知事記者会見 令和2年12月22日

知事記者会見

記者会見での発表事項等を紹介します

令和2年12月22日 知事記者会見

令和2年12月22日 記者会見室 

「高野山デジタルパス」の実証事業を開始します ~いつでもどこでもスムーズなチケット購入!スマホ1つでラクラクおトク~

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 今日は四つ発表事項があり、話題事項が一つです。

 第一に、「高野山デジタルパス」の実証事業を開始いたします。スマホを持っていて、あらかじめ申し込んでおくと、高野山のかなりの部分が、スマホ決済ができることになります。どんなところかというと資料にありますが、バスは、1日フリー乗車券が入ってる。それから、飲食店など27施設、高野山はそんなに広くないから、かなりのお店で割引クーポン付きになってる。それから、いろいろな施設がありますが、金剛峯寺、大塔、金堂、大師教会、徳川家霊台、こういうところで、共通の参拝券が対象になる。それから、霊宝館の入館料も対象になる。時期は、1月8日から3月10日までで、実施主体は、和歌山県と高野町、それから南海に協力をいただきまして、南海電鉄と南海りんかんバスで、ちょっとやってみようということです。将来は、本格的に恒常的にやっていきたいのですが、もうちょっと地域を広げてもできないことはないと思うので、これからどんどんこれを広げていきたい。今回は、実験、実証事業ということです。

関西広域連合「関西・年末年始緊急宣言」について

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 その次は、関西広域連合で、「関西・年末年始緊急宣言」を出しました。これは、いつだったっけ。何日だったかな。あんまり忙しくて、日にちの概念がなくなりましたが、19日に広域連合委員会が行われて、そこですでに発表されています。それで、帰省、外出、年末年始の行事イベント、それから一般的には思いやりというかそういうような心構えの4項目について、言っています。

 帰省については、(関西広域連合の)域内で、それぞれ府県民に語りかけている内容がちょっとずつ違います。感染状況を踏まえてそれぞれ言ってますが、最大公約数を言えばこういうことになり、しかも、ちょっとパンチを利かして、メッセージ性を高めて言いました。それで、「帰省は、それぞれの地域の実情に応じて、できるだけしないようにしましょう。」ということです。和歌山県は、あまり(コロナが)流行ってないので、注意しなければいけないけど、地域の実情を考えれば、(帰省を)してはいけないことではありません。もっと流行ってるところは、強めにそれぞれ言っているということです。

 外出自粛ですが、「感染が拡大している地域への不要不急の外出は控えましょう。」は、和歌山県が今、大阪に関して言ってることと同じです。それから、「特にそれらの地域への飲食を目的とした往来は極力控えましょう」は、夏からずっと言ってる話です。それから、「日頃から検温を行うなど体調管理に努め、発熱など症状のある場合には、外出を控えるとともに、すぐに医師に電話し診断を受けましょう。」も、夏からずっと言ってる話です。

 「忘年会・新年会は、できるだけやめましょう。」は、できるだけなので、絶対に、新年会と称する小規模な会合、そういうものを全部禁止するということではありませんが、忘年会・新年会というと、ちょっと羽目を外して、いろんな地域の人たちがみんな集まってワーワー騒ぐというのが例年の姿ですから、これはちょっと危ないかもしれないので、よく注意をしてもらわなければいけないと思います。

 「成人式、初詣・カウントダウンイベントなど行事の前後は、リスクの高い施設への出入りなど、行動に注意しましょう。」は、こういうことを全部禁止するわけではないけど、こういうところに行きたい人は、やっぱり人にうつしてはいけないので、その前に、例えば、思い切り羽目を外して、うつりやすいリスクのある行動を、例えば東京などでやって、和歌山のカウントダウンイベントに参加するのはまずいということを言ってます。和歌山の人にうつしてはいけないので、お越しになる人は、ちゃんと注意をしてからやってください。

 「感染者のみならず、医療・福祉従事者はじめ国民の健康や暮らしを支えてる方々及びその家族などに対し、思いやり、支えあいの気持ちを持ちましょう。」は、私は感謝の気持ちを持たないといけないと思います。それから、「これらの方々への誹謗中傷や差別などは絶対にやめましょう。」ということです。こういうことを、共通で申し合わせました。

