知事からのメッセージ 令和2年5月29日

知事からのメッセージを紹介します。

令和2年5月29日のメッセージ

新型コロナウィルス感染症対策(その29) - 緊急事態宣言の全国的解除 -

 5月25日、政府は、残された首都圏4都県及び北海道も含め、緊急事態宣言の解除を決定しました。これに応じて、各県ともそれぞれの県民に対する呼びかけを変更したところです。

 依然として、政府からは、上記5都道県との往来は自粛するようにとの見解が示されていますが、和歌山県としては、これらも踏まえ、5月29日、新型コロナウイルス感染症対策本部で、6月1日からの県民へのお願いを変更することを決定しました。
 その後、私からその旨記者会見で発表しましたので、概略次のようにお知らせします。

 『今日は、新型コロナウイルス感染症対策本部会議を開きまして、6月1日から和歌山県の県民の皆さんに、どのような形でお願いをしていくかということを決めましたので、それを発表したいと思います。
 全体としては、言わずもがなですが、5月25日に、残った5都道県についても緊急事態宣言が解除されました。要するに、日本全国の緊急事態宣言が解除されたわけです。それから、いつも言っておりますように、近隣府県の動向なども考えて、和歌山県の対策を考えたということです。
 これも繰り返しになりますけれども、和歌山県の考え方は、いつもこのスタイルであります。不要不急の外出とはもう言わないけど、安全な生活と安全な外出を、皆さん心がけて欲しいということです。それから、他府県等への配慮もあるから、それも念頭に置いて考えます。それから、段階的にやっていきますということです。(フリップ1)
フリップ1

 段階的な緩和について先に言いますと、ここ3週間連続で緩和をしています。やっぱり、1回目から、今回のような対応をすると、ちょっと混乱するかなとか、心配だというようなところもあったので、かなり初めは制限をキツめに残し、段階を追って緩和してきました。ずっと見ておりますと、それで感染が、再拡大したというわけではありませんし、近隣の県においてもそういう状況ですから、これは大丈夫だろうなということで、どんどん緩和していくということです。

 その結果、今日の段階では、次のとおりとなりました。一つは、安全な生活、安全な外出をずっと続けてくださいということです。不要不急の外出じゃなく、安全な生活、安全な外出をお願いしますということです。(フリップ2)
フリップ2

 次に、県外との関係を後でもう1回言いますが、5都道県への移動は慎重にしてくださいということです。政府からは、府県相互の往来は自由とするけれども、5都道県への移動だけは慎重にしてくれと言われています。これは、6月1日から18日までの措置だと言われていますので、我々もそれを守ろうということです。それ以降どうなるかは、感染状況と政府次第ということになります。

 それから、密接は駄目。これは、政府の方針より厳しいと思います。3密はダメと、しょっちゅう呪文みたいに言われていますが、3密でないということを言い訳にして、安全でないやり方をするのはいけないので、密接を避けることが一番大事だから、密接はダメ、3密はもっとダメと考えて欲しいということです。

 それから、発熱など体調がすぐれない時は、こういうご時世ですから、無理をしないということです。出勤・通学・外出などは控えてもらって、体調が悪いのだったら、どうぞクリニックなど、通常のかかりつけ医にご相談くださいということです。そうしたら、和歌山県では、最悪の場合でも、コロナ患者であることが発見出来ていくようなシステムになっていますので、体調が悪い時は、普通にクリニックにかかってくださいということです。

 それから、テレワークとか時差出勤とか、強力に進めてもらっていましたが、これからは、そんなに強く言うことはないだろうと思います。ただ、新しいスタイルの働き方というのは、たまたま出来てきているのです。それの方が効率的である可能性もあるから、感染リスクはないわけじゃないので、出来るだけ、そういうことも考えて、テレワークや時差出勤なども進めていけばいいじゃないかということです。もう元へ戻すと、杓子定規に考えないでもらいたいということであります。


 それから、事業者の皆様へは、こういうことを申し上げたいということでございます。全ての営業自粛要請、これは解除をいたします。それから、県外からの受け入れは、おやめください、自粛してくださいっていうふうに言っていたものも解除いたします。(フリップ3)

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 ただし、全業種について、安全な生活の裏返しとして、安全な営業というのは当然あるはずなので、感染拡大予防ガイドラインっていうのを、今、それぞれの業界団体などで作っているわけですから、そういうものを守ってやっていただきたいっていうふうに思います。
 このガイドラインについては、和歌山県は、解除の初期にはキツめのガイドラインをお願いしたという時もありましたが、段々と段階的に解除をしていくことにし、それで問題なかろうということで、今は、業界などで共通に使っている拡大予防ガイドラインを守ってもらえばいいということにします。
 ただし、まだ、これが出来てない業種が若干あります。特に和歌山県が、最後まで営業自粛要請をしていた業種で、そういうことなので、6月の18日ぐらいには出来ると言われていますから、それまではこういうガイドラインでやってくださいと言って、他の業種と同じような形で、徹底的に守ってもらえるような、そういうガイドラインを県の方でお示しして指導していくということにしたいと思います。

