知事からのメッセージ 令和2年5月12日

知事からのメッセージを紹介します。

令和2年5月12日のメッセージ

新型コロナウィルス感染症対策(その25) -知事会発言とPCR基準-

 コロナにつきましては、4月30日以来新規感染者が連続11日間出なかったので、少しホッとしていましたが、5月12日、和歌山市でまた感染者が発見されました。和歌山県は、感染者に対する対応は早いですから、この方は、既に病院に入院隔離されていますし、家族はじめ濃厚接触者を早急に検査し、その他の接触可能性のある方も観察して、拡大を防止していきたいと思います。ただ、悲しいことにお一人80代のデイサービスの利用者で感染をされていた方が、症状が悪化して、とうとう5月10日お亡くなりになりました。災害でも病気でも生還をすれば、またいいこともあるけれど死んでしまったらそれもないわけですから、死者だけは出したくなかったのですが、本当に残念です。ご冥福をお祈りします。やはりデイサービスのような集団生活のお世話をしておられる方は、特に身体的に頑健でない人が利用しているので、とりわけ注意をお願いしたいと思います。その中でも、従業者に熱があったりしたら、絶対に仕事をしないで、お医者さんに行ってほしいということと、利用者に少しでもおかしいと思う兆しがある人がいたら、すぐに保健所に連絡してほしいということです。

 5月12日、また全国知事会がネットを利用してありましたので、次のように思っていることを発言しました。今は感染者も減ってきて、大阪府を言い出しっぺにして、出口戦略が語られていますが、今の議論があまりにも、国民の自粛をどうするかばかりに焦点が当たり、いわば対策が片翼飛行であるような気がして、心配で仕方がないので、申しました。何でこんなに国民が自粛をして、経済が大変なことになったかというのも、大都市を中心に医療保健行政が失敗して、コロナに負けてしまい、爆発が起きたからではないか。そうすると国民の犠牲のもとで新規感染者の数が減ってきた今こそ、この医療保健行政の再建、引き締めこそ、しなければならないことだと思います。その意味で、以下申しました。

 『私から3点申し上げたいと思います。
 第1は、コロナ対策の柱は2つあるということであります。「自粛」と「医療保健行政」この2つです。後者について言えば、いくら自粛してもこちらの体制がきちんとしていなかったら、また爆発する可能性があるというふうに思います。「自粛」は大変な劇薬ですけども、国民に負担をかけます、経済に犠牲をかけます。「医療保健行政」は我々の責任でできるわけであります。爆発した時は、ちょっと前の大都市みたいに1県で100人も出たらちょっと捕捉は難しい。だけど、随分減ってきた今こそ過去の失敗を反省し、そして立て直す時ではないかと思うのです。例えば具体的に言うと、疑わしい人にPCR検査をかけて陽性者を隔離する。これは常識だと思うのですが、濃厚接触者を症状が出るまで放置するとか、あるいは疑いのある人に対するPCR検査が遅れるとか、そういうことは無いようにしていかないといけない。あるいは、全員出来れば入院、最低でもホテルに隔離をする。PCR検査で陰性を確認しないで野に放ってしまうようなことがあったら、絶対に伝染るのではないかと思うのです。それから、感染源がわかりませんということで終わろうとしないで、感染者のその後、あるいはその前の行動履歴をちゃんと把握し囲い込みをしていくということがとても大事ではないかと思うわけであります。国民に自粛という負担をしてもらっている限り、我々の責務は果たさないといけない。我々行政を預っている者としては、地方行政の誇りにかけてきっちりやるべきではないかなと思う。そういう意味で、湯﨑知事のイニシアチブに賛成であります。(注:湯﨑広島県知事が中心となって取りまとめた、国への医療保健行政を締め直すことに対しての緊急提言のことをさす。)
 2つめは、飯泉会長、平井知事に申し訳ないのですが、どうも国への要求ばかり書いているような気がする。立派なことは書いているのですが、自分たちでこうしようということを、我々の覚悟を全国民に対して示そうではないかというふうに思います。
 3つめは、和歌山県も5月1日から包括的な対策を考え、出しました。協力金という名の補償金ではなく、全業種を対象として困っている人を助ける、事業継続を図れるような対策をしていくということで、包括的な対策は和歌山県が初めてじゃないかなと思いますが、やりました。だけど、身の程からすると大変な負担なのです。そういう意味で、第2次補正が議論されている時に、是非そういうところも我々にとって助かるようなそういう予算措置をとってもらいたいなと、そのように思いますので、飯泉会長どうぞよろしくお願いいたします。』


 それから、とうとう国がPCR検査基準を改めました。2月28日和歌山県が「これだけは従えません。」と言って絶対に言うことを聞かなかったことです。その間ずっと国との意見対立は続いていましたが、「4日間は医者にかからないで自宅で待機せよ」という国のPCR検査基準がいかに全国のコロナ感染者の発見を遅らせ、何人かの人の重症化又は死亡の原因をなし、4日間経った後の感染症指定病院への来院者の殺到を招いたか、罪は重いと思います。
 国はこの「4日間は医者に行くな」基準を撤廃したのですが、それで心を改めたので、もう良いかというと、実は残念ながらまだそうではありません。

 それは、国の基準が、異常を感じた人は直接保健所、感染症相談窓口に行くか連絡をせよというところです。これだと、ただでさえ忙しいこういう部署に、今まで以上に人々が殺到して、更に機能不全になります。どうして厚生労働省又はその後ろにいる大物専門家はそのことに思いが至らないのでしょう。

 和歌山県は、「風邪かな、あれ」と思った人は躊躇なく普通のクリニック、かかりつけ医に行っていただいていいですよと言い続けています。そして、クリニックのお医者さんが普通の風邪にしては治りが悪い、何か変だと思った時は、肺炎を疑ってレントゲン等を撮ってもらい、肺炎があったり、味覚がおかしかったり、激しい下痢があったり等々、これはあやしいという人がいたら保健所に連絡してもらうという方式を推奨しています。そこで初めて県がPCR検査を行い、陽性だったら、すぐに入院隔離、関係者の検査、調査になるわけです。どこがいいかというと、保健所や感染症の第一線の病院に診てもらう人が、大分スクリーニングされ、人数が減るということなのです。その分だけ、医療保健行政がパンクする可能性も減るわけです。どのくらい減るかというと、クリニック段階で風邪みたいな人の肺炎発症等は数パーセント、さらにその後のPCR検査陽性率も約2パーセントです。クリニックのお医者さんにコロナを治せと言っているわけではありません。以上のようにクリニックレベルのコロナリスクは数パーセント×数パーセントの確率ですが、十分な防護をして診察していただいていれば、感染を怖れる必要もないでしょう。もちろんクリニックの方が感染したことはありません。県としては、これほど大変なことをお願いしている限り、防護具がないと申し訳ありませんから、不足だというクリニックには、地域の医師会を通じて供給することにしています。
 厚生労働省又はその大物専門家は、本当はこのようなことが全て分かっているはずの専門家のはずなのに、どうして、このような医療現場がどうなるかという想像力が無いのかなあと思います。もう一つ言えば、病院のコロナ周辺の医療現場は本当に大変、コロナにしわ寄せされてそういう病院の非コロナの医療現場も大変です。でも、普通のクリニックはそうでもありません。コロナにかかったら大変と、本来は来院をするはずの方々も来院を躊躇しているからです。それに全国に一杯優秀なお医者さんが居るのです。ものすごく頼りになる人々です。なのに厚生労働省はどうしてこのような立派な人々のお力を借りようとはなさらないのでしょうか。

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