令和3年度政府予算案等における本県の政府提案・要望の主な反映状況

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 その次は、令和3年度政府予算案等における本県の政府提案・要望の主な反映状況です。我々は、6月ぐらいに政府要望いたします。それでいろいろ考えてくださいということをずっと言い続けるわけですが、予算や制度で、それが叶えられたものは、(資料の)次のようなところです。

 特に、この中で私が一番大きいと思うのは、やっぱり、防災・減災、国土強靱化等に資する社会資本整備の推進です。これに加えて、もう一つの一番大きいのは、やっぱりコロナ対策で、補正予算ができて、いろいろな対策に対して国が支えてくれることになったのは大きいと思います。

 (資料に)戻りますと、防災・減災、国土強靱化のための5か年になり、かつ別枠で15兆円になりましたので、これは大きいというふうに思います。それから、略して緊防債と言われる、緊急防災・減災事業債の継続。これもずっとお願いをしていましたが、5年間も延長されました。短く刻んで来るというふうに思ったのですが、5年間になりました。だからといって、4年間ほったらかして、最後の1年にというのはあんまりよろしくないので、それぞれ、特に市町村などでこれは切望しておられましたから、ちゃんと制度が取れたので、いつ津波など来るか分かりませんから、早めにやっといた方がいいということです。

 それから、ロケットやワーケーションの関係で、振興費がついています。

 過疎法は、我々は、お願いをしていました。半島(振興法)もお願いをしていましたが、半島については、現在認められてる税制は延長になりました。過疎法は、実は半島と違って、ちょうど移り変わりの時期なんです。過疎法に関しては大議論があって、特に、みなし過疎とか一部過疎とか、そういうのがいろいろあります。そういうことをどうするかについては、まだ法案が決定されたわけではないので、(資料の「制度」の区分に)バーを引いていますが、我々がお願いしてたような、みなし過疎あるいは一部過疎の取り扱いで、和歌山県の今の過疎事業を、利用できるかどうかの範囲が狭まることはないのではないかという感じになってきてるので、それはちょっと申し上げておきたいと思います。まだ正式決定ではないので、(資料の「制度」の区分に)バーにしている。

 野生鳥獣被害対策については、前年を上回る予算です。

 コロナの医師確保で、コロナ禍における医師の削減とか、養成数を抑え込むとか、そんなのは止めてくださいと言ったら、止めてくれたということです。

 がん、不妊治療。特に不妊治療は、菅総理の大変な思い入れがあって、和歌山県も部分的にしかできていなかった特定不妊治療を、2回目以降もちゃんと補助できることになりそうです。

 ボーガンなどの要求をしていましたが、ククリナイフなどの情報はないんですけど、ボーガンは、銃刀法で規制をしてくれそうなので、これは(資料の「制度」の区分に)バーですけど、ボーガンは、多分、法律の対象になるだろうというふうに考えてます。

 35人学級が小学校二年生以降もできることになった。今は一年生だけで、二年生になると急に戻ります。だから、そこでクラス替えをしてというようなところが出てくるんですが、そういうことはちょっと変だと思ってて、これは是正をしてくれることになりましたが、中学校はまだそこまでいかないということです。

それから、スクール・サポート・スタッフ、スクールカウンセラーも、少しずつ認めていただいてます。

 最後に、地方税財源の確保・充実ということで、国の財政も大変ですが、一般財源総額が確保されたのと、これが大きいと思うんですが、地方消費税が減収補てん債の対象になりました。今まではなってなかったんですけど、これは大きいと思います。

 ということで、資料提供済みですが、大変ありがたいと評価します。

 特に、次の時代を見据えたいろんな政策があります。行政のデジタル化とか、イノベーションの生産性向上とか、(資料に)ちょっと書いてませんが少子化対策とか、非常に良い内容で、我々の問題解決に資すると思いますということと、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化計画ができましたということは、大変評価をしたいと思います。我々も、当然自己負担金もあるのですが、こういう機会を逃すことなく、宿題はいっぱいあるんで、一気にその宿題を解消するように、国土強靱化を進めていきたいということです。

 これに、当然、独自の政策も足していかないといけないので、これから1月にかけて、予算案や制度案をきちんと作って、2月議会にかけていきたいと思っています。

マイナンバーカードの交付申請はお早めに!