 それから、特に発熱等体調が優れない従業員に対しては、出勤を控えさせ、受診を勧めるということは、生活の方から言うのと同じであります。
 それから、新しいスタイルの働き方を、事業者の方でも推進してもらいたいということです。
 それから、イベント、これはもう政府の基準が示されていますので、和歌山県もそれと同じで行こうということで、段々と大きくしていく。それから対応なんかも、限られたものから、一般的なものに段々として行くということで、イベントは、当初は小さく、段々と段階的に大きくして行くということをやっていこうと思っています。


 それから、相変わらず、ずっと同じ事を言っておりますが、一番危惧していることは、やっぱり病院とか福祉施設等集団生活を行っている施設にコロナウイルスが入るということであります。従って、職員の感染防止対策と健康観察、それから、特に発熱等の症状が出た場合は、すぐ相談をしてもらう、放置しない、それから、従業員などで、症状がある人を無理して仕事をさせない。
 その他、食事の提供は個別とか、面会は施設に入らないでやって欲しいとか、そういうことを守って欲しいというお願いは続けます。(フリップ4)
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 それから、県外とどうつき合うかということでございますが、一般的には、5都道県との関係以外は、県外との往来は、とやかく言わないということにいたします。ただし、6月1日から6月18日までは、5都道県への移動は慎重にして欲しいということです。(フリップ5)

フリップ5

 それから、来客の受け入れも、この5都道県に限っては控えてもらいたいということですね。
 それから、県外からお来しになった方、よく疎開と言ったらいかんのですけど、感染なんかを避けて、或いは、感染があるが故に全ての生活が向こうで出来なくなったから、もうしょうがないから和歌山へ帰らざるをえないというような方が随分たくさんいらっしゃったわけですが、そういう方はですね、別に来県を推奨しているわけじゃないんだけど、2週間は感染リスクがあるので、自宅に留まってくださいというお願いをし、かつ、本人のためでもありますから、連絡ダイヤルに登録しといてくださいというやり方をしておりましたが、これについても、5都道県からだけに限定をさせていただきます。システムは同じなんですけど、しばらくの間、5都道県からは、これを続けます。


 それから、学校でございます。学校は6月の1日から開業を決めておりましたが、その中身について、今日詳しく決めました。(フリップ6、フリップ7)
フリップ6

フリップ7

 

 まず、再開は6月1日からなのですが、まず6月1日から、県立中学校・高等学校を規範に言いますと、分散授業などにより、一つの教室に多くの生徒を集めない形態で実施します。6月の15日を目途に、通常授業へ移行します。
 部活動は、県教育委員会のガイドラインにより実施するということにしたいと思います。
 それから県立特別支援学校は6月1日から、障害種別に応じて分散授業等を実施すると、こういう決定であります。
 ちょっと詳しく言いますと、分散授業なんですけども、例えば、隔日ということをした場合に、来ない日も、自宅学習の詳細な指導を受けた上で、自宅で学習していただいたのを、来る日にチェックするということにしますので、これは両日とも出席扱いということにいたします。

 それから、部活動のガイドラインについては、詳細に決めておりますけれども、一言で言うとさっきの密接、どうしても密接にならざるをえないような種目や練習の仕方についてはやっぱり慎んでもらって、密接にならないようなやり方で出来るならば、部活動を再開してよろしいということであります。
 それから、再開にあたっての留意事項としては、生徒、それから、出来れば保護者の方にも、広く、こういうことを気をつけてくださいということを、徹底的に学校を中心にして教えていこうということです。

 そうは言っても、例えば、学校で感染者が出たらどうするか。そういうことについても、その時にじたばたするのではなく、予め決めておこうということです。まず、先生なども含めて誰か1人、陽性が判明した場合は、当然、出席は止めていただきます。そのあと、治ってからは、14日を経過するまでは出席していただいたら困るということです。
 それから、濃厚接触者。これはうつっている方とうつっていない方がいる。濃厚接触者だと判断される場合は、最終接触日を0日として、14日間出席を停止するということです。濃厚接触者については、後から陽性が判明する場合がありますので、そういうふうにしたいと思います。
 それから、臨時休業については、学校内で感染があった場合、例えばその濃厚接触者が、学級内、或いは学年内に留まっていると考えられる場合は、当該学級または学年を臨時休業にします。学校内で感染者が複数名発生し、校内で感染した可能性がある場合、当該学校を臨時休業します。それから、地域内の複数校において、複数名の感染者が発生した場合は、地域内の全ての学校を臨時休業します。あとは、県が、再自粛要請基準を作っていますが、県内で感染が拡大して、これは大変ということになった時は、県内の全ての学校を、もう一度、臨時休業にするということです。臨時休業の期間は、原則、最終感染者確認後14日間ですが、最後の場合は、県の解除があるまでは駄目ということになります。


