知事からのメッセージ 令和3年2月9日

知事からのメッセージを紹介します。

令和3年2月9日のメッセージ 

関西広域連合の各知事メッセージ

 関西広域連合は、有意義なことを、しかも、最小の人員と予算でやっているのですが、一般の認知度が低くて、中々府県民の方に評価してもらうところには至ってはおりません。
 それで、色々努力する一環で、各知事、政令指定都市の市長に思いの丈を書いてもらって、関西広域連合のホームページに載せるのはもちろんですが、それだけでなくメールマガジン形式でご希望の方のアドレスにお送りしようと考えました。

 第1回目は、言い出しっぺであり、広域連合長でもある私がメッセージを書きましたので、文責仁坂だから、まずは見て下さい。以下に改めて掲げます。

(関西広域連合 仁坂連合長からのメッセージ)

関西の皆さんへ、全国の皆さんへ

 関西広域連合の広域連合長に12月4日から就任しております和歌山県知事の仁坂吉伸です。
 関西広域連合は平成22年12月1日の発足以来、丸10年を迎えました。
 その少し前から地方自治制度をめぐる議論は高まり、特に道州制の採用の是非が今以上に熱心に議論をされていました。私は前職が経済産業省の役人でして、産業界の方々と日常的に様々な議論をしていましたが、経済活動はうんと広がって都道府県域などはあんまり意味がないのに、各県がバラバラに違う主張をし、別々の制度を作られて、一々各県の担当に出向いて、時にはつまらない議論に巻き込まれてかなわない。とりわけ政治家たる各県の知事が勝手に自己主張をするので、うるさくて仕方がないといった意見をお持ちの方が大変多いのはよく承知していました。だから、そんな小さな都道府県をとっぱらって、せめて道州ぐらいのレベルで地方行政をしてもらえないかというわけです。一方、これは和歌山県知事になってよく分かったことですが、日本の地方には府県があるからこそ、少数者の利益を守ってくれる、将来の発展も構想しうるといった所も多々あるということも事実です。
 そこで、官民を挙げての長い検討の結果、現在の県は残しながら、広域行政体として関西一円の府県と政令指定都市を糾合して地方自治法第284条にある広域連合の制度を活用して関西広域連合を作ることになり、平成22年12月1日の発足を見たわけです。


 その時の趣意書によると、我々関西広域連合が目指す目的は次の3つであるとされています。

  1.  地方分権改革の突破口を開く(分権型社会の実現)
  2.  関西における広域行政を展開する(関西全体の広域行政を担う責任主体づくり)
  3.  国と地方の二重行政を解消する(国の地方支分部局の事務の受け皿づくり)


 府県は残るわけですが、一部の事務は府県から切り離して関西広域連合に持ち寄るというものもありまして、今のところ各府県でやっていた資格試験・免許(准看護師など)がこれに当たりますが、まだそんなに多くありません。


 第2に、各府県や政令指定都市が行っている行政のうち、一緒にやった方がよいような広域行政は、皆で協力して合同で行うことにしようというのがあります。
 これらのほとんどは各府県市でも行っているが、広域的なものは皆で協力して一緒にやろうというものです。例えば、観光や農産物のプロモーションは各府県市でも盛んにやっていますが、関西のもつ広域的魅力や特産品のバラエティーなどに着目して力を合わせて広域で活動を展開するということも中々有意義であるわけです。こういうのが、トップセールスなどの海外観光プロモーションを広域で行おうという事業や学校給食への府県をまたいだ域内農林水産物の提供などであります。皆で相談して、今年は何をしようかと相談して実行しているわけです。
 関西でもこの10年の間に共通で大問題となることがたくさんありました。その都度、関西広域連合としてどうしようかと各首長が集まって相談し、共同戦線を張ってまいりました。今から考えると、中々いいこともできたなあと思います。東日本大震災が起こりまして、広域防災担当でもあった井戸広域連合長のイニシアチブのもと、被災3県との間でパートナー支援を実行しました。もちろん詳細な広域防災計画もできましたし、これらの成果をもとに、東日本大震災から半年後の紀伊半島大水害の時は、被災地である和歌山県などは関西広域連合から大変な支援をいただきました。構成府県のドクターヘリを統合運用したり、関西のあらまほしき高速道路網を関西広域インフラマップに落として、その実現を皆で図ろうとしたり、東日本大震災の後、福井県にある関西電力の原発をどう扱うかということについては、関西広域連合があるが故に、時の政府が構成府県市全体を話し合いの相手に選んでくれたりしました。ワールドマスターズゲームズ2021関西の誘致も関西広域連合がなかったら実現していなかったし、大阪・関西万博も関西広域連合があるが故に関西全体としてステークホルダーたりえていると思います。


 ただ、発足時に大変な熱気があった、関西にある政府の出先機関を丸ごと関西広域連合に移管してもらおうという試みは実現していません。しかし、その後起こった政府機関(本省)の地方移転の際に、京都への文化庁の全面的移転、徳島への消費者庁新未来創造戦略本部の設置、和歌山への総務省統計局統計データ利活用センターの開設という3つの政府機関の移転が実現できたのは、関西広域連合という地方分権の旗手がいたからではないかと私は思っています。事実省庁移転が実現できたのは、関西だけであります。
 私は、出先機関の丸ごと移管の熱気は冷めてしまってその実現は難しいとは思いますが、地方分権の理想まで消す必要はないと思っています。東京一極集中への反省がこのコロナ禍の下高まっていることを背景に、関西広域連合が地方分権の旗手として、日本のため、地方の活力のために追求すべき地方分権の姿を追求する作業をもう一度ねじを巻き戻して始めるべきであろうと思います。その際には、単なる権限の移譲のみならず、規制のあり方を深く検討し、無駄な規制は排し、新しい時代に合った規制を考える規制改革の視野をふまえた地方分権にならざるをえないし、東京と関西という国土の双眼構造の実現を強く意識したものになるべきだと思います。