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 その次は、「マイナンバーカードの交付申請はお早めに!」ということです。和歌山県は、県庁だけ、結構熱心にマイナンバーカードの取得はしていますが、それでも100ではないし、県民全体で言えば、日本全国の中では、あんまり成績がいいわけではありません。

 菅内閣がデジタル化と言ってるのは、多分本気だと思いますので、マイナンバーカードをちゃんと取っていないと、いろいろ不利益が生ずる可能性もある。今は、どちらかというと、マイナンバーカードを取ると、マイナポイントで5000円くれるとか、どちらかというと振興策で進めようというふうに思ってますが、これも時期的な限度があるので、早く皆さんやった方がいい。どんどん時代が進んでくるから、やっぱりこれは早く取っといた方がいいというふうに思っています。よろしくお願いします。

ロンリープラネット「ULTIMATE TRAVEL LIST」に熊野古道と高野山が選出されました

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 それから、話題事項で、すでに皆さんに情報提供していますが、今、世界中で旅行はできないのですが、直ったらどこへ行こうかといろいろ考えてるような読者が、世界中で腐るほどいるわけです。その方々が読んでいる、一番のクオリティー誌がロンリープラネットだと思いますが、ロンリープラネットで「ULTIMATE TRAVEL LIST」というのを発表しました。世界の誇るべき観光地トップ500ということであります。この500の中で、日本におけるベスト5に、和歌山が二つ入りました。これはオーストラリアの雑誌だし、世界中対象なんで、日本ばっかり着目してない。そういう意味では、私の主観で言えば、これみんな世界のベスト10ぐらいに入っても良いというふうに思うんですが、世界の中では、富士山が53位、熊野古道が83位、直島が99位、京都祇園が110、高野山が113位となってるんですけど、日本の中では、熊野古道が2位、高野山が5位で、ベスト5の中に二つも入ってます。コロナが収まらないといけないのですが、収まったら「これは面白いぞ」というような気運に、今、和歌山はなってるので、しっかりこの機運を続けるよう、今、ウェブオンラインを使って、結構、世界に情報発信している状況です。

 以上です。

質問と回答

時事:年末年始の行動について、関西広域連合の宣言をご紹介いただきました。確認ですが、和歌山県は、和歌山県民に対して、帰省することを禁止するというか止めるように言うつもりはないということですか。

知事:和歌山県については、この間申し上げましたように、帰省は必ずしも全部禁止するというわけではありません。禁止という権限はないので、止めてくれるようにお願いするつもりはありません。しかし、逆の場合もあると思いますが、和歌山へお越しになる人が感染してる可能性はないことはない。そうすると、例えば、その人がちょっとおかしくなったらすぐにお医者さんへ行っていただくのは大事で、それは別のところで書いていますが、この間発表した、お年寄りにうつさないよう、例えば、お年寄りと一緒に大きな密な食事会をするとかは、ちょっと危ないかもしれませんので、お年寄りにうつさないように、帰省をされた人も、お家の中も含めて、十分注意してくださいとお願いしています。

時事:外出自粛についてですが、和歌山県民に出かけないでと言うことはない。

知事:はい。ありません。これは、和歌山県に関して言うと、何にも書いてません。帰省はやっぱり注意をしてというところがあるので、感染状況を見て、できるだけしないようにというぐらいは、頭の中に置いといてもらったらいいと思います。和歌山は感染してないから、そんなに注意することはないと思うし、外出については、もっと何も言っていません。言っているのは、一つは、大阪が不要不急の外出を止めてくださいと言ってるから、和歌山の人も、大阪へ不要不急の外出に行くのは、大阪に対する協力という点でもおかしいということで、それは大阪に合わせて言っています。

 二つ目は、ずっと昔から言ってるのは、感染が拡大している地域、今で言うと大阪とか、近いところで言えば阪神地方、それから関東は全部そうです。京都も、京都市なんかが、今そういうことを言ってるからそうかもしれませんが、そういうところへ行って飲食するのは止めましょう、飲食するんだったら和歌山にしましょうと言ってるので、そういうこと以外は、外出については言ってません。あえて言うと、遅くまで集団で会食、宿泊をしないというのはずっと言ってます。これも外出かもしれません。

