知事からのメッセージ 令和2年4月30日

知事からのメッセージを紹介します。

令和2年4月30日のメッセージ

新型コロナウィルス感染症対策(その21) 全国知事会と怒り  

 ゴールデンウィークを迎えて、日本中が全国一円の緊急事態宣言の効果をかたずをのんで見守っているところだと思います。当県でも、全国でも、一部のとんでもない非協力的な不心得者を除いて、よく自粛に協力してくれているところだと思います。

 そんな中4月29日全国知事会がWEB会議で行われました。主催された飯泉全国知事会会長や、提言のとりまとめにあたられた平井鳥取県知事に感謝したいと思います。そこで各知事は所見を述べるのですが、装置のキャパシティーの関係で、画面に映るのは5分の1くらいで、入れ替えなのですが、各知事さんは、それはひどいなあと思うことを言う人もいるが当県にとっても参考になることも仰るので、私は最初から最後まで参加して耳を傾けていました。ひょっとしたら、いつも画面に映っている前述のお2人のほか、全時間出席していたのはそんなにいないかもしれません。
 そこで私から次の3点を発言させてもらいました。


他の方との意見重複を避け3点申し上げる。
『○1点目、国民に対して自粛一点張りになっているように思われる。感染症の抑圧は、保健当局の努力、早期発見、早期隔離、行動履歴の調査、抑え込み無しには十分に行えない。和歌山県は現時点で60人感染している。29人は退院したので実質陽性者は29人だが、保健当局の努力で何とかしのいでいる。徳島県や鳥取県は少数で食い止めているのは、保健当局の大変な努力が効いているのではないかと思っている。首都圏や大阪等がこれだけではダメなのは分かる。しかし、その努力がディスカレッジするようになってしまったらダメなので、自粛の一点張りだと保健当局の士気が衰えてしまう感じがする。従って知事会としては、「保健当局の努力をみんなでがんばろう」というメッセージを出すことと、国も専門的な助言、機材の補填、財政的な助成をして下さいと言っていくべきだと思う。


○この関係で大変怒っていることが1つある。和歌山では医者に行かずコロナで亡くなった方が発生した。和歌山県では国の方針に逆らい、クリニックにお願いをして早期発見システムを作っている。それにより今まで重症化を防いできた。しかし、国は4日間は医者に行かないようにと言い、テレビでもそればかり放送している。もし仮に、あの方がテレビを見て医者に行かずコロナで亡くなったとしたら国の専門家の罪は重い。医療崩壊が発生したのならば医者に行かないというのはしょうがない。しかし医療崩壊が発生していない県では、医者に行き早期発見した方が医療崩壊を食い止めることが出来る、これは論理的に明らかな話ではないかと思う。

○2点目、自粛要請の中の特に特措法の権限強化の話。和歌山県も遅ればせながら4月25日から全面的な営業自粛に入っている。言うことを聞いてくれない方はわずかだが、放置してはダメだということで、ただちに45条に移行するという方針で行動に移りながら説得をしている状況である。和歌山県は東京都などより2週間遅れて自粛要請に入ったが、先行している県でも要請に従っていないのにまだ手をつけていない業種・企業が多くある。これはどういうことだと思う。これについては、非難するだけではなく権限を強めないといけないと思う。西村大臣が罰則も含めて規制を強化しないといけないと発言したが、全面的に賛成である。陽性患者に対する措置(保健所の指導に従わせる)も含めて提言案の2(1)(2)には賛成。


◯3点目、学校の話。問題は学校がいつ再開出来るかということ。私は県にきた全ての投書を毎日読んでいるが、世間では子どもも含めてリスクが少しでもあれば学校を開くなという議論が大部分となっている。一方、このまま7月20日を過ぎると、夏休み・冬休みを潰し授業をやっても規則上は全員留年落第になる。そちらの方も心配で胸がつぶれる。村井宮城県知事が、9月入学制を言ったのは、このような全員落第危機を考慮して言ったのだろうと推測している。リスクが少しでもあれば再開できない・すべきではない、ということだけを国民が思っているとしたら9月での学校再開も難しいと思われる。従って、国民も巻き込み知事会全体であるいは政府も含めて、どういうバランスで授業再開、学校、子ども達の将来を考えていくのかということを根っこから議論するということが今の相場ではないかと思う。9月入学制にするということは解決すべき問題も多々あるため、そのことばかり言うのはいかがなものかと思う。』



