知事からのメッセージ 令和3年1月6日
知事からのメッセージを紹介します。
令和3年1月6日のメッセージ
新型コロナウイルス感染症対策(その48)
‐関西広域連合の感染症対策本部‐
1月5日、関西広域連合の新型コロナウイルス感染症対策本部会議を開催しまして、政府や国会に対する「新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急提言」と府県市民に対する「関西・府県市民緊急行動宣言」をまとめ、発表しました。
コロナの勢いは止まらず、特にひどい首都圏では1都3県知事の要請を受けて、政府はこれらを対象に7日から特措法の緊急事態宣言を発出する予定です。
我々の関西でも、感染は容易ならざる状況で、病院の逼迫も深刻で、一番大変な大阪府には関西のみならず、全国から看護師などが応援に入る状況です。和歌山でも、クリスマス頃には毎日0~2名の感染で止まっていましたが、このところ10人を超える感染者が見つかり、1月6日には19人と過去最多の感染者が出てしまいました。その分、保健医療行政や医療関係者の疲労は濃いのであります。
しかし、関西においては、各府県の知事が陣頭指揮を執って保健医療行政にしても、必要な府県民への自粛要請にしても、必死で防戦に努めており、行政や保健所、医療関係者も懸命の努力を重ねているおかげで、感染は何とか高止まりという状態であるので、我々の判断では、直ちに緊急事態宣言の発出を要請する状況にはないと考えられるというところです。
ただし、感染がこれ以上急増するようなら、まずは、一番深刻になると予想されるのは、大阪、兵庫、京都だから、この3府県知事が連絡を取り合って、3府県あるいはその一部で、緊急事態宣言の発出の要請をするので、政府においては、その際は迅速に対応してほしいという提言をすることにしたのです。
また、その際、特措法や感染症法の改正をして、知事の権限を強めたり、その要請に強制力をつけたり、その要請に伴う補償を明示する等の手段を講じてほしいという提言もしました。この場合、法改正を実際にして下さるのは、立法府たる国会なので、国会に対しても提言対象と明示する事にしたのです。心は、国会が開かれても、この緊急を要する二法改正が後回しにされ、いわゆる政治と金の追及などで日が経っていくのではないかという懸念を示したものであります。その他、大事な論点がいくつもありますので、以下に全文を掲げます。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急提言
新年を迎えても未だ新型コロナウイルス感染症の発生が収まる状況にはなく、政府において一都三県を対象に緊急事態宣言を発出する検討も行われている。
関西圏も新規患者の発生が高止まりしており、関西が一体となってこれ以上の感染拡大を何としても防がなければならない。
ついては、政府及び国会におかれても下記のとおり対処されるよう提言する。
記
- 緊急事態宣言について
(1)関西圏域の感染状況は、全体として高止まりしていることから、ただちに緊急事態宣言の発出を要請する状況にはないと考えられるものの、今後、特に大阪、兵庫、京都において感染が急増する場合などには、この3府県から要請するので、その際には迅速に対応されたい。
(2)効果的な感染拡大防止を図るためには、関西府県全域や府県内一律ではなく、地域の実情を踏まえ、地域や業種など範囲を限定して機動的に緊急事態措置等を行えるよう、緊急事態宣言の発出の際は弾力的な運用を行うこと。
(3)地域が一体となって効果的な取組を進めていくため、緊急事態措置にかかる補填措置が行えるよう、十分な財政措置など積極的な支援を行うこと。
- 特措法・感染症法の改正について
(1)事業者への給付金等の支給や休業要請に違反した場合の罰則等を含めて検討されている新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正について、通常国会の冒頭で審議し、早急な成立を目指すこと。
(2)あわせて、保健所による積極的疫学調査や健康観察、入院勧告に対する遵守義務の規定、宿泊施設や自宅での療養の法的根拠の規定、都道府県と保健所設置市との情報共有の規定等、感染拡大防止策の実効性を高める改正を行うこと。
- 医療提供体制や医療従事者の処遇改善について
医療体制がひっ迫する状況に鑑み、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる医療機関が適切に対処できる措置を充実すること。
また、医療従事者に対する危険手当の創設や感染時の休業補償、事務職員を含む労災給付上乗せ補償の保険料支援による処遇改善を行うこと。
- ワクチン接種体制の確保について
(1)ワクチン接種について、厚生労働省による承認手続きを迅速に進めるとともに、市町村や医療機関等が連携して円滑かつ迅速に実施することができるよう、副反応や優先接種等を速やかに明確化し、国民への周知や自治体窓口等への支援など、体制整備を進めること。
(2)ワクチンの接種は、厚生労働大臣の指示に基づき、国の負担により実施するものであることを踏まえ、接種体制整備等に係る費用については、地方自治体の持ち出しとならないよう、その全額を国の責任において確保すること。
