知事からのメッセージ 令和2年11月1日

知事からのメッセージを紹介します。

令和2年11月1日のメッセージ  (広報紙「県民の友令和2年11月号」掲載)

名を名乗れ

 「やあやあ、遠からん者は音にも聞け、近くば寄って目にも見よ!我こそは◯◯の住人、△△なり。腕に覚えの者よ、手合わせを願う、いざ尋常に勝負、勝負!」
 昔(今も)好きだったちゃんばら物によく出てきた武士のセリフです。昔は、人と闘う時は堂々と名を名乗り、正々堂々とわたり合うのが美風とされ、自らを名乗りもせず、闇夜にまぎれて相手を後ろから切りつけるなどはひきょう者として、最低の道徳的評価を受けたのです。
 それが今日、どうも自らの正体を秘して、相手を攻撃することが横行しているように思います。特にネットの世界では、ハンドルネームが自由自在ですから、この傾向が強いように思います。
 自分以外の人の事情を認め、相手の気持ちも考え、社会通念上許されぬ手段で相手を攻撃することは自制するというのが人の道であり、それが人間の尊厳につながると思うのですが、ネットで自分の名が隠れてしまったとたんに、この抑制が効かなくなってしまうように感じます。だいたい、隠れた所から他人を攻撃するのはひきょうです。
 コロナに感染した人やコロナと戦ってくれている医療関係者への中傷や非難も、自分はネットの向こうに隠れながら、よくそんなことが言えるなという事を平気で言う人がいます。もっといけないのは、さらに自分の名を隠した人が、その真偽も確かめず、そうだそうだと同調して投稿することです。かくしてコロナいじめが発生するのです。
 私はネット社会は時代の流れだと思いますが、この匿名の無責任発信が許される世の中は何とかしないといけないと思います。
 名を名乗ることによって、いいかげんなことは言えないなとか、自分もまた反撃されるかもしれないなといった緊張感が高まるし、正々堂々ふるまう礼儀も、さらにそこから他を思いやる心も育つでしょう。名を名乗れ。

 

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