知事からのメッセージ 令和2年4月8日

知事からのメッセージを紹介します。

令和2年4月8日のメッセージ

新型コロナウィルス感染症対策(その12) -本当の試練-

 4月7日、安倍総理が新型コロナウィルス感染症緊急事態宣言を出されました。緊急事態措置を実施すべき期間は5月6日まで、実施すべき区域は首都圏と大阪、兵庫、福岡の各府県であります。これを受けてそれぞれの対象都府県の知事は、それぞれ緊急事態措置を発表されました。いずれも、それまで何もしなかったわけではなく、ほとんど以前から要請しておられたものの焼き直しのように思いましたが、テレビで発表の様子などを拝見しますと、それぞれ緊迫感が高まっていることがその口調等からうかがわれました。

 私が特に注視しました点は、安倍総理がはっきりと対象地域の方は県外に行かないで下さい、特に感染が進んでいない地方では医療提供体制も不十分ですから、感染させてしまうと容易に医療崩壊を招きかねませんと言っておられた点です。また、対象地域の知事さんからも同趣旨の発言があったと思います。

 一方、和歌山県でも、このところコロナの患者が増えています。和歌山県では、済生会有田病院の院内感染があり、現患者数は当時最大11名を数え、ある瞬間を考えると日本一であった時期もあると思いますが、徹底した患者の行動履歴のトレースと早期隔離などいわゆる「和歌山方式」と言われる対策を地道に積み重ねてきた結果、新規の患者の発生が抑えられ入院患者は次々と回復して退院していくので、3月12日頃には現患者数が3というところまでこぎつけまして、その後4ないし5というラインで3月末までは何とか維持してきました。ところが3月30日以降、患者さんが毎日のように発生するようになりました。和歌山市役所の2例を除き、全て他府県からの感染移入と思われる例ばかりで、そのほとんどは、他県における遊興(ここでは仕事以外のものを広く指します。)でしたが、中には、通勤時に感染したと思われる者も散見されるようになりました。その結果4月8日現在の感染患者さんの数は16名で、まだ余裕はあるものの感染者病床の確保も少々先行きが懸念されるようになっています。
 そこで和歌山県では新型コロナウィルス感染症対策本部会議を4月8日朝から開催し、政府及び対象地域の都府県の対応及び措置の内容も参考にして、和歌山県の対応を決定し、これをもとに次のような「県民の皆様へのお願い」及び「県庁自体の対応」を発表しました。(稿末参照)

 もちろん和歌山県では県民の皆様に対して、「三密」を避ける、手洗いの励行など一般的な注意に加えて「遊びで大阪に行かないように」、「歓送迎会の類いは先送りにして下さい」等という注意喚起していたところですが、それに加えて、この措置では、次のような点を中心に、一段と注意レベル又は県民の皆様へのお願いレベルを上げました。

  1.  緊急事態宣言の出ている7都府県への往来については、自粛をお願いしました。感染リスクの高い都市部や歓楽街などはもちろん強く自粛をお願いしますが、通勤、通院などでやむを得ず出かける時は、他の場所への立ち寄りを控え、かつ以降自らの健康観察を徹底してほしい、熱などのある時はすぐ保健所などに連絡を、と申し上げました。
  2.  さらにもう一段進めて、対象地域との通勤による往来も、可能な限りテレワーク等を活用して移動を控えるよう努力してほしいこと、通勤、通院などの生活維持のためのもの、散歩など健康維持のためのもの以外の県内での外出も、今それが必要かどうか考えて先送りできるのであれば自粛して下さいということを申し上げて、従来の「三密を避けること」と「遊びで大阪府に行かない」という注意レベルを上げさせていただきました。
  3. また、総理及び対象地域からは地域外への転出を抑制するように要請が出ているところでありますが、何らかの事情でやむを得ず、対象地域から和歌山へ転入される場合は、2週間の自宅待機をしていただくとともに、県庁の専用ダイヤルに登録しておいていただくことをお願いすることにしました。こうすることによって、転入者も体調の変化などがあった時にケアをしてもらえることになります。
  4. また、和歌山県は観光立県ですが、上記それぞれの要請でその地域の人は県外に行かないようにという要請がなされていますので、和歌山県の観光産業側としても、このような地域からの誘客は控えるようにお願いすることにしました。
  5. さらに事業者の皆さんには、時差通勤やテレワーク等の活用によって、勤務のあり方を工夫して感染リスクを減らすことや、サービスをされる時など「三密」状態を出来るだけ避ける等の工夫をすることなどをお願いすることにしました。
  6. こういう時期、嫌な事は、流言飛語で正しくない情報が流れることや、患者や医療関係者のプライバシーを暴いて、ネットなどで誹謗中傷することです。このようなことは、厳に慎んでもらうとともに、情報の真実については、県庁の電話相談窓口まで問い合わせてほしい旨も申し上げています。


