知事からのメッセージ 令和2年4月1日

知事からのメッセージを紹介します。

令和2年4月1日のメッセージ

景気判断

 よく新聞紙上などで「経済は緩やかに回復しつつある」といった表現を見ます。国や地方の機関が景気判断をする時の常套句です。このような景気判断で一番有名なのは国の月例経済報告であると思いますが、今の担当は内閣府、昔は経済企画庁が担当していました。私はこれを担当する課の隣の課長として地域経済動向と産業動向を担当していましたが、月例経済報告の作成過程をも見学させてもらっていましたので、どうやってこの判断をするかということが分かっているつもりです。一言で言うと、中々見識のある官庁エコノミストが集まって、景気の指標となるべきさまざまな統計のデータを集めて、それを基に議論して「総合的に判断すると」という結論を得るのです。

 もちろん、これは権威のある判断ですから、マスコミなどに大々的に取り上げられ、経済施策や企業経営のさまざまな決定の際に拠り所とされます。また、その権威にあやかって、各省の地方支分局や地方シンクタンクが同じような様式で判断を出すのです。月例経済報告の価値を疑うわけではありませんが、議論の基になる統計は、統計データ収集と集計それに製本、発表まで入れて生きている現実の経済実態とは2カ月のタイムラグがあります。そうすると、現在の経済報告のように言われていることが2カ月前の経済実態を表したもので、既に今の経済実態は変わっているかもしれないのです。もちろんカチッとした議論は統計値をもとにするしかないのですが、今現に起きている経済の変化にも耳を傾けないといけません。そこで、私の担当していたふたつのレポートは関係者から十分ヒアリングし、周辺情勢や、経済論理や、産業活動の意思決定の仕方などを勘案して発表していました。

 また、和歌山県でもその方式を踏襲して極めて現実に即した経済実態把握に努めているのです。昨今国際情勢が刻々変わり新型コロナウイルス感染症のように猛烈な影響が及ぶこともあります。昔からの伝統的手法に流されるのではなく、生きた経済情勢の上に、生きた政策を打っていく必要を痛感します。

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