朝日:話題事項と発表事項のそれぞれで出ていましたが、観光に関連して、高野山デジタルパスは、コロナ後の外国人観光客やインバウンドが返ってきたことも見据えての取組ですか。

知事:もちろんそれは見据えてですが、今、もうこれは適用できるんで、高野山便利です、どうぞこれ使って楽しんでくださいと言って、対象期間は年明け早々なので、来られた人に楽しんでもらえればいいと考えてます。それから、非接触ですから、例えば、お金を手で渡すのは、実は感染のリスクがあります。そういう点では、全然こっちの方がいいです。

朝日:県内へ今後も広げていきたいという話でしたが、

知事:県内だけではなくて、日本で広げたらいいと思いますが、県内はもちろん広げたいと思います。

朝日:大体、時期として、どれぐらいまでにとかはありますか。

知事:全然そういうことはまだありません。そういう気持ちで、どこまで何ができるかということを、ずっとチャレンジし続けるということだと思います。

読売:「Go Toトラベル」の一時停止について、宿泊のキャンセルなど、県内の影響で、県が把握されてるものがあれば教えていただけますか。

知事:これは心配だから、ほとんど毎日のように、主要観光地へ調査に入っています。調査は電話が多いんですが、初めの1日、2日はそれほどでもなかったんですけど、昨日時点では、キャンセル率が、我々が調べた主要施設で48.4%、2万2000人ぐらいがキャンセルされています。一方、かなりの地域では、そこからまた新しい予約も入ってますが、そのキャンセルをした人を全部カバーできるほどの大きさはない。だから5割が減って終わりではないのですが、特に、和歌山市と、主要観光地でいうと那智勝浦町で影響が大きく、(宿泊施設の稼働率が)30%以上ぐらい(減少)というふうに思ってます。高野山は今ちょっと全体としてあんまりたくさんお客さんは来てなくて、白浜はパンパン来てたんですが、白浜のキャンセル率は、そこよりもちょっと低いぐらいの感じです。

 考えてみたら、「Go To」で1件もまだ(コロナの感染は)出てないと思うんですが、全国で一斉に止めという「Go To」犯人説がガンガン流されたので、やっぱり大分キャンセルが出ました。やっぱり、科学的にきちんと詰めてから、専門家の人とかマスコミとかは言って欲しいというふうに思います。あれだけ、みんなで寄ってたかって「Go To」犯人説を流したら、菅総理も、やっぱりちょっと止めますと言うしかない。だけど、1件も出てないというのは、どう説明するんでしょうというふうに私は思っています。

読売:知事としては、思ったよりキャンセルが出たという印象ですか。

知事:やっぱりこんなもんでしょう。思ったよりとか、そういうことではありません。

時事:「Go Toトラベル」に関連して、和歌山県の認識としては、「Go Toトラベル」で和歌山に来たそのお客さんが、「Go Toトラベル」によって感染した事例はない。

知事:ないと思いますが。

時事:そこから県民に広がったりという事例もない。

知事:ないですが。「Go Toトラベル」は、和歌山へ来られる観光と同値ではなく、その中で、助成金をもらって来るケースです。もっと言えば、和歌山へ旅行に来られて、そこから広がってうつしたという証拠はない。たくさんあるのは、日常的に大阪と往来してるし、帰省が若干あって、大阪に限らずお嬢さんが帰ってきたとか、そういう時に、どうもうつったかなというのはありますが、観光客から旅館を中心にしてバーンといったようなことは、ありません。そういうのが事実です。

時事:厳密に「Go Toトラベル」が関係した人で感染がゼロという意味ではなく、観光目的で「Go To」を使って(感染者が)出ていない。

知事:観光の人もゼロではないですか。夏ぐらいにちょっと危なかったケースはありますが、幸い、その人たちは貸し別荘に泊まっておられて、みんな帰ってしまったので、セーフでした。もちろん、リスクはゼロではありません。人が移動すれば、必ずなんらかのリスクは発生しますが、観光主犯説というのは、ちょっと違うと思います。「Go Toトラベル」もそういうことでしょう。だから、あれが主犯だと言ってる人は証拠を見せろと、特に専門家は証拠見せろというふうに思います。