 以上でしたが特に世論や他の知事が少し忘れかけていることで私が強調したいと思ったのは1点目です。
 和歌山県も62人も患者が出ていますから、あんまり偉そうなことも言えませんが、退院者などを除くと、現在患者数は29名、これら全員にきちんと医療加護し、感染を拡大しないために県庁等行政と全ての医療関係者で感染の拡大防止、抑え込みを一生懸命しているから、この程度ですんでいますが、感染爆発の大阪とは切っても切れぬ仲の和歌山ですから、我々保健当局の努力を少しでも緩めるとこの何倍もの感染数になっていたと思います。
医療界の重鎮が次のように言っておられました。「和歌山県が知事さんを筆頭に抑え込みに頑張っておられた時、他所は結構甘かったですよ。あんなことをしていては、大変なことになるのにと思っていたらやはりそうでした。」

 ですが、和歌山をはじめ、まだ必死で保健当局が頑張っているところがたくさんあります。東京や大阪みたいに手が付けられなくなったところも、頑張りようによっては、少しはましな成果も挙げられるでしょう。当局の十分出来なかったことを、国民の自粛の徹底にだけ帰することは、間違いだし、頑張っている保健当局の油断や士気の低下に繋がるとまずいのではないでしょうか。

 それから怒っていることはずっと政府が言っていた風邪のような症状が出ても、4日ぐらいは自室で様子を見ていて、医者にかからないようにという専門家の見解です。
確かに、テレビに映るイタリアの状況などを見ていると、重症者もちゃんと診られない深刻な状況の時は事実上、軽症者のコロナ患者、ましてやコロナかどうかも分からない風邪のような症状の人は、到底医療機関で面倒は見られないから、自宅にいて余程重症化したら来て下さいというのはよく分かります。しかし、きちんとした対応の出来ている和歌山県や他の大部分の県の県民に向かってまで、4日間は自宅待機が望ましいなどと言わなくても良いではありませんか。といつも怒っていたら、とうとう、熱があって身体の不調を訴えていたのに、一度も医者に相談に行かなかったひとり暮らしの方が、亡くなった状態で発見されてしまいました。この方が何故和歌山県では止め立てもしていないのにクリニック受診をされなかったのかは、今となっては分かりません。しかし、国の専門家の上記見解は、前からテレビでどんどん紹介されていました。それに比べて和歌山県の推奨システムは、時々テレビ和歌山で紹介されるか、2月末日に私が「この点だけは国に従いません。」と発言して、一時テレビでよく取り上げられたとき以外はほとんど紹介されません。ひとり暮らしでテレビを見て情報を取っていたかも知れないこの方が、もしも国の専門家の意見に素直に従って医者にかかることを控えて、急激に悪化したのだとしたら本当に気の毒で涙が出ます。とともに大いに怒っています。
 今からでも遅くありません。国の専門家は、まだそんなにコロナが蔓延していない県の人々は風邪を引いたら、クリニックなどにかかっていただいていいですよ、その上で和歌山県のようにこれは怪しいとクリニックが判断する人については、保健当局に頼んでPCR検査をしてもらって下さいと言い直すべきではないでしょうか。


(注)和歌山県もPCR検査のキャパシティがありますので、次の基準に合う人をクリニック等が通知していただければ、すぐ検査をしようということになっています。
和歌山県PCR検査基準

  1. 風邪症状や、37.5度以上の発熱が続く
  2. 強いだるさや息苦しさ
  3. 原因不明の肺炎疑い
  4. 1又は2に加え、味覚・嗅覚異常又は消化器症状(下痢・嘔吐)
  5. その他、医師の総合的な判断

