知事からのメッセージ 平成28年10月 法の下の平等

法の下の平等

 今年の7月に行われた参議院議員通常選挙では、一部地域において、隣接する2つの県を合わせて1つの選挙区として選挙が行われました。これを合区といいます。これが何故行われたかというと、大都会の都府県と地方の県の間で有権者一人の持つ票の重さが違うのは、憲法の「法の下の平等」の考えに反するので違憲だという訴えがなされ、最高裁がこれを認めたことにより、国会が違憲状態を解消する必要が生じ法改正を行ったためです。
 日本は法治国家ですから、最高裁の判決には従わなければなりませんが、同時に日本は民主主義国家であって、独裁国家ではありませんから、最高裁の判決と言ってもこれを批判することまで禁じられているわけではありません。私は、この最高裁の判決には異論があります。
 日本には、ただ今47の都道府県があり、行政その他多くの事柄がこの都道府県単位で成り立っており、○×の県民ショーとか、県人会とか、国体や高校野球の応援とか、国民の間でこの都道府県に対する帰属意識がかなり高いということも事実でしょう。そういう中で、参議院に対して自分たちの固有の代表を1人も送れないというのは、はたして正しいのでしょうか。
 最高裁など司法は、憲法14条にある「法の下の平等」という概念を一票の格差と同一視して、これが他に優先する規範だと考えているようですが、そもそも同条は「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」と書いてあって、参政権が各人平等の投票権によらなければならないとはどこにも書いていません。また、憲法には地方自治の規定もあるので、各県にせめて1人くらいは代表を選ばせてやろうではないかと考えることもできるのではないかと私は思います。
 もちろん一票の格差も重い現実ですが、そこは衆議院の区割りなどで工夫しておけばよいとも考えられます。今年夏の全国知事会は、この合区による解決は改められるべきだという意見を公表しました。その実現方法は色々あると思いますが、私はやっぱり参議院にも和歌山県代表を送り続けたいと思います。

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