時事:専門家やマスコミが、きちんと科学的な根拠を持って伝えて欲しいということでしたが。

知事:マスコミは、多分、今度はキャンセルがいっぱい出てかわいそうという報道をされるわけですが、両方で大変大変です。やっぱり、ちょっとどうかなとは思います。

時事:ちょっとどうかなというのは、報道の仕方が。

知事:やっぱり何が犯人かというのは、マスコミも含めて、科学的に究明していかないといけません。そういう姿勢が、日本中で問われてるんではないかというふうに思います。我々もそういうつもりで、一生懸命、虚心坦懐にやってます。それで、これはやばいということになったら、それは県民にも申し上げるし、自分たちの方で直せるものはどんどん直してます。やっぱり、科学的な態度で実態を踏まえて、論理的にいろんな政策を考えていかないといけないのではないかと、私は思います。

時事:ある意味、世論とか専門家の話を受けて、政府が年末年始の「Go Toトラベル」を休止すると決定したこと自体は、しょうがないというようなお話もありましたが。

知事:あれだけみんなでワンワン言われたら、頑張り切れないのではないですか。私なんか非常に同情してます。私自身、和歌山で、今のこの政策バランスでやってますが、それに対して、心配な方はたくさんいます。それで、いろいろご意見される場合もあるし、投書もあるし、中には、口汚く投書される人がいますが、それもしょうがない。だけど、やっぱり、(いろいろな意見)に対して、そうですかと言って同調してたら、右へ行ったり左へ行ったりしてぶれる、ぶれてもいいけど、科学的な根拠があってやったほうがいいと思います。しかし、心理的プレッシャーは結構強いです。菅総理はもっとでしょう。

時事:本当は科学的根拠がないなら、休止にしないで欲しかったけれど。

知事:欲しかったけれど、総理大臣の立場からすれば、あれだけみんなに言われたら、そうせざるを得なかったのではないかと思って、ちょっと同情してます。

NHK:コロナの関係で、昨日、西村大臣が、特措法の改正も考えていきたいということをおっしゃっていて、知事会の議論とも重なるかもしれませんが、知事としては何を求めらますか。

知事:私も、4月5月ぐらいは、やっぱり特措法を厳格に運用して抑え込むのが、唯一の手段というか、今やらなければいけないことだと思っていました。総理大臣以下、みんなそう思っていて、それで特措法を使ってやりましょうということだったと思います。それに対しては、別に総理大臣や政府の責任にするつもりはなく、私も同調したわけですから、自分にも責任があります。その時はそう思ってたので、なかなか言うことを聞いてくれない人に対する権限が少なかったことについては、もどかしい思いがしました。

 しかし、その後ずっと考えると、コロナの感染抑制に特措法が使われて、効果がある余地はそんなに多くないと段々と思い始めて、今は、感染症法を厳格に運用する方が、コロナの抑制に効くと思うので、和歌山県はそれを熱心にやっていますが、時々、最終的には得られますが、やっぱり協力を得にくいケースが和歌山でも発生してます。そういう意味では、もし強化をするんだったら、今は感染症法ではないかと思っています。

NHK:知事がおっしゃったのは、保健所の疫学調査ですか。

知事:そうです。そういうのに、本当に嫌だと言ってむちゃくちゃ頑張る人が出たら、本当に困ります。だから、今のように素直に協力してくれる人が99%ですが、1%に備えて、ちょっと強めの措置を用意しといた方がいいかもしれないという感じはします。だけど、特措法については、もうあんまり意見はありません。

