ようこそ知事室へ 知事からのメッセージ 平成29年6月 インド・マハラシュトラ州観光・雇用保障大臣からの手紙
知事からのメッセージ
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平成29年6月のメッセージ
平成29年6月
インド・マハラシュトラ州観光・雇用保障大臣からの手紙
先日、インド・マハラシュトラ州観光開発公社のビジェイ・ワグマレ総裁が和歌山県庁を訪問下さり、親善に務めました。
和歌山県は平成25年以来、インドのマハラシュトラ州とMOU(Memorandum of Understanding、(了解事法)覚書と訳します。)を結んでいます。
当時大阪のインド総領事であった、映画「スラムドッグ$ミリオネア」の作者でもあったビッカース・スワループさんの紹介で私が訪印し、結んできたものです。インドは全体としても人口がとても多く、最近の成長が著しく、世界でも最も有望な国として脚光を浴びていますが、その中でもマハラシュトラ州は、中部インド洋に面する大州で、州都はムンバイ(昔の呼称はボンベイ)、経済力ではインド1、2を争うほどで、タタ等のインドの大財閥の本部がいくつもあるほか、インド中央銀行も立地しているほどの力のある州です。人口は1億1400万人、工業はもちろん、デカン高原の農業地帯も擁するほか、アジャンタ、エローラという知名度では世界1、2位を争うような世界遺産もあって、観光資源には事欠かないし、いわゆるボリウッドという世界一の映画制作地も含んでいます。つまり、インドで最も力のある州と和歌山県は種々の面で協力をしているわけです。和歌山県は、人口が100万人を切る状況ですから、とんでもないビッグスターとどうして仲良くできているのかと自分でも時々不思議に思います。
私は、外国の小さい地方と姉妹県などになると具体的な協力のマッチングができず、お互いトップが相互訪問して乾杯をするだけに終わっているのが現状なので、そういう試みに少し消極的で、最近ではパートナーとして外国の中央政府の特定の省庁と仲良くしているのですが、インドのマハラシュトラ州ぐらい大きくなると、和歌山企業のマッチング相手などいくらでも出てきそうだから、MOUを結んで仲良くしています。
このように大きさは人口で100倍以上の差がありますが、マハラシュトラ州は和歌山県の協力を大変評価してくれています。
具体的には相互の観光振興協力、食品加工などの農業にかかる技術協力、人的交流などが中心ですが、インド創建時の英雄でインド憲法の父と言われるアンベドガー博士の記念碑を高野山大学に作る手助けもしました。その上で、観光面では、あのアジャンタの大世界遺産のビジターセンターで我が熊野古道のPRをしてもらう一方、本宮の和歌山県世界遺産センターでアジャンタ、エローラの世界遺産のPRもしています。
食品加工についてはインドは暑い国ですから、マハラシュトラ州の膨大な農産物も消費者の口に入る前に腐ってしまうという現実があり、この打破のために何か県で協力できることはないかと考えており、一方、県職員の語学研修と国際経験も兼ねてマハラシュトラ州に若手職員を派遣していますが、マハラシュトラ州のご厚意で、県の観光事務所という待遇も与えてもらっています。私はかねがね大マハラシュトラ州は和歌山県をゲートウェイとして使ってくれたら良い、他県の企業とのリエゾンもやってあげると言って現にそのように動いており、我が東京事務所はマハラシュトラ州の連絡事務所機能も果たしています。
2015年にはマハラシュトラ州のファドナビス首相の一行が訪和して下さり、アンベドガー博士の像を拝むためもあって高野山で更なる親交を深める機会もありました。インドの流儀で、この種の覚書には任期があり、2018年には、この覚書の期限が来てしまうものですから、私が2018年1月にはムンバイに行って、この覚書の更新をしてこようということになっています。
今回のマハラシュトラ州観光開発公社のワグマレ総裁もファドナビス州首相から、知事にはくれぐれもよろしく、来年1月には楽しみにお待ちしていますという伝言がありました。さらに先方の観光大臣から1通の書簡をことづかってきましたと、手紙の手交がありました。自分の直接の上司から手紙を預かってきてくれたのです。
そうですかと受け取ると、何と宛先は私ではなく、Mr.Yoshio Yamashita になっているではありませんか。先方の大臣から来た手紙で、中味は感謝状と今後の協力のお願いの手紙でした。が、その手紙の宛先は和歌山県企画部国際課 山下善夫主任宛でありました。山下職員は、最近ではどんどん養成しているので増えてきた英語のもとからの達人で、インドとの仕事をずっと長い間やってくれていました。インドの地方政府との覚書は、日本で考えるよりもずっと難しく、中央政府の締め付けや、地方政府自体の官僚主義を突破していかなければなりません。和歌山県でも最近でこそ、どんどん能力のある若手が増えてきましたが、当時は何から何まですべて山下君とその上司の津井宏之君(現国際担当参事)にやってもらわなければなりませんでした。それをものともせず、頑張って山下君はマハラシュトラ州の人々に心から信頼され、愛されるようになったのです。その上でのこの手紙です。私は、知事としてこのような和歌山県職員を持ったことを誇りに思いつつ、大臣の書簡を全文和訳して次に掲げます。
2017年6月7日
和歌山県国際課 山下善夫 様
拝啓 時下ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
和歌山県とマハラシュトラ州との間で締結した覚書の枠組みの中で、関係強化に向けた貴職の尽力について記すことは私にとって大きな喜びです。
覚書の締結以降、我々の関係は決して停滞することなく、様々な交流が行われてきました。旅行会社対象のファムトリップ、観光おもてなし支援事業に続き、今回は次世代育成支援事業ということで、2017年6月10日から15日にかけ、代表団を派遣することとなりました。
観光おもてなし支援事業については、和歌山県を訪問し、実際に触れる機会がありました。その際には、山下さんには大変お世話になりました。忘れることのできない経験として、これからも大切に心に留めたく思います。
貴職のご尽力と細部まで行き届いた企画力を高く評価するとともに、和歌山とマハラシュトラの友情をさらに高いレベルへ発展させていく上での更なるご活躍を祈念いたします。
和歌山とマハラシュトラの友情よ、万歳!
敬具
ジャイクマル・ラワル
マハラシュトラ州観光・雇用保障大臣
写し
和歌山県知事 仁坂吉伸 様