入ることすら出来なかったでしょう。つまり、全く別のところで議論してるわけです、和歌山県のところとは。だから、あんまり意味が無い。

NHK:大阪では、15日に独自の出口基準があるので大体見通せますが、引き続き休業要請がほとんど続くとなった場合、和歌山県は同じ状態が続くという話しですか。

知事:これは、和歌山県で15日に何を考えなきゃいけないかということを、お話します。まず、和歌山県自体の状況も考えないといけない。今日も1人感染者が出ました。我々自身が、今どういうところにいるかということも考えないといけない。それから、国が多分二つに分けると言ってます、警戒都道府県とそうでないところ。そうでないところには、こんなことは注意しなさいというようなことを言ってくると思いますが、無視するわけにはいかない。我々としては、それに対してどういうふうに応じていったら良いかということを、我々自体の問題として考えなきゃいけない。これが一つです。

 もう一つは、明らかに、大阪、京阪神、東京を考えないといけないでしょう。と言うのは、和歌山はこうだからもう良いですと言って開けたら、規制とあえて言いますが、大阪の規制レベルと和歌山の規制レベルとが違ったりする。そうすると、高いところから流れてくる。つまり、例えば、パチンコが、大阪が休業要請を続けるということになって、和歌山が開けるとなったら、大阪のお客さんがドッカンと来る可能性があるというようなことも、考えないといけません。従って、大阪、あるいは兵庫、京都、東京なんかは、どうするんだろうと。

 それから、どうするんだろうの前に、どうなってるんだろうということも大事です。そんなに危なくなければ、そんなに心配しなくても良いかもしれないけど、それが、ちょっと心配だなあということであれば、それはこっちの方も構えてかからないといけないということで、和歌山県だけのことを考えてはいけないということです。

 もう一回言いますと、近くの県、あるいは関係の深い東京とかが、現在、感染状況はどうなってるかということと、措置として、彼らは何を残し、何を止めるのかということを考えて、他県要素と自県要素と両方を考えないといけないので、これは結構難しい。それを15日にやろうと思っています。

NHK:パチンコの場合は、県外から来る方が多数確認されてると思いますが、ジムなど、大阪から来る人が少ないかもしれない施設もあると思います。そこは分けて考えることもあり得るということですか。

知事:それはあり得ると思います。大阪要素と言うと大変失礼だけど、あえて略語で言うと、大阪要素が非常に大きいところと、ほとんど無いところは、別々に考えても良いんじゃないですか。こっちは和歌山だけのことで判断したら良いと思うけど、和歌山の現状は安心かということも、また考えないといけない。

時事通信:今の質問に関連してですが、大阪を含め他府県が出している基準が、和歌山に当てはめるとゼロで、特に下回ってますというお話がありました。

知事:有史以来、全部下回ってます。上がったことは無い。

時事通信:その通りだと思います。ですから、他府県の基準を和歌山にそのまま当てはめて同じように考えることは出来ないとは思います。ただ一方で、5月4日に和歌山県が緊急事態措置を延長することを決めた際、知事が仰っていたことですが、やはり京阪神や首都圏の様子を見て考えなければいけない、特に、大阪ということを仰っておりました。先ほども、他府県の感染状況等の措置がどうなるか状況を見ないといけないというお話があり、5月4日の時に知事は、病床の使用率が50%、60%を下回ったところで、それだけを見て安心は出来ないという話がありました。そういう中で、大阪モデルとして、吉村知事が自粛の段階的な解除の基準として、感染経路不明の患者の数、陽性率、重症用の病床の使用率、この三つを出されましたが、これを基に大阪が解除していくことについて、知事のご意見はいかがでしょうか。

知事:はっきり言うと、ちょっと危ないような気がします。まず、第一に申し上げておきますと、私は大阪府知事の考えたことは、割と評価してます。やっぱり発想は、いつまでも自粛一点張りで、ちょっとでも感染がありそうだったら、もうとにかく自粛自粛でギュウギュウ押さえ込むというのは本当に良いのか、出口も無くてみんなの心が死んでしまうんじゃないか、そういう割と、若々しい発想が良いんじゃないかと、実は評価してる。その中で、何か数値基準を示そうと言ってるので、それも実は割合評価してる。