NHK:定例会見としては今年最後ということで、今年はどういう1年だったと思われるかと、来年の抱負をぜひお願いします。

知事:今年は、新年が明けた時はまだコロナがなく、外国人観光客が増えたり、ロケットが来たり、IRもまあまあ上手くいってたり、ITの人たちがちょっと来たり、ワーケーションが流行ってきたり、農産物の売り上げが伸びたり、和歌山は割と良いことが多かった。それで、そろそろずっと調子が悪かった時代を脱して、これから上向きに転ずるきっかけができたかなと喜んでいて、さあ頑張るぞと思っていたらコロナが発生し、特に、初めの済生会有田病院の時は、全国でも一番多いぐらいいました。それで一年はコロナ対策で明け暮れたなというのが、今年の感想です。自分が明け暮れたというよりも、自分の関心もそうだったと思いますが、本当に苦労してくれたのは、県庁を中心とするような保健医療行政当局と、協力してくれた病院です。それにプラスアルファで、和歌山県はクリニックが大変機能してくれたので、そういう方々のおかげで、今の状態で何とか押しとどめているということです。今の和歌山県の、できるだけ制限しないように何とか生き延びようという政策パッケージができるのも、その方々の頑張りのおかげということで、心から感謝をしたいというふうに思っています。

 ただし、そればっかりやって次が見えないというわけにはいかないし、新しい世界などが見えてきてますから、今度は、それを密かに準備していかなければいけないということで、来年の新政策につなげていきたい、そういうことです。

朝日:「Go To」の一時停止に関してですが、政府の分科会が11月中旬ごろに政府に提案してたのが、「Go Toトラベル」事業が感染拡大の主要の要因であるとのエビデンスは現在のところ存在しないが、同時期に他の提言との整合性のとれた施策を行うことで、人々の納得と協力を得られ、感染の早期の沈静化に繋がり、結果的に経済的なダメージも少なくなると考えられる、という提案をして、数日置いてもう一度重ねてという形だったと思いますが、その点についても、しっかりとした根拠がない時点で、全国一斉で止めるのはどうかということですか。

知事:かなり前に文章にされた意見と、12月15日に総理が、年末年始は全部を止めるとおっしゃった間に、たくさんの圧力とマスコミの報道がありました。圧力の中には、専門家の親分のような方が出てきて、今は「Go To」を止めてもらいたいとおっしゃってるのがたくさん出てきた。そういうのは、もうちょっと根拠を持って言ったほうがいいのではないかと私は思います。

 マスコミも、本当にこれ犯人かなあということについて、犯人と決めつけるようなふうにおっしゃったら、それはやっぱり世論というか国民の皆さんが考えることを、一種の参考にしながら政策をするわけですから、やっぱり政策当局はそれに同調します。そういうことが大きかったのではないか。

 これは、やっぱり後で検証してもらわないといけない。「Go To」を止めたら本当に(感染が)止まったかは、検証すべきです。あるいは、観光を止まらせたら(感染が)止まったかは、検証すべきです。そういうのが、日本の賢い選択になるはずですが、ムードでバーッといっているような感じがします。

朝日:たくさんの批判や、「Go To」主犯説も一部あったと思いますが、一方で、年末年始の帰省と併せて、ちょうど人の往来が特に増える時期なので、そこの政策としての整合性という観点からまとめたという考え方もできると思いますが、その点についてはいかがですか。

知事:観光と、帰省などの往来、それから仕事、の三つぐらいがあります。観光については、あんまり証拠はない。帰省などの往来については、和歌山県でも、やっぱり原因になっているケースも少数だけどあります。それから、仕事もないことはない。だけど、仕事の時にじっと見てたら、やっぱり結構飲食をしていることがあるので、そっちだけは、やっぱりちょっと流行っているところでは、止めといた方がいいのではないですかとずっと我々は言っていて、現状認識をきちんとしてから言った方がいい。和歌山県はそうしていますが、果たして全国はどうなのかなというふうに思います。

 それよりも、もっと効いているのは、和歌山もたくさん出ていますが、何とか今のところ、一生懸命、少数発生ぐらいで何とか抑えてる。で、(全国には)多数発生になってしまってるところもある。どこが違うかというと、2月、3月ぐらいに積極的疫学調査だと言っていた専門家は、どこへ行ったんですかというふうに私は問いたい。ものすごく積極的疫学調査を言ってましたが、連休前になって、急に80%世論になってしまった。