 それで、以上のような対応に対して、いろいろな懸念もあると思います。県民の方々に申し上げたいことは、このコロナ感染症の拡大防止の対策は足し算であるということです。一つは、行政医療の努力と、もう一つは県民の努力であると。医療保健行政の働きがかなり強烈であれば、県民の努力、強烈な行動自粛、営業の自粛によって支えてもらう必要はなくて、むしろそれをやりすぎると、経済が死んでしまって、大変なことになるので、従って、この足し算で勝負しようということです。(フリップ8,フリップ9)

フリップ8

フリップ9

 今日、またNHKで、山中先生が言っておられましたけど、黄色を点滅させながら、経済も熱心にやっていただこうと言っておられたのが、同じような考え方であります。医療保健行政の働きが、十分出来ないほど大変なことになってきた時は、もう一度、行動・営業の自粛で県民にお願いをしなきゃいけないということになるわけです。ただ、和歌山県の保健医療行政は、全国的には評価が高いのですが、それを考えても、前に比べるとさらに強力になっています。それをちょっとご説明をしたいと思います。

 まず、基本的な考え方は変わっていません。これは、早期発見、早期隔離、徹底した行動履歴の調査ということで、全然変わっていないわけです。PCRをたくさんやったからといって、その一部だけ取られて、PCRをたくさんやったかわいい知事だと、私はよく言われたんですが、実はポイントは、あそこだけじゃなくて、隔離をするための手段としてちゃんと使っているということなので、早期発見、早期隔離、徹底した行動履歴の調査をずっと熱心にやってきたわけです。
 その早期発見については、特に和歌山県の立派な全医師団、全部のお医者さんに協力していただいているわけです。すなわち、厚労省は全く推薦しようとしないが、風邪とおぼしき症状になった時に、クリニックに行ってよろしい。それで、そのクリニックの優秀な先生方が、肺炎や味覚・嗅覚障害とか下痢とかの症状があって、何かおかしいなということであれば、肺炎だったらレントゲンを撮ったらわかりますので、どっかにひっかかったら、保健所に連絡していただく。保健所は県庁に連絡して、直ちに検査をし、それで、もちろん陽性だったら隔離をするということです。
 クリニックで1回スキャニングしていただいて、うんと絞り込んで保健所に来たものの中でPCR検査をして、それでも陽性率は、実は1.9%なのです。そのぐらいの確率のリスクと我々は向かい合っているということを考えておけば良い。だから、普通のクリニックの機能なんかもちゃんと使えばいい。クリニックに行ったら絶対コロナにうつると思って既往症についても我慢すれば、悪くなるという可能性がありますから、そっちの方で人命が失われているという可能性があるので、それは遠慮なく行っていただいたらいいんじゃないかと思います。

 それから、PCR検査体制は、済生会有田病院で感染者が発生した頃、和歌山県と和歌山市で、1日あたり合わせて80検体でした。今や、それが増えていますし、さらに、病院にも配置というちょっと違う考え方でやっているものもあります。これは、病院の院内感染を防ぐために、割と短時間で結果が出るPCR検査装置を県で買って、大事な9病院に配置するということを、今、着々と進めています。そうすると、救急車で運び込まれて、緊急手術がいるとか、あるいは緊急入院がいるということになった時、その患者を病院の中に引っ張り込んで大丈夫かという議論がありますが、それは、この検査をすることによって、コロナかどうかってすぐに分かるわけです。そういう形で、これから病院の安全を守るために、これを使っていこうというところもあります。

 それから、医療提供体制は、済生会有田病院の時は、我々は32の感染症病床と、それから13の結核病床を合わせた45病床で勝負をしていたわけです。今は、どんどんと病院の方々にお願いをして、一般病床を空けていただいたりしているし、さらにそれがもっと増える可能性もあります。さらに、実はもう治っているのに、まだ陽性が消えませんという方も若干います。そういう方々は、病床を塞ぎ続けるという可能性があるので、別に身体的なリスクはその人に関してはありませんから、ホテルに出てもらうということを、システムとして確立しています。ただ、そのホテルについてどこにするかというのは、風評被害がありますから、発動の時期にならないと絶対に言えません。


 そんな状況になっておりますので、ちょっとぐらい患者が出ても対応は出来る。だけど、この前の再自粛要請基準に示しているように、例えば1日5人以上の方がずっと発生し続けて、病床がだんだん埋まってきたというような状況になったら、これはちょっと我々だけの力、行政だけの力では持たないので、経済は犠牲にしても県民の皆さんに助けてもらわないといけないということを初めから決めておいて、それで、とりあえずそこまでは頑張ろうというふうにやっていったら良いんじゃないか。そんなふうに思っております。』

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