知事からのメッセージ 令和4年2月10日

知事からのメッセージを紹介します。

令和4年2月10日のメッセージ 

認識と行動


 



『 脱炭素に関しましては、CO2排出の内訳をみますとですね、産業・民生・運輸という風にこの部門が分かれるんですけれども、このうち産業部門は、2020年度のエネルギー消費量でみたときなんですが、45.3%を占めておって、カーボンニュートラルの実現に向けての、脱炭素の主役みたいな役割があると思います。


 そのなかではですね、例えば、和歌山県の島精機製作所の開発したホールガーメントというのはですね、製品ロスが全く出ませんので、したがって効果抜群の省エネあるいは省資源技術なんですね。脱炭素にも当然資する訳で、こういうものが、もっともっとその製品が世界中に行き渡れば、カーボンニュートラルに資することは間違いないという風なものもあります。


 一方ですね、県内に立地するENEOSの石油精製業とか、あるいは日本製鉄の鉄鋼業は、これはものすごく辛いところがありまして、カーボンニュートラルに向けて、これまでのビジネスモデルや戦略を根本的に転換しなければいけないという宿命を負い始めています。

 例えば、日本の鉄鋼業のエネルギー効率は世界の中で抜群に高いのでありますけれども、実はそもそも今の生産方法だと、鉄を作ると大量のCO2が出てしまうということになります。そのようななかで、日本製鉄ではこりゃいかんということで、水素還元製鉄のようなゼロカーボン・スチールの実現に向けた挑戦を進めている訳であります。


 また、脱炭素と言われるとですね、炭素の塊であります石油なんかものすごく辛い訳で、石油精製業は一番せつない、これからどのようにビジネスを変えていくのか、大変悩ましいところがあると思います。

 こういう和歌山経済の主力が、これらは和歌山経済の主力でありますので、主力がこの世からなくなってしまったら和歌山はどうやって食べていったらいいんだということに直面いたします。それぞれの企業が必死で技術開発に取り組むと思われますけれども、その成果がですね、和歌山で実現するように我々も協力をするということがどうしても重要で、そのためには情報収集をしたり営業活動をしたりですね、どんどん活動をして行かないとあっという間において行かれるという可能性がある時代になってきました。


 また、カーボンニュートラルに向けた対応は、今申し上げました巨大・大企業のみならず中小企業も取り組むべき課題であります。従来の生産工程のままでは、燃料制約や電気代の高騰、これが一方では進むであるでしょうから対応できないことになります。そうすると中小企業にもICTやデジタルといった技術を活用して、高効率化と高付加価値化の取組が必要と思います。

 どの企業にとっても大変な道のりでございますが、県としては、国が2兆円のグリーンイノベーション基金を作ってくれて、その他の国の支援策の活用も可能でございますので、そういうことを働きかけて、県内の事業継続がですね、何とか実現する、もっと言えば事業が拡大するように、様々な支援策により、県内企業の脱炭素化に向けた前向きの技術開発の取組を後押ししていきたいと考えております。


 次に、ご指摘がありましたエネルギーの新分野の企業誘致については、これはあらゆる分野でチャンスがあれば取り組まなければならないという風に思います。ただ、弊害があってもとにかくやるんだというのはおかしいので、そこは弊害を除去しながら取り組まなきゃいけないということでございます。

 とりわけ、議員ご指摘のとおり、水素は企業がカーボンニュートラルを進めていくにあたり救世主となりうるものと考えております。現状では、運搬とか製造、あるいはコストなどに課題がございますけれども、将来的に余った太陽光を水素に変えて貯蔵できるような、そういう技術ができれば、これはカーボンニュートラルに大きく近づくんじゃないかという風に思います。県としては、この水素化に少しでも貢献しなきゃいかんということで、公用車としての燃料電池自動車の購入とか、水素ステーションの設置の働きかけなどを通じてですね、需要拡大に取り組んでおりまして、将来的には水素サプライチェーンを形成する中核企業の誘致を目指してまいりたいと思っております。


 次に、メタンハイドレートがあります。これは炭素ではありますけれども、実はメタンのまま排出いたしますとCO2の25倍もの温室効果ができてしまう訳で、メタンがですね空中に出ますとできてしまう訳なんで、うまく海中から取り出してメタンを潰してしまわないといかんと、つまりそこからエネルギーを取って、その結果CO2は多分出ますけど、25分の1の効果になる訳ですから、これを何とかちゃんと有効活用しなきゃいけないということであります。技術的には実用化にまだ遠い訳でありますが、国において実用化のための技術開発を今やっておられるので、これに期待をして、県としてはですね、和歌山沖に、どのぐらい、どこにどれだけあるかということの賦存状況調査は、実用化になった時に備えてですね、進めておこうと、こういうことで取り組んでおります。