 その両方が大事だと思います。和歌山県も、桁数がこれよりも1桁上がるようだと、それこそ病院も危ないし、もう追えないかもしれない。その時は、自分たちで頑張ろうとしたけど上手くいかないから、皆さんにお願いすることをやらざるを得ないと思います。だけど、そっち(自粛)だけ言ってるところがいっぱいです。それは、自分の責任というのをもっと考えた方がいいのではないかと思います。

 和歌山県は、もし県民に大幅な自粛をお願いしようとする時は、私はまず謝らないといけない。こういう政策パッケージを取ったことについて、謝らなければいけないというふうに思っています。

毎日:鳥インフルエンザについてお伺いします。発生した際に、焼却処分を予定してるとおっしゃってたと思いますが、今現在、それについてはどのようになっていますか。

知事:今、焼却処分の準備をしていまして、1月初めぐらいから、実際に焼却処分を開始します。もちろん、焼却場については、毎日出てくる一般廃棄物を焼却しなければいけないので、その隙間に入れていきますから、一遍にドカンとやれるわけではなく、大体1月末ぐらいまでに終わるのではないかという見通しです。

毎日:一般廃棄物に影響が出ない範囲で、間に間に入れてということですか。

知事:そうです。それ(一般廃棄物の焼却)を止めるわけにいきません。

毎日:処分される場所は1ヶ所ですか。

知事:そうです。あんまり詮索しないでください。ちゃんと話はしています。

毎日:知事は、すごく風評被害のことを気にされていたと思いますが、特に、県にそういった話が寄せられたことはありますか。

知事:今回は、私の聞いている限りはありません。それは皆さんが上手く伝えてくださったこともあると思うので、これはマスコミの皆さんにも感謝をしたいと思っています。それから、この間から西日本のほとんどの県で出ていて、広域連合の打合せ会の時にいろいろな議論が出ましたが、どこの県とも、風評被害で卵の消費が減ったとか鳥の消費が減ったとか、前回はありましたが、今回はもう大体みなさん分かっておられることかな、とにかくそれで打撃が起こっていることはありませんというのが、みなさんの一致した感触でした。和歌山もそうです。

時事:鳥インフルエンザについてですが、18日に農林水産省が発表したデータで、全国の養鶏場で一斉に衛生管理状況を点検するというものがありました。それを拝見すると、和歌山県で、車両の消毒をしている遵守率が22%だったり、専用の靴を設置するところも25%で、ちょっと低いところが所々ありますが、今後どのようにしていきますか。

知事:それは、やっぱりちゃんとやらないといけません。まだ他にも養鶏場がたくさんあるし、出たら大変なことになるわけですから、それはきちんとしないといけない。今、どうしてるかと言うと、あれはいつだったかな。10日か。

畜産課長:今日からです。

知事:いやいや、分かってるよ。いつ出たか聞いてるだけだよ。発生は何日だったっけ。

畜産課長:10日です。

知事:10日で、そこに立ち入った人たちは、しばらくは他所の養鶏場には立ち入れません。従って、県の当局が監督に行くわけにはいかない。しかし、あの時に殺処分と並んでいろいろ点検をしたら、やっぱりちょっと穴があったとこもある。我々も含めて、養鶏場も見過ごしていました。従って、早速、こういう事例があるといって、写真入りで、こういう穴があったらそっちの養鶏場にも行くので、早速塞いでくれという通知を、全ての養鶏場にしました。そろそろ10日経ったので、これから県の職員も立ち入りできますから、ちゃんとやってるかどうか、徹底的にもう一度、全ての養鶏場を監督しに行きたいというふうに思っています。

時事:それは、年内、年明け。

知事:もちろん今すぐです。

時事:それをもう始めようとしている。

知事:始めようとしています。それで、畜産課長が急にすっと立ち上がって、それを言い始めたわけです。取材していただいて結構です。

産経:「Go To」の関係で、「Go Toトラベル」で感染した事例は、県内ではない。

知事:ないと思います。

産経:「Go To」を止めても、その効果があるかどうか検証すべきというようなお考えですが、「Go To」を継続してても、感染状況は変わらないとお考えですか。

知事:和歌山では。

産経:全国的には影響があるかもしれない。

知事:全国のことは分かりません。和歌山では少なくとも、「Go To」が始まったのが10月ぐらいで、その前も、「Go To」はなかったのですが、観光客はかなり盛り返してきてました。県内の人には、リフレッシュプランなんかもあったし、県外の人に助成はしていないけど、京阪神の方々なんかが結構たくさん来てました。そこから、さっき言ったように、一つ危ない例があったけど、それ以外に、観光客がバーッとうつしたというのは、観測できない。無いことの証明は難しいけど、できないというふうに思ってるから、このまま「Go To」を続けても、気を付けてれば、そんなに爆発したりしないのではないかというふうに思っていたことは、確実です。

