知事からのメッセージ 令和4年11月28日

令和4年11月28日のメッセージ

日本の温泉文化を世界無形文化遺産に

 令和4年11月21日標記の知事の会が、時節柄オンラインでありますが、賛同する知事の参加のもと行われました。私も山本一太群馬県知事にわざわざお誘いをいただいて、それはいい考えだと一も二もなく賛同いたしまして、知事の会にも出席いたしました。

 お聞きしておりますと、山本群馬県知事と馳石川県知事が旗振り役となり、会長に蒲島熊本県知事、賛同する県の我々知事が副会長に、そして、山本知事が事務局長で、馳知事が事務局次長、その山本、馳両知事が引っ張っていってくださるという布陣であります。この布陣で日本の温泉文化を世界の無形文化遺産にするために力を合わせて頑張ろうということが申し合わされました。
 

 世界無形文化遺産というと、当県では、熊野那智大社の田楽の舞が指定されており、地元の方々の熱心な取り組みで毎年7月14日の那智の扇祭りの際にこの田楽の舞が演じられ、神様に奉納されています。また、世界に冠たる和食も世界無形文化遺産として認定されていますが、私もブルネイ大使の際をはじめ多少は外国の方々とお付き合いをいたしましたが、外国の方の和食への崇敬の念とあこがれと食欲は大変なものがあり、世界無形文化遺産になったのもむべなるかなと思うわけです。

 そして温泉、山本知事からこの話を聞いた時、はたと手を打ちました。地質的現象としての温泉は世界中にあります。我々が慣れ親しんでいる温泉は、今の世界のほかのどこにもありません。それは日本の特異な立派な文化遺産です。そして、外国人のあこがれの的です。日本の温泉文化の世界無形文化遺産化、これはぜひ実現すべきターゲットです。残念ながら私もあと少ししか知事の任期はありませんので、以下の発言をして、知事の会で頑張ろうと仲間を鼓舞しておきましたが、和歌山県もこの知事の会の有力メンバーとして、その実現のために大きな貢献をしていくべきでしょう。
 

 『お誘いいただきまして、本当に感謝をしております。

 和歌山県にも500あまりの源泉があって、関西では有数の温泉県なんですね。日本三古湯や日本三美人の湯、なんていうものもありまして、日本人も外国人も和歌山へ観光へお越しになるときの大きな要素は温泉だという風に思っております。考えてみたら日本中全部そうかなと思うわけであります。

 でも、世界でも日本のような温泉は非常に特異であります。私は、かなり前に、イタリアに三年間いたのですが、テルマエ・ロマエの世界が残っているかというと、全く残っていない。温泉というと、壺みたいなところに入って、必死になって医学的な治療をするという所に今なっているようです。ドイツも温泉の名にちなんだ場所がたくさんあるんですけど、それも同じような感じで、日本のような大浴場があって、みんなで入るというようなところは全くない。ちょっと似ているかなという所はハンガリーのブダペストにある温泉プールぐらいじゃないかなと思います。日本のような温泉はないのであります。ということで、おそらくこれをお考えになった、すなわち、世界無形文化遺産にしようとお考えになった方は、(私ではないんですが)本当に慧眼だと思って、ありがとうございますと申し上げたいと思います。
 世界無形文化遺産とすると、コンセプトを作っていかなければならない。日本の温泉文化って何なのか。私は4つあると思います。

 一つは、これは他の国とも共通なんですけども、「療養」ということだと思います。これは精神的な意味でもそうであります。世界遺産、熊野古道の湯の峰温泉というのがあって、ここで死者も蘇るという小栗判官の話もありますが、そういうような話も含めて文化的なコンセプトを作っていくということだろうと思います。

 2番目は、「旅の楽しさ」ではないかと思います。これは、湯治文化というのがずっと日本にはあった。ずっと古を辿れば、有間皇子の悲劇の話があって、中大兄皇子が白浜温泉で湯治を楽しんでいた所に連れていかれてうにゃうにゃというのがありますけども、当時から湯治文化というのがずっと根付いていた。

 3番目は、「清潔」ということだと思います。日本人は、どんどん温泉に入って、あるいはお風呂に入って体を清潔に保つということをずっと心がけてきた民族であると思うわけであります。

 4番目は、「みんなで一緒に入る。」これは、今、世界に残っているのはほとんどないのではないかと。みんなで一緒に入って、一緒に入った人同士が心を通わして友達になるというのが、私は文化だと思うんです。

 で、こういうコンセプトを磨いてユネスコを攻略しましょう。先ほど、共感する日本の温泉地のストーリーというお話がありましたが、世界中が共感する日本の温泉文化のコンセプトをアピールして、それで世界に認めていただこうということではないかなと思います。

 本当にありがとうございました。』

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