 関西広域連合が10年を迎えた今、こうして皆が結集していたからこそ、そして、関西広域連合が空中分解せず存続していたからこそ、あげられた成果はたくさんありましたが、関西広域連合は今に留まる必要はないのであります。むしろ進化していくことが望まれます。


 ただし、我々は関西の各府県市の首長としての立場も踏まえなければなりません。現実に根をおろして、それぞれの府県市民の幸せも図りながら、関西広域連合に尽くしていかなければなりません。
 そのため、実は関西広域連合は様々な工夫をしています。和歌山県のような小県の県民は関西広域連合への期待とともに、人口の多い大府県の意向に引っ張り回されるのではないかという恐怖もあるのです。
 そこで、その発足の際、全てをリードしてくれていた井戸兵庫県知事(後10年にわたり、ずっと広域連合長)に進言して、大事な意思決定は各府県市首長からなる広域連合委員会に諮り、全会一致で決すと決めてもらいました。ただし、特定の府県市がネガティブなので全体が進まないというのも困るので、個々の具体的事業からの脱落とその際は当該案件への意思決定には参画しないし、資金負担もしなくてよいということも制度化してもらいました。
 これらは私自身が経済産業省時代、職責上、欧州ウォッチャーであった時に学んだEUの制度を参考にさせてもらったものであります。


 また、事務局、官僚制の肥大も避けたいところです。経費負担も最小としたい。そこで専門の本部事務局は各府県市の出向とするとともに最小限とし、分野事務局はそれぞれの事務分野の担当委員(首長)の属する府県市の部局が主としてこれに当たり、他の府県市が協力的に参画するという方式にしたわけです。おかげで関西広域連合の組織はうんとスマートで、予算はかなり小さく、中でもドクターヘリの部分を除くと本当に極小で、無駄をできるだけ省いたものになっています。(ドクターヘリの部分は、それぞれのもとの府県の実質負担になっていて、それぞれで計上された経費を関西広域連合に移転してもらって運営しているところです。)


 以上のような様々な事を全て踏まえて、なおかつ関西広域連合は進化していくべきだし、進化することはできるというのが、広域連合長としての私の考えです。 


 さしあたっては、関経連から提言されている関西版フラウンホーファーという中小企業の技術支援・成長支援のスキームをどう作っていくか、関西を統合したデジタル化をどう構想していくか、そして、新たな地方分権の姿をどう世に問うていくか、色々と考え、そして関西広域連合の同僚諸氏と語らい、仲間として共に成長していきたいと思います。


 最後に、仲間でありますので、身内の事を賞讃するのはこのメールマガジンを読んで下さる方に対していかがかという気持ちもありますが、井戸前広域連合長の関西広域連合への献身はすばらしいものがあったと申し上げたいと思います。設立までの構想実現、その後の個々の事業の進展や広域連合としての意見の集約等々、関西広域連合は井戸前広域連合長なかりせばありえなかったと思います。
 私はずっと副広域連合長として行動を共にしてきましたが、どれほどお支えできたかは定かでなく、井戸広域連合長のリーダーシップにただただ頭の下がる思いです。
 井戸広域連合長が次の兵庫県知事選に立候補しないということで、私がその地位を引き継がせていただいたわけですが、私から見ると偉大な前任者の域に達するのは容易ではありません。
 今後とも、まだまだ兵庫県知事・関西広域連合委員ですから、御指導を賜り続けたいし、現に十分に賜っています。


 その関西広域連合、まだまだ知名度が低いという問題があります。そこで、我々の仲間、構成府県市の首長は皆選手ぞろいですから、交代で一筆したためてもらって、関西広域連合のホームページに載せるとともに、メールマガジンで皆様のアドレスにお送りするということにしました。このようなことにより、少しでも関西広域連合の知名度が向上してくれれば、広域連合長としてこれにまさる喜びはありません。
 


 同じように、既に副連合長の西脇隆俊京都府知事、三日月大造滋賀県知事も投稿してくれています。
(閲覧をご希望の方は関西広域連合ホームページhttps://www.kouiki-kansai.jp/koikirengo/jyuminsankaku/mailmaga/reiwa2nendo_2/index.htmlへ。)
皆さんが、和歌山県メールマガジンのみならず、関西広域連合メールマガジンに登録されれば、更新の都度皆さんのメールボックスにこういうメッセージが届きます。

関西には、皆さんもご存知のとおり、見識もあり、人気もある、そうそうたる知事、政令指定都市の市長さんが揃っていまして、皆が思いの丈を述べますので、是非お読みいただきたいと思います。またメールマガジンでは他に関西広域連合の様々な行事の予定と結果についての報告も時々送られてくることになっています。

 下記のURLから申し込めますから、是非クリックをして、登録の申込みをおすすめします。
https://www.kouiki-kansai.jp/koikirengo/jyuminsankaku/mailmaga/254.html

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