 また、ちょうど4月8日から学校を再開しようとしていたのですが、緊急事態宣言が出され、対象都府県の措置が発表されること、最近当県でも患者数が増加していること等に鑑み、今週いっぱいは学校の休業を延長して、様子を見ることにしました。ただし同時に、再開した場合は次のようにして行うことも発表を致しました。すなわち、健康観察票をひとりひとり作成して、生徒の健康状態を学校と保護者が共有するなど、感染リスクを極小にするが、どうしても学校へ行かせたくないという家庭の生徒には、家庭学習の指導や支援を行う、また休業時には(まさに本日がそうですが)担任の先生が必ず一日一回生徒の所在や健康及び学習状況を確認するため生徒に電話を入れるということにしました。
 これは学校のシステムを通じてコロナの感染の予防と発見を積極的にしようということを意図したものですが、休業をしたらしたで、一部の生徒が糸が切れた凧のように、より感染リスクの高い所へ出かけるといった機会が増えることを防止する狙いもあります。
 ありとあらゆる行為は一定のリスクを伴いますが、それを避けるための行為は別のリスクを高めてしまうことが多くあります。感染のリスクだけを極大化して考えると、感染がなくなる状態まで学校が再開できません。そうすると、すべての生徒の進級ストップ、もう1年同学年でというような事態すら考えられます。似たような事は昭和44年東京大学の入試中止という政府決定で現実のものとなりました。とは言え、感染リスクを軽視してはなりませんから、常時、総合的に判断して再開をいつにするか、再開しても、また休業すべきかどうか、慎重に考慮していかなければならないと思います。

 このような措置とともに、コロナの抑圧のための戦いは続きます。4月8日、前日に陽性が判明した教師の家族及び職場の同僚教師の陽性が判明しました。同一職場における複数の陽性患者が判明しましたので、これ以上の感染の予防のため、学校の名前も本日発表させていただきました。紀の川市打田中学校です。さっそく立ち入りは制限し、学校関係者及びその家族等濃厚接触者又は関係者のPCR検査又はヒアリング調査を徹底的に行っています。
 今回は同一職場で複数の患者が発生したということで、済生会有田病院、和歌山市役所に次ぐ試練かもしれません。しかし、前2例が努力の結果もはやクリーンであることを証明することができたように、この打田中学校ももう心配はないとすべての人々に信じてもらえる状態に一刻も早く持っていきたいと思い、封じ込め作業に全力を挙げていきます。この試練も含め、緊急事態宣言をうけて緊急事態措置をとらざるをえなくなった大阪府をはじめ対象地域とどう接していくか、接しながらどう県民の安全を守っていくか、本当の試練を迎えています。皆さん、力を合わせてがんばりましょう。
 

  • 『県民の皆様へ』

緊急事態措置すべき区域への往来
 緊急事態宣言の出ている5月6日(水)までの期間、緊急事態措置すべき区域として公示された7都府県への往来については、下記のとおり自粛等をお願いします。
特に、都市部や歓楽街など人混みが多く、感染リスクが高いと思われる場所への往来については強く自粛を要請します。
なお、通勤や通院など生活維持のためやむを得ず往来が必要な場合については、以下のことに留意してください。

  1. 勤務先や医療機関等以外の場所への立ち寄りを控えてください。また、帰宅後は、手洗い等を徹底し、家庭での感染の防止を図ってください。
  2. 自らの健康観察を徹底してください。咳や発熱などの症状がある場合は、決して外出せず、まずは最寄りの保健所または県庁健康推進課にご連絡ください。

感染予防と感染拡大防止
 県内においては、現時点で爆発的な感染拡大が起こっている状況ではありません。
これまでも多くの県民の皆様には、自発的に行動自粛に取り組んでいただいているところですが、新たな取組も含め、以下のことに留意してください。