 もう一つ怒っていることがあります。それは、大阪の病院に関してであります。
 4月21日大阪の第二大阪警察病院に和歌山から通勤している看護師さんがコロナに感染しました。院内感染のおそれもあるし、外来に知らずに行ってしまう人にも知らせた方が良いので、病院名は公表しようと考えましたが、発表時大阪府又は市の了解を得ていないのでその旨を言って公表は控えました。吉村大阪府知事も皆公表だと言っているので、次の日ぐらいには発表できるかと思っていて、その旨記者諸君には言っていたのですが、次の日も病院長の了承が取れないので発表しないで下さいというのが大阪市の回答だとかで、不承不承従いました。(私は県内のことなら、自分で責任を持ってやってしまうのですが、人様のことはだまし討ちにはしない方針なのです。)
 私の心配は現実のものとなり、その後の病院は何十人もの感染者を出し、とうとう4月29日この病院に勤める和歌山県在住のもう一人別の看護師さんが発症してしまいました。
 聞けばこの病院は、管理者が、多少の体調不良でもスタッフに働いてもらうようお願いしているらしく、これは病院というものの性格上避けなければならないことだと思います。しかも感染を拡大させないためには、知らずに来てしまう人を無くすため、病院名の公表が絶対だと思うのに残念です。吉村知事が方針としてどんどん公表と言っている中で、下の人が和歌山県に対して病院長がダメと言っているので公表を止めて下さいと言ってくるというのは、大阪府のガバナンスはどうなっているのでしょう。
 なお、以上のように人の組織のことをとやかく言う時は、きちんと事前通告をしてから言うのが紳士の道なので、そうしています。

 大阪府の隣ですから、残念ながら和歌山県の感染リスクは以前より上がっています。「県民の方々も以下の点、特にご注意下さい。」と本日記者会見で申し上げました。



令和2年4月30日記者会見


●県内でも感染のリスクは高まっている

 県内での感染のリスクは、以前と比べるとかなり高まっていると、県民の皆さん、もう考えてくださいというふうに、ちょっと強調したいと思います。大阪だけが危ないと言うと、うつされてる可能性があるので、やっぱり行動については、慎重に色々自粛をして欲しいというのをまず申し上げたいと思います。
 特に大阪については、病院にちゃんと入院させることができないほど大変になってます。と言うことは、放置されている人が、街にいるということです。と言うことは、その方々からまたうつってる可能性もあるという状態がありますから、これはもう和歌山と比べるとかなりレベルの高い感染状態になってると考えたほうがいいので、そういう意味では、特に大阪なんだけど、やっぱり和歌山県内でも、じゃあ安心かと言われたら、それ程の自信はありませんから、よろしくお願いします。これが大事なメッセージです。


●咳や発熱等の症状がある場合、通勤を含めた外出の自粛

 それから2番目は、咳や発熱等の症状がある場合は、通勤を含めた外出の自粛をぜひお願いしたいと思います。今回、今日発表した看護師の方は熱のない状態で勤務して、帰って来てから発熱をしているので、こういう例に当たるわけでありません。しかし、前にこの病院で陽性と発表した方は、ちょっと熱があったという話もあります。ですから、そういう時は、やっぱり院内で人にうつしてもいけないし、本人も悪化したら大変です。それから家族にうつしてもいけないので、早目に通勤などは遠慮して、外出の自粛をして欲しいと。クリニックなんかに行って相談してもらったら、段々明らかになってくるので、ぜひ通勤などしないようにして欲しい。
他のような話で言えば、デイサービスの時も、ちょっと熱があるという状態でやっておられました。それから、和歌山市のクリニックの看護師さんもちょっと熱があるという状態でやっておられたということで、後で分かってみると、我々が囲い込まなきゃいけない人がもの凄く増えるんです。だから、そういう意味では、ぜひ、咳や発熱等の症状がある場合は、通勤をやめて、外出の自粛して欲しいと切にお願いしたいと思います。