(3)ワクチン接種の実施主体となる市町村は、接種に当たっての条件が自治体ごとに大きく異なるため、各自治体の特性に応じた実施体制を組めるよう、自治体の意見を踏まえて、国の責任において必要な措置を講じること。
- 協力金の延長について
新型コロナウイルス感染症地方創生臨時交付金に関して、「協力要請推進枠」の年末年始における協力金の額の引き上げについて、1月12日以降においても継続すること。
- 水際対策について
欧州を始め世界で確認されている新型コロナ変異種を我が国に持ち込ませないよう、国の責任において水際対策を迅速かつ適切に行うこと。また、入国者・帰国者に関する情報を都道府県と共有すること。
- 大学入試等における受験機会の確保について
大学入試や就職の際に必要となる各種の国家試験について、感染が確認された場合等においても受験機会が最大限確保されるよう、国において関係機関への支援を行うなど環境整備を図ること。
- 人権を守る対策の徹底について
感染者及び最前線で治療に当たる医療従事者、更には他の都道府県からの来訪者や外国人等に対するデマの拡散、偏見や差別、心ない誹謗中傷、人物の特定などの人権が脅かされることのないよう、国においても人権を守る対策を強力に講じること。
次に、府県市民に対する緊急行動宣言です。
今回は、特に緊急事態宣言が発出される首都圏(1都3県)への往来は控えようとはっきり明示した事と、成人式など行事の前後に同窓会などの飲食で、感染が爆発しないよう、会食を控えるなど行動に注意する事を呼びかけました。
また、従来から言っている事ですが、発熱など症状のある場合には、出勤、通学等を控えるとともに、すぐに医師に電話し診断を受けようということを呼びかけています。何か変だと思いつつも、我慢して受診せず、職場の同僚、お客さん、家族などにどんどんうつすケースがありますので、この点は一番注意です。和歌山県をはじめ関西では、このような連絡があったら、どの県でもすぐ検査が出来る体制になっているはずなので、とにかくすぐ受診です。全国でも段々そうなっていますが、和歌山県ではかかりつけ医で直接PCR検査をできる所が増えてきて、今や300ヶ所以上でやってくれます。電話でまずご相談下さい。自分の所にその能力の無いクリニックは他所を紹介することになっており、かかりつけ医のない場合は、県庁の専用ダイヤル073-441-2170で案内をすることになっています。
この点については、先般残念なことがありました。羽田雄一郎参議院議員、元国土交通大臣がコロナで亡くなったのであります。テレビ朝日の報道番組によると、羽田議員が体調が悪くなったので、秘書が参議院内の診療所に「本人は元気だが、身近にコロナ患者が出たのでPCR検査をしてもらいたい。」と要望したら、診療所は、症状がないと(東京都の)公的機関では検査をしてもらえないので、民間に頼むようにという指示を与えたのだそうです。そこで民間の医院に連絡したが混み合っていたので、少し待つように言われ、いよいよ検査予約の日になって急に症状が悪化して亡くなってしまわれたとのことでした。
本当に残念です。既メッセージ「新型コロナウィルス感染症対策(その47)」で申し上げたとおり、和歌山県のこれまでのデータに拠れば、このコロナでは命に関わる肺炎系の病状が出るのは、発症から4日ないし6日となっていますが、ぴったり合っているのです。ひどいと思うのは、コロナの患者と身近に接したと言っている人に公的機関では症状が出ないとPCR検査をしてくれないと言ったということであります。このケースでは濃厚接触者の疑いが強いわけですから、症状があろうと無かろうと、検査をせよというのが厚労省の指令のはずであり、和歌山県なら、それは大変と300もあるPCR検査機関に急行してもらうべき話であります。もし、東京都においてこういう状況を放置しているのであれば、その罪は重いと思います。(ただし、これはあくまでもテレビ朝日の報道が正しかったという前提の話です。)羽田議員は、国交大臣の時も、初期の頃の民主党国交大臣と違って、田舎の懸案の高速道路の完成にも一定のシンパシーを示してくれましたし、紀伊半島大水害の復旧に関しても、親身になって助けてくれました。そんな立派な人なのに残念です。ご冥福をお祈りします。
話がそれましたが、以上の点も含め宣言の全文を以下に掲げます。
和歌山県では、これを受けて、1月6日に記者会見を開き、同趣旨の呼びかけを県民に対して行いました。
その「県民の皆様へのお願い」を以下に掲げます。
和歌山県の保健医療行政並びに医療の関係者が頑張ってくれていますが、このまま一本調子で感染が増えると大変危険です。県民の皆さん、是非よろしくお願いします。
保健医療行政の頑張りによって、生活と経済はあんまり制限をかけないで、やりくりをしていくという和歌山モデルも今大いにチャレンジを受けています。これが壊れると、県民生活と経済に大変な制限を加えないといけなくなります。その時に生ずる副作用としての生活と経済への打撃は大変大きいものになります。私の感覚ですが、その際に被る経済的ロスは、前回支給した各種公的支援金のおそらく、10倍から数十倍になると思います。そこから、生活苦、健康障害、心の不調、財政破綻など様々な不都合が生まれます。軽々しく「(コロナ感染による)命が大事か経済が大事か」という問題ではないのであります。
何とか、和歌山モデルが維持でき、県民の安全を守るためにも、県から発出している最低限の注意は守ってください。