 カーボンニュートラルの技術開発については、ナショナルプロジェクトとして進める大規模なものがある一方で、県内の中堅・中小企業がカーボンニュートラルに向けて少しでも前進させるためのローカルな取組もあるはずであります。いずれも、企業に事業構造の転換を強いるような痛みを伴う取組であると思いますが、国の支援策も活用しつつ、県としても県工業技術センターの全面的な支援のもとに、地域に根差した研究開発を進めながら、県内でカーボンニュートラルに取り組む企業が増えるように一歩一歩取り組んでまいりたいと考えます。


 あわせてですね、産業構造もやっぱり将来に備えて変えていかないと危ないという感じはあります。ICT企業などのエネルギーをあまり使わないで付加価値を生み出すような企業の誘致に取り組まなきゃならないと考えます。

 カーボンニュートラルを一例としてですね、変化していくのが経済でありますので、今のままでいいんだと、色んな余計なことはしない方がと言ってるとですね、あっという間に今の地位すら危なくなって、今のままでは持たないというのが歴史上何度も繰り返されたことであります。

 したがって、それぞれ情報収集に努めて、営業活動にどんどん取り組んで、あらゆる雇用源になる産業・企業については誘致とそれから育成、この両方に取り組んでまいりたいと考えております。 』
 


 以上は、先の令和3年12月議会で、脱炭素社会の実現に向けて和歌山県の認識と今後の取組について質問がありましたので、お答えした私の議会答弁であります。2月3日に和歌山県を襲ったENEOSの和歌山有田工場の精油機能の停止という発表の後に書いたものではありません。この発表によって、恐れていた和歌山県の危機がいっぺんに顕在化したのですが、その危機をある意味では予見したものとなっています。また、それに対する処方箋も正確に述べています。
 私が学者であったり、アナリストであったり、評論家であったり、テレビのコメンテーターであったりしますと、なかなかよくわかっているじゃないか、立派ということになるのですが、私は、和歌山県の行政のトップですから、そうはいきません。行政のトップに求められるのは、認識の正しさはもちろんですが(これが正しくないと、次のステップに移れないし、移っても誤ります。)、実際に行動して、望ましい結果を実現することです。


 そういう意味で、危ないとわかっていながら、ENEOSに対し働きかけを十分にできなかったことは、誠に遺憾であります。昨年から、新型コロナウィルス対応もあったし、関西広域連合長という新しい職責から来る、たくさんの仕事が増え、どうも要人や企業誘致や企業のトップに働きかける「営業」の仕事に時間が割けないという悩みを抱えていました。知事は行政のトップとして様々な行事を主催しないといけませんし、県内外の有力者にお会いしてお話も聞かねばなりません。もちろん部内から上がってくる様々な問題に職員と議論をしつつ答えを出さないといけませんし、新しい仕事も同様に指令を出していかなければなりません。国会議員や県会議員や市町村長さんや各界の指導者に根回しや了解取り付けなどもしないといけません。また、県民に説明をして、様々な案件のご理解をいただくという広い意味での広報、PRもせねばなりません。

 県内にいて県民の皆さんとお会いしていると喜んでもらえますが、そればかりだと和歌山県が置いてきぼりを食う恐れがありますから、東京や大阪にも出撃しないといけません。そうするよう努力していますが、公職がどんどん増えてきて、東京でも、何かの儀式、イベントを主催、出席するのに精いっぱいで、本来の営業活動ができていませんでした。それでは危ないというのが営業力強化のためにいろいろ工夫をしようとしたのですが、うまくいかず、認識がいくら正しくても、行動をして結果をうまく出せないと行政としては落第です。

 この認識と行動の乖離に似て非なるものが「言うだけ番長」です。言うばっかりで行動しないということです。きれい事ばっかり言って、本来行動できる地位にあるのに何もしないということです。

 私はこの「言うだけ番長」は嫌いですし、和歌山県もこの手のケースでひどい目にあったことが少なからずありますから、少なくとも自分だけはそうすまいと思っています。したがって、あんまり格好良い「きれい事」は言いません。言ったことは実現しようと必死で努力します。

 「認識と行動の乖離」と「言うだけ番長」は両方ともよくありません。結果を出して人々を幸せにできないからです。違うところはそういうことをしてしまう立場にある人の辛さです。

 「言うだけ番長」の人は、おそらく自分が言っているきれい事をどうしても実現するのだという覚悟や執念が希薄なのでしょう。だから何度でも「言うだけ」しかしないで「言うだけ番長」と言われる。しかし、覚悟や執念が少ないだけ、心の痛みは少ないのではないでしょうか。「認識と行動の乖離」を自覚している人は心が痛みます。これが違いです。

 でも「心の痛み」でしょげていては責任が果たせません。「心の痛み」をバネにして、リカバリーショットを飛ばして、行動して、結果を取り戻さなければなりません。ENEOSの問題も、私が認識として12月の議会答弁で述べたように、会社にありとあらゆる手段を使って一生懸命働きかけて、エネルギー企業として世界に覇を唱えるべきENEOSがこれから展開する新事業を何とか和歌山で結実してもらえるように、そして、それによって和歌山県民の協力と会社の発展のスパイラルがまた取り戻せるように行動で努力しないといけないと思っています。

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