●特にGW中の通勤。特に大阪

 それから、ゴールデンウィーク中の通勤。ゴールデンウィークの往来はやめましょうと言っているんですけど、ゴールデンウイークは休暇もとりますよね。それから、活動レベルも下がってるし、感染リスクは今すごく高くなっているので、特に、ゴールデンウィーク中の通勤はやめて、皆さんうちにいましょうというふうに呼びかけたいと思います。
 特に大阪と書いてあるのは、大阪に通勤されてる方は、特に休暇をとって欲しい。あるいは、うちで仕事をして欲しい、自宅で仕事をして欲しいというふうに思います。なお、自分でそれを会社に言えないという人は、ずっと前から県庁が代わってやることになってますので、どんどん頼んでいただいて結構です。吉村知事も、それは大阪府でちゃんと引き受けて、話をしてあげると言ってくれています。

●症状がある場合は、いつもどおりクリニックを受診


 それから、症状がある場合は、いつも通りクリニックを受診していただいて結構ですということです。あんまり最近は言わないんですけど、政府が前に言っていたような、風邪の症状のある人は、4日間は自宅にいなさいというふうなことは、全く聞かんでもよろしいということであります。
 これについては、もう一度改めて申し上げておきますと、和歌山県の新型コロナの早期発見システムはこういうスタイルになっています。患者さんが、風邪をひきます。何か調子が悪くなることはたくさんあります。花粉症が悪化したなんていうのもあるかもしれません。そういう時は、別に遠慮しなくてもいいから、普通、クリニックに行くのであれば、今も行っていただいて結構ですよということを言ってるわけです。クリニックに行っていただいたら、お医者さんですので、これは変だなと思ってくれる時があります。よくあるのは、1回しか行かなくて、一番初めに診て、それは全部見極められませんよね。だから、おかしいと思ったら、何度か行かれたらいいと思います。一番初めでも、これはおかしいと思う人もいるわけです。悪化してから来られた人は、一発で分かる。そうすると肺炎を疑っていただいたり、味覚や嗅覚異常があったり、下痢があったりするという方は、保健所にご連絡をいただいて、レントゲンなんか撮って、肺炎だという方は保健所にご連絡いただいて、保健所で県庁と相談して判断をして、というかほとんど全部PCRにかけるんですが。それでどうするかというような話をするということになります。それでも、このクリニックから異常を言われて、PCRを行っても、その方々の中で、割と最近のデータでも陽性は2.4%なんです。ですから、ほとんどは陰性なんです。ですから、あんまり気にしないで、クリニックに行っていただいたらいい。この風邪の患者の中で、何か変だなあと思うところ、例えば一例で肺炎っていうことを考えると、去年の10月のデータで1.6%なんです。ですから、大体は普通の風邪で、普通の風邪が悪化してても、コロナの場合は割合少ないです。しかし、こうやってクリニックの方が頑張って、より分けてくださるから、和歌山県の医療が窓口でパンクしないんです。何とか持っていると。これが一気に押し寄せてきたら、普通の風邪の人と、本当のコロナの人と、ごちゃごちゃになってうわっと来たら、それは大変なことになりますので、普通のクリニックへ行って、普通に見てもらってくださいというのがお願いであります。
 実は、それを1回もやられなかった方が1人亡くなられました。亡くなられてから、分かったわけです。どういう関係で、どういう動機で、医者に行かなかったのか分かりません。分かりませんけども、無理をする必要もないし、ひょっとして、政府の専門家の意見に従ったんなら、そんなことを今後、従う必要ありませんよということを言いたい。

それで、よく言われるのは、PCRをとってくれるのかというのがあるんです。さっき言いましたように、これはおかしいという場合でないとしていません。私の気分が晴れないからPCR検査をして、気分を晴らしてくださいというようなタイプの人が多いんです。それをやっていると、和歌山県のキャパシティがあっという間にパンクして、到底できない。従って、クリニックには、我々、こういうふうに連絡しています。すなわち、発熱が続いて、かつ、強いだるさや息苦しさがあって、肺炎があれば、もう来てくださいと。肺炎がなくても、そういう症状があって、味覚、嗅覚異常または消化器の症状があるという人は言ってください。その他、これ全部に当たらなくても、絶対におかしいとお医者さんが考えられる時は、相談してくださいということを言っておりますので、全員とってくれると言ったやんというような投書がよくあるのですが、それはちょっと違うということです。ホームページにもこれを掲げておきますから、ぜひ見ていただきたいと思います。

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