知事からのメッセージ 令和2年4月7日

知事からのメッセージを紹介します。

令和2年4月7日のメッセージ

和歌山県ごみの散乱防止に関する条例

 和歌山県は、標記の条例案を令和2年2月議会に提出し、議会に可決していただきました。4月1日から施行です。

 昨今プラスチックゴミの環境への放出が問題になっています。プラスチックは環境へ出ても中々分解されないのですが、それでも物理的な力で細かく砕かれて、微細プラスチックとなって海洋生物の生存を脅かしているそうです。私も自然大好きの、そういう意味では環境派ですから、大いに心を痛めています。また、昨今多くの国々でこの問題が大きく意識されるようになった結果、今まで日本や他の先進国の廃プラ材料を資源として輸入してくれていた国々が次々とこういうものの輸入をストップしてしまったので、日本国内でこれが溢れ、この最終処分が大問題となっているという報道も度々行われました。
 そこで、このプラスチックゴミ問題は広く世論の関心を呼ぶところとなり、環境に非常に関心のある人を中心にプラスチックを出来るだけ使わないようにしようという運動が起き、特にその人達の関心はスーパーなどのプラスチック製レジ袋に向かい、レジ袋を出来るだけ使わないために有料にしようという運動が澎湃(ほうはい)として行っています。中には、うちの市ではレジ袋は禁止だという決まりを作ろうとしている市長さんもいるようです。このようなことは、間違ってはいないと思いますので反対は決して致しませんが、どうも環境のプラスチック汚染問題の決め手にはならないと思います。

 というのは、スーパーのレジ袋が有料になっても、例えば3円とか5円とかになっても、ゴミを捨てるような人は、やはり捨てると思うからであります。世の中には道徳的な人が多く、(そういう人がレジ袋廃止とか有料化とかを主張されることが多いと思われますが)、こういう人は例えレジ袋が無料であっても、環境にポイ捨てなぞ絶対に致しません。しかし、そうでない人、道徳心に欠ける人は、ただのレジ袋はポイポイ捨てると思いますが、3円や5円のレジ袋でもやはり捨てると思うからであります。(千円ぐらい取ったら話が違ってくると思いますが。)さらに、プラスチックはレジ袋以外にもたくさん使われています。一番すごいのは、昔と違ってスーパーでは食品を容器なしでは売っていません。魚でも肉でも野菜でもトレイで受けてその上をがっちり食品用ラップでくるんであります。不心得な人はこれもポイ捨てをするでしょうが、このトレイや食品用ラップを廃止せよというと、もはや世界が成り立ちません。

 従って、私は、使用制限も反対はしないけれど、世の中の人はすべからくみだりにプラスチックを捨てることを一番慎み、憎み、取り締まるべきだと思うのです。
その考えで、この条例はできています。プラスチックを含むゴミを環境に捨てた人は、県から注意を受けて現状回復を迫られます。(「こらこら!それはダメだから拾え」ということです。)
 それでも言うことを聞かない人は過料をいただくということにしました。さらに、県の行政としては、どうしても命令や過料の徴収は、手続きに時間がかかり、機動力に欠けるので、環境監視員を任命して、その人が命令もするし、過料の徴収も出来るということにしました。駐車違反のパトロールの人のようなイメージですね。こういう取締的な規定は、半年間の周知期間を設けて10月1日から施行します。

 こうして、ゴミのポイ捨てを掣肘(せいちゅう)し、海や環境を守るとともに、風光明媚な和歌山の自然環境も守ろうとしているわけであります。

 さらに言うと、ゴミを環境に捨てるなと言っても、ゴミの循環が確立していないと困ってしまいます。すなわち、ゴミを適正に捨てたいと思ったら捨てられるゴミ箱がいります。これを工夫して増やしていきたいと思います。資源はリサイクルするのが一番ですが、その時、燃やすという処分方法(サーマルリサイクルでもあることが多いのですが。)はとても嫌われます。リユースか、せいぜいマテリアルリサイクルがよろしいというのです。
 和歌山市ではこの考えに沿って、かつては、ゴミをプラスチックのような燃やさないゴミと残飯、ホコリ、紙くずなどを含む燃やすゴミに分けて収集していましたが、最近はやめて一緒でいい事になりました。実は前のように分別して収集しても、分別されたプラスチックゴミを持って行く先がないので、結局は焼却炉で一緒にせざるをえないので、それならば、分別収集をする意味がないということになったのです。
 私は、それも別に悪い事だとは思いません。それに、プラスチックを排除したゴミを焼く時は灯油をわざわざ加えて焼いていたのですが、今のやり方だと同包のプラスチックのために灯油を焚く必要がなくなるので、石油資源の無駄遣いがなくなります。地球資源問題としては同じなのです。しかし、こうした措置をとった結果、環境省などが行う和歌山市のリサイクルの評価は下がり、全国順位を落としてしまいました。また、市町村のすべての焼却炉がこの方式を実施できるような炉かというとそうでもありません。その方式を追求したい時は炉を改修しないといけません。そういう所に政府が助成をするのも私は現実的に良い政策だと思います。
 要は現実を考え、環境を汚さず、地球環境問題にもより沿った考え方を追求していけば良いのであって、教条主義的にプラスチックを使うのはだめとか、サーマルリサイクルはだめとか思い込むのは、いかがなものかと思うわけです。
 一番大事なことは、一旦この世に出たプラスチックは、絶対に環境に捨てられたら困るということです。

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