 ただ、ちょっとこれ(フリップ)を見ていただきますと、こちらが大阪の基準です。この基準について言えば、それは当然クリアするだろうというふうに思います。ところが、例えば、重症病床の使用率60%未満をクリアしなきゃいけないというのは分かるけれども、クリアしたら大丈夫かと言ったら、ちょっと違うんじゃないかと。なぜかというと、大阪は、軽症者または無症状者の陽性者の隔離を、ちゃんとやってないんじゃないのと。家庭に居る人がいるでしょう。家庭の中でうつしたりしないんですか、あるいは、その方が本当に他所へ行ったりしてませんかということで、もし他所へ行ってるような状態で、レベルを上げたら、バーッとうつりませんかという心配を、本当に真摯にしてるんです。

 それから、PCR検査の陽性率7%未満というのは、たくさんPCRをしてるということで、良いことだとは思うんですが、よく見たら、実は濃厚接触者のPCR検査は、和歌山県で言えばあっという間に全員やります。だけど、あまりにも数が今まで多すぎたんで、あなたは症状が出るまで待っててねと。濃厚接触者ですから、とにかく家に居てて動いてはいけませんよと言って、症状が出てきたらやりましょうという自治体が多かった。

 それから、自宅療養者も100人位いるんですけど、その方々の陰性確認にPCR検査をしに行くのは本当に大変です。大変なのは分かるんだけど、そうすると、厚労省が良いと言ったWHO基準があって、症状が無くなって2週間経ったら、もう退院してよろしいというのがある。でも、和歌山の基準でも、最長45日、陽性が消えなかった人がいます。そういうような人を、一般の所に出してしまって良いんですかと。それも、自粛してレベルが落ちてる時だったらあんまり顕在化しないけど、人々と接触する機会が増えてきたら、ひょっとしたらそれが効いてくる可能性がある。だから心配だと。

 それから、新規感染者のうち感染経路不明者が10人未満。これも大事なことだと思います。感染経路不明者がいるのはいかんと。それはそうだけど、いたとしても和歌山なんかも分からんことが結構あるんです。だけど、感染者の行動捕捉は100%出来ている、あるいはやろうとしている。それをしないで、感染経路不明者10人未満でちょっとしかいないですからという部分だけだと、これやっぱりちょっと危ないんじゃないでしょうかという気がします。

 大阪府知事の意図は、大変私は評価をしてるんだけど、大丈夫かなあと心配をしていて、この大丈夫かなあという心配が、実は和歌山の心配なんです。和歌山は、大阪が感染が無くなったら、もう本当に良いとこです。大阪様々なんです。だから大阪が、感染がいつまでも続く状態であったら、和歌山自身も段々と息の根が止まってくるので、心配しているということです。

時事通信:分かりました。そうしますと、大阪が、段階的な自粛解除の基準としている今の3要素を基に、もし15日に基準を段階的に解除したとしても、和歌山は、例えば、大阪の、今おっしゃった感染者の捕捉、濃厚接触者の徹底的な検査などが、和歌山から見て安全だと思わない限り、大阪モデルに従って自粛解除というふうにはならないのでしょうか。

知事:和歌山は、大阪の基準なんて使う必要は無くて、初めからそんなもの分かりきった話なので、質問が大阪の基準を使って解除しますかと言うと、それは違います。

 ただ、もう一つ言えば、大阪がそれを強行したとします。その時に、大阪は信用が出来ないから、和歌山は、このようなきつい規制を続けますかというと、それも違います。ですから、ちょっと危ないなあ、だけど大阪がこのぐらい止めると言っているから、これは同じと考えても良いかなとか、大阪との関係ではあんまり影響が無さそうだから、和歌山から考えて良いかなとか、それはそうやって考えていくことです。

 ですから、丸々まあ大丈夫でしょうと言って喜ぶわけにはいきませんが、かと言って、全く危ないから和歌山をがんじがらめの規制にするかというと、これまた違う。難しいところです。

時事通信:そこは大阪の方針を見ながら、細かく決めていく。

知事:そうです。ですから、大阪の状況および方針を見てみましょうと言って、5月15日に1回ちょっとミシン目を入れたんです。

時事通信:続けてもう1点ですが、国が14日に緊急事態宣言の区域の一部解除を検討しているというふうに出ています。まだ分かりませんが、和歌山県が対象地域として解除された場合のその後についてです。特措法第24条9項に基づく自粛の協力要請は、宣言地域で有る無しに関わらず続けることが出来ると担当課から伺っていますが、一方で、それ以降の宣言地域じゃないと出来ない措置が打てなくなっていくということで、その後をどうするかということについて、考えをお聞かせください。

知事:具体的に、あれどうしようかという時の話になるんで、なかなか答えにくいんですけど、一般的に言えば、特措法はそんなにきつい法律じゃないので、45条へ行ったところで、パチンコ屋さんから、東京なんかふんと言われてる。大阪は何とかまた説得したけど、和歌山県は24条の9項だけで説得し切った。そういう意味では、45条が使えないからといって、そんなに大問題かと言うとそうでもないような気がするというのは一般的な答えです。

 だけど、本当にこれはやばいじゃないかと思った時に、私は45条をもっときつくすべきだと思ってる意見の人です。罰則まで付けるべきだと思ってるんですけど、そういう事態になった時に、45条の使える余地が全くなくなった状況というのは、あんまり良くはないなあとは思います。

時事通信:国に対し、宣言対象外にしないように求めることはありますか。

知事:そんなことはしません。それは、今、仮定を言ったんです。大変な問題が起こってる時はそうだけど、一般的に緊急事態宣言というのは、客観的な指標で客観的に政府が決めることです。和歌山は、今日1人(陽性者が)出てしまったけど、1個1個をとったら、緊急事態宣言の対象であるはずがないところです。ですから、それを無理矢理、緊急事態宣言にしろと言うつもりは、サラサラありません。

時事通信:感染拡大防止と流入の防止のために、出来る範囲でやることを引き続きやっていくということでしょうか。

知事:そうです。それは前もそうでした。7都道府県が宣言対象地域になった時も、私も入れてと言った知事がいました。私は、そんなの自分でやったら良いんだから、入れてなんて言う必要は無いじゃないのというふうに、やや批判的でした。今もそれと同じような状況です。だから、なくてもやることは一生懸命やったら良いと思います。

朝日:新型コロナに関する県独自の経済対策、事業継続支援金についてお尋ねします。今回、支援金の対象が、国の持続化給付金を受けた企業が対象になると思いますが、国の持続化給付金の申請の要綱で、宗教法人や風俗業はそもそも不給付要件になっています。その点について、県も同様に、この二つに関しては払わないという形でしょうか。

知事:和歌山県は、基本的な考え方としては、全員対象のつもりです。今ちょっと手続きの細かいところまで見ていないので、ひょっとしたら不正確なことを言ってる可能性があり、恐れながら言っておりますが、一般的な気持ちとしては、別に、職業に差別をしてやるようなことは、あんまりしたくないと私は思います。国は国で基準を決めてるけど、我々は、手続きは国の基準を取ってくれば楽ですよねというだけの話で、何も国に認められたものでなければ駄目ですというつもりは、私は無いんですけどね。

朝日:と言うことは、今回、事業継続支援金の対象になってるのが、国の持続化給付金の給付を受けた事業者、申請をした事業者になると思いますが、もともと、国の方で不給付要件に入っていて申請が出来ない宗教法人や性風俗関係の業種でも、県の場合は申請すれば出る可能性があるということですか。

知事:出る可能性があるようにしたいなあと一般的には思っていましたが、ちょっと細かいところをプロジェクトチームに任せたので、今どうなってるかはちょっとよく分からない。ただ、分からないで済む話じゃないので、後で調べてご報告します。

朝日:知事が議会とかでもおっしゃってたように、全業種すべての人が対象というのが基本方針だと。

知事:私の理想を言えば、国の給付金で、100万円、200万円もらえるわけで、大体売り上げが無いようなところは、みんな行くでしょう。行くだろうということで、行った時に別の資料を作って持ってこいということは止めようと言っただけで、それは手続き上の問題だと私は理解してるんです。ですから、自分のところは、国には申請が出来ないけど県には申請が出来るとすると、こういう形でやりたいなと、こういうことで証明しますと言って持ってこられたら、それは私は受けたいと思いますけど。今ちょっと、手続きがどうなってるか、よく分かりません。

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