知事からのメッセージ 令和3年12月1日

知事からのメッセージを紹介します。

令和3年12月1日のメッセージ 広報紙「県民の友12月号」掲載分

あちら立てればこちら立たず 

 
 昔からよく言われることわざですが、私は、この世の中はこういうことばかりだと思います。知事として県行政を預かっていますと、毎日毎日この事を痛感します。


 特に世界も日本もこの和歌山も、この2年間新型コロナウイルスに翻弄されました。感染症は人から人へうつりますから、新型コロナウイルスを抑えるためには、人が外出を控えて人との接触を断つしかないと主張する人々が多いのですが、そうすると生活は悲惨なことになり、経済はガタガタになってしまいます。感染防止を立てれば、生活と経済は大変なことになるのです。コロナワクチンもそうですね。副反応のリスクがこわいと接種をやめていたら、感染するリスクと感染させるリスクが小さくなりません。和歌山県がチャレンジしているIR構想は、賭け事のようなよろしくないことに手を出すなんぞ止めるべきだという意見の方もいますが、そうすると、うまくいった時に期待できそうな県民所得の10パーセント近い増加のチャンスもなくなるし、それでは減り続ける人口の減少をどうやって止めるのだという問題も残ります。道路を良くしたり、河川を安全にしたり、福祉をもっと潤沢にしたり、教育をもっと安価にしたりとやりたいことはたくさんありますが、県の財政の制約を無視することができるわけがありません。あちらを立てればこちらが立たずの中で私はいつも呻吟(しんぎん)しています。

 しかし、人間には、工夫をする能力があります。何とか考えて、あちらもこちらも少しは立つようにする可能性を持っています。
  新型コロナウイルスも人流にばかり頼らずに、保健医療行政が活躍してコロナをほどほどに抑えつつ、県民の暮らしの打撃をできるだけ少なくしてきたのが和歌山県です。IRもその弊害を最小限にして、経済発展に結び付ける方策を工夫しながら遂行することはできるはずです。インフラ投資も福祉や教育も、財政投入のわりに効果を最大にするような工夫があるはずです。

 あちらを立てればこちらが立たなければ、工夫次第であちらもこちらもまずまず満足という解があるはずだと毎日県庁を挙げて考えています。
 

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