  1. 咳エチケットや手洗い等、基本的な感染対策を継続してください。また、咳や発熱等の症状が見られる場合は、まずは最寄りの保健所または県庁健康推進課にご連絡ください。
  2. 外出については、必要性をよく考えた上で、先送りできるのであれば、自粛をお願いします。
  3. 政府の新型コロナウイルス感染症対策本部から地方への移動の自粛について強く要請されたこと、及び当該7都府県の感染拡大防止の取組等にも協力する観点から、当該区域からの積極的な誘客等は控えていただきますようお願いします。
  4. 会食、カラオケ等で、「密閉空間」「密集場所」「密接場面」の「3つの密」が重なるような集まりを避けてください。
  5. イベントや会議の実施については、「3つの密」が重ならないような環境整備や感染予防対策の徹底が大前提ですが、そういった準備が整わない場合には自粛をお願いします。
  6. 通勤については、勤務先に時差出勤や在宅勤務等のテレワークの制度がある場合は、積極的に活用してください。
  7. 集団生活を行っている施設の皆様について
    職員(調理従事者含む)はマスクを着用し、手洗いや手指消毒を徹底してください。
    健康状況についても自己検温や健康観察を促し、異常があれば、業務に従事しないようにしてください。
    食事については、ビュッフェスタイルではなく、個別の盛り付けとしてください。
    入所者など利用者において、発熱や呼吸器症状が一人出た段階で保健所に相談してください。
    一週間以内に二人以上同様な症状の者が出た場合は、速やかに保健所に報告してださい。面会については、施設内に入らないようにして対応してください。
  8. 次の項目に該当する方は、2週間の自宅待機とともに、以下によりご連絡ください。
    新型コロナウイルス陽性患者と明らかな接触があった方
     →最寄りの保健所または県庁健康推進課
    海外から帰国された方、緊急事態措置すべき区域として公示された7都府県にお住まいで帰省された方、当該区域から転勤された方
     →県庁帰国者・帰省者・転勤者連絡専用ダイヤル
      電話 073-441-2170
      FAX 073-431-1800

事業者の取組
 県内事業者の皆様は、従業員等の感染予防と健康管理に万全を期していただき、以下のことに留意してください。

  1. 換気の悪い密閉空間に、多くの人が集まり、間近で会話や発声をするような環境を作らないようお願いします。特に、観光業やサービス業に携わる事業者の皆様については、例えば、換気励行や会席時の顧客同士の間隔を空けるなど、「3つの密」が重ならないような環境整備や感染予防対策の徹底をお願いします。
  2. 顧客の対応にあたっては、咳エチケットや手洗い等、感染の防止を徹底してください。また、至近距離での会話を避けるようにしてください。
  3. 時差出勤や在宅勤務等のテレワークの制度がある場合は、積極的な活用を推進してください。また、制度がない場合は、速やかな導入をお願いします。さらに、従業員等が休暇を取得しやすい環境づくりについて配慮をお願いします。
  4. 緊急事態措置すべき区域から県内に通勤されている従業員等については、可能なら在宅勤務を織り交ぜた勤務など、働き方の工夫をお願いします。
  5. 当該7都府県への出張等はできるだけ先送りするなど調整をお願いします。
  6. 従業員等から咳や発熱等の症状の報告があった場合は、休暇を取得させ、まずは最寄りの保健所または県庁健康推進課への連絡を促してください。

感染症患者や関係者等への配慮
 新型コロナウイルス感染症患者やそのご家族及び対策に携わった方々等に対して、誤った情報や不確かな情報による不当な差別、偏見、いじめ、SNSでの誹謗中傷等の人権侵害があってはなりません。
 情報が正しいかどうかの確認については、最寄りの保健所または県庁健康推進課までお問い合わせください。
新型コロナウイルスに関連する正しい情報に基づき、冷静に行動していただきますようお願いします。
 県民一人ひとりが今回の要請の趣旨をご理解いただき、自らの行動を見直していただくことが重要です。
 特に、重症化につながりにくい若い世代については、自ら感染してもあまり自覚症状がなく、感染を拡大させる可能性があることから、家庭や事業所内においても、感染しやすい場所への出入りの自粛等を十分に周知していただきますようお願いします。
 県民みんなで力を合わせ、この事態を“オール和歌山”で乗り切りましょう。
 

  • 緊急事態宣言に関するお問い合わせ窓口について

 4月8日開催しました和歌山県新型コロナウイルス感染症対策本部会議において、同対策本部長(和歌山県知事)より県民の皆さまに、新型インフルエンザ等対策特別措置法第24条第9項に基づき、緊急事態宣言に係る対応等をお願いをしたところですが、
ご不明な点、ご不安に思われる事などがありましたら、下記専用ダイヤルまでお問い合わせください。

  1. 専用ダイヤル
    073-431-2684
    073-431-5726
    073-431-5751
  2. 受付時間
    月曜日から金曜日の9時から17時45分(祝日を除く)
  3. FAX
    073-422-7652
  • 『大阪府から通勤している和歌山県職員について』総務部通知


 非常事態宣言の対象地域になった大阪府内から通勤している職員については、職員自身及び同居家族の体調管理の徹底を周知します。
また、大阪府内の新型コロナウイルス感染症の罹患状況を踏まえ、下記以外の区域から通勤している職員については、5月6日までの間、感染リスクを軽減する観点から、在宅勤務を織り交ぜた勤務を推奨します。
なお、今後の大阪府における新型コロナウイルス感染症の罹患状況により、在宅勤務を推奨する期間及び下記区域は変更になる場合があります。


*大阪府南部(貝塚市、泉佐野市、熊取町、田尻町、泉南市、阪南市、岬町)
*大阪府東部(大阪狭山市、富田林市、太子町、河南町、千早赤阪村、河内長野市)

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