 全国は、それぞれの地域でいろんな事情があると思うので、それについては、ちょっと私は論評できない。和歌山に関してはそうなのになと。少なくとも、全国も含めて、「Go To」をお正月に止めた結果がどうなるかは、ちゃんと検証しなければいけないと思う。その前に、部分的には止めていて、例えば、大阪とか札幌市とかが、止めたらどうなったかということは、他にも要因があるかもしれないけど、少なくとも、その要因の一つであるということを推測できる材料かもしれません。だから、そういうことはずっとフォローしたらいい。東京もそうです。

時事:万博についてですが、昨日、閣議決定された万博の基本方針で、デジタル化を見せていく、リアルとバーチャルを融合した万博を目指すというようなことが盛り込まれました。知事は、以前、井上大臣に、バーチャルで、大阪だけではなく関西のいろんなところを見せて、そこから散らすような施設がいいのではないかというようなご提案をされてましたが、この基本方針を受けて、どのように受け止めていますか。

知事:バーチャルに着目されたのは、自分の考えと一緒だから、評価をするって生意気で、ほれ見たことかとかいうのも生意気だから、良かったのではないかというふうに思います。あんまり生意気なことを言ってはいけません。

時事:バーチャルで送客する施設というようなことを、結構具体的に以前ご提案されていましたが、それは今回でできそうなのか、それともこれからできていくのか。

知事:私が言ってるのはそんな難しい話ではなく、関西館をみんなで協力して作りたいという提案をしています。関西館の中は、狭いところだから実物を持っていって見せるわけにはいかないので、バーチャル体験をしてもらうようなものを作ったらいいのではないかと思っています。和歌山県は、何と言っても売りは観光なので、例えば、那智の滝の上の方に歩いて行ったらどんなものがあるか、滝に入ったらどういう気持ちになるか、歩いて行く時はどんな雰囲気かとか、熊野古道ばっかり言いましたが、そんなのがたくさんある。それを、今、技術が進歩してるから、ものすごい迫力のあるものができるので、まずバーチャルで経験してもらう。それで、「凄かった。実物を見たいな」と、みんな必ず思います。そしたら、実物を見るために実物があるところへ来てもらったらいいのではないかというふうに思っています。そのために大事なことは交通の便で、電車はもう大体できてますが、高速道路は、まだ時間が掛かってかなわないところが結構あるので、万博までに目途をつけて完成させてくれませんかという話を、今しています。

 和歌山は観光ですが、県によって売りが違います。京都もそうかもしれません。大阪は観光というより、もっと大阪人の生活を見せたいと思うかもしれない。大阪は、多分関西館に入らず別だと思いますが、他のところは、そういうものを見せたいかもしれません。だから、見せたいものを見せたらいいというふうに、それぞれの県で考えたらいいのではないかというのが、私の意見です。統一コンセプトなんかでやると、プロデューサーとかコンサルがはしゃいで、ろくな物ができないケースが多いので、やっぱり、それぞれの県の見せたいものを見せたらいいということだと、私は思います。

時事:関西館を作って欲しいということと、交通の便を良くしてということについては、この基本方針をもってできそうな状況なのか、これから求めていきますか。

知事:いやいや、それは全然違います。関西館は、手を挙げればできますが、その代わりお金を出さないといけない。道は、我々がやるのではなくて、国がやってくれないといけないので、お願いをし続けるということです。

時事:関西館は、関西の自治体としてやる方向ですか。

知事:やったらいいのではないかといって、みんなに勧めている。一緒にやりましょうと言って、全部ではないけど